ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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遂にダンまち六期製作決定!

しかも内容的に彼処までやるみたいで……胸熱!

そんな訳で初投稿です。




物語105

 

 

 

 拝啓。お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、お元気ですか? 僕は元気です。

 

 オラリオにやって来て暫く経ち、ファミリアのみんなとも仲良くなれて、厳しく鍛えられ、一つの冒険を乗り越えて、つい先日僕もLv.2に昇格(ランクアップ)する事が出来ました。

 

 世間では世界最速兎(レコード・ホルダー)だなんて持ち上げられていますが、僕よりスゴい人なんてゴマンといるオラリオで得意気になることはありません。

 

 今回もそんな自分の未熟さを嘲笑うかのように、ダンジョンの罠に掛かり、幾つもの危機に直面しました。助けてくれたタケミカヅチ・ファミリアの命さんと桜花さん、パーティーメンバーのヴェルフには感謝しかありません。

 

 そんな、頼りになる仲間達のお陰でどうにかこうにか危機を乗り越え、安全階層(セーフティポイント)として知られる中層の18階層───迷宮の楽園(アンダー・リゾート)に辿り着く事が出来ました。

 

 そして……。

 

「それでは、少人数でありながら中層を踏破した若き冒険者達に───乾杯!

 

「「「「かんぱーい!」」」」

 

 現在、僕達はロキ・ファミリアの人達と一緒に焚き火を囲みながら宴会に参加しています。

 

 なんで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベル・クラネル。ヘスティア・ファミリアに眷族として新たに加わった新米冒険者。

 

 嘗てのゼウス・ヘラの忘れ形見であり、【静寂】のアルフィアの甥。そんな彼がLv.2へと昇格し、早くも18階層まで辿り着いたと言う話を耳にした時は、驚きもあり同時に納得もした。

 

 幼い見た目とは裏腹に類い希なる才能を持つ若き冒険者、そんな彼を一度は此方の失態に巻き込んでしまった【勇者】としては、その汚名を払拭する好機と捉え、アイズが接触してくれた事もあってフィン・ディムナは彼と彼の仲間達も呼んで交友を深める為と言う名目で今回の宴に招待する運びとなった。

 

「へぇー! ベルってもうLv.2になったんだー! スゴーイ! 何が切っ掛けで昇格(ランクアップ)したの?」

 

「え、えっと……ミノタウロスの強化種と遭遇して、逃げたら仲間が殺られると思ったから………つい」

 

「見た目の割にやるじゃない。流石はヘスティア・ファミリアの眷族って訳ね」

 

「うん、凄いね」

 

「え、えへへ……」

 

 ベル・クラネルはアイズ達に囲まれてやや困惑気味だが、無事に打ち解けているようだ。他の団員達も相手がヘスティア・ファミリアの冒険者とあって、アイズ達と親しげにしている彼に僅かな嫉妬の視線こそ向けているものの、その大多数が彼を冒険者として認めている。

 

 ただ、レフィーヤだけがベル・クラネルに対して敵意増し増しなのが気になるが……。

 

「おーヴェル吉! お前遂に魔剣を打つようになったのか! ウンウン、やはりお主も一端の鍛冶師という訳だ!」

 

「おい、あまり近寄──いや酒臭っ!?」

 

 彼のパーティーメンバーであるヴェルフ・クロッゾも椿が良い防波堤となってくれているお陰でエルフ達からの悪感情を防いでくれている。

 

 クロッゾの一族とエルフは切っても切れない因縁があるから、彼女の然り気無い気遣いには頭が下がる思いだ。

 

「わ、我々も一緒で良いのでしょうか?」

 

「なんか、凄い場違いな気がする……」

 

「何を言うか。お主達の主神、武神タケミカヅチにはワシ等も大変世話になった。その恩を返せるというのなら、この程度安いものよ。ささ、お主達も呑め呑め」

 

 ウン、ガレスも良い感じにタケミカヅチ・ファミリアの面倒を見てくれるのは助かるけど、あまり酒を進めないでくれよ?

 

(………ドワーフ産の火酒とかじゃないよな? それ)

 

 それぞれがそれぞれの関係を築いている。それ自体はフィンにとっても悪いことではない。彼等の宴を楽しんでいる様子に満足したフィンは。

 

「さて、それじゃあ君の話を聞かせて貰おうか。ベジット」

 

 今回助っ人に参加してくれたベート・ローガとリリルカ・アーデの二人と気配を消しながら、器用に一緒になって酒盛りしているベジットとアルフィアに向き直る。

 

 宴の席だから、簡単な情報の摺合せといこう。そんな気軽な気持ちで話を振る。

 

「おう、取り敢えずベヒーモスが復活したから此方で片付けておいたぞ」

 

 ………うん、取り敢えず初っ端から胃もたれ起こしそうな情報で殴り付けるのは止めようか。折角深層から戻って来たというのに、フィンの胃はしくしくと痛み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか。ベヒーモスはザルドが討伐したか」

 

「おお、お陰でウチの料理人はLv.8だ」

 

「Lv.8の料理人とは、相変わらず豪気な派閥じゃのう」

 

 それからというもの、話の内容がアレなので詳しい話し合いは宴会後となり、現在ベジットはロキ・ファミリアの団長専用のテントへとお邪魔していた。

 

 因みに、アルフィアはリリルカが用意したテントにお邪魔する事になり、ベートとタケミカヅチ・ファミリア含めたベル達はロキ・ファミリアのテントの一部を借りる事になっている。

 

「それよりも、悪いなぁフィン。そちらのテントを借りちまって。他の団員からの反発とかあっただろ?」

 

「そんな事はないさ。此方はほぼタダ同然に第一級冒険者の実力を借りれたんだ。しかもベート・ローガもリリルカ・アーデも上澄みの中の上澄み(Lv.7とLv.6)、テントくらい提供しないと此方の面目が立たないよ」

 

「そう言ってくれると此方も助かる」

 

 遠征帰りで、唯でさえ物資が心許ないだろうに。それでも快く寝床を提供してくれるフィンにベジットはただ純粋に感謝した。

 

 リヴィラの街で寝泊まりしても良いんだけど……値が張るんだよなぁ。

 

 フィンもフィンで、先のミノタウロスの群れを逃がし、その失態を今回の件で払拭できると言うのなら、この程度の出費は安いものだろう。

 

「しかし、まさかベヒーモスが復活するとはのう。三大厄災のドロップアイテムは並みのモンスターすら食い荒らすか」

 

「因みにリヴァイアサンのドロップアイテムは……今どうしてるんだっけ?」

 

「港町メレンにある……嘗て、モンスターが海への出入り口としていた箇所を、蓋として利用している筈だ」

 

「一応、僕達も地上に戻り次第確認に向かうとするよ。今回の遠征の慰安も兼ねてね」

 

「それがいい。張り詰めてばかりいるといざという時大変だからな」

 

 それからもフィン達との情報の摺合せは続き、それぞれが咀嚼するように飲み込む。深層59階層で目の当たりにした《穢れた精霊》、人造迷宮で発見したとされる六体の精霊と一体の邪竜と鍵。

 

 濁流の如き情報量を一つずつ丁寧に解きほぐす。そんな時だ。天幕の向こうから気配を感じ取ったベジットは不意に視線を向ける。

 

「やぁやぁロキ・ファミリアの英雄達! よくぞ深層(地獄)から戻ってきてくれた。この私、ヘルメスが君達の無事の帰還を祝福しようではないか!」

 

 現れたのは、帽子を被った男神とその眷族である【万能者(ペルセウス)】。天幕の暖簾を断りなく潜って現れる神にフィン達は眼を見開いた。

 

「なんだよヘルメス様、本当にダンジョンに来たのかよ」

 

「当たり前さ! 私は有言実行の男! 一度手助けすると決めた以上、たとえ断られたって実行するのさ!」

 

「そういうの、ありがた迷惑って言うんだけど………知ってる?」

 

 ベル達の救援に参加すると言い出し、一度は断ったと言うのにこの男神、どうやら余程ヘスティア・ファミリアに対して貸しを作りたいらしい。

 

(いや、この場合執心なのは俺達じゃなく……ベルか)

 

 どうもこの男神、ベルの事をそれとなく気にしているようで、俺達が干渉していない時は何かにつけて接触を図っているらしい。

 

(取り敢えず、気を付けてはおこうか)

 

 もし万が一良からぬ事を企んでいるのであれば、オラリオの外で今頃旦那(ゼウス)とおいかけっこしているであろう女神(ヘラ)に沙汰を下して貰うとしよう。

 

 アルフィアに言っても良いけど……あまりアイツにはもう手を汚して欲しくないんだよなぁ。ベルの為にも。

 

「じゃ、取り敢えず俺ももう今日は休むとするわ。それじゃあ三人とも、おやすみー」

 

「あぁ、おやすみベジット」

 

 フィンもそれとなく察してくれたのだろう、特に呼び止めないでくれた【勇者】に感謝しつつ、俺もテントに向かう。

 

 途中、なんかデッカイ落とし穴に落っこちているベルとレフィーヤを発見。しかもなんだか中に潜んでいる変わったモンスターと戦っている様子。

 

 折角なので、二人の活躍を観戦してからテントに向かうとしよう。

 

「お、なんかあの二人中々良い組み合わせなんじゃないか?」

 

 レフィーヤは固定砲台の後衛、ベルは撹乱と遊撃の前衛と良い具合に噛み合った戦闘スタイル。

 

「フンッ、小娘の方は雑念が多い。ベルもいつもより速さが乗っていないではないか。アレでは及第点もくれてやれんな」

 

「とは言いつつも、キチンと見守ってくれている辺り、良いママやってんじゃねぇか」

 

死ね(ゴスペル)

 

「照れ隠しに魔法をブッパするの、良くないと思います!」

 

 その後、無事に危機を乗り越えたベルとレフィーヤを抱え、陣地に戻るベジット達でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんで翌日。出発するロキ・ファミリアを見送り、俺達は俺達でリヴィラの街を探索しようとしていた時。

 

「■■■■■■■ッ!!」

 

 突如、上の階から落ちてくる黒いゴライアスにベジットはあーあと溜め息を吐く。

 

「ちょっとあの男神(ヘルメス)ブチ殺してくる」

 

 そう言って、素敵な笑顔を振り撒きながら姿を消すアルフィア。

 

 取り敢えず、事前に殺ることを報告してくれる分だけ、彼女も自分を信用してくれるようになったのだと、そういう風にベジットは思うことにした。

 

 





キリの良いところで終わりたかったので、今回は短め。

果たしてヘルメス様の運命は!?






オマケ



“頑張れレフィーヤちゃん!!”

 18階層にて。


「あ、あのヒューマンは!?」

 その日、レフィーヤは件の人物……ベジットの姿を目撃した。

 何でも新入りであるベル・クラネルが異常事態に巻き込まれたと聞ききつけて駆け付けたらしいが、59階層での出来事を思い返し、本当にそうなのかと疑問を抱いてしまったレフィーヤは疑惑の視線でベジットを見やる。

 一瞬の出来事とはいえ、あの時のベジットはいやに現実味を帯びていた。まるで自分達を助ける為だけに駆け付けてくれた様な……不思議な人。

 もし本当にあの時彼が助けてくれたのなら、礼の一つくらい言うべきなのに、アイズと親しげにしている光景を思い出してしまい、素直に声が掛けにくい。

 ジーッと見つめること数秒、自分の視線に気付いたのか、一度だけ此方を振り向いたベジットは……。

「………ヘッ」

「っ!!?」

 ヘラヘラと、それはもう人を小馬鹿にしたような(銀魂スマイル)笑顔にレフィーヤは顔を真っ赤にする。

 文句の一つでも言いたい。けれど証拠も何もないレフィーヤはしかし確信を持つ。

「絶対、ゼーッタイ! いつかギャフンと言わせてやるんだからぁぁぁッ!!」

「ちょ、いきなりどうしたのレフィーヤ!?」

「レフィーヤ様、どうかしましたのでしょうか?」

「さぁ?」ニヤニヤ

(またいらん事したんだろうなぁ)

 レフィーヤ・ウィリディスの受難は続く。





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