ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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 グラブル12周年。

 そうか、もうそんなに経つのか。

 そんな訳で初投稿です。

 アーアアー


物語113

 

 

 

「やはり、強いな」

 

 ロキ・ファミリアの本拠地(ホーム)である【黄昏の館】の執務室にて、団長であるフィン・ディムナは呟く。

 

「“かめはめ波”と言ったか? アレも気の応用というのなら、当然ワシ等にも出来る可能性はあると思うが……」

 

「堪らんな。我等エルフでも引き出せるか難しい火力を、あぁも簡単に出されては我々(魔導師)の立つ瀬がない」

 

 ロキ・ファミリアの三巨頭の呟き。それはオラリオに住まう大多数の冒険者の代弁であった。

 

 堅牢な守りを誇っていた筈の城壁を余波で吹き飛ばし、頑強な扉を粉砕せしめた光の一撃。アレを目の当たりにした直後、オラリオ全土が一時騒然となった程だ。

 

 過去、オラリオに似たような事例があったなとフィンは思い出す。そう言えば【正邪決戦】の時、唐突に現れたモンスターの群れを吹き飛ばす際に光の柱が天へと伸びていく様を目にした事がある。

 

(成る程、アレも彼の仕業だったか)

 

 しかも、アレを放ったベジットの平然としている様子から、まだまだ威力の上限には到達してないのだろう。唯一火力でベジットに並び立てるのはロキ・ファミリアにはリヴェリア位しか該当者がいない。

 

「うー、良いな、良いなぁ! ベジットさんの技! アレ、私も教えて貰えないかなぁ!」

 

「流石にそれは……と、言いたいところだけど、直接頼み込めば普通に教えてくれそうなのが、あの人の怖い所よね。そしてアイズ、まだ戦争遊戯終わってないんだからソワソワしない」

 

「っ!」

 

 ベジットの放ったかめはめ波にすっかり虜にされたティオナが自分も出来るようになりたいと騒ぎ、それを後押しするようにアイズが高速に頷いている。

 

 そんな二人に呆れながら注意するティオネだが、ふとこれ迄沈黙していたレフィーヤに目を向ける。

 

「…………」

 

 両目を大きく見開き、愕然となって言葉を失っているエルフの少女。まぁ、そうなるだろうなぁと納得しながら、少女達のまとめ役であるティオネが軽く頭を小突く。

 

「ほーらレフィーヤも、何時までもボーッとしてないの。良くして貰っている派閥なんだから、ちゃんと応援しなさい」

 

「で、ででででですががががががティオネさん! あ、アレアレアレアレアレ……!」

 

「いやどんだけ動揺してんのよ」

 

「そういやレフィーヤがベジットさんのあの姿を見るのは初めてだっけ?」

 

 黒髪黒目の青年がいきなり金髪碧眼へと姿を変えた。これ迄の知識には欠片も当てはまらない事象を前に優等生なレフィーヤが混乱するのも無理もない。

 

 実際、ベジットのあの姿を目の当たりにした当時の神々と冒険者はその多くが度肝を抜かれ、腰を抜かしたと言う。普段は黒髪の黒目で変身すれば金髪碧眼、その上燃え盛る黄金の炎を纏っているならば、その姿に心を奪われるのも無理はない。

 

 しかし時の流れは残酷なモノで、当時の記録を可視化できる術のないこの世界に於いて、ベジットの活躍は年数を追うごとに色褪せていった。

 

 多くの新参者が蔓延る現在のオラリオで、ヘスティア・ファミリアとベジットの偉業を知るものは実はそんなに多くはない。それは彼の派閥とベジット自身が進んで名声を得るような行動を取らない保守的な部分が大きいのが、侮られる理由の一つなのだろう。

 

 レフィーヤも表面上は取り繕っていたが、内心ではLv.1であるベジットに対して侮りを抱いていたのは事実だし、今回の戦争遊戯はベジットに対する印象を払拭させる意味合いもあっただろうから、レフィーヤの様な反応はまさに狙い通りという事なのだろう。

 

 自分よりも実力の劣るベジットが、実はとんでもない実力の持ち主と知ることになったレフィーヤの衝撃は凄まじい。

 

 素直に驚いたし、想像の遥か上をゆくベジットに愕然としたが、同時に納得もした。

 

(じゃあ、じゃあやっぱり! あの時私の前に現れたあの人は……!)

 

 思い返すのは、59階層にて現れた幻影(ベジット)。あの時は無意識の内に意識していた自分が見た幻だと思っていた。

 

 けれど、18階層で見せた此方を小馬鹿にした笑みを向けて苛立ちと共にレフィーヤの中で疑惑が生まれ、そして今回見せたベジットの実力を目の当たりにしたレフィーヤは確信する。

 

 間違いない。あの時現れたベジットは夢や幻なんかじゃない、実際に自分達の前に現れ、そして誰にも気付かれる事無く姿を消した怪物なのだと。

 

 証拠も確証もないが、確信だけは得られた。ダンジョンの階層を無視した瞬間移動、あの時のベジットはそれで自分の前にノコノコ現れたのだ。

 

(お、おのれベジットォォッ! よくも私を馬鹿にしてぇぇぇッ!!)

 

 追求しても、恐らくはしらばっくれるのだろう。何せ相手は団長(フィン)副団長(リヴェリア)ですら気付かせなかった気配遮断の達人。

 

 自分の様な未熟者が幾ら騒いだ所で、相手にされないのがオチ。そして、それを見越した上で自分の前に現れたと言うのなら…。

 

(なんて、なんて性格の悪さ! そんなに私をからかって楽しいのですか!?)

 

 ここにベジットがいれば、「うん」とにこやかに笑いながら即答したことだろう。Lv.1という格下が実は誰よりも強い存在であった等、一体誰が想像出来た?(ねぇ今どんな気持ち?)

 

 顔を真っ赤にして、グヌヌと憤っているレフィーヤ。自身の後を継ぐ魔導師の未熟さに呆れる一方、“神の鏡”に映る戦争遊戯は更なる展開へ進み始めた。

 

「あっ、どうやらここからはあの子が前に出るみたいよ?」

 

「【リトル・ルーキー】君がヒュアキントスの相手か」

 

「分かっていたけど、やっぱりあの新入りを当てがうか」

 

「完全に弄んどるのぉ、ベジットの奴」

 

 “神の鏡”に映るヒュアキントスと切り結ぶベル・クラネルを見て、やはりと頷く一同。ベジットの気質的に考えて、一番経験値(エクセリア)を稼げる相手を選ぶ辺り、やはりベジットは最初からこの展開を狙っていたらしい。

 

 団長同士が勝負を付けるのではなく、一番の新入りが相手の団長と対峙する。それだけで相手の派閥に対するこの上ない挑発行動なのに、ベジットはその事をまるで意に介してない。

 

 知っているのか、それとも知らずに行っているのか。どちらにせよ、これで戦いの行方はまだ分からなくなった。

 

 ヘスティア・ファミリアの勝利条件は、アポロン・ファミリアの全員を戦闘不能にまで追い込むこと。対してアポロン・ファミリアはベル・クラネルというLv.2の冒険者を倒せばその時点で勝敗が決する。

 

 黒い気を纏い、ベルへ肉薄する。Lv.3の枠から明らかに逸脱した挙動と膂力。ぶつかり合ったそばから吹き飛ばされるベルにアイズ達は息を呑む。

 

「さて、この局面、頼れるのはベル・クラネル自身のみ。果たして彼に乗り越えられるか?」

 

 遥か格上をどう降す? ベルの活躍を楽しみにしながら、フィンは鏡に映る彼等に注目するのだった。

 

(あと、今度リリルカ・アーデからサイン貰えないか頼んでみよ)

 

「団長?」

 

 その瞳に、チャッカリと願い事を携えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベル・クラネルゥゥゥッ!!」

 

「クゥッ!」

 

 火花が散る。ヒュアキントスの持つ波打つ刀身の刃(フランベルジュ)を《神様の短剣(ヘスティア・ナイフ)》で受け、その膂力に真っ向からでは勝てないと踏んだベルは、自ら後ろへ飛んで威力を殺す。

 

(なんて重さ! これが本当に僕とレベルが一つしか変わらない力なのか!?)

 

 黒い気を纏ったヒュアキントスの膂力は凄まじく、明らかに尋常な力の発露ではない。マトモに制御できず、ただ力のまま暴れるその様はまるでダンジョンのモンスターの様相を呈していた。

 

 直撃を受けたら致命傷になる。何とか捌き、受けきって反撃の糸口を見付けるしかない。

 

(諦めるな! この位の猛攻、何時だって浴びてきただろ!)

 

 圧倒的な力を見せ付けてくるヒュアキントスに、ベルの心が僅かに軋む。けれど、これ迄自分を強くしてくれた先人達との地獄の鍛練、その思い出がこの程度の逆境なんて訳はないと鼓舞してくれる。

 

 けれど、そんな思い出補正で戦いが覆る程、現実は甘くないのも事実で。

 

「亀の様に縮こまって、それで防いでいるつもりかぁッ!!」

 

「アグッ!?」

 

 足場ごと崩しに掛かるヒュアキントスの一撃に、ベルは防御ごと吹き飛ばされる。

 

 不味い。体ごと宙に浮かんだベルに次の攻撃を避ける余地はない。体勢を立て直そうと身体を翻し、攻撃と地面への着地に備えようとするベルだが。

 

(ヒュアキントスさんが……いない!?)

 

 本来なら下で待ち構え、魔法で仕留めに掛かっている筈のヒュアキントスがそこにはいなかった。一体どこへ? 地面をくまなく探しても彼の姿は一向に見えやしない。

 

 まさかの離脱? いや、あの様子から彼が戦場から逃げるのは有り得ない。そんな自分の都合の良い展開なんて起きるわけがない。

 

 そんなベルの背筋に悪寒が走った時、何となくナイフを構えた──その時だ。

 

「ッ!?」

 

 衝撃が、ナイフを通して襲ってくる。ビリビリと鋭い衝撃が無意識に構えたナイフごと腕をカチ上げ、ベルを更なる上空へ吹き飛ばしていく。

 

(な、何で……ッ!?)

 

 見れば、自分を襲った正体であるヒュアキントスが宙に浮か(・・・・)んでいる(・・・・)。その光景にベルだけでなく、神の鏡を通して観戦していた全員が驚きを顕にしていた。

 

 “舞空術”。文字通り空を舞うように飛翔する事を可能にした、現オラリオでも一部の第一級冒険者でしか習得していない気の高等技術。

 

 気を熟知し、気をある程度極めた猛者でなければ浮かび上がる事も困難なその業を、ヒュアキントスは獲得していた。

 

 その事実に、ロキ・ファミリアを筆頭に名のある派閥の面々が驚きを顕にする一方、ベジットは感心したように息を吐く。

 

「へぇ、やるじゃねぇかヒュア何とか。それともそれもあの黒い気の恩恵なのかね?」

 

 これ迄静観していた限り、黒い気は通常の気の解放した冒険者よりもより強い力を発露させている様子。感じ取れる気の大きさから、ヒュアキントスも限界を超えつつある事実にベジットは楽しそうに笑みを深める。

 

 一方、ベルはヒュアキントスの攻撃を防ぐだけで手一杯だった。無造作に振り下ろしてくる彼の剣を、何とか最小限のダメージで受け流しているが、それでも衝撃までも受け流す事は叶わず、一撃を受ける度にベルは空高く打ち上げられてしまう。

 

 既に高度は高く、戦場の舞台となる砦を一望出来る程打ち上げられてしまったベル。もう腕も限界で、防ぐのも捌くのも限界となり始めた。

 

「これで、終わりだァッ!!」

 

 そして、完全なる死角である背後から、ヒュアキントスのトドメの一撃が迫る。このままでは自分は負ける。どうすれば良いと混乱する意識の中、ベルの脳裏に彼女の言葉が聞こえてくる。

 

『トドメの一撃は、油断にもっとも近い。追い込まれたその先が、一番の好機になる』

 

 あの日、憧れの人(アイズさん)が教えてくれた対人戦の極意。それが、今だと言うのなら!

 

(そうだ。諦めるな! 僕はまだ───)

 

「負けるもん、かァッ!!」

 

 刹那、ベルの全身が紅く輝き───

 

 

 

 

 

 

 

 

「………は?」

 

 背中から貫く筈だったヒュアキントスの一撃は、虚しく空を切った。

 

 何が起きた? 有り得ない事態を前に暴走するヒュアキントスの思考が一瞬停止する。本来であれば、あの白兎は今頃自分の刃に貫かれ、この戦争は自分達の勝利に終わっていた筈。

 

 なのに、その白兎の姿は何処にもない。何故?

 

 疑問がヒュアキントスの思考を埋め尽くしていたその時、背後に何かが通過するのを感じる。

 

「ッ!」

 

 振り返るが……其処には誰もいない。否、そこは既に通り過ぎた(・・・・・)後だった(・・・・)

 

 再び背後。しかし、振り返ってもその姿をヒュアキントスが捉える事はない。何が起きているのか、混乱と困惑で戸惑うヒュアキントスに───正面。

 

「ッ!?」

 

 突如として現れたベルに蹴り飛ばされ、ヒュアキントスの体が横へ吹き飛ぶ。

 

「っ! この、小賢しい白兎がァッ!!」

 

 剣を振るう。自身の愛剣である太陽のフランベルジュを正面にいる筈のベルに向けて横薙ぎに打ち払うが、それでもやはり当たる事はなく、ヒュアキントスの横っ腹に拳がめり込む。

 

「ガァッ、な、なん……なんなんだ、その動きは!?」

 

 ベル・クラネルの膂力は、間違いなくヒュアキントスを下回っていた。奴が気を解放してもそれは変わらず、本来であればこの圧倒的力の差で勝敗はとっくに決していた筈。

 

 なのに、どうして追い詰められているのは自分なのか。遥か格下からの猛追、その事実に我慢できなくなったヒュアキントスは遂に自身の奥の手を披露する。

 

「【我が名は愛、光の寵児。我が太陽にこの身を捧ぐ! 我が名は罪───」

 

「させない!!」

 

 しかし、刹那的挙動が致命的になり得るこの状況で、その選択は悪手だった。詠唱を紡ぐヒュアキントスをベル・クラネルが許す筈もなく、これ迄のお返しとばかりに彼に渾身の乱打(ラッシュ)を打ち付ける。

 

「が、ハァッ!? べる、ベル……クラネルゥゥッ!!!」

 

 空へ打ち上げ、逃げ場を潰したと思っていた空での戦い。皮肉にもその選択がヒュアキントスの選択を潰してしまっていた。

 

 空を飛べるのは己ただ一人、それはつまり仲間からの支援を何一つ受けられないと言うのと同義で───。

 

「ヒュアキントスさん」

 

 ふと、兎と目が合う。紅い、血のように紅く、夕暮れの空より朱い炎を纏う兎は空を蹴り、ヒュアキントスへ肉薄し……。

 

「これが、僕の全力です」

 

 その拳に、より紅い雷を迸らせ……。

 

「ファイア……ボルトォォッ!!

 

 渾身の一撃を放つ。腹部に直撃し、遥か空から落下したヒュアキントスは、そのまま砦の残骸に落下。

 

 鎧も服も消し飛んで、上裸となった彼の意識は根っ子から断たれていた。

 

「おーい、生きてるかぁ?」

 

 そんなヒュアキントスをベジットが愛剣“ドラゴンころし”の切っ先でツンツンと突っつくと、ピクリと微かに反応する所から、生存している事を確認する。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、っつぅ、痛たたた……」

 

 ベジットがヒュアキントスの生存を確認する一方で、地面へと降りてきたベル。界王拳を使い、尚且つ空中を蹴って三次元の機動を行った荒業により、ヒュアキントスに負けず劣らずにボロボロとなった彼を、ベジットは笑みを浮かべながら迎える。

 

「よぉベル。頑張ったみたいだな」

 

「はぁ、はぁ……ヒュアキントスさんは?」

 

 ベルもギリギリで、ベジットにマトモな返事が出来ていない。その事を申し訳なく思いながら、ヒュアキントスの状況を訊ねると、ベジットはやはり笑みを浮かべながら、親指で位置を指す。

 

 上裸で、その胸元に火傷を負ったヒュアキントスは、白目を剥いて完全に気絶してしまっている。

 

 意識の欠如、それは即ちベル・クラネルの勝利を表した事で。

 

『き、決まったぁー! 【太陽の光寵童(ポエブス・アポロ)】と【リトル・ルーキー】の一騎討ちは、【リトル・ルーキー】ベル・クラネルの勝利ィィッ!! て言うか、なんなんだベル・クラネルの紅い炎はァッ!? アレも“気”による技なのかァッ!?』

 

『俺が! 俺達が! ガネーシャだァァァァッ!!』

 

『ガネーシャ様うっさい! あと意味分からんから!』

 

『すみません』

 

『うわぁ! 急に落ち着かないで貰えます!?』

 

 喧しい実況者達の漫才にカラカラと笑うベジット。ヒュアキントスとの戦いと界王拳の反動でボロボロとなったベルに回復薬を渡し、回復を促す。

 

「2.5って所か」

 

「え?」

 

「お前が最後に使った界王拳の倍率だよ。あの時の一瞬限りで言えば、お前の全ステイタスはLv.3を超えていただろうよ」

 

「そ、そうなんですか?」

 

 無意識に使った界王拳で、確かに最後はなりふり構わず出し切った勢いだが、まさかレベルの枠組みすら超えていた事に素直に驚く。

 

「しかも空を飛ぶ相手に空中を蹴って跳ぶ(・・)事で出し抜くとは、流石の俺も予想外だったぜ」

 

 そう言って笑い、ベルの頭を撫でる。

 

「お前なら本当に、アイツ等と肩を並べる日は近いかもな」

 

 戦争終了のブザーが辺りに響き渡る。恐らくはリリルカ達が最後の眷族を倒したのだろう。今はヴェルフの近くにいるみたいだし、どうやら彼が足止めしていた連中が最後の眷族だったようだ。

 

 直後にヘスティア・ファミリアの勝利を宣言する実況者の声が聞こえてくる。

 

『そして今! アポロン・ファミリア最後の眷族がリリルカ・アーデによって倒されたぁ! これで今回の戦争遊戯はヘスティア・ファミリアの勝利で確定だァッ!!』

 

『うむ! 最初から最後まで蹂躙で終わった。実に惨い戦争遊戯であった! アポロンは泣いて良い!』

 

 そんな、余計な事を口にするガネーシャを無視してベルはベジットに問う。

 

「……あの、団長」

 

「ん」

 

「僕も、出来るようになりますか? 団長みたいに……その、“かめはめ波”を」

 

 あの光景を、あの光を、ベルは生涯忘れる事は出来ないだろう。

 

 世界を撃ち抜くような光の一撃。何時かは自分もと語るベルに、ベジットは再び笑みを浮かべ。

 

「おう、叩き込んでやるよ」

 

 その言葉にベルも破顔した。

 

 アポロン・ファミリアとヘスティア・ファミリアの戦争遊戯は当然のように処女神側の勝利。

 

 ガックリと項垂れる太陽神を神々は合掌するのだった。

 

 

 

 

 





Q,黒い気に侵されたヒュアキントス達。

A.全員が黒い気でステイタスにブーストが掛かり、その力はレベルの枠を超える勢い。
 ただ、舞空術を会得したのはヒュアキントスただ一人。太陽の傍に立つのは自分一人で良いと言う、渇望のもとその域に到達した。

 その後、ベジットにより浄化されて力を失うも、空を飛ぶ感覚はまだ彼の中に残っていた。

 太陽の下で彼が大空を飛翔する時は……意外と近いかもしれない。



 ……今更ですが、ベジットとヘスティア達の間には黒竜関連で認識の差に大きな隔たりがあります。

 ヒントは第一話。これはベジット自身も忘れており、そもそも差異があると認識すら出来ていません。これが明らかになった時、ベート達は間違いなくブチキレます。

 さて、その差異とは?

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