ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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今回は酷く難産で、ちょっと展開的にアレかもしれません。





物語115

 

 

 

 【戦争遊戯(ウォー・ゲーム)】というオラリオの一大イベントから早数週間。どの時代でも熱気というものは熱くなりやすく、また冷めやすい。

 

 ヘスティア・ファミリアの圧倒的戦力を垣間見た人々は、彼等を少数派閥の零細ファミリアではなく、一人一人が一騎当千の強者であると認識し、一時は彼等が大通りを歩く度に畏れ、同時に憧憬の眼差しを一斉に向けた。

 

 特にベジットが開幕ブッパした“かめはめ波”なる必殺技は数週間経った今でも子供達の流行り(ブーム)となり、気を習得している冒険者は魔法とは異なる……修練を積めば誰もが扱える極意として日々鍛練を欠かさずにいた。

 

 そして、それはヘスティア・ファミリアに在籍するベル・クラネルも同様だった。

 

「か……め……は……め……」

 

 オラリオを囲む市壁、朝の陽射しを受けながらベル・クラネルは真剣な顔で両手を腰に添えて……。

 

「波ーーー!」

 

 両手を前へと突き出す。全身から気の炎を立ち上らせ、裂帛の気合いと共に打ち出す───が、戦争遊戯の時にベジットが見せた蒼白い極光が出ることはなく、ポスンッと気の抜けた音が鳴るだけに終わった。

 

「うぅ……また失敗」

 

「飽きませんねーベルさん」

 

 朝にコッソリ抜け出すところを見られたのか、チャッカリ見にきているリリルカ・アーデ。彼女は肩を落とし、見るからに落ち込んでいるベルの背中をポンッと叩いて慰める。

 

「私も本格的に“かめはめ波”を習得したのはLv.4からですし、そんなに気を落とす事はありませんよ」

 

「でも、団長には出来てもおかしくはないって言われてるのに……」

 

 戦争遊戯の終了後、ベルはベジットに対して珍しく強請(ねだ)る様にかめはめ波の指導を願った。

 

 普段は黒髪黒目の団長が、有事の際は金髪碧眼となって圧倒的とも呼べる力を以て相手を打ち負かす。まるで英雄譚に出てくる英雄のようだと、あの時目にしたベジットの姿は今もベルの心に強く根付いている。

 

 極め付きはあのかめはめ波。あまりにも眩しく、あまりにも鮮烈なベジットのかめはめ波はベルだけでなくオラリオの心に強烈に刻まれ、今では子供達のブームであり、神々もこっそり裏で真似して遊んでいるという。

 

 子供達に親しまれるという事は、即ち英雄譚の始まりでもある。あの時のベジットの姿に脳が焼かれたベルは、自分もヘスティア・ファミリアの一員らしく、かめはめ波を習得したいと強く思った。

 

 そんなベルの願いをやはりベジットは笑みを浮かべて快諾した。界王拳という荒業を覚え、自分なりにマスターしつつあるベルならばもしかしたら近い内にかめはめ波も使えるようになるのではないかという、期待を込めて。

 

 しかし、結果はご覧の有り様。かめはめ波の“か”の字も出る気配はなく、コレにはベジットも苦笑い。

 

 界王拳という全身に流れる荒ぶる気を、未だ粗削りながら制御しているベル。

 

 ベジットはハッキリ言った。

 

『ぶっちゃけかめはめ波よりも界王拳の方がムズいよ?』

 

 何で出来ないん? と、ベジットは悪意もなく100%の疑問で訊ねた。

 

 ベルは泣いた。

 

「まぁ、そんなに落ち込む必要はないじゃないですか。ベル様には速攻魔法(ファイアボルト)って手札もありますし、今回の昇格で新たに発展アビリティも得たのでしょう?」

 

「それは……まぁ、はい」

 

 昇格……ランクアップの話なのに何処か不満そうなベルだが、リリルカはその理由を察していた。Lv.3となり、冒険者として中堅と呼ばれる実力者へと成長したベルだが、今回発現した発展アビリティはベルにとってあまり自慢に語れるモノではない。

 

 何せ、今回の騒動で獲られたアビリティは【逃走】。逃走時に速度への高い補正が掛けられるというもの。

 

 発現の切っ掛けは、恐らくアポロン・ファミリアとの逃走劇。当時格上であるヒュアキントス含め、数多くの冒険者達との追いかけっ子が原因であるとベルも自覚している。

 

 英雄を目指すベルにとって、【逃走】のアビリティは複雑なモノ。副団長(ベート)はこれはこれで使い道があるとフォローしてくれたのが幸いか。

 

 あと、このアビリティを見た瞬間ザルド叔父さんは懐かしいモノを見たように笑い、義母が何とも言えない顔をしていたのが印象的だった。

 

「ベート様も仰っていた様にどんな魔法も、どんなスキルも、どんなアビリティも、大事なのは使い方と使う場所を見極める事、これが肝要です」

 

「そう、ですね。分かりました。ボク、もうクヨクヨしません!」

 

「宜しい」

 

 悩み、迷う暇は自分にはない。出来る事をやり、自身の最大限の強みを理解する。それこそが英雄を目指すベルの最善の道であり、ヘスティア・ファミリアの一員としてやるべき事でもあると、そう信じている。

 

「さて、それじゃあ早速ベルさんの【逃走】、どれ程のモノか確認するとしましょうか」

 

「………え?」

 

 思わず、声が裏返ってしまう。

 

「アルフィア様から頼まれたんです。『発現したのなら仕方あるまい。業腹だが、ベルの逃げ足を最大限発揮出来るよう、ギリギリをせめてくれ』と」

 

「ぎ、ギリギリッ!?」

 

 いつの間にか、先輩であるリリルカさんの両手には二振りの愛槍が握り締められている。

 

「逃げ場の範囲はオラリオの市壁。街中へ逃げ込んだらペナルティがありますので、どうかご容赦を」

 

 そしてこれまたいつの間にか、彼女の目元は目隠し(バイザー)で覆われている。

 

「待って、リリ先輩ホント待って!? 漏れてる。赤い光が、グポォンッて!」

 

「さぁ、楽しい朝のランニングの時間ですよ」

 

「ボクの知ってるランニングじゃなぁぁぁぁっ!?!?」

 

 そうして始まる鼠と兎の追いかけっこ。

 

 後に、ベル・クラネルは語る。

 

『この時のリリ先輩との逃走劇が一番心臓に悪かったです』

 

 朝から都市に響き渡る白兎の悲鳴。彼の受難は今日もまた巻き起こる。

 

「マスコットの座を、私に寄越せェェッ!!」

 

「なんか私怨混じってません!?」

 

 世界最速の兎は、今日も今日とて理不尽に見舞われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 メレン港。迷宮都市(オラリオ)の外で南西に位置し、オラリオと海を繋ぐ玄関口。連日大量の船と品、そして人が行き交う場所であり、時には巨大浮遊船舶(【学区】)すらも受け入れるという、この世界屈指の港町。

 

 その眼前には汽水湖であるロログ湖が広がっており、その様相は正しくオラリオ屈指のリゾート地。

 

 そんな、リゾート地に於いて。

 

「ハァァァァッ!!」

 

 全身に闘気を纏い、裂帛の気合と共に拳を打ち出す【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインがそこにいた。

 

 普段は大人しく、ダンジョン探索時以外では滅多に見せない真剣な表情。深層に挑む時、或いはそれ以上の気迫を以て目の前の“壁”に挑む。

 

 対するその壁は……。

 

「力みすぎだ。それじゃあ動きがバレバレだぞ」

 

 目にも止まらぬ速さで動き続けるアイズの挙動を見切り、体を反らし、最低限の動きで躱していく。

 

 アイズは第一級の中でも上澄みに近いLv.6。十数年と積み上げてきた冒険者としての力量と経験はオラリオに属するトップレベルの強者達となんら遜色はない。

 

 力の力みや挙動など、言われるべくもない。しかし、そんな彼女をして対する“壁”は隙だらけも良いとこだと断言する。

 

 突き出される拳や蹴り、徒手空拳が本業ではないアイズだが、その鋭さは並みの冒険者を遥かに上回っている。

 

「ほい」

 

「ッ!?」

 

 しかし、相手が悪かった。打ち出される拳、上層のモンスターならそれだけで殺せてしまう必殺の一撃を、壁───ベジットは軽く片手でいなし、逸らしたアイズの手首を掴んでブン回す。

 

 如何なる状況も未知を即座に既知なるものとして対さなければならない冒険者でも、アイズが体験するそれは未知なるモノだった。

 

 ベジットからは全く力は感じられない。手首を掴む手も握り締められているというより添えられているだけ、振りほどくのは容易い筈。

 

 なのに……!

 

(振りほどけ、ない!)

 

 どれだけ力を込めようと、込めた瞬間いなされる。力の方向性、それを完全に相手に支配されていると察した所で、今のアイズには対処しようがなかった。

 

「ほい、お疲れさん」

 

「ッ!?!」

 

 振り回す横回転から縦回転へ、一切澱みなく切り替えられる力の流れ。途端に変わる視界にアイズの思考が僅かに乱される。

 

 高速回転する体、まるで駒のように回り続けるアイズの額だけを軽く指で小突く。瞬間、金髪の美少女は遥かロログ湖の沖合いまで吹き飛び、ド派手な水飛沫を上げるのだった。

 

「アッチャー、アイズでもダメだったか~」

 

「あの人のアレ、本当に一般市民レベルの身体能力に落としてるの? 絶対嘘でしょ」

 

 砂浜には先にベジットに挑み、既に敗北した敗者達が砂浜に打ち上げられていた。

 

 先のダンジョン探索での慰安観光、その名目でメレン港にやって来たロキ・ファミリアの女性陣。とある事情で合流してきたベジット()に、折角だから稽古をして貰おうとティオナの提案により、自分達の主神であるロキに許しを得て、急遽始まる組手祭り。

 

 日頃の成果を見せ付けるチャンスだと、冒険者としての矜持を以て挑むも、結果はご覧の有り様。圧倒的とも言えるベジットとの力の差に全員が唖然としていた。

 

「あ、あのアイズさんが、あんな、いとも簡単に…!?」

 

「落ち着きなさいレフィーヤ。いや、気持ちは分かるけども」

 

 中でも、アイズに強い憧れを抱いているレフィーヤにはその衝撃は凄まじかった。膝を抱え、顔を青くしてガタガタと震える次代の冒険者。

 

 若くしてLv.3相当の実力で将来性のあるレフィーヤだが、最初にベジットに煽られ、挑み、そして吹き飛ばされた一人だったりする。

 

「な、何なんですかあの人。本当にLv.1なんですか? なんでLv.1にあんな芸当が出来るんですか。詐欺じゃないですか」

 

 第一級冒険者であるティオネ達をして、何をされたか理解できていない。その事実自体がレフィーヤにとって信じ難いモノだった。

 

「因みに、これタケミカヅチ様の真似な。自身の力ではなく、相手の力を利用しての戦い方だから、“力”のアビリティに自信ない奴もそうでない奴も、進んで真似していってくれ」

 

(((いや出来るか)))

 

 武神の業と言われて納得してしまうが、それを既に自分のモノに出来てしまえている時点でベジットはやはり規格外の存在なのだろう。

 

 最早認めるしかない。ベジットという男はレフィーヤ・ウィリディスの常識に当てはまらない、冗談みたいに強い只人(ヒューマン)であると。

 

 ロキ・ファミリアの女性陣がベジットの実力に改めて戦慄していると、ロログ湖から戻ってきたアイズがびしょ濡れの状態で戻ってきた。

 

「ベジット」

 

「お、戻ったかアイズ。その様子だと一人で泳げるようにはなったみたいだな」

 

 昔の事を思い出し、懐かしむベジット。ニマニマと思い出し笑いを浮かべるベジットに対し、アイズの顔付きは真剣だった。

 

「ベジット、私にも教えて。戦争遊戯の時、ベルが見せたあの、紅い炎の奴」

 

「ちょっとアイズ……」

 

 不躾なアイズにティオネが諌めようとするも、アイズの視線は鋭い。何処か昔の彼女を想起させる眼差しにベジットはうーんと頭を悩ませ……。

 

「うーん、教えてもいいけど、多分意味ないと思うぞ」

 

「意味が……ない?」

 

 一体どういう意味なのかと、訊ねようとするアイズだが。

 

「ベジット、其処までにしろ」

 

 ピシャリと、鋭い声がその場に浸透する。恐る恐る振り返ると、エルフの王女(リヴェリア)以上にこの場に似つかわしくない女性───【静寂】のアルフィアが其処にいた。

 

【静寂】のアルフィア。嘗てオラリオで恐れられ、恐怖の象徴でもあったヘラ・ファミリアの一員。

 

 Lv.8の【才媧の怪物】が、あろうことか水着姿で優雅にサングラスを掛けてビーチチェアから立ち上がる。

 

 ラッシュガードの上からでも分かる恵まれた肢体、それが水着という布が露出されている肌色面積の多さと合わさってその色気はより一層際立っている。

 

 ファミリアの中でも整った体つきを誇るティオネが初めて唖然となる程の美しさと豊かさを兼ね備えた肉体美、彼女の肢体に敵うのはそれこそ美神フレイヤか、或いは豊穣の女神デメテル位だろう。

 

「お前がお人好しなのはどうでもいいが、みだりにそれを振り撒くのは止めろ。そういう積み重ねが、この間の戦争遊戯に繋がったんだろうが」

 

「うっ。い、いや、つーか何でお前が此処に来てんだよ。一番こういう場が苦手だろ。お前」

 

 苦しい話の逸らし方だが、確かにベジットの言う通り、アルフィアという女はこういった場には出ない印象が強い奴だった筈だ。

 

 普段から雑音を嫌い、こういった公の場は基本的に出て来るのを嫌っていた筈なのに、どういう訳か自ら進んで今回の交流会に参加してきたのだ。

 

 話を遮るアルフィアをアイズは不服そうに睨むが、嘗ての女帝の系譜らしく、全く意に介した様子がない。強い。

 

「別に、偶々波の音が聞きたくなっただけだ」

 

「そ、それだけ?」

 

「あぁ、それよりも……」

 

「ん?」

 

「私の格好に、何も言うことはないのか?」

 

 腕を組み、不満そうに話す。

 

「え? あ、はい。似合っていると思います」

 

「……フンッ」

 

 下手に言葉を飾らず、思った事を素直に言ったつもりだが、アルフィアはそっぽを向くだけで何も言い返しては来ない。

 

 ゴスペッて来ない事から不正解では無いようだが、複雑怪奇なアルフィアの心にベジットは早くも白旗を挙げそうになっていた。

 

 神様ロキ様ニョルズ様、早く来てくれと内心懇願するベジットの祈りが届くのは、それから30分経過した後だった。

 

「まさか、まさかあのアルフィアまで……やと!? いや、そんなバカな! そんな事、あり得る訳がない!!」

 

「いや、いやしかし! もしこれが事実なら、真実ウチの考えが間違っていないなら!」

 

「始まるのか! 神々VS人類の、壮大な恋のバトルロイヤルがッ!!?」

 

「なぁロキ、早く出ていかなくて良いのか? 何か空気が重くなっていくぞ?」

 

「焦るなニョルズ! 焦って動けばこっちの(タマ)が取られる! 遊びやない、命懸けの出歯亀や!!」

 

「なんか凄くカッコ悪いこと言ってないか?」

 

 茂みの奥、ベジットとアルフィアのやり取りを遠巻きに見る二柱の神。

 

 一方悪神ロキは嘗ての恋模様に新たな嵐が吹き荒れる事を予見して、一人テンションがおかしくなっていた。

 

 そして、ロキ達の方から見て死角の部分。今回メレン港でのロキ・ファミリアの纏め役であるリヴェリアが、何故か悔しそうな顔で二人を見ているのを、トリックスターはついぞ、気が付く事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お久し振りですニョルズ様。その後、ロッド達の様子はどうですか?」

 

「あぁ、お前の教えてくれた気という力、アレの使い方と鍛え方を徹底したお陰で、アイツ等も随分強くなったよ。ロッドもLv.3になったし、お陰でこの辺りで蔓延るモンスターは大体駆除出来たと思うぞ」

 

 とある酒場。ロキ・ファミリアの顔の繋ぎとして、以前から交わしていた約束を果たす為に、ベジットはメレン港へとやって来ていた。

 

 世間話から始まり、本題に繋げる前フリを始める一連の流れ。男神ニョルズもその意図を理解しているからか、ベジットの話に気前よく合わせていた。

 

「あ、でも最近、妙に手強いモンスターがでてきてな。ここは海の境目だってのに、花みたいなソイツに手を焼いてるんだよ」

 

「花みたいな、モンスター?」

 

「それ、もしかして蛇みたいな胴体しとる奴なんか?」

 

「知っているのか?」

 

 ビンゴ。どうやら此処にも闇派閥……人造迷宮に通じる穴があるらしい。ニョルズの神格的に裏はないと確信したロキは簡易ながら現在オラリオで起きている闇の部分についてそれとなく話し出した。

 

「……マジか。オラリオの地下でそんな事が」

 

「恐らくはここの下水も人造迷宮(クノッソス)と繋がっとる可能性が高い。悪いことは言わんから、暫く港は封鎖させた方がエエな」

 

「そういう訳にはいかないよ。ロキ、アイツ等の漁の成果でここの暮らしは支えられているんだ。おいそれと港を封鎖させる訳にはいかない」

 

「なら、やることは一つだな」

 

 ベジットの言葉に二柱の神の視線が向けられる。

 

「いつぞやみたいに、俺がロッド達を鍛えてやるよ。そんで、アイツ等全員でその花のモンスターをぶちのめす。その方が自浄作用は確かだろうし、ニョルズ様も納得するだろ?」

 

「そ、それは有り難いが……良いのか!?」

 

「良いさ。その代わり、またウチの連中連れてくるから、またウマイ飯をご馳走してくれよ」

 

 ニョルズ・ファミリアが抱えている問題に対して、サラリと解決策を提示し、協力を約束する。そんなベジットの懐深い提案にニョルズは感謝する一方、ロキは呆れた様に頭を抱えた。

 

「あーあー、そうやってまぁた安請け負いしおってからに。またアポロンのアホみたいなのが絡んできても知らんで」

 

「そん時はこっちから戦争を吹っ掛けてやんよ」

 

 軽口を叩くロキにベジットは不敵な笑みを浮かべて返す。団長として一つの成長を遂げたベジットを見て、素直に感心したロキは悪神らしい笑みを浮かべる。

 

「ほんなら、そん時はまた儲けさせて貰うわな」

 

「あ、ロキ様は今後ウチに関する賭け事は出禁で。これ、ガネーシャ様にもアストレア様にも話は通しているので」

 

「んなぁにッ!? 初耳なんやけど!?」

 

 明らかに動揺を見せるロキにベジットもニョルズも快活に笑う。やってられんわと拗ねる悪神を宥め、この場での酒を奢ろうと、ニョルズが注文を出そうとした時。

 

 突然、離れた場所から轟音と悲鳴が聞こえてきた。

 

「今のは!?」

 

「まさか、またアイツ等(・・・・)か!?」

 

「アイツ等?」

 

 音の聞こえる方へ走り出すベジットとニョルズ。ロキはちゃっかりベジットの背中に飛び乗っている。

 

「あぁ、実は花のモンスターが出てきてから少しして、あるファミリアがメレンに居座ってるんだ。俺的に言えばこっちの方が質が悪い」

 

 花のモンスターよりも厄介な連中? 一体誰なんだと不思議に思うベジットとロキ。

 

 人垣を超え、件の現場に駆け付けると……。

 

「あ、がぁ……」

 

「バカな、我等姉妹が、こうも……ぐぶっ」

 

 二人のアマゾネス、恐らくは双子の姉妹らしい彼女達。それぞれ片方は地に這いつくばり、頭を踏みにじられ、もう片方は首を締め上げられている。

 

 恐らくは相当な実力者なのだろう。彼女の主神らしい少女が腰を抜かした様子で二人のアマゾネスをシメている下手人を目ん玉かっぴらいて見上げている。

 

「五月蝿いぞ雑音。息の根を止められたいか?」

 

 そして、当然ながら締め上げているのは、ヘスティア・ファミリアの知られざる最高戦力の一人。灰の魔女(アルフィア)が憤りを全面に押し出して闘気(オーラ)を滲み出していた。

 

 近くではアルフィアの相手をしてくれていた筈のリヴェリア達が、凄く申し訳なさそうな顔で此方を見ている。そんな彼女達を見て。

 

「すみません。ウチの団員がホントすみません」

 

 ベジットはひたすら謝り倒すしかなかった。

 

 

 

 

 





Q.アルフィア、なんか露骨じゃね?
A.彼女もヘラの系譜やからね。
それでも一応それっぽいフラグ立てておいたつもり。

Q.おや、リヴェリアの様子が??
A.今後、台風の目に??

Q.最後の展開書きたかっただけやろ
A.アマゾネス相手に無双するアルフィア様が見たかったんや!!


次回、ベル君朝帰り。さらばイシュタル。歓楽街最後の日!! の三本です(嘘)

「えっ!?」

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