ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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よう実を見ながらとあるゲームをプレイして思い付いたタイトル。

葛葉ライドウ 対 ホワイトルーム ~超力兵団の逆襲~

ゴウト(ジョージ)と戯れる坂柳有栖とか
カセットゲームを言い当て合うライドウと清隆とか見てみたくない?

誰か、書いてくれへんかなぁ?(チラッチラッ


そんな訳で初投稿です。




物語131

 

 

 

「ウィーネ! リリ先輩!」

 

 地下迷宮(ダンジョン)10階層。

 

 アストレア・ファミリアからの追跡をザルドに押し付ける形で振り切ったリリルカ・アーデは、その後特にこれといったトラブルに見舞われず、二人は無事に先で待っていたベル達と合流を果たしたのだった。

 

「お待たせしました。少々トラブルがありましたが、無事に合流できて何よりです」

 

「此方も気でおおよその状況は把握している。アストレア・ファミリアの小娘共に絡まれたようだな」

 

「えぇ、ですが向こうも幾分か迷いを抱えていた様子でしたので、救援に駆け付けてくれたザルド様に任せて来ました」

 

「え、叔父さんが?」

 

 オラリオの治安を護る正義の派閥(アストレア・ファミリア)。彼女達と対峙しただけでもベルにとっては大きな事件なのに、そんな彼女達を相手に叔父であるザルドが相手をしていると言う。

 

 冒険者稼業から離れて久しく、最近は大きなモンスターを討伐した事以外活躍しておらず、現在も半隠居人な叔父を心配に思うベルだが……。

 

「心配するなベル、ザルドは強い。小娘共が群れを成した程度で揺れる程、奴は耄碌してないさ」

 

「どちらかと言うと、リリはアリーゼさん達こそ心配してしまいますね」

 

「ザルドの旦那ってLv.8なんだろ? Lv.6が複数いて……勝てるもんなのか?」

 

 未だLv.2のヴェルフには雲の上の話でどっちもどっちだが、やはりレベルが2つも開けられた相手には及びもつかないのだろう。

 

「今のザルド様と正面切ってマトモに打ち合える冒険者はベジット様を除けば……【猛者】オッタル様、【ナイト・オブ・ナイト】のレオン様、そして我等が副団長くらいかと」

 

 アルフィアは一応魔導師なので今回は除外。リリルカの挙げた名前はヴェルフも知るこの世界でも上澄みに位置する強者だ。というか、その面子の中に自分達の副団長がいる事にヴェルフは何だか嬉しくなった。

 

「はー、こうして聞くと何だか魔境だな。ヘスティア・ファミリア(ウチ)って」

 

「まぁ、否定はしませんよ」

 

「そんで何が一番おかしいかって、Lv.8やLv.7がいる中でLv.1が団長やってることだよな」

 

 しかもそのLv.1が一番トンチキで、ファミリアの中で一番強いという。ここ最近慣れては来たが、改めて聞くと本気で意味が分からなくなる。

 

「仕方ありません。ベジット様ですから」

 

「その言葉に、俺も最近違和感なくなってきましたよ」

 

 アポロン・ファミリアとの戦争遊戯で見せた超サイヤ人の姿。あんなものを目にしてしまったら、疑う余地なんてあるわけがない。

 

「そら、そろそろ行くぞ。ベル、ウィーネを確り繋いでおけよ」

 

「うん、分かった」

 

 手を叩き、アルフィアの言葉に従い歩みを進める。今頃、正義の眷族相手に楽しく遊んでいるのだろうなーなんて考えながら、リリルカは先行く皆の後ろを守るために最後尾に自然と付くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、待ち合わせ場所の20階層。合流地点である場所に待ち構えていたのは、全身を黒で覆い尽くした魔導師と───。

 

「来たか」

 

「おー、遅かったなお前r──」

 

「【福音(ゴスペル)】」

 

 パタパタと手を振り、呑気に干し肉を齧りながらのベジットに怒りのゴスペルが炸裂。周囲に影響を及ぼさず、且つベジットだけを吹き飛ばすように威力と範囲を精密にコントロールされた音の爆撃は見事ベジットだけを撃ち抜いた。

 

 恐ろしく精密な魔力制御。隣に座るベジットが無惨に倒れている姿を見て、フェルズと彼の背後にいた蜥蜴人の異端児(ゼノス)は恐怖で凍りつく。

 

「返すぞ」

 

「え? あ、はい」

 

 困惑している蜥蜴人──リドに借りていた剣を押し付けるように手渡す。綺麗な鞘に収まり、貸した当初よりもピカピカになった刀身に喜んでしまう。

 

 イイ人だけどおっかない。リドの中でアルフィアの人物像が定まった瞬間であった。

 

「あの、アナタがフェルズさんですか?」

 

「あ、あぁ……こうして面と向かって会うのは初めてだな。ベル・クラネル、そしてヴェルフ・クロッゾ」

 

 自分達の団長が吹き飛ばされて地に沈んでいるのに、構わず話しかけてくるベルにフェルズは若干ひいた。こんな人畜無害そうな顔をしているのに平然としているのは、やはりこの少年もヘラの血筋なのだなと妙に納得してしまう。

 

「先ずは、彼女の保護をしてくれて感謝する」

 

「ありがとうなベルっち、そっちのヴェルフっちも、お前達の事はフェルズから聞いてるぜ。同胞にアレコレ世話を焼いてくれたみたいじゃねぇーか! 本当に、ありがとうな!」

 

 人懐っこい笑みで握手を求めてくる。そんなリドに僅かに躊躇うベルだが、差し出された手はゴツゴツしてて硬い。

 

 けれど、その感触には自分達と同じ、血の通った暖かさが感じられた。

 

「ここで話し込む訳にも行くまい。先ずは彼等の拠点に案内しよう」

 

「付いてきてくれ! ベルっち達の事、皆にも紹介してやりたいからよ!」

 

 いわれるがまま、付いていく。これまで対峙してきたモンスターとは何もかもが違うリドに、未だベルの困惑は解けないまま付いていくと、突き当たりに壁が待ち構えていた。

 

 これでは通れないとベルとヴェルフは戸惑うも、フェルズが片手を挙げた瞬間、壁だった場所は消え、奥に続く通路が出来上がる。

 

「相変わらず、見事な隠蔽の魔術ですね。流石は賢者」

 

「え? け、賢者?」

 

 先行くフェルズにリリが称賛の言葉を投げ掛けるが、その言葉に反応したのはベルだった。

 

 確か、祖父が書いた物語の一つに賢者と呼ばれた者がいたような気がする。

 

 でも、確かそれはもう何百年も前のお伽噺だった筈。まさかと思いフェルズへ視線を向けると。

 

「………古い話だ。曾て、そう呼ばれた事もあるが、今の私はただの愚者(フェルズ)。故にフェルズと気軽に呼んでくれ」

 

 フードの奥に見える人骨。モンスターのモノではなく、本物の人間が成れ果てた姿にベルは息を呑んだ。

 

「因みに、このフェルズにはスパルトイの群れに紛れると階層主(ウダイオス)も誤魔化せるって仮説があったりする」

 

「【福音(ゴスペル)】」

 

 いつの間にか回復し、合流していたベジットに遠慮無用のゴスペルが炸裂。もはや様式美なのか、ファミリアの誰もがツッコミを入れない異様な空気にフェルズとリドは困惑する。

 

「済まないな。ウチの恥部が失礼をした」

 

「あぁいや、こちらこそ気を遣わせて申し訳ない」

 

 イイ人だけどおっかない。フェルズの中でのアルフィアの人物像が定まった瞬間である。

 

「あの、所で団長は何処に行かれてたんです?」

 

「おお、ちょっと資金稼ぎに深層までな。……っと、そうだ。フェルズ、54階層で穢れた精霊って奴を二体程除草しておいたから」

 

「あーはいはい。………え?

 

 その後、フェルズの無い筈の胃がシクシクと痛み始めたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、改めて自己紹介をさせてくれ、ヘスティア・ファミリアの新人達よ! 俺っちの名はリド! 異端児達のまとめ役をやらせてもらっている!」

 

 そうして、ベル達が案内されたのは広い大空洞。一般的には知られていない、異端児達の隠れ家的拠点の一つ。

 

 其処には多種多様なモンスターがズラリと並んでおり、ベルとヴェルフはその数に圧倒されていた。

 

「ぜ、異端児がこんなに……!?」

 

「一体二体とかじゃ無いのかよ……!?」

 

 ゴブリンにアルミラージ、セイレーンにハーピィ、シルバーバックにトロール、カーバンクルにフォモール。

 

 更には馬鷲(ヒッポグリフ)等々、上層から深層まで幅広い範囲のモンスターが異端児としてこの場に集っていた。

 

 一見すればモンスターに囲まれた絶体絶命の状況、しかし今自分達が前にしているモンスターはこれ迄遭遇したどの個体とも違っていたのだ。

 

 殺意がない。殺気も、ダンジョンに潜ればどのモンスターも必ず持ち合わせている冒険者……いや、人類に対する殺意が目の前の異端児達にはまるでなかった。

 

 いや、それどころか……。

 

「アナタが地上にいた同胞? ねぇねぇ、地上はどんな所だった!?」

 

「ひゅ!? え、あ、あう……」

 

「ねぇねぇ! 地上には“うみ”って大きな水溜まりがあるって本当!?」

 

「え、あ、はい」

 

「これ、この間“迷宮の楽園(アンダー・リゾート)”で見付けた雲菓子(ハニークラウド)! 甘くて美味しいから食べてよ!」

 

「お、おう、ありがとう……」

 

 友好的だ。彼等の反応は何処までも純粋で、好意的で、そこに一切の悪意はない。

 

 これ迄は倒すべきモンスターとして相対し、実際に倒してきた者達が、ニコニコと笑みを浮かべて接してくる。

 

 他にも様々な異端児がヘスティア・ファミリアの面々にそれぞれ絡んでいたりする。

 

 リリルカには人蜘蛛(アラクネ)石竜(ガーゴイル)の異端児が何やら愚痴を言い合っている。

 

 自分達の団長であるベジットが、自ら率先して異端児達に絡みに行っているし、なんなら異端児達から若干ウザがられている。

 

 義母であるアルフィアに至ってはなんかアルミラージを膝に乗せて撫で回している。

 

 冒険者とモンスターが憩いの空間を作ってる。普通ならあり得ない光景に、ベルは自身の常識が根底から覆るような、足元が崩れ落ちる様な錯覚を覚えた。

 

 異端児達からの歓待を受け、戸惑ってしまうベルとヴェルフ。そんな二人を見て、フェルズは改めて異端児について説明を始めた。

 

「さてベル・クラネル。改めてこうして異端児達と顔を合わせるとこになったが……君は、異端児達についてどれくらい聞いているのかな?」

 

「え? あ……その、冒険者に敗れ、ダンジョンに還ったモンスターが何らかの不具合(バグ)が起きて生まれる……という風に聞かされています」

 

 チラリとベジットの方へ視線を向ければ、肯定するかのようにサムズアップしてる。そんな軽いノリで良いの?

 

 モンスターによる輪廻転生。人類が死に、天界を経由して再び現世へ生まれ変わるこの世界の理。

 

 対してモンスターは冒険者に倒されるとダンジョンを介して再びモンスターとして生まれ落ちる。

 

 違うのはモンスターの輪廻転生のシステムが時折何らかの不具合によって理性と理知、そして確かな自我を持って誕生したのが、この異端児達だという。

 

 そこまで言うと、フェルズは肯定するように頷いた。

 

「私達は、リド達異端児達の存在が一つのキッカケであると思っている」

 

「キッカケ、ですか」

 

「あぁ、モンスターと人類。相容れない二つの関係性が別物に変わるかもしれない。そんな、キッカケだ」

 

 目の前の賢者だった人の言葉に、ベルは言葉を失った。

 

 モンスターとの和解。それは、これ迄の人類の歴史から見て有り得ない夢だ。

 

 この世界の悲劇の多くがモンスターによるモノが殆どだ。親が、子が、友人が、恋人が、その悉くがモンスターによって踏みにじられ、淘汰され、壊されている。

 

 モンスターが人類に対して敵意や殺意を抱いている以上に人類はモンスターを憎んでいる。遥か千年を越えるモンスターとの間にある溝は、ベルが想像しているモノより遥かに大きく、広く、そして深い。

 

 しかし、それを踏まえた上でフェルズは信じたいと願っている。異端児と人類がいつか手を取り合い、共に困難を乗り越える日が来ることを。

 

「改めて礼を言わせてくれベル・クラネル。彼女を、ウィーネを護ってくれて、ありがとう」

 

「………はい」

 

 フェルズの言葉に、ベルはただ頷くことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、ベルは保護したウィーネを、無事に異端児達と彼等を支援するフェルズに送り届ける事が出来た。

 

 別れの際はやはりというか、ウィーネに散々駄々を捏ねられ、やっぱりイヤだと泣き喚かれたが、ベルの決死の説得とまた会いに来るという約束をした事で、何とか受け入れて貰える事が出来た。

 

 そして、帰りの道中。ウィーネのこれ迄の生活を思い出し、それを受け入れていた自分に軽く衝撃を受けたベルとヴェルフの二人の空気は重い。

 

 異端児という人類の歴史に大きな影響を与えてしまいそうな出来事と遭遇した事で、気分的にややナーバスになっているのだろう。そんな二人の空気を変えてやろうと、団長であるベジットは口を開く。

 

「あまり気にすんな。フェルズの理想は向こう千年単位の時間が掛かる大事業、お前等は精々、異端児(アイツ)等の善き隣人……友達感覚で付き合えば、それでいい」

 

 冒険者がモンスターと友人関係を築けと言うのもおかしな話だが、実際にリド達は自分達の事を知り、悪く思わないでくれればそれでいいと満足している。

 

 人類とモンスターの間にある壁は凄まじく分厚く、頗る高い。溝も奈落を思わせる程に深いし、大渓谷張りに広がっているのは異端児達も承知の上なのだろう。

 

 けれど、それ以上に彼等は憧れてしまっているのだ。ダンジョンの外の世界を、人間との出会いを、殺し殺される間柄ではなく、共に生きていける関係を、望んでしまっているのだ。

 

 憧憬。外の世界や人間に憧れを抱いている彼等にベルは何も言えなかった。ベル自身も憧れとしている人がいるが為に。

 

「……団長は、僕達───人類とモンスターが和解できると、本当に思っているんですか?」

 

 口が出るのは、否定ではなく純粋な疑問。ウィーネという異端児の少女と出会ったが為、これ迄の価値観が崩壊してしまったベルの……悲痛な叫びだった。

 

「うーん、まぁ、四……三割って所か? 上手く行きそうなのは」

 

「え?」

 

「イヤな? 確かにモンスターってのは人類の天敵よ? 不倶戴天にして絶対悪。神々ですら救えない無垢な魂。千年以上に亘る人類とモンスターによる戦いの歴史、その重さは俺でも計り知れねぇよ」

 

 幾ら異端児達が人類に対して友好的で、理知や理性に満ちた対応をした所で、警戒するのが人間だ。

 

 これまで起きたモンスターによる悲劇、それを思えば千年以上時間を掛けて上手く行く確率が四~三割でも、割と破格な条件といえるだろう。

 

「実際、神の恩恵を受けた事で人類は飛躍的に強くなった。滅亡寸前だった人類がモンスターから世界を取り戻し、モンスターをダンジョンの中へと押し返したりしてな」

 

 外の世界には時折黒い蠍の様な古代のモンスターが思いもよらない所に潜んでたりしているが、大体が弱く、脆い個体ばかり。

 

 オラリオの勢力も冒険者もゼウスとヘラという強大な派閥や眷族を失ってはいるが、ベジットがもたらした気による概念によってその実力は大きく底上げされている。

 

 そして何より、ベジット自身がその気になればダンジョンをまるごと消し飛ばせる自負と実力を備えている。もし仮にダンジョンには制限時間があって、タイムリミットが迫っていると言うなら、今すぐにでもベジットはダンジョンの最下層に向かい、諸々を終わらせる事も可能である。

 

 そうしないのは、偏にベジットが一冒険者として、ダンジョンという未知を余すことなく体験したいが為の………言うなれば自己満足の為である。

 

 ダンジョンはいずれ完全攻略する。ただ、それは今じゃないというだけ。

 

 じゃあ、仮にダンジョンが無くなり、モンスターが異端児(ゼノス)達を残して全て消えたら人類は異端児を受け入れるのか?

 

 これも難しい。何も知らない人類からすれば、異端児もモンスターも大差がない。いつ襲ってくるか分からない怪物を、無条件で受け入れることはあり得ない。

 

 もし、異端児達がダンジョンの外で暮らすと言うのなら、何処か人気の無い無人島に住み着き、人々の記憶からモンスターの存在が消えるのを待つしかない。

 

「と、まぁこんなベターな感じかな。不必要な接触を避け、非常時だけ助け合う。それがベストな関係なんじゃないかなって、俺は思う」

 

「割と妥当な筋書きですね」

 

「非常時というのは?」

 

「そりゃあ、棲処の島に流れ着いた人間を元いた場所に返してやる時とかじゃね? 知らんけど」

 

 我ながら適当な話だが、本気でこれくらいしか彼等が外の世界で生きていく術が思い付かない。外に異端児達を知る人間が何年かに一度、外界との交流の場を設けたりすればまた話は違ってくるだろうが、その時まで自分達が生きていられる保障もない。

 

 それに、異端児達の在り方も変わるかもしれない。

 

「…………」

 

 そこまで聞かされたベルに反論できる余地はなく、ベジットの言葉を聞く事だけに費やしていた。

 

 少し言いすぎたか? 明らかに凹んでしまっているベルになんて答えれば良いのか分からず、考え込んでしまったベジットは、ふと自分の思い浮かんだ最悪のシナリオを想像してしまう。

 

「まぁ、俺としては異端児やモンスターよりも、ダンジョンを失った人類の方に不安を抱くけどな」

 

「………え?」

 

 ベジットのその一言に、ベルだけでなくリリルカも、アルフィアも反応する。

 

「……あ、いや。なんでもない、変なことを言ったな。忘れてくれ」

 

 自ら墓穴を掘ったと自覚したベジットは足早に先を急ぐ。

 

 今の人類には、劇物も劇物だ。ダンジョンが無くなった(・・・・・・・・・・・)後の世界の方が危険だなんて(・・・・・・・・・・・・・)、誰が想像できる。

 

 この事は忘れよう。ベル達にも忘れるように告げて、ベジットはダンジョンの出入り口へと戻り、

 

「ヘスティア・ファミリア団長ベジット。アナタに、都市一部の崩壊を幇助した容疑で、ギルドから罰金が課せられます」

 

「いやースマン団長、アストレア・ファミリアの小娘達が意外にもやるものだから、ついその気になってしまった」

 

 待ち構えていたガネーシャ・ファミリアの憲兵、彼等を率いるアーディから申し訳なさそうに突き付けられる令状とそこに記された罰金の金額に、ベジットは膝から崩れ落ちた。

 

 もう、いっそのことダンジョンを終わらせてやろうかな。涙眼のベジットはそう思った。

 

 なお後日、【暴食】のザルドの強襲を受けたアストレア・ファミリアは、その多くがディアンケヒト・ファミリア送りになるも、主力メンバーのステイタスは大きく向上。

 

 【狡鼠】のライラは晴れてLv.6に昇格したという。

 

「おめでとうライラ!」

 

「全身包帯まみれで無ければ、もっと素直に喜べたんだけどなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なぁグラン、本当にやるのか?」

 

「当たり前だ! 漸く見付けた手がかりだぞ! 喋るモンスターを見失って数年! 腑抜けたディックスに変わって、俺達がやるんだよ!!」

 

 ダンジョン中層へ続く人造迷宮にて、その一団の長らしきスキンヘッドの男は、千載一遇の金の在処にその眼を血走らせる。

 

「あのクソッタレなベジットが出てきた所為で、全てが狂っちまった! ディックスは腑抜け、遊べる金もない! 今しかねぇんだよ!! 喋るモンスターを捕まえて、一攫千金を狙うにはよぉーっ!!」

 

 吼える男に団員達が何かを言い返す度量は無かった。このままでは自分達はガネーシャ・ファミリアに捕まるか、闇派閥の肉盾にされて終わる。

 

 であれば、自分達に出来ることは僅かな望みにかけるしかない。目撃証言のあった竜の翼を持つ子供。

 

 それが例の喋るモンスターであると確信した一団の名は………イケロス・ファミリア。

 

 七年前まで異端児達を密猟し、私腹を肥やしていた一団である。

 

 そんな彼等を見下ろす主神イケロスは……。

 

「こりゃあ、俺も年貢の納め時かね。ケケケ」

 

 諦観な境地にて、既に諦めがついていた。

 

 

 

 

 




Q.ディックス君、どないしたん?
A.ある光景を目の当たりにして燃え付きました(笑)


Q.ザルド君、アストレア・ファミリアになにしたん?
A.アリーゼ達が思った以上にやるので、ついつい張り切り、以前ベジットから教わった射殺す百頭(ナイン・ライブス)をブッパしました。

「なに四天王?」







以下蛇足4(読まなくて略)


とあるプロゲーマーへのインタビュー。

「俺が初めて完膚なきまでに負けたのは、まだプロと呼ばれる以前の頃だった」

「ソイツはツクヨミではあるアニメのキャラクターのアバターをしててな。当時の俺はからかい半分で勝負したのよ。そんな格好をしてるんだから、当然強いんだよなって」

「そんで意気揚々と対戦したらボッコボコのフルボッコ。一太刀も浴びせることなく負けちまったよ。何をされたのかも分からないくらい圧倒的な差で敗北した。今思えば、あの瞬間こそ俺にとって明確な挫折した瞬間だったのかもしれないな」

「そんで何が腹が立つって、ソイツ俺を煽って来たんだよ。『俺に本気を出させてくれよ』てよ。元ネタのキャラみたいにさ」

「強さの秘訣を聞いたら、アイツ何て言ったと思う? 通信空手だってよ。ふざけてるよな?」

「……勿論挑んだよ。何度も何度も、でも勝てなかった。他の奴には勝てても、ソイツにだけは結局勝てなかった」

「……実は一度だけ、チームに誘った事があるんだよ。ソイツを。けどソイツ、社会人として働くから無理って断られちまった」

「コラボの誘いとか何度か連絡した事あるんだけど……全部、断られちまった」

「しかも断り方も最悪でさ、『野郎に興味はありません』と来たもんだ。あの野郎、ヲタ公にはデレデレの癖して俺様には一切靡かねぇでやんの」

「だから、次こそ俺が勝つから、またツクヨミに来いよ。待ってるからよ」

「勝ち逃げなんて、許さねぇからな」




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