ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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数々のゲーム新作に唖然。

進撃の巨人3は2の続編だったら嬉しいなぁ。

ね、ライナー?(ニチャア

そんな訳で初投稿です。


物語132

 

 

 

「はぁ、まぁたダンジョンに行って稼がなきゃいけねぇのかよ。流石にダルいなぁおい」

 

「まぁまぁ、巻き込まれて怪我を負った市民がいないだけヨシとしておきましょうよ」

 

 オラリオで起きたモンスターに関する騒動は、ガネーシャ・ファミリアにより、無事鎮静化された。

 

 街中に現れたモンスターはヘスティア・ファミリアのベジットがテイムしたモノで、ギルドに報告に向かう途中に脱走。

 

 通報を受けたガネーシャ・ファミリアがモンスターを討伐。表向きにはそういう風に片付けられた。

 

 アーディに連れられ、ガネーシャ・ファミリアの本拠地(ホーム)にて謝罪文と罰金の支払いを了承するサインを書かされたベジットは、その金額にウンザリした様子で息を吐く。

 

「いや良いんだけどね、59階層のドラゴン達を一掃すればまぁまぁ纏まった魔石が手に入るし。50階層から往復すれば罰金なんてすぐ返済出来るし」

 

「凄いなぁベジットさんは。私には真似できないや」

 

「いやオラリオの大部分の冒険者も出来んわ。それ出来るの【猛者】か【静寂】、【暴食】に……あとは【凶狼】やフレイヤ・ファミリアの幹部くらいだからな?」

 

「割といるじゃん」

 

 ベジットの返事に姉のシャクティは頭を抱えた。

 

「そう言えばよ、シャクティ達は知ってたのか? 【異端児(ゼノス)】達の事」

 

「ちょ、ベジットさんここでそれを聞く!?」

 

「大丈夫だろ。周囲には俺達以外誰もいないし、ガネーシャ様だって今は席を外してるしな」

 

 現在、ベジットが腰を下ろしている部屋はガネーシャ・ファミリアの執務室、気の感知で既に周囲には誰もいない事を確認済み。

 

 アーディもシャクティもその事が分かっているのだろう。ベジットの質問に互いを見合わせた後、深々と溜め息を吐いて向き直る。

 

「……知らされているのは、私達の派閥では首脳陣だけだ」

 

「時期的には大抗争が終わって間もない頃。珍しく大人しいガネーシャ様に連れられてウラノス様に謁見した時だね」

 

「そう言えば、あの頃から怪物祭なんて催しが始まったんだよな?」

 

 二人が言うには当時の闇派閥勢力に勝利し、街の復興で忙しかった頃。自分達の主神に連れられてオラリオの創設神であるウラノスに謁見し、そこで異端児の存在を認知したのだと言う。

 

 普段が喧しいくらいに賑やかなガネーシャが、珍しく神妙に大人しくしていた為不思議に思っていたが、突き付けられた内容に愕然となったのを今でも思い出せるとシャクティは苦笑いを浮かべる。

 

「それからかな。街の復興を行う合間、私達も影で異端児達を支援し、保護したりしてたんだ」

 

「異端児はダンジョンの不具合(バグ)のよって産まれた個体なのか、他のモンスターからも狙われてな。良く怪物の宴(モンスター・パーティー)に巻き込まれたりした」

 

 あの頃は中々に大変だったと、当時の事を思い出したシャクティは語る。

 

「成る程、だから怪物祭なんて祭りも開くようになったのか」

 

 何故ワザワザ危険なモンスターをテイムするという形とはいえ、民衆の公に晒すのか今一つ分からなかったが、要はモンスターという存在を大衆に分かりやすく認知させる為の謂わば“馴れさせる(・・・・・)”為の必要処置だったのだ。

 

 ガネーシャ・ファミリアが有し、管理しているという乗り物として活用している翼竜も、扱いを間違えなければ危険じゃないという彼等なりのメッセージなのだろう。

 

 今にして思えば、ガネーシャ・ファミリアと異端児達の繋がりを示唆するモノは割と散りばめられていたのだろう。人類だけでなく、異端児達にまで手を差し伸べようとする神ガネーシャは本当に凄いと言わざるを得ない。

 

 ただ、ガネーシャ本神(本人)がいつ異端児の存在を知ったのかは、まだ分からないが。

 

「んだよ。それならもっと早く教えてくれれば連携とか出来ただろうに」

 

「仕方ないだろう。内容が内容だ。万が一外部に知られたら、オラリオが崩壊する切っ掛けになりかねん。まぁ、確かにヘスティア・ファミリアが関わってきてからは見るからに我々の負担は減ったがな」

 

「大変だったんだぞ。狙われているモンスターの群れから異端児達だけ逃がすのは」

 

 実は以前にもスパルトイの異端児を保護する際、一度だけ気弾をブッパしたことがある。あの時はシャクティの言う怪物の宴に巻き込まれ、その時のモンスターの数が多く、スパルトイの異端児が喧しく泣きわめくモノだから、ついポヒーッと放ってしまったのだ。

 

 お陰でモンスターの群れは消し飛んだが、変わりにダンジョンには孔が空き、そこから今度はワラワラとジャガ丸君(ジャガーノート)の群れが今日(こんにち)は。

 

 お陰で今度はダンジョンの傷口がある程度修復される迄の合間、ジャガ丸達の相手をすることになった。

 

(アイツら、他のモンスターと毛色が違う感じがある癖に、倒しても魔石やドロップアイテムを落とさないんだよなぁ。マジで不毛)

 

 しかもその出来事以降、保護したスパルトイから矢鱈と怯えられる様になってしまった。“ワイト”という素敵な名前も付けてやったのに酷い奴である。

 

 閑話休題(話が逸れた)

 

「まぁでも、これからはある程度連携が出来るという認識で良いんだよな?」

 

「あくまで此方は少数。手を貸せると言っても、公には貸せんぞ」

 

「別に良いさ。ガネーシャ・ファミリアはアストレア・ファミリアと一緒に街の治安維持に専念してくれれば良い」

 

 オラリオ最大級の派閥であるガネーシャ・ファミリアに根回しやら情報統制の手回しをして貰えればそれだけで心強いというモノ。

 

 後始末も何だかんだ人手を有するし、街の安心安寧を保つ為には彼等の存在は必要不可欠。その点に関していえば、ガネーシャ・ファミリアはデメテル・ファミリアと並ぶオラリオに無くてはならない派閥なのだろう。

 

 そして、そんなガネーシャ・ファミリアを纏めるシャクティの気苦労の多さは察してあまりある。まぁ、こればっかりは仕方ないので諦めて欲しい。

 

「頑張れシャクティ。俺は応援してるぞ」

 

「他人事だなお前」

 

 ジロリと睨んでくるシャクティをベジットは笑って誤魔化す。大抗争の頃から続く二人の関係は、一種の戦友、或いはライラとは別の意味での友とも言える関係となっていた。

 

 そんな二人を微笑ましく思いながら、アーディがふと声を掛ける。

 

「……ねぇ、ベジットさん。一つ聞いても良い?」

 

「ん?」

 

「ベジットさんにとって、異端児達を庇うのは……その、《悪》だと思う?」

 

 何処か迷いのある面持ちでアーディが訊ねてきたのは、異端児に対するモノだった。

 

 モンスターは《悪》だ。それも、決して人類に相容れる事の無い絶対悪。その事実は覆らないだろうしアーディ自身もその考えは変わらないだろう。

 

 だが、異端児は違う。人の言葉を理解する知性があり、人に憧れ、外の世界に焦がれる理性がある。

 

 他者を思いやれる優しさを持ち、人類に対しても友好的。純粋とも言える彼等の存在はアーディにとって決して小さいものではなくなっていた。

 

 というか、そんな言葉が出てきている時点で、アーディは異端児達を“モンスター”と認識出来なくなっていると、自白しているようなモノである。

 

 その事を指摘せず、敢えてベジットは問い返す。

 

「アーディはどう思う?」

 

「私は……正直、あの子達を倒せと言われても、出来ないと思います。お姉ちゃん───団長も言ってましたけど、異端児達を保護して回っている最中で私、怪物の宴に遭遇したことがあるんです」

 

 あの時は中々に危機的状況で、気を使い果たして体力も底を尽き掛けていた。明確な死が脳裏に過った時、助けてくれたのは他でもない。自分が保護しようとした異端児だった。

 

「その異端児が言ったんです。『助けようとしてくれてありがとう』って、助けられたのは私なのに、私は助けられなかったのに、その異端児は笑って自分の死を受け入れていました」

 

 手を握り締め、当時の事を思い返すアーディ。シャクティは何も言わず、腕を組んで目をつむるだけだ。

 

「だから、何ですかね。私にとって、異端児はただのモンスターの亜種じゃなくなっちゃいました」

 

 そう言って悲しそうに笑うアーディにベジットは微笑んだ。

 

「なら、それで良いんじゃねぇか? 自分でそう決められたんなら、きっとそれは間違いなんかじゃねぇさ」

 

 異端児の存在が、今後の人類に対して善きにしろ悪しきにしろ大きな影響を及ぼしたとしても、彼等が今のまま変わらずに人類と寄り添えるのなら、それはきっと間違った出会いにはならないだろう。

 

 自分の想いを肯定されたアーディは、先程よりも嬉しさの増した笑顔を見せる。心なしか、シャクティも嬉しそうだ。

 

「って、質問の答えになってないよベジットさん! ベジットさんは異端児達の事をどう思っているのさ!」

 

「え? いや……別に? どうせ俺より弱いし、弱い奴をイチイチ警戒しても……ねぇ?」

 

「うわぁ………」

 

「傲慢極まってるな」

 

 だって事実だし。ドン引いているアーディとシャクティだが、ベジットにとって重要なのは自分にとって脅威となるか否か。それだけである。

 

 脅威となるなら本気で迎え撃つし、そうでないなら友好的に接する。だが、現時点での異端児達の強さはベジットから見てお粗末も良いところだ。

 

 アレでは精々がアストレア・ファミリアに蹂躙される程度。アステリオスが出てきたら……まぁ、オッタルが相手をすれば良いだろうし、どちらにせよベジットにとってはその程度の話だ。

 

 あと、自分は転生した存在で、別にモンスターとそんな深い因縁が無いという事で、モンスターに対して其処まで恨み辛みがあるわけでないのが理由としてはあるのかもしれない。

 

 弱い相手を虐める趣味は無いし、異端児達が人類に対して友好的なら、ベジットからは特に言うことはない。これはベートやリリルカも同じ意見だ。

 

 というかベルやヴェルフ、春姫達三人を除いたヘスティア・ファミリアの総意がコレである。

 

 なんなら、リド達にならいつか瞬間移動で人気の無い場所に連れてってやろうかと考えられる程度には気を許しているし、気に入っている。

 

 ベジットにとって異端児はダンジョンの未知の一つで、友人枠の一つでしかない。良くも悪くも、その程度の扱いなのである。

 

「まぁ、人類と仲良く出来るなら応援はするぞ。ってのが俺の異端児に対するスタンスだな」

 

「アハハ、やっぱりベジットさんはベジットさんだ」

 

 快活に笑うアーディにどういう意味だと追及したくなるが、藪蛇になりそうなので止めておいた。

 

 一先ず書くものも終わり、異端児に対する気持ちの擦り合わせも出来た。そろそろお暇しようと席から立ち上がろうとして……。

 

「姉者達! 大変だ!!」

 

「イルタ、どうした?」

 

 酷く慌てた様子の赤髪のアマゾネス。【赤戦の豹(パルーザ)】ことイルタ・ファーナが執務室へ雪崩れ込む。

 

 その様子からただ事ではないと察した三人が顔付きを変えた瞬間………オラリオの一画が衝撃で弾け飛ぶ。

 

「大変なんだ! モンスターが、モンスターが街に現れた!」

 

「何だとっ!?」

 

 オラリオが激震する。

 

 

 

 

 

 

 

 ───数時間前。

 

「クソがっ!! モンスター共が“気”を使えるだなんて、聞いてねぇぞ!!」

 

 オラリオの地下、ダンジョンと通じる人造迷宮の搬送用の通路をイケロス・ファミリアの副団長グランは走る。

 

 その昔、ゼウスとヘラの二大派閥が黒竜に敗れ全滅してから少し、イケロス・ファミリアは世にも珍しい喋るモンスターと遭遇した。

 

 友好的で、純粋。人間に対して憧れを抱いているモンスターに希少価値を見出だした団長であるディックスは、喋るモンスターを捕まえては外部ルートを通じて変態趣味を持つ貴族や商人に高い金額で取引を行っていた。

 

 暗黒期の裏側で続いていたイケロス・ファミリアの後ろ暗い闇の取引。モンスターを売っては多額の金が自分達に舞い込んでは、グランや派閥の連中は豪遊し、この世の贅の限りを貪り尽くした。

 

 そんな自分達を主神であるイケロスは面白いと嗤い、ディックスは自分の視に刻まれた血の呪いが忘れられると狂喜し、モンスターを乱獲し続けた。

 

 特に、綺麗な顔立ちをしたモンスターは高く売れた。必然的にイケロス・ファミリアはそんなモンスターを狩り続けてきた。

 

 笑いが止まらない日々だった。人類の天敵であるモンスター相手なら、自分達の行為は正当化される。

 

 だって、モンスターはこの世界における“絶対悪”。決して揺らぐことの無い悪であるならば、それはもう………何をしたって許されるだろう?

 

 変態貴族の慰みに使われようと、強欲商人達の見せ物の道具となろうと、それが人類の為だと言うのなら、全てが赦される。

 

 咎める方が悪なのだ。

 

 けれど数年前。大抗争と呼ばれる戦いが起きてから、喋るモンスターと遭遇出来る事はなく、イケロス・ファミリアの眷族達は徐々に貧困に喘いでいった。

 

 何度痕跡を見付けても喋るモンスターの存在は見付からなかった。あと一歩と言うところまで追い詰めても、気付けばそのモンスターは霞のように消えていた。

 

 そんな事が数年続き、気付けば嘗てのようなパトロンはなく、イケロス・ファミリアは存続の危機にあった。

 

 団長であるディックスも、人造迷宮が半壊したのを目の当たりにしてからまるで脱け殻のように腑抜け、今では副団長の自分が派閥を維持し続けていた。

 

 このままでは自分達に未来はない。それを憂いた矢先で見付けた……モンスターの痕跡。

 

 ただのモンスターではない。それは、数年前から見ることの無かった………喋るモンスターの痕跡だった。

 

 天啓を得たような気持ちだった。ここが自分達が盛り返す最後の機会なのだと、グランは慎重に慎重を重ね、モンスターの行方を追った。

 

 

 焦る気持ちと逸る気持ちを圧し殺し、僅かな可能性に懸けて一つのルートで待ち構え───遂に、移動するモンスターの集団を見付けた。

 

 多種多様なモンスター。呻かず、喚かず、人間のように整列して歩く連中に、グランとその部下達は奴等が喋るモンスターであると確信した。

 

 連中が気を抜き、隙を晒した瞬間に強襲。不意を突いた自分達の攻撃はそのままモンスター共を再起不能にまで追い詰める───筈だった。

 

「畜生! なんでアイツら俺達の事に気付けたんだ!?」

 

 奇襲は完璧だった。気配を消し、息を殺し、暗殺者のように潜伏していたと言うのに、いざ仕掛けてみれば、奴等は自分達の事を分かっていたように対応。

 

 しかもどういう訳か、襲撃した殆どのモンスターが“白い炎”───気を纏い、従来の種族から逸脱した力を発揮。

 

 グラン達イケロス・ファミリアはモノの見事に返り討ちに逢った。

 

 部下の悉くがやられ、残ったのは自分だけ。けれど、それでも構わなかった。

 

「部下どもも殆どがやられちまった。だが、だがまだ終わりじゃねぇ! コイツさえ、コイツさえ手に入れれば!」

 

「ベ……ル……」

 

 抱えられた竜女(ヴィーブル)の小女、ウィーネの呟きは誰にも届くことはなく、薄暗い闇へと溶けていった。

 

 

 

 

 






Q.異端児に対するそれぞれの神のスタンス。

A.
ガネーシャ「人類とモンスター、その関係性が変わる転換期になりうるかも。守護らねば……!」

ヘスティア「敵対しなければ特に言うことはないよ。助けを求めれば協力するよ」

ヘファイストス「場合によっては手助けするのも吝かではないわ。でも限りはあるわよ」

タケミカヅチ「敵対しなければ特に言うことはなし。子供達の友となれるのなら、手を貸そう」

ミアハ「驚いたけど、黒竜討伐に比べたらそれ程でもないな。手助け? 勿論、可能な限り手を貸そう」

ディアンケヒト「アー! アー! 聞こえなーい! 知らなーい! これ以上厄ネタに巻き込むなと言うとるじゃろうが!!」



 次回、ヘスティア・ファミリア対オラリオ!? (嘘)

 ぜってぇ見てくれよな!!
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