ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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進撃の巨人3、今月発売のSAOならびにグラブルゲーム。

他にも来年にはペルソナ4リメイクやゼノバース3

まだ、生きなきゃいけない理由が増えたな!


物語136

 

 

 

 

 “胎児の宝玉”

 

 それを取り込んだディックスの肉体は、人間であった頃より数倍に膨れ上がり、骨格は歪に歪み、肉は爛れ、腐れ落ちていく。

 

 辺りに充満していく腐敗臭、それが唯の肉の腐った臭いではないと察したアステリオスは、スッと目を細めて眼前の化け物を見据える。

 

 最早人間だった名残はなく、モンスターにもなり得ない醜悪な姿。これが人間だった者の末路かと、闘志を萎えさせる事無く、アステリオスは目の前の憐れな化け物を見やる。

 

「アァァァァァ……良いゼェ、チカラガ滾ルゥ。これがァ、精霊ノォ、チカラァ!!」

 

「……驚いた。その姿でまだ自我が残っているのか」

 

 驚いた事に。人から逸脱し、醜悪な姿に身を落としても、ディックスだった者の意識は未だ残っているらしい。

 

 有象無象な弱小冒険者ならいざ知らず、ディックス・ペルディクスはオラリオでも有数な第一級冒険者(Lv.5)

 

 “胎児の宝玉”………否、精霊の分身(デミ・スピリット)を自身に寄生させた上で自我を残せている事実に、アステリオスは素直に感心の声を挙げた。

 

「───性根はどうであれ、貴様もひとかどの武人。という訳か」

 

 そういって、アステリオスは背中に着けた(まさかり)へ手を伸ばす。大きく、太く、あらゆるものを断ち砕く、アステリオスが偶然見付けたダンジョン産の自然武装(ネイチャー・ウェポン)

 

 これ迄師であるベジット以外使用していない、アステリオスの決戦武装。両手で掴み正眼の構えで以てディックスだった怪物を見る。

 

 その目には先程のような憐れみはない。追い詰められ、それでも足掻く一つの生命体への……敬意と礼節がそこにはあった。

 

「ならば、この一撃を以て手向けとする。───来るがいい」

 

「■■■■■ッ!!」

 

 最期の最後で、遂に自我も消失した怪物は本能のままにアステリオスへ突貫していく。襲い来る屍の巨体、腐敗と死臭を撒き散らす悲しき怪物を前に。

 

 全身に白い闘気を滾らせて、アステリオスは両手を振り上げて───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 【異端児(ゼノス)】達の存在はベル・クラネルの心に簡単には消せない痼として、心の奥底に染み付いていた。

 

 これ迄幾度と無く経験してきたモンスター達から向けられる殺意。ダンジョンで冒険する冒険者にとっては日常茶飯事な事で、その関係もまた至極単純で、殺るか殺られるか、ただそれだけの間柄でしか無かった。

 

 けれど、ダンジョンに挑み続ける事にベルはその日初めて疑問を抱いた。今後異端児の様なモンスターが現れた際、自分は迷い無く刃を振り下ろせるのか。

 

 異端児達から向けられる好意と善意、いっそそれが自分達を騙す為の演技であれば良かったと、ベルはふと思ってしまった。

 

 リド達が向けてくる善意は本物で、彼等の好意には一切の裏がない。人間よりも友好的で、人間よりも人間に憧れている彼等を前に、ベルはこの気持ちのままダンジョンに挑んでいいのか分からなくなっていた。

 

 リドは言った。もし自分達と同じ種族のモンスターが相手をしても、迷うこと無く倒してくれと。自分達という存在を知って、それでも敵対すること無く受け入れてくれたベル達の存在こそが自分達の希望であると。

 

 他の異端児達も同じ気持ちで、人類に対して未だ懐疑的なグロス達であっても、迷うことはするなと忠告してくれた。

 

 ベジット(団長)達も同様で、仮に言語が通じるモンスターが相手でもそれはそれ、これはこれと分けて考えて対処するように言われた。

 

 たとえ人語を介しようとも、襲ってくるのなら容赦はしない。それは、モンスターだろうと人間であろうと同じことだと。

 

 それを言われてハイそうですかと即答できる程ベルは切り替えが早いわけではなく、忠告されても簡単に聞き入れる事が出来なかった。

 

 だって異端児達は誰もが親身で、人類に対して友好的で、人類以上に人類の事を気に掛けてくれている。

 

 そんな彼等に自分に出来ることは果たしてあるのか、そんな思いばかりがベルの頭に渦を描いている。

 

 そんな気持ちを抱えながら、ウィーネとベジットがダンジョンに向かうのを見届けて、本拠地に帰ろうとした矢先。

 

 道中。本拠地へ帰宅しようと向かう途中、オラリオの一角にてそれは起きた。足下を揺らす凄まじい振動、巨大な何かがせり上がって来るような圧迫感。

 

 何だと思いベルが辺りを見渡した瞬間……それは起きた。

 

「■■■■■■ッ!!」

 

 前方、ベルが今通過しようとしていた路地の地下から見たことの無い怪物が、断末魔のような叫び声を上げて、オラリオの大地()を突き破って地表へと現れた。

 

 泥のような肉片をぶちまけ、周囲が腐臭で満たされていく。瞬間、辺りは騒然となり民衆の悲鳴で埋め尽くされていく。

 

 突如現れた巨大な怪物。現存するモンスターとは何もかもが違う醜悪な化け物を前に、民衆は悲鳴を上げながら逃げ惑う。

 

 民衆が蜘蛛の子を散らすように逃げる最中、ベルはその怪物を見て確信する。

 

(違う、このモンスターは既に死(・・・)んでいる(・・・・))

 

 蒸気を発し、徐々に萎んでいく化け物を前にベルの思考は加速する。

 

 目の前の怪物は既に死んでいる。生きていれば、間違いなくオラリオにとって脅威になったであろう怪物が………自分一人では、絶対に倒せないと確信を以て言える化け物が何者かによって殺されている。

 

 そして、その何者かは既に自分(・・・・)の前にいる(・・・・・)

 

 ベル・クラネルは逃げなかった。

 

 否、逃げられなかった。

 

 化け物を屠ったとされる正真正銘の怪物。

 

 黒いミノタウロスが、倒れる化け物を足場にベル・クラネルを見下ろしていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────ずっと、ずっと夢を見ている。

 

 あの日、自分と再戦を誓い、笑いながら自分を見送った白い彼の者との約束から、今日という日を。

 

 長く、永く、永遠とすら思える時の中で、繰り返される生と死の螺旋の中で。

 

 この日、アステリオスは漸く彼との再会を遂げた。

 

「ずっと、夢を見ている。たった一人の人間と戦う夢を」

 

「………え?」

 

「血と肉が飛ぶ殺し合いの中で、確かに意思を交わした───最強の好敵手

 

 既視感。

 

 目の前の黒いミノタウロスの口にしている言葉は抽象的で、いっそ詩的にさえ思えた。

 

 しかし、目の前の()を前にして、ベル中の既視感は徐々に大きくなっていく。

 

 リドから話は聞いていた、異端児達の中でも更なる異端。強くなることを誰よりも重く置いた黒いミノタウロスの存在を。

 

 何故、そのミノタウロスが自分に興味を向けているのか。困惑する思考の中でベルは一つの答えに行き着いた。

 

(夢……モンスターの『前世』! まさか………まさか!?)

 

 思い返すのは自身が初めて挑んだ冒険の相手。

 

 その相手もまた、ミノタウロスだった。

 

「あの夢の住人と会うために……今、自分はここに立っている」

 

 確信する。

 

「自分の名はアステリオス」

 

 目の前のミノタウロスは、あの時の個体であると。

 

 自らを雷光と称するのも、あの時最期に目にした閃光のような赤い炎と共に彼が願ったという呼び名。

 

 少しでも彼に近づきたいと言う、憧憬の込められた呼び名。

 

「………名前を、聞かせて欲しい」

 

「………ベル、ベル・クラネル」

 

「ベル、どうか────再戦を

 

 手にした戦斧を突き付け、オラリオの街のど真ん中に係わらず、戦いを望むアステリオス。

 

 唯でさえ異端児という存在に心が乱されていたというのに、いきなりの殺し合いの誘いにベルの心象は………驚く程穏やかになっていた。

 

 本当は、こんな事をしている場合でないことは分かっている。異端児達の為に自分に出来ることはないか模索し、少しでも役に立てるよう、今は必死に自分の実力を研ぎ澄ませる時なのだと。

 

 異端児達に対する思いも、自分の裡に抱く迷いも、坩堝の如く渦巻いていた癖に、今は何故か……自分でビックリする程気持ちが凪いでいる。

 

 だって、目の前のミノタウロスは自分より遥かに強い存在の癖に自分を誰よりも強い好敵手であると信じてくれている。

 

 あの恐ろしい怪物を一撃で屠る程に強いのに、自分のような駆け出しを生涯の好敵手であると認識してくれている。

 

 それが申し訳なくて、同時に嬉しくなった。

 

 アステリオスの全身から漂う酸の臭い。恐らくはあの怪物から何か特殊な液でも浴びせられたのだろう。現在進行形でアステリオスの肉体を蝕みながら、それでも自分との再戦を望んでいる事実。

 

 逃げたくない。逃げるわけにはいかない。

 

 ベルの中で、既に選択肢は定まってしまった。

 

 この事を知れば、主神であるヘスティアはまた怒るだろう。

 

 義母も怒るだろうし、先輩方は呆れ果てる事だろう。

 

 それでも自分のやりたいこと、やるべき事を見出だしたベルは、二本の短刀をホルスターから抜き。

 

(ごめんなさい神様、団長、みんな……)

 

(僕は、僕は今、どうしようもない程に)

 

 『冒険』がしたい(たたかいたい)!!!

 

 身構え、笑みを浮かべるベルに。

 

 アステリオスもまた、笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほーい。異端児一名様ご案なーい」

 

「ウィーネ! 良かった。無事だったんデスね」

 

 ウィーネを連れて、無事に異端児達の集う拠点へとやって来たベジット。道中のモンスターを蹴散らし、魔石やらドロップアイテムを回収し、その上で他の冒険者に気付かれる事無く20階層の大樹の迷宮に辿り着く。

 

 やって来たウィーネの無事を確認すると、待っていた他の異端児達は安堵するように溜め息を吐き、歌人鳥(セイレーン)のレイはその羽で胸を撫で下ろす。

 

「一応ウィーネはウチでテイムされたモンスターって事になっているから、今後は万が一冒険者に見付かってもある程度の誤魔化しは出来るようになったぞ」

 

「それは、なんともありがたい話デス」

 

 ウィーネの首に巻かれたマフラーにはヘスティア・ファミリアのエンブレムが刻まれている。今後、万が一ダンジョンにて他の冒険者に姿を見られても、手を出してくる輩は激減する事だろう。

 

 一度テイムしたモンスターをダンジョンで放し飼いにするのは如何なものかと反発する声が出てきそうなモノだが、基本的に異端児はダンジョンでも秘密裏に行動する為に衆目に姿を晒す真似はしない。

 

 仮に見付かったとしても、ヘスティア・ファミリアのエンブレムと、冒険者に対して敵対行動をしなければウィーネ=無害な存在である事に気付く者も出てくるかもしれない。

 

 その上で襲って来ようとも、他の異端児達と同様にベジットの手解きを受けたウィーネがそこいらの冒険者に遅れを取ることはないし、万が一追い詰められる事になっても、気を感知したベジットが瞬間移動で助けに駆け付けてくれる。

 

 最強のセコムを味方に付けた事で、ウィーネの今後の安全は保証されているのだが、彼女本人はその事を知らない。

 

「さて、そんじゃあ折角だからひと稼ぎしていきますかね」

 

 ウィーネも無事に送り届けた訳だし、異端児達の無事も確認できた。

 

 折角だから58階層辺りでまた荒稼ぎでもしようかなと、踵を返して。

 

「ベジット! ここにいたか!!」

 

「あん?」

 

 バタバタと、黒衣の魔術師ことフェルズがリドやグロス達を伴って非常に慌てた様子で走りよってきた。

 

「どしたよフェルズ、そんなに慌てて」

 

 異端児関連で何かと付き合いのあるフェルズ。普段から無い胃痛に苛まされている彼(彼女?)をからかうベジットだが、肩で息をしているフェルズに首をかしげる。

 

 魔術師なんだから空を飛ぶ術でも覚えろよ。なんて呑気に考えるのも束の間。

 

「お前の所の冒険者、ベル・クラネルが……!」

 

「あん? ベルがどうしたって?」

 

「ベル・クラネルが俺達の最強戦力(アステリオス)に襲われているぞ!!」

 

 肩で息をして答えられないフェルズの代わりにグロスが叫ぶように声を張り上げる。

 

 一秒、二秒、叩き付けられた報告の内容を理解するようにゆっくりと時間を掛けて咀嚼するベジットの口から次に出てきたのは……。

 

「ぱーどぅん???」

 

 現実を直視できない、大量の宿題を目の当たりにした子供のように、死んだ表情で聞き返すのだった。

 

 

 

 






Q.胎児の宝珠に寄生されたディックス君、どれくらい強かったの?
A.原作のパルカ君より遥かに強いです。何なら原作ロキ・ファミリアなら確実に何人か道連れにされる程度には手強いかと。

Q.アステリオス君の現在の状態は?
A.ディックス(汚染体)の呪い(カーズ)により、五体満足であるものの全ての能力値が激減している状態です。
 尚、前世から続く好敵手と遭遇し、テンションは振り切れてます。

Q.ベル君、大丈夫なの?
A.彼の運を信じなさい。


Q.具体的な戦力差は?
ベル・クラネルの場合。
Lv.4に片足突っ込んでいる強さ(ヘスティア・ファミリアキャンプ)
気の解放と制御
界王拳
原作よりも高めのステイタス
主人公補正

アステリオスの場合
Lv.8以上の強さ(ベジットキャンプ)
呪いによる能力値大幅ダウン
気の解放と制御
メインヒロイン補正


………うん! 良い勝負できそう!(白目




次回、冒険。


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