ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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日常?編の開幕。

そんな訳で初投稿です。


物語17

 

 

 

 ───【正邪決戦】。闇派閥による【大抗争】から始まり、決して少なくない被害を出した迷宮都市始まって以来の大災はロキ・ファミリアを筆頭に数多くの秩序側の派閥が力を尽くした事により、辛くも勝利を納めた。

 

犠牲を払い、その上で闇派閥による攻勢を退けた多くの眷族達は悉くランクアップを果たし、オラリオに新たな時代の到来をもたらした。

 

 邪神を打ち倒し、世界の命運を掛けた闘いから早一月。朝日がオラリオを照らし始める時間帯、とある廃教会の地下、そこで一柱の女神が寝間着姿で起き上がる。

 

「ふぁ~、もう朝か。おはようベジット君」

 

「おはようさん。ほれ、朝飯出来てるから、顔を洗ってこい」

 

「ふぁ~い」

 

 女神ヘスティアとその唯一の眷族であるベジット。共にオラリオへやってきた彼等は、無事に闇派閥との戦いから生き残り、今では友神であるヘファイストスの紹介で、ここ廃教会の地下に拠点を構える事になった。

 

最初は薄暗い地下室なんてと渋っていたヘスティアだが、現在オラリオはまだ復興の真っ最中。マトモに機能している宿屋は殆どが住まいを失った市民の避難先で埋っている。

 

 その為、復興が終わるまで仮の住まいとして唯一、何とか住めそうな場所として紹介されたのが、この教会なのである。

 

そこまで言われては呑み込むしかない。女神ヘスティアは渋々ながら受け入れるしかなかった。

 

「でも、意外と住んでみると悪くないかもね。クローゼットもあればベッドも付いてるし、ソファーもあるし。水も通ってる」

 

「おまけに、コンロ代わりの魔道具もあると来た。駆け出しの冒険者の拠点としては、悪くないんじゃないか?」

 

「だね。道端で夜営をする時より遥かに過ごしやすいや」

 

 用意された目玉焼きに塩をかけ、ナイフとフォークで切り分けて、同じく焼いたトーストに乗せて頬張る。朝の食卓としては悪くない内容にヘスティアは舌鼓を打った。

 

「でも、ベジット君はいいのかい? 僕ばかりベッドを使ってるけど?」

 

「別に良いさ」

 

「ぼ、僕としては一緒に寝ても良いかなー、なんてなきにしもあらず、というかぁ……」

 

「貞潔な処女神がなに言ってやがる。それにお前寝相悪いし、ベッドから蹴り落とされそうだからな。遠慮させて貰うぜ」

 

「んなッ!? せ、せせせ折角僕がいつも一人でソファーで寝ている君を思って言ってるのに、なんて言い草だ!」

 

「よく言うぜ、野宿している時は寒いから暖めて~、なんて言いながら寄ってきた癖に。………その後、お前の寝相の悪い蹴りで崖から落とされたの、まだ覚えているからな」

 

「フグぅッ!?」

 

 やべぇ薮蛇だった。処女神としての寛容さを見せ付けてやろうとした所、痛烈なカウンターを受けてしまった。

 

「ま、冗談は兎も角。今日は俺も予定があるからな、そろそろ出る。ヘスティアもバイトに遅れんなよ」

 

「あわわ、待っておくれよ!」

 

 その後、朝食を終えたベジットとヘスティアは後片付けを済ませて教会の扉を開く。………良い天気だ。頭上に広がる青空を見上げて、ベジットは自身の胸の鼓動が僅かに高まるのを感じた。

 

「───いよいよだね、ベジット君」

 

「あぁ、今日から冒険者ベジット様の幕開けだ」

 

 正邪決戦から1ヶ月。都市門の復興が終わり、一先ず解放されたベジット。今日から始まるダンジョン攻略に今からワクワクしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む、来たか」

 

「ベジット!」

 

 やって来たのは迷宮都市の運営を担っているギルド。冒険者および迷宮の管理、魔石、ドロップアイテムの売買を司る機関。

 

男神ウラノスが長とされているギルドの建物の前で、二人の他派閥の眷族と一柱の主神が待ち構えていた。

 

 ベジットの姿を見ると、トテトテと駆け寄ってくるのは金髪幼女の剣士、アイズ・ヴァレンシュタイン。

 

金髪の髪を靡かせて駆け寄ってくる可愛らしい姿に周囲の人々は癒されるが………侮ること無かれ、この幼女、先の決戦で大最悪(モンスター)を打ち倒した功労者の一人であり、その若さでLv.4へと至った天才である。

 

二つ名を【剣姫】。そんな彼女がベジット達の下へ駆け寄っていく。

 

「おはようベジット。ヘスティア様もおはようございます」

 

「おっす、おはようアイズ」

 

「おはようアイズちゃん。今日も元気で何よりだ」

 

 まだ朝も早いのに元気が有り余っている様子のアイズ。そんな彼女の後ろから赤い髪の女神と緑髪のエルフの女性が歩み寄ってきた。

 

「全く、そんなに急ぐ必要は無いと言うのに……おはようベジット、女神ヘスティアも」

 

「ドチビに挨拶なんていらんねん! しかもウチらを待たせおってからに……なぁアイズたん、やっぱり今日は止めへん~?」

 

 ロキ・ファミリアの幹部が一人、リヴェリア。先の戦いで激戦を制し、見事ランクアップを果たしたLv6の傑物。【九魔姫(ナインヘル)】の異名を授かり、オラリオ最強の魔導士とされる彼女は、エルフの王族として他のエルフから崇拝されている。

 

そんな彼女の隣で悪態を吐くのは、リヴェリア及びアイズの主神であるロキその神である。女神ロキと女神ヘスティアは因縁の仲、故に今回の約束に終始反対だった彼女は、悪足掻きに愛する眷族に訊ねるが……。

 

()っ!」

 

 女神の懇願空しく、アイズの一言処か一文字の拒絶に切り裂かれ、ロキはウグゥと呻き声を漏らしながら地に伏した。

 

「済まない、朝から見苦しいモノを見せた」

 

「いいって、親として子供の事を心配するのは当然だろ。なぁヘスティア」

 

「ソウダネー」

 

 絶対心配だけで来た訳じゃないと見抜いているヘスティアの声音は棒読みだった。

 

「さて、それではベジット。アイズの事、頼んだぞ」

 

「おう、そちらさんの大事なお子さんを預かるんだ。下手な事はしねぇよ」

 

 今日はベジットがオラリオに来て初めてのダンジョン攻略の日。都市門の完成と同時に予定を調整し、無事にアイズと約束の日に漕ぎ着けることが出来た。

 

「ムゥー」

 

しかし、アイズを頼むと言うリヴェリアにアイズは不機嫌そうに頬を膨らませる。

 

「ん? どしたアイズ」

 

「違う」

 

「はい?」

 

「今日は、私がベジットのお世話をするの。だから、逆」

 

「ぎゃ、逆?」

 

「そう! 私の方が冒険歴が長いから、私が先輩なの!」

 

「ぼ、冒険歴……」

 

 頬を膨らませて地団駄を踏むアイズ。彼女もザルドを一蹴しているベジットを見ている筈だから、その強さは少なからず承知している筈。

 

しかし、それはそれとして冒険者として先輩なアイズとしては、頼りにしているのが自分ではなくベジットというのが面白くなく、頼んでいるリヴェリアに抗議をしている。

 

そんな、年相応の反応を見せるアイズにリヴェリアとベジットの頬が緩む。

 

「フフ、そうだったな。なら、先輩として確りやるんだぞ」

 

「今日は世話になるぜ、先輩」

 

「うん、任せて!」

 

 先輩と呼ばれ、不機嫌な顔から一転。スッカリ気をよくしたアイズはニパッと笑う。そこに機械的な印象はなく、幼女らしい一面を見せるアイズに、ヘスティアも頬が緩んだ。

 

「フフ、なんだい。剣姫やら剣鬼なんて言われてるけど、やっぱり可愛い娘じゃないか。ロキ、君には勿体な───」

 

「う、ぐす、うぐぅ。年上に先輩ぶるアイズたん、萌えェェ……!」

 

「えぇ……」

 

 底意地の悪いロキを揶揄するつもりだったのに、地面に伏したままガチ泣きして悶絶している彼女に、ヘスティアは思わず引いた。

 

尤も、アイズの出自を知るロキとしてはその反応も仕方がないと言えば仕方がないのだが。

 

 そんな、アイズガチ勢なロキを無視して、アイズはベジットの手を引く。

 

「ほら、早く行こ!」

 

「おいそんな引っ張るなって、そんな急がなくてもダンジョンは逃げやしねぇよ」

 

「嫌っ!」

 

「いや一文字で拒否すんな! と、と言うわけだヘスティア! いってくるー!」

 

「はーい! 気を付けるんだよー!」

 

 幼女(アイズ)に手を引かれ、大通りを行く。そんな二人を見送って。

 

「さて、それじゃあ僕も行くよ。バイトに遅刻しちゃうからね」

 

「ならウチは、ドチビのバイト先を冷やかしてやるとするか。ホレドチビ、キビキビ歩かんかい」

 

「うわ、立ち直り早ッ、そして性格悪ッ!」

 

「やれやれ、ほどほどにしろよ」

 

 二人がバベルへ消えていくのを確認すると、主神達も歩き出す。ギャーギャーと喚く二柱に呆れながらも、リヴェリアは護衛役として溜め息を吐いて付いていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えい、やぁー!」

 

 ダンジョン。オラリオにおける代名詞とも呼ばれる人類の有史以来共にある未だ完全踏破されていない未知の迷宮。

 

そこへ、遂に腰を据えて探索する事になったベジットだが、残念な事に未だモンスターとマトモに戦えていない。

 

「ベジット、見てた!」

 

「あ、はい。見てます見てます」

 

 モンスターを悉く蹂躙していくのは、剣姫ことアイズ。ダンジョンに挑んでからというもの、出会するモンスターを率先して彼女が蹴散らしていくのだから、ベジットの出番は殆ど無かった。

 

その戦いぶりは正に化物特効(モンスター・キラー)。先の決戦での戦い、あの黒いデカブツのモンスターを前にした時のアイズの反応を見て、余程モンスターに強い恨みがあるみたいだが……。

 

「いい、ベジット。ウォーシャドウはシンマイ殺しって呼ばれる強いモンスターだから油断しないで。確実に、囲まれないように対処するんだよ!」

 

 時折カンペらしいメモを取り出してはチラ見して、先輩らしく振る舞う所から、どうやら純粋に教えているつもりらしい。

 

(これ、事前にギルドで勉強したとか言ったら臍曲げそうだな)

 

 ベジットがダンジョン探索に向けて日々復興の手伝いをしている一方、準備に時間を取られないように、事前にギルドにて講習を受けていた。

 

命懸けでダンジョンに挑む冒険者に対し、担当のギルド職員の態度は淡白なモノだったが、教え方は丁寧で分かりやすく、ダンジョン初心者のベジットでも理解しやすかった。

 

 その後も、ダンジョン上層の知識はあらかた頭に入り、あとは冒険者の必須技能であるマッピング能力を身に付けるだけ。

 

(本当は四階層で一旦止まるつもりだけど……仕方ない。今回はアイズに付き合うとするか)

 

どうせまだまだ時間はある。張り切っているアイズに水を差すのも悪い。落ち着いていこうと、ベジットの背後から襲い掛かるウォーシャドウへ、一瞥すらしないで裏拳で粉砕する。

 

「アイズ、一旦止めて魔石を回収しようぜ」

 

「手伝う」

 

 パタパタと此方に駆け寄ってくるアイズ、彼女と一緒に辺りに散らばる魔石を集めていくと、予め用意していたバッグには既に八割近くが魔石とドロップアイテムで埋もれていた。

 

「結構貯まったな」

 

「ドロップアイテムも採れたから、中々の好成績」

 

「アイズのおかげだな」

 

「ムフー」

 

 先輩冒険者の面目躍如。そう言いたげに胸を張るアイズにベジットも変にツッコむのは止めておく事にした。

 

さて、これからどうしようか。まだ腹も其処まで空いてないし、まだこの階層を隅から隅まで調べ尽くしてはいない。

 

 もうちょっと探索しようかと、アイズと話し合って方針を定めようとした所で………三人組の冒険者と遭遇する。

 

「おいおいなんだよ、ダンジョンでお遊戯会してる奴等がいんぞ!?」

 

「呑気だねぇ、こちとら命懸けで探索してるってのに」

 

「あら、でもお兄さんの方はイケメンじゃない?」

 

 如何にも荒くれ者な三人。得物を肩に担いで此方に歩み寄ってくる彼等の目はじっとりと二人を値踏みしてくる様だった。

 

「おん? そちらもダンジョン探索? お互い精が出るね。お疲れさん」

 

「……………」

 

(あれ? 普通に挨拶しただけなのになんかピキッてる?)

 

 オラリオに来て初めてのダンジョン探索。探索のイロハも知らないベジットにとって、上層レベルは正しくお遊戯会でしかない。

 

故に、相手からの挑発を挑発として捉えられなかったベジットは、相手をガレスやフィンといった上位レベルの冒険者だとつい認識してしまうのだ。

 

「ベジットベジット」

 

「はいベジットです。どしたアイズ?」

 

「この人達、多分狩り場を譲って欲しいんだと思う」

 

 そして同行しているアイズもまた天然。長時間同じところに留まる自分達を邪魔だと察し、ベジットに直ぐに退けるように助言する。

 

「マジ? ………確かにそこそこ長い時間留まってたかもな。あー、スンマセン。俺達もう行くんで、どうぞ頑張って下さい」

 

 この世界にも狩り場とかあったんか。そんな見当違いの勘違いをして、三人に譲る様に道を開ける。

 

「て、テメェッ!?」

 

「おいモルド、止せって。この間も他派閥(よそ)の所と問題起こしてギルドから注意されたばかりだろ!」

 

 冒険者は血の気が多いとよく聞くが、どうやらこの人達もそうらしい。ベジットとしては元気だなぁと感心する程度だが、そんな端から見て余裕ぶった態度がモルドと呼ばれる冒険者の癪に障ったのか、先程よりも苛立ちを募らせていく。

 

「って、その子【人形姫】じゃない!? なんでロキ・ファミリアの秘蔵っ子がこんな上層に!?」

 

 人形姫、そう言われたアイズの表情が僅かに曇る。

 

「成る程、道理で丸腰の野郎がいるわけだ。サポーターに殉じて、甘い蜜を啜ろうってか! かー、どこの派閥か知らねぇが、上手く取り入ったモンだぜ!」

 

「………ベジット、行こう」

 

「え? あ、おいアイズ」

 

「なんだ、逃げんのかよ!?」

 

「だから止せっての!」

 

 有無を言わせないまま、ベジットの手を引く。背後からの罵倒を聞かないようにして、あの三人が見えなくなるまで、アイズの強引な牽引は続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、5階層に戻ってきた二人。そこで漸く手を離してくれたアイズだが、その顔はまだ暗い。

 

「どうしたアイズ、もう帰るのか?」

 

「………ねぇ、ベジット」

 

「うん?」

 

「ベジットは、どうしてそんなに強くなれたの?」

 

 手を離し、ベジットを見上げるアイズの顔はまるで道に迷った迷子のようだった。

 

アイズはベジットの強さを知っている。レベルに──既存している神のシステムから逸脱した強さ。どうやってその強さを身に付けたのか、強さを誰よりも求める少女はベジットに救いを求めるように訊ねる。

 

 ……正直、ベジットはなんて答えればいいのか分からなかった。自分が他より強いのは自分がベジットだから、としか言い様がない。

 

でも、正直に答えてそれでアイズが納得出来るとは思えない。言葉に詰まらせたベジットは、自分が掲げている“強くなる教え”を伝える事にした。

 

「そうだな。強いて言えば“人生を面白楽しく張り切って過ごすため”といった所かな」

 

「…………?」

 

 よく分からない。そう言いたげに首を傾げるアイズにベジットは笑って彼女と視線を合わせるように膝を折る。

 

「俺が倣う武術の教えでな。よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休む。これが、強くなる為の秘訣なのさ」

 

「………そう、なの?」

 

「俺の持論だけどな。アイズもその年でLv.4って事は結構頑張って来たんだろ? だったら、これからは少しずつ遊ぶことも覚えていってもいいんじゃないか?」

 

「私、遊んだことない」

 

「マジで? ………言われてみれば、俺もそんなに遊んだことないな」

 

 だって転生したらベジットになってたんだもん。肉体スペックがヤバすぎてそれで楽しんでたわ。

 

「それじゃあ、今度会う時までになんか遊び道具でも探してみるか。………オラリオに玩具の店ってあんのか?」

 

 今はまだ復興が完全に終わってないし、そこら辺の仕入れとか後回しにされると思うし………即席の遊びにした方が健全かもしれない。

 

(やっぱ“達磨さんが転んだ”とか、“かくれんぼ”が主流かね。後は“影踏み”とか)

 

 そもそもアイズに同年代の子供の知り合いとかいるのか? 確かロキ・ファミリアって探索メインの派閥らしいし、あまりそういう子はいなさそう。

 

なんて、ふと一人で考えていると、アイズはベジットのズボンを掴んで見上げている。置いてけぼりにしてしまったと自戒して、ベジットは彼女へと向き直る。

 

「っと、悪い。つい考え込んじまった。つまり俺が言いたいのは、一見遠回りに見える事も、案外目標に近付けるって事さ」

 

「………本当?」

 

「おう」

 

「そうすれば、私────黒竜を殺せる?」

 

「………………………………………………………………はい?」

 

 え、何でそこで黒竜が出てくるの? というか、アイズちゃんの眼からハイライト消えてるんですが?

 

「私のお父さんとお母さんは、黒竜に奪われた。取り戻すため、私は黒竜を倒さなくちゃいけないの」

 

「…………あーう」

 

 まさかまさかの地雷に、ベジットの目が白剥く。

 

そうか、アイズがモンスターを絶対殺すウーマンなのはそれが原因か。うん、嘗ての二大最強派閥が揃って敗北する相手だもんね。そりゃ強くなるのに必死にもなるよね!

 

 その黒竜はもういないけどね! 俺がベジットムーヴしたいが為に倒しちゃったもんね!

 

「ベジット、どうしたの?」

 

「いや、ちょっとタイムマシンを探して………」

 

 現実逃避の為につい岩影に頭を突っ込んでしまう。少し引いている様子の幼女の眼差しがキツかったです。

 

「と、兎も角だ。強くなりたいのなら闇雲に鍛えるだけでは却って逆効果になる時もある。アイズはまだ小さいんだし、身体が成長してからでも遅くはねぇさ」

 

「…………うん」

 

「心配すんなって、ダンジョン探索には俺も時々なら付き合うからよ。ホラ、今日はもう帰ろうぜ。そんで、リヴェリア辺りに報告して安心させてやれよ」

 

「………分かった。あ、あとベジット、話は変わるんだけど」

 

「うん?」

 

「ベジットも武器、持った方が良いと思う。丸腰のままだと、色々危ない」

 

「あー、武器かぁ。やっぱ剣とか持ってた方がいいんかな」

 

どうやら話は上手く逸らせた様だ。黒竜の件についてはもう自分にはどうしようもないので、その時が来るまで、ベジットは黙っている事にした。

 

問題の先送りとも言う。

 

 それはそれとして。正直、武器を持ったベジットとか想像できない。でも、アイズが言うように武器を持ってると、いざという時何かと便利なのだろう。

 

その事を考え、駄弁りながら、ベジットの初めてのダンジョン探索は幕を降ろすのだった。

 

 尚、この後ギルドの担当職員に報告した所、命知らずなのかとガチ目の説教を受けました。

 

ローズ曰く、どうやらダンジョンの6階層って、普通にLv.1が死ねる危険地帯らしい。言われて思い出しました。

 

 おかげで周囲にはアイズ(幼女)に寄生する最低野郎のレッテルが張られましたとさ。トホホ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから翌日。初のダンジョン探索で最後に散々な目に遭ったベジットだが、今日も頑張ってダンジョンに向かおうと気合いを入れる。

 

そんな時、教会の扉を叩く音が聞こえた。誰だろう? この時間からの来客に不思議に思ったベジットが扉を開けると………。

 

「ベジットだな」

 

「あ、違います人違いです」

 

 扉の前に立つ筋骨隆々の猪人。朝から暑苦しいものを見たベジットは取り敢えず扉をそっ閉じした。

 

 

 

 

 






Q.現在のベジットの立ち位置は?

A.多くの人からは大抗争や正邪決戦を運良く生き抜いた冒険者。
尚、今回で陰から心無い冒険者に陰口を言われる模様。

「まぁ、モンスターと戦っている幼女の後ろにいたらそう思うのも仕方ない」

「ムー……」

「頬脹らませるアイズたん萌えェェェェッ!!」

Q.今回でアイズにも特大の地雷があることを知ったけど、
 万が一知られたらどうする?

A.全力で見逃せ!!

Q.今回で得られたヴァリスやアイテムはどうしたの?

A.八割程アイズたんに渡しました。後日、じゃが丸君を大量に頬張る幼女が目撃されたとか。

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