ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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ダンまちV

派閥大戦にリューさんが遂に参戦!

そんな訳で初投稿です。


物語36

 

 

 

「毎回毎回、いつもごめんねアーディ君」

 

「いえいえ、お姉ちゃん(団長)からもヘスティア様の護衛は優先的にやれと言われておりますので!」

 

 ヘスティア・ファミリアの新たな本拠地(ホーム)、百人は入るであろう大きな館の応接間にてヘスティア・ファミリアの守護を任されたアーディ・ヴァルマがにこやかに微笑む。

 

 ヘスティア・ファミリアはたった三人しか所属していない零細派閥ではあるが、内包している戦力はバカに出来ない。レベル2のリリルカ・アーデ、レベル5のベート・ローガ、そして団長のベジット。

 

 レベル1のベジットが団長というのは、中々歪んだ派閥だがその実力は先の戦争遊戯の件で認知され、ヘスティア・ファミリアはロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアからも一目置かれる派閥となっている。

 

 そんな彼等の主神であるヘスティアは、謂わばアキレス腱。彼女の身柄の安全を確保する為に、作戦の合間という限定的ではあるが、アーディ(Lv.4)の派遣は団長のシャクティの判断ではあるが、ある意味当然の処置でもあった。

 

 既に刻限。時間は作戦の時刻と相成り、ロキ・ファミリアとガネーシャ・ファミリア、そしてフレイヤ・ファミリアによる闇派閥の掃討が開始された。

 

「少し音が聞こえてきたね。街の住人の避難はどうしたの?」

 

「はい。既に一部区画の住民は避難を完了しています。ただ、今回の作戦は隠密性も重要視されている所もあるので、事前に通告された地域以外は……その」

 

「難しい、か」

 

「………言い訳になるかもしれませんが、相手側の戦力を考慮しての決断でした。ダンジョンにはルドラ・ファミリアを筆頭に数々の闇派閥が跋扈していますが、地上は街だけでなくその外にまで眼を向ける必要がありますから」

 

 うつむき、申し訳なさそうにしているアーディだが、彼女の言う言葉に間違いはない。

 

確かに闇派閥が主力を失った事で連中に対する戦力として地上の戦力は過分だが、街の安全や損害、そしてオラリオの外から闇派閥に手を貸していた者達を考えると、今回の作戦の戦力の割り当ては致し方なかった。

 

 だからこそ、今回の作戦の不安要素であるダンジョン組にヘスティア・ファミリアという隠し要素をぶつけた事になったのだ。

 

「───ごめんなさい。結局、ベジットさん達を巻き込む事になっちゃって」

 

 それでも、本来なら自分達だけで何とかするべきだったのに、ベジット達を巻き込んでしまった事をアーディは深々と頭を下げて謝罪する。

 

 そんな彼女を見て、ヘスティアは微笑んだ。

 

「頭をあげておくれアーディ君。僕は別に怒っちゃいない。本当だ」

 

「ヘスティア様……」

 

「君達はただ、暗黒期なんて呼ばれる時代を早く終らせて、皆が安心して暮らせる世界が欲しい。ベジット君もベート君も、それに賛同して戦う事を選んだ。だから、君が責任を感じる必要はないんだ」

 

 ベジットもベートも、それが分かっているから自ら進んで戦う事を選んだ。責任の有無なんて二の次、闇派閥というふざけた連中をさっさと叩き潰して冒険の続きをしたいから、という冒険者らしい至極単純な理由で。

 

 だからこそ、ロキ・ファミリアの団長も速攻で片を付けるつもりなのだろう。遠くから聞こえてくる音は周囲に響いてはいるが、それでも予想していた程ではない。

 

きっと作戦は上手い具合に進んでいるのだと、ヘスティアは呑気な自分らしくそう思うことにした。

 

「ホラ、君もそんな肩肘張らず、ゆったり過ごせばいい。大丈夫、君の友達………アリーゼ君達も強いんだ。無事に帰ってくるよ」

 

「そう、ですよね」

 

 ヘスティアを説得し、安心させるつもりが逆に気を遣われてしまっている。此方の意図と心境を察した上で笑って受け入れた目の前の女神の懐の深さに感服しながら、アーディは勧められた茶菓子を頬張った。

 

 ………けど、不安は拭えない。先の大抗争で自分が一度死の淵に立たされた事が原因なのか、最近はよく妙な“虫の知らせ”の様な感覚に陥る事がある。

 

 きっと、ダンジョンでは今頃地上と同様に作戦の為の戦いが行われているのだろう。アストレア・ファミリアの眷族達は全員が精強で、いずれはロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアにも負けない強い派閥にだってなれる。

 

そんな、強い友人達を思うと……心なしか、胸の奥底がザワついている感じがする。

 

(大丈夫だよね、リュー……みんな……)

 

 館の窓から見えるオラリオの空は、あの日の……大抗争の時と同じ今にも降りだしそうな曇天に覆われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────結局、リリは置いていかれるのですね」

 

 ガネーシャ・ファミリアのアーディがヘスティアの護衛を務めている一方で、リリルカ・アーデは身体を休める為に団長(ベジット)主神(ヘスティア)の言い付けを守り、自室にて待機していた。

 

部屋は座り心地の良い椅子と柔らかいフカフカのベッド、衣類の入ったタンスや装備品の入ったクローゼットまで何から何まで至れり尽くせりな環境。

 

 一年前の自分なら、夢でも見ているかの境遇だが、それに反してリリルカの顔色は曇っていた。

 

 外から聞こえてくる音、それは小さいが紛れもなく戦いの音で、恐らくは闇派閥と決着を付ける為にロキ・ファミリアを筆頭に力のある派閥が追撃の決戦を始めている頃合いなのだろう。

 

(なら、きっとダンジョンではそこに潜む闇派閥を狩る為にベジット様達が戦っている筈)

 

 ここ最近、ベジットは露骨に自分にダンジョンへ行かせないようにしていた。巧妙で、その日の鍛練を乗り越える為に必死だったから気付くのが遅れたが、あの時のベジットは自分に今日という日に合わせてダンジョンへ行かせないようにしていた意図があったように思える。

 

 いや、きっとそうなのだろう。今日という日に自分を巻き込ませない為、体が疲れている事と主神の護衛というそれらしい理由を与えて、ベジットはリリルカをダンジョンに連れていかないようにしていた。

 

 何故、そんな事をするのか。聡いリリルカには当然その理由にも見当が付いていた。

 

 冒険者はダンジョンに挑み、困難を乗り越えてダンジョンを攻略していく。決して、人が争い殺し合う為の兵器等ではない。我等が団長であるベジットは、きっとそう言いたいのだろう。

 

 嬉しいとリリルカは思った。嘗てのソーマ・ファミリアの連中とは違い、今の人達はみんながみんな、自分の事を真に想い、考えてくれている。

 

 ベジットの思惑も意図も、そして優しさも全てリリルカは理解している。理解した上で………とても悔しく思った。

 

(リリは、リリだって戦えるのに!)

 

 槍を手にしたのは、ただ冒険者として戦う為だけじゃない。あの日、自分と冒険がしたいと手を伸ばしてくれたあの人に応える為。

 

 彼の優しさも、彼の自分を想った厳しい言葉も、全てが嬉しかった。

 

けど、だからこそ、今何もしないでただ座るだけの自分が………凄く、腹立だしかった。

 

 手にした槍は飾りではない。手元に置かれている蒼色の柄を握り締めていると、コンッと何かが窓を叩いた。

 

 何かが当たった? けれど外を揺らす風の音は聞こえてこず、なのにも関わらず窓を叩く小石は止まない。

 

「─────小石?」

 

 何で小石が? 不思議に思ったリリルカは座っていた椅子から降り、窓の近くまで持っていくと……。

 

「………え?」

 

 窓を開き、小石を投げつけていたのは───。

 

「ティオネ様にティオナ様………それに、アイズ様まで?」

 

「あ、いたいた。おーい、リリルカ!」

 

「バカ、声がデカい!」

 

 最近ロキ・ファミリアに入団したアマゾネスの姉妹と、彼等の剣のお姫様、アイズ・ヴァレンシュタインが手を振っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャアッ!」

 

「ヒギィッ!?」

 

 狼が吼え、その腕と脚を振るう度に闇派閥の眷族は吹き飛んでいく。

 

ルドラ・ファミリアを捕縛、或いは打ち倒す為に現在24階層の【大樹の迷宮】にて、アストレア・ファミリアとヘスティア・ファミリアのベート・ローガが蹴散らしていく。

 

「クソが! 【凶狼】の野郎、レベル5の力を自分のモノにしてやがる! おい、順次モンスターを投入しろ! 数で連中を圧殺するんだ!」

 

 ルドラ・ファミリアの特徴は手数の多さ、ほぼ全員が第二級冒険者(Lv.2~Lv.3)であるが、モンスターを手懐ける調教師(テイマー)が数多く在籍している。

 

 ジュラ・ハルマーもその一人、アストレア・ファミリアが攻めてくるのを事前に知っていた彼等は、可能な限りモンスターのテイムを行ってきた。それこそ、連中が大樹の迷宮に入って来た頃には向こうの戦力を軽く上回っていた程度には。

 

「だ、ダメだ! 殆どのモンスターが蜂の巣にされちまってる!」

 

「何でだ!? さっきまでピンピンしてただろうが! 向こうの先行部隊にけしかけた奴ら以外も、沢山!」

 

 しかし、そこまで警戒しておきながら、まだ彼等はベジットの恐ろしさを理解出来ていなかった。

 

 ルドラ・ファミリアがベジット達先行部隊へ嫌がらせを兼ねたモンスターでの先制攻撃を仕掛けて来た時、既にベジットは連中の場所をある程度把握していた。

 

 指先でモンスターを蹴散らしつつ、時々同じ部隊の人間に任せると、その一瞬の余白で隠れていたモンスターを指先から放たれる光の弾丸で撃ち抜き、無力化していった。

 

その弾速は嘗てのベートが翻弄されたモノと同程度………つまり、最低要求レベルが第一級(Lv.5)の強者でない限り、対処する事はほぼ不可能。

 

 この時点でルドラ・ファミリアの力量を推し量れたベジットは、最悪ベート一人でも対処できると判断し、先の階層へと進んだのだ。

 

 それを察したベートが悪態を吐き捨てる。

 

「ケッ、あの規格外野郎。余計な事をしやがって」

 

「? アリーゼ、あの狼は何を苛立っているのです?」

 

「あまり刺激しないのリオン。男の子ってのはそう無意味に格好付けたくなる生き物なのよ。アストレア様も仰ってたわ」

 

 挙げ句、ルドラ・ファミリア同様分かっていない様子のアストレア・ファミリアにベートの苛立ちは更に募らせていった。

 

「おーおー、流石ベジットの旦那にボコられただけの事はあるな。【凶狼】一人で半分近く片付けちまったぞ」

 

「呑気にしている場合ではないぞライラ。あの駄犬に全てを任せてしまったら、我等が要らぬ謗りを受ける羽目になる。私はそんなのゴメンだ」

 

「輝夜、お前そんな真面目な奴だったか? もっと気軽に行こーぜ?」

 

「ふざけるな。ベジットさん達の主神であるヘスティア様はアストレア様との旧知の間柄、今回の私達の怠慢がそのままアストレア様の顔に泥を塗る事になるんだぞ」

 

「………お前、ベジットの旦那に対してはメッチャ下手に出るよな? え? ああ言うのがタイプなの?」

 

「その舌を斬り飛ばすぞクソ鼠」

 

「テメェ等、遊びに来てんじゃねぇんだぞ」

 

 先の決戦を経て、全員が昇格(ランクアップ)を果たしているアストレア・ファミリア。幾度となく闇派閥と対峙し、その度に理不尽に打ちのめされ、迷い、乗り越えていった。

 

 嘗ての最強の一角(【静寂】)を降した事で、心身共に大きくなった彼女達が、今更この階層程度のモンスター相手に手こずる道理はなく、ルドラ・ファミリアは【凶狼】を筆頭に瞬く間に狩られていった。

 

 残り数十名、百人近くいた闇派閥の残滓は徐々に追い詰められていった。下にいる化物(・・)が此方に登って来る気配は無いし、いよいよ追い詰められた時。

 

 ジュラ・ハルマーは笑みを溢した。

 

 それを目にしたベート・ローガの背筋に悪寒が走る。瞬間、モンスターの体内に魔石とは別のモノが埋め込まれているのに気付き………。

 

「テメェ等、散れェッ!!」

 

「「「「ッ!?」」」」

 

 その言葉に反射的に反応したアストレア・ファミリアが即座にその場から離れた瞬間────爆破。

 

 モンスターだけではなく、階層のあちこちに埋め込まれていた火炎石。誘爆が連鎖し、更なる爆炎が誘発されていく。

 

地面を、壁を、天井を、24階層を構築する全てが爆炎に呑み込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全てが灰塵に消えていった。あの忌々しいアストレア・ファミリアも、第一級冒険者(Lv.5)に成り立ての【凶狼】も、全てが灰塵となり焼失……。

 

 ジュラ・ハルマーは笑いが止まらなかった。既に連中にやられた仲間は消し飛んだが、それを帳消しにする程の成果が得られたとあれば、奴等も満足して成仏出来た事だろう。

 

これで自分は見逃される(・・・・・)。役目を果たした事で自分の生存を確信した闇派閥の生き残りは、あの化物となったオリヴァスから逃れ、明日も笑って生きられると………そう思っていた。

 

「あっっっぶねー! マジで死ぬかと思った!?」

 

 しかし、爆心地から程近い岩影の下で、土まみれの【狡鼠】が現れた事で、ジュラの笑いが止まる。

 

「ねぇ、私大丈夫? 生きてる? 足付いてる?」

 

「大丈夫、煤で真っ黒な事以外特に変わりはないわ」

 

「あー! 私の兜がーッ!?」

 

 土埃の中から続々と現れるアストレア・ファミリア。どいつもこいつも満身創痍処か五体満足でピンピンしている。

 

「モンスターに仕込んでいた火炎石、この階層のアチコチに埋め込まれたモノも含めて、相当の数を仕込んでいたか」

 

「それらを使って我等を生き埋めにしようと言うのが魂胆か。………全く、胸糞過ぎて笑えてくるな」

 

「けど、私達はこんな事じゃへこたれないわよ!」

 

 【大和竜胆(輝夜)】、【疾風(リオン)】、そして【紅の正花(アリーゼ)】。ルドラ・ファミリアにとって、最も消しておきたかった面々も無事。

 

「下らねぇ時間稼ぎしやがって」

 

凶狼(ベート)】に至っては、傷はおろかその体には汚れ一つ付いてはいなかった。

 

 ジュラの顔から笑みが消え、憤怒と悔恨の形相が浮かび上がる。余程今の策に自信があったのだろう、顔を歪ませる彼にアリーゼ・ローヴェルはその顔に勝利の笑みを浮かべて己の愛剣を突き付ける。

 

「終わらせるわ。闇派閥(イヴィルス)も、悪の時代も!」

 

 鈍い光を放つ剣を前にジュラは吼える。

 

「冗談じゃねぇ。こんな、こんな所で終われるかよ!」

 

 まだ自分は満足していない。倒錯に酔い、悪辣に酔い、悪逆に快楽を求める自分の人生はまだ満たされていない。

 

なんとしても生き残る。何を代償にしても! そんな、ジュラ・ハルマーの願いに呼応したかのように……。

 

 ダンジョンが哭いた。先の爆発と異なる………ダンジョンそのものが胎動している様な感覚。

 

「今のは………まさか!?」

 

その声に、輝夜は目を剥いた。見上げた先に写るのは、破水(・・)した水と共に生まれ落ちた黒いモンスター。

 

 黒く、鋭く、まるで獣を白骨させた様な歪のモンスター。それは以前、正邪決戦の時に【大最悪】と共に現れた謎のモンスター。

 

黒き破壊者(ジャガーノート)】。後にそう呼ばれるソレは、24階層の全員を喰らい尽くす為に、深紅の相貌と、おぞましい顎を開き。

 

 ダンジョン()を守る為に、その脚で駆けていく。

 

 鮮血が舞う。

 

 地獄が始まる。

 

 

 

 

 





Q.ヘスティア・ファミリアの本拠地ってどんな感じなの?

A.原作と間取りや造り、外観はほぼ同じと思って下さい。
原作ではアポロン・ファミリアからブン取りましたが、本作ではちゃんとお金を出して購入しております。

………所でアポロン・ファミリアって、暗黒期時代にいたの?



オマケ。

もしもベジットがフレイヤ・ファミリアにいたら? Extra2

 派閥大戦。フレイヤ・ファミリア対派閥連合の戦いは、序盤からフレイヤ・ファミリアの猛攻により瓦解しかけていた。

 しかし、天秤は傾いた。新たにレベル6へ至った【疾風】がヘグニを打ち破った事を皮切りに、フレイヤ・ファミリアの治癒師(ヒーラー)はヘディンの裏切りによって地に伏した。

ガリバー兄弟も、弱者の意地と全てを費やした結果辛くも打ち倒して見せた。 

 天秤は傾いた。勝負はこれで並んだ。戦いの裏で暗躍していたヘルメスは、駒の数ではこれで分からなくなったと……そう、思い込みたかった。

 しかし、美の女神は揺るがない。

何故なら……。

「随分と戦場が散らかってるわね。────ベジット」

「うん?」

「片付けなさい」

「…………あいよ」

 ベジット。フレイヤ・ファミリアに入団してから、一度たりとも昇格せずにオッタルを、数多の怪物達を降してきた規格外の中の規格外。

 美の女神が自身と対等であることを赦した数少ない例外。

 最強の枠を越えた理不尽が、戦場へと降り立った。

「さて、先ずは……ヘディン。お前からかな」

「ッ!?」

「先ずはファミリアを裏切ったツケを支払ってもらうとしよう」

「ベジット!! 貴様は!?」

 見えなかった。フレイヤが座する塔から降り立ち、数百は離れた自分の所に、ベジットは音もなく現れて来やがった。

 杖剣を構える。詠唱など唱える暇はなく、予め読んでいたヘディンは我武者羅にその手に握った刃を振るうが……。

「遅い。相変わらず、亀みたいな鈍重さだな」

 杖が折れ、めり込まれた拳がヘディンの体をくの字に折る。衝撃が貫き、白目を剥いて倒れるヘディンをベジットは一瞥すらせずに戦場を見渡していく。

「───さぁ、始めようか」

 獰猛な笑みを浮かべるベジットが見据える先には……道化師の軍勢が待ち構えていた。


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