ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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教えてくれ五飛、俺は誰と交換すれば良い。

目玉のベジットもゴジータも母体は取った。ついでにゴハンもゲットした。

ポルンガの願い石で七夕身勝手と祭りゴテンクスまで絞ったが、どちらを交換すればいいのか分からないんだ。

教えてくれ五飛、俺は七夕身勝手と祭りゴテンクスどちらを取れば良い。

ゼロは何も応えてくれない……。


そんな訳で初投稿です。




物語39

 

 

 

 

「【戦は、此にて終い】」

 

 解呪式の詠唱を唱え、魔法を解除するのと、24階層を照らす月が消えたのはほぼ同じタイミングだった。

 

 魔法を解除したリリルカの身体から力が抜けていく。瞳の色も元の栗色に変わった時、リリルカは全身に凄まじい疲労感が押し寄せてくる。

 

「うっく、はぁ、はぁ……」

 

「だ、大丈夫リリルカ?」

 

 槍を杖変わりにして、疲弊仕切った身体を支えているリリルカの下へティオナが駆け寄る。

 

「は、はい大丈夫です。私の魔法は思っていた以上に消耗が激しいみたいで」

 

「でしょうね。明らかにLv.2の動きじゃなかったもの、眼の色だって文字通り変わっていたし」

 

「うん。雰囲気も変わってた」

 

 やはりと言うべきか、自身の魔法に付いてアレコレ訊ねてくるアマゾネス姉妹(ティオネ&ティオナ)剣姫(アイズ)。特にアイズの方はリリルカの強さに興味津々の様子で、彼女の魔法に付いて知りたがっていた。

 

勿論、そのまま話すつもりはない。冒険者の手札として自身のこの魔法は切り札に等しい事はリリルカだって理解している。

 

 故に、心配そうに訊ねてくるティオナを出汁にしてそれとなく誤魔化す事にした。

 

「あ、あはは、これでもベジット様との鍛練のお陰で少しは保てる様になったんですよ? 確かに、まだまだ使いこなせているとは言えませんが……」

 

「そっかー……あ、でもリリルカも最後は白い炎を纏ってたじゃん! ウチのラウルみたいに! こう、ブワーッて!」

 

「あ、それは私も気になったわね。やっぱり相当の鍛練を積んでいるのかしら?」

 

「そ、それは……企業秘密というか……」

 

「………?」

 

「キギョウ?」

 

 主神たるヘスティアから教わった知りたがる者をそれとなく遠ざけてくれる魔法の呪文(企業秘密)は、少女達に通じる筈もなかった。

 

不味い、このままでは幼子特有の質問責めに遭ってしまう。早いところ話題を変えなければ。リリルカがその頭脳を回転させた時。

 

「リリルカちゃーん!」

 

「ぐっぱぁ!?」

 

 横から満面の笑みを浮かべた【紅の正花(スカーレット・ハーネル)】が抱きつく………と言うより、飛び付いてきた。

 

「ありがとうリリルカちゃん! そして剣姫達も! アナタ達のお陰で命拾いしちゃったわ! もう大好き! ハグしちゃう!」

 

「ぐ、苦しい……」

 

「アリーゼ、それ以上いけない。幼子が泡を吹いている」

 

「り、リリー!?」

 

「やれやれ、本当にポーションを使いきってしまいそうだな」

 

 容赦も遠慮もない感謝と愛情表現に、リューが窘め輝夜が苦笑いを浮かべる。

 

 あの黒いモンスターの二体目が現れた時、ルドラ・ファミリアからの妨害もあって、アストレア・ファミリアは自分達の最期を覚悟した。

 

 そこへリリルカ達の幼女組が駆け付けてくれたお陰で命拾いをして、負傷者を出してしまっても全員が生きて乗り越える事が出来た。

 

その事に喜ぶのを止めるのは流石の輝夜も気が引けたのだろう。全身で感謝を伝えるアリーゼを、ほどほどにするよう言い含めて、輝夜は後からやってくるベートへ向き直った。

 

「貴様にも感謝してやる【凶狼(ヴァナルガンド)】。貴様と貴様の仲間には大きな借りが出来たな」

 

 それは自分達だけではこの局面を乗り越えられなかった事への自白。もしここにベートやリリルカ達が駆け付けなかったら、自分達は多大な被害を………或いは、全滅の可能性だってあり得たかもしれない。

 

 この窮地を抜け出せたのはお前達のお陰だと、輝夜は素直に感謝した。

 

「…………ケッ」

 

 他人から礼を言われるなんて何年振りか。反応に困るベートは舌打ちして誤魔化すが、輝夜にはそれが照れ隠しに見えたのか、愉快そうに笑みが溢れてしまう。

 

 相変わらずムカつく女だと、これ以上つつかれるのはゴメンなベートは早急に話を変える。

 

「おいリリルカ、お前あの豆を幾つ持ってきた?」

 

「は、はい。急いで来たのでベート様に渡したモノを除いてあと三つしか……」

 

「なら、その内の一つはアイツにくれてやれ。今は治らなくても、ダンジョンから戻る頃には多少はマシになってるだろ」

 

 ベートの親指を指す方向には、腕に防護服を破いて簡素な応急手当を施されたノインがいた。自分の事を呼ばれた気がしたノインは頭に疑問符を受けているが、そう言えばベートもあの豆を食べた途端に回復したんだったと、リャーナは思い出す。

 

「そう言えば、ベートもあの豆を食べた途端に元気になったよね? 脇腹の傷も塞がってるし………なんで?」

 

「ウチのファミリアの機密事項だ。触れんじゃねぇ」

 

 明らかに従来のポーションの効果を凌駕する回復効果のある豆。そんなモノがヘスティア・ファミリアには製造されているのかと、ベートの反応を見たライラが推察するが………途端にあの規格外(ベジット)の顔が思い浮かび、真顔となってこれ以上首を突っ込むのは野暮だと判断した。

 

「………じゃあ、皆が回復したら一度リヴィラの街(18階層)へ戻るわよ。消耗品を買い揃えたいし、一度態勢を整える必要があるわ」

 

「ではアリーゼ、その後は……」

 

 リューの問いにアリーゼは頷く。

 

「えぇ、私と輝夜、ライラ、リオン。そしてベート・ローガの五名で27階層で戦っている先行部隊と合流。下層の連中と決着を付けるわよ!」

 

 まだ、彼女達の戦いは終わっていない。無力化したルドラ・ファミリアの面々を拘束した後、18階層へ引き返す事を決めたアストレア・ファミリアは急ぎ行動を開始する。

 

 27階層。そこでは人類の歴史上類を見ない、凄まじき戦いが繰り広げられている事を………彼女達は、まだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次の魔物、また群れで来たぞ! 数は中隊規模!」

 

「まだ魔剣は残っているな! 牽制しつつ、前衛で防げ! 魔導師達は詠唱を始めてくれ!」

 

 27階層にて、冒険者達の雄叫びが木霊する。迫り来るモンスターの群を自分達に打てるありったけの手段を駆使して、仲間と共に乗り越える。

 

 先行部隊にはディオニュソス・ファミリアだけじゃない、ガネーシャ・ファミリアや他派閥の眷族達が混じりあった混成部隊だ。

 

名を上げるため、或いは名声のため、それぞれ掲げた思惑は別々だろうが、この時の彼等の想いは一つとなっていた。

 

 生きて帰る。この異様な空間となった27階層から無事に抜け出し、地上へ戻る為に彼等は文字通り死に物狂いで戦った。

 

 他者が崩れたら、その者が立ち直るまで別の者が支える。アイテムが尽きれば他の者が自分の分を分けあってまで助力する。

 

 極限。尽きることなく襲ってくるモンスターを前に冒険者達の精神力は徐々に追い詰められていた。

 

 しかし、そんな極限の中でも彼等の眼には諦めの文字はなかった。それは自分達を導いてくれる存在───ベジットが、何よりも恐ろしくおぞましい化物を相手にしているから。

 

 盲信と、そう言われてしまえば否定できない。だが、彼等は奮起した。

 

自分を信じてくれた彼の信頼に応えたい。未だ尽きぬモンスターの軍勢を前にして、彼等はただその一念を以て抗い続けた。

 

「フハハハハハハ!」

 

 それを、嘲笑う怪物が一匹。階層主との融合という異常事態(イレギュラー)を以て、冒険者達の前に立ち塞がる闇派閥の一人───オリヴァス・アクト。

 

 階層主であるアンフィス・バエナに寄生する様に双頭の其々に生えたオリヴァスは異口同音にて嘲笑を漏らす。

 

「嗚呼、ナンタル無様。コレガ神々ノ眷族タル冒険者ノ姿カ」

 

「そういうお前は、無様を通り越して滑稽だけどな」

 

 必死に戦う姿をオリヴァスは無様と評する。必死に抗い、勝ち目の薄い戦いに命を掛けて戦う彼等をこの男にはそう見えるのだろう。

 

 対してベジットはそう評しているオリヴァスこそが滑稽と断じている。人の姿を捨て、モンスターと融合して強くなったと錯覚している奴を、最初は哀れんでいたが……こうも吹っ切れているとそんな思いすら消えていった。

 

「ベジット……!」

 

 そして、宙に浮かんで自分と同じ目線に立っているベジットをオリヴァスは忌々しく睨み付ける。

 

「そら、追ってこいよ。遊んでやる」

 

 そう言って大瀑布を落ちていくベジットをオリヴァスが怒りの形相を浮かべて追走する。

 

 大抗争の時、オリヴァスはベジットの一撃により再起不能のダメージを負った。首から下の骨が粉砕され、マトモに動けなくなったオリヴァスはその日から生き地獄を味わう様になっていた。

 

 意識はあった。全身が動けなくとも自我を失わずに済んだオリヴァスはディアンケヒト・ファミリアの献身によって半死人の生活を余儀なくされた。

 

 食事からシモの世話まで、嘗ての闇派閥の人間が甲斐甲斐しく介護をされる。どんな人間にも人権はあるのだと、小娘達に世話をされる生活はオリヴァスにとってこの上なく屈辱的だった。

 

 どれだけ屈辱を受けても自害すら出来ない。いっそ誰かに介錯されたいとすら願うようになったある日、同士である【殺帝(アラクニア)】がやってきた。

 

『よぉオリヴァス。息災かぁ?』

 

 悔しくも、その日のオリヴァスはあのイカれた女が女神に見えた。五体を満足に動かせず、芋虫でしかなかった自分をダンジョンへ招き………。

 

 其処で、【真なる女神】との邂逅を果たした。

 

『私ノ、オ願イ………聞イテ?』

 

 嗚呼、嗚呼。そうだ。私は彼女(・・)の願いを叶えるために生まれてきたのだ。あの【麗しい乙女】を、あの【美しい彼女】の願いを叶えるために。

 

 

 その為に、オリヴァス・アクトは生まれ変わった。新たな肉体と力を得て、モンスターと人とのハイブリットへと至れた彼は、手始めに地上進出の夢を叶える。

 

 その為には……。

 

「ベジットォォォッ!!」

 

「!」

 

「殺ス。貴様ダケハ、必ズ殺ォォォォスッ!!」

 

 己を嗤い、生き地獄を味わわせてくれた奴を屠る必要がある。

 

 目の前で惚けた顔を晒す奴は、今後間違いなく彼女の障害になる。それだけはさせないと、オリヴァス・アクトは落ち行くベジットを追う。

 

「おっと、危ない危ない」

 

 ガチン。アンフィス・バエナの噛み付きをワザとギリギリで避けるベジットにオリヴァスは怒りを更に募らせていく。

 

 やがて降りてきたのはアンフィス・バエナの元根城。以前ベートによって焼き払われた場所は元に戻っている。

 

 やっぱりダンジョンって不思議だわ。そう呑気に構えているのも束の間、落ちてくる巨体がベジットを押し潰す。

 

飛沫が舞い、衝撃が辺りを蹂躙する。忌まわしき奴をダンジョンの染みにしてやったとオリヴァスの顔に喜悦が浮かぶが……。

 

「そら、余所見は厳禁だぜ?」

 

「ブッ!?」

 

 いつの間にか、無傷のベジットが己の横に立っていた。疑問を挟む余地もなく驚愕に顔を歪めるオリヴァスを無視し、ベジットのアッパーがアンフィス・バエナの顎を捉える。

 

瞬間、アンフィス・バエナの首が寄生していたオリヴァスごと消失。広い階層主の根城に血潮の華が咲き誇るが……。

 

「────ンニィ」

 

「?」

 

 再生。巻き戻しの様に凄まじい速度でアンフィス・バエナの頭部が再生されていく。当然のようにオリヴァス付きで。

 

 以前ベートが倒した時よりも増している再生力、これもオリヴァスと融合した理由なのか。

 

(いや、どちらかと言うとこの階層全体が奴に何らかの干渉をしている?)

 

 本来鮮やかな蒼で埋め尽くされた巨蒼の滝(グレート・フォール)、その景観が反転した様に紅一色に変わってしまっている。

 

 実に眼に悪い光景だと最初はその程度の関心しか無かったが、奴の頭が再生されていく瞬間、ベジットは確かに何らかの干渉を感じ取っていた。

 

「馬鹿ガ! 今更冒険者ノ拳一ツデ、コノ私ガ倒レルカァッ!!」

 

 正直、奴が再生しようと取れる手段は複数ある。普通にこのまま殴り倒す事も出来れば、火力で一気に消滅させる事も出来る。

 

(ただ、体術だけに絞ると時間が掛かりそうなのがなぁ。ベート達も何だか不味い事になってそうだし)

 

 先程、上の階層から聞こえた爆発音、規模からして相当の火力だった筈。ベートが付いている以上其処まで危機に陥る事は無いと思うが……。

 

(かといって火力頼みで諸とも吹き飛ばそうとすれば、階層ごと吹き飛ばしちまうし……うーん、メンドイ)

 

 大樹だったり滝だったり、目を疑う光景が幾つも続いて忘れがちだが………ここはダンジョン。オラリオの街の地下深くにある迷宮だ。

 

もしここで全力のかめはめ波なんて放とうモノなら、ダンジョンを突き破って軽く地球が吹き飛んでしまう。

 

 仮に地上に向けて放っても、オラリオが消し飛ぶ。

 

なら、目の前の再生する海竜を倒すには打撃でも火力でもない第三の手立てが必要になる。

 

「仕方ねぇ。ベジットとしては複雑だが、手段を選んでいる場合でもねぇか」

 

 そう諦めた(・・・)ベジットが溜め息と共に肩を竦めたその時。

 

「っ、この気は……」

 

 ふと、ベジットの気による探知がある少女の気を捉えた。

 

 あり得ない。今頃ヘスティアと一緒に休暇を満喫している筈の彼女が、ベート達の所にいるわけがない。

 

しかし、何度確認してもベジットの優れた感知能力は事実だと告げている。

 

 唖然としているベジット、それを自身に対する畏怖だと勘違いをしたオリヴァスが高らかに嗤う。

 

「く、クヒャヒャヒャヒャ! 今頃ワタシの恐ロシサヲ理解シタカ! ソウ、幾度コノ身ヲ滅ボソウト我ガ女神二愛サレシ肉体ハ不死身! 今更恐レタ所デモウ遅イ!」

 

「……………ハッ!」

 

「ソシテ、新タなワタシの力───権能ヲ見セテヤロウ!」

 

 瞬間、オリヴァスの周囲にある水が宙に浮いていく。丸い一塊となる水、更に大気に含まれる水分すらかき集め、水塊は更に膨れ上がっている。

 

水を操る力、確かにそれは以前のアンフィス・バエナには無かった能力だ。先の脅威的な再生力といい、どうやらオリヴァスと階層主の融合はかなりの力を得ているようだ。

 

(これも、アレの所為なのかね)

 

 二股に分かたれたアンフィス・バエナの頭、その付け根部分には掌サイズの丸い玉が埋め込まれているのが見えた。

 

恐らく奴等とこの階層の変異、そして力の源は其処にある。なら、やはり決め手はアレが良い。

 

 ベジットが身構えた時、オリヴァスはニヤリと笑みを浮かべ……。

 

「チッ!」

 

 ベジットは舌打ちと共に上へ飛翔する。そしてその動きを読んでいた様にオリヴァスは上……先行部隊が戦っている場所に向けて水塊を放った。

 

「サァ、護ッテ見セロ冒険者! 出来ルモノナラナァッ!?」

 

 続けて、開かれた海竜の顎から放たれる巨大な火球。重なりあうように放たれたそれは真っ直ぐ先行部隊へ着弾。

 

「────え?」

 

 モンスター達の相手に夢中で、気付けなかった彼等が最後に眼にしたのは、白い蒸気の爆発と……。

 

 自分達を護るように現れたベジットの背中だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────ンフ、ンフフフフ、フハハハハハハ!」

 

「ヒャハハハハハハハハ!!」

 

 何もかもが吹き飛んだ27階層にて、オリヴァス・アクトが嗤う。

 

「見タカ! コレガ彼女ガ授ケテクレタ新タナ人類ノ力! 地獄カラ甦リ、新生ヲ果タシタ私ノ力ダァッ!!」

 

 水と炎、二つの元素により合わさった力は、何もかもを吹き飛ばす厄災と化した。この力を以てすれば彼女の悲願を叶える事も容易いと、これからの未来を思いオリヴァスは嗤い続けた。

 

「オラリオヲ崩壊サセ、彼女ヲ解キ放ッタ暁ニハ、コノオリヴァス・アクトガ第二ノ【海の覇者(リヴァイアサン)】、最強ノ怪物へナッテクレル!!」

 

 何もかもを吹き飛ばし、何もかもが消し飛んだ。

 

 敵はいない。そう確信したオリヴァスの嗤いは……。

 

「ハハハハハ…………ハ?」

 

 止まった。舞い上がる砂塵、その奥から現れる黄金の炎を眼にして………。

 

「ナン………ダ、ソレハ?」

 

 未知が顕れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────この日、フィルヴィス・シャリアはその輝きを忘れる事は無いだろう。

 

自分達を狙い、自分達を消そうとした奴の攻撃を彼はその身を挺して護ってくれた。

 

 何もかもが吹き飛んだ階層(世界)でモンスターは消し飛び、自分達だけが生き残った。

 

 その理由は他でもない、目の前の黄金の炎を纏う彼の者……ベジットが自分達を護ってくれたのだ。

 

 その翡翠の双眼でオリヴァス……だった怪物を睨む。その眼に嘗てのトラウマを再起した怪物は怯え、逃げるように後ろへ下がる。

 

 だが、それは叶わない。

 

「………全員、今の内に帰る支度をしてろ」

 

「え?」

 

「終わらせる」

 

 彼の顔からは何時もの笑みが消えていた。自分達に攻撃してきたオリヴァスを倒すべき敵として認識した彼は、纏った炎を更に強く迸らせ……。

 

「教えてやるよ。真の最強って奴を」

 

 刹那、残光の軌跡が27階層を満たしていく。

 

 視えない。彼の動きや挙動、起こりえる彼のあらゆる要素が、フィルヴィスの視覚には捉えられなかった。

 

 きっと、他の面々もそうなのだろう。目を見開いて必死に彼の軌跡を追う。だが、どれだけ目を凝らしても彼の動きの一端さえ捉える事は出来なかった。

 

「ウ、ギャァァァァァッ!!??」

 

 断末魔が轟く。オリヴァスの、アンフィス・バエナと融合した奴の肉体がベジットの軌跡が迸る度に抉られていく。

 

 再生しても追い付かない破壊の軌跡。痛みと再生に悶えながら、それでも必死に耐えているオリヴァスの前に……彼が顕れる。

 

「行くぞ、覚悟は出来たな?」

 

「ひ、ヒヒィッ!?」

 

 信じられないことに、アレだけの攻撃を繰り出しても彼にとっては準備運動ですらなかったようだ。纏う炎に雷が迸り、オリヴァスに覚悟の是非を問うが……残念な事に答えまでは聞いていないようだ。

 

 一歩、二歩………からの加速。残像だけを残して拳を捩じ込む。痛みに悶えるオリヴァスを、更に追撃の蹴りが繰り出される。

 

 宙に浮かぶ。アレだけの巨体を浮かばせる膂力に目を剥き、部隊の何名かが腰を抜かす。しかし、彼の追撃はそれだけに終わらなかった。

 

 気付けば、既に彼はオリヴァスの元へ接近していた。一秒にも満たない攻防、しかしこの時点で既に心折られたオリヴァスが命乞いをしようとしても……。

 

「地獄へ送り返してやる!」

 

「あ、あああぁ………」

 

 もう、その顔に嘲笑はなく、恐怖に染まった末路の顔がオリヴァス・アクトに張り付いていた。

 

「────虹?」

 

 彼の────ベジットの手に宿るその光を見て、フィルヴィスは眼を逸らせなかった。オリヴァスはその光を見て脅えているのに、何故かフィルヴィスには恐ろしいモノには見えなかった。

 

 浄化。フィルヴィスがその光を眼にして頭に浮かんだ言葉(ワード)。きっとアレは浄化の結晶なのだろう。

 

「コイツが超ベジットの────【ソウルパニッシャー】だっ!!」

 

 虹の光が、オリヴァスのコアに当たる【宝玉】に叩き込む。

 

 瞬間、光が溢れだすと共にアンフィス・バエナ(オリヴァス・アクト)も光の粒となって消えていく。

 

「あ、あぁ、あぁあぁあぁ……イヤだ。イヤだ! 私ハ、私……ハァァァ………マダ………ナニモ………」

 

 断末魔は最期まで聞かれる事なく、オリヴァス・アクトだった怪物は消滅した。

 

 残されたのはベジットただ一人。手に残る光の残滓を振り払い。

 

「さて、帰りますか」

 

 その顔には人を安堵させる暖かな笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 





Q.今後、かめはめ波等の必殺技は出さないのですか?

A.ダンジョンでは出ないかも知れません。でも、60階層で巣くっている彼女の所なら、きっと受け止められるかもしれません。


Q.オリヴァス某、跡形もなく消滅したんやが?

A.根っこから穢れてますからね。仕方ないね。







オマケ。

もしも駆け付けた少女達がメス○○だったら?

「く、クソが! 俺達がこんなガキ共に!」

「や、やぁ~い。おじさん達ってばヨワヨワ~」

「女の子の私達に負けて、恥ずかしくないの~?」

「うっわ、泣きそうになってンの。情けな~い」

「「「ザーコ、ザァーコ♡」」」

「ざ、ザーコ……」

「「「う、ウワァァァァンッ!!」」」


 その後、四人の幼女達の精神攻撃によりルドラ・ファミリアは再起不能。

 地上に戻ってきたリリルカ・アーデとロキ・ファミリアの眷族達、彼女達の主神であるロキはその後、ヘスティア・ファミリアを巻き込んでアイドルグループを結成。

 後の地上初のメスガキ部隊として結成。一部の男神から大絶賛の支持を得て、地上に覇権を握る事となる!


 尚、彼女達の黒歴史になるのは確定的に明らかである!!


 
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