ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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さぁ、一狩りいこうぜ。


そんな訳で初投稿です。
 



物語41

 

 

 

「黒竜討伐か、質の悪い冗談は感心しないが……」

 

「あくまで“仮の話”さ。嘗ての最強派閥(ゼウス・ヘラファミリア)との戦いで付けられた傷が原因で、寿命も重なって死んでいる可能性だって無くもない訳なんだろ?」

 

「「……………」」

 

 ベジットの軽薄な態度が癪に触ったのか、一柱と一人が警戒心を高めだす。流石に大神と呼ばれるだけあってウラノスは警戒だけでなく、此方の真意を探るような目を向けてくる。

 

「それに、異端児の事だっていつまでも隠し通す訳にもいかねぇんだろ? 百年後か二百年後、或いはもっとか? 何れにせよ、アイツ等を“契機”と呼んだ以上、アンタ等だっていつまでも隠し通すつもりはないんだろ?」

 

「それは………」

 

 ベジットの問いにフェルズは口ごもる。確かに、異端児(ゼノス)の存在は世界に対して大きな分岐点にもなるだろう。

 

 モンスターとの和解。人類の有史以来、殺し殺され、時には貪り喰らう相手が理性と知性を以て歩み寄ってきたら、人類史は混沌にも等しい混乱に陥る事になる。

 

 最悪の場合、オラリオはその機能を停止する。それだけの爆弾、それだけの危険性。けれど、それと同じくらい希望があった。

 

 彼等はその希望を無い物として処分せず、保留すべき案件と見定めているのだろう。恐らくは水面下で協力してくれそうな派閥───或いは神を見定めているのかもしれない。

 

 もし万が一、億が一黒竜が討伐………或いは消滅していたとしたら、それは世界に取ってこれ以上無い朗報になるだろうし、朗報を通り越して混乱の火種になるかもしれない。

 

 それこそ異端児の存在以上のビッグニュース。どちらも世界を揺るがす情報ではあるが、黒竜の件はあくまで“もし”の話。

 

 ウラノスの言う通り質の悪い冗談なのは重々承知している。その上でどちらがよりマシ(・・)な話なのだろうかと、ベジットは訊ねた。

 

「────済まないが、その質問には答えられん。この身は全知零能の身なれば、未来など誰にも見通す事は出来ないのだからな」

 

 ウラノスから返ってきたのは………まぁ、分かり切っていたモノだった。未来(先の話)など誰にも分かる筈はなく、況してやその先の影響や出来事など、【神の力】を持ち合わせていないウラノス達に分かる筈もなかった。

 

「………ま、それもそうだな。変な事を聞いて悪かったな、忘れてくれ」

 

 じゃあなと、ベジットはそれ以上語ること無く、手をヒラヒラさせながら祈祷の間を後にする。

 

 残されたウラノスとフェルズ、共に長き時間を下界で過ごしていた彼等はベジットの言葉に翻弄されていた。

 

「………ウラノス、ベジットは一体どうしてあんな事を?」

 

「分からん。だが、あのヘスティアが見初めた眷族なのだ。悪しき意図があったとは思いたくないが……」

 

 ヘスティアは天界では大神達すら一目置いていた善神、そんな彼女が見初めた眷族ならば彼女に類する善性の持ち主だと思うのは道理。

 

 アストレアの眷族達が強い正義感を秘めた者達で集まった様に……。

 

 だが、それだと益々分からない。何故ベジットの口から黒竜なんて単語が出てくるのか。

 

「────まさか」

 

 まさか、事実として黒竜は既に倒されている?(・・・・・・・) ゼウス? 或いはヘラ?

 

 否、恐らくは……あの男、ベジットだ。

 

「本当に、本当に、そんな事が有り得るのか?」

 

「ウラノス?」

 

 らしくない大神の狼狽えている様子にフェルズも動揺する。

 

 千年前にダンジョンから生み出され、大英雄アルバートに片目を奪われて以降誰にも成し遂げられる事はなかった黒竜討伐。

 

 現在は【廃棄世界】にて封印されている筈の古の竜、ゼウスとヘラの眷族達も総出で掛かっても敵わなかった終末の竜が……既に倒されている?

 

 それも、たった一人の人間に。

 

 バカなと断じるのは簡単だ。有り得ないと否定するのも簡単だ。奴の言っている事は虚言で、異端児の名を出したのも単に興味故の戯れ言である。

 

そう思うのは簡単だ。だが、先の【正邪決戦】と【戦争遊戯】で見せた黄金の炎がウラノスを奇妙な予感を抱かせる。

 

(どうする。ヘルメスに《竜の谷》への調査を………いや、奴も一癖ある神だ。信用はあっても信頼は出来ん。ならばフェルズ? いや、異端児の監視、管理を任せてある以上兼任は難しい)

 

「ウラノス?」

 

 グヌヌと唸り、何か考えを巡らせる大神ウラノス。堂々巡りの議論はその後フェルズを巻き込み、祈祷の間には暫くの間唸り声が聞こえたという。

 

 一方で、ベジットはというと………。

 

「まぁ、流石に分からねぇよなぁ。黒竜討伐と異端児、どっちが世界的に重要かだなんて」

 

 先にヘスティアの待つ本拠地に向けて大通りを歩いていた。

 

 ベジットにとって、黒竜討伐は未だゲームで例えるレイドボスを横取りしてしまったハイエナ行為程度にしか思っておらず、異端児達に関しても同程度の理解しかしていない。

 

 もし仮に異端児達の事が世界に知られても、黒竜討伐の情報で有耶無耶にしてやろ。程度の感覚。

 

『人類と仲良くしたがるモンスターとか出てきたけど、黒竜討伐というめでたい話と比べればそんな大したことないよね』

 

みたいな?

 

「けど、これでウラノス様も多少興味は引かれただろ。ギルドからの報酬は悪くないって噂だし、これでウチも少しは派閥として箔が付くだろ」

 

 仮にウラノスが何らかの方法で黒竜討伐の件を知っても、彼ならばそんなに悪いことはしないだろうし、何なら何時か広がる情報として何らかの布石をしてくれるかもしれない。

 

例えば、ゼウス・ヘラの攻撃により黒竜は既に息絶えていた………とか、そんな形で話を纏めてくれたら此方としては凄く有難い。

 

 レオンも此方を考えてくれる以上、変に干渉したりしないだろう。

 

「ただいまぁー」

 

 何れにせよ、今の自分に出来る事はない。本拠地に帰ってきたベジットは背筋を伸ばし、我が家へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからというもの、ベジット達ヘスティア・ファミリアは比較的穏やかな生活を営む事が出来た。

 

 先の戦いで残った邪神達も悉く送還され、闇派閥も倒された事で地上から姿を消し、それに比例してオラリオの街並みも冒険者の街らしく活気に満ち溢れるようになった。

 

 リリルカもアイズ達も、勝手な行動をした事でそれぞれの後見人(ヘスティアとリヴェリア)から大目玉を食らったが、ベジットの口添えもあり罰は最小限のモノとなった。

 

 罰であるトイレ掃除も終わり、現在はリリルカ、ティオネ、ティオナ、アイズの四人でダンジョンへ探索する事が多くなり、すっかり仲良くなった彼女達を神々の間では《幼女部隊》と、そう呼んでいるらしい。

 

『リリルカたん萌えー』

 

『ティオネ、ティオナたんの姉妹アマゾネス萌えー』

 

『アイズたん萌───『あ“あ“?』ヒェッ』

 

『『『ぅゎょぅι゛ょっょぃ』』』

 

 等々、評判は良く。唯でさえLv.3が三人とそれに近しい実力のLv.2が一緒に行動している為無茶する事も多く、最近では階層主であるゴライアスの討伐を目標にし、日々鍛練に励んでいるのだとか。

 

子供が頑張っているのは嬉しいモノだが、見守る方は戦々恐々の思いである。「もう少し、子供らしく遊んで欲しい」とはロキ・ファミリアのママの談である。

 

 さて、そんな忙しくも楽しい日々の中。今日のヘスティア・ファミリアはと言うと……。

 

「ヤッホー! 来たよアストレア」

 

「良く来てくれたわヘスティア、そして彼女の眷族達。歓迎するわ」

 

 やって来たのは正義の眷族アストレア・ファミリアの本拠地(ホーム)である【星屑の庭】。

 

主神であるアストレアと団長であるアリーゼ、その後ろには眷族達が勢揃いの歓待にヘスティアとベジットは若干気圧される。

 

「本日は来てくれてありがとうヘスティア様、ベジットさん達も」

 

「今日はお招きありがとよ。アリーゼ」

 

「ノイン様の腕、その後は大丈夫でしたか?」

 

「うん。お陰でホラ! この通り!」

 

 団長同士が握手を交わす一方でリリルカは先の戦いで腕が千切れ掛けたノインを気遣う。だが、当の本人は元気に元通りとなった腕を見せて何ともないとアピールする。

 

「本当、一時はディアンケヒト・ファミリア製の義手になるのも覚悟したけど、無事に繋がって良かったよ」

 

「ディアンケヒト・ファミリアの……確か【戦場の聖女(デア・セイント)】でしたか。彼女の治癒術は凄まじい、まさかあの状態の腕を元に戻してみせるとは……」

 

 感心した様に呟くリュー・リオンだが、一部の人間は露骨に目線を逸らしている。ノインの腕が元に戻ったのは確かに【戦場の聖女(アミッドテアサナーレ)】の治癒術の影響も大いにあるが、傷の深さとは対照的に完治する迄の期間が剰りにも短く済んだ。

 

 その原因となっているのは間違いなくあの時にベート・ローガが渡してきた豆にあるのだが………それを指摘するものは此処にはいない。

 

 ただ、ノインの腕の状態を診察したアミッドが、後日ベジットを個別に呼び出したのは………この件とは全くの無関係である。

 

 後に、この時のベジットは語る。

 

『年下の幼女のガン詰め、怖いでござる』

 

「【凶狼(ヴァナルガンド)】も、来てくれてありがとう。正直、今日は顔を見せないと思ってたよ」

 

 あの日、ルドラ・ファミリアの罠に掛かり、黒いモンスターに襲われても、何とか切り抜けられたのはベートの尽力が大きい。

 

 ダンジョン探索に於ける狼人(ウェアウルフ)の死にスキルと言われている獣化の【月下咆哮(ウールヴ・ヘジン)】。

 

それを自在に発現できるベートが生み出した月によって、ネーゼはその時まで戦い続けることが出来た。

 

 そんな彼女からの言葉にベートはウンザリしながら答える。

 

「………あぁ、俺も来るつもりは無かったんだがな。バカ団長が力尽くで引っ張って来やがったんだよ」

 

「ハッハッハッ、男子禁制の女の花園に一人で向かえと? 勘弁してくれよベート君。………絶対に逃がさんからな」

 

 ベートの肩に腕を通し、笑みを向けてくるベジットの目は笑っていない。唯でさえ女性だらけの派閥に向かうと言うのに、男性が自分だけなのは絶対に居心地が悪い。

 

 故に、男女比率のかさ増しの為にベジットは今日何としてもベートを連れ出すことにしたのだ。

 

 そんな、鬼気迫るベジットに引きながらベートは団長の腕を引き剥がす。

 

「んで、井戸端会議に来たワケじゃねぇんだろ? とっとと本題に移れや」

 

「ん! 確かにそうね。それではベジットさん、イヤ師匠! 本日はご指導ご鞭撻の程、宜しくお願いします」

 

 ベートに促され、本題に入る事にしたアリーゼは、ベジット達の手を引いて本拠地を案内する。

 

今日はアストレア・ファミリアとの交流会。その主な目的は自分達の更なる強化、ロキとフレイヤの二大派閥に続き、正義の眷族達もベジットに“気”の伝授をしてもらう事であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあアルテミスは今ヘスティアの所にいるのね」

 

 目の前で自分の眷族が気という力に目覚めていく様子を眺めながら、アストレアは用意された椅子にて隣で座るヘスティアとの会話を吟じていた。

 

「そうなんだ。アルテミスとその眷族の子達も旅の道中で路銀が底を尽いたみたいでさ、宿屋にも住めなくなったみたいだから仕方なくね」

 

 先の作戦で、逃げる邪神達を送還まで追い詰めたアルテミス・ファミリア。オラリオに存在する派閥とは異なる戦力の登場に、闇派閥はそれは泡を食ったという。

 

 そんな功労者を路銀が底を付いたというだけでオラリオから追い出すのも忍びなく思い、天界で世話になった恩を返す意味でも彼女達(・・・)のオラリオでの活動拠点としてヘスティアは自分達の本拠地の部屋を幾つか貸し与えたという。

 

「まぁ、アルテミスは神友だし、彼女には天界の頃から世話になったからね。部屋も空いているし、それくらいは力になるよ」

 

「でも、確かアルテミスって貴方の眷族、ベジットに懸想してるって………」

 

「それなんだよねぇ……」

 

 例の噂はアストレアの耳にも届いており、美の女神アフロディーテとアルテミスが一人の人間の男を巡って争っていたという話は、既にオラリオ中の神々に知れ渡っている。

 

 ベジットという規格外の存在が話の中心で、“あの”アルテミスが恋に目覚めたという事もあって、その界隈では大きな反響を呼んでいるのだとか。

 

 あと、某細目のトリックスターが《恋愛トトカルチョ》なる賭け事を裏で開催しているとか。

 

 その内しばき倒してやると、ヘスティアは心に誓った。

 

「……その割には随分と余裕ねヘスティア。貴方の神友がベジットを狙っているのに」

 

 アストレアの何気無い一言、それを聞いたヘスティアは待ってましたと言わんばかりにその口元を喜悦に歪ませる。

 

 あ、これ長くなる奴だ。アストレアは少し後悔した。

 

「へっへ~、実はもうベジット君から言質を取ってるんだ。『アルテミス様の所は堅苦しそうだし、俺はヘスティアみたいな()の所で緩く冒険者をやっているのが性に合ってる』ってさ~! これもう告白、いや、実質プロポーズだよね!」

 

「………あ、あはは」

 

 頬に両手を当ててイヤンイヤンと体をくねらせる友神にアストレアは軽く引いた。しかもベジットの言っている事は要は口煩い女神ではなく、自他共に認める自堕落なヘスティアとつるんでいた方が都合が良い、という惰性からくる話である。

 

 派閥を建てる主神()にはそれに似た眷族()が集まるという風潮を良く耳にするが、変に共通点のある二人にアストレアはある意味で安心していた。

 

「でもさ、アルテミスも油断ならないんだぜ! この間なんて部屋を間違えたーなんて言ってベジット君のベッドに入ってたんだ! 腕枕をしちゃってさ! 信じられるかい!? 僕だってまだしてもらった事無いのに!」

 

「あらまぁ」

 

「だから僕もその日からベジット君の部屋で寝る事にしたんだ。お陰でベジット君の腹筋、堪能してやったぜグヘヘ」

 

「あらまぁ」

 

 どうしよう、この処女神達ってばすっかり肉欲に溺れかけている。腕枕とか腹筋とかやってることがアレな男神と変わりない事を自覚しているのだろうか? アストレアは訝しんだ。

 

「まぁ、最近ベジット君が寝不足みたいなんだよね。よくベッドから落ちているし……」

 

「…………」

 

 恐らくは、寝相の悪いヘスティアに蹴り落とされているのだろう。憐れベジット、如何に天下無敵でも女絡みのイザコザには敵わないらしい。

 

 因みに、隣の部屋で就寝していたベートは、アルテミスがベジットの寝室に入っていくのを最初に目にした時点で別の部屋に引っ越しを済ませている。

 

 実に判断が早い狼である。

 

尚、リリルカはアルテミス・ファミリアの眷族(全員女性)と仲良くなり、日替わりで抱き枕にされている模様。

 

「そんな訳で、僕達の所は何だかんだ上手くやってるよ。アルテミスにも下界での話を聞かせて貰ってるし、退屈はしてないかな」

 

「────そう、良い日々を送っているのね」

 

「へへへ、そうかもね」

 

 大変で、毎日が賑わっているが、それでも笑っているヘスティアにアストレアもまた微笑んだ。

 

 視線を前に戻せば、早速教わった気で鍛練を励む自分の眷族(子供)達。慣れない力に翻弄され、速攻で体力が尽きたリオンを見て、誰もが笑っていた。

 

 その光景を、アストレアは失くした宝物を見つけた子供のように嬉しく思えた。きっとあの日、アストレア・ファミリアは運命の分岐点に立たされていたのだろう。

 

 事実、作戦の前日にアストレアは夢を見た。

 

 多くの眷族がモンスターに殺され、ファミリアが壊滅し、唯一生き残った【風】が復讐に身を窶す未来。

 

 あの悪夢は、きっと夢ではない。あり得た世界、あり得た現実。復讐に染まった【風】はその日から長く険しい旅路を歩むことを強いられる事になる。

 

 その現実を、ヘスティアの眷族達が打ち砕いて見せた。避けられない運命を皆で乗り越えて見せた。

 

 この景色が何処へ続き、何処に行き着くかはまだ分からない。如何に神たるアストレアも、未来を見通すことは出来ないのだから。

 

でも………。

 

「アストレア様ー!」

 

「呼んでるぜ、アストレア」

 

「えぇ、今行くわ」

 

 見守ろう。いつか来る約束の日、全ての冒険が結実となるその日まで。

 

星の煌めきで彼女達の行く末を照らしていこう。

 

 願わくば彼女達の道に、笑顔の花が咲き誇る事を祈って……。

 

「そう言えばヘスティア、アフロディーテはどうしたの?」

 

「ヘファイストスに献上した。暫くは向こうが預かるってさ。ヘファイストス、笑ってたよ」

 

「─────」

 

 近い内、あの美の女神は送還されるやもしれん。

 

 アストレアは姦しくも美しい女神に黙祷を捧げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RESULT

 

ベート・ローガ

 

Lv.5

 

力 :D585

 

耐久:B705

 

器用:D570

 

敏捷:B712

 

魔力:E403

 

 

リリルカ・アーデ

 

Lv.2

 

力 :A851

 

耐久:C655

 

器用:A878

 

敏捷:A855

 

魔力:A860

 

 

ベジット

 

Lv.1

 

力 :I0

 

耐久:I0

 

器用:I0

 

敏捷:I0

 

魔力:I0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────そうか。皆、無事に帰ってきたか。これもヘスティア、君のお陰なのかな?」

 

 薄暗い酒蔵にて、その神は笑う。優雅に美しく、それでいて……。

 

「あぁ、何時も君はそうだな。いつも、いつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつもいつもいつもいつもいつもいついつも!!」

 

 憤怒。苛立ちと憎しみに満ちた慟哭は、その神の神性を如実に現れていた。

 

「何だあの眷族は!? あんな出鱈目な力を持った人間が、下界にいただなんて反則も良いところだ!」

 

「そんなに私の邪魔をして楽しいのか! 意地汚い女神! 底意地が悪く、卑しい炉の女神めぇ!!」

 

 地団駄を踏む。忌まわしき女神を踏み潰すように、目障りな人間を蹴散らすように。喚き散らしながら暴れるその神は軈て落ち着きを取り戻し、息を荒くしながら乱れた髪を整える。

 

「────だが、それでも私は君達に感謝しよう。お陰で、目当てのモノは探し当てられた」

 

 その顔に微笑みの仮面を張り付けて、神は嗤う。

 

「さぁ、冒険をしよう。私の愛しい眷族達、勝利の美酒(・・・・・)を堪能した後、存分に」

 

 床に打ち捨てられているのは、数多の冒険者達。光を見て、光に憧れ、自身の原典(オリジン)を思い出した彼等はこの日、神の深き慈悲に溺れ……。

 

 

 

 

 

 そして、悲劇は生まれる。

 

 

 

 

 ディオニュソス・ファミリア、探索中に異常事態(イレギュラー)と遭遇。

 

 たった二人の眷族を除き、全員死亡。

 

 

 

 

 

 

 変わった運命と、変わらぬ運命。

 

 覆る悲劇と、修正される悲劇。

 

 選定するのは人か神か、様々な思惑を胸に時の歯車は進み続けた。

 

 

 

 

 






はい。そんな訳で凄く悩みましたが、ディオニュソス・ファミリアは原作通りの流れになりました。

フィルヴィスファンの皆様、済まねぇ。


故にちょっとだけネタバレ。

???「ひ、酷い。ちょっと皆を酔わせて狂乱を見ただけなのに」

???「み、皆殺しだなんて……」

???「救いは、救いはないのか?」



みんな、忍極アニメ楽しみだね!

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