ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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ライドウリマスター、楽しみですねぇ。

自分、超力兵団は未プレイでしたので。

そんな訳で初投稿です。


物語60

 

 

 

 ルノア・ファウストとクロエ・ロロ、共に依頼の“ほぼ”100%の達成率を誇り、各々【黒拳】と【黒猫】の異名を持ち、裏社会では凄腕として名が知られていた。

 

 度重なる依頼、終わらない強者との戦いと殺しの連続に辟易とした二人は、この依頼を最後に足を洗うことに決め、その後は自由気ままに生きていく道を選んだ。

 

 全ては自身の細やかな野望の為、戦いと殺しの日々に疲れていた二人は、とある人物の法外な報酬金額に釣られて実行。

 

 そして………。

 

「どうよ、悪くないだろミア母さん。以前から人手が欲しいって言ってたんだしさ」

 

「馬鹿言うんじゃないよ。誰が人拐いの片棒を担ぐもんか」

 

「「──────は?」」

 

 気付けば、手足を身動きが封じられた状態で、何処とも知れない飲食店の床に座らされていた。

 

 何が起きたのか、どうして自分は此処にいるのか。混乱する頭をフル回転させて二人の暗殺者は自分の身に起きた事を思い出そうとする。

 

 そうだ。自分はあの日、同じ目的の【黒猫】(【黒拳】)と手を組み、高額賞金首である標的を始末しようとした筈。

 

 分け前は均等に半分、二つに割っても一億五千万ヴァリスを貰える筈。仕事が終ればさっさとオラリオから出ていく筈なのに、何故自分はこうして捕まっているのか。

 

 まるで夢でも見ていたような心地。頭で状況を整理しようにも、前後の記憶が不確かなまま。混乱していると……。

 

「お、やっと起きたか。もうとっくに朝だぞ寝坊助め」

 

「あ、アンタは………」

 

「ベジット!」

 

 自分達が目を覚ました事に気付いたベジットが笑みを浮かべて二人を見やる。自分達を見下ろす標的に焦りを覚えた二人は漸く昨夜の事を思い出す事が出来た。

 

 そう、自分達はあの日確かにベジットに奇襲を仕掛けた筈だ。人気の無い海岸沿いを無防備に一人で出歩き、呑気に月を見上げた所を暗闇からそれぞれ高速の一撃を見舞った筈だ。

 

 クロエは毒の付いた刃を、ルノアは握り締めた拳を。それぞれベジットの急所に向けて放った筈。

 

 暗闇からの不意討ち、Lv.1の冒険者程度なら反応すら出来ない速さだった。

 

 なのにその一撃は奴に当たる処か、掠る事すら出来なかった。空を切り、Lv.4の自分達が見えない程の速度で背後に回り込まれ……。

 

『惜しかったな』

 

 最後にその言葉と共に意識を断ち切られた。

 

「見た感じ、お前ら裏の人間だな。闇派閥ではないっぽいが……」

 

「………何で」

 

「あ?」

 

「何で、アタシ達を殺さないニャ」

 

 三億の賞金首としてある程度警戒はしていた。だが、それでも強さが普通じゃない。

 

 自分達を見下ろす黒髪黒目の男、身に纏う衣服からして違和を感じていたが、この男───ベジットは、明らかに違う(・・)

 

 レベルの偽称? それとも特別なスキルや魔法があるのか。どちらにせよ、今の自分達に抗える術はない。既に其処までの気骨はへし折られているのだから。

 

「いや、別に殺す必要はないだろ。なに言ってんだお前」

 

 生殺与奪の権利は既に向こうに握られている。だと言うのに目の前の男は何を言っているんだと、本気で分かっていない風に宣ってきた。

 

「何って、アタシ等アンタを殺そうとしたんだよ? 普通、狙って襲ってきた奴等を野放しには出来ないでしょ」

 

「そうニャ、それが普通ニャ」

 

「そうなの?」

 

「知るか、アタシに振るんじゃないよ」

 

 普段からアレンに殺気を向けられているし、何なら一時期毎日のように命を狙ってきた事もある。目の前の二人の娘より遥かに凶暴な猫を知っているベジットとしては正直別に……という心境である。

 

「まぁさ、お前らってアレだろ? 俺の首を獲って来いって誰かに言われたからそうしたんだろ? なら別に気にしねぇよ」

 

 ルノアとクロエはあくまで依頼されただけの仕事人。自分が憎いとか恨みを持って命を狙った訳でないのなら、ベジットとしては別に気にする必要はない。

 

 命を狙った相手を返り討ちにする処か恩赦を与えようとするのは端から見れば気狂いに近い所業。だがそれはベジットが強いからだ。

 

 命を狙って来た相手を許す程の強さ。傲慢とすら言えるベジットの器だが、その傲慢が許される程にベジットは強い。故に誰もベジットの決定に文句を言えるものはいない。

 

「けど、お前らに限ってはそうはいかない。お前ら二人が生きて戻ってきたら依頼を出した連中は絶対納得しないだろうし、何なら口封じの為に刺客を送り込んで来るんじゃないのか? それこそ執拗に、何処までも追いかけて来てさ」

 

「「……………」」

 

 反論は出来なかった。実際、自分達に依頼を出した闇派閥と繋がっていた商人は既に殆どの財産を失っており、依頼を出す時も鬼気迫る勢いだった。

 

 なけなしの財産を前金として渡してきた以上、結果を示さなければ今度は自分達があの商人に狙われる事になる。

 

 追い詰められた人間は何をしでかすか分からない怖さがある。それが解っているから二人はベジットの言葉に何一つ反論出来ないでいた。

 

「そんなお前らに良い話があるぜ、ここで働けば少なくともそんな生活とはおさらば出来る。無理に戦う必要は無いし、人並みの生活が手に入るぜ」

 

 人並みの生活。その言葉は裏社会での生活に疲れた二人にとって、特効と呼べる程に深く突き刺さる。

 

「ちょっと、アタシはまだ納得してないよ」

 

「良いじゃんか。どうせミア母さんも放っておけないんだろ? 後の事は俺が何とかするから、コイツらを雇ってやってくれよ」

 

「その後始末が怖いから言ってんのさ。アンタの事だからやりすぎて大騒ぎにするんじゃないかってな」

 

「そ、そんな事は……ない筈だよ」

 

「そこは断言するべきニャ」

 

 いつの間にか、他の従業員らしき二人の少女がやって来る。猫の亜人と銀髪の只人の少女、それぞれ呆れた笑みをベジットに向けて近付いてくる。

 

「二人だって、人手が増えるのは大歓迎だろ?」

 

「それはそうなんですけど………ベジットさん」

 

「ん?」

 

「本音は?」

 

 銀髪の少女の目が開かれる。ハイライトが消え、虚無のような眼で見つめてくる彼女は何処か逆らえない圧があった。

 

「えっと……その、人手が増えれば余裕が出来て、俺も気軽にこの店に通えるかなーって」

 

「絶対それが本音ニャ! 正体表したニャ!!」

 

 【豊穣の女主人】の飯は美味い。それこそ毎日だって通っても良い位なのに、大食漢であるベジットが頻繁に来るのは憚られる。

 

 勿論ミアがその程度で音を上げることはないが、従業員である二人としては勘弁願いたい所。リュー・リオンというバイトが一人増えた程度ではカバー出来ない程の千客万来ぶり。

 

 しかし、そんな【豊穣の女主人】に二人も腕の立つ人手が増えれば、店の回転力は格段に良くなる。店の余裕が生まれればベジットもこの店に通いやすくなる。

 

 実に完璧な論理(ロジック)の完成だ。

 

「で、どうする? 反対するならお前らをガネーシャ・ファミリアに突き出す事になるが?」

 

「……実際、アタシ達に選択肢はないじゃんか」

 

「性悪ニャ、性悪男ニャ!」

 

「そうか? 他の冒険者からすれば大分優しい方だと思うが?」

 

 実際、過去にオラリオで腕試しと称して他の上位の冒険者に挑んだ事のある二人は、その時にそれぞれ苦い経験を味わっている。

 

 クロエ・ロロは【象神の杖(アンクーシャ)】、ルノアは【炎金の四戦士(ブリンガル)】にそれぞれ手酷く痛め付けられた事がある。彼等の強さに触れた二人はそれはもう酷いトラウマを植え付けられていた。

 

 ここで意地を張った所で、迎える末路はたかが知れている。なら、此処で一つの区切りを迎えるのも悪くはないだろう。

 

 大人しくなり、頷く二人を見てベジットも笑みを浮かべた。

 

「よし決まりだ。そんじゃあミア母さん、後は宜しくな」

 

「ったく、仕方ないね。後始末の方は任せたよ」

 

「応よ、片が付いたら報告がてら飯食いに来るからな」

 

「クッ、道連れが二人出来たと喜ぶしかニャいか!」

 

「もう、駄目よアーニャ。仮令本当の事でも口にしたら」

 

 最近、この娘も容赦が無いな。二人を受け入れつつも、原因たるベジットに毒を吐くことを止めないシルに苦笑いを浮かべつつ、ベジットは二人の拘束を解いて店を後にする。

 

「おはようございます。………と、ベジットさん。来てたのですか」

 

「おー、おはようリューちゃん。ガレスのおっちゃんから聞いたぜ。Lv.5の昇格、おめでとさん。そんじゃ」

 

「あ、ありがとうございます。………って、あれ? 何か、二人増えてます?」

 

 すれ違い様に新たに第一級冒険者に仲間入りを果たしたリュー・リオンに祝辞を口にしつつ、ベジットは大通り(メインストリート)の奥へと消えていく。

 

 新たに二人の従業員を迎えた【豊穣の女主人】、美しい女性店員の噂は瞬く間に広がり、従業員は日々忙しい毎日を送る事になる。

 

 そんなある日、二人の商人が闇派閥に繋がっているとされ、ガネーシャ・ファミリアに検挙され、すべての財産は没収。商人としての資格も剥奪され、二度と商いが出来る事はなくオラリオから追放される運びとなる。

 

 そんな話は日々忙殺されている二人の耳に入る事なく、彼女達の充実した毎日は続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗殺者二人を無事に更生(?)させ、後始末も終えたベジットは諸々の細かい部分を信頼できる憲兵、ガネーシャ・ファミリアに一任させ仲間達の待つ本拠地へと戻ってくる。

 

「いやー、何だか随分と久し振りに感じるなぁ」

 

 留守にしていたのはザッと1ヶ月未満、その間留守を任せていたアルテミス・ファミリアの団長に礼の挨拶へ向かう。

 

「悪かったなシューラ、アンタ達には本当に迷惑ばかりを掛けちまったな」

 

「迷惑なものか。何度も言うが此方は元々アルテミス様の我儘で押し掛けてしまった立場だ。なのに君達は衣食住の世話だけでなく、こうして強くなる下地を授けてくれた。感謝こそすれ、迷惑と思うことは有り得んよ」

 

 メレン港の土産を手渡し、深々と頭を下げる。そんな同盟相手に広い器で受け入れるのはアルテミス・ファミリアの団長のシューラ。

 

 事ある度に主神(ヘスティア)の護衛や本拠地の留守番を担ってくれる彼女のレベルは4。第二級冒険者でありながら、第一級(Lv.5)も近いと噂される女傑である。

 

 他の団員もLv.2やLv.3だったりと、オラリオに来てからメキメキと頭角を現しつつある。流石は狩人の女神アルテミスに見初められた者達である。

 

 彼女達だけでも並みの派閥なら問題なく蹴散らせる戦力。そんな彼女達も今ではすっかりこの屋敷の住人と化している。

 

「それよりも、君達には本当に驚かされるな。まさか学区に体験学習に招待されるだけでなく、外への野外調査(フィールドワーク)とやらの際に風の精霊と契約を交わしていたとは」

 

 ………どうやら、アリスの件はヘスティア達が上手く誤魔化してくれたらしい。感心したように頷くシューラ。そんな素直な彼女にベジットはチョッピリ罪悪感を覚えた。

 

「ま、まぁな。偶々だよ偶々」

 

「そう謙遜する必要は無いだろう。精霊との契約なんて御伽噺の英雄譚しか知らないからな」

 

 大丈夫かな。アリスの正体が古の風の大精霊だってバレてないかな。感心するように大きく頷いているシューラに対し、ベジットの頭にはそんな懸念しか頭になかった。

 

 自分達の家に帰ってきた筈なのに何だか息苦しい。そんな時、ヘスティア達が帰ってきたベジットを聞き付けて向こうの通路からやって来る。

 

「お帰りベジット君。例の二人の件、終わったのかい?」

 

「あぁ、無事に事が運んだよ。今後はミア母さんの所で働くみたいだから、俺達も今度お邪魔してみようぜ」

 

「全く、あまり迷惑を掛けるんじゃないよ? 僕達まで出禁にされちゃうからね」

 

「へいへい」

 

 助かった。ヘスティアのお陰で話を逸らせた事にベジットは内心胸を撫で下ろした。

 

ベジット(オリオン)、帰ってきたか」

 

「オッス、アルテミス様。只今帰りました」

 

 階段から降りてきたのは、ヘスティアの神友であるアルテミス。改めて自分達の留守の間、本拠地(ホーム)を守ってくれたこの女神にも団長として礼儀を示さないといけない。

 

「この度は俺達が留守の間、本拠地を守ってくれて───」

 

 頭を下げ、礼を述べる────の前に女神の手がベジットの腕に絡み付く。

 

「礼はいい。私達が行ったことが君達の助けになったと言うのなら、その事実だけで充分報われている」

 

 ───ただ、と台詞を繋げるアルテミスの瞳はジッとベジットを捉えて離さない。

 

「我が儘を許されるのなら、次の女神祭で私をリードして欲しい」

 

 ギュッと、体を密着させてくる狩人の女神。神友の大胆な誘いに面食らったヘスティアがワナワナとツインテールの髪を逆立てる一方で。

 

(成る程、狩人に目を付けられた獲物って、こんな心境だったのか)

 

 狩人の女神からのデートの誘い。その意味を今一つ理解できないでいるベジットは、一人呑気にそんな事を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうじき女神祭を控えたある日、リリルカ・アーデはファミリアのお使いとしてゴブニュ・ファミリアの本拠地にてある仕事の依頼を提示していた。

 

 それは以前からベジットが強く要望していた施設の建築依頼。冒険者の武具の鍛冶、その他に建築も手掛けているファミリアにヘスティア・ファミリアの代表としてやって来た。

 

 やって来た………のは、良かったのだが。

 

「あの、どうしてリリはゴブニュ様にお目通りをさせられているのでしょうか?」

 

 小人族(パルゥム)と侮り門前払い───処か、賓客待遇でゴブニュ・ファミリアの主神の部屋まで通されていた。

 

 テーブルの上には菓子類の類いが置かれ、中には如何にも高そうな代物まで置かれている。なのに目の前にいる神は厳格な顔付きをしている所為で、余計にリリルカは緊張していた。

 

「────菓子は嫌いか?」

 

「い、いえいえ! メメメ滅相も! ただ、リリのような木っ端な小人族をどうしてゴブニュ様が直接依頼を受けて下さるのか………少し疑問で」

 

 相手は気難しいと知られる男神。失礼の無いように一つずつ言葉を選ぶリリルカだが、対するゴブニュは煙管を吹かせるだけ。

 

 元々眉間に皺を寄せている厳つい顔をしているモノだから、怒っているのかどうかすら分からない。沈黙する重苦しい空気にリリルカの胃はシクシクと痛みだしていた。

 

「────ヘスティア・ファミリアの依頼、確かに承った。準備が出来次第取り掛かると、団長に伝えておけ」

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

 現在団長のベジットは私用の為に本拠地を後にしている。依頼を出すだけなら団員の人に手渡すだけで良いと聞いていた為、まさかの事態にリリルカは終始混乱していた。

 

 けれど、依頼を受けてくれたのなら話はこれで終わり。この重苦しい空気から逃げ出す為にリリルカは目の前の神から出来るだけ失礼の無いように部屋から退出しようと試みるが……。

 

「その前に、幾つか聞かせて欲しい事がある」

 

「は、はいぃ?」

 

 何故か、目の前の神から呼び止められてしまう。

 

 一体何を質問されるのか。身構えるリリルカだがゴブニュという鍛冶神の質問は別段難しいモノではなかった。

 

 ちゃんとご飯は食べているかとか、風邪は引いていないか、あの出鱈目なベジットに振り回されていないか等々、ヘスティア・ファミリアの内情を探っている訳でもなく、ただただリリルカ・アーデという少女の生活に関する内容だった。

 

「そうか。いや、あのヘスティアの眷族なのだ。その辺りは余計な心配だったな」

 

「アハハ、ベジット様にはいつも振り回されていますけどね」

 

 気付けば、リリルカも目の前の鍛冶神との談笑を楽しんでいた。出されたお茶も、菓子類も勧められるがままに頬張っていると……。

 

「時にリリルカ・アーデ、お主の異名【槍の寵児(リュース)】だが、それ以外の名が広まっていることは知っているか?」

 

「…………えぇ、まぁ。リリとしては不本意ですが」

 

 神々の名付けの他に人類の間で呼ばれているリリルカの異名、【殺戮姫(チャッキー)】なるモノはリリルカにとって触れたくない黒歴史でもあった。

 

「【鮮血魔眼(エリザベート)】、今ではそっちの方が広まっておるな」

 

「なんかパワーアップしてる!?」

 

 何という事か。只でさえ恐れられ、ライラやガリバー兄弟から弄られている異名が更なるパワーアップを経ている。知りたくなかった新事実にリリルカが愕然としていると……。

 

「もし、その名で呼ばれるのが嫌だと言うのなら、これを付けてみるといい」

 

「これは……目隠し(バイザー)ですか?」

 

「あぁ、視界を潰さないよう細工をしている。試しに着けてみろ」

 

 ゴブニュに言われるがまま試しに付けてみると、確かに視界が防がれる事はなく、材質も良いモノを使っているのか、硬い感触の割に肌感は悪くない。

 

 寧ろ着け心地は何故か安心する程に良かった。

 

 流石はヘファイストスと対を成す鍛冶神。感心しながら目隠しを取り外してゴブニュに返そうとするが……。

 

「良い、そいつはお前にくれてやる」

 

「へ? で、ですが……!」

 

「元より手慰みで造った代物だ。お前が使わないと言うのなら、倉の隅で埃を被るだけ。それならばお前のような奴に使われた方が良い」

 

「……………」

 

「それと、もう一つ」

 

「ふぇ?」

 

「暇潰しに打った一振だ。値も銘も付かん程度の一品だが、万が一の予備程度と思ってくれれば良い」

 

「ちょ、ちょま!?」

 

「さて、儂からの話は以上じゃ。それお前達、客人を帰してやれ」

 

「「「アイアイサー!!」」」

 

 色々と突っ込み所はあるリリルカだが、反論する前に唐突に現れたゴブニュ・ファミリアの眷族達によって丁重に本拠地の外へ帰される。

 

 呆然となり、どうすれば良いか分からないリリルカだが、既にゴブニュ・ファミリアの門は閉ざされている。

 

 一先ず帰ることにしたリリルカは、混乱したまま大通りの人混みへと消えていった。

 

「良かったんですか主神様。あの目隠しと槍、相当力を込めて打ってたみたいでしたけど」

 

「構わん。元々………」

 

「え?」

 

「いや、何でもない」

 

 小さいながらも、その身に強き力と魂を宿した少女。そんな彼女の背中をゴブニュはいつまでも見守っていた。

 

 

 

 

 

 





・現在のアストレア・ファミリア。
全員生存している為、ベジット達が外に出ている間しれっとランクアップしている。
アリーゼ、輝夜、リューの三名がLv.5。
他の面々がLv.4になっている。
地味にロキ&フレイヤファミリアに次ぐ強豪派閥である。

・ゴブニュ・ファミリア。
何故か小人族に肩入れしている主神。
今回本拠地の改築依頼をしに来ただけなのにどういう訳か厚待遇にリリ困惑。

主神は手間隙、或いは暇潰しに打ったモノを押し付けたと言うが、目隠しも槍もどうみても一級品の代物。

しかも込められた情熱がヘファイストス以上なのは手にしたリリルカが一番理解してしまった。

後に団長に相談し、流石にタダは不味いと思ったベジットと共に後日菓子折りと数千万ヴァリスを持って伺うが、門前払いをされてしまう。

仕方がないので、後日リリルカは“ニール”の他に予備としてその槍を新たに背負う事になる。

「期待が、期待が重いです!」

尚、後日目隠しを付けたリリルカを目撃した某【勇者】の脳がこんがり焼けてしまうのだが、その話は次の機会に。

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