ELDEN RINGナイトレイン。
難しそうなので自分は様子見。
そんな訳で初投稿です。
・惜しみ無き別れ
「えッ!? アルテミス、オラリオから出ていくのかい!?」
それは女神祭から数日後、日常に戻ったオラリオでのある日。ヘスティア・ファミリアの本拠地の応接間にて、狩りの女神アルテミスは唐突ながらオラリオからの出立を口にした。
「あぁ、ギルドには説明を通している。明日にはこのオラリオから出ていくつもりだ」
「明日だなんてまた急な……何か、リリ達が粗相をしましたでしょうか?」
突然の出立宣言、それも明日という急な話に同席していたリリルカも面喰らう。
自分達が何か不快にさせてしまったのだろうか。女神アルテミスは主神と仰ぐヘスティアの神友、仲良くして貰う事はあっても、不敬に当たるような行動はしてこなかった筈。
あのベートですら、自分が元々狩りを主軸にして生活していた部族であることと、相手が狩りの女神だけあってモンスターを狩る眷族共々、彼女達の強さにはある種の敬意を抱いていた程だ。
しかし、女神アルテミスとその団長はそれは違うと首を横に振る。
「いいや。此処での生活は非常に満足している。オラリオという強くなれる環境下に於いて我々はその中でも群を抜いて恵まれていた。お陰で私共々、団員達は一つ殻を破れたと思う」
団長であるシューラがこれ迄のオラリオでの生活を思い返し、とても充実したモノだと述べる。
では何故? 疑問に思うリリルカの内心を察した様にシューラは続ける。
「それでも、やはり我々は狩りをする生き物なのだと思い知ったのだ。ダンジョンでモンスターを相手にするのも良い、しかし我等はアルテミス・ファミリア。狩りと共に生きるのなら、より自然に身を置くのが道理だと考える」
要は、世界の中心都市とも呼べるオラリオに長く滞在する自分達に疑問を抱くようになったのだと、シューラは語る。
自分達は狩りに生きる派閥。ならばいつまでも神友である女神ヘスティアとその眷族達に甘える訳にはいかないと、眷族皆で話し合った結果である。
「勝手な事を言っているのは重々承知している。ヘスティア・ファミリアにはこれ迄多くの恩を受けてきた。その恩を返せずにいるのは大変心苦しいが……」
「そんな、恩だなんてよしとくれよ。君達がいたお陰でリリ君もベート君も強くなれた。君達が僕を守ってくれたから、ベジット君は二人の育成に力を入れられたんだ」
躍進するヘスティア・ファミリアを当時は多くの派閥が妬み、その杭を打とうとした。しかし彼女達アルテミス・ファミリアのお陰で今日まで無事に過ごすことが出来た。
ベジットやベートが留守の間、三人共揃っていない時も、アルテミス・ファミリアはヘスティアを守り、彼等が帰ってくる
何ならアルテミス・ファミリアがダンジョンに潜った際の成果一割を滞在費と称して寄付してきた。
アルテミス・ファミリアは恩を返せなかったと言うが、それは此方が言うべき事だとリリルカは語る。
「───寂しいです。アルテミス様やシューラ様達にはリリの成長を見守っていただきましたから」
「あぁ、君の、君達の目覚ましい飛躍は我々にとっても大きな活力となった。リリルカ・アーデ、君が第一級冒険者になるのを見届けられない事、それだけが心残りだよ」
シューラもリリルカの目覚ましい成長ぶりに注目し、彼女のこれからの活躍に期待していた一人。本音を言えば彼女が
「済まない。それでも我々は自然の中で生きていくのを選びたいんだ」
アルテミス・ファミリアは狩りの派閥。オラリオに住む多くの冒険者が夢と野心の為にダンジョンに潜る様に、彼女達も自然の中で生きていく事を求めているのだ。
決意が固い彼女達に遂にヘスティアも折れる。これだけ気持ちが固いのなら自分達がこれ以上引き留めるのは無粋だろう。
一瞬、彼女達の出立の原因が先の女神祭の一件と関係しているのかと邪推したが、アルテミスの顔を見る限りその様子はなく、この話自体前々からあったようだ。
「分かった。君達の出立を認めよう。その代わり、今日一日はゆっくりしていってくれ」
「ありがとうヘスティア。………それはそうと一つだけお願いを聞いてくれないだろうか」
「僕と君の仲じゃないか。お願いの一つや二つ安いもんさ」
「じゃあ、
「誰が伝えるかッ!!」
この女神、狩りは狩りでも恋の狩人にジョブチェンジしやがった。神友の過ごした最後の夜、それはそれは賑やかだったという。
そうして、翌日。ベジットを含めた眷族総出でアルテミス・ファミリアの出立を惜しみ無い気持ちで見送るのだった。
因みに、アフロディーテ・ファミリアも後日オラリオを後にする。本拠地での公演がいい加減差し迫っているのだとか。
「なんかアタシの扱いだけ酷くない!? ウィーン、ベジットー! せめてアタシのチッスを受け取って~!!」
「とっとと帰れ!!」
「ブベラッ!?」
「おぉ、スゲェ飛び蹴り」
「ヘスティア様、本当にアフロディーテ様に容赦しないですね」
「そりゃあ泊まらせてやろうって日に夜這いを仕掛けたらなぁ」
チャンチャン。
・大剣
遂に、ベジットの武器が完成した。これ迄ヘファイストスから手加減用の武器として発注していたベジットの武器が、この度遂に完成した。
その報せを聞いて一目散にヘファイストスの本拠地にやって来たベジットは受付に話を通し、案内を引き受けてくれた椿と共に執務室に通じる通路を歩く。
「いやー、まさか俺もヘファイストス様謹製の武器を戴けるなんてなぁ。これも、日頃の行いかね」
オラリオの冒険者なら誰もが憧れるヘファイストス・ファミリアの武具。その中でも主神たる女神ヘファイストスから直接武器を賜れる冒険者は、オラリオと言えどそうはいないだろう。
リリルカに続き自分も作って貰えるとは思っていなかっただけに報せを聞いたベジットは今日までウッキウキだった。
「…………」
ただ、案内役の椿は気まずそうに視線を逸らしている。普段は明るく快活な彼女が大人しい事が流石に気になったベジットはそれとなく理由を訊ねてみた。
「なぁ、何か椿さっきから様子が変じゃね? なんか悪いモンでも食べたか?」
「お前は某を何だと思っているのだ。………いや、そうさな。確かに昼飯の食い合わせが悪かったのかもしれん」
「?」
一瞬ジト目を向けてくる椿だが、すぐに話を終わらせる彼女にベジットは不気味に思った。これから自分は鍛冶神ヘファイストスから武器を受け取るだけの筈、なのにどうして此処まで気まずい空気が生まれるのか、ワクワクしていた気持ちが一転して不安になってきた。
そうしている間にやって来た執務室。椿がノックをしてベジットをつれてきた事を伝えると、扉の向こうからヘファイストスの「どうぞー」と明るい声が聞こえてくる。
「し、失礼しまーす」
「いらっしゃいベジット、待ってたわよ。………って、どうしたのよ、そんな景気が悪そうな顔をして」
良かった。女神ヘファイストスは何時もと変わらないままだった。椿が珍しくしおらしいから、てっきりよっぽどヤバイ代物が出来たのではないかと不安に思っていたから、彼女の変わらない反応にベジットは胸を撫で下ろした。
「いや、何でもないさヘファイストス様。それより俺の武器が出来たって聞いたんだが?」
「えぇ、それじゃあ早速見て貰いましょうか」
そう言って執務室に備えられた仕掛けに手を伸ばすと、部屋の一部が解放され、彼女の工房が姿を現した。
鍛冶に使われる武骨で頑丈な机の上には、ベジットの背丈に迫る程の大きな木箱が置かれている。ヘファイストスに促されるまま箱の蓋を開けると、見事な一振の大剣が詰め込まれていた。
「おぉ……!」
それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた。大きく、分厚く、大雑把。一切の装飾など度外視した、ただ相手を斬り、叩き潰すだけの鉄の塊。
【ドラゴンころし】。前世の漫画で幾度も目にした一品がそこにあった。
マジでこれ俺が貰っちゃっていいの? 目をキラキラさせながらヘファイストスに視線を向ければ、彼女も笑みを浮かべながらどうぞと促した。
流石は鍛冶神ヘファイストス。こう言うので良いんだよこう言うので。男の子のロマンを解する女神にベジットの中の好感度が爆上がりした瞬間である。
さぁ、この剣を手に取り改めてベジットの大冒険活劇の始まりだ。意気揚々に剣の柄を握り締めて持ち上げると………。
「………………あれ?」
その感触に違和感を覚えた。
手にしているドラゴンころしなる大剣、それは大きく分厚く、いっそ大雑把過ぎる程に大雑把な大剣は───なんか、ビックリする程軽かった。
「あの、ヘファイストス様?」
「ん、なぁに? 一応あなたの好みに合わせた仕上がりにしてみたつもりだけど?」
「いや、うん。見た目は好みにドストライクよ? でもさ、なんか軽くね?」
普通こう言う大剣って何十キロも重さがあって、場合によっては1トンに迫る物理法則を無視した重さになったりするモノじゃないの? ベジットは訝しんだ。
不思議に思ったベジットが訊ねると、ヘファイストスは口に含んだ煙管の煙を吐いて……。
「そりゃそうよ。言ったじゃない手加減用だって」
「いや、そうだけどさ。その場合普通重くなるもんじゃないの? これ、頗る軽いんだけど」
両手処か片手の指二本で事足りる程の圧倒的軽さ。なにこれ天使の羽かな? この大剣発泡スチロールか何かで出来てらっしゃる?
「あのね、重い武器ってのはそれだけで凶器なの。振り回しただけで殺傷する代物を手加減用にはできないわ。そもそもアナタにとってどれだけ重かろうと大した問題にならないでしょ?」
ぐうの音も出ない程の正論。いや、それでもこれはあんまりだろう。
「ハッ、まさか椿がいやに大人しかったのは……!」
「んっ、フフフ。いや済まんベジット。主神殿から口止めされていてな」
これ迄変に大人しかった椿に視線を向ければ、笑いを堪えているのが見えた。この野郎、ベジットは自分の剣を見て吹き出す椿に青筋を浮かべる。
「まぁ、確かに重さは無いけどその分使い方を極めれば相当な切れ味になるわよ。アナタなら使いこなせると見込んで仕上げたつもりだけど?」
案にお前ならそこらの棒きれでも一端の剣士になれると太鼓判を押されたのだが、ベジットとしては複雑な心境。
普通に振り回してはゴブリンも満足に倒せない武器だが、鍛冶の女神に其処まで言われては使いこなすしかない。
仕方ないなと結局この大剣を買うことにしたベジットは備え付けのホルダーを身に付けて背中に大剣を背負う。
そうだ、大事な事を聞き忘れた。折角こんな立派な大剣を打ったのだ、気になったベジットはこの大剣の銘を聞くことにした。
「ヘファイストス様、この剣の銘は?」
「
「デラックス!?」
「お値段は500万ヴァリスね」
「地味に高ェ!?」
「カッカッカ! 日頃の行いじゃのうベジット」
うるせぇやい。念願の武器を手に入れたベジットは、不貞腐れながら【ヴァルカの紅房】を後にするのだった。
・武神到来
ある日の本拠地【竈火の館】にて。
「武神タケミカヅチだって?」
「うん、ギルドからの手紙でさ、ついこの間オラリオに来たらしいんだ。なんでも出稼ぎに来ていてさ、都合がある時にでも顔を出しておこうかなって」
「タケミカヅチ様って、ヘスティア様が天界の頃より友好関係のお方なんですよね?」
「うん、下界に来てからは極東の国家系ファミリアに所属していたみたいだけど、タケの所は末端の末端らしくてさ。オラリオに一稼ぎをしに来たって感じ」
「はー、国家ぐるみのファミリアとかあんのか」
「確か、アストレア・ファミリアの【大和竜胆】も極東出身だったな」
「よし、じゃあ今から顔出しに行こうか。ヘスティア、タケミカヅチ・ファミリアって今は何処に拠点を構えてるんだ?」
「えっとね、“
「分かってる。失礼な事はしねぇよ」
(やるだろうな)
(やるでしょうね)
(絶対やるな)
ヘスティアの友神である武神タケミカヅチ。武の神と知られるタケミカヅチに興味を引かれたベジットは仲間達と共に長屋へと向かう。
Q.アルテミス・ファミリアとアフロディーテ・ファミリア、オラリオから出ていったの?
A.元々急に押し掛けてきた派閥であり、まだ時期が闇派閥の生き残りを討伐する前だったから、戦力的意味合いも含めてギルドから黙認されてきた。
しかし闇派閥も倒れ、オラリオの日常を過ごすに連れて自然の中での狩猟生活を寂しく思い、団員達と相談した結果一度オラリオから離れる事を決意。
とは言え、主神共々いずれ再びオラリオに舞い戻るつもりでいる為、オラリオから離れる際ヘスティア・ファミリアの本拠地近くの土地をこれ迄のダンジョンでの稼ぎを使って買い取っている。
尚、ヘスティア達はその事を知らない。
Q.アフロディーテ・ファミリアは?
A.普通に公演があるから。流石にサボりすぎた。
一応、ヘファイストスからこれ迄の働きで御祓は済んだと認められている。
「次こそは絶対アンタの唇戴くんだからね~!」
「一種のテロ宣告じゃねぇか」
~武器紹介~
・【DXドラゴンころし】
その武器は剣と言うにはあまりにも大きすぎた。大きく、分厚く、大雑把。男の子ならば一度は担いでみたいグレートソード。
尚、その剣はメッチャ軽く。何なら駆け出し冒険者でも振るえる代物だった。
これだけ重厚そうに見えて軽いとか、一種の魔法だろう。マトモに振ればゴブリンすら斬れないなまくらだが、ベジットが振るえば
特に光ったりしない。しいて言えばベジットが光らせる。
次回もこんな感じで短編形式でパパッと進めていく予定です。
いい加減原作に入りたいんじゃ