ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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今回で一先ずの区切り。

内容が飛び飛びですがよろしくお願いします。

そんな訳で初投稿です。


物語64幕間その2

 

 

 

 ・VS武神

 

「良く来てくれたヘスティア、そしてその眷族達。俺がタケミカヅチ・ファミリアの主神、タケミカヅチだ」

 

「お初にお目にかかります。自分はヘスティア・ファミリアの団長を努めさせて戴いておりますベジットと申します。武神タケミカヅチ様には主神ヘスティアより伺っております」

 

 オラリオの、主に経済面に厳しい派閥や人々が暮らしている“仮住居の長屋(タウンハウス)”にて、ベジット達は主神であるヘスティアと永く神友である武神タケミカヅチの下へ訪れていた。

 

 相手は天界の頃より親しい間柄とされる神。無礼な態度は取れないと前世から培ってきた対応力を発揮したベジットが正座したまま深々と頭を下げる。

 

「べ、ベジット君があんなに丁寧に頭を下げているぅ!? リリ君、今日の朝食の当番は君だったよね!?」

 

「ざ、材料に問題は無かった筈ですよ!? どれも朝の市場で買ってきた代物ですし」

 

「腐ったものを食っても平然としている奴だ。今更食い物ぐらいで───まさか、何処かで呪い(カース)でも受けたか?」

 

「聞こえてんぞお前ら」

 

 背後でベジットと同様、慣れない正座に四苦八苦している仲間達の声が聞こえてくる。仮にも団長相手に失礼な態度のベート達に青筋を浮かべるが、対面に座しているタケミカヅチは愉快そうに笑い出す。

 

「ハッハッハ、面白い眷族(こども)達じゃないか。ヘスティア、良い縁に巡り会えたな」

 

「あはは、うん。それは僕も常々そう思うよ」

 

「我々ヘスティア・ファミリアは、タケミカヅチ・ファミリアとは同盟は兎も角、善き隣人でいたいと存じます。リリ、アレを」

 

「は、はい」

 

 来る途中、小さな菓子店に立ち寄り手頃な茶菓子を買ってきておいたそれをタケミカヅチに渡す。値段も高級すぎず、けれどオラリオに来たばかりの派閥には少しだけ手が届き辛い一品。

 

 清貧を是とする派閥でも、これくらいの贅沢は許されるだろう品にタケミカヅチはウムと目を通し、脇に控えていた大柄の少年に手渡す。

 

「そちらの気遣い、有り難く頂戴しよう。さて、それでは本題に移るとしようか」

 

「え?」

 

「本題?」

 

 今回はただの顔合わせの筈、なのに一体本題とはどういう事なのか、主神の神意に今一つ理解できないでいる武神の眷族達は揃って頭に疑問符を浮かべる。

 

 ヘスティアもどういう事なのか良く分かっていないようで首を傾げているが、リリルカとベートはやっぱりなと苦笑いを浮かべている。

 

「本題、ですか? 申し訳ありませんが自分には何の事か───」

 

「三味線を引くのは其処までにしよう」

 

 惚けるベジットにタケミカヅチがピシャリと言い放つ。普段温厚な主神とは異なり、好戦的なタケミカヅチを前に彼の眷族達は初めて目の当たりにする主神()に瞠目する。

 

「お前が俺の前に現れた時点で理解したよ。()りたいんだろ、俺と」

 

 立ち上がり、静かな圧をベジットに向けて放つ。オッタルやフィンとは違う薄く、けれど確かに感じ取れる重圧(プレッシャー)

 

 下界に降り、身体能力は恩恵のない一般市民と変わらない筈の神が、此処までの闘気を滲み出せるモノなのか、ベートもリリルカも生唾を呑み込む中。

 

「───やはり、分かりますか」

 

「分からいでか。そんなやる気に満ち溢れさせて、知らん振りする方がおかしい」

 

 不敵な笑みを浮かべるベジットに、タケミカヅチもまた笑う。快活に笑う二人の声が長屋に響く中、ベートとリリルカはやはりかと手で顔を覆った。

 

 そうしてタケミカヅチの了承の下、裏庭に立ち合う両者。ベートやリリルカ、ヘスティアが縁側に座り事の成り行きを見守る一方、タケミカヅチ・ファミリアの眷族達もハラハラした様子でベジットと主神へ視線を行ったり来たりさせていた。

 

「やる前に一つ聞かせてくれ、お前が何故其処までやる気にさせたのか。単に俺が武神だから───なんて、そんな単純な話でもないんだろ?」

 

「その通り。つっても、其処まで難しい話じゃない。アンタの実力を直接知りたいと思ったのは、アンタの眷族達を見たからさ」

 

「桜花達を?」

 

 ベジットが真にタケミカヅチに興味を抱いたのは、彼の眷族達を一目見た時だった。彼等彼女等は冒険者に於けるステイタス、【神の恩恵(ファルナ)】の枠に収まらない“技術”といわゆる“駆け引き”なるモノを修めている。

 

 等級はLv.1でありながら、純粋な実力やら同レベルの相手には圧倒するだけの実力が彼等にはあった。それは、そのままベジットにすら出来なかった事でもあった。

 

「未だ若い彼等を彼処まで鍛え上げたその手腕、認めざるを得ない。そして願わくば──」

 

「それらを直接俺から盗み取りたいと? 全く、呆れる程に貪欲な漢だな、お前は」

 

「気に入りませんか?」

 

 つまり、ベジットは武神と謳われるタケミカヅチの武を余すところ無く全て自分のモノにしたいという。

 

 剰りに不遜、余りに不敬。かの極東の貴族達に知られれば憤慨間違いなしなベジットの態度。

 

 しかし、そんなベジットを前にして尚タケミカヅチは愉快に笑う。

 

「まさか、大好物だとも

 

 思わず、荒ぶる武神の側面が強く出てしまう程に。

 

「であれば、これ以上の言葉は不要だろう」

 

「えぇ、であれば存分に………」

 

 ふと、両者は唯一立ち合いの見届け人である大柄の少年に視線を向ける。合図をしろと訴えてくる両者の視線に晒された桜花なる少年は、ゴクリと唾を呑み込みながら右手を上げて……。

 

「そ、それでは────始め!!」

 

 その言葉と共に振り下ろす。

 

 合図と共に動き出すのかと、固唾を呑んで見守る一同。しかし予想していた展開とは異なり、試合が始まった今でも二人の間合いは変わらず動かなかった。

 

「二人とも、動かないね」

 

「えぇ、二人とも相手の出方を伺っているのでしょうか?」

 

 目を前髪で覆った少女と、サイドテールの少女が目を逸らさないまま両者を見ている。

 

 だが、二人の間合いは未だ開いたまま。

 

 このまま時間だけが過ぎていくのか、とそう思った時だ。

 

「───違う」

 

 その言葉を発したのは、ヘスティア・ファミリアの小人族(パルゥム)であるリリルカ・アーデ。自分達とそう歳が変わらないのに既に第一級(Lv.5)に片足を突っ込んでいるとされている強者。

 

 そんな彼女が大粒の汗を額から幾つも流しながらうっすらと眼を紅くさせて呟く。違うとは何なのか、断片的な情報に少女達が困惑している中。

 

「もう、始まってやがる」

 

 リリルカ同様、額に汗を流しているベートが目を皿にして見つめている。既に戦いは始まっていると、真剣な眼差しで見つめている二人にまさかと思った少女達が改めて両者に視線を向けると……。

 

「「「ッ!?」」」

 

 うっすらと、何か───残像? の様なモノが幾つも浮かび上がっては消えていく。軈て靄だったそれは徐々に形をなしていき、人の形へと変わっていく。

 

 それは、間違いなくベジットとタケミカヅチだった。残像でも、幻術の類いでもない。下界に於ける武に突出した神と人の闘争は二人のイメージ像(ビジョン)として映し出されていた。

 

 タケミカヅチが突きを放ち、ベジットがこれを捌く。返しにベジットが蹴りを放てばタケミカヅチがこれを受け流す。

 

 直接的に戦っている訳ではなく、(ビジョン)による闘争。しかしそのリアル過ぎる像はそのまま二人の体に影響を及ぼした。

 

 虚像のタケミカヅチの蹴りがベジットの頬を掠めれば、実在のベジットの頬に跡が付く。

 

 逆に虚像のベジットの抜き手がタケミカヅチの脇腹を掠めれば、彼の神の胴着に切れ目が入る。

 

 少しずつ、少しずつ互いに傷が増えていく。その不可思議な現象に何も見えていないヘスティアだけが困惑していた。

 

 だが、視えているだけで理解が追い付けないベート達はただ像だけで戦う二人に圧倒されていた。

 

 彼等が繰り広げているのは一つの武の極致。一人の人間が生涯を掛けて漸く其処へ至れるかどうかのレベル。

 

 武の頂点とも呼べる神の一柱と自分達の団長が互角以上に渡り合っている。その事実にリリルカは圧倒され、その現実にベートは歯を食い縛った。

 

 さて、そんな二人の闘いは唐突に終わりを迎える。未だ闘っている虚像(ビジョン)とは異なり、実在のベジットがいきなり間合いを詰めて来たのだ。

 

 此処へ来て咄嗟の不意打ち!? ベジットの行動に目を見開く一同だが、ベジットの手がタケミカヅチの間合いに入った瞬間。

 

 武神タケミカヅチはベジットの手首を掴み、一切の力みなくベジットを放り投げる。

 

 宙に舞うベジット、しかし彼は次の瞬間態勢を整えて、クルクルと回りながら地面へ着地。

 

「いやー、参った参った。流石は武神タケミカヅチ様だ。見事に完敗しちまったぜ」

 

 振り向き、嬉しそうに笑いながら自身の負けを告げるベジットにベートとリリルカは唖然とした。

 

「負け………た? ベジット様が?」

 

 信じられない様子で呟くリリルカ。だが、対するタケミカヅチは呆れた様子で溜め息を吐き。

 

「抜かせ、自分から飛び込んで来ておいて良く言う。あのまま続けていたら俺の体力が尽きていただろうに………せっかちな奴だ」

 

「そうでもねぇさ。アンタの鉄壁さにやきもきしていたのも事実だし、仮にそうだとしてもタケミカヅチ様の体力が尽きる前に攻めきれなかった俺の負けだ」

 

 時間にして五分も満たない時間。しかしその間に相当なやり取りがあったのだろう。良く見れば武神タケミカヅチは大量の汗を流し、肩で息をしている一方で、ベジットはうっすらと一滴の汗を流す程度。

 

 端から見てはどちらが勝者か分からない。

 

 しかし、ベジットが負けを認めている以上事実としてそうなのだろう。

 

 勝者は自分達の主神であるタケミカヅチ、けれどだからといってベジットが格下だと言われれば誰もが首を横に振るだろう。

 

 何せタケミカヅチは純粋な一対一ならば第一級冒険者ですら投げ飛ばす武の化身。その彼と互角以上に渡り合ったベジットを侮る者はこの場には誰一人としていなかった。

 

「ありがとうタケミカヅチ様、お陰で俺も視野が少し広がった気がするよ」

 

「フッ、また来ると良い。その時は改めて決着を着ける事にしよう」

 

 互いにそれとなく手を差し出して握手を交わす。一時はどうなるかと思っていた交流だが、どうやら上手く言った様だ。

 

「しかし、まだ昼間なのにすっかり汗をかいてしまったな。水浴びしたいが節約しておきたいし」

 

「あ、ならウチに来ます? この間ウチの本拠地に檜風呂が出来たんで、汗を流していって下さいよ」

 

「お風呂!?」

 

「ちょ、命ちゃん!」

 

「食い付きすぎだ」

 

「い、良いのか?」

 

「無理を言って付き合わせたのはこっちだし、それくらいは。良いよな、ヘスティア」

 

「あぁ、タケ達とは今後も仲良くしておきたいしさ。これも交流って事でおいでよ」

 

「そうか。ならばお言葉に甘えるとしようか。皆もそれで良いな?」

 

「「「はい!」」」

 

 こうして、タケミカヅチ・ファミリアとの初の交流会は大成功で幕を閉じるのであった。

 

 

 

 

 

 ・未知との遭遇(n回目)

 

 ダンジョンの中層付近。リヴィラの街を超え、鬱蒼とした森林が生い茂る【大樹の迷宮】にて、20階層までやって来たベジット達は人語を解するモンスターである異端児(ゼノス)達と邂逅していた。

 

「おぉー、てっきりリドとレイの二人だけかと思ったが、結構いるもんだな」

 

「おーいベジッチ、久し振りだなー! 仲間の二人も良く来てくれたな!」

 

「あ、どうもお邪魔します」

 

蜥蜴人(リザードマン)もいるのか。ベジットじゃねぇが、確かに多種多様だな」

 

 黒衣の魔術師(フェルズ)の案内でやって来たのは20階層にある未開拓領域。辿り着いた場所は異端児達が人知れず静かに暮らしている領域。

 

 仲間達にバレてしまい、だったらもう隠す必要は無いなと、フェルズに顔合わせの場を取り持つ事を頼んだ。

 

「悪いなフェルズ、無理を言って案内してくれて」

 

「そう思うならもう少し慎重に行動してくれ。何でバカ正直に手紙で伝えようとするんだ」

 

「イヤだって、俺ウラノス様への連絡の仕方とか知らねーもん。直接伺おうとしても職員の人達に止められるし」

 

「それは───確かにそうだな。今後何かあった時の為にその辺りの対策を考えておくよ」

 

 黒衣の魔術師ことフェルズは、その昔何とかって学院で賢者の石を生み出して自らも不死の(・・・)出来損ない(・・・・・)として生きている逸脱者である。

 

 外見はまんま骸骨(スケルトン)。ベジットから見れば異端児達よりこのフェルズの方が余程おかしい存在に見えるのだが………今は横においておく。

 

 折角の未知との遭遇。この交流を楽しまなければ損と言う事だ。

 

 異端児は人間に対して興味があるのか、非常に友好的で、ベジット達を見る目も興味で満ちている。自分達を見ても受け入れてくれる人間など、これ迄出会った事がないのだろう。

 

 早速歓迎の宴でもしようと、リドが主催として盛り上げようとした時。

 

「俺は反対だ!」

 

 一体の石竜が声を上げる。

 

「何故人間達と仲良くする必要がある。フェルズ、俺達を売るつもりか!?」

 

「お、おいグロス、何を言ってるんだよお前!」

 

「リド達こそ、どうして人間をそうも簡単に信じられる!? 何度騙されれば気が済む!! 我々がこれ迄人間に苦渋な思いをしてきたのか忘れたのか!!」

 

「そうなの?」

 

「あ、うーんと。どうだったかなぁ」

 

「何を和やかにしてる!!」

 

 グロスなる石竜はどうやら人間と融和を結ぶのは反対らしい。これ迄の人類の歴史にある人間とモンスターの関係性を考えれば仕方の無い話だが、それをモンスター側が指摘するのは何とも不思議な話である。

 

「で、でもラーニェだってそこの狼の兄ちゃんのお陰で回復したってんだろ? なら、少し位話を聞いても……」

 

「そうやってすぐ騙されるのがお前の悪いところだぞ、リド。その甘言に踊らされ、狩られた同胞を何度も目にしてきた筈だぞ!」

 

「ベート、何をしたって?」

 

「そこの蜘蛛女の口に“仙豆擬き”を放り込んだだけだ」

 

「ベジッチ、仙豆擬きって?」

 

「これ。一粒食べれば大抵の怪我が治って体力も回復する俺特製の豆。一応何個かやるよ」

 

「え、え、いいのか?」

 

「いいよいいよ。ほれ、そこのアルミラージ君もお一つどうぞ」

 

「キュッ!?」

 

「話を聞けェッ!!」

 

 ツッコミ疲れて肩で息をする石竜、そんな彼をリリルカは「苦労しそうだなー」と、何となく親近感を抱いていた。

 

 グロス(石竜)人蜘蛛(ラーニェ)の様な人類に対して懐疑的な意見を持つ異端児が警告を発する一方で、ベジット達は割りとスンナリ異端児達の事を受け入れていた。

 

 けれど、ここに納得……というより、今一つ腑に落ちない者がもう一人。

 

「待ってくれ!!」

 

「ん?」

 

「あ?」

 

「どうしたフェルズ?」

 

 ベジット達ヘスティア・ファミリアとゼノスを引き合わせた張本人、フェルズが酷く動揺した様子で待ったを掛ける。

 

「どしたんフェルズ、お前も“仙豆擬き”欲しいんか?」

 

「いや、それも大変気になるがそうではない! ベジット、ベート・ローガ、リリルカ・アーデ。君達は三人とも異端児(ゼノス)とは初めて逢ったんだよな!?」

 

「え? まー、うん。俺は以前リド達を助けた時が最初だったな」

 

「あの時は本当二助かリました」

 

「私とベート様はそこのグロス様とラーニェ様でしたね」

 

「───フンッ」

 

「その割には君達、随分と簡単に受け入れていないか?」

 

 正直、ヘスティア・ファミリアと異端児達が此処まで友好的な関係になれるとは思っていなかった。グロスやラーニェ、一部の異端児は未だ警戒心を抱いているが、リド達人間に興味がある異端児はすっかり心を開いているし、なんならリドがベジットと肩を組んでいる。

 

 他の二人もそうだ。モンスターから渡された果実やら飲み物を何の抵抗もなく口にしているし、普通に受け入れている。

 

 これ迄人類にとっての絶対悪として存在していたモンスターと唐突に融和を結ぶなんて土台無理な事を、目の前の冒険者達は成し遂げている。

 

 故に、フェルズは疑問を口にする。何故そうも受け入れられるのか。

 

 包まれる静寂。ベジットは何て説明したら良いか分からず唸っている一方、ベートとリリルカは互いに顔を見合せ………。

 

「「経験」」

 

 その一言に込められた意味をフェルズが知るのはもう少し先の未来の話である。

 

 

 

 

 

 ・これ迄とこれから

 

 

 

 それは、とある昼下がり。ベートもリリルカも出掛けていて珍しくベジットが留守番をしていた時。

 

 中庭で仰向けに寝転び、青空に浮かぶ雲を眺めていると、様子を見に来たヘスティアが覗き込んでくる。

 

「やっほーベジット君、お隣失礼するぜ」

 

「おーう」

 

 ベジットに倣い、隣でゴロンと寝転ぶ女神。仮にも神がそんなグータラしてて良いのかと思わなくもないが……澄み渡る青空を目にしてはたまにはいいかと思う。

 

「ベジット君」

 

「あんだー?」

 

「色々、あったねぇ」

 

「………そうだなー」

 

 思い返すのはこれ迄の日々。最初はベジットとヘスティアしかいなかったのに、ロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリア、他にも多くのファミリアと神々、そして人を通じて今日まで活動してきた。

 

 オラリオに来てから沢山の出会いがあった。その一つ一つが記憶に残る程に強烈で、同時にワクワクしていた。

 

 これからオラリオはもっともっと多くの出会いで溢れかえる場所になるだろう。その出会いが自分達に何をもたらし、どんな未来を形にしていくのか。

 

 考えただけでワクワクする。

 

「ヘスティア」

 

「なんだい?」

 

「これからも俺、沢山迷惑を掛ける事になると思うけどさ」

 

「黒竜討伐や異端児よりも?」

 

「それは分からん」

 

 ブフッと噴き出す。流石にこの二つ以上のでかい話は早々起きないだろう。

 

「まぁでも、ベジット君だからね。そこら辺はもう諦めてるよ」

 

「なんか、悪いな」

 

「良いって。そんな君が僕は大好きなんだから」

 

「──────」

 

「お、照れてる」

 

「喧しい」

 

「アタッ」

 

 意外とウブな眷族、からかうように笑うヘスティアの頭に軽めの手刀(チョップ)が落とされる。

 

「なぁヘスティア」

 

「なんだーい?」

 

「これから、どんな出会いがあるんだろうな」

 

 どれだけ強くなろうとも、ベジットの向けられる興味は一つだけ。

 

 先行きの見えない未来。そこで待つ多くの出会いと可能性に既にベジットはワクワクしていた。

 

 そんな子供のような眷族にヘスティアは微笑み。

 

「さぁ。それは神々(僕達)にも分からない未知さ。でも………」

 

「でも?」

 

「その出会いは、決して間違いではないと思うよ」

 

  起き上がり、自らの膝の上にベジットの頭を乗せて、空を見上げるヘスティア。

 

「だな」

 

 ヘスティア達の頬を、優しい風が撫でていく。

 

 

 

 

 

 

 

RESULT

 

ベジット

 

Lv.1

 

力 :I0

耐久:I0

器用:I0

敏捷:I0

魔力:I0

 

《魔法》

 

【】

 

【】

 

【】

 

《スキル》

 

【瞬間移動】

 

・あらゆる物理的干渉を受け付けず、気を探知した人物、或いは神物の下へ任意で瞬時に移動する。

 

・効果適用範囲は本人の技量に依存する。

 

【神ノ気】

 

・神の気を獲得できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────それから、少しの月日が流れて。

 

「此処が、冒険者達の街! 迷宮都市オラリオ!」

 

 一人の兎のような白い少年が、オラリオの門を叩く。

 

「見ててお爺ちゃん、お婆ちゃん! 僕、きっとお義母さん達にも負けない冒険者になるよ!!」

 

 新たな出会い、新たな冒険の幕が開かれる。

 

 

 

 





Q.タケミカヅチ・ファミリアとの今後の関係は?

A.主神同士が友神な為非常に良好。タケミカヅチの眷族達にも“気”を教えた。
ただタケミカヅチ・ファミリアはもともと神の恩恵に頼らない技術を習得してきた為、ベジットの教える“気”とは過去一相性が良かった模様。

今後、ベジットをもう一人の師として仰ぐ姿が見られるかも?


Q.異端児との関係性は?

A.ヘスティア・ファミリアの誰もがそこまで気にしていない為、顔合わせは普通に済ませられた。
何なら今後はダンジョンから生まれる異端児を率先して保護してくれる約束を団長(ベジット)自らしてくれて、ベートもリリルカもそんなに気にする様子はなかった。

「なんか、物分かり良すぎないか?」



・オマケ劇場『とある妖精(エルフ)の憂鬱』


 私の名前はレフィーヤ・ウィリディス。

 この度無事に【学区】を卒業し、オラリオでも最大派閥の一つである探索系の派閥ロキ・ファミリアへ所属する事が決まりました!

 憧れのアイズ・ヴァレンシュタインさんの様な冒険者になる為、今日も全力で頑張ります!

「此処がディアンケヒト・ファミリアのある大通り、遠征時や遠征後も顔を出す時があるかもだから、覚えておいて」

「は、はい!」

 最大手の派閥であるロキ・ファミリアに所属して1週間、現在私はアイズさんの案内でオラリオの要所を巡っている最中である。

 ウヘヘ、アイズさんと二人っきり。美しくて強くて、【剣姫】であるアイズさん。

 そんなアイズさんを今日は丸1日独占できる! ああ、私はもう死んでも良いかも!!

「いやレフィーヤ。私達もいるんだけど?」

「完全に自分の世界に入っちゃってるわね」

「ヒャッ!? す、スススススミマセン!! 完全にお二人の事忘れてました!」

「うーん素直」

「此処まで来るといっそ清々しいわね」

 いけないいけない! 今日はヴァレンシュタインさんだけでなくヒリュテ姉妹のお二人にもご足労されているのだ。現を抜かしている場合じゃなく、ちゃんと教わったことを覚えなければ!

 ……何て言っても、やはり心の何処かで浮わついた私がいる。だって、目の前にいるのは世界にその名を轟かせているのは若くして第一級冒険者となっている人達。

 ヴァレンシュタインさんに至ってはあの暗黒期の時代に幼い年頃から前線で活躍していたとされ、凄まじい戦果を挙げているとされている。

 強く、美しく、そして私のような未熟なエルフにも優しくしてくれる。正にクールビューティの化身。そこいらの女神なんて目じゃない程の───。

「ベジット!」

「──────え?」

 何か、ヴァレンシュタインさんから凄い弾んだ声が聞こえたような?

 其処には、オラリオでは見掛けない黒髪の男性に笑顔を振り撒きながら駆け寄っていくヴァレンシュタインさんの姿ガガガ!!!??

「あ、アイズ君じゃないか。久し振りだね」

「ヘスティア様もお久し振りです」

「いやー、ここ最近見掛けなかったが随分と見違えたじゃねぇか。背も伸びたし………今何セルチだっけ?」

「うん。この間160c越えたんだ」

「いやー、子供の成長は早いねー」

「アが、アガガガガ!?」

「レフィーヤ、凄い顔をしてるよー?」

「完全に脳が焼かれた顔ね」

 この日、レフィーヤ・ウィリディスは知る。

 自身が敬愛している美しき【剣姫】が一人の男性に見せる童女の様な笑み。その笑みは自分に向けられる事は無いのだと知り。

その脳をコンガリと焼かれる事になる。

 
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