ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?   作:アゴン

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今回の話しは賛否両論かもしれません。

でも、書きたかったんや。

そんな訳で初投稿です。


物語66

 

 

 

 その日のオラリオは、何時もより何処か陽気で空もお天道様が燦々と輝いていた。

 

 遠巻きから聞こえてくる人の喧騒も心地よく、何だか今日は根拠もなく良い日になれると、そう思っていた。

 

「リリルカとベートはダンジョンだし、ヘスティアもバイト。アリスも護衛に回ってくれていて、今日の俺は珍しく何もない日、と」

 

 二人の気が健在なのは【竈火の館(ここから)】でも感知出来てるし、元々風の大精霊だったアリスもそこいらの冒険者なら蹴散らせる強さを持っているし、風を操って姿も消せるから主神の護衛には何気に最適な人材だったりしている。

 

「これも、日頃の行いのお陰かね」

 

 背を伸ばし、首をポキポキと鳴らす。先日もとある地で(・・・・・)工作作業(・・・・)を行ってきたばかりだから、こう言った休日は何気に嬉しかったりする。

 

「そんじゃ、中庭で昼寝でもするかね」

 

 仲間や主神が汗水流しているだろうに、自分一人だけのほほんと昼寝を満喫するなんて中々の罪深さだが、たまにはこう言う日があっても良いだろう。

 

 この間購入した枕を片手に、中庭へ向かおうとしたその時。玄関口から戸を叩く音が聞こえてくる。

 

 誰か来た? 聞き間違えかと思って玄関へ振り返れば、やはり誰かが自分達の本拠地(ホーム)の扉を叩く音が聞こえてくる。

 

 一瞬、自分のお昼寝タイムを邪魔された事にムカっ腹を立てるが、扉を叩く張本人に苛立っても仕方ない。居留守を使っても良いが、相手がギルドだったりすると後々面倒くさい事になる。深い溜め息を吐いて男───ヘスティア・ファミリアの団長(ベジット)はヤレヤレと頭を搔きながら玄関口の取手に手を掛け……。

 

「はいはーい。どちら様ですか? ギルドの人だったら脇にポストがあるので、要件はそちらに───」

 

「随分と呑気にしてるんだな。コレが現オラリオの最強派閥とは呆れるな」

 

 扉を開ければ、何やら既視感のある男女がフードを被って佇んでいた。

 

 誰だ? 不思議に思いながら相手の気を探ろうとして────ベジットの顔はビシリと固まる。

 

「ほう、“気”で此方の素性を暴く事が出来るのか。どうやら思っていたよりずっと汎用性が高い力らしい」

 

「なら、自己紹介は省こうか」

 

 顔を上げ、フードの奥から素顔を晒す男女。そのどちらもやはりベジットの知った顔で、出来れば思い出したくない顔触れの二人。

 

 嘗ての最強派閥(ゼウスとヘラ)の眷族、【暴食】のザルドと【静寂】のアルフィアが其処にいた。

 

「以前はヘラ・ファミリア、そっちの男はゼウス・ファミリアに所属していた。我等二人が入団してやる。感謝して咽び泣け」

 

 灰の髪をした女、ヘラ・ファミリアのアルフィアがこの上なく上から目線で入団希望を突きつけてくるのに対し……。

 

「お出口は右側です。とっととお帰り下さいやがれ」

 

 バタンッとベジットはにべもなく扉を閉めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────で、実際何しに来たんだよお前ら」

 

「言っただろ、お前の派閥に入団しにきたと」

 

 その後、結局本拠地(ホーム)に入れることになったベジットは応接間に二人を通し、礼節として茶と菓子を振る舞う。来客用のそこそこ良い茶葉で淹れたソレを口に含んで喉を潤すと、早速二人にオラリオへやって来た理由を訊ねた。

 

「寝言は寝てから言え。お前ら二人がこのオラリオで何をしたのか、まさか忘れた訳じゃねぇよな?」

 

 目を細め、微かな怒気を滲ませながら再度問い詰めるベジットに二人は沈黙で答える。

 

 ───もう七年以上前になるのか。あの日、ヘスティアと初めてオラリオに訪れた夜、目の前の二人は闇派閥と結託し、オラリオを崩壊しようと目論んだ。

 

 親を亡くした子供や大切な人を亡くした人々の心の隙間を突いて爆弾として利用し、一時はオラリオ中を地獄に変えた。

 

 アストレア・ファミリアの面々は自らを踏み台にして自分達を強くしてくれた二人を英雄と尊敬しているみたいだが、ベジットにとって二人はただのテロリストでしかない。

 

 実際、あの大抗争の日に自分達がオラリオに来ていなければ、あの火の海にどれだけの死傷者が出たか………想像もしたくない。

 

 そもそも、今のオラリオが不甲斐ないと思うのなら、ロキやフレイヤ・ファミリアに殴り込んで適当に相手をしてやれば良い。事実、昔の自分達は何度もボコボコにされてきたとフィンやオッタル、レオンから聞いている。

 

 そんな二人が態々闇派閥に与する必要なんて、何処にもなかった筈だ。

 

 たとえ二人が直接誰かを手に掛けた訳でないにしろ、闇派閥に与した事実は変わりない。そんな二人が自分達の派閥に入団したいとか、どんな悪夢だ。

 

「無論、自分がしてきたことを誤魔化すつもりはない。その時が来れば大人しくこの首を差し出すつもりだ」

 

 そう口にするのは【静寂】のアルフィア。先程までの傲慢さは鳴りを潜め、目を開けて灰と翠のオッドアイをベジットに向けてくる。

 

「ふざけろ。簡単に命を差し出すんじゃねぇよ。何の為に俺達が必死こいて生かしたと思ってやがる」

 

「ならば、最後まで責任を果たせ。一方的に命を救ってハイ終わり等と、無責任にも程があるだろう」

 

「そんなの知るか。責任の有無を語るのなら先ずは自分のしてきた罪の精算をしてから宣え、これ迄散々このオラリオで好き勝手振る舞ってきたんだろうが」

 

 嘗て、ゼウスとヘラがオラリオの最強派閥として君臨していた頃、その眷族達は自分達の強さを理由に後から来たフィンやオッタル、レオンをボコボコにしてきたという。

 

 他にもガレスやリヴェリア、当時多くの冒険者達を強くさせるという名目で散々暴れたと聞く。強さこそ絶対の指針としているのなら、ベジットの行った結果も甘んじて受け入れるべきだ。

 

「弱肉強食を是とするなら、甘んじて受け入れろよ」

 

「それは、私がお前よりも下だと………そう言いたいのか?」

 

「それ以外になにがある」

 

 ビシリッと、アルフィアとベジットの間に亀裂が入るような音が聞こえる。過去、明確に自分より強いから従えと、そう口にする人間は嘗ての【女帝】以外存在しなかった。

 

 一触即発の空気。頬をヒクつかせたアルフィアが今にも魔法を繰り出そうとしたその時。

 

「止めろアルフィア。喧嘩を売りに来たんじゃないんだぞ」

 

 隣に座る【暴食】のザルドが【静寂】を制止させる。言われて柄にも無く頭に血が昇っていた事を自覚したアルフィアは舌打ち一つ溢して着席する。

 

「コイツがこんなに感情を表に出すとはな。意外とアンタとは相性が良いんじゃないか?」

 

「止せよゾッとする。誰が好き好んで暴力系女に惹かれるってんだ」

 

 確かにアルフィアは見栄えは素晴らしいが、あくまで良いところは見た目だけ、女王気質な彼女とは反りが合わないのは今のやり取りで改めて確信した。

 

 そんな事よりも……。

 

「で、結局アンタらはオラリオに来て何がしたいんだ? 大抗争より七年以上時間が経っているとは言え、未だ当時の事を鮮明に覚えている連中は少なからずいるぞ」

 

 大抗争から七年経ち、オラリオに来る人も増え当時の傷跡も癒えてきた。が、それでも当時の事に今もトラウマを抱えている一般市民や冒険者は少なからず存在する。

 

 二人は謂わば大抗争における恐怖の象徴。そんな二人を迎え入れれば、自分達ヘスティア・ファミリアにあらぬ疑いを向けられるかもしれない。

 

 受け入れるか、拒絶するか。その決断は置いといて、二人の行動の指針を訊ねるのは悪い手ではない筈。

 

 一体二人は今さらオラリオに何の目的があるのか、腕を組んで訊ねるベジットにザルドが口を開き掛けた────その時だ。

 

「たっだいまー! ベジット君、入団希望者が来たよー!」

 

「えぇ!? か、神様、単に泊まらせてくれるってだけの話じゃなかったんですか!?」

 

「まぁ、ベル様は外見からして少々お人がよろしい方みたいですので放っておけないでしょうね」

 

「テメェみてぇなガキに野垂れ死にされるのはうちの主神が我慢できねぇんだろ。テキトーに話を合わせとけ」

 

「え、えぇ……」

 

 途端に騒がしい喧騒が玄関から聞こえてくる。主神と、タイミング良くベート達が合流したのだろう。あの様子だと無事に階層主(ウダイオス)を討伐出来たようだ。

 

「あれ? ベジット様応接間にいらっしゃるのですか?」

 

「他にも気が二つ程感じるな。………客か?」

 

「え、何で二人ともそんな事が分かるんです?」

 

「じきに君も分かるようになるよ」

 

 どうやら、ヘスティアの方はバイト帰りに一人スカウトしてきたらしい。そろそろ新しい人材を一人は育てろとギルドから言われているし、ある意味渡りに船だ。

 

 それに、この二人の事を自分一人で対処するには無理がある。相変わらず茶を啜っているザルドとアルフィアに溜め息を溢すと、扉が開かれ……。

 

「ベジット様、お客様の対応中に失礼します」

 

「入団希望者だとよ。一応後で────っ!?」

 

 リリルカの後に現れるベート。リリルカは応接間に座る二人を見て特に気付く事は無かったのか、大抗争当時の戦いに参戦していたベートは、二人の顔を見た瞬間息を呑み。

 

「き、君達は……!?」

 

 次に現れるヘスティアもベジットと対面に座る二人を見て絶句した。何故、二人がここにいるのか、ベジット同様困惑している中………。

 

「お、お義母さん!? ザルド叔父さんまで!? 二人とも、どうしてここに!?」

 

 最後に現れた白髪の少年、人が良く、純朴そうな少年の何気なく発した台詞に。

 

「「「なにぃっ!?」」」

 

 二人の眷族と一柱の女神は目玉が飛び出る勢いで驚愕するのだった。

 

「────騒々しい連中だ」

 

「楽しそうじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、じゃあお義母さん達も元々オラリオに来る予定だったの!?」

 

「あぁ、本当はお前とは異なる派閥に入り、遠巻きながら見守るつもりだったのだがな」

 

「そ、そうなんだ。でも、また二人に逢えて嬉しいよ!」

 

「なんだぁ? 折角一人立ち出来たと喜んでいると思ったが、まだまだ義母離れは出来ないかぁ?」

 

「ち、違! そんなんじゃないってば!」

 

 向こうで家族水入らずの談笑をしている一方、部屋の隅ではヘスティア・ファミリア全員が円陣を組んで話し合いをしていた。

 

「おいベジット! どういう事だ! なんでゼウス・ヘラの眷族が此処に来てるんだよ!?」

 

「知らねぇよ。いきなり凸って来やがったんだ。招待した覚えは微塵もねぇよ」

 

「あのお二人が嘗てのゼウス様とヘラ様の眷族の方ですか。なんと言うか、凄く強そうです」

 

「実際強いぜリリ君。あの二人、何でも昔はロキやフレイヤの眷族(こども)達相手に派手に暴れまわってたらしいぜ。バルドルの所のレオン君も当時の被害者の一人みたいだからね」

 

 ザルドとアルフィア。共にLv.7の上澄みに位置し、その実力は周知の事実。確かに二人がヘスティア・ファミリアに入団すれば、大きな力になることは間違いないのだが……。

 

「で、ベジットはどうするつもりなんだ? あの二人の入団を受け入れんのか?」

 

「そんな訳無いだろうが。あの少年………ベル・クラネル君だっけ? 彼が入団してくれるのは別に構わないが、そうなると余計にあの二人の入団を受け入れる訳にはいかねぇだろ」

 

「それは、どういう?」

 

 何度も述べるが、二人は七年前に闇派閥に与してオラリオを窮地に追い込んだ過去がある。如何に二人が直接誰かを殺めたと言う話はなくとも、二人が加入した事で当時の闇派閥を助長させ、オラリオに小さくない爪痕を残していったのも事実。

 

「あの様子から恐らくベル少年はその事を知らない。もし万が一あの子が二人の関係者だとバレたら、どうなるか知れたもんじゃないぞ」

 

 真実を知ったベル少年は間違いなく傷付くし、この事を知ったオラリオの住民が一斉に牙を剥くかもしれないし、下手をしたらオラリオの全勢力VSヘスティア・ファミリア! 何て展開にもなりかねない。

 良くて追放、最悪派閥は解体され主神であるヘスティアは邪神認定され、強制的に天界へ送還されてしまう可能性だって出てくる。

 

「でも、ベジット君なら何とか出来るでしょ?」

 

「そりゃ出来るが」

 

「即答で言い切りやがったぞコイツ」

 

「流石ベジット様です」

 

 まぁ、実際そうなった所でオラリオごと蹴散らせる自信がベジットにはあった。仮にロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアが今ここで襲撃をしてきても返り討ちに出来るし、何ならそのままオラリオを乗っ取るか、この館ごとオラリオから出ていく手段だって取れる。

 

 だが、ベジットが気にしているのは其処ではない。自分達が抱えている諸々がバレた事で、自分以外の人達に迷惑を被らせてしまう事をベジットは恐れているのだ。

 

 神々ならミアハ、ディアンケヒト、ヘファイストスや近年仲良くなったタケミカヅチ。ロキやフレイヤだって色々と助言を貰った事もあるし、フィンやオッタルだってベジット視点では仲良くなれた。

 

 異端児(ゼノス)達だって、もう知らない仲じゃない。

 

 そんなオラリオに来たことで得られた様々な縁を断ち切るだけの覚悟はベジットにはなかった。

 

「ベル少年が入団するのは別に良い、だがあの二人は無理だ。リスクが高すぎる」

 

 後ろを振り返れば、未だ仲良く談笑している少年と二人がいる。二人とも穏やかな顔付きだ、黒竜が討たれたと知って色々と重荷が解消されたのだろう、少年を我が子のように接する彼等はまるで本物の家族以上に繋がりがあるように感じた。

 

 そんな親子仲を引き裂く様な真似はしたくないが、此方も背に腹は変えられない。無情だと思いながらベジットは派閥の長としての決断をしようとした直後。

 

「らしくねーな」

 

「ベート?」

 

「ベジット、テメェいつからンな殊勝な選択肢を取るようになった? 俺の知っているベジットって男は、そんなつまらねー話に囚われるタマじゃなかったぞ」

 

 珍しく、副団長(ベート)がベジットの決定に異を唱える。

 

「ここは冒険者の街だ。強ぇ奴が我を通し、弱ぇ奴が地に這いつくばる。ここはそうやって出来た街だろうが」

 

 嘗てのオラリオの仇敵? それがどうした。文句があるなら掛かってこい。このオラリオはいつだってそうやって強い奴が道を切り開いてきた。

 

 それが冒険をした事もない奴がどれだけ喚こうと知った事じゃない。そう口にするベート・ローガは誰よりも冒険者の顔をしていた。

 

「大体、大抗争で奇跡を起こしたのも、黒竜を倒したのもテメェだろうが。負けた敗残兵や挑むことすら出来ない有象無象に何を気にする必要がある」

 

「ベート………そうだな、お前の言う通りだ」

 

 自分達は冒険者だ。言葉や世間体、親しい神々との縁だけではなく、自身の力で勝ち取ってきたから今がある。

 

 なら、この奇縁も自分のモノにしてこそ意味があると言えるだろう。

 

 リリルカとヘスティアへ視線を向ければ、彼女達も腹を括ったのか、笑みを浮かべて頷いている。

 

 アリスに至っては、人の気も知らないでサムズアップしている。本当にノリが良いね君。

 

 話し合いを終えたベジットは徐に立ち上がり、ベル達の元へ歩み寄り……。

 

「ベル少年、君さえ良ければ俺達は君の入団を受け入れよう」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

 入団を許された事に分かりやすく喜ぶベル少年。こうも喜んでくれると、此方も嬉しくなると言うもの。

 

「あぁ、そっちの二人もついでに認めてやるよ。ようこそ、ヘスティア・ファミリアへ」

 

「!」

 

「ほう?」

 

 そんなベル少年とは対照的にザルドとアルフィアは少し驚いている様子だった。どうやら二人も本気で自分達が入団出来るとは思っていなかったらしい。

 

「有難いが………良いのか?」

 

「良くはない。が、天下無敵を自負する俺としては、このくらいの毒皿を飲み干してやろうと思っただけだ」

 

「ハハハ、そうこなくちゃな」

 

 毒扱いされたのにザルドの方は比較的好印象を持たれたようだ。快活に笑うザルドに対してアルフィアは……目を閉じてるから知らん。

 

「では、これから宜しくお願いするよ団長殿」

 

「あぁ、くれぐれも余計な騒ぎは起こさないでくれよ」

 

「───何故だろう、お前にだけは言われたくないと思った」

 

 アルフィアからの鋭い指摘をスルーし、話を進める。

 

「さて、我らの派閥に新たな仲間が三人も出来たんだ。リリルカのウダイオス単独討伐のお祝いを込みで今日は豪勢にしようか」

 

「その為に昨日から大分買い溜めしたしね!」

 

「ならば、料理は俺に任せてくれないか? これでも経験はある。何処ぞのドワーフの女将よりうまい飯を馳走してやろう」

 

「おいテメー、俺がミアさんの料理ファンだと知っての発言か? 言っとくが俺の舌はグルメだぞ?」

 

「ならばその舌、俺の一品で唸らせてやろう」

 

 早速意気投合し始める二人、出会った当初はこんな和気藹々とした仲ではないのに、切っ掛け一つ変わるだけでこうも人間の関係は変わる。

 

 この出会いを経て、これから自分達はどの様な未来を辿るのか。零能となったこの身では予見も予想も出来やしない。

 

 でも───。

 

「ワクワクするなぁ」

 

 この胸に高鳴る気持ちは、決して嘘でも間違いでもない。そう確信しながら、ヘスティアは眷族達の後へ続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ! そうだ忘れてた!」

 

「ん? どうしたんだいベル君」

 

 食堂へ向かう途中、あることを思い出したベルはしまったと自身の頭を叩く。

 

「あの、お義母さん達から渡されたモノがありまして、お世話になる派閥が決まったらこれを渡すように言われてたんです」

 

「あれま、ワザワザプレゼントを用意してくれたのかい? 何だか気を遣わせてしまったね」

 

「いいえ! ただその……何だか凄く頑丈な布で巻かれていて、ちょっと開けることが出来ないんですよね」

 

 ………布? その単語を聞いて、ベジットは何故か既視感を抱いた。

 

「お義母さんが言うには、竜の鱗らしいんですけど………あの、団長さん、ちょっと見て貰っても良いですか?」

 

「あ、うん」

 

 何故だろう、凄い嫌な予感がするぞう? 具体的には因果が廻ってきた感じが否めない。

 

 今の今まで背負っていた荷物を下ろし、保護用の皮を取り外していくと………。

 

「どうぞ、納めて下さい」

 

 ニコニコと純粋に喜んでくれる事を期待しているベル少年に対して……。

 

「「」」

 

 ヘスティアとベジットは白目を剥いて固まっていた。

 

「お、おい……」

 

「まさか、それって……」

 

 ベートもリリルカも察したのか、その顔に大粒の汗を流し始めて表情が青ざめる。

 

 ギギギと、ヘスティアとその眷族達は首謀者と思われる【静寂】に目を向けると。

 

「なに、これから世話になるのだ。遠慮はいらんぞ」

 

 なんて、ドヤ顔での一言に、ベジットは再び頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

RESULT

 

 

 

リリルカ・アーデ《最終ステイタス》

 

 

 

Lv.5

 

力 :SS1240

 

耐久:SS1151

 

器用:SS1350

 

敏捷:SSS1589

 

魔力:SSS1767

 

【魔法】

 

【ティル・タルンギレ】

 

詠唱式:【誓いは此処に】

【血染めの明日、見据えぬ願望】【されど御旗の契りはこの腕に】

【駆け抜けよ、見果てぬ夢を求めて】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────所でよ」

 

「ん?」

 

「何だ?」

 

「お前ら、どうやってオラリオの門を潜れたんだ? 彼処は一応ガネーシャ・ファミリアが門番を兼ねていた筈だが?」

 

「そりゃあ……」

 

「あの程度の見張り、どうとでも掻い潜れる」

 

「つまりは密入国じゃねぇか!?」

 

 サラリと答える二人にベジットは三度頭を抱えるのだった。

 

 

 

 





Q.二人の存在は知られてるの?

A.幸い、まだ誰も知られてません。時間の問題ではあるけれど。


Q.何で二人はヘスティア・ファミリアに来たの?

A.アルフィアがゼウスを締め上げて色々吐かせた結果、其処が一番“イイ”と思ったから。

Q.ヘスティア・ファミリアの認知度はどれくらい?

A.知ってる人は知っている。ただ此処最近大人しくしていて、その間も多くの人や神々が出入りしてきた為、自然と話題も減ってきたようだ。

 尚、古株の派閥はそろそろ何かやるんだろうなーと睨みを利かせている模様。


Q.ヘスティア・ファミリアの近況は?

A.地道に稼いだり鍛えたり、依頼をこなしてたりしてたので、其処まで活動に支障はでていない、が。
数年前にオラリオへやってきた、とある太陽神に事ある度にウザ絡みしてくるのが主神ヘスティアの目下の悩みである。



次回、“VS静寂”

「では、天下無敵の力、見せて貰うとしよう」

「オイ、殺意がマシマシに満ちてるんだが?」


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