教えてくれ五飛、俺はあと何回課金すれば良い。
ゴジータ4は未だ無凸で、水着ミカもゲット出来ていない。
この先FGOの10周年も控えているのに、俺の財布は軽いままだ。
教えてくれ五飛、ゼロはなにも答えてくれない。
そんな訳で初投稿です。
【
それはガネーシャ・ファミリアが主催とする年に一度の大規模な催し。普段は目にする事のない民衆が公の場にてモンスターをテイムするという一大興行。
娯楽に飢えた神々も楽しみにしていたとされる祭りにて、最悪のトラブルが起きた。
モンスターの暴走。今回の祭りに備えて徹底的に管理していたモンスターが、突然暴れまわり檻から脱走。
闘技場から抜け出し街で暴れるモンスターを処理すべく、急遽ギルドから
アストレア・ファミリアを主軸に数名の冒険者が事に当たりモンスターを討伐。一時は事態の安定に安堵したのも束の間。
突然現れた新種のモンスター、花を模した悪趣味な怪物が地下から出現。推定レベルはLv.4というテイムするには強力すぎるモンスターにロキ・ファミリアは戸惑いながらこのモンスターを討伐した。
「いやー、いきなり出てきてビックリしたね」
「レフィーヤ、大丈夫? 結構良いの貰ってた見たいだけど?」
「は、はい何とか………イタタタタ」
唐突に地下から現れるモンスターに驚きながらも、それでも対処して見せたのは流石の一言。しかし対処した全員が無傷という訳には行かず、花のモンスターが魔力に反応して襲ってくる事を知らなかったレフィーヤは魔法の詠唱中にモンスターの奇襲を受けて負傷。
その後はアイズに助けられたり、情けない自分を自ら叱咤して奮起し、魔導の師であるリヴェリアの氷魔法をブッパして残るモンスターを凍結、見事花のモンスターを全て討伐して見せた。
「対応、ありがとうございました。ロキ・ファミリアの皆さん」
「いいよー、そっちはこれからギルドの報告でしょ? 後の事はお願いねー」
「はい、それではこれで失礼します」
様子を見に来たギルドの職員。眼鏡を掛けたハーフエルフが報告の為にギルドへ戻る。彼女を見送った後、改めてアイズ達はレフィーヤに駆け寄っていく。
「ホイレフィーヤ、ポーションだよー」
「一本目は飲んで、二本目は痛む箇所に塗りなさい。私達が壁になってあげるから」
「す、すみません何から何まで……」
傷付いた後輩を労る為、自身のポーションを分けてくれるヒリュテ姉妹。気を遣ってくれる二人に申し訳なく思いつつ、大人しくレフィーヤはその好意を受け取る。
他に残るモンスターはいないか、双子のアマゾネスがレフィーヤを気に掛ける一方、アイズは周囲を見渡して警戒している。
そんな中。
「おーいアイズたーん、みんなー、無事かー?」
逃げ遅れた子供を親元に返したのか、パタパタと此方に駆け寄ってくる自分達の
アイズの気の探知に嫌なモノを拾い上げる。
「駄目ロキ! 来ちゃ駄目!!」
「へ?」
突然真剣な顔で此方に来るなと叫ぶアイズに、ロキが目を丸くさせた瞬間。
彼女の足下から、更なる花のモンスターが涌き出てくる。空高く打ち上げられる自分達の主神に誰もが目を剥く中。
唯一反応して見せたアイズが、全身に気と風を纏い、捕食され掛けるロキを助けようとした───その瞬間。
口を開き、神を喰らおうとした花のモンスターの首は消滅。驚愕に目を見開くアイズの視界には、ロキを片腕に抱えたベジットが映し出されていた。
◇
「ほい。と、いやーいきなり悪かったなロキ様。余所の神様を不躾に抱えちまって」
「あぁ、それは別にえぇ。お陰で助かったからなぁ。ドチビの所に貸しを作ったのは癪やが……」
「別にこの程度で貸しだなんて思ってねぇよ。ロキ様にはウチの爆弾二人を見過ごして貰っているからな、気にすんな」
「お、ホンマ? なら有り難くそうさせて貰うわ」
「………それに、今後も此方の都合がバレた時、いの一番に巻き込むつもりだしな」
「え、自分今怖いこと言わなかった?」
「イッテナイヨー」
主神同士は犬猿の仲とは言え、ロキ・ファミリアには今後も仲良くしたい。そんな少しばかりの打算目的で花のモンスターから女神ロキを助け出したベジットは慣れた手付きで女神を地に立たせ、駆け寄ってくる少女達に向き直る。
「ベジットさん! そっちも来てたんだ!」
「オッス、久し振りだな。こっちも偶々祭りを見に来てな。ヘファイストス様の所で修理に出していた剣が直ったのを取りに行ったら、この辺りから爆発したのが見えてな」
「あー、だから向こうの大通りではファイたんの子らが避難誘導してたんやな」
簡潔に自分がここにいる経緯を説明すると、ロキは納得するように頷いている。
「【
「あ、向こうでモンスターの気配が二つ程大きめの気に消されていったのはそういう事だったんだ」
「そういうわけだ。尤も、俺が駆け付ける程ではなかったみたいだけどな」
そう言ってベジットは久し振りの再会でちょっと遠慮がちに下がっているアイズへ歩み寄り。
「腕を上げたなアイズ、大分気と魔力のコントロールが上達してるじゃねぇか」
アイズの金色の頭をワシャワシャと撫でる。
「ん……ベジット、子供扱いは止めて。髪が乱れちゃう」
子供扱いするなと言う割には自分から振りほどこうとしない。目を伏せ、照れ臭そうにしているアイズにベジットがニシシと笑うと。
「な、ななななにをしてるんですかアナタはー!?」
「うん?」
「レフィーヤ?」
ベジットとアイズの間を割って入ってきたのは山吹色の髪と紺碧の瞳が特徴的なエルフの少女、顔を紅くさせ、ベジット相手に憤慨している彼女にアマゾネスの姉妹はアチャーと天を仰ぐ。
「アイズさんは私の───いえ、オラリオでも輝ける第一級冒険者! 下級冒険者のアナタが不躾に近付くなんて烏滸がましいです! 身の程を弁えて下さい!」
「ちょ、レフィーヤ!」
「この子ってばまた暴走して………!」
レフィーヤと呼ばれるエルフの少女、彼女には少々思い込みが強い所があるらしく、憧れているアイズに関して時折暴走する様子がロキ・ファミリア内でも度々確認されている。
エルフにしては喜怒哀楽の起伏もハッキリとしており、団内でも好感を持たれる事も多い。が、今回ばかりは相手が悪い。
相手はベジット。数年前にロキ・ファミリアに“気”という新たな力の概念を授け、派閥の飛躍に大きな後押しをしてくれた恩人。
彼のお陰で種族問わず自力で空を飛ぶという偉業を成し遂げた者も少なからずいるロキ・ファミリアにとって、ベジットは足を向けて眠れない存在。
そんな事などお構いなしに突っ掛かるレフィーヤは、ロキ・ファミリアにとって悩みの種。今はベジットの器の大きさに救われているが、他の団員にとっては胃が痛くなる光景である。
「あぁ、この間の面白い娘か。リヴェリアから話は聞いてるぜ? 何でもロキ・ファミリアの秘蔵っ子で、リヴェリアの後釜に成り得る逸材なんだとか」
「り、リヴェリア様を呼び捨て!?」
エルフであれば仰ぎ見るべき王族を、まさかの呼び捨て。フィンやガレスの様な昔から苦楽を共にしてきた相手ならいざ知らず、他派閥の人間が気安くリヴェリアを呼び捨てにしている事実にレフィーヤは怒りを通り越して眩暈を覚える。
「赤くなったり青くなったり、面白い娘だなー」
「せやろ? この反応が
「分かる。ウチもつい最近新入りが入ったんだけど、こいつがまた良い反応してさー、ついつい弄っちまう」
憤慨しているレフィーヤを見てベジットの脳裏に浮かぶのは、
見た感じレフィーヤは砲撃型の魔導士のようだから、ベートと戦闘スタイルの似ているベルとは相性が良さそうな気がする。この先機会があったら組ませてみるのも面白そうだ。
なんてベジットが考えていると……。
「ねぇ、ベジット」
「ん? どしたアイズ」
「その、ベジットの言う新入りの子……なんだけどもしかして……」
其処まで言い掛けて、ベジットが待ったと手で制す。自分の言葉を遮られた事に微かにアイズの表情が曇るが、明後日の方を見上げているベジットにアイズも釣られて同じ方向を見る。
だが、何も見えない。視界に映るのは落ち着きを取り戻しつつあるオラリオの街並み。
「………これは、ちょっと不味いな」
しかし、何かを感じ取ったらしいベジットはその頬に一筋の冷や汗を流し……。
「悪ぃ、ロキ様。ここの事任せる。ちょっと野暮用が出来た」
「なんや、そんな顔を青くしおってからに。向こうで何が起きてるんや」
あの方向は………ダイダロス通りか。厄介な所だとロキが薄く目を開けるが。
「ウチの連中が、フレイヤ・ファミリアとバチバチになってる」
ひきつった笑みを浮かべてそう口にするベジットに、女神ロキはカッと目を見開いて止めて来いと急かすのだった。
◇
それは、刹那の合間に行われた応酬。彼の者達が敬愛する美の女神、彼女の首を狙う不届き者を誅する為、白き妖精のヘディン・セルランドは漆黒のドレスを身に纏う魔女へ己の魔法を叩き込む。
「【永伐せよ、不滅の雷将】ヴァリアン・ヒルド!!」
相手は
周囲の被害を顧みない雷の砲撃。避ける隙など有り得ないヘディン渾身の不意討ち。
「
「ッ!?」
しかし、階層主すら吹き飛ばす雷の砲撃は灰の魔女の翳した掌によって霧散。そのまま次の攻撃に移ろうとしていたヘディンの喉元へ手を伸ばし、締め上げる。
「ッが────き、きさ───!」
「囀ずるな、小僧。耳障りだ」
苦悶に満ち、掠れた声であってもこの女にとっては耳障りな雑音。締め上げる手に更に力を込め、足場にしている屋根が崩れない程度に叩き付ける。
そこへ更にヘディンの横の頬を足で踏みつける。生まれてこの方味わった事のない屈辱だが、ヘディンは動けない。
何故なら、其処は既に己を踏みつけている魔女の射程内。奴の視線の先には忌々しいオッタルが主神を庇い肉の盾となろうとしているが、そんなモノはお構いなしに魔女は魔法を放つことだろう。
「おい、其処までにしておけ死に損ない」
「我等が女神を貶める行為、断じて許しはせん」
「「「然り。我等が女神を狙う罪、万死に値する」」」
「…………」
今更やって来た愚鈍な眷族達が灰の魔女を取り囲み、特大の殺気と共にそれぞれ刃を突き付ける。
しかし、第一級の冒険者に囲まれていようとも魔女は揺るがなかった。囲まれ、突き付けられた刃と殺意。それらも無視する雑音でしかない魔女は、ただ静かに美の女神へ死の宣告を投げ掛けた。
しかもより最悪なことに、いつの間にか美の女神の眷族達は処女神の眷族達によって囲まれていた。
ヘスティア・ファミリア。自分達に“気”という新たな概念をもたらし、飛躍する切欠を与えたベジットの………その仲間達。
気という力を得た事でヘディンは理解した。我等を囲む処女神の眷族は一人一人が一騎当千の強者達。己を踏み締める魔女は当然ながら【
日頃からベジットに鍛えられているだけあって、“気”による熟練度は自分達の数段上を行っている。あれでは多少のステイタスの差なんて容易く覆すだろうし、最悪
割烹着を着用した男も同様────待て、何故割烹着なのだ? ヘディンは訝しんだ。
「やれやれ、Lv.8になったと聞いて少しはマトモになったと思ったが………相変わらず女神の介護か。オッタル」
「ザルド……」
沈黙に包まれ、緊迫した空気の中。このままでは埒が明かないと最初に口を開いたのは【暴食】のザルドだった。
「お前に負けた俺が言うのも何だが、仮にも団の長なら女神くらい説き伏せておけ」
「この身は女神の為だけに存在する。それに………ゼウスの所の長は説き伏せていたか?」
「────いかんな、何も言い返せん」
話の取っ掛かりとして一つの派閥の長としての在り方を語ろうとしたザルドだが、無愛想な顔のオッタルからの反論に封殺されてしまう。
何故なら、自分や嘗ての長であるマキシムが幾ら小言を言っても、あのスケベ爺は全く堪える事はなく何なら自分達をも巻き込もうとしてくる。
女神ヘラに至っては………うん、この話はここまでにしよう。
「大体、テメェ等その女神が何をしてんのか分かってんのか?
「黙れクソ犬、ベジットの腰巾着のテメェが俺達の女神に吼えてんじゃねぇ」
「テメェ等が揃いも揃って頭を垂れるだけの
ベートもベジットを支える副団長の立場であり、
何なら生まれた時から部族の長の息子という肩書きを背負っていたりする。面倒で、出来れば責任ある立場など放り投げたい時もあるが、だからこそ派閥の長や副団長の責任の重さをベートは理解している。
如何に実力主義の派閥であろうとも、最低限の統率は必要。力だけの間柄など獣の群れにすら劣る。
同じ副団長としての指摘、これが格下であればアレンは「雑魚は引っ込んでろ」と一蹴してやるのだが、ベートから感じ取れる力は自分と同等。
つまり、奴もLv.7。此方が恥も外聞も捨てて他の幹部達と協力して
正論と実力で黙らされるアレンは歯を食い縛る他無かった。
一方、フレイヤ・ファミリアの
「「「「……………」」」」
「──────」
目元を隠した同胞、リリルカ・アーデの無言の圧に既に涙目になっていた。
(ねぇ、なんでさっきからこの娘黙ってるの!?)
(目が時折光ってるんだが?)
(何ならグポォンッて音も聞こえるのだが?)
(え、リリルカ・アーデって
【
尚、この時は誰一人
そんな、何処もかしこも一触即発の空気。沈黙の灰の魔女がいよいよ動き出そうとした────その時だ。
「その辺にしておけ」
漸く現れたヘスティア・ファミリアの団長、ベジットが空から舞い降りてきた。
「遅ぇぞベジット。何処で油売ってやがった」
「ちっと見ないモンスターが出てきてな。ソイツの対処とロキ・ファミリアと駄弁ってた」
────さて。と、向けられる視線を無視し、ベジットは女神フレイヤへ向き直る。
「少し戯れが過ぎたんじゃねぇかフレイヤ様、試練と言うには些か周囲を巻き込み過ぎだ」
「あらベジット。アナタも小言を言いに来たの?」
「お宅の団長がアンタを甘やかさなかったら、別に文句は無かったさ。前々から思ってたが、アンタは少々奔放が過ぎる。この間もアンタ一人オラリオから抜け出した所為で街中大騒ぎだ」
「仕方ないじゃない。私は美の女神、隣に立つ資格のある
「だから周囲を巻き込むのも仕方ないって? ハハハ────笑わせんなよ女」
ビシリッ。ベジットの放つ怒気、周囲に亀裂を入れ、大気が震え出す。珍しく顕になる本気で怒るベジットにオッタル達は勿論ベート達すらも総毛立つ。
「アンタ等にとっては単なる暇潰しなのかもしれんが、巻き込まれる側は堪ったモノじゃない。この混乱の中で幸いにも人死にが出なかったのは良かったが、一歩間違えれば大抗争の再現不可避だったぞ」
「その為のガネーシャ・ファミリアで、その為のアストレア・ファミリアがいるのでしょう?」
「アイツ等はアンタのケツ拭きじゃねぇだろうが。それとも何か? 美の女神は邪神認定をお望みか? それこそ笑わせる。今のアンタはアフロディーテは愚か、イシュタルにすら劣る俗物だぞ」
三大美神と比較し、フレイヤが一番下と断じるベジット。自分達が信奉する女神が侮辱され、誰もが激昂する中、アレンだけが一足飛び抜けてベジットへ強襲する。
ヘスティア・ファミリアとはロキ・ファミリアと同様、気という力に関して一つも二つも貸しがある。しかしそれを抜きにして、女神フレイヤの信奉者である彼等はベジットの物言いに殺意を抱かずにはいられなかった。
向けられる槍の矛先、防ぐことも避けようともしない────それ処か見向きもしない────ベジットにそれでも構わずアレンは穂先の刃を突き立てようとして。
「──────は?」
気付けば槍をへし折られ、アルフィアに踏まれているヘディンと同様に【凶狼】に顔を踏み締められていた。
「悪いなベート」
「礼は良い、さっさと終わらせろ」
「おう」
自分の身に何が起きたのか、言葉にしたくても全身に渡って刻まれる痛みにアレンは苦悶の声を吐き出す事しか出来なかった。
フレイヤ・ファミリアの誰もが驚愕を露にする中、ベジットは続ける。
「何度でも言おう。フレイヤ、今のアンタはオラリオに住まうどの女神よりも下だ。分かるか? 最低だって言ってんだよ」
「──────」
微かに女神の表情が強張る。こうも自分に明け透けに物を言う男は天界にもそうはいなかった。初めて面と向かって罵倒を浴びせてくる下界の
自覚していただけに何も言い返せないフレイヤにベジットは更に話を続けた。
「とは言え、此処でアンタを送還しちまえば、オッタル達も後を追うんだろ。そうなると折角のオラリオの戦力も減っちまう。来るべき黒竜との戦いに備えて無駄に減らす訳にもいかねぇしな」
────何故だろう、今度はフレイヤ・ファミリアの面々だけでなく、ヘスティア・ファミリアからも冷たい視線をぶつけられてる気がする。
「ならなんだ? まさかこのままこの売女を見逃すと?」
特にこの【静寂】、標的がフレイヤからベジットに移った気がする。今にもゴスペって来そうだ。
「それこそまさかだ。此処でなぁなぁで済ませば何れ禍根を残す事になる」
「では、どうする?」
ザルドの問いに、ベジットはニヤリと笑みを浮かべる。
「要は、周囲を巻き込まなきゃ済む話だ。戦ろうぜ女神様、眷族と神々を巻き込んでの戦争────俺達の
「ッ!!」
「戦う時期は未定。1ヶ月後か一年後か、それとも黒竜討伐後か、タイミングはそちらに任せる。ただ、その時は互いの女神の合意の上で、だがな」
不敵に笑い、掛かってこいと宣戦布告するベジットにフレイヤはひきつった笑みを浮かべた。
「さて、大体俺の言いたい所はこんなもんだ。文句ねぇだろ──────ヘルメス様」
「何ですって?」
そういってフレイヤはベジットが視線を向けている方角へ睨み付ければ、苦笑いを浮かべた伝令の神が何もない空間から現れる。
兜型の
「やれやれ、アスフィの魔道具は完璧の筈なんだが───どの辺りで気付いてた?」
「どの辺りも何も、俺が来た時点で其処の物陰に隠れてたじゃないか」
「─────本当、勘弁して欲しいよ。でも、そうだな。ベジット君にしては落とし処としては悪くないんじゃないか。美の女神フレイヤ様と処女神ヘスティアの眷族達との戦争遊戯、話題性としても抜群だ」
「分かっていると思うけど、他の神々には内緒な。余計な混乱を招いてオラリオを不安定にしたくねぇし。ただヘルメス様には事前に話をしておくと後々楽だと思ってさ」
「りょーかい。その時が来れば俺の方から説明するよ」
肝心のフレイヤを置いてドンドン話が進んでいく。戦争遊戯の承諾は何一つしていないのに、いつの間にか“する”方向で話が纏まっていく。
だが、拒否はできない。もし此処でNoと突き返せば待っているのはヘスティア・ファミリアの精鋭とぶつかる事になる。
あの純真な魂と二度と会えなくなってしまうかもしれない。
故に。
「─────良いわ。その話、受けて上げる」
女神フレイヤに残された返答はそれしかなかった。
◇
「そんな訳で、近い内にフレイヤ・ファミリアと戦争遊戯をする事が決定しました」
「いやどういう事???」
翌日、モンスターによって破壊された街の修繕に乗り出したヘスティア・ファミリア一行、主神であるヘスティアに事の顛末を要約して説明するとハショリ過ぎだと抗議された。
「なんでフレイヤの子達とそんな話になるのさ!? 相手は100人以上の大規模派閥だよ!?」
「仕方ねぇだろう? 彼処でなぁなぁにしちまったらアルフィア辺りが暴走しそうだし、円満に納めるには一つの決着を提示する他なかったんだよ」
監督用の椅子に座り、工事の様子を眺める。その隣で何かを言いたそうにしているヘスティアにベジットは宥めるように話を続ける。
「それに、悪い話ばかりじゃねぇさ。ウチと戦争遊戯になればフレイヤ・ファミリアの連中もいがみ合う事はしねぇだろ」
フレイヤ・ファミリアは、強くなれる土台こそ恵まれているが、団員同士の仲が頗る悪い。女神の愛とやらが欲しいが為に奴等の本拠地では連日殺し合いが進んで行われているというのだからお察しである。
ロキ・ファミリアほど仲良くやれとは言わないが、それでももう少し何とかして欲しいとベジットは常々考えていた。
一時は気の習得でそれなりに落ち着いていたのに、団の全員が習得した途端に元通りとか、最早女神の愛とやらは呪い染みている。
「アルフィアも一先ず納得したし、ザルドも包丁を下げた。ベートも文句言わなかったし、リリも眼の発光を止めた。誰も血を流さなかったし、万々歳じゃないか」
「………なんか一人違う子いなかった?」
イナイヨー? と軽く受け流すベジットにヘスティアは呆れのため息を溢す。
「はぁ、僕としてはもう少し穏やかに日々を満喫したかったんだけどなぁ」
「まぁ、今すぐ事が起きたりはしねぇよ。あの対面でウチの戦力がどれ程なのか理解しただろうし、当分は戦力増強の為に大人しくしてるだろ」
「それはそうだろうけど……」
そう言いながらも、ヘスティアは眼下に広がる光景に視線を向ける。
「そら、レンガを積み上げる時も手を抜くな。粗が目立つぞ。そこ、いつまで休んでいる」
「クソ、何故我等がこんな事を……!」
「口じゃなく手ェ動かせ」
「くっ、この様な屈辱を!」
「黙れ、それ以上雑音を撒き散らすのなら、その息の根を止めてやるぞ」
見れば、今回の騒動で壊れた街のアチコチでフレイヤ・ファミリアの眷族達が修繕作業に勤しみ、それをヘスティア・ファミリアが監視するという構図が出来上がっている。
幹部達をヘスティア・ファミリア、大勢の木っ端眷族にはガネーシャ・ファミリアとアストレア・ファミリアそれぞれから監視される事で世間への禊となっている。
因みにベジットは先の大抗争の時、自ら破壊してしまった都市門の修繕作業にて、その功績から総監督の席に付いている。
オラリオの市民達が恐れるフレイヤ・ファミリア、そんな彼等を反省として主神含めて修繕作業に従事させる。これが、今回の騒動に対するベジットからの提案であった。
「それに、この光景でフレイヤ・ファミリアの印象が多少なりとも払拭されれば、アイツ等も少しは交友範囲が広がるだろ」
「そう上手くいくかなぁ」
どこか能天気なベジットに呆れながら、ヘスティアもベジットの隣で作業現場を見やる。その時、ふと視界の端で白い兎の様な男の子が美の女神へと近づき……。
「あの、お疲れ様です。フレイヤ様、宜しければお水………どうぞ」
「っ! ………あら、良いの? 私の様な悪い女神に良くしてくれるなんて、何を企んでいるのかしら?」
「た、企むだなんて! ただ、今日は日差しもキツイですし、熱中症になられては大変だと思いまして……」
白兎の少年は、目の前の女神が何故この様な事になっているのかは知らない。ただ悪いことをし、その反省として修繕作業に駆り出されているという事しか知らない。
「そう。………ふふ、笑っちゃうわ。嘗てオラリオ最強派閥との主神と言われた私が、今は汗水流して働くだなんて………とんだ笑い者だわ」
「そ、そうでしょうか。フレイヤ様が反省して下さるのなら、僕は特に思うことはありません。それに……」
「それに?」
「一生懸命に働いているフレイヤ様、僕は綺麗だと思います。バカになんて、絶対にしません」
真剣な眼差しで美神を見る。嘘のない純粋な眼差しに射貫かれたフレイヤは、その目を大きく見開いて頬を紅く染め上げる。
「そ、そう……ねぇ、アナタ。名前は何ていうのかしら?」
「え? あ、はい。僕はベル、ヘスティア・ファミリアのベル・クラネルです」
「そうなの。………ねぇ、ベル。一つお願いがあるのだけれど」
「は、はい。何でしょう?」
「この水、口移しで飲ませてく────「くぅらぁぁぁ!! 仕事中に何をしているかぁぁぁ!!」」
あの女神、本当に反省しているのかな? 自分で提案した筈なのに少しだけ不安に思うベジットだった。
Q.リリルカ・アーデの二つ名は?
A.第一級冒険者……つまりはLv.5に到達した事で予定どおり【槍の乙女】に変わっております。
尚、二振りの槍をもって暴れる様から市井では【
一部オラリオの地域ではなまはげ扱いされている模様。
リリルカは頭を抱えた。
Q.戦争遊戯するの?
A.その方が手っ取り早いし、文句も出ないだろ。
尚、またおんなじ事をしでかしたら、今度こそアルフィアがジェノってアンジェラします。
戦争遊戯を仕掛けたのはあくまで市民を巻き込まないための配慮。
Q.なんでフレイヤ様も働いてるの?
A.戦争遊戯はあくまでベルを巻き込んだことへの対処。オラリオの住民を巻き込んだ禊は済んでなかったので今回の修復作業で相殺にした。
ロキから指を指されて笑われたし、何なら他の神々にも後ろ指を指された。フレイヤにとっては屈辱な日の筈なのに、白兎の少年が差し入れしてからは終始ご機嫌だった。
「その気持ちをもっと別方向に活かせないモノかね。なぁミア母さん」
「尤もな事を言ってんじゃないよ。反応に困るじゃないか」