急に涼しくなって普通に風邪引いた。
解せぬ。
そんな訳で初投稿です。
ベジット達四人による地下迷宮────通称
まずはオラリオの地下に長らく存在していたとされる人造迷宮、その規模と迷宮の深さから換算して100年や200年では利かない程の年月が積み上げられたモノであるとガレスは断言する。
通路や扉にはふんだんにアダマンタイトや
更には巨大な牡牛のモンスター、しかも明らかに普通じゃない怪物までもが出てきたとあれば、ロキ・ファミリアの長たるフィンも同意せざるを得ない。
数百、或いは千年に届くやもしれない魔窟。ベジット達が可能な限り破壊し、牡牛も仕留めたと言っても未だ底知れず、完全に攻略するには入念な事前準備が必要であるとガレスは語る。
尚、ベジット達が回収した人造迷宮を構成している一部分の材質は入手経路を調べる為にガネーシャ・ファミリアの一時預かりとなっている。
後日、それら回収した品は報酬という事で一部を除きベジット達四人に均等に分けられる事となり、本人(約二名)は頗る喜んだそうな。
閑話休題。
ベジット達が派手に暴れた事で先制は取れた。ならば今度は本格的に攻略する番かと思いきや、ここで思わぬ情報が舞い込む事になる。
ベジット達が人造迷宮を攻略していた最中、ベート、リリルカ、アイズと三人の第一級冒険者とヘルメス・ファミリアは24階層にある
オリヴァス・アクト。暗黒期より闇派閥の幹部の一人であり、同時にオラリオに恐慌を招いた危険人物の一人。
ベジットに二度も倒され、更にその内の二度目は階層主と融合した姿でベジットの前に現れ、返り討ちに遭い消滅。
死んだとされる者が、
しかもその新たな力というのはベジットがもたらした“気”。ロキやアストレア、ガネーシャ、更にはフレイヤの様な大手派閥は勿論、他にもチラホラとベジットの眼鏡に叶った冒険者は大体教わっているとされる気を、オリヴァスや同じく食糧庫にいたレヴィスなる件の怪人も気を習得し、これを扱っていたという。
当時相対していたヘスティア・ファミリアの副団長のベート・ローガは気を習得していた二人を覚えたばかりで気という力に振り回される素人と評している。
同じく、赤髪の女
だが、肝心なのは“気”という概念を知らない筈のレヴィス達が一体どうして気を習得したのか。ベジットは心当たりがないと断言している事から、恐らく気という技術が流出した原因は別にあると【勇者】は睨んでいる。
だが、気という力の概念は単純そうに見えて意外と複雑。ヘスティア・ファミリアを除いて完全に自分のモノにしているのは世界の中心都市であるオラリオと言えど片手に数える程しかいない。教え、修得させると言うのなら、レヴィスやオリヴァスに気を伝授したとされる存在はある種
他にも、ベジットが打ち倒したとされる牡牛のモンスターもまた気を扱い、更には黒く鎧のような鱗を纏ったと報告があることから、この件はかなり面倒で且つ根深いものであるのは誰の目にも明らかだった。
そうして数日、表面上は穏やかな日々を送っていたオラリオ。その中央広場には────。
「さて、それじゃあ二人ともロキ・ファミリアのみんなに迷惑掛けないようにな」
「はい! リリルカ・アーデ、確りとやって来ます!」
「何でだろうな、テメェに常識を説かれるのが屈辱に感じるのは……」
オラリオの中心、バベルのある中央広場にてロキ・ファミリアによる遠征が行われようとしていた。
アイズと戦い、敗走したレヴィス。瓦礫の雨に消える際に放たれた“59階層”という
どのみち、先の遠征失敗のリベンジもある。オラリオにおける探索系最大派閥の面子もあることから、フィンを含めたロキ・ファミリアはレヴィスからの
「ベジット。今回の件、了承してくれてありがとう」
「気にすんな。元々そういう約束だろ」
ベジット達ヘスティア・ファミリアは【
相手の弱味に付け入る様ではあるが、ヘスティア・ファミリアの眷族は一人一人が一騎当千の実力者。自分達の派閥の被害を抑える点でも彼等の助力を得られるのなら心強い。
打算ありきで此方に有利な条件ではあるが、ベジットもロキ・ファミリアとの集団行動のノウハウはヘスティア・ファミリアにとって有益になると判断。
遠征で得られた素材も此方にも幾つか分配されると聞くし、そういう意味でも旨味はある。故に、今回の遠征にはベートとリリルカというロキ・ファミリアと何かと縁のある二人を選んだのだ。
「えー、ベート・ローガぁぁぁ? なんでよりにもよってベートなのさぁフィン~!」
ただ、ロキ・ファミリア側の若干数名は今回選ばれた二人に不満があるのか、明らかに文句があるようにブー垂れている。
「バカティオナ、我が儘言うんじゃないの。ベジットさんは仮にも団長なんだから、そうホイホイと本拠地を空ける訳には行かないでしょうが。駄犬で我慢しなさい」
「でもさぁ……アイズだってベジットさんの方が良いよね?」
「ティオナ、何事も建前は大事、だよ? それにベートさんも凄く強いから、きっと私達の為にもなる」
「むぅ、アイズの世渡り上手」
「何一つ上手くねぇよ」
好き勝手騒ぐロキ・ファミリアの少女達。背丈もすっかり伸び、昔のようなあどけなさも残しつつ徐々に大人の女性に成長していく彼女達にベジットは何処か寂しい想いを抱いていた。
健やかに成長していく少女達を前にベジットは祈る。どうかこの娘達に良い異性が現れてくれます様に、と。手を合わせ、この世界の何処かに降臨している縁結びの神にベジットは祈りを捧げた。
そんなベジットに周囲の人間は不思議に首を傾げ、ガレスは咳払いをしながら止めろと肘で小突く。
「えー? 椿は来てるのに?」
「他所は他所」
「ぶー、まぁ、でもいいや! 今回の遠征はリリも一緒だしね!」
「もうティオナさん。一応リリ達は他派閥同士なのですから、余り馴れ馴れしくは………」
「それも今更な気もするけどね」
嘗て幼女部隊と称し、一時はオラリオの話題ともなった四人の少女達。数年振りに一緒にダンジョンに潜れると知り、ティオナは既に大はしゃぎの様だ。
「全く、出発前から浮かれて……」
「そういうリヴェリアは相変わらず保護者か。大変だな」
「今回はリリルカが一緒だからな。そこまでではないさ………」
準備を終え、そろそろ出発の時間。今回はヘスティア・ファミリア二名の他にヘファイストス・ファミリアから上位鍛冶師が十数名と、団長である椿も同行するようだ。
「………なぁ、ベジット」
「ん?」
「───いや、何でもない」
錚々たる面々に満足そうに頷くベジット、その横で微かにリヴェリアの表情が曇っている。何かを聞きたい素振りの彼女にベジットは頭に疑問符を浮かべるが、直ぐに心当たりが思い浮かんだのか、納得したように顔を綻ばせる。
「何だよリヴェリア、まだ俺を裸に剥いた事を気にしてんのか?」
「ブッフェ!?」
唐突に告げられるベジットからの
約二年程前、【気と魔力の合一】について進展を遂げたリヴェリアはベジットにその成果を見て欲しいとダンジョンに誘い、試し撃ちを行った。練り上げる魔力に気という更なる爆薬を捩じ込み、混ぜ合わせて放たれたその魔法は
この時使用したリヴェリアの魔法は炎なのだが、気という力を混ぜ合わせて放たれたその魔法は爆炎というより爆裂、火炎というよりもより破壊に特化しており、その一撃は巻き込まれたベジットの服を上下とも吹き飛ばし、その後は気も魔力も使い果たしたリヴェリアに代わり、下着姿となって後に現れた複数の
これが切欠でリヴェリアはLv.7という新たな境地に至る事になるが、それは常識はずれの魔法を生み出した事なのか、それともベジットを裸に剥いた事なのか、未だ真実は明らかとされていない。
尤も、裸にした事は二人の間の秘密であり、リヴェリアがベジットに頭が上がらない要因となっている。
「ち、違! 私は別に!!」
「リヴェリアー、そろそろ行くよー?」
「ほれ、呼ばれてんぞ」
「~~~~ッ!」
アストレア・ファミリアのリオンといい、強いエルフというのは何かしらポンコツ的な要素が含まれているのかもしれない。顔を真っ赤にして何かを言いたそうにしているリヴェリアを他所に、ベジットは他の面々に挨拶しに行くと共にロキ・ファミリアの遠征を見送るのだった。
◇
「さぁて、今日はこの後はどうしようかな……」
ダンジョンへの遠征に出発したロキ・ファミリアを見送ってから、数日。あの後特にやる事のないベジットは
本音を言えばベジットも其処に参加したかった。が、現在ベジットは先の地震騒動の罰としてギルドから自粛するよう求められている。
本音は否を突き付けてやりたいが、『報酬は別途支払うし、押収した物品も時期が来たら渡す。ただ少しの間大人しくしてくれ』と、窶れたロイマンから涙目で言われてしまえば頷く他ない。
人造迷宮には今の所大した脅威は無さそうだし、あそこの調査はアストレア・ファミリアに一任するのが賢明だろう。
地上もガネーシャ・ファミリアが何時もより三割増しの人数で警邏に当たっている。外と中から逃げ場を封じられた闇派閥の残党が捕まるのも時間の問題だろう。
「……本当にする事がないな」
ベルのサポーターでもしようかなと考えるも、ダンジョンへの探索も自粛するよう言われている為にそれも出来ない。今頃ベルは今日もダンジョンで強くなる為冒険しているんだろうなぁ。
唐突に出来た暇な時間に困惑する。ヘスティアもバイトだし、アリスもザルドもアルフィアも今は本拠地にいないから今日は組手をする相手もいない。
いっその事昼寝でもするかと迷ったその時。
「……なんだ、この気は?」
遥か遠くから感じられる禍々しい気配。これまで感じてきた中で黒竜の
窓の外を見れば
瞬間、オラリオに緊急事態を告げる鐘の音が鳴る。
《き、緊急事態! 緊急事態! オラリオに滞在している冒険者に告げます!》
迷宮都市全土に告げられる警告と
悲鳴にも聞こえる彼女の声音に、不謹慎だと自覚しながらも、ベジットは内心ワクワクしていた。
◇
「────それで、本当に上手く事は運べたんだね? ヴァレッタちゃん」
「あぁ、万事抜かりなく。途中の経過観察までキチンとこなしたぜ。結果は当たりも当たり、今頃オラリオは混乱に真っ只中だろうさ」
「ロキ・ファミリアは遠征に向かい、アストレア・ファミリアはこの人造迷宮に閉じ込める。後は地上で甦った化物がオラリオを綺麗に掃除してくれるだろうよ」
半壊した拠点、忌々しいベジットによりその機能の半分を失った人造迷宮。遠くから聞こえてくる発狂した男の叫びをBGMに血に飢えたケダモノ、ヴァレッタ・グレーデの顔は喜悦に歪む。
「今頃、ギルドは大慌てだろうよ。まさか嘗ての厄災が復活するだなんてよぉ」
「陸の王者の復活、か。良いねぇ、これぞ下界の未知って奴だよ!」
遥か遠い地で再び目覚める千年前の厄災。かの獣が本格的に動き出せば、それだけで世界は悲鳴を上げるだろう。
「ケケケ、フィンの野郎の戻ってきた時の顔が楽しみだぜ。テメェ等が留守の間にオラリオは更地になっていると知った時の面をよぉ!」
「■■■■■■■■■ッ!!!」
次回はベルくんの冒険と言ったな?
アレは嘘だ。
さーて、次回のダンまち超は?
「ロイマンです。最近寒暖の差が激しく、体調管理に勤しむ事が多くなってきました。
オラリオに住まう皆様は体調を崩さぬよう、どうかお気を付け下さい。
次回、“ロキ・ファミリアの遠征”
“荒ぶる厄災、グランド・デイ”
“ベヒーモス君の涙”
の三本です」
「………不穏な予感しかしないのだが?」
尚、次回は未定。