オレはリクト。本名は
高校二年のある日、深夜に近所のコンビニに行こうと道路を渡っていた時。前方不注意のトラックに轢かれ、異世界転生した転生者だ。
最初こそラノベ展開キター! と思ったが、オレの生まれた村はド級の平和だった。
魔物も少ない、野盗もいない、畑はだいたい豊作で、重税が課されているわけでもない。のどかで、まったりとした田舎だった。
なんか突然森の中とか、生まれ故郷が魔族に襲われてとか、なんかそういう厳しい経験を経て……みたいなのは特に無かった。
異世界転生の中でもスローライフ系ジャンルか? と物心ついた時から考えるちょっと俗な赤ん坊時代。
そしてそこから少し成長した幼児時代に、オレの退屈な村生活の転換期が訪れた。
龍人の女の子、ティティナ・ティーカチェアの登場である。
何かとオレに構ってくるピンクの髪にツノを生やした美少女。
そしてオレに発現した異能、固有魔法《全属性魔法》の存在。
チート系異世界転生ラブコメだこれ!!!
リクト(1歳)、自分の人生のジャンルに気づいた瞬間だった。
そうして安全な村ですくすくと育ち、ティティナ……ティナがなにかと暴走するのを幼馴染として止める役が板についた頃。
オレとティナの元に封書が届いた。
精巧なデザインの封蝋に閉じ込められたそれは、世界一の魔法師養成学校、フォークロアの入試許可証だった。
なんかファンタジーなやつキター! とオレは沸いた。ティナも自分の力を見せるチャンスだと喜んだ。
ティナは龍人だ。この世界では珍しい強力な力を持った種族。腕を振れば岩を破り、地を蹴れば抉られ、強くなれば獄炎を放つ。
故郷を追われてオレの村に辿り着いたティーカチェア夫妻は喜びつつも故郷からの追手を不安に思った。
「ティナをよろしくね」
出発前夜に伝えられたその言葉は、重くオレの背にのしかかっていた。
そんなオレの気も知らず、無事にフォークロアに合格したティナは今日も馬鹿みたいに騒いで習った魔法を試している。
入試の時は馬鹿だから全然座学を勉強しようとしないし、ジッと黙って座ってられないしで苦労したし。何度言っても部屋に入る時は必ず大声で宣言するし、勉強してたらオレの部屋で寝落ちるし……。
本番になったらなったで、実技で無茶し過ぎて大怪我&気絶なんて事になるし。
結果として二人揃って入学できたから良いものの、ヒヤヒヤしっぱなして。もう故郷に帰ってやろうかと思った時も一回じゃない。
何のために都市グリモアに個室宿取ったと思ってるんだか……。幼馴染だからってオレの扱いが雑過ぎだっつの!
フォークロアは入学してみれば、魔法やファンタジーな要素てんこ盛りの学園だった。
寮分けでは「勇猛の獅子寮」になって、日本でも人気だったファンタジー小説っぽくてドキドキしたし。
習う教科には「魔法」や「錬金術」の項目もしっかりあるし!
普通の教科もレベル高いから着いていくのに必死なんだけどな……はは……。
オレは固有魔法の《全属性魔法》によって、習ったり無理な練習をしなくても楽々全属性の魔法が行使できる。
マッチ程度の火から爆炎へ、シャワー程度の水から暴流に、ドライヤーの風から烈風に。
勿論細かい魔力操作はまだ上手くできないからこれから鍛えていく予定。オレの知らない魔法の使い方もあるだろうし。
固有魔法のおまけなのか魔力も桁違いの量と質で、エネルギーには困らない。
ティナも固有魔法《龍神鼓舞》によって、ただでさえ高い身体能力と魔法を強化できるようになっている。
学園から関わり始めたクラリネは、水魔法の派生氷魔法を意のままに使いこなす氷青の天才だ。固有魔法《極星氷人》の力は街一つ氷点下に落とせる。
ハルナは……まだあまり関われていない。彼女の無表情と諦めたような言葉の少なさは、たった数日では
ティナだって、故郷から追われてきた存在だ。誰にだって闇も暗さもある。オレも自分が転生者だって事は誰にも明かしていない。
でもいつか、全部解決してひたすら俺TUEEE!! だけして生きていきたいよな〜。
その為にも
お前実技で点取れたから良いけど座学ほぼ20点とかだったらしいじゃねーか!! 馬鹿か!? 馬鹿なのか!? 退学とかシャレになんねーから! 心配しながらも送り出して学費も払ってくれたご両親に申し訳がたたねーっつーの!
クラリネもだよ! なんでその顔面と強者オーラで馬鹿なんだよ!! 真面目な委員長キャラじゃなかったのかよ!!
俺だって学年の真ん中くらいだけどさぁ! せめて最下位にはならないでくれ。頼むから。
学年一位を見習えよ……魔法はショボいみたいだけど入試は筆記一位でその後も小テストでずっと満点らしいぞ? しかもお猫様連れてるしうらやまけしからん。
黒髪ボクっ娘猫好き秀才とか属性盛りすぎだよな……ティナ達もなかなか盛られてるけど。ここで主に胸部とかいうとティナに殴られるので心の中だけにしておきます、はい。
「ティナもー飽きた! 外で魔法の練習してくる!」
「おい待て馬鹿トカゲ。マジでお前の学園生活がかかってるから真面目にやれ」
「そうですよティナさん、もう少し頑張りましょう」
「そう言うクラリネさんも歴史のテキストを隠さないでくださーい」
ガッとティナの服を掴んで席に引き戻す。フォークロアのレベルは高い。高いからこそ入学できて油断して留年や退学になった生徒も多いと聞く。レベルが高い分切り捨てられるのも早いのだ。
学園のコストだって有限、やる気のないものにいつまでも席を用意しておくつもりは無いのだろう。
魔法関連は俺とハルナが二強で、ティナはその龍人パワーで解決することが多かったから意外と魔法の練度が低い。
そこに座学の悲惨さが加われば、なかなか厳しい展開になる。
酷さは圧倒的にコルトちゃんのが下だけど、あの子は座学で首位を独走しているので早々脱落する事はないだろう。
学園生活は楽しいけれど、テスト前はこれからも修羅場になりそうだ。
コルトの性別は明確には決めてません(精神はやや男子寄り)
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