異世界転生ってだけでもお腹いっぱいなのにチェンソーマンみたいな力ってマジ? 作:丸鋸
「──ワイはリカード言うもんや。よろしくなあ兄ちゃん」
「………うっす」
翌日、騎士の駐屯所に来たらなんか大きな二足歩行の犬がいた。
でっか。身長2m超えてんじゃね?
「ラインハルトから聞いてるで。なんでも、兄ちゃんが今回、護衛の手伝いしてくれるらしいやないか。あの剣聖が強いなんて言うもんやからどんな大男が来るか思っとったけど……案外ヒョロヒョロやなあ」
……にしても声デケェ。
しかも、なんか言い方がどストレートすぎて聞く人によっちゃ喧嘩売ってるって思われるぞ。
いやまあ、悪い人じゃないんだろうけどさ。
「そんで?兄ちゃん名前はなんて言うんや?」
「……デンジ」
「そうか。ほいじゃ、早速行こかデンジ。こっからは長いで。まあ、仲良くやろや」
そう言ってリカードは馬車ならぬ、竜車の手綱を握るおっさんに話しかけに行った。
ちなみにこの世界には馬の代わりに竜が居る。
竜と言ってもでかくない。馬と同じくらいの大きさの生き物だ。
そんな生き物使って荷台を引かせたり、なんならそのまま背中に乗ったり、もはや犬をペットにする感覚でこの世界には溶け込んでる。
いいよなあ竜。カッケェ。俺も相棒的な感じで1匹欲しいわあ。
にしてもリカード……テンショ高い関西人て感じ。訛りも関西的な感じで……この世界だと"カララギ"だっけ?そこの訛りらしいな。
仲良く……出来るかなあ。ちょっと苦手なタイプ。
「──そんでよ、その妹がさあ──」
「うわははははは!おもろいなあ!お転婆すぎるやろデンジの妹さん!」
……うん、仲良くなった。
話せばおもろいわこの人。やっぱあれやな。ちゃんと会話しなきゃ分かんないね。コミュニケーション、すごく大事。
「にしても、デンジ。お前さんも大変な人生やったんやなあ」
「あー、まあでも別に楽しかったけどな。生きてて思ったことは環境とか境遇じゃなくて大事なのは誰と生きるかだかんな」
「そりゃ間違いないな。うちのお嬢も兄ちゃんと似たような境遇だったから親近感湧くわ」
「お嬢……あー……あ?」
「ああ、ホーシン商会の代表やってる"アナスタシア・ホーシン"。聞いたことあらへんか?」
「……ないな」
貧民街暮らしの人間は世俗に疎いのさ。
にしても代表ってシャチョサン的な人だろ?そんな人が俺と同じような境遇……すげーなその人よく這い上がれたもんだ。
「そのお嬢も昔は路地裏でハイエナ生活しとってな」
「へえー」
「ま、そこをワイが見つけて育てたって訳や」
「じゃあ、パパさんだ」
「まーな。当時はワイも奴隷で首輪つけとったけど後々お嬢が買い取ってくれてなあ」
「……みんな山あり谷ありの人生なんだなあ」
「世の中そんなもんや。大事なんはそんな境遇でも笑ってられるかや」
「たしかに」
リカードの言葉にたまらず口元が綻ぶ。
似た過去があるととたんに親近感や仲間意識的なのが湧く。
俺にとってのフェルトやロム爺はリカードからしたらアナスタシアさん的な立ち位置って感じだろうな。
持ちつ持たれつ。やっぱり人は助け合いだよ。
「ちなみに、お嬢友達全然おらへんのや。兄ちゃん、歳近そうやし押せばワンチャン行けるで」
「ええー……美人だったら考える」
「えれぇーべっぴんさんやで。ワイが保証したる」
マジか。期待しちゃうだろうが。
てか、親父的立ち位置なら娘に近寄る男を見つけたらボコボコにすんじゃないの?俺なんかにオススメすな。貧民街出身の化け物に変身するヤベー奴だぞ。
「……あ、お二人さん。そろそろ」
「おう、もうここまで進んでたんか。デンジとの話が弾んでもうて時間忘れとったわ」
「あー、こっからが本番てことか」
「せや、こっからの道が最近、魔獣が異常に出現してる場所や」
「ふーん」
パッと見は分からねけど……まあいるってんならいるんだろ。
とりあえず最初はいつものように手斧で応戦。無理そうならスターター引いて……まあ十中八九使うことなるよなあ。
「気ぃ抜くなや」
「うす」
▽▼▽▼▽
リカードのデンジに対する第一印象は"なんか変な男"だった。
死んだ目、なのにヘラヘラとした表情。無気力そうなのに生きてることを楽しんでる。
そんな彼と話して悪い奴ではないと結論はつけた。
ただ1つ、彼の気がかりだったのは剣聖の言葉。
あの男が強いと断言していたが……まあそんな風には見えない。
装備品は手斧1つ。防具も何もつけておらずTシャツとハーフパンツの普通の格好。体もやや痩せ気味で戦えるようには見えない。
何よりも強者特有のオーラのようなものが何一つとして感じ取れない。
それでも、あの剣聖が強いと断言した。
であればこのデンジという男には何かがある。リカードは警戒まじりの好奇心にまみれた視線で彼を見つめていた。
「……さて、兄ちゃん。気づいとるか?」
「……んあ?」
「
そう言って武器をとるリカード。
そんな中デンジはほうけて辺りを見渡すだけ。
──ホンマに強いんかこの男
リカードは頭の中でため息をついた。
「……来るで。おっちゃんは荷台の中で大人しくしとき」
「わ、分かった」
「兄ちゃん、出んで」
「うっす」
そう言って荷台から降りる二人。
ここは森の中を突っきる人気のない山道。
木々に挟まれた中、森の奥から覗く無数の目が見える。
「ウルガルムやな。珍しい魔獣じゃあらへんけど……ちと数が多いな」
「そうなの?」
リカード1人なら何とかなる。
ただ、もしデンジが戦力にならなかった場合。守りながら戦うことになる。ハッキリ言ってそれはキツイ。
せめて自分を守れるほどに強くはあって欲しいが……まあ剣聖のお墨付き。ならば心配はいらないだろうと……そう思っていた。
「来るで」
「………」
飛びかかってくるウルガルム。それを事も無げに切り殺すリカード。
群れを成して数が多いといえど所詮はウルガルム程度。手こずることは無い。
ふと、デンジの方を見れば……手斧でなんとか頑張ってる様子。しかしこの短時間の間に既に傷を負っている。
──アカン、このままだと死ぬな
助けに行こうとするリカードだったが……行く手を阻むのは犬の魔獣。
弱いとはいえ数が多い。
「チッ、邪魔やなあ…」
そうして、手こずっている間にデンジはさらにピンチを迎えていた。
囲まれ、手斧を構えている構図。
やがて飛びかかったウルガルムの牙がデンジの首元に噛み付いた。そのまま流れるように身体の至る所を噛まれ、ウルガルムの群れに食い荒らされるようにデンジの体は見えなくなっていった。
焦るリカードだが、ふと視界に映ったデンジの最後の光景が脳裏に浮かんだ。
そう、確かデンジは微かにだが……笑っていたのだ。
そうして次の瞬間、奇妙な音がその場に鳴り響いた。
──ヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!
そんな音がリカードの耳に入ってきたかと思うと、ウルガルムが密集する場所に大量の鮮血が飛び散った。
そうして──
「ギャハハハハハ!!相変わらずクソ痛えな!!グチャグチャグチャグチャ食いやがってよォ…!次は俺がいただきますする番だぜェ!!」
"チェンソーマン"と化したデンジが血を纏いながら飛び出してきた。
原作キャラとの絡みって難しいよね。
原作突入はいつになることなのでしょう。
てか、ランキングの仕様が変わってからランキングに乗りづらくなったよなあって。
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