大魔導士が嫁探しをするのは間違っているだろうか   作:今更止められねぇよ!性癖スイッチオンだ!

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 繋ぎです。
 メインはラブコメなのでベルくんたちの冒険は基本ダイジェストで。


半分ダイジェスト

 

『観劇のチケット?』

 

「そ、旦那と一緒に行ってきなって」

 

 スクルドはスタルガドから渡された2枚のチケットをまじまじと見た。それは、歌劇の国メイルストラで行われている、大衆歌劇のチケットである。

 

『……なんで2枚?』

 

「全員分あればよかったんだけど、買ったんじゃないんだよね、それ。エアリアルが貰ってきたんだよ」

 

 何故エアリアルが? と、首を傾げるスクルドにスタルガドが説明する。

 

 事の始まりは、エアリアルの力を取り戻すために迷宮へ潜らせていたことだった。『勇士』の誰かが教導してのパワーレベリングでも良かったのだが、エアリアルが、どうせなら冒険というものをしてみたいと言うことで、どこかのパーティーに入れてもらおうとちょうどいい冒険者パーティーを探していた。

 そこで見つけたのが、兎のようなヒューマンと小人族の少女のコンビだったのだが、とんでもなく格の高い魂を持つコンビだったのである。両者が両者ともに英雄とさえ言えるほどの格だ。

 生憎ふたりとも既に『神の恩恵(ファルナ)』を受けていたため勧誘こそできなかったが、スクルドが興奮するほどに綺麗な魂を持つ少年と、滲み曇りながらもなお輝きを放つ魂を持つ少女。しかもタイミングよくパーティーメンバーを探している。そういうわけで、彼らのパーティーへと加入させることになったのである。

 

 そうして冒険者として活動すること約ひと月。リーダーであるところの兎の少年がオラリオの中堅ファミリアに絡まれ、『戦争遊戯(ウォーゲーム)』なる抗争を仕掛けられたらしい。

 相手のファミリアからの条件は兎の少年が所属するファミリアとの1対1。しかし、彼らのパーティーは全員が異なるファミリアに所属しており、兎の少年のファミリアは彼ひとりしか所属していないという零細ファミリア。対して相手のファミリアは数がかなり多く3桁に届くか届かないか程度の大規模ファミリア。そのため、都市外の助っ人ならばひとりだけ許可するという温情が出された。

 そして、その助っ人として、エアリアルが参戦することになったのである。

 さらに、少年の人望により組んでいたパーティーメンバー全員が少年のファミリアへと恒久的、または一時的に改宗し、なんとか最低限の人数を揃えることとなった。とはいえ、それでも3桁近い人数の相手ファミリアと、たった5人のこちらでは、戦力差が大きすぎた。

 エアリアルも、基本的な種族としての格差と義体の性能があることを加味してもLv3程度。相手にもLv3がいることを考えれば厳しい勝負になるだろう。

 

 ということでエアリアルに頼まれたグリムは、彼らに魔法の触媒を付与する《ベイニ・ヴェットル》を施すことと、『魂装(ヴェイプン)』を出現させる《セーヴァルスタズ》を教えることを許可した。

 正確には『教本』を渡したので他の先天系魔法も覚えられたのだが、流石に『戦争遊戯』までの短い時間では《セーヴァルスタズ》を覚えるのが限界だったようだ。

 しかし英雄並、それこそ魂の格だけならスクルドを超える兎の少年と小人族の少女が得た『魂装』は戦力差を埋めて余りあるものだった。

 兎の少年――ベル・クラネルの得た長剣『雷霆の残滓(ジュピター)』は、その発した雷撃で相手ファミリアの城壁を破壊し尽くし、小人族の少女――リリルカ・アーデの得た長槍『聖女の欠片(フィアナ)』は担い手をLv4並まで強化する外付けステイタスによって相手ファミリアの軍勢を殲滅せしめた。

 そして、ベルが相手ファミリア団長との一騎打ちを征したことによって、無事『戦争遊戯』に勝利することができたのである。

 

 ちなみに、彼らの仲間にはもうひとり、ベルたちほどではないが格の高い魂を持つ鍛冶師の青年がいたのだが、発現した『魂装』が生産系だったために『戦争遊戯』そのものでは『魂装』を使っていなかった。

 

 閑話休題。その『戦争遊戯』で助っ人として参加したエアリアルも魔法――に偽装した風を司る権能により幅広い支援と後方火力を発揮し活躍したのだが、『戦争遊戯』そのものではファミリア外であったためになにか得をしたわけではなかった。

 それを気にしたベルが、偶然手に入れていたチケットを報酬としてエアリアルに渡し、観劇に特に興味のなかったエアリアルからスタルガドへと回ってきたのである。

 

『スタルガドの方が必要なんじゃ?』

 

「いやぁ、おじさんもミアも観劇って柄じゃないからさ。旦那も帰ってきてるし、ちょうどいいでしょ?」

 

『ミアさんの名前は出してないけど』

 

「……………………」

 

 おじさんは逃げ出した。

 

 スクルドは手に残されたチケットを見て考える。グリムは多分歌劇は興味ない。でも、誘えば行ってくれるだろう。

 歌劇はあくまでふたりになる口実。アピールする時間を作るための。

 スクルドはスタルガドの気遣いと、自分で使わなかったヘタレさに感謝しながら、グリムを探し始めた。

 

 一方、フェルズからの依頼で24階層の食糧庫(パントリー)を蹂躙したりオリンピアの火を処理したりなどの仕事を終わらせて、ひと月ぶりに拠点へと帰ってきたグリムは、自身の書斎でスクルドへの埋め合わせを考えていた。

 冷静になるためとは言え、自分の都合でひと月近くスクルドから離れていた。ここ数十年で、10日を超えて顔を合わさなかったのは初めてのことである。そして、以前10日ほど危険な魔法実験で工房にこもった時、スクルドは拗ねた。なお当時スクルドは13歳。相変わらず時間感覚がバグっていた。

 早いところそこの蟠りを解いておかなければ、グリムとしても今取り掛かっている魔法の開発に集中できない。特に今開発しているのは、天界に直接アプローチをかけた上で地上の集合無意識にも接続し、巨大な改変を引き起こす、前例のない大魔法である。集中せずに進められるようなものではない

 

 そこへ、ドアをノックしてスクルドが入ってきた。どうやら少なくとも拗ねている様子はなく、グリムは胸を撫で下ろす。

 スクルドはグリムの前までやってくると、持っていたチケットを差し出した。

 

「ん!」

 

「これは……観劇の券か。行きたいのか?」

 

「ん!」

 

 グリムにとっては渡りに船である。本人が望んでいることなのだから、埋め合わせには申し分ないだろう。

 

「わかった。では、3日後に行くとしよう」

 

 グリムが頷くと、スクルドの表情も心なし明るくなった。最近はどこか悩んでいるような様子が多かったスクルドに、グリムも心配はしていたのだ。原因はお前である。

 どことなく足取り軽やかに書斎から出ていくスクルドを見送って、グリムは手元の資料へと目を落とした。

 

 一方部屋を出たスクルドは女性陣へとこのことを報告していた。当日の身だしなみについて意見をもらうためである。

 グリムに意識されるために女性的な服装や身だしなみを心がけるようになったスクルドではあるが、一朝一夕でどうこうなるものではない。お洒落は経験値なのである。だから、ここぞという場面ではやはり女性陣に頼らざるを得なかった。

 

「デート! デートじゃん! やったね!」

 

「これはチャンスです! 観劇だけと言わず、昼食から晩餐までしっかり楽しみながらアプローチするべきですよ!」

 

「ん……」

 

 女性陣のテンションの上がりっぷりに若干引くスクルド。この辺りの感性はやはりまだまだ少年のままである。




 なお、ベルたちが怪物進呈されたときにロキ・ファミリアに助けられるイベントは潰れました。
 ベルたちが割と余裕を持って18階まで来られた&そもそもロキ・ファミリアが撤退せずに遠征を続けられたためです。
 なのでロキ・ファミリアのアリア初見は『戦争遊戯』になります。
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