IS×MGS - Another Solid - 作:No.20_Blaz
またも駄文ですが、完成しました。
取り合えず、セシリア戦の後日談が終了し、次回からオリジナルの話に移ります。
内容はMGS主軸・・・といえば分かりますね?
と言うか一名に余計な設定追加しちゃったのでどうしようかと思っています・・・
はてさて・・・特に活用法が無いのでどうしたものか・・・
今回はクラス代表戦の後日談とちょっとした間話そして祝福パーティの内容です。
いよいよ『アレ』の登場が見え隠れしてきます。
誤字脱字・駄文はご愛嬌。
それでも良いという方は
第八話、お楽しみ下さい。
「と、言う訳で。一組のクラス代表はエメリッヒ君に決定ですね!」
「・・・・・・」
「アレ・・・なんか本人は浮かない顔をしていますが・・・」
「いえ・・・なんかこういうのを運命付けられていたって感じがしたので・・・」
「・・・?」
それでも教室内の生徒達からは納得の答えとして拍手などが送られる。
こうなってしまってはもう拒否のへったくれもない。居なければならないという理由だけでココまでの事になってしまったが、それでも良しとすると言う事で一夏は軽くため息を吐いていた。
「まぁ。本人がこんな顔をしているが、結果クラス代表となった事は変わらん。これからは精進する様にな。以上」
「・・・はぁ・・・」
セシリアとのクラス代表決定戦と言う彼の初陣から一日。
一夏は結果としてクラス代表となり、セシリアを退けた。
当の本人は居たいが為にと言う事だったが、改めて思うと面倒事が増えたのではと重荷に感じていたのだ。
といっても、千冬曰く「する事はクラス代表同士の対抗戦と催しなどでのリーダーぐらいだ」と言っていたので然程変わらないと言っていたので其処まで気負いする事はないと言っていたが、問題は其処ではなかった。
セシリアとの一戦によって自分に対する周りの見方が変化していたのだ。
今まではハイエナが餌を見る程度だったが、今ではそのハイエナ達が襲おうとせずに遠くから観察しているという見方に変化したのだ。
恐らく、これは女尊男卑主義者達が彼を蹴落とそうと策を練っているからだろう。
正直一夏にとってはどうでも言い事なのだが、面倒な事には変わりない。
もしそう言う輩が近づけは倒すのみだ。
「さてと・・・」
「おーい」
そんな彼が椅子から立ち、何処か別の場所で昼食を取ろうとしていた時に一人の少女が呼びかける。
一夏は何処からだと思い、後ろを見回すが誰もそんな事をしたような顔はしていない。
では誰が?と思っていた時、彼の横から声がしたのだ。
「こっちこっち~」
「ん?アンタは・・・」
其処には少しダボっとした様な感じに制服を着る少女が立っていた。
裏の無いのんびりとした顔とサイズの合っていない制服。
思い出した。確か初日の自己紹介でと思い、一夏は彼女からの自己紹介を改めて聞いたのだ。
「私、布仏本音だよ~面倒だったらのほほんでいいよ、りっひー」
「・・・りっひー?」
「うん。エメリッヒって名前なんでしょ?だからりっひー♪」
「・・・あ・・・そういう・・・」
初対面の相手にイキナリあだ名かよ。と突っ込む一夏だが、それは内心にとどめておこう。
別に悪気はなさそうだ。と思いそれ以上は何も口にせず、暗黙の了解で納得したのだ。
彼女にそんな感情をする意味があるのかと聞かれると恐らくNOだ。
あんなに天真爛漫の顔でそんな事を言われたら逆に此方が驚く。
このクラス、いや学園の中で数少ない清涼剤の様な役目を彼女が担っているのだろう。
それを本人が知っているのかどうかは定かではないが、こういう存在が居るというのは実にあり難いというものだ。
気負いをせず、何も警戒せずに話せる相手というのは大切な物だと。
「りっひーお昼はどうするの?」
「ああ・・・メシあるから適当に食べるけど?」
「ご飯って・・・カロリーメイトの事?」
「・・・・・・」
「え?!」
「か・・・カロリーメイトってあの・・・カロリーメイト?」
「う・・・嘘でしょ・・・」
一夏の昼食がカロリーメイトだというのを聞き、生徒達は騒然とする。
そもそも、一夏はスネーク達との二年間、まともな昼食というのを食した事が殆ど無い。
あったとしてもそれは数える程度なのだ。
そこで、今まで何を食べていたと聞かれれば彼は必ずこう答える。
今まで昼飯は
一方の一夏は何故本音が彼の昼食を知っていたのかと驚き、口から言葉が出なかった。
彼自身、昼食が昼食なので人気の無い場所でさっさと済ませるのが日常なのだが、どうして彼女が知っているのだと思っていたのだ。
もしかして偶然どこかで見られたかと思い、一夏は本音に尋ねた。
「・・・何で知ってんだ?」
「んー?前にりっひーが屋上で一人でソレ食べてるの見たから。向かいの屋上から」
「・・・は?」
向かいの屋上だと?
彼女の言葉に一夏はそれしか声が出なかった。
向かいの屋上と言うと、軽く数キロ前後は離れている距離だ。
それを彼女は肉眼で見たのか。と一夏の頭の中で彼女の見方と言うのが変化してきた。
「・・・まさか・・・」
「うん。この目でしかと見たよ」←ドヤ顔
「・・・肉眼でか?」
「うん」←ドヤ顔です。
即答だった。
信じられないとしか言い様が無い。
数キロ先の人とカロリーメイトを見れるなんてと。
お前何処の白いライガー乗りだよと。
取り合えず一夏は呆気に取られるしか出来なかった。
そんな事が普通の人間に出来るのかと思っていたが、本音の顔は嘘を言っている様子は無い。顔がドヤ顔なので傍から見れば分からないだろうが、一夏は相手の目で相手の考えを読むと言う事を雷電から教えてもらっている。
心理戦は剣でも重要なファクターだと彼も言っていたのだ。
それを習得していた一夏だからこそなのか。彼女が嘘を言っているという目ではないというのを理解した。
しかし、改めてそんな事が一般人に可能なのか。
幾ら視力がいい人でも50メートル先のを見るので精一杯のはずだ。
しかも、それは時間制限もある。目も疲れるからだ。
だが、彼女はそんな常識を蹴飛ばし、即答の嘘なしでYESと答えた。
「・・・そ、そうか・・・」
「でさりっひー。一緒にゴハン食べても良い?」
「・・・ああ・・・まぁいいけど・・・」
「やったぁ~♪」
本音が改めて彼に昼食を同席していいかと尋ねると一夏は特に断る理由も無いので彼女の申し出を了承した。彼の返事に、本音はまるで子供の様なはしゃぎ方で喜び、嬉しそうな顔をしていたのだ。
「あ!先越された!!」
「流石のほほんさん・・・侮りがたし・・・」
「私もああいうキャラで行けば行けるかな?」
「いや、それは止めといた方が・・・」
「い・・・一夏ぁ・・・!」
「し・・・篠ノ之さん・・・?」
外野がなんだか騒がしい様子だったが、特に彼は気にせずに本音と共に何処で食べるのかと話し合いをしていた。
そこに、一夏にはとても見覚えのある顔が入ってきたのだ。
「あら、二人共外でご昼食ですか?」
「あ、セッシーだー」
「オルコット。お前もか?」
先日戦った相手。セシリアが、二人の前に現れて会話に加わった。
セシリアの手にはバケットが持たれており、其処に彼女の昼食が入っているというのは誰の目からも明白だ。中身は恐らくサンドか何かだろう。
タイミングを見計らったのか、セシリアが入ったのを見てまたも外野が騒いでいたが、今度はセシリアとの会話に気が逸れて聞こえなかった一夏だった。
「でしたら、私もご一緒させてくれませんか?丁度一人で暇を持て余していましたので」
「・・・俺はいいが、布仏は?」
「いいよ~私、セッシーの膝枕好きだからぁ~」
「私はそんな事は身に覚えが・・・」
本当に不思議すぎる奴だな、と改めて彼女こと布仏本音の性格を知った一夏とセシリア。
しかし、彼女の周りの空気は何時も癒しのオーラがするので悪い気はしない。
それも彼女だからこそなのだと思い、苦笑した一夏とセシリアは改めて外で昼食をする事にしたのだった。
人工島である学園は人工的な芝などの他に実際の木々も多く生い茂っている。
品種改良だなんだと言われている時代だが、ココの自然の殆どは自然物そのものだ。
故にその地の環境に慣れない物もあるが、其処は国営。徹底した管理で保たれていると言って置こう。
「そういえば、りっひーのISってガントレットなんだね~」
「ああ。そうらしいな。」
その一角で昼食を取っていた一夏達は本音が彼のISの待機状態について聞かれ、本人はそれを他人事の様にして答えていた。正直、まだ専用機ISと言う物に慣れていないのだ。
「量産機にオミットされた機能の一つとして専用機にはそれぞれ待機状態と言う物があります。私がイヤリング。エメリッヒさんがガントレットと言った様に種類は様々ですわ」
「・・・ISにも色々あるんだな」
「一口にISと言っても多種多様の時代ですからね」
「いいないいなぁ~専用機~」
「・・・専用機作る余裕なんてよくあるよな、先進国とかって」
「・・・現代、戦争経済の名残で400近くあるISの内実に大半が軍事用に転用された為、ISも一種の軍事兵器として利用されている時代ですからね。量産型が前線に配備されるのはいいが、性能が追いつかないなどの理由で試作機が開発されていますからね」
「なるほど。つまりは俺達の機体はデータ収集も兼ねて作られたって訳か・・・」
「薄々は・・・お気づきになっているのでしょ?」
「・・・・・・」
セシリアの言葉に一夏は黙り込む。
試作機と言う話では確かに一夏の機体はその部類だ。
新機能を多く搭載し新素材であるCNT筋繊維を採用している。専用機だからといってこれ程の豪華さだと、そんな話が裏で持ち上げられていても可笑しくはない。
「・・・確かにな。俺の機体・・・正にそれだもんな」
「・・・セッシーセッシー」
「? どうかなさいました?」
「何でりっひーのISってその「じんこーきんせんい」ってものを使っているの?」
「・・・話せば長くなりますけど、ざっくりと言えばデータの収集と技術転用の幅を調べる為・・・ですわね」
「・・・?どーいうこと?」
「つまり。人工筋繊維だけでどれだけ役に立つのか、それを活かせる場所調べ・・・って所かな」
実際、人工筋繊維は元々サイボーグ技術によって生まれた技術だ。
人体の組織を損傷した人物に対し、その場所に人工筋肉を転用させる事で社会復帰させる。
それがこの筋繊維の開発時に掲げられた大義名分だ。
しかし、物事全てに裏はある。
当然、ソレを知った誰かがISに技術転用できないかと話を出したのだ。
一夏は大方政治家か企業の役人か、はたまた馬鹿な女尊男卑主義者かと思っているが、恐らくその全てだろう。
「まぁ・・・それよか俺はお前の目がサイボーグなんじゃないかって聞きたいぐらいだけどな・・・」
「どうして?」
「いや・・・」
誰だってそうだろ。数キロ先の俺と食べ物を見分けらたんだから。と突っ込む一夏だったが、本音にはどうやら驚かれる事自体が不思議な事だったらしく、頭の上に疑問符を浮かべていた。そして、平然ととんでもない事を彼女は口にした。
「
とんでもない爆弾発言に二人は驚いて思わず食べていたカロリーメイトとサンドを噴出す。
家のみんなと言う事は遺伝的な能力なのかと疑いたくなるが、そんな事があってたまるかと突っ込みたい一夏。しかし、現在むせている一夏はとてもではないがそんな事をいえるような状態ではない。
「お、お前の家・・・どういう家なんだよ・・・」
(数キロ先のを見れると言うのは常人の範疇を超えていると言うか・・・)
既に常人の範疇を超えている奴等は多くいたのだがなと突っ込む者も居るだろうがココにはその人物は居ない。
そんな事を考える一夏達は、その後彼女の謎さを感じて何も言えず話せない状態だったと言う・・・
さて。時は進んで。
「と言う訳で・・・」
「「「「「クラス代表オメデトー!!!」」」」」
「・・・お、おう・・・」
放課後から更に時間が経ち、一夏達は学園内にあるラウンジに来ていた。
其処では他の女子生徒達が何時の間にやら用意していた横断幕と共に彼のクラス代表祝いのパーティを企画しており、それには一夏も驚いていたと言うよりもココまでテンションがメインよりも明るいパーティがあるのかと思っていたのだ。
その証拠に彼の祝いなのに彼女達が楽しんでいると言う置いてけぼりの状態となっていた一夏が居た。
しかし、並べられている料理や横断幕からして彼を祝いたいと言う気持ちがあったのは確かだろう。それが単に物の数分で終わっただけだ。
「まーまーりっひー飲んで飲んで」
「あ、どうも・・・」
「最早企画丸つぶれと思うのは私だけでしょうか?」
「安心しろ。俺もだ」
そんな中で隣に座る本音にジュースを注がれ、その反対側にセシリアが呆れた顔でドンちゃん騒ぎをする女子生徒達を見ている。
最早彼女達の飲み会状態だ。その彼女達の姿が親父臭く見えた一夏は本当に彼女達が女子高生なのかと言いたがっていたという顔をしていたが、どうにも言える雰囲気ではなかったのでため息だけで済ませたのだった。
「で。オルコットとのほ・・・のほほんは行かなくていいのか?」
「うん。私はりっひー達と一緒に居る方が楽しいから~」
「あちらよりかは此方に居た方が良いかと。それとエメリッヒさん」
「ん?」
「そう言う堅苦しい言い方は慣れません。私の事はセシリアとお呼び下さいな」
「・・・分かった。んじゃ俺も一夏で良い」
「・・・・・・」
馬鹿騒ぎしている女子生徒を他所に、箒は一人片隅で一夏達の姿を眺めていた。
誰とも話さず、唯一人でジュースを口にするだけ。目線は騒いでる生徒達ではなくソレを他所に、彼等なりに楽しんでいた一夏達を見ていた。
別に羨ましいとも憎いとも思っていない彼女だが、一体どうやって自分が彼に近づけるのか。それを思うとどうしても一夏との距離を縮められなかったのだ。
しかも彼の隣には自分を蹴飛ばしたセシリアも居る。余計に警戒心が高まるのも無理は無いのだろう。
数日で色々な事があり、箒の今の頭はパンク寸前の状態だ。
何故一夏は名を変えたのか。
何故自分を避けるのか。
彼女の頭の中には四六時中そんな疑問が回り続けていたのだ。
「あら。恋のお悩みかしら、篠ノ之さん」
「ッ!!」
其処に、彼女の近くにいつの間にか居た楯無が彼女に話しかけ、驚いた箒は思わず目を大きく開いて声のした場所に顔を向ける。
其処には口元に扇子を当てる楯無が立っており、その隣には虚も居たのだ。
今までそんな気配はしなかったのにと思っていた箒だが、それを嘲笑うかのように先に楯無が彼女に話しかけた。
「それとも・・・人生のお悩みかしら?」
「・・・・・・貴方には関係のない事です」
「・・・冷たいわね。まぁ仕方ないか。彼の変化っぷりに驚いているのだし」
「・・・えっ!?」
まるで知っている様な言い方をする楯無に箒が喰いつき、逸らしていた目を再び彼女に向ける。あえてソレを言ったのか、楯無の顔は不敵に笑っていたのだ。
彼女の言い方がまるて彼がああなった理由を知っていたかのような喋り方で、それは箒の考えを読み、彼についての事をチラつかせている様な言い方だ。
「ふふふっ・・・それじゃあね」
「っ・・・まっ・・・!」
箒が楯無に手を伸ばす。彼女は嘲笑うかのような表情で箒の近くから離れ、一夏の所にへと向おうとしていたのだ。それには気づいてなかった箒だが、彼女はそれ以上に楯無が言った事について詳しく知りたい。唯その一心で手を伸ばしていたのだ。
しかし、その手は届く事はなかった。後数センチと言う距離だったが、一歩届かずの距離で箒の腕が限界になったのだ。楯無の制服ではなく空気を掴んだ箒は、その掴んだ手と共に目線と上半身を下へと下げた。
まるでその先の崖へと飛び移ろうとして飛び移れなかった旅人の様だ。
地面から谷底へと落ちていくように、奈落にある重力に引き込まれるように箒は倒れようとする。
しかし、そこを間一髪で虚が箒の肩を掴んで彼女が倒れるのを止めたのだ。
そのまま意識も底へと落ちそうだった箒は、一瞬の揺れに思考が止まり落ちていそうだった意識が其処で止まったのだ。
「・・・・・・」
「大丈夫か?」
「っ・・・はい・・・」
彼女の力に後押しされ、箒の身体はゆっくりと起き上がる。
引き込まれそうだった身体は虚の腕が手伝い元の姿勢に戻っていく。
同時に目線も先程の地面だけだった視界が上昇して先程見ていたラウンジの一帯を見舞わせる目線にへと戻る。
それが全てをハッキリとさせる。
箒の目には見えない何が映っていたのだ。
自分と彼等との間にある、何かの境界線を。
「・・・・・・。」
何かが違っていた。一歩踏めば其処は何かが違っていたのだろう。
だが、それが何なのかは分からない。
しかし、その何かはとても言葉では語りきれない何かを放っていた。
異彩・異質。そのどの言葉にも該当しない。
それでも何かが違うというのが彼女と彼等との間に敷かれていたのは箒も感じられていたのだ。
「・・・行きたいか?」
「え・・・」
「・・・行くのは簡単だろう。『一歩』を踏み出せれば。だがな。
その一歩は簡単だからこそ、後戻りが出来ない一歩だ」
意味が分からないと言う訳でもない。
一歩踏み出せば何かが変わるのだ。だが、その『一歩』が何か分からない。
恐らく、虚はその一歩を踏み出すと言う事自体は簡単だと言いたいのだろう。
そのたった一歩。それが何か、この時の箒には全く分からなかった。
感じる事はできる。その一歩が何なのかを。
その一歩の正体。それを知れば自分もと思う。
しかし、その一歩が分からない。だからなのか。
たった一本の希望。それが断ち切られた今の自分は
とても孤独なのだと。
所変わり一夏の方では唐突に現れた楯無との会話が始まろうとしていた。
何故楯無がココに居るのか。それが今から彼女の口で明かされる。
「あ、更識先輩」
「どうも、クラス代表おめでとう、エメリッヒ君」
「どうもッス」
「あ!かいちょー!」
「本音は何時もマイペースなテンションね。でも、それがいいのかしらね」
「えへへ~」
順番に一夏、本音と一人ずつに話しを始める楯無。その話し声のトーンは実に明るく、彼女も楽しんでいるという雰囲気を伝わらせてくる。
彼女の声に騒いでいた生徒達も思わず目線を彼等が居る方に移す。生徒会長が堂々とココに居ると言う事に驚き、その容姿などを羨ましがる声も少なくは無かったのだ。
「・・・さてと。」
だが、その彼女の雰囲気が変わった瞬間。それはセシリアとの会話の時だ。
雰囲気が変わったことに気づいた一夏は眉を動かし、楯無の瞳を見つめる。
瞳の色は変わっていないが、その目は先程のとは違い獲物を狙い待ち構える猟犬の様な目をしていたのだ。
「・・・お初にお目に掛かります。更識生徒会長」
「ええ。始めましてね、ミス・オルコット。先日の一戦。騎士の名に恥じぬ戦いでした」
「お褒めに預かり光栄です。ですが・・・私としましては、貴方様のも・・・何時かはお目に掛かりたいものです」
「・・・それは難しい話ね」
「・・・と言うと?」
「私は霧の様に現れ、霧の様に去る。それが私と私の剣の戦い方」
「・・・なるほど。流石は
「さぁ?それはどうかしらね」
猟犬たちは互いに腹を探りあい、相手の手の内を明かそうとする。
しかし、楯無は猫の様に気まぐれな性格ゆえか、勿体ぶった言い方でセシリアをあしらい、対するセシリアは彼女に腹の内を探らせまいと言葉巧みに話を進めていこうとする。
一見するだけでも気まずい空気だが、二人の間にはそれ以上の空気が流れている。
警戒と恐怖。そして狂気。何時相手が隙を出すのかと狙う獣の様だ。
だが、そのせめぎ合いは意外にもアッサリと終わりを告げたのだ。
「・・・そうですか・・・では、その答えはまた今度としましょう・・・」
「・・・・・・そうして貰えると助かるわ」
セシリアの方から手を引き、楯無は彼女がココで引いたのに意外性を感じつつ彼女も話しを切り上げに向わせた。何故セシリアが先に引いたのか。
それはセシリアが経験からの差を逆算して考えた結論だったからだ。心理戦と言う物は戦闘時には彼女は強いが、こういう腹の探りあいではどうしても楯無に数歩遅れを取ってしまう。だから、それが大きくなる前にセシリアは先に手を引いたのだ。
(流石に猫を被っていると言うだけではないか・・・これでは真意は分からずじまいですわね)
(先に手を引いたのは見事・・・かしらね。こういうのには自信があるからと思っていたけど、やはり警戒して先に引いちゃったか)
経験の差から考え、先に引いたセシリアの判断が正しいと考え楯無も素直にこの探りあいを切り上げた。
彼女等なりにもここで知りたいことがあったらしいが、相手の方から先に引き上げられては探りようも無い。
二人の間に張り詰めていた空気は話の終わりと同時に解けていった。
「・・・・・・。」
一夏は二人の間にあった張り詰めた空気が解けていったのを見てホッと胸を撫で下ろす。
このまま泥試合になるかと思われていたが、どうやら其処までは行かないようだったので生徒達は何か起こるのかと心配していたが彼女達の話からしてそれは無いと分かり、彼女達も安心した。
のだが、一夏にはそれは束の間も事になったのだ。
「さてと。ところでエメリッヒ君、一つ貴方に聞きたい事があるのだけど」
「・・・なんスか」
「これ・・・なーんだ?」
「これ・・・って!?」
楯無が何処からか出した物に一夏は思わず声を裏返す。
彼女が持ってきたのは彼の私物で、それがどうしてココにと一夏が驚いたのだ。
特に疚しい物でもないのだが、逆に何故それなのかと疑いたくなる物でもある。
それには周りの面々も目を疑い、箒も先程までとは一変して表情が固まった。
一夏が声を裏返し、誰もが唖然とする物。それは・・・
「・・・だ・・・ダンボール?」
「しかもかなり大きめ・・・だな・・・」
「・・・・・・。」
ダンボール。
中に物を入れて運ぶ事ができる画期的アイテムである。
構造的に実は熱を籠もらせ易いのでホームレスなどでも重宝されている物だ。
それなりの耐水性もあるので雨の中でも使用可能。
正に人類が生んだ最強の運び道具。
なのだが。それそがどうしたというのか。
唯のダンボールであるからに別にどう言う事も無いだろう。
そう。『唯のダンボール』ならばだ。
しかし、楯無が持ち出したダンボールは唯のダンボールではなかったのだ。
「いやぁ・・・個人的にこのデザインを聞きたくてねー」
(ワザとだ・・・だが、どうしてアレが見つかったんだ・・・!?)
「デザ・・・ああ・・・」
正面から見えたセシリアはそのダンボールのデザインでなんとも言えないという表情になった。
それもそうだろう。
ほぼ一面ピンクのハートマークもあしらわれたダンボールが其処にはあったのだ。
それにはどうとも言えないのも納得いくだろう。
大の男がピンクのダンボールなどと言う物を持っているのだ。
その持ち主の性格や趣味、それを疑いたくなるのも無理はない。
取り合えず、見つかったのを承知して一夏はどうしてそれを見つけたのかを楯無に尋ねる。
別に他意はないのだが、彼はそのダンボールを厳重に隠していた筈だったのだ。
彼にとってこれはある事では必需品なのだからだ。
「・・・取り合えず・・・何処でそれを?」
「貴方のベッドの下。この歳の男の子って色々とベッドの下に隠してそうだったからねーそれで探して見たらアラ不思議。こんな色のダンボール・・・」
「・・・・・・・・・。」
「だ・・・ダンボール・・・」
「今時の男の子ってあんな物をベッドの下に隠しているんだ・・・」
「いや多分それは無いハズ・・・」
「で。ぶっちゃけ私が聞きたいのはこのダンボールについて。これを何に使うのか」
「・・・何に・・・と言われても、ダンボールの使い道は一つ・・・」
「男の
「家にロクなダンボールが無かったので、これを持って来たんです・・・」
実際はそうではないとは言えないだろう。
本来の用途とはまったく別の用途。その為にそのダンボールを持ってきたのだ。
話ではかの伝説の兵士はそれで生き残った事が多々あったらしいが、真意は定かではない。
寧ろ、信じたくない事実なのだが。
一夏は取り合えずの言い訳を言うのだが、楯無はその言葉を余り信用したような顔をしていなかった。彼女は単に「ふーん・・・」と残念そうな反応だったのだが、恐らく彼が何かを隠していると言う事に気づいていた。ソレぐらいは一夏も分かる事だ。
「まぁそう言うことにしましょうか?」
「疑問形って、言ってきたのは先輩の方ですけど・・・」
「そうだけど、期待していた答えじゃなかったしねー・・・」
「・・・エロ本でも期待していたんですか?」
「一応ね。相部屋の相手の事を知ると言う事で行動しているんだし・・・」
「ってエメリッヒ君、生徒会長と相部屋なの!?」
「うわーいいなぁ・・・」
「くっ・・・容姿端麗、文武両道・・・正に最強の女・・・!」
「最強の壁が私達の前に・・・」
周りで女子生徒達が騒いでいるが、いい話ではないのが殆どなので一夏はあえてそれを全て聞き流す。
その中で何人かに殺気を向けられた感じもするが、それもあえて無視する。多分気のせいだと彼は信じて。
そんな会話をしていると、楯無の後ろから誰か別の女子生徒の声がしてきた。
どうやら今まで話を切り出すタイミングが無かったらしい。
「あのー・・・生徒会長、そろそろいいですか?」
「あ、ゴメンなさいね。ちょっと夢中で忘れてた」
「・・・・・・まぁいいや。居たって事だけでも覚えてくれてたんだし」
後ろから現れたのは如何にも新聞記者と言う装備をした女子生徒だ。
背丈から楯無たちよりも少し低く、体格もスレンダー。
首からカメラ、手にはボイスレコーダーと手帳。手帳には一本の黒いペンがある。
正に新聞記者。そう、彼女は本当に記者なのだ。
「で・・・貴方は?」
「申し送れましたね。私は黛薫子。見たとおり新聞部よ。ついた二つ名は『清く正しい薫子ちゃん』!そこ等辺もよろしく!」
(・・・ガセ記事書いていそうな二つ名だなぁ・・・)
「まー其処はいいとして。早速だけどインタビューしていいかな?エメリッヒ君」
「あ・・・はい。別に・・・」
ボイスレーダーのスイッチを入れ、薫子は一夏の前にそれを近づける。
正に新聞記者と言う風格で取材を始める彼女を前に、妙な緊張感を覚えた一夏だが、彼女からのインタビューを冷静に対処しようと呼吸を整えて答えた。
「さて。先ずはクラス代表おめでとう御座いますと言っておきましょうか」
「はい、ありがとう御座います」
「正直、クラス代表になってどう思った?」
「どう・・・と言われましても、特に変化は無いって感じですかね・・・」
「まぁそうよね。こういうのは実感無いってのが一般的だと思うし。それじゃあ、隣に居るオルコットさんとのクラス代表決定戦の事なんだけど、一戦交えての感想は?」
「・・・レベルの差・・・って言うんですかね。ソレを生で感じました。あの一戦、勝てたのは正直機体のお陰だと思いますし・・・機体に救われたって感じが後からしたのを覚えています」
「ふーむ・・・確かにエメリッヒ君の機体って一風変わった見た目だもんね。現存の機体には無い何かで救われたって感じても不思議じゃないわね」
(・・・現在、人工筋繊維がISに転用できると言う事は表立って知らされていない。だから、一般人としての認識はそれが正しいのでしょうね)
「んじゃ最後に意気込みを言ってくれないかな?出来るだけインパクトのある一言でよろしくね!」
「意気込みですか・・・」
腕を組み、一夏は薫子から言われた意気込みについて考える。
意気込みと言うと、彼には「頑張ります」というが一番だと思うが、それはそれで在り来たりな一言なのでどうにもインパクトに欠ける。
ではどうするのか。考える一夏の頭の中に過去の記憶がフラッシュバックしてくる。
追うべき背を見せる男達。その後姿から語られた言葉。
その中で、一夏は唯一つ。これだと思う言葉を見つけ、口にした。
「・・・以前、俺は知り合いの人にこう言われました。「お前は風だ」と」
「風・・・風ってあの外で吹く?」
「ええ。最初は何かって思っていましたが、その人からその意味を聞かされてなるほどって思いました」
『イチカ。俺は雷だ。雨の化身だ。光を放つ事ができる。何かを照らし、示す事が出来る。
そして・・・お前は風だ。光を放つ事や、照らす事は出来ない。
だがな。示す事は出来る。何者にも囚われない自由な風。それがお前だ』
「囚われる事のない自由な風。何者にも囚われず、自分を貫き通す・・・それが・・・俺なりのその言葉の解釈です」
「・・・風は何者にも阻まれる事はなし・・・なるほど。インパクトって言うよりも意味のある言葉ね。流石にそこいらのとは格が違うって事かしら」
「どうなんでしょう?あくまで俺の解釈ですし」
「それが貴方の理念って事だし多分他の人からすれば分かる事も難しい意味なのかもしれないわね。これは結構良い記事が出来るわ。ありがとうね!」
「いえ。此方こそ」
その後、セシリアにもインタビューの機会があったのだが、彼女は秘匿もあるので拒否。
薫子はそれを残念そうにしていたが、最後にクラス全員での写真を取り、ご満悦の顔で彼へのインタビューを終えるのだった。
結局として一夏の語った言葉、彼の風の意味を知ったのは僅かな人間だけだ。
それが、どんな意味であるのか。恐らく、それ自体は一夏以上に分かったのだろう。
楽しさと冷徹さの交わった宴。それは一先ずの終わりを告げた。
そして。夜は更け、風が動き出す。
オマケ。
現在判明している生徒の所持銃火器。
お前ら持ってて良いのかよと思う彼らの銃。
一体誰がどれ、と思う方も居ると思うのでココで整理しておきましょう。
といっても三人だけなのですが・・・
・一夏
SOCOMピストル Mk.2(麻酔銃)
・セシリア
PPS ???(後に判明)
・虚
P99