IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第九話です。

さて。今回はMGSパートです。やっぱりMGSといえば潜入。と言う事で今回はその前編です。完全駄文状態ですが、其処はまた御割愛でお願いします。

ちょっと長めになっていますが、一応ISの原作と繋ぐような話にしています。
これが終われば次は・・・

今回は潜入編。時間は夜の学園内です。果たして何があるのでしょうか?

それでは、誤字脱字・駄文はご愛嬌。
それでも良いと言う方は
第九話、お楽しみ下さい。


No.09 「夜の地下」

 

 

 

生徒達が寝静まった時間。

夜が更け、外には一面の月明かりと共に星が点在する。

しかし、その星の数は他の国と比べればかなり少ない方だ。

原因は大気汚染。排気されるガスが空中を漂い、星を見えなくしているのだ。

汚染が少ない場所では満点とは言えないが数はある。

対しココは数える程度しか星が見えない。

 

日に日に星の数は減っている。大気汚染によってだ。

戦争経済の所為で大気汚染は悪化し、各地で環境破壊が相次いでいる。

かつては緑があった東欧州でも荒廃化が進んでかつて緑豊かだった場所は荒野と成り果てていたりしている。

 

その他にも砂漠化や生態系への影響。上げればキリは無い。

戦争経済が終わりを告げたといえども戦いは続く。今日もどこかで。明日もどこかでだ。

戦争経済が終わったからといって戦争が終わったと誰が言った。

大きな戦争が終わっただけで小さな残り火たちは赤々と燃えている。

 

大きな戦いが無くなっただけだ。それによって平和と言う偽りの仮面が生まれ、それが人々の前に現れているだけ。

実際の世界は戦争経済以上に酷い惨状がゴマンとある。

 

だから、その残り火を潰す為に。再び大きな戦いが起きない為に、彼は戦いを選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・よし。周囲に人影は無しっと」

 

『流石に深夜0時だ。誰も起きる事は無いだろうに。』

 

「だな。けど、巡回の警備も居るし、システムもある。警戒は怠らないさ」

 

学園校舎の屋上。

其処にリュックサックを背負い、一夏が立っていた。

服装は学生服のままだが、腰からは銃が見えており様々なポーチなどが付けられている。

グレネード、予備弾、ステルス迷彩。中身は一つ一つに分けられている。

 

彼の肌には冷たい夜風が当たり、春だというのに残冬を感じさせていた。

矢張り制服だけでは寒かったかと一夏は肌寒さを感じ筋を撫でる。

だが、変えの服や装備は無い。今更だが後悔するべきだったかと思うがそんな事を一々気にする事でもないと思い、一夏は肌寒さが動いて消えるのを願った。

 

その彼の横には一機の小さなサポーターが立って、いや起動している。

メタルギアMk.Ⅳ。Mk.ⅡとⅢに続く新たな支援型のメタルギアだ。

カラーリングは黒く、夜間用の迷彩としても効果がある。

しかし、Mk.Ⅳなどにはステルスもある為ある意味無意味な物だと思う物も居る筈だ。

だがステルスはMk.Ⅳの所持電力を多く消費するというネックがある為にそうやたらめったらに使える物でもない。だからこうした迷彩でも十分な意味を持つのだ。

 

Mk.Ⅳの持つ右手に該当する方には小型の液晶画面が付けられており、其処にデータを写したり打ち込んだり、更には相手と顔を交えて会話というのも出来る。

これはMk.Ⅱからある特徴の一つだ。

 

 

「オタコン、ルートの案内を頼む。出来るだけ見つからない様なルートで頼むぜ」

 

『分かった。一夏はもう少し回りを見張ってくれ。ちょっと時間掛かるかもしれないから』

 

「了解っと」

 

オタコンに了解を送ると一夏は持って居た双眼鏡を使い再び回りを見回す。

これ位ならiDROIDでも可能だが、なるべく消費電力を抑える為の策の一つだ。

更に、この双眼鏡は軍用の物で光に反射しにくいような設計になっている。

その為此方の方が効率的なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

さて。前置きはここまでとして、何故一夏がこんな夜更けに屋上に居るのか。

それは以前オタコンが調べて発覚した学園内の不審な地下の部屋についてだ。

設計時には盛り込まれていなかった物らしく、作られたのは建設途中にと思われる。

大小様々な広さがあるらしいが、中にはアリーナと同等クラスの広さがある場所もあるらしい。

今回、一夏がココにいるのはそれが理由なのだ。

 

 

『よし。ルート設定を完了した。今から道案内をするよ』

 

「頼むぜオタコン」

 

『ああ。イチカ、今は幾ら夜間と言っても無人機や監視カメラの存在があるのを忘れないでくれ。今の状況でアクセスして改ざんと言うのも後でバレる恐れもある。だから・・・』

 

「極力見つからずに・・・だろ?」

 

『ああ。流石に平和ボケは早々しないようだね』

 

「当然。身体が鈍り始めた感覚もまだ無いさ」

 

『よし。なら、その身体と共に行くとしようか』

 

「おう!」

 

一夏はそう言うと腰に刺していたSOCONのロックを外し、再び腰に戻す。

そして、子供の様に金網をよじ登り、網を越えようとしたのだ。

別に普通に戻って降りればとも思うが、それでは何かで見つかってしまう危険性もある。

だから、多少身体に痛みが走ると思うが、あえてこの様な少し無茶な行動に出たのだ。

登りきった一夏は軽く息を吐き、呼吸を整える。下を見れば其処は暗闇の池のようだ。

その様なことは何度も経験したので特に思わないが、流石にココまでの高さから飛び降りるというのを経験した事が無いので若干の緊張感があったのだ。

だが、ココで立ち止まる訳には行かない。一夏はそう思い覚悟を決めた。

 

そして、暗闇が支配する奈落の地面へと飛び降りた。

 

 

 

身体が重力に引かれ、地面にへと一直線に向って落ちていく。

肌にはそれによって生じる冷気が体中に透き通り、先程までよりも冷たい感覚が身体に纏わりついていた。

同時に恐怖感が沸き起こり、更に肌から熱を奪う。

このまま体が冷たくなって死んでしまうのではないかと思いかけたが、そんな事で死に掛けるほどやわな身体ではないと言うのは自分が良く知っている。

ただ、落下の着地に失敗すれば死亡も在り得るが。

 

 

 

 

 

 

 

《ドスッ!》

 

 

 

 

 

 

しかし、それはどうやら無かったようだ。

一夏は無事に着地に成功し、両手両足でしっかりと身体を支えていた。

その着地の姿はスネークを連想させるが、生憎と彼はもうこんな事は出来る筈が無い。

それに、彼も完全に無事とは行かなかったらしい。

 

『・・・イチカ?』

 

「・・・て・・・手が・・・痺れる・・・」

 

『・・・ああ・・・』

 

着地の衝撃が全て手足から入り、骨を伝って衝撃波を伝える。

足には何とも言えない位の痛みが走り、とてもではないが彼は言葉が喋れる状態ではなかった。ビリビリと痺れが伝わり、身体には電撃の様な物が走る。

だが、それは直ぐに終わり、痺れは取れたのだ。

 

 

「・・・つー・・・痛かったぁ・・・」

 

『あんな所から降りて痛かったで済ませるなんて・・・相変わらず頑丈な身体だね』

 

「昔から取り得だったからな。急ごう、こんなのはチャッチャと終わらせるに限る」

 

『そうだね。じゃ、僕の後について来て』

 

「ああ。」

 

 

まだ痺れが残る手を軽く振り、一夏は一緒に降りたMk.Ⅳの後をついて行った。

今回の潜入は(オタコン)抜きではキツイ。今最も頼れる者だとも言えるが、それが今はあのロボットとなると複雑な心境の一夏だった。

 

 

 

 

さて。ここで学園の警備システムについて説明しよう。

警備システムと言っても、学園の物は他の軍や企業の警備システムと基本は変わらない。

監視カメラと警備員巡回。これが基本主な警備システムだ。

だが、国営と言うだけあってシステムはしっかりとしている。

 

監視カメラには機銃を装備、更に警備員にも非常時の為に拳銃の所持が許されている。

唯、使用する銃の口径は9mmに限定されているのだが。

そして、何より夜間になって警備は一掃強化される。それが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・UACVスライダーだ」

 

『本当だ。日本でも無人機の警備システムが採用されているなんて始めて聞いたよ』

 

「多分、国営って事で警備システムが他のよりも強化されているって事だろうな」

 

夜の暗闇を暗視モードで確認する一夏。

上空には数機の無人UACVが飛行していたのだ。

 

無人UACVは推進器の他にも鳥の様に羽を羽ばたかせて引こうする事も出来る。

だが、その為に装甲が犠牲となり、無人機の中では月光(IRVING)とは逆の位置に居る無人機だ。装備は羽を刃物の様にして相手を切り裂いたり、小型の誘導ミサイルを6発とクラスターを2発装備している。火力に関しては月光と同じか少し下ぐらいだ。

その無人機が日本国内で採用されたという話は一夏達の耳には届いていない。

知られて居なかったか、彼が来る前に急遽入れられたのか。

 

それを今の一夏が考える事ではない。

敵対する相手が居るなら見つからずに進むだけだ。無論、相手が空にいたとしても、無人機だとしても。それにあった対応で戦闘をやり過ごす。それが潜入任務の鉄則。

身を屈め、茂みの中を進んで目的地に向うだけだ。

 

 

「オタコン。ココからだと開けた場所は?」

 

『ココから先に分岐の道が多くある場所がある。其処はかなり回りが見渡せるぐらいの広さだ。そこだけが注意する場所かな』

 

「其処を通らないと、目的地には行けないのか?」

 

『他に手もあるのはある。けど、それだと遠回りで逆に何が起こるのか分からない。遠回りは出来るだけ避けるべきだ』

 

「・・・分かった。場所になったステルス迷彩で一気に通過しよう」

 

『分かった』

 

 

 

 

 

ステルスで進むMk.Ⅳを見失わないようにしつつ静かに移動する一夏。

武器は今は腰に挿しており、余計な事で気を逸らさないように配慮している。

武器があれば即応性があるのは確かだ。だが、潜入任務では戦いと言うのを極力避けるのが基本。だから武器は基本持つ事は無いのだ。

 

 

「・・・つっても、こういう場だから違和感感じるなぁ・・・」

 

今まで彼が潜ってきたのは軍の施設や戦場、またはその付近の森林などといった場所だけで、戦場でもなければ殺される心配も先ずないであろう場所で潜入をすると言うのには違和感を感じていた。

言うよりも彼が慣れていないだけであるのだろう。

こんなにも緊張感の欠けそうな場所だ。調子が狂うのも可笑しくはない。

 

 

 

『イチカ。そろそろステルスを付けてくれ』

 

「ん、ああ」

 

 

 

思う以上にするすると警備はすり抜けられる。

ステルス迷彩を起動させた一夏は姿を消して開けた場所を突破する。

草の生えている場所では不自然なので、そこは歩道を走るのが基本だ。

何時もならそろそろ引っかかってアラートの一つは鳴るのだが、どうやらそれはまだ無いらしい。

 

 

ステルスだけを起動させ、一夏は難なく危険視していた場所を突破した。

こうなっては気が狂うのも感じられる。

一夏は何か嬉しくなさそうな顔をしつつ、その場から去り、急ぎ静かに目的地に向ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目的地への潜入の仕方は実に様々だ。

スネークは過去に極寒のアラスカの中を泳ぎ、雨の中をパラシュート無しでタンカーの上にへと飛び込み、果てはカタパルトでヘイブンへと飛んでいったりと本当に潜入なのかと疑いたくなるような方法で過去に潜入した事があるらしい。

 

一夏も其処までとは行かないが色々な方法で潜入してきた。

だが、その中で一番多かったのが、現地民兵に扮しての潜入だった。

世界では別に少年兵などが戦場に居ても何の疑問も持たない。

寧ろ、それが当然だと思う場所もある。一夏ほどの年齢なら尚更だ。

彼の歳だと小隊を任せられるという所もあり、過去に一夏は何度かそれを目にしている。

現地の民兵に扮し、目的地に向う。

民兵に紛れて行動も出来るので場合によっては一石二鳥の事にもなる。

 

しかし、今回はそう言うわけにも行かない。民兵も敵も誰一人として人が居ないのだ。

厳密には寝静まっているのが正しいが、それでも人が居ないのには変わりない。

 

その中で、その一夏の今回の潜入方法は・・・

 

 

 

「・・・・・・ココ?」

 

『ああ』

 

「・・・・・・。」

 

 

彼の目の前には一つの黒い丸が地面に埋め込まれている。

それは鉄で出来ており、丸いのはあけた時に下に落ちないようにする為だ。

何処にでもある黒い物。それは普段は道路と同じ様な見方で見られる。

踏んでも特に問題がないので、人はその上を通っていく。その下に大量の汚染水が流れていると知ってか知らずかだが。

 

誰が叫んだか、人はそれを『マンホール』と呼ぶ。

 

 

「・・・・・・この下か?」

 

『間違いない。この下にあるのは確かだ。それに、ココから廃熱も行われている』

 

「廃熱?何処かの熱をココから出しているって事か?」

 

『の様だね。ココのほかにも幾つかそう言うのがあるとは思う。けど、人目につかないのはココだけだ』

 

「・・・廃熱口代わりのマンホール・・・ねぇ」

 

『いけそうかい?』

 

「ロクでもない奴等が居なければ・・・だけどな」

 

皮肉そうな言い方で一夏はマンホールの蓋をゆっくりと開ける。

蓋だけでもかなりの重さなのだが、それを利用し一夏はゆっくりと蓋を開ける。

重いものを持つほど人間はゆっくり、慎重に行動する。

速度よりも安定性を求めるからだ。

重い鉄が外れる音と共に蓋が退けられ、覆い隠していた下の世界を見せ付ける。

其処からは異臭とも言うべき匂いと共に暗い闇の世界が広がっていたのだ。

その異臭に一夏は思わず鼻をつまんで嗅覚を遮断させる。

ゴミ箱の匂いがそのままついた様な匂いだ。

東欧や他の土地ではココまで臭くは無かったぞ、と皮肉を言いたかったがココで言っても仕方は無い。

 

 

「・・・行くぞ」

 

 

覚悟を決めた一夏は、マンホールの下にある梯子に手を掛けながら下に降りていく。

下にあるのは無限に近い闇だが、それでも明かりはどうにかなる。後は他の事だ。

周囲に警戒しつつ一夏は梯子に足をつけ、マンホールを再びゆっくりと閉じた。

 

これで証拠は消えた。一夏がココに居たという確かな証拠は無く、彼はそのまま下の世界にへと降りていったのだ。

 

 

 

だが、その姿を見る者等が居るというのを知らずにだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ヴンッ》

 

 

iDROIDを起動させ、一夏は周囲を確認する。

暗視モードでの起動なので周りの状況は一目で分かる状態だ。

暗闇を薄い緑で照らす画面を見て一夏は現在自分が何処に居るのかを確認する。場所はどうやら下水道か何かの通路らしい。といっても、欧州などの様な直ぐに運河などと繋がるような場所ではない。日本の下水には除水施設にへと下水はほぼ確実に繋がっている。

故に、この下水は暗視モードで確認しないと出来ないほどの暗闇だったのだ。

一夏は暗闇に若干の恐怖を感じつつ、周囲をぐるりと回って見回す。

降りた場所は片方は長く続く一本道。もう一方は直ぐ近くで分岐がある道があった。

どうやら迷路の様な下水の道に辿り着いたらしい。

 

 

「うっ・・・」

 

『大丈夫かい、イチカ?』

 

「ああ・・・思った以上に臭いし生暖かい・・・気が狂いそうだ・・・」

 

地下の下水に入って一夏は頭に僅かな痛みを感じる。

周りから溢れる生暖かい下水の臭いと空気に頭が重たく感じたのだ。まるで汗臭い運動部の清掃前の部室の臭いだ。

暑い冷たいがハッキリする場所ならまだしも、こんな場所に長い間居たら本当に気が狂いそうだ。

一夏は直ぐにココから出たいと思っていたが、調査が優先だという事で後戻りは考えず、この先にもっとマシな場所があるというのを信じ、銃のロックを外すのだった。

 

「さっさと行こう。ココに長居してたらマジで死にそうだ」

 

『ああ。僕もこんな場所は流石に嫌だよ、見てても分かる』

 

「実際に来て見たら三倍そう感じるさ」

 

『・・・かもしれないね』

 

 

今は調査が先だ。一夏は専用のバイザーサングラスを掛け、視界を暗視ゴーグルと同じ様な状態にする。

iDROIDの暗視状態を赤外線でバイザーに送り、それを表示する。それによってバイザーの素材が反応して暗視状態になるのだ。

つまり、今バイザーを掛けていれば暗視ゴーグルと同じ状態になると言う事だ。

 

バイザーをつけた一夏はMk.Ⅳを再び先頭に道案内をさせ、その後をついて行く。

iDROIDを中継地にするMk.Ⅳは内臓電力がなくなるまでほぼ場所を問わずに活動する事が出来る。

この状態でもオタコンの所にはクリアな画面で映像が送られているのだ。

勿論、操作も全てオタコンが行う。戦場では一夏だったりスネークだったりもしていたが、実際オタコンの方からも出来るので最近はもっぱらオタコンが操作する事になっている。

 

そのオタコンの操作と道案内の元、一夏は警戒しつつ下水の中を進んでいた。

 

周りからは小さく水が流れる音だけしかしない。その水が一体何処に向っているのか。

大方除水施設か何か向っているのだろう。これだけの人工島だ。ソレぐらいは完備している筈だ。

 

 

「・・・かなり広いな」

 

『ああ。設計では其処まで複雑じゃなかったけど・・・この状態からすれば怪しいのは確実だね』

 

「下水の迷路ねぇ・・・南欧州で嫌って程味わったからもう勘弁と思っていたけどなぁ・・・」

 

『そういえばそうだったね。君が下水道で迷って僕も混乱して、最終的には一時間で出られるのを五時間掛けて出てきたんだったね』

 

「・・・思い出したくもねぇ・・・つかココで思い出したら余計に頭が痛い・・・」

 

 

かつての嫌な思い出を思い出しつつ、一夏は頭を抱えて歩き続ける。

Mk.Ⅳが淡々と進んでいくのでどうやら迷っては居ないそうだと感じる。

どうやら前もって彼が念入りに調べたからだろう。

設計図を話しに出していると言う事はそれだけ彼の実力で難なく突破できるセキュリティと言う事だ。だから既に道は下調べ済みなのだろう。

そう頼りのある小さな相棒を前に一夏は進む。

 

 

だが、ココで一夏は何かを感じて歩みを止めたのだ。

 

 

「・・・・・・。」

 

『? どうしたんだ」

 

「静かに。ステルスを掛けろ」

 

『・・・!』

 

 

一夏の真剣な声にオタコンは有無を言わずにステルスを起動させる。

彼が真剣な顔をすると言う事は何かあると言う事だ。

スネークの時も同じだ。真剣な時は彼の言う事に従う。

それが長年の間で感じた彼の相棒達との付き合い方の一つだ。

 

Mk.Ⅳがステルスを起動させると一夏もステルス迷彩を起動させる。

そして、ゆっくりと身を屈め、銃を持っていない左手を地面に置いたのだ。

手を地面に置いたのは周りの音を聞き取りやすくする為だ。

地面からの振動を頼りに大よその位置と距離を割り出す。

特にこの下水の様な音が反射する場所では音だけで判断するよりもこうして直接の振動を感じるほうが効率が良いのだ。

 

 

 

《・・・・・・》

 

「・・・・・・。」

 

 

《ズシッ・・・ズシッ・・・》

 

『・・・。』

 

 

何かか近づいてくる。歩く音、だが人が歩くような音ではない。

寧ろ、それ以上に大質量の物が動いているようだ。

まるで何かの怪獣か何かが動く音。アニメでポピュラーな怪物たちが歩く時の音の様だ。

だが、一夏が聞いた音はそれと同一ではない。

一歩一歩と歩く度に何かへばり付いたものが無理矢理剥がされる音も歩くたびにしていたのだ。

ゴム状の何か。それも粘着力がありそうな物だ。

 

それが一歩一歩近づいてくる。

 

その一歩一歩に一夏は僅かに恐怖を感じ始める。

まさか、と。どうしてココにと。

信じられないという表情がステルス中の彼の顔に浮かんでいた。

頬に汗が流れ、無音と共に滴り落ちる。

恐怖と焦り。戦慄した顔が一夏に浮かび上がりつつあったのだ。

 

 

(まさか・・・いや、だとしても・・・どうして今まで・・・)

 

 

 

頭を回転させる一夏に対し、足音は段々と近づいてくる。

どうする、もし見つかったらとありもしない可能性を考え、その時の対策を必死に練る。

もし見つかったら今の状態では太刀打ちできない。

だが自分にはまだ手はある。

とありもしない可能性をはじき出し、一夏は一人焦りを感じていた。

ソレに対し、足音は近づく。それを知らないかのように。

 

そして。

 

 

 

 

 

 

《ズンッ》

 

 

 

 

 

(っ・・・!!!)

 

 

 

 

 

『ソレ』は姿を現した。

最初に彼の視界に入ったのは大きな丸太の様な足だ。

しかし、それは人の足ではない。まるで生き物の様なしなやかで肉が詰まった足だったのだ。

生き物の様に柔軟なその見た目とは裏腹に、その足の主は頭は硬かったようだ。

上部は戦車などの様な硬い装甲の物となっており、コブの様にその兵器のカメラが頂上にはあった。そのほかにも機関銃が両サイドに一門ずつ付けられており、遠距離と近距離どちらにも対応できると言うのを見せ付けていた。

 

しかし、機関銃はあくまで遠距離えの対策だ。

ソレは近距離戦が主体ともいえる。柔軟な足を使い、太いムチの様な攻撃で兵士を吹き飛ばす。対人戦に重視した機体ならではだ。足で蹴り飛ばす。踏みつける。そして突進する。徹底的に対人戦に重視したその機体。

それは一夏にとってはトラウマともいえるものを植えつけた兵器だったのだ。

一瞬にして兵士達を吹き飛ばすその姿。無慈悲な無人兵器に、この兵器をどれだけ粉々に壊そうと憎んだのだろう。

 

 

月光(IRVING)。正に対人戦の悪魔が其処には居たのだ。

 

 

 

 

(・・・・・・。)

 

 

 

 

異型の姿をする無人兵器を前に、一夏は全身の震えが止まらない状態になる。

 

それは彼にとっては月光は恐怖の対象でしかないからだ。

多くの兵士、人を彼の目の前で平然として殺す無人兵器。

無人兵器だからこそ良心を傷つけないなどと良い言葉を並べるが、実際はその良心を傷つけたくないから。自分で手を汚したくないからと言う理由で作り上げた兵器だ。

 

それを何度も何度も目の当たりにし、一夏は何度奴を葬ろうと多くの弾を使ったのだろうか。

その記憶が蘇り、彼の前に姿を現したのだ。

 

全身の至る所から汗を吹き出し、一夏は恐怖する。

声も出さなかったが、それでも身体の震えは止まらない。

悪魔の様な姿に彼は持って居たSOCOMを強く握り締めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし。彼の恐怖心は無意味となる。

 

現れた月光はぐるりと周囲を索敵した後、異常が無いと判断してその場から移動したのだ。

まるで一夏を無視するかのようだったが、実際は彼がステルス状態なので月光の視界には何も見えなかったのだ。

ステルスを見破れるほどの状態ではないのか。それともステルスが強いのか。

それを今知る必要は無いのだろう。

巨体の月光はその生き物の様な足を使い、へばりつく様な足音と共に移動する。

 

 

「・・・・・・。」

 

 

月光が歩き去るのと共に一夏の恐怖心が段々と薄れていく。

重たい音と共に月光は歩き、その見た目に似合う重さの音を出すその足音は確実に遠ざかっていく。一歩一歩、ゆっくりと確実に歩き去る音。それによって彼の早まる心臓の鼓動は段々と落ち着きを取り戻す。

 

 

『・・・・・・行った様だね』

 

「・・・・・・。」

 

『・・・イチカ?』

 

 

恐怖心に耐え切った一夏は大きく息を吐く。あの見た目と言い動きといい、何時まで経っても慣れる事は出来ないだろう。加えてそれに合ったかのような戦闘力を持つ。

格闘戦になれば確実に死は免れないと言われるほどだ。

そしてトラウマ。一夏の心に大きく刺さっていたのはそれだ。

呆気なく死んでいく民兵達に一夏はどれだけ戦慄しただろうか。

その恐怖心と戦った一夏は安堵の息を吐いていたのだ。

 

『大丈夫かい?』

 

「ああ・・・急ごう」

 

『・・・・・・。』

 

 

まだ慣れていないのか。と思うオタコンだが、その先は何も言わない。暗黙の了解と言うべきなのか、彼は一夏の言葉に従い道案内を再開した。小さな案内人は振り向き、暗く先の見えない道を難なく進んでいったのだ。

その何も言わない彼に対し、一夏は内心では感謝していた。

彼も自身が月光に対しトラウマを持っているというのを覚えていてくれたから何も言わなかったのだろうと。

ソレもその筈だと。

 

 

 

 

 

 

今から一年程前。スネークの戦いが終わり、それを一夏が肩代わりしたかのように戦場を行き交う日々を送っていた時だ。

まだ未熟と称す彼は、伝説の英雄の手ほどきを受けて未熟ながらも高いスキルを持っていた。昔から彼は物覚えが良い方らしく、それによって色々な技術を身に付けていった。

 

そんな戦場にも慣れて来たある時。それは突然訪れた。

 

現地の民兵に扮し、彼は自分の目的を果たそうと戦場を隠れて進んでいたのだ。

 

何時もどおり、周りは騒々しかったが逆にそれを取って気配を消して進んでいく。

回避できない時は麻酔。銃はあくまで威嚇とCQCの為。

 

教えられたことに従い、それを元に彼は進んでいった。

何時もの様に何事も冷静に。そうすれば大丈夫だと。

 

 

しかし、それは直ぐに破られた。

突如として空から降ってきた『奴ら(月光)』に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『イチカ!』

 

「っ・・・!」

 

すると、彼の意識は彼を呼ぶ声によって現実に帰ってくる。

それは遠くの場所から機械の案内人を通して叫ぶ仲間の声だった。

俺は何時の間にと一夏は自分の気が確かであるのを確認し、いつの間にか下がっていた目線を引き上げた。

オタコンの声に意識を引き戻した一夏は、気づけば自分が先程月光と遭遇した場所とは別の場所に立っていたのに気づき、辺りを見回す。

変わらない下水道の道。相変わらず静かに水が流れる音だけが響く場所だ。

 

だが、何かが違う。違和感を感じる一夏に対しその答えは直ぐに、そして堂々と出されたのだ。

 

 

「・・・・・・。」

 

『着いたよ。ココが目的地だ』

 

 

オタコンの言葉に一夏は素直に納得と言う言葉が浮かび上がった。

否定する意味も何も無い。唯単純にココが目的地だという納得だけが彼の中にあったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の目の前。その全てが彼の前に堂々と立ち塞がっていたのだ。

 

「・・・・・・ココか」

 

 

寂れた大門。所々が寂れて剥がれ落ち、年季の入ったものだというのが一目で分かる。

重く塞がった扉は人一人が引いても開きそうにはないだろう。

そのゲートは唯シンプルに硬く閉ざされた扉だが、それによってココが守られているのは事実だ。

その直ぐ近くの壁に開閉装置の様なものが貼り付けられている。恐らくこのゲートの開閉装置なのだろう。

其処にオタコンのMk.Ⅳが近づいていき、開閉装置の直ぐ下に立ち、左側の特殊なマニピュレーターを本体内から出す。

マニピュレーターはロボットの様なカクカクとした動きはせずに蛇などの様にしなやかな動きをしていたのだ。動きだけでも見れば人と同じような柔軟さだが、このマニピュレーターは唯の手ではない。先端部から人を気絶させるだけの電撃を流したり、今オタコンがしようとしている接続コードの変わりにもなる。

それを利用し、Mk.Ⅳを経由してオタコンが装置のシステムへとアクセスする事が出来るのだ。

 

『・・・バージョンは少し前の物だね。ちょっと時間掛かるから待っててくれ』

 

「分かった」

 

 

時間が掛かるといっても二分もかからないほどだ。もしかしたら一分もかからないのかもしれない。その間でも気を抜く事はできない。何時(月光)が戻ってくるのか分からないのだ。

オタコンがシステムにアクセスしている間、一夏は改めて巨大なゲートを見つめ直す。

最新式の設備などがあるこの学園の中ではある意味風変わりだとも言えるゲートだ。

古く錆びた表面。恐らく水が流れているから、その湿気で錆びたのだろう。

ココの空気は相変わらず生暖かい空気しか流れないので、整った環境とは言いがたい。

湿気が表面のメッキを侵食し、其処から錆びが広がったのだろうと一夏は思った。

 

まるで昔サニー達と一緒に見た映画に出てきたゲートの様な見た目だ。

内容は確か生物災害が人為的に発生した世界を舞台にした物だったと思う。生物災害が起こせるほどのウイルスをとある企業が開発し、それが何らかの利用で蔓延。世界は一瞬にして生物災害による地獄となったのだと。そして、その世界でそれを起こした者達と戦う一人の女性の物語だったと、一夏は記憶していた。

偶々通りかかったスネークが、彼女のアクションを見て「まるで雷電だな」と皮肉めいた言い方と共にその映画に難癖をつけていたというのを覚えている。

それには楽しんでいたマドカが少し不満そうな顔をしてスネークが何も言えなかった顔をしていたというのも、いい思い出だ。

 

 

 

「・・・生物災害か・・・起こって欲しくないね、全く」

 

『? 何の事だい?』

 

「ん?少し、ありもしない事を想像していただけだ」

 

『ありもしない事ね。確かにそうかもしれないけど、生物災害となると今の科学じゃ洒落にならないかもね』

 

「・・・確かにな」

 

ナノマシン技術が進歩した時代だ。細菌兵器などが現れたとしても誰も驚きはしない。

寧ろ、冷静に考えればそんなのが作られても可笑しくない時代になったのだと一夏は考える。

数年前まではナノマシン技術だけでも実用化まで十年はかかると世間で言われてたのがほんの数年で実用化、更には莫大に普及したのだ。

これも兵器開発と遺伝子技術に力を入れた「愛国者達」が行った結果の一つと言えるだろう。

 

 

『よし。ゲートを開放する』

 

 

オタコンの声に一夏は再び正面を見る。

『ガゴン』と何かが外れた音が鳴り、ソレと共にゲートが重く閉ざされていたその巨体を左右にへと動かし始める。

人の力では開かない扉は、僅か数分たらずで人の手も借りずに開放されたのだ。

どうやらゲートを開けられるほどの電力は残っていたらしい。

いや、それだけの電力もあるのだろう。残っているというよりも有り余っている。その言葉が正しいのかもしれない。

 

その寂れたゲートは周りから小石や寂れたメッキをふるい落としつつ動いていた。

やがて、その巨体は数人が通れる程度の広さを開け、再び振動と共にその動きを止める。

 

 

「・・・・・・。」

 

振動に錆びやホコリなどが振り落とされる音がする。

しかし、それが障害にならなければさして気にはしない。

一夏にとっての問題はその先だ。

 

ゆっくりと歩く一夏。ゲート自体は普通に歩いてでも通れる広さに広がっているので問題は無い。警戒しつつ歩くその足音は自然と無音に近いものになっている。

全身に力が入り、微妙な加減で音を消しつつ歩いているのだ。

SOCOMを持ち直した彼はその無音の足音と共に中に入っていく。

 

 

 

ゲートの中に入っていく彼の目の前は先程の様な闇の世界とは違っていた。

 

 

 

 

 

 

「・・・暖かい・・・いや、廃棄熱か?」

 

『のようだね。しかも・・・』

 

「ああ。明かりがついている」

 

一夏はバイザーを外し、肉眼で中の様子を確認すると其処はわずかな明かりが灯る場所だった。その明かりは全て蛍光灯などの人工的な物で、それが至る所に点在している。

しかし、完全に一帯を明るくするほどの明るさではない。

その周囲だけを明るくするというだけの輝きだ。

 

「まさか、学園の地下にこんなのがあったなんてな」

 

『地下施設・・・と言うよりも、何か格納庫の様な感じだね』

 

 

オタコンがそう言い、Mk.Ⅳの頭部カメラで周囲を見回す。

送られてくる映像はやや暗い場所ではあるが、それでも壁の素材などは見て分かる。

鉄。人工的に立てられた鉄の壁だ。見渡す限りびっしりと鉄の壁に覆われた大部屋。

それが彼らの入った場所だ。

まるで近未来のロボットが格納されるハンガーの様な場所じゃないか。それがオタコンがこの大部屋を見回して最初に思った感想だ。鉄の大部屋に幾つかに小分けされた部屋の様な場所があり、正に其処にロボットが格納されるといった感じのハンガーがあったのだ。

 

「・・・見た感じ・・・何もなさそうだな」

 

 

一夏は簡潔に感想を言うと周囲に警戒しつつ、ハンガーを一つ一つ調査し始める。

ハンガーがあると言う事は何かがココに格納されていると言う事だ。

その何かまでは分からないが、少なくともこの規模と様子では良い物ではないらしいと言うのが分かる。

それに警戒しSOCOMを構える一夏はゆっくりと壁をつたり、片目だけでハンガーの奥を覗き込む。

 

「何も無い・・・」

 

しかし、其処には何も無い。唯、空の格納庫だけがあり、中には何も無かったのだ。

格納庫に何も無いと言う事は、恐らく格納されていた何かが稼動状態だと言う事なのは確か。だが、その何かが分からないこの状況ではどうしようもない。

 

それに。一夏はもう一つの違和感があった。

 

 

「・・・オタコン。ここに入って、監視カメラとかって見かけたか?」

 

『いや。監視カメラどころか、警備システムの一つも見当たらない。サーチしてもだ』

 

「・・・・・・。」

 

 

そう。警備の為の監視カメラなどが一つもなかったのだ。

それだけではなく、警備システムの一つもココに入ってからは何一つとして見つからなかったのだ。

カメラ、センサー。果ては対侵入者用の物まで。何一つとしてそれが見当たらないのだ。

オタコンもMk.Ⅳを使い、レーダーなどで警備システムらしき物を探すが、そのような物は何一つとして見つけることが出来ない。

 

まさか最初から無いのか。と疑いたくなるが、この状況から見てそう思うのも無理はない。

この状態では警備システムを探す事が難しいぐらいだからだ。

 

 

「まさか・・・廃棄されているとかか?」

 

『だとしても、廃棄熱についてはどう説明する?廃棄熱があるって事は、ココがまだ稼動しているって事じゃないか』

 

「だよな・・・けど、この熱は何処から・・・」

 

 

すると、一夏はハンガーの奥から熱が排出されているのに気がつき、ハンガーの中に入っていく。ハンガーの奥には意図的に熱を排出するような作りのパイプが付けられており、其処から先程の生暖かい空気とは違い、身体の芯まで温めるような温かみのある空気が流れていたのだ。

 

「このパイプ、どこかに繋がってるのか」

 

『調べて見たら、何かありそうだね』

 

「んじゃ、調べて見るか。それなら何か分かるかもしれないし」

 

『そうだね』

 

 

一夏がオタコンに対し次の行動について話し合うとMk.Ⅳが相槌を打って了解する。

パイプが続く場所。其処に行けば何かある筈だと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし。この時二人は背後から迫る者に、気づけなかったのだ。

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