IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第十話です。

・・・何と・・・この作品のお気に入りが既に160とは・・・
数を見たときには唖然としましたよ・・・
駄文が続くと思いますが、これからもこの作品の応援、よろしくお願いします。

今回は地下での出来事とタイトルを見れば分かるとおり、結局どうなったのか。
そして、いよいよ彼女も登場です。

それでは、誤字脱字・駄文はご愛嬌。
それでも良いという方は
第十話、お楽しみ下さい。



No.10 「結局」

 

 

 

 

 

 

 

ゆらりと音も立てず、何かが現れる。

 

それは相手の不意を突くには絶好のチャンスに他ならない。

特に相手の気が逸れている時。つまりは相手が後ろを向いているときに気配を消し、確実な一撃を入れる。

それが不意打ちと言う物。

 

それが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正に今と言う事。

 

 

 

 

 

「ッ!!!」

 

『Callout the Right』

 

 

刹那の事だ。突如一夏は白式を部分展開し、右腕だけをISの状態にする。

その部分展開した腕を防御の盾代わりにし、後ろからの不意打ちの攻撃を咄嗟で防いだのだ。

正に危機一髪と言うべきタイミングで、一夏の腕へと重い何かか伸し掛かるような攻撃が振り下ろされた。それを部分展開した腕でガード。これが生の腕だと確実に腕が持っていかれていたと言う程の重い攻撃だったのだ。

攻撃を防ぎ、一夏は直ぐにMk.Ⅳを左手に持つ。

そして、目線を上に上げると、其処には戦車の様な上半身を持つ『奴』が居たのだ。

 

 

「っ・・・月光!?」

 

『何!?』

 

 

彼らの前に現れたのは月光。それも、頭部付近に機関銃を装備しているタイプだ。

様々なバリエーションの中でも面倒は部類に入るカスタムをした月光。それがかなり近い距離に現れたのだ。他のカスタムで無いだけマシとは言えるかもしれないが、この状況では最悪のチョイスとしか言いようが無い。

しかし、それ以前に何故月光がココに居るのかと焦る一夏に対し、月光は再び攻撃をせんと右足を振り上げる。

マズイ。一夏の頭に警告が走り、瞬時に相手の時間稼ぎを考え始める。

だが、其処までの時間は無い。あるとすれば一秒有るか無いかだ。

 

 

「ッ・・・ダネルッ!!」

 

『Call MGL140』

 

危機的状況で一夏は思わずある武器をコールした。

それは、ダネルMGLと呼ばれる携行型のグレネードランチャーだ。

弾数がリボルバー式なので限られて入るが、一発の火力はグレネードなだけあってかなり高い。

だが、それでも月光の装甲を破壊する事も、ダメージを与える事も出来ない。

それだけの装甲を月光は持っているのだ。

 

しかし、それでいい。

それが今の一夏の狙いなのだから。

 

 

 

 

 

グレネードランチャーを右腕に構える一夏。

目標は月光の頭部だが、相手との距離が近いので一夏も唯では済まない。だからこそ、一夏は瞬時に白式を完全展開し、絶対防御とシールドエネルギーで直接的なダメージを防ぐ事にしたのだ。

即席の対応ではあるが、間違いではない。

 

 

数発のグレネード弾が月光の頭部にへと飛び、爆発する。

貫通性は無いが火力があるのは確かで、一夏の目の前は爆発の光が何度も起こっていた。

普通の人間なら唯では済まない事だ。専用の機体があった事に彼は改めて感謝をした。

 

 

『・・・!!』

 

グレネードランチャーの攻撃を受け、月光は視界の映像がノイズと雑音の混じった物となったので一瞬の怯みが発生していた。この状態で動けば機体に何らかのトラブルがあると思考し、更にはその時の対策と言う物をインプットしていなかったからだ。

月光にある選択肢は一つ。

攻撃の終了後、視界映像の回復後に再度攻撃と言う選択だけ。

 

それが一夏の狙いだとは流石に機械では考えられなかっただろう。

 

 

 

(今だ!)

 

 

刹那。一瞬の内に一夏は月光を突破した。

彼は始めから月光の動きを止めることだけを考えていたのだ。これには月光もどうにも出来ない。そして、その後に月光を倒す絶好のチャンスが一夏には訪れたのだ。

確かに月光相手に一夏の銃火器は役に立つ物が少ない。グレネードランチャーでも勝つ事は出来ない。

だが、一夏には刀がある。

雷電が使用していた高周波ブレード。

これで雷電は月光をいとも容易く倒していたのだから。

 

 

『Call HF.BLADE』

 

「貰った!!」

 

『・・・!?』

 

 

一夏の声と状況に月光の反応と処理速度がフル回転状態となりそれが災いしたのか、月光の動きはどうするかと狼狽しており、反応に遅れが生じた。

それを一夏が待つと誰が思うか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も思わないだろう。

 

 

 

 

 

《斬ッ!!》

 

 

 

月光の上半身と下半身を繋ぐ接合部分。そこを迷い無くブレードで切り裂く。

間接などは人でも生き物でも、ましてやロボットでも脆い部分だ。稼動の邪魔となる物は出来るだけ少ない方がいい。だから最小限の装甲、人などからすれば筋肉しかない。

月光にも当然そんな弱点はある。

頭部が自由に回転する為にはゴテゴテの装甲は帰って邪魔。

だから其処だけの装甲は薄く、切断は容易すぎるのだ。

 

 

 

その脆い部分を切断された月光は下半身の機能が停止したので、どうする事もできなかった。下半身は既に切り離されていたのだ、振り返ろうとする事も機関銃を発砲する事も出来ない。ましてやその行動すら全て微動も出来ない。

何も出来る事が無い月光は、ただ音と共に倒れるのだった。

 

 

 

「・・・・・・ふうっ・・・」

 

上半身が達磨の様にズレ落ちる月光を見て、一夏は息を吐く。

あの状態では二度と再起は出来ないのだ。

これ以上に安心する事はない。

 

安心したところで、一夏は手に持って居たMk.Ⅳを下ろす。

すっかり担がれていたMk.Ⅳは、地面に置かれると再び小さなタイヤを回して上下真っ二つとなった月光に近づく。

月光は既に機能停止をしているので特に害はない。反応も既に途切れていた。

Mk.Ⅳはその月光に近寄り、完全に機能停止をしたのかと左手のマニピュレーターで月光の太い足を突く。

月光の足は動かず、Mk.Ⅳは安心したかのように胸を撫で下ろすような動作をした。

 

 

『イキナリの奇襲とは・・・驚いたね』

 

「全くだ。心臓に悪いぜ・・・寿命縮んだかと思った」

 

『それでも倒したんだし、結果オーライって事でいいんじゃない?』

 

「よく言うぜ・・・」

 

 

率直な感想を述べる一夏に、オタコンは気休め程度の言葉で彼に話す。

しかし、彼にとっては本当に心臓に悪いことだったので一夏はため息を吐いていた。

幽霊などには慣れてはいるが、この様なドッキリには慣れていない。

スネークもそうだが、集中しすぎていると周りへの警戒が怠る事になってしまう。

それで後ろや横から攻撃や叫びとなると誰だって過剰な反応を見せる。

 

兎にも角にも、一夏はこれ以上の事は無いようにと願い、ISを解除した。

 

 

 

 

 

 

 

すると。

 

 

「・・・ん?」

 

 

今まで気づいてなかったある物に気がつき、其処に目線がいく。

それは彼等が今居る格納庫のハンガーから更に離れた場所にある何かのゲートだ。

大きさからして先程一夏達が入ってきたゲートよりも大きい。

正確な大きさは分からないが、それでもかなりの大きさと言うのは確かだ。

何より、先程の出入り口のゲートよりも清潔感のある白色で、錆びた所というのが遠目では見当たらなかった。

 

何かがココとは違っていた。他の何かとは。

雰囲気と言うよりも、オーラと言うべきなのか。

 

 

「・・・・・・。」

 

 

確かめて見たい。一夏の心が揺れ動かされ、足は自然とそのゲートの方へと向いていく。

何かがある筈たと信じ、彼は一歩を踏み入れた。

 

『イチカ?』

 

「オタコン。あれ・・・」

 

『あれ?アレって・・・』

 

 

 

 

 

 

その時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

《ピチョッ・・・》

 

 

 

 

 

何かが滴る音が鳴り響いた。

 

 

鉄の地面に、小さく。唯静かに一滴の雫が落ちた音がしたのだ。

その音に一夏は静止する。

歩き始めていた一歩は止まり、唯その姿勢を維持して一夏は立っていた。

 

 

 

嫌な予感がする。

一夏の胸にそのワードが現れ、急速に心臓の鼓動が早くなる。

鼓動は不規則に瞬く炎の様に動く感覚が彼は感じた。

神経が集中し、何かを探るように辺りに気を配る。

 

すると、一夏は何処かからか視線を感じているのに気がついた。

 

「・・・!」

 

 

誰かに見られている。

一夏は神経が研ぎ澄まさせ、広範囲に探りを入れていた神経は一点に集中するようにして気配を探る。

感じる視線に一夏はプレッシャーが掛けられたかのような重みに襲われるが、それでも彼は何処からの視線かを必死に探す。

右。左。後ろ。奇襲や不意打ちの可能性がある場所に徹底的に気配を探らせる。

どこかに隠れている筈だと、ハンガーやそのほかの場所に対して警戒をしつつ辺りに気を配った。

 

だが。

 

 

「・・・。」

 

 

周囲を探しても何も感じない。誰も居ないのだ。

どれだけ周りを警戒しても誰の気配もしない。なのに誰かから見られているという気配が未だにすると言うのは何故だ。

 

では何処に?と改めて自分に問うようにして彼は警戒する。

 

 

 

 

そして。神経質になった彼は、ある事に気づいた。

 

 

 

 

「・・・・・・そういえば・・・」

 

そういえば水滴は落ちてきたのだったなと、一夏は今更ながらの事を思い出し、改めてそれに気づいた。水滴が落ちてきたと言う事は、自分が立っているような平らな場所ではない。少なくとも高い場所の筈だと。

それに何故気づかなかったんだと思い、一夏はそれを考えに入れて再度考える。

 

 

 

 

 

 

が。数秒と待たずに、彼の頭に一つの仮説が浮上する。

 

 

それは、この場で最も考えられる事であり、最も考えたくない事実である。

 

 

 

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

一夏はその考えを胸に、恐る恐る『顔を上げた』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・マジかよ・・・」

 

 

 

落ちた水滴。警備は無い。ハンガーは空。

 

襲ってきた月光は

 

 

 

 

『落ちてきた』。

 

 

いや、正確には『降りて来た』のだろう。

 

 

 

そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天井にステルス迷彩を掛けた大量の月光群の中から。

 

 

『げっ・・・月光があんなに!?』

 

「っ!!!」

 

一夏の頭上には夥しい数の月光が天井に張り付いており、その全てがステルス迷彩を解除してその姿を現したのだ。それも十や二十の数ではない。

軽く五十はいく数の月光が天井にびっしりと張り付いていたのだ。

更にご丁寧に全機装備はバラバラではあるが、恐らく現在月光が装備可能な装備をつけているのだろう。機関銃、ロケット弾、対ロケット弾用のECM。仔月光用の担架ポット。上げればキリは無い。

そんな奴等が天井でセミだの牛だのの様な鳴き声をして張り付いている。

それには一夏も唯、気色が悪すぎるとしか思えず。思わず吐き気がして戻しそうな顔をしていたのだ。

 

 

「マズイ・・・逃げるぞ!!」

 

 

撤退しかない。一夏の考えは逃げの一つだけだった。あんな数に一人で、しかもこんな場所で戦うというのは無理がある。逃げるしかないと彼は地面を蹴った。

直ぐに元来た道に戻ろうと走り始めるが、既に天井に張り付いていた月光が落ち始めている。

至る所から月光が降り注ぎ、まるで月光の雨の様な状況だ。

そんなのを誰も想像したくないが、一夏の前には現実で起こっている。前や後ろ、左右に容赦なく落ちる月光により、退路は段々と狭まれていくのだ。

月光の攻撃や落ちて来る月光を回避し、一夏は一心に元来たゲートに向っていく。

 

あそこだけしか彼は戻る術を知らない。

あそこが防がれれば、彼は五十は居る月光を一人で相手にする事になるのだ。

 

そうなってしまっては確実に一夏に負ける。

圧倒的な数と、その戦闘能力にだ。

 

 

 

「くそっ・・・!!」

 

 

しかし、月光はそれを知ってか、一夏の行く先々に降り注ぎ彼の道を塞いでいく。

落ちて来ると同時に足で攻撃する月光。着地に失敗して転び、あえてそれで道を塞ぐ月光。

機関銃やミサイルで攻撃する月光などなど。その攻撃のバリエーションは少ないが、一つ一つが強力なのは確かだ。

 

月光の攻撃に気をとられ、一夏は段々と退路を断たれていく。

右に月光。左に月光。後ろも当然月光の群れ。

正に最悪の状況だ。

 

だが、まだ進む先が全て月光に埋めつくされたと言う訳ではない。

僅かに進む道が残されており、攻撃をかわせば進めるほどの幅の道が彼には見える。

希望はまだある。一夏はそれに全てを賭けて、唯一心に走った。

 

 

(後、少し・・・!!)

 

 

距離は近くなっているが、このままでは一気に月光に埋もれてしまう。

周りには既に大量の月光が降りており、その数と見た目で気が狂いそうだった。

賭けるしかない。

 

一夏は最後の賭けとして出口に向かい、スライディングした。

 

月光の足の攻撃もあるが、それを一瞬でかわして出口に向うだけの体力は残っている。

 

残る全てを使えばいける。そう信じ、彼は立ちはがかる月光にスライディングで回避しつつ後ろに向かい、滑り込んだ。

前方にいる月光は機関銃を装備したタイプの物。スライディングをする一夏を機関銃でロック出来る筈が無い。

だからも奴は必ず足で攻撃をする筈。

その全ては彼は読んでいた。

月光が足で攻撃するのを。

 

 

タイミングからしてギリギリ自分が間に合うと言う事を。

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

 

 

僅かな差だった。スライディングをした一夏の頭部に何かの風が吹き荒れる音と気配がした。月光が足を回して一夏を蹴ろうとしたのだろう。更に足が一夏の髪を掠り、髪の毛はその蹴りに流される様に動いたという感覚が一夏の頭部から伝わった。

しかし、僅かな差で一夏が通過し、月光の足技は失敗したのだ。

 

これで一夏の勝利は確定した。後はこのまま一気にゲートに向って走るだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だった。

 

 

 

 

 

 

 

《ズンッ!》

 

 

 

 

「ッッ!?!?」

 

 

 

刹那。

 

 

 

 

 

 

『・・・!!』

 

 

 

 

一夏の前に絶望が現れた。

 

 

 

 

『そんな・・・』

 

 

 

ゲートの真正面に、ミサイルと機関銃を装備した月光が立ち塞がったのだ。

まるで一夏の努力を嘲笑うかのようにして現れた月光は、その姿を堂々と見せつけ、一夏の前に立っていた。

 

僅かな油断が一夏の命取りとなった。

思えば、月光がまた立ち塞がるという考えも出来た筈だ。

だが、一夏にはそれは出来なかった。ただ正面の月光から逃げ切る。それだけしか考えられなかったのだから。

 

ISを使えばどうにかなる。そうは思えない。五十近くの月光相手に一人で戦うというのは無理がありすぎる。

特に、現在の白式ではその限界があるのだ。

 

 

「くっ・・・・・・!」

 

 

正に絶体絶命。その状況に一夏は歯を強くかみ締め、月光を睨む。

その彼の頭の中では必死に起死回生の策を考えていたが、現在所持している武器と装備からして恐らくそれは難しい。最小限の銃火器しかない現状では時間稼ぎなども難しく、ましてやそんな事をする暇も無いだろう。

 

その一夏の前では月光が片足を振り上げ、彼に対してその太い足を下ろそうと構えを取っていた。

 

後ろからは大量の月光部隊。正面には攻撃を構える月光。

 

完全に詰みだ。一夏はこの状況を受け入れるしかないのかと思い、歯を強くかみ締め思わず声を叫び上げそうな顔をした。

手を強く握り、その手からは血が滴り落ちる。

彼の頭では必死に方法を考えているが、それでも諦めと言う言葉が至る所に現れて彼の思考を妨害する。

どう考えても、彼に打開と言う方法は何一つ出てこなかったのだ。

 

 

 

 

その彼に対し今まさに、月光がトドメと言わんばかりの一撃を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が。

 

 

 

 

 

 

《ドンッ!!》

 

 

 

 

刹那。

彼の正面で足を振り下ろそうとしていた月光は、突如として何かに攻撃を受け、その動きを止めた。攻撃を受けた月光は、足を宙に浮かせたままその姿勢で止まっている。

やがて、その月光は物言わぬ山の様に、ただ地面にへと崩れ落ちていったのだ。

この攻撃をされた瞬間を目にしていた一夏は、一体何が起こったのかと一瞬焦ったが、それがチャンスである事に変わりは無かった。

 

 

 

「ッ!!」

 

 

攻撃と同時に思考が変わり、一夏の頭には再び逃走が可能となった事が瞬時に認識される。

逃げるなら今しかない。一夏は再び全力で走り始め、一心にゲートにへと飛び込んだ。

 

後方からは月光たちが一夏を潰そうと向ってくるが、先程と同様に月光に向かい攻撃が行われ、彼に近づく月光は瞬く間に破壊されていたのだ。

 

 

「・・・・・・オタコンッ!!」

 

『任せて!!』

 

しかし、それを気にする余裕は一夏にはない。無論オタコンにもだ。

ただ走ることだけを考え、一夏はついに入ってきたゲートを通過。Mk.Ⅳが入るときにアクセスした開閉装置に再びコードを接続し、直ぐにゲートを閉める様にする。

このままでは月光が漏れ出す恐れがある。

月光のパワーから考えてゲートを破る事態、簡単な事ではあるが、それでも時間を稼ぐ事ができる。

直ぐ様ゲートを閉鎖させたオタコンは閉じるゲートと、彼等を必要以上に追おうとする月光達の姿をゲートの向こうから見ていた。

 

 

 

『後は自動だ!急いでココから脱出しよう!』

 

「分かってる!」

 

 

月光と閉じるゲートを後に、一夏は元来た道を辿り走る。

長居は無用だ。下水を徘徊していた月光の事もある。ゲートから出たからと言って安全とは限らないのだ。

荒い息をしながら一夏は元の道を再びMk.Ⅳで案内させ、彼はその後を残る体力を全て使って走っていったのだ。

 

 

 

 

 

(さっきの攻撃・・・対戦車ライフル・・・?)

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜は既に一時を回っている。

 

満点とまではいかないが空には多くの星が点在しており、夜の数少ない明かりとして月と共に大地を照らしている。月と星に光を当てられた木々や草は昼とはまた違う色の姿を見せる。

しかし、その光は余りに弱い。照らせたとしても僅かな光だけで、多くの影を残してしまう。多くの草木は大きな木々に光をさえぎられ、その幻想的な光を身に浴びる事は出来ない。

だが、それでも周囲の構造を確認するには十分見えるぐらいの明るさだ。

 

 

 

「・・・はぁ・・・やっと着いた・・・」

 

 

 

深夜と言う時間にも関わらず、学園のある場所は明々と人工の明かりを灯している。誰か夜更かしでもしているのかと言われると、そうでもない。其処はその状態が正しいのだ。

その明かりこそ、今ため息を吐いた『彼女』が探していた場所である。学園内で一箇所だけ、二十四時間の態勢で機能し続けている場所。

そう事務所だ。

やっと見つけた事務所に、彼女は安堵の息を吐く。

彼女の眠気はかなり限界点までに近づいており、今にもその場で立ったまま眠ってしまいそうだと思う程の状態で、僅かな意識と気力で辛うじて立っている状況なのだ。

 

 

「ふあっ・・・ったく・・・渋滞だのなんだので思ってた以上に時間が遅れちゃった・・・もう深夜だなんて信じられない・・・早く寝たい・・・」

 

 

 

凰鈴音は、そう言ってココまでの移動で溜め込んでいた愚痴を次々と吐き出していく。

疲れが頂点間近なので機嫌もやや悪い。今の彼女に口答えをすれば、確実に彼女ご自慢の鉄拳の嵐が来るだろう。

しかし、それ以前に鈴の機嫌は悪いよりも先に眠たいという感情で一杯だ。

流石に深夜となれば女が誰でも気にする玉の肌に悪いが、彼女はあまりそう言う事には気にしない性格、寧ろ男勝りといっても良いだろう。

だが、彼女も女。特徴である黄色のリボンとブラウンのツインテールが夜風になびき、それに意識が遠のき始める。

 

 

 

「っていけないいけない・・・危うく寝そうに・・・」

 

 

だが、もう限界だ。彼女が辛うじて保っていた意識はゆっくりと沈んでいき、目蓋は重く閉ざされていこうとする。そして身体からは立つ為に力んでいたが、それも意識が遠のくのと共に力が抜けていき、やがてふらりとゆれると彼女は地面に向かい倒れようとしたのだ。

 

(あ・・・駄目だ・・・もう・・・・・・)

 

 

 

《ぱふっ》

 

 

(あれ・・・誰か・・・?)

 

 

鈴の僅かに残った感覚が、誰かに当たったというのを認識する。

とても暖かい。それに、しっかりとした肌触りで、女性の弾力のある肌とは違う。

これは男性のと似ている。僅かに意識が残る鈴はそれしか考えられない。

 

それを最後に、彼女の意識は暗闇に沈んでいき、深い眠りに着くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・いいのかい、イチカ』

 

「・・・ああ」

 

その鈴が倒れこんだ相手。それが、彼女が何年も探し、求め続けていた相手だとは意識が眠りにつく彼女には思うことすら叶わなかった。

しかし、仮に起きていたとしてその相手は喜ぶだろうか。

それは今の彼の悲痛の顔が全てを語っている。

 

 

「・・・久しぶりだな。鈴」

 

 

 

暗闇の月下の下。

時を越えて、一夏の頭には彼女との約束がフラッシュバックした。

それは苦しいときに彼の支えとなった、生きる意味の一つだったのだから。





オマケ。

ステルス迷彩について。

ステルス迷彩は姿を透明化できる凄いアイテム。ですが、月光などの無人機相手には赤外線もあるので無意味となってしまいました。
そこで、今回の一夏が使用したのはそのステルス迷彩の改修型。
赤外線にも見つからないという画期的なものにサニーたちが改修(改造)した物を使用して、その為月光などには見つかりませんが代わりに消費電力が馬鹿にならないという欠点があり、フルで二時間が限界となったという代物です。
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