IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第十五話です!!

始まりましたVSメタルギアRAY戦!!果たして勝つのは一夏かRAYか?!
今回もちょっと長いので前後編になると思います!
そしてタイトルはMGRの対RAY・グラード戦で流れた曲の一文から取っています。
長い!説明不要です!!ちなみに意味は「今日の獲物を探す」です。

ってな訳で突如として現れたメタルギアRAY。果たして一夏と鈴はRAYに勝てるのか?
そしてその場に居る者達はどうするのか?
後、なんか「あー居たなー」と作者が思った『アイツ』は冒頭でああなりました。


では、誤字脱字・駄文はご愛嬌。
それでも良いと言う方は
第十五話、お楽しみ下さい。


No.15 「Being tracked by a starving beast」

= 某所 =

 

「どう言う事だ!?ゴーレムの反応が途絶えたとは!?」

 

「何処のISが・・・まさか『愛国者達』の残党が?」

 

「馬鹿な!奴等は二年前に滅びた筈だ!!それに奴等の技術は全て世の中に出回っている!!」

 

「では一体何が・・・」

 

 

 

学園ではない何処か。そこでは学園を襲撃する筈であった兵器の反応が途絶えた為に、予想外の事態となったので慌てる者達が居た。

それなりにスペックもある兵器なのに移動していた時にこつぜんとその姿を消したのだ。

思い当たる節があるにはあるがその組織(愛国者達)は既に存在しない。

では何処の組織が?

 

 

恐らく、それをこの者達はこの先永遠に分かる事は無いだろう。

 

 

 

 

 

 

そして。学園へと進路を向けていたが、無残にも海の藻屑となった『ゴーレム』と呼ばれていた兵器の一部のパーツ(・・・・・)がもう海中へと沈んでいた事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさに地震だった。

 

巨体の質量は踏み固められた地面に着地し、其処を震源に大きく振動を響かせる。

勢い良く地面に着地するその巨体の振動は地面にだけではなく、空気にも振動して強大な風を巻き起こす。

海は衝撃波にでも曝されたかの様に吹き飛ばされる。

木々は葉をむしりとられ、校舎の窓ガラスも震えるように動き、中にはヒビが入ったりもした窓ガラスもある。

 

 

其処までの大質量。その姿は機械などにある無骨な角ばった物ではない。有機体の様に滑らかなボディとなっており、まるで機械ではなく生き物の様な形だ。

背部の下の人間の股関節に当たる部分には小さな何か尻尾の様な物が付いている。その大質量が機械のAIだけで動く兵器であるという証拠だ。

見た目はシャチかペンギンが合わさって二で割られた物とでも言えば良いのか。

それでも所々に名残の様に残っている機械の様な部分がそれが機械仕掛けの兵器であるというのを再認識されてくれる。

 

 

その特徴的な姿を見て、その大質量を知る者達はそれをこう呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『メタルギアRAY』と。

 

 

 

「メタルギア・・・!?」

 

 

「RAY・・・まだあんな物が・・・!」

 

 

セシリアは突如として現れたRAYに再度自身に確認するかのように声を搾り出し、再びその姿に出す言葉を選ぶかのように口を閉ざす。

 

一方で一夏は冷静だった。何度も見慣れたからであり、何度も生で戦った事もある。

特に『ガンズ・オブ・ザ・パトリオット事件』の時には一体何機のRAYとサシで戦っただろうか。ミズーリにあったありったけのスティンガーやジャベリンを使って奴に攻撃したのが脳裏に浮かぶ・・・なんて事を思う彼ではあったが、同時に彼は静かに怒りの炎を滾らせていた。

 

RAYは対メタルギアとして開発された経緯を持ち、そのRAYは主に第三国、いわゆる世界のトップの国家が保有する兵器だ。

軍事バランスを崩し、最悪かつての列強の様な事も起こしかねない兵器。それが悠然と彼の前に立ちはだかったのだ。

あれだけ必死に戦い、その後は『彼女』を追うと共にRAYなどのメタルギアの破壊にも彼は容赦をしなかった。安っぽい意思ではあるが、それが国家の傲慢だと思っていたからだ。

 

 

「・・・メタルギア・・・だと!?」

 

 

「・・・RAY・・・アレが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!! 》

 

 

刹那。RAYはそれがまるで自身の声の様に口を大きく開き咆哮する。

獣などが出せるような音ではない。ボディのパーツが擦れ合って起こる金属音が重なり、それが奴の咆哮となっていたのだ。見れば誰もがRAYを生き物だと誤認することもあるだろう。だが、それでも奴は兵器だ。生き物の姿をした対メタルギア用メタルギア。それがRAYなのだから。

 

 

 

そのRAYの咆哮が切っ掛けとなったのか、アリーナの観客席に居た女子生徒達は一斉に叫びなどをあげて逃げ出し、惑い、混乱した。

戦戦恐恐。慄く少女たちはその怪物とも見えるRAYに恐れ、怯え、恐怖して逃げ惑う。

命乞いをして自分が助かるのだと思う者。自分が助かりたいだけで相手のことはどうでも言い。そう言い前や横に居る者を押しのける者。恐怖のあまりに泣き出す者。

逃げ惑う人々によって押し倒される者。

正に、ココは一瞬にして戦場にへと変貌した。

 

 

 

「オタコン・・・!」

 

『ああ。分かっている。だが、どうしてRAYがココに居る・・・』

 

「そもそも、学園には対侵入者用の警備システムとして電磁バリアと防壁が常時展開されていた筈だ。それを奴は突破してきたって言うのか?」

 

『まさか!幾らRAYを改修してもそんな事を軽々とするなんて無理だよ!』

 

「じゃあ一体!?」

 

『・・・ちょっと待ってて・・・』

 

何かを思いついたのか、オタコンは通信越しのモニターでキーボードを叩き始めた。

それが二十秒ほど続くと、最後にEnterキーを押したのか勢い良くキーを叩き、其処に映し出されたデータを見て彼は声を失った。そして、直ぐに呟くようにして一言を言ったのだ。

 

『・・・やっぱりだ』

 

「・・・オイ。まさか・・・」

 

『ああ・・・学園のメインデータに誰かがハッキングを仕掛けた形跡がある。しかも今さっきだ』

 

「ッ・・・!!」

 

『凄い・・・ものの一分も掛からずに全ての防壁を突破している・・・』

 

「・・・やっぱあの人か・・・」

 

『だろうね。恐らく『彼女』がハッキングをして学園のバリアを解除したんだ』

 

「・・・・・・。」

 

『兎も角。今はRAYをどうにかしよう!でないと、このままじゃ被害が増える!』

 

「・・・ああ!」

 

兎も角、今は戦うしかない。あれは自分にとっても脅威の対象であるのだ。

一夏は戦うべき相手を鈴からRAYに変更し、鋭い目で無情の機械にへと向ける。

それに気づいたのか、RAYも自身のゴーグルアイを一夏に向け、やがてゆっくりと口を開かせる。生き物が口から暖かい息を吐く様に、RAYも其処から廃熱を行ったのだ。

両者戦う気はある。ならばここで戦おう。

 

だが、その前に一夏はやるべき事がある。

 

 

 

 

 

『・・・お前はココから離れろ。こいつは俺が倒す』

 

「っ・・・はぁ!?」

 

まだ彼女との回線が繋がっていたので、一夏はその回線で鈴に離脱を呼びかける。

しかし、突然でありしかも自分だけでRAYを倒すと簡単に言ったのに直ぐに納得しろと言われれば誰も簡単に納得はしない。鈴も同じ、裏返るような声で一夏に目を合わせ、彼が正気の沙汰なのかと尋ねようとしていたが、彼は目を合わせずにRAYを見ており本気で一人で倒す気なのだというのか見て分かった。だが、それでも彼女は直ぐには納得しなかった。

 

「俺がって・・・一夏、アンタ正気なの!?あんなデカブツ相手にアンタ一人じゃ・・・」

 

『二度は言わない。お前が居ては・・・邪魔だからな』

 

「っ・・・・・・!」

 

 

RAYの倒し方を知っている一夏は正直この状況では鈴は足手まといにしかならないと考えていたからではある。彼のその冷たい言い方に鈴は反発しようと口を動かしかけるが途中でそれを止める。事実だからだ。

鈴も自分があんな相手と戦うとなれば勝てる算段などは元より無い。自分が全く知らない未知の怪物。それに対して一夏は絶対的自信とも取れる姿でRAYの前に立っている。

任せるのが普通だ。

 

だが、彼の本心は彼女を危険にさらしたくないというのが彼の考えだ。

彼女だけでも逃げれる時間は自分は稼げる筈だ。そんな昔置いてきた筈の意思を引っ張り出したのか、一夏は本心を隠しすような声で鈴に言うのだが・・・

 

 

 

 

「・・・・・・誰が・・・誰が逃げるもんですか!!」

 

「ッ!?」

 

「代表候補とか、そんなのは関係ない!やる前から出来ないって言われたらアタシは一番腹立つのをアンタ知っているでしょうが!!!」

 

大方の予想通りだったとでも言うのだろうか。彼も薄々鈴が反対するのは分かっていた。

彼女がやる前から出来ないと言われたらそれだけで機嫌が悪くなった事。昔何度もあった事の筈なのに、一夏は今更忘れていたとも言えず思い出した記憶から彼女の性格がそれを嫌う性格であった事に気づき、「しまった」と内心で声を上げていたのだ。

 

 

「こんなデカイだけの相手に、負ける気なんてサラサラ無いのよ!!」

 

 

《 ガシャッ!! 》

 

 

「ッ!!待てッ!!!」

 

 

刹那。一夏の制止を振り切り、鈴は衝撃砲をRAYの頭部にへと発射。見えない弾丸たちは真っ直ぐにRAYの頭部に打ち出され、RAYの頭は動くか装甲がへしゃげる

 

 

 

 

筈だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・は?」

 

 

 

 

「ッ・・・衝撃砲が・・・!?」

 

「矢張りメタルギアの装甲の前では無力か・・・」

 

管制室では知っていたかのように千冬が衝撃砲の弾の末路を見て呟いた。

衝撃砲の圧縮空気はRAYの特殊装甲の前にまるで突風が当たっただけかのようにして消え去り、見えない弾丸は見えない姿を見えないようにして消したのだった。

自信があった鈴も豆鉄砲を喰らったかのように自分の目を疑った。

 

「所詮は空気・・・鉄の前には無力か・・・」

 

「そんな・・・じ、じゃあ倒す方法とかって無いんですか!?」

 

「・・・・・・。」

 

 

RAYの前に立つ二人を心配する真那は焦りの声で千冬に問うが、千冬はそれには答えられなかった。彼女もメタルギアの存在は知っていたが、いざ弱点だなんだとなると答えられなかったのだ。知識としてはメタルギアと言う存在があったと言う事実。そしてそのメタルギアの姿が今のRAYであると言う事。ドイツに居た時に知った事ではあるが、上層部は何を恐れたのか彼女にはメタルギアの情報というのは余り開示していなかったのだ。

一応、別の方法でRAYの装備している武器などは分かるが、詳細な情報というのは正直普通の将校ほどの情報しか持ち合わせていなかったのだ。

 

 

 

 

 

では、逆にそれなりの情報を持つ者が居たらどうするか。

それは管制室とは別の場所で行われようとしていた。

 

「RAY相手に幾ら凰さんの機体でも無理がありますわね・・・」

 

「だろうな。所詮は空気だ。流石に奴の装甲をへしゃげる程の圧力がないと、へこませる事も難しいしな」

 

「まぁぶっちゃけそんな圧力があったら皆へしゃげちゃうけどね」

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

「・・・ま。敵はあのペンギンちゃんだけじゃなさそうだけど」

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

『ッ!!イチカ!周りから無人機が集まり始めている!』

 

「何っ!?」

 

『不味い、ヤモリ(月光)も居る!それにスライダーの存在も確認した!』

 

「冗談だろ・・・この状況で無人機なんて相手に出来るかよ!?」

 

『そうは言うけど、奴等もどうやら・・・』

 

 

 

《 ズシッ! 》

 

 

『・・・君を逃がす気はサラサラ無いみたいだよ・・・』

 

「・・・マジかよ・・・」

 

 

 

 

正面にはRAYが悠然とその目を自分に向けている。

その周囲と彼の後ろと至る所に無人機が集まり、月光はその巨体を客席や地面に足を付け、スライダーはまるで鳥が並んで移動するかのように来襲し周囲を旋回する。

 

唯一人の男を殺す為。意思を持たない無人機がまるで意思があるかのように集まり、彼と彼女に対し、逃げ場を失わせたのだ。

 

絶望のステージは整った。ココからは無慈悲な無人機たちが残された二つの餌へと群がるショーとなるのだろう。

ただでさえRAY一体を相手にするのに今の火器だけでどうか分からないのに、そこに更に無人機群だ。奴等が人であったら絶対の自信に満ちた顔で彼等を見下していただろう。

 

 

 

「ちっ・・・こいつ等纏めて相手となると、ちと骨が折れるか・・・!」

 

「ってアタシは戦力外!?どう言う事よ!!」

 

「どうもこうも見ただろ。RAYには衝撃砲は通じない。仮に当たるとしたら、それは開発者が手抜いたかぐらいだ。オマケに周りには無人機、しかも月光ときた。あんな出鱈目無人機のオンパレードと戦う気があるってお前は言うのか?」

 

「・・・それは・・・」

 

やってみなければなんとやらと言うが、鈴もそんな軽口を叩くほど馬鹿でもない。

彼女も突然と現れた月光やスライダーに腰を抜かしかけていたのは事実で、しかも月光の見た目からして勝てるのかと思っていたのだ。つまり、彼女も月光とスライダーの群に勝てるとは思えていないと言う事だ。

 

「・・・・・・・・・。」

 

「分かっただろ。狙いは俺だけだ。お前は隙を見て・・・」

 

 

「・・・嫌よ」

 

「・・・!」

 

 

けど。

 

彼女は一夏には聞こえないトーンの低さで呟き、まるで何かを決断したかのように口を強く締めた。

そして一瞬溜めた後に、間髪いれずにその一瞬に溜めた思いを吐き出した。

 

「・・・アタシも残る。無人機ぐらいならどうにかなるわ」

 

「・・・人の話を聞いていたか。お前じゃ無理---」

 

「無理かどうかなんてどうでもいいわ。けどね・・・

 

 

 

 

アタシは嫌なの。アンタを・・・一夏を見捨てて逃げるなんて・・・・・・そんな事するぐらいなら、アタシは死んだ方がまだマシよ・・・」

 

無意識に口に力を込めて言葉を失敗しないように、口から本音から逸れた事を言わせない様にしっかりと確実に一言一言を鈴は彼に言う。

揺るぎの無いその声は僅かに掠れや震えもあった。顔にも目にもだして居ないが、彼女は目の裏と心の底から吹き上がる涙と悲しみを必死に押さえ込み、強がりを演じていた。

 

それには一夏も面食らったのか、何も言葉が出なかった。

 

 

「・・・・・・。」

 

「だからお願い・・・もし最期になるんだったら・・・せめて一緒に居させて・・・・・・」

 

搾り出すかのような声に段々と鈴が押さえ込んでいた悲しみが吹き出す寸前になっている。

拳を強く握り、もし人の手でそのまま握っていれば血が出ていたであろう程に彼女の手は強く握り締められていたのだ。

その言葉と声に、彼女が本気であるというのが分かる。察した一夏は何も言葉をかけられない。だが、その中で思ったことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・まるで逆プロポーズじゃねぇか・・・」

 

「えっ・・・?」

 

 

 

「・・・上は頼むぞ。スライダーは装甲は脆いが、火力と突進は馬鹿にならないからな」

 

「・・・・・・!」

 

彼はそう言うと振り向かずに鈴にスライダーの特徴を言う。その格好つけにも聞こえるその台詞を聞き、鈴は少しずつ下がっていた目線を一気に引き上げて彼の後姿を視界に映す。

後姿は目線を落とす前と変わらないが、先程の冷たい感覚はない。頼もしく、そして暖かい気持ちで一杯になる。

 

自然と、鈴の顔に微笑みがこぼれていた。

 

 

 

 

 

「・・・・・・分かっているわよ。だから、一夏も負けないで」

 

「・・・・・・。」

 

 

鈴は泣きかけていた顔を拭い、両手に青竜刀を構えて飛翔する。

多くの無人機が視線を一夏から鈴に移した事から、どうやら始めから鈴の足止めが目的だったのかと思えるがそうではない。

一夏と共闘する彼女を戦力を削る為に変更したのだろう。それが無人機は打倒な手だと考え、彼女が一夏との戦力の差が圧倒的、つまり倒しやすいと踏んだ上で。

だが、鈴もそう易々とやられるほど弱くもないしヤワではない。

それなりの経験と場数を踏んでいるのだ。唯でやられるなどと毛頭考えていない。

 

 

 

そして。一夏もだ。

相手がRAYであるので気が抜けないのは確かだが、勝算が無いと言う訳ではない。

奴の弱点は昔嫌と言う程叩いたので頭にこびり付き、身体が確かに覚えている。

しかし、それで奴に勝てるのかと聞かれれば確かな保障はない。だが無いよりかはマシ。それが一夏の考えだ。

 

 

「さて。待たせたな、RAY

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム開始と行こうぜ・・・!」

 

 

対象に敵意を確認。

RAYはそれを合図とするかのように再び金属をこすり合わせた声を咆哮する。

一夏も奴が咆哮しないと調子が出ないと余裕の表情と心境だ。

元より負ける気は無い。勝つのは俺だ。

RAYを倒す、ただそれ一心に一夏はRAYへと向かうのだった。

 

 

 

 

「えっ・・・エメリッヒ君!?」

 

「アイツ、メタルギアにISで挑む気か!?」

 

「そんな、無茶ですって!幾らISに絶対防御があるからって・・・!」

 

「・・・・・・!」

 

幾らなんでも危険だ。千冬はRAYと無人機に向っていく一夏と鈴を見て自分に危険信号を発し、通常の回線で呼びかけようとした。だが、回線は既に死んでおり、千冬はそれに舌打ちをして予備の非常回線で呼びかける。非常回線は通常回線とはラインが独立している為、非常時でも使えるようになっている。つまり、今この非常時に使える唯一の交信方法とも言える。

 

「馬鹿な真似はよせ、二人共!!最悪死ぬかもしれないのだぞ!?」

 

 

 

《 ------------------!!! 》

 

 

 

怒声にも似た大声を張り上げ、千冬は予備回線で使用するマイクに叫ぶ。

だが、間髪いれずにRAYば咆哮した為、千冬の声は彼等に最後まで聞こえる事はなかった。

RAYの咆哮に消えた自分の声に悔しさを感じ、再びマイクに向って大声を張り出そうとするが、それを止めるかのように真那がある事に気づき千冬に報告をする。

 

「ッ!!待ってください!ピットにまだ人・・・ってオルコットさん達!?」

 

「なっ・・・あいつ等、まだ居たのか!?」

 

「その様です、それにカメラから確認するに更識さんと布仏さんのお姉さんたちも・・・」

 

「くっ・・・揃いも揃って馬鹿共が・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・大分とご立腹の様ね、あの人も」

 

それをどうやって聞いていたのか、楯無は耳元に聞こえる千冬の怒りの声に対して反対に冷静なままだった。その隣で虚は呆れたかの様にため息を吐き、更に隣ではセシリアが何かの用意をしている。それについては一切ふれる気が無かったのか、虚は楯無に退避を提案した。

 

「それはそうでしょうに・・・私達もそろそろ危険ですし、ココは退避するべきでは・・・」

 

「・・・ま。ココからは退避しましょう。けど、こんな面白い戦い、滅多に見れないから最後まで観戦していくわ」

 

が。肝が据わっているからか、楯無はピットから退避するがアリーナから放れる気は毛頭無かったらしい。「面白い」と言う限りではまだ恐れるに足らない状況なのだろう。

虚もそれなりに彼女との付き合いなので其処には突っ込まないが、流石に無茶に巻き込まないで欲しいのと少しは危険と言うのを知って欲しいと思い、胃に穴が開きそうな思いだった。

 

「ってな訳で、私たちはちょっと場所移動するけど・・・貴方はどうするのかしら、ミス・オルコット?」

 

 

「あら。決まってましてよ」

 

セシリアは既に決断を下していたので特に考えもせずに間髪なく楯無に答える。

その彼女は地面に何かを置いており、それを片付けている最中だ。中に何があるのかは分からないが、セシリアが収納に使っていたのは大型楽器のチェロのケースで、ソレを見て虚は嫌な予感しかしなかった。

寧ろこの状況ではそれしか浮かび上がらないだろう。

 

「ちょっとダンスのレッスンに・・・ですわ」

 

「あら。にしては相手は無骨すぎやしません?」

 

「無骨だからこそ・・・いい踊りを見せるのですから・・・そこはお楽しみですわよ更識さん」

 

そう言い、チェロのケースのロックをしっかりと閉めたセシリアは重たそうにケースにを持ち上げて自分の細い右肩にその巨体を背負う。見れば唯の音楽好きの少女に見えるが、こんな戦場と化した場所でそれは実に不似合いだ。それに、セシリアも元より音楽好きの少女に見せる気などこの場では微塵にも思っていない。外でなら別ではあるが。

 

「役者はもう直ぐ揃うわ。それまでどうなるのか・・・序章を楽しみましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狩る者と狩られる者。自然における野性の掟、生きる為の戦いが

 

今、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《 バシャッ! 》

 

 

刹那、先制を仕掛けたのはRAY。背部に装備されたミサイル発射管が開き、其処から六連装のミサイルが一斉に発射される。流れるように放たれた六発のミサイルは規則正しく飛んでいかず、不規則にジェットコースターの様に回転して飛び回る。

それでも最終的な狙いは変わらない。不規則な弾道が相手を混乱させ、より多くのミサイルが当たる様にするのがこのミサイルだ。

当然、当てる相手は一夏。それを承知の彼は既に刀を左手に右手にM1911を構えて近づいてくるミサイルを迎撃する。

 

 

「ソレぐらいなら・・・!」

 

近づくミサイルを慌てず冷静に打ち抜いていく。殆どのミサイルは一発で落とせたが、中には二発であったりと当たり所が悪かったのが分かる。しかし、落とせたのは事実なので其処は追求はしない。一々そんな事で気にしてるほど彼も余裕は無い。

相手はRAY。幾ら量産型のタイプを多く倒したからと言ってもその時とは状況がまるで違う。

このままRAYが逃げれば学園に被害が及ぶ。倒せるのはこの一度だけだ。

 

 

「さっさと口開けろ!」

 

 

 

《 ガシャンッ!! 》

 

 

 

「いっ!?」

 

RAYは一夏の言葉を理解したかのように開いた。だが、その開いた場所は口ではなく、RAYの腕。たっぷりと肉が詰まったかのように太い腕の装甲カバーが外され、その中から幾つものミサイルの発射口が姿を見せたのだ。

口は口でも頭部の口ではなく、ミサイルがたっぷりと詰まった発射『口』が姿を見せたのには一夏も思わず声が裏代わりそうになった。

 

 

目標を捕捉。RAYのカメラアイが一夏をロックオンし、システムが間髪入れずに発射を命令した。

腕の発射口から無数とも言うべきミサイルが放たれ、RAYの腕は白い煙に満たされようとする。ミサイルの一発一発が小型の為に数が多く、しかも弾道に不規則性は無い。一直線に一夏にその火薬が詰まった状態で向かって行ったのだ。

 

「っ・・・チャフ!!」

 

『Call Chaff.G』

 

一直線に一夏に向ってくると言う事は熱源か何かで追跡していると言う事。

ならば今の状況でそれを回避するにはこれを使うしかない。向ってくるミサイルを前に一夏はM1911を戻し、チャフグレネードを持つ。

電波障害になるだけの物だが、無いよりかはマシかと直ぐに安全ピンを抜いて正面に投げる。同時に自身は後退し、RAYの隙を窺う。

 

 

 

《 バンッ!! 》

 

 

 

勢い良く爆発したチャフは中身に詰められていたプラスチックのフィルムが弾け出し、空中に散布される。散布されたフィルムなどにレーダーが反応し、何に干渉したのかミサイルの大半は一夏の近くに着弾した。

 

 

「あぶ・・・」

 

何とか逸れてくれたミサイルを見て一夏は肝を冷やし汗を垂らす。

ミサイルはどうにか回避できたので次の装填までは時間が掛かる筈だと、後退していた機体のスラスターを逆噴射して再び前進。RAYへと接近する。

 

『今のRAYの攻撃、見た事の無い攻撃だったね』

 

「ああ。しかもあのミサイルはAIS(対ISミサイル)。対ISを想定しているって事だ」

 

『別にそれ自体は不思議じゃない。だが、アレだけの改造をするなんて・・・』

 

「前にRAYの近代化改修があるって情報をサニー達と漁ってて見つけた事がある。もしかして・・・」

 

『RAYの近代化改修機?』

 

「可能性としては在り得るな」

 

『と言う事は、まさか他の武装も?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それが改造されまくりなんだなー・・・これが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!口が開いた!」

 

『今がチャンスだ!!』

 

RAYの弱点。それはRAYの主兵装と言うべき武器である水圧カッターが装備されている口だ。

海水などを供給し、それを瞬時に圧縮。発射時にはその加圧された水が一本のレーザーの様に発射され、鉄をも容易に切り裂く。加圧された水は鋭利な刃物も同様で鉄を切り裂き地面を抉る。しかもRAYは海岸などからの奇襲を前提に作られている為に水の補給は簡単な事。

だが、その最強の武器のある場所は同時にRAYの最大の弱点でもある。生き物も口の中はとてもデリケートな為、傷がつけば大惨事になる。それと同様でRAYの口の部分は水圧カッターの装備があるだけで、それを守る為の装甲などは一切無い。装甲が邪魔で更には発射口が最も精密な場所だからだ。

 

水圧カッターは確かに強力な武器ではあるが、一直線にしか水が伸びないのが欠点だ。

ならがそれに注意して接近するば後は近距離で一夏が攻撃が出来る隙がある。

瞬時加速で文字通り瞬時に肉薄する事も可能で其処からグレネードランチャーだったり刀で切り裂いたりと出来る。つまり、一夏が水圧カッターを回避すれば確実に彼が勝利すると言う事だ。

 

 

 

 

 

 

 

だが。それはあくまで『水圧カッターであれば』の話だ。

 

 

 

 

 

『・・・あれ?』

 

 

 

「貰った・・・!」

 

 

 

 

「・・・。」

 

 

 

近代化改修。それは現代の技術でその機体を強化改修する事だ。

装備を一新したりレーダーを最新式に交換したり、装甲を張り替えたり。強化は様々だ。

 

そう。装備を交換するというのも、改修の一つであるのだ。

 

 

 

 

 

 

『RAYの頭部に高電圧反応・・・これは・・・まさか?!』

 

 

RAYの口が開いたという最大のチャンスに一夏は一気にRAYに接近する。

水圧カッターなら一直線なので直ぐに回避できるからだ。そして刀をまだ左手に持っているのは右手でグレネードランチャーを撃つ為。余裕ではないが勝機を感じ、勝負に出たのだ。

 

が。それはオタコンの咄嗟の声で瞬時に中止され、一夏は驚く事になる。

 

 

『イチカ、奴は水圧カッターを撃つんじゃない!

 

 

プラズマ砲(・・・・・)だ!!!』

 

「っ!?」

 

オタコンの言葉に目を見開いた一夏は直ぐにスラスターを逆噴射し、急ブレーキをするが既にRAYとは一メートルもない距離に近づいており更にRAYはチャージ完了間近だ。

どう考えても遅すぎた。オタコンは目の前が金色に染まり始めたときにそう後悔してモニターを見る。

プラズマ砲の言葉に一夏は一瞬で汗を吹き出し、反射的にRAYから避けようとするが、肌にプラズマの電気が走り、頬などに小さな電気ショックが当たるのを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、時は既に遅い。

RAYの口は既に金色に染まっており、稲妻を迸らせる光は彼の顔に影を作っていた。

其処から一秒と経たずにRAYはその黄金の一閃を吐き出すのだった。




オマケ。

AISについて。

AIS。正式名は『対・インフィニットストラトス用・誘導攻撃ミサイル』でざっくりと言えばIS用に開発されたホーミングミサイルです。HEAT弾のような科学爆弾がある様にこのミサイルには電磁パルスの一種が火薬と共に詰まれており、それによってISの駆動系や制御性を麻痺ないし破壊する。火薬は通常の実弾と同様で外装と内部にも同時攻撃が可能となっています。その為、ISには致命傷に他ならないと言う事ですが、電磁パルスなどにしっかりと対策しておけば内部へのダメージは最小限にとどめられます。但し、外は実際の火薬なので其処はISの装甲次第です。
劇中ではセシリアが『ブルーティアーズ』に搭載したタイプと今回RAYが使用したタイプがありますが、セシリアが使用したのはISに搭載するのを前提としたミサイルでその中で威力は最も高い方のミサイルです。但し、少し動きが鈍かったりもするし何よりお金がすんごく掛かります。
RAYのは大型兵器に搭載するのを前提としているので大きさでいえばセシリアのよりも大きく、威力もかなり違います。結果、金はセシリア以上です。
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