IS×MGS - Another Solid - 作:No.20_Blaz
・・・うん。やっぱ三編ですね。RAY戦はセシリア戦同様に三編となってしまいました。
と言う事で今回は中編。次回は早足になるかもしれませんがケリを付けたいですね。
そして・・・アルェ?何かお気に入りとUAが凄い事になっているなー・・・幻覚だよなぁ・・・・・・・・・嘘です。マジでかと今でも信じられませんが幻覚だと思っているのは多分嘘ですw
ですが、皆さんがこうして見れくれたお陰でお気に入りが間も無く300です!凄いです!
歓喜です!ザ・ジョイです!!
これからも皆さんに読んでもらうように頑張ります!!
さて。改めて今回はRAY戦の中盤です。一夏と鈴の戦いと『彼女』の参戦。
そして最後・・・何してんだよという人物が居ますね、ハイ。
では、誤字脱字・駄文はご愛嬌。
それでも良いと言う方は
第十六話お楽しみ下さい。
・修正・
月光がえげつない装備をしていました。ごめんなさい・・・
一瞬の事だった。
一夏の目の前は光り輝き、闇と言う闇を全て喰らい尽くし光だけの世界に変化させる。
そして、そこから発せられた一閃は彼を飲み込もうとしていた。
永遠に現世に残すまいとして。
「っ・・・!」
『Ignition』
刹那。RAYの口から金色の一閃が放たれた。
一閃の光は太く、そして眩い光でその先を照らしていき同時に大地を抉り取るり、彼や鈴に妨害をせんと立っていた月光をも飲み込み消し去っていき、光に触れるもの全てを破壊していく。射線上に立っていた月光達は自分が友軍の攻撃で破壊されるなどとは思えなかったので、回避は間に合わずただ棒立ちの状態だ。
それは無人機がデータを共有し誤射や事故を極最小限に抑えられる様にしており、そうプログラミングされているデータを元に最適の行動を常に行っているからで、プラズマ砲の砲撃という行動は月光には「あり得ない事」だったから。
つまり、予めプログラムされていない事態だったと言う事だ。
そんな事が起こっていると知らず、放たれたプラズマ砲の一閃を回避した一夏はプラズマ砲が当たらなかったと言う事に対し胸を撫で下ろし、横目で通過するプラズマ砲を見て肝を冷やしていた。
あんなのが直撃すれば、いくらISでもタダでは済まないのは明らかだ。
オタコンの声に反応し、反射的に瞬時加速を行った彼はコンマの差で回避し現在RAYの横に居る。
RAYの攻撃が終わればチャンスではあるが、それよりも彼はRAYから放たれたプラズマ砲に驚き、動きを止めていた。
「・・・・・・。」
吐き終えたRAYは弱点である口を閉じていく。
傍から見れば弱点が消えるとなって慌てる所だろうが、今の彼にはその事はどうでもよく思えていたのだ。自分が知っているRAYとは「装備が違う」。戸惑いと驚きを隠せない一夏は我を忘れ、ほうけていた。
プラズマ砲の跡は色濃く残り、アリーナの観客席などは抉り取られた様にボロボロとなって大穴を開けていた。水圧カッターでもあそこまで酷い抉られようにはならないだろう。
それだけ威力が違っていたのだ。
その一閃を見た者達は誰一人としてその威力を無視できず、言葉を失っていた。
一方、その一夏にRAYを任せ、空に居る無人機スライダーの相手をしていた鈴は下で起こっている事はまだ知らず、目の前の無人機相手に苦戦していた。
「っ・・・!こんのちょこまかと!!」
スライダーは鳥の様に飛行し鈴をあざ笑うかの様にヒット&ウェイを繰り返しており、無人機がこんな戦い方をすると言うのに不愉快さを感じて頭に血が上っていた。
それが無人機の思う壺だ。鈴は怒り任せに攻撃を掠らせるばかりで無人機スライダーは優雅に舞って攻撃を繰り返す。人であれば挑発などをスライダーが飛ばしているだろう。
「っーーー!!ああもう!このガラクタ鳥風情が!!いい加減落ちなさいっての!!」
遂に沸点を切ったのか怒号と共に鈴は衝撃砲を稼動。見えない弾丸をスライダーにへと乱射する。衝撃砲を使う事はスライダーのAIも予想済みだったが、怒り任せに乱射する鈴の攻撃には予測が出来ず、何機かは圧縮された空気に脆い装甲が災いして爆発していった。
「ホラホラホラ!さっさと落ちなさい!!」
スライダーが落ち始めたのを見ると、鈴は調子が出始めたのかそれとも調子に乗り始めたのか勢いづいて周りを旋回しているスライダーに手当たり次第に衝撃砲を打ち込む。
衝撃砲自体は空気が弾丸の為、ほぼ無尽蔵だが精密な機械である事には変わりは無い。
勢いづいて乱射する鈴は衝撃砲に熱がみるみると蓄積されているのに気づかず、目の前のスライダーを撃破していった。
「これで七機!後、三機ッ!」
すっかり勢いづいた鈴はその勢いを利用してスライダーを次々と撃破。残るスライダーは三機だけとなった。流石に残り三機と言う事で無闇やたらと打ち込んでも意味は無い。
ココからは正確にと鈴が衝撃砲を構えて残るスライダーに正確な攻撃をと思っていた
その時だ。
《 ヴィー!ヴィー! 》
「何がってそんな!?」
突如彼女の機体からアラートが鳴り響き、鈴は何が起こったかとISによって投影されたモニターで機体の状態を確認する。
其処には鈴が今の今まで気づいていなかった事が起こっていた。
「しまっ・・・衝撃砲が・・・!」
気づけば、彼女の後ろに浮く衝撃砲からは至る所廃熱が行われ、その機能の大半を停止させていたのだ。鈴は衝撃砲がオーバーヒートを起こした事に今まで気づいてなかった。調子付いてしまった彼女は目の前の事に囚われてしまい、周りの事にも目を配るのを忘れてしまっていたのだ。
まるでグリルか何かの様に衝撃砲は熱を出し湯気も立ち上らせており、その熱と匂いは近くに居る彼女の鼻にまでしっかりと匂っていた。焦げた鉄の匂いと蒸し暑い熱気が彼女の顔に直面し汗が顔から吹き出る。
それが衝撃砲による汗なのか、彼女が慌ててしまった時に吹き出た汗なのか、それはもうこの状態では見分けも出来ないだろう。
その隙を突き、スライダーの一機が鈴の横側から接近する。
スライダーの翼にはその機体の数少ない装備が取り付けられている。装備は任務ごとに換装が可能でその任務にあった装備をつけることが出来る。但しペイロードに限界があるので片翼に最大で四発が積載の限界。つまり、その積載量をオーバーしない範囲では規格の合う装備は全て装備可能と言う事だ。
そして、そのスライダーが装備するのはISにとっては天敵と言っても過言ではないミサイル兵器。
《 バシュシュシュシュ!! 》
(っ・・・この音・・・AIS!?)
対IS用のミサイル『AIS』を全弾お見舞いだ。衝撃砲に気をとられていた僅かな隙にスライダーが搭載していたAISミサイルを全弾鈴に向けて発射する。
ミサイルの発射音に気づき、鈴は音のする方角に顔を向けると同時に機体をミサイルの射線上からずらそうとするが、その時には既にミサイルは彼女の直ぐ其処に姿を近づけていた。
直後、間髪いれずに、鈴へと六発のミサイルが直撃する。
回避するタイミングが余りにも遅かったので気休め程度に自分の生身の部分である頭などを防御した鈴は、防御が幸いしたのか軽く脳が揺れただけで済んだ。
だが、機体はそうは行かず、至る所に直撃したミサイルによって装甲が剥がれ、破壊される。更に内部の駆動系や制御系など電子部分にもダメージが伝わり、鈴の視界の解像度が低下しノイズが紛れ始める。
「ッッ・・・!!」
『機体システムに異常発生。駆動系及びハイパーセンサーに異常。全システムの20%がダウン。衝撃砲使用に問題が発生』
「うっ・・・!」
「っ・・・こなくそっ!!」
鈴の直撃を見た一夏は直ぐに我を取り戻し、RAYにへと再接近する。
今はRAYが先程のプラズマ砲の反動で僅かな時間動きが止まっている。一夏はRAYの横側に居るので其処から接近すればRAYの頭部に取り付くことは可能つまり、頭部にしがみつけば後は一夏のもの。手に持つ高周波ブレードで何度か差し込んでいけば装甲は嫌でも剥がせるし、中にあるプラズマ砲に攻撃できる。
構造が同じであればRAYのプラズマ砲は水圧カッターと同じで機体の中心部まで続いて居る筈で、プラズマ砲のダメージが伝わって内部にも響く筈と言う事だ。
RAYはまだプラズマ砲の反動が残っているのか顔を正面にほうけているような状態だ。
これなら接近できる。そう思った刹那。一夏に向けて一つの銃口が向けられる。
『ッ!!機銃だ!』
「ッ!?」
RAYの肩部辺りから突如機銃がせり上がり、その銃口を彼に向けていたのだ。
しかも機銃は準備満タンの様で銃口を向けて一秒と経たずに乱射。嵐の様な銃弾を彼に向かい放ったのだ。
銃撃の嵐に一夏は機体の飛行翼を動かし、接近しつつ右へ左へと銃弾の嵐を回避。
機銃には驚いたが、相手は機銃一丁だけだ。
回避は容易いので一夏は問題が無いかのように肉薄し、両手で刀を構え頭部への攻撃を準備。
刹那、銃弾の嵐を避けきった一夏はRAYの頭部に辿り着き、高周波ブレードをRAYの頬に当たる部分に突き刺す。
しかし、ブレードが刺さったのは良いが装甲が分厚く、刺し込んだ瞬間に鈍い音とまるで本当に分厚い装甲版に刺し込んだかのように刀を思うように動かせなかった。メタルギアとの白兵戦の経験が無かった一夏は高周波ブレードでも思うように敵の装甲を斬れないのかと痛感していたが、そんな事で一々諦めたりするほどの事でもない。
「もういっちょ!!」
ブレードを引き抜き、再びRAYへと突き刺す。何度も突き刺していけば斬られた所から弱い部分が広がっていく筈だと頭部への集中的な攻撃を試みる。
だが、その痛みに反応したかのようにRAYは頭部を振るい一夏を落とそうと暴れだした。
まるで巨大な生き物に対し小人か何かが果敢に挑む、と言う程ではないがRAYの大きさとISとを比べればそう見えるのも可笑しくは無いのだろう。
「っ!?うわっ!!」
暴れるRAYに一夏は態勢が整えにくいと、一旦刀を抜きRAYと距離を取る事にする。
あれだけ暴れられては刀が持たないと思ったからだ。加えて、距離を取ればRAYも何時かは隙を見て口を開ける筈。其処を狙えばとグレネードランチャーの用意をして彼は瞬時加速で再度距離を取った。
「っ・・・もう一度ッ!」
再接近を図ろうと一夏は態勢を整え、再び瞬時加速に入ろうとする。
だが、其処に既にRAYが手を打っていたのか膝部から二発のクラスター爆弾を発射。空高く放たれた親弾は一定の高さに上がると爆破して中から無数の子弾を散布。火の雨が一夏の上から降り注がれた。
「何っ!?」
『クラスター爆弾!?RAYの膝には対艦・対戦車ミサイルの筈じゃ・・・』
「装備も変えられてるって事かっ・・・!」
クラスター爆弾に驚きつつも一夏は降り注ぐ火の弾を回避し再接近の機会を窺う。その横目では機体にダメージが無いかとシールドエネルギーの残量が表示される場所に目を落とす。先程よりも多少ではあるが残量が減少していた。
恐らく爆発の余波か直撃は無かったがギリギリ掠ってしまったか。だが、いずれにしてもまだ機体は動ける状態でダメージも慌てるほど蓄積されていない。多少の無茶は可能かと一夏は機体の耐久力を信じ、再度RAYへと接敵しようとしたが、ミサイルの嵐が彼に接近を許させなかった。
「っ・・・んなろ!!」
それでも尚接近する一夏にミサイルから今度は機銃の弾丸が舞い込んでくる。先程とは違い今度は二丁の機銃が彼に向かい乱射している為、その弾幕は先程のよりも濃い。
『このままじゃ近づいても蜂の巣だ。イチカ、先に機銃を破壊しよう!』
「だな。足下から飛び込むか」
弾幕が薄い足下に行けば、後はRAYの身体に沿って上昇して機銃を破壊できる。
単純ではあるが、大型兵器に対しては有効な手だ。
足下へと飛び込めた一夏は顔を上に上げる。そして、そのまま勢いを全て殺させないように足に力を入れ、ジャンプするように構えた。
しかしそこへ、鈍い発射音と共に彼に向かい数発のロケット弾が発射される。
「っ!?」
ロケット弾の横槍に一夏は咄嗟の防御態勢で直撃を防ぐ構えを取るが、横槍のロケット弾は一直線に一夏に向っていくと言う事はなく、寧ろその近辺に着弾し彼は爆発の余波から自身も身を守ったのだ。
「ロケット弾・・・!」
直接のダメージが無いので安心したが、同時に彼は思い出した。
『そういえばそうだったな』と。
「
ロケット弾を装備した月光。それが一夏に妨害を加えたのだ。
それも一体二体の数ではない。最高八体、最低でも六体の月光が彼の周りを取り囲んでいた。先程のプラズマ砲に怯えていたら良い物をと思う一夏だが、そんな事を考える暇は彼には無い。
『月光・・・ッ!!上だ!!』
「しまっ」
その月光達に一瞬気をとられていた一夏は上からの聞きに察知する。
彼の頭上からは黒く太い、まるて丸太の様な大きさと太さの足が振り下ろされようとしていたのだ。そう、RAYの足だ。
太いRAYの足は、まるで人間が蟻でも踏むかのように迷い無く振り下ろされた。
蟻と言うべき彼を踏み潰す為、RAYの巨体からすれば容易な事の筈。だが、RAYの足は地面には付かずに途中で気持ち悪く止まってしまう。
後もう少しで足は地面に付き、一夏を潰せる。勝利に酔った訳ではないが、最適な行動として弾き出した答えが、今は最適ではないと告げていかの様に。
「っ・・・くっ・・・・・・」
それを表現で告げたのは一夏だ。彼はその華奢な機体と自身の身体だけでRAYの足を受け止めていた。本来の一夏だけの力では持って数秒だが、今の彼はISとCNT筋繊維をによってその足を受け止めているのだ。CNT筋繊維による人間以上のパワーとIS本来の出力。これが掛け合わさり今彼の力となってRAYの足を受け止めている力となる。
「ぬ・・・ぐっおおお・・・」
だが、それでも機体が華奢であったり機体出力が足らない事でギリギリの状態であるのだ。加えてRAYも全出力で一夏を踏みにきている訳ではない。AIが判断すれば出力は限界まで引き上げられて機体がパワー負けしてしまうだろう。
つまり、今の内に一夏が動かなければ確実に踏まれる。それが今の状況だ。
其処にダメ押しをしてやろうとする者達、いや無人機達がゆっくりと近づき彼にトドメを刺そうとしている。月光には固定装備の機銃が付いている為、一応の射撃は可能だ。それにカスタムされている月光にはまだロケット弾を装備していたり機銃を装備している奴も居る。つまり、どうするかは月光次第と言う事。完全に一夏は絶体絶命の窮地に立たされていたのだ。
『マズイ!イチカ、急いで!!』
「な事、言ったって・・・!!くそっ・・・出力が!」
逃げようにしても出力が上がらない。このままでは瞬時加速も使えない。
RAYの足を支えるのにパワーを費やしている為に余剰エネルギーを他に回すのは出来ない状態なのだ。
その間に月光達はジリジリと距離を詰めて一夏に接近している。このままでは本当に彼は蜂の巣かタコ殴りにされる。
画面越しに見ているオタコンは何もする事が出来ず、唯あわあわと自分がどうすれば良いのかと慌てていた。このままでは彼は確実に踏み潰されてしまう。一体どうすればと考えるが、起死回生の手段は今は無い。
《 ----------!! 》
刹那。距離を詰めた月光は攻撃の合図なのか牛の様な鳴き声を挙げた。
鳴き声を聞き、一夏は完全に窮地だと悟り焦った。せめてこの足をどうにかすればと今の状況に置いたRAYの足をどかそうとするが、思うように力が入らず足は段々と彼の頭の髪にへと触れ始めていた。
このままではやられる。それは嫌だ。
受け入れたくない事に一夏は拒絶し、あるかどうか分からない希望を信じていた。
そして。その希望は小さく兆しを見せた。
《 !?!?!?!??!?!?!?! 》
突如、月光の一体が奇声の様な鳴き声を上げた。
その声はまるで何かに苦しむかのような鳴き声で、それは一夏も良く耳にしていた。
鳴き声は確か月光の脚部に異常が発生した時によく発していた鳴き声だ。
彼も麻酔銃で月光の足に撃ち込みしばらく動きを止めさせたのは良い思い出だ。
しかし、何故その声が今ココで鳴り響いているのか。
それは当然、誰かが月光の足を『切り裂いた』からだ。
「えっ・・・?」
濁ったオイルをたっぷりと詰まった肉の足から吹き出す。そのオイルの勢いはまるで血の様に勢いがよく、吹き出る元が肉であれば余計に見えてしまう。
やがて溢れ出るオイルが噴射機の様に動くと、月光が体勢を崩して倒れた。
月光の足は膝の下辺りから切り裂かれ、上半身と膝から上は後ろに倒れ、残る下と足は
その切り裂いた少女の横に倒れこむ。
「あれっ・・・あの機体って・・・!」
「アイツ・・・居ないと思ったら・・・!」
別に牛の肉を切ることは難しいことではない。加えて相手が無人機ならば尚更容易な事。
人の血の様に吹き出るオイルに洗脳の様に自分に言い聞かせる彼女は、恐怖と興奮を抑え込み、自分の意識を冷静に保たせる。
『あれは・・・打鉄?』
日本が開発した量産型IS『打鉄』。接近戦に重視した機体は専用の刀を一本所持している。
だが、別に二本持とうが機体上問題はない。後は使用者が扱えるかなだけだからだ。
その打鉄を操る人物。彼女の姿を見て一夏は目を大きく開いた。
「・・・ほう、き?」
「今だッ!!!!」
「ッ!!」
彼女の声に一夏は反応して頭上を見上げる。既に髪に触れ、頭蓋骨に触れる寸前だ。
怒涛の彼女の登場に呆気に取られていたのか、自然とパワーを緩め始めていたのだろう。もしあと少し遅ければと考えたくも無い事を頭の隅に置く一夏だが、それでもパワーの差は変わらない。
「こんのぉぉぉぉ・・・・・・!!」
「っ・・・何をしている!貴様、それでも武人か!!」
「っ・・・簡単に言うなオイ・・・!!」
= 理性でやるな。感じろ、己の力を。本能でそれを知るんだ =
「っ・・・!?」
頭の中に突如響いた声に一夏は一体なんだと思うが、今はその言葉を信じるしかないと、彼の『本能』が言っていた気がした。
それに従い、彼は『支える』と言う考えを捨て、我武者羅にRAYの足を『吹き飛ばそう』と歯を軋ませた。
『・・・?!勝り始めてる・・・!』
RAYの足を押している内に自然の彼の頭から思考は消え始める。
ただ直感に、本能に従って身体を動かし始める。後先を考えず。今を思わず。ただ我を忘れんばかりに力を振るう。
なんと心地良いのだろうか。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
刹那。
AIは自分の計算に疑った。単純なパワーなら自身が勝って居る筈だと。重さを加えたあの一撃を押し返すなどは不可能だと。
なのにこれはどう言う事だ。
自分の鉄の足は押し戻され、自分は体勢を崩しているではないか。小回りでは勝てなくとも、力勝負なら勝つ筈なのに。どうしてだと。AIは混乱したかのように計算を疑った。
「貰ったぁ!!」
隙を突き、一夏は瞬時加速でジャンプをしてRAYの僅かに上にその姿を見せた。
彼の前には目標の一つである機銃があるが、機銃はAIは無いのでその銃口を一夏に向けようとしていた。
それでも一夏の方が速い。既に斬撃の構えを取っていた一夏は何時でも機銃を斬れるのに対し、機銃は照準のロックオンと補正が必要。僅かに時間の差があったのだ。
その隙を逃すまいと一夏は意識を集中させ、機銃に対しての斬撃を行う。
一瞬、彼の視界が青く光った感覚があったがそれを気に留めず、集中した意識を刀に乗せ、瞬時に数回の斬撃を機銃に叩き込む。
切られた機銃は二分三分と手当たり次第に切られては細かくなっていき、最後にはみじん切りの様に細切れにされた。
《 --------------!!!!! 》
『よし!』
「・・・!」
痛みというのを感じたのだろうか。RAYは苦しむかのような悲鳴と言うべき軋みを辺りに響かせる。痛恨とは行かないが確実にダメージ与えられたのだと実感の湧く反応だ。
しかし、それよりもと地面に着地した一夏はRAYから背を向けずに数歩後ろに下がる。
足を止めると機体の羽を納め、後ろに居る彼女に当たらない様にと彼なりの配慮をした一夏は、背中合わせとなった彼女に対し遅くなったが尋ねたのだ。
「・・・どうして来た?」
「・・・・・・。」
「お前には関係のない事だ。無理をしなくても・・・」
「分かってる。これが私にとって無関係であることも。下手をすれば死ぬかもしれないと言う事も。だがな。それでも・・・それでも私は・・・」
「・・・・・・。」
「・・・お前の傍に居たい。私には無関係であっても、お前に・・・一夏に必要にされたい・・・」
「っ・・・」
互いに後ろ向きである為に分からなかった。だが、なんとなく一夏は今箒がどんな顔をしているのか分かる気がした。
何故だろう。前にもこんな事があった気がすると、何処かで感じたけど忘れてしまった懐かしみを感じて。
「・・・。女を泣かせるなって最近言われたんだがな・・・」
「・・・!」
「出てきたからには付き合ってもらう。
「・・・勿論だ!」
不意に誰かに言われたという言葉を呟き、一夏は箒を残らせる事にした。
どの道彼女に帰れと言っても帰らないのは鈴と同じで見えきった事だ。
なら、せめてココに来ただけでも責任は取ってもらう。そんな言い訳にしか聞こえないような台詞を頭で言い聞かせ、一夏は刀を構えなおす。
箒はその言葉に真で受け取ったのか、気づかずに流れていた何かを拭き取り、再び両手に持つ刀を構えた。
其処に、もう一人が現れる。
「あのさ・・・何こんなヤバイ状況でイチャイチャしている訳よアンタ達」
「・・・!」
「何だ、生きてたのか」
「生きてたわよ。AISモロに八発喰らったけど生きてるわよ!悪かったわね!」
勝手に怒り出す鈴は着地をすると割り込むように一夏と背中合わせに立つ。
機体は先程よりも損傷個所が増えていたが、本人はまだ平気な様で箒の皮肉にも似た言葉に大声で返した。まだ彼女も戦えるようだ。
空を見上げればスライダーは残り二機に数を減らしており、鈴がダメージ覚悟でスライダー一機を落として降りてきたのが分かる。いや、恐らく飛ぶだけの出力が無いのか、カットしたのか。今の甲龍の姿を見ればそう思えるだろう。
『・・・随分と賑やかになったね』
「・・・全くだ。どうして俺の周りってこういう奴が多いのかね。メリルさんといい美鈴といい、ビッグママといい・・・」
『女は強しって言うけど、正にその言葉通りだね』
「オタコンももうちょっと強くなれよ。女に」
『・・・考えとく』
「ど・・・どうします、織斑先生・・・?」
「・・・・・・知らん」
「えっ・・・ちょっと!?」
呆れたと言うべきか、それとも驚いたと言うべきか。千冬は頭を抱え、目の前の現実を逃避するかのように目を逸らした。
どうしてこうあいつ等は死にたがると理解できない感情を胸に、理性を働かせる彼女は目の前の出来事が嘘でありたいと信じるかの様に幻覚の頭痛に頭を痛めるのだった。
『RAYの装備は膝と背中のミサイル。そして両腕のAIS。加えてメインのプラズマ砲。狙い目はそれぞれ分かっているね?』
「ミサイルは誘発で何とかする。問題はプラズマ砲だ。反動がデカイのはいいが、あの威力じゃ何発か撃ったらこのアリーナを貫通する。そうなれば・・・」
「学園にも被害が・・・」
「奴がプラズマ砲を撃つのが先か。それまでにダメージを蓄積されるのが先か・・・」
時間は余り残されていない。プラズマ砲によってアリーナが後どれだけ持つのかは彼等にも分からない。しかし、その持つ時間、発砲数をオーバーすれば確実に外に被害が及ぶ。
つまり、彼に残された道は二つ。
RAYが再度プラズマ砲を撃とうとする時にカウンターでグレネードランチャーを撃つか。
ソレまでにダメージを蓄積させて倒すか。
いずれにしても時間との勝負と運の勝負であるのには変わりない。
「勝負と行こうぜ・・・RAY!」
さぁ。第二ラウンドの始まりだ。
「全く・・・一夏さんもお熱いですわね。けど、そこが彼の良い所ですわねフフッ・・・」
「・・・ところでさ。せっしー、何を組み上げてるの?」
「・・・さぁ?なんでしょうか?」
そう言ってセシリアは組み上げた何かを構え、マガジンを装填右側に付けられたボルトを引きロックを解除した。
組み上げられた何かを見て、セシリアに訊いた少女は変わらない表情のまま頬へと汗を垂らす。まさかセシリアがそんな物まで持ち込んでいるとはと、彼女のぶっ飛びぶりに若干引いていたのだ。
だが、訊いておきたいと、確認したいと思い、上ずりを抑えセシリアに唯一言、正気かどうかを尋ねた。
「・・・マジ?」
「・・・大マジですわ」
それを満面の笑みで返されては、もう彼女が正気であるのかどうかでさえも分からないのだが。
「面白くなってきたわね。まさか彼女があんな物までも持ち込んでたなんて・・・学園長も人が悪い・・・♪」
「悪いと言うか、悪事通り越して作為を感じますよ。エメリッヒの武器といい彼女のといい・・・何処から流れているんですか?」
「さぁ?彼のは兎も角、彼女のは・・・私物じゃないかしら?」
そしてそんな会話をする二人は、何処か全てを見渡せる場所でそれを傍観していた。
虚は自分の隣で何処までを知り、何処までを理解しているのか全く読めない自身の主に頭を悩ませると同時に何か恐怖の様な物を感じていたのだ。
オマケ。
打鉄(IS×MGS版)。
日本が開発した量産型ISである打鉄。原作では訓練機として使用されているだけですが、本作では国土防衛もコンセプトに加えられており、実戦も一応想定した設計がさせています。
大きな相違点は無いですが、違いを挙げるとすれば腕部に新たに籠手が付けられており、背部には武器の担架が可能。一応銃火器も使用可能で使用者を選ばないマイルドな物になっています。背部に担架する武器は刀などの大物から銃火器に至るまで様々で積載量をオーバーしない限りでは乗せることは可能です。
また、実戦想定と言う事でスペックもそれなりで1.2倍から5倍程度の差があります。
ちなみに、現在後継機は原作どおり頓挫しており、凍結も考えられています。