IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第二十三話です。

今回もギャグっけのある話になります。
そして、今回からいよいよ登場のシャルル。
果たしてどうなるのでしょうかねぇ(棒)

と言う事でいよいよ四人目のIS側メインキャラことシャルルの登場。
そして若干二名不在ですが、あの授業です。
その前に久々にアレも出ますよ。ええ。これがやりたいが為に少し伸ばしましたよ。

誤字脱字・駄文はご愛嬌。
それでも良いと言う方は
第二十三話、お楽しみ下さい。

・追記・
お気に入り400越え・・・感無量です・・・!
皆さん、ありがとう御座います!!
これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします!


No.23 「エトランゼ」

 

 

メタルギアRAYとの戦いから四日。

 

霜月からのお墨付きも貰い、一夏は日常生活は問題ないと言われて安堵した。

しかし、あくまで日常生活に対しての事であるのでISでの模擬戦などは身体に何かあってはいけないとの事で禁止を言い渡されており、それについては担任である千冬達にも通達されていたらしい。

白式は返却されたが、幾つかの機能が制限されたり使用時には学園側に記録されるなどSOPシステムの様なものを入れられた。

 

「・・・信用は・・・されてないか」

 

元より学園側に信用、安全とも見られていないのは確かだ。

素性は殆ど不明、専用機を持っている事。性別が男。何より、織斑千冬の弟「織斑一夏」なのではないか、など自分のことについて明かしていない事が多すぎる現状ではそこまで信用されていないのも無理はないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、りっひーだー♪」

 

「ん、のほほんか」

 

彼が教室に入るなり最初に目が合い声を掛けてきたのは、変わらぬ元気な姿をする本音だ。

あの事件があったと言うのに、会ってからの第一声は何時もと変わらない挨拶の言葉であるのに後から気づいた一夏は、まるで自分が代弁させられたような感じではあったが本音に尋ねる。

 

「・・・。」

 

「・・・?どうしたの?」

 

「いや・・・四日前の事について聞かないんだなって」

 

「ふえ?四日前・・・」

 

「・・・まぁいいさ。あの時は大丈夫だったのか?」

 

 

「うーん・・・四日前・・・」

 

「覚えてないのか?」

 

「あー・・・エメリッヒ君。実は・・・」

 

鷹月と相川の二人もは本音の左右に立ち、鷹月は本音の頭を撫でるように優しく手を置いた。その二人の顔はなにやら申し訳無さそうな表情で二人は深いため息を一夏の前に吐いて事情を説明した。

 

「本音、実はあの時ロッカールームで寝ていたみたいで・・・」

 

「ロッカーで?」

 

「ええ。本人がどうしてあんな所に居たのか話さないし、どうしてあんな場所に居たのかもね」

 

「・・・当の本人はどうなんだ?」

 

「あー!あの時かー!」

 

「・・・・・・。」

 

「えっとねー、のほほんさんはりっひーを「おむかえ」しようとしていたんだけど、段々と眠たくなって・・・」

 

「おむかえ?」

 

「タオル渡したりって事?」

 

「そうそう!」

 

「・・・マネージャー的なことをしたかったと」

 

「のんびりなマネージャーも務まるかどうか分からんがな」

 

苦笑しつつ本音の行動に納得する一夏。何故今回そんな事をしたのかは本人の気分か何かなのだろうと思い、話はそこで途切れた。

特に気にする事でもないだろう。相手が本音であるからか、一夏はそれなりに納得した表情で彼女を見るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員そろそろ座れ。ホームルーム始めるぞ」

 

其処に変わらぬスーツ姿の千冬が入り生徒達はそんな時間か、と急ぎ足で自分の席に座る。

彼女が教室に入る時は何時もホームルーム開始のチャイムが鳴る数分前で、生徒達から見れば憧れの人からの言葉であり、一夏にとっては彼女が時計代わりである。

一夏も自分の席に腰をかけようとしていたが、そこである事に気づいた。

箒とセシリアの姿がないのだ。あの二人が欠席するとは珍しいなと言いたいが、箒については、何かあったのかと気になっていた。

小学生の頃は箒は風邪などで休んだ事は余りなく、その休んだ日も数える程度。今でも思い出せる程の日数しか彼女は休んだ事が無い。

 

 

「・・・見て分かると思うが、オルコット・篠ノ之両名は事情があってしばらくは欠席だ。理由は・・・察しろ」

 

察しろ。その一言で一夏は二人がどうして居ないのかを理解した。

この四日間の事を考えると理由と原因は一つ。

彼女達に謹慎処分が下されたからだ。そして、その原因は一夏の戦いに参加したから。

他に思い当たる事があるとしても、セシリアが無断で実弾武器を使用していた事ぐらいしか思い浮かばず、箒も打鉄は前もって借りる予定は立てていたらしい。それが今回の事件で繰り上がっただけで違反にもならない。

 

 

「それとだ。クラス対抗で使用されたアリーナだが、修復の目処が立たないので当面は閉鎖となった。以後のクラス対抗試合などは残るアリーナを使用する事になる。エメリッヒも覚えておけ」

 

「・・・はい」

 

「あ・・・じゃあ今回の一組と二組の対抗試合ってどうなるんですか?」

 

「事件当時に行われていたあの試合だが、此方で話し合った結果無効となった。無論、二組の代表とも話はつけたからな・・・」

 

「・・・。」

 

一組の代表はベッドの上だった、とでも言いたかったのだろうか。

本人の知らない所で決められていたので勝手なのではないかと思えるが、一夏も試合の無効には賛成であった。

RAYが現れた時点ではほぼ互角の状態で余裕もあり、カッコつけで言うならば勝負は始まってもすらいない。

あの試合で勝敗を決めると言うほうが難しい事だ。

 

「また、当然のことながらアリーナ近辺に近づく事も駄目だ何処まで損傷しているかも調べがついていないからな」

 

「後、今回のアリーナでの出来事は二組を除くほかのクラス又は生徒には他言無用でお願いします。唯でさえあんな事になったので噂話でも何が起こるのか分かりません。聞かれても事故が起こったと言って誤魔化してください」

 

本当にそれだけで誤魔化せるだろうか。あの事件当時はかなり混乱もあり、生徒はほぼ全員あの場から逃げ出したのだ。その騒ぎを聞きつけ他の生徒が見に行ったり、最低でも顔を出して騒ぎのあった方を見たりもしただろう。

それぐらいは誰だってやる。何かが起これば無意識に人はその何かが起こった場所に顔を向けるという事をする。それでRAYの姿を確認する事もRAYの全長からすれば容易は事だ。

 

余りにも対応がずさん過ぎるのではないか?と思うのも当然だが、逆に考えればずさんであるのは今の時点で事件の事を隠そうとしても隠し切れる事ではないからだ。

起こった出来事。それを起こした兵器の姿。そして現場に居た多くの生徒達。

事件の出来事が詳細は無理にしろ漏れる事の可能性は高い。

 

では、どうして誤魔化す事にしたのか。

無言の圧力で無理にでも口を封じる事にしたからだ。

生徒達は何があったのかを覚えている限り話す。だが、教師達はその現れたメタルギアの重大さを知っている者が居るので事の大きさをより深く知ることが出来る。

その教師達が誤魔化せと言えば生徒達への圧力にもなり自然と彼女達も話す事は無くなる。

 

『暗黙の了解』。人の持つ特性を利用した方法で自然消滅を行わせると言う事だ。

 

 

 

「・・・さて。知らせはこれ位だが・・・今回はもう一つある。山田先生」

 

「はい。今日からまた一人、新しい生徒が此方に転入する事になりました」

 

複雑な事情も交えた話を切り上げた千冬は、沈みかけていた場の空気を変える為なのか言葉を続けるが強制の無い声色で喋り始めた。その声色は何時もと変わらない厳しさのある喋り方。入って間もないが親しみのある話し方だった。

 

「本当はもう一人新しい子も一緒に来る予定だったんですが、訳あって遅れてしまい今回は先に一人がと言う事になったそうです」

 

「新入生が二人も!?」

 

「作為!?作為を感じられます!!」

 

「これも全て乾・・・」

 

 

「やかましい。外で待っている奴が入ってこれんだろうに」

 

「ハハハハハ・・・じゃあ、そろそろ入ってきてください!」

 

山田の合図に教室のドアが開き外で待機していたその新入生がようやくながらその姿を彼女達の前に曝け出す。

その姿を見た瞬間。誰もが驚き、息を飲み、目を疑う。

しかし一夏は一人眉を動かし、周りで似た反応をする彼女達とは違う別の反応を見せていた。

 

白く足首まで伸びる長ズボン、それと同じく長袖の上着は身体の骨にあわせる為だったのか角ばった個所も見える。

そして、その顔と詳細を聞き彼の頭の中には真っ先に「中性的」と言う言葉が浮かび上がった。

 

少年や少女のような幼さを残した顔。金色の髪。そして紫の瞳。

 

 

「では。今日から新しく入る転入生のご紹介です。えっと自己紹介をお願いします」

 

 

「はい。シャルル・デュノアです。皆さんよろしくお願いします」

 

 

どちらとも取れる姿に誰もが困惑する。男か。それとも女かと。

だが『彼女』と取るにしては角ばったものも無く、腕や足は袖に隠されているので見ることは出来ない。

何より、足の開きが女ではなく男に近いものだ。

確証はコレ一つだけではあるが、その後押しをする言葉を本人が口にする。

 

 

 

 

「・・・ええっと・・・一応、二人目の男・・・です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステレオの黄色い声が教室から飛び出し校舎ほほ全域まで響き渡る。

よく其処まで叫んで喉が潰れないなと呆れる一夏は、その黄色い声を遠くから聞こえるかのように耳に特別製の耳栓を入れており殆どの声を遮断していた。

どうやらその対策をしていなかったシャルルはそれほどのことになると知らず必死に自分の耳を守り歯を強くかみ締め耐えていた。まるで入学初日の一夏と同じ姿で、その表情に一夏も同情を覚えた。

 

「男!?本当に男の子!?」

 

「いえ!これがあの有名は男の娘って奴よ!!」

 

「守ってあげたい系男子・・・それが今私達の目の前に!!!」

 

 

「まぁ、その男の子の話ですが・・・」

 

「まだ公にはなっていないので皆さん、出来るだけ内密に・・・」

 

「・・・とりあえず・・・全員黙るところからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「りっひーりっひー!おとこの子だよ、おとこの子!!」

 

「ああ・・・そうだな」

 

「フランスから来たさわやか系男子!これはいいジャンルを突いて来ましたよエメリッヒさーん!」

 

「ああ・・・そうかもな」

 

「熱く男らしいエメリッヒ君とほぼ対極といってもいいデュノア君!これは強敵ですよエメリッヒ君ッ!!」

 

「ああ・・・そーだろうかもな」

 

 

 

「・・・・・・りっひー。話聞いてる?」

 

「・・・ん?何か言ったか?」

 

「適当に相槌打ってかわしましたよこの人・・・」

 

ホームルーム直後の教室で一夏の周りに早速本音、鷹月、相川の三人が集まり二人目の男性IS操縦者であるシャルルについて話で盛り上がっていた。

だが、その集合地点の席に座る一夏は何か考え事をしていたのか三人の言葉に適当な相槌を打って答え、改めて本音が尋ねた時に彼女達が自分に何かを話していたというのに気が付いたのだ。

 

「いや・・・すまんな。考え事してたからさ」

 

「考え事・・・ハッ!!」

 

「エメリッヒ君、実は禁断の愛にご興味が・・・!!」

 

「同性愛に興味は無い」

 

「・・・ちっ」

 

「鷹月。今の舌打ちは何だ」

 

 

「りっひー何が気になっているの?」

 

「・・・他愛の無い事だ」

 

他愛のない事で言葉を済ませていたが、一夏はその後もまた考える。

この状況で彼が考える事は一つ。シャルルが一体何者かと言う事だ。

一体何の為に。一体どうして。疑問をもたない他の生徒とは違い彼なりの疑問を持って居たのだろう。彼だからこそ思う疑問を。

 

 

 

 

 

「二人目ってマジ!?」

 

廊下から聞き覚えのある声が大声で聞こえ、一夏達四人は揃って顔を廊下側へと向ける。

そこに声の主である鈴が信じられない、と言う顔で立っていた。その姿に朝から元気な事で、と年寄り臭い言葉を思いつつ特に驚愕も無い無表情の顔で一夏は鈴に知らないフリでもするかのように尋ねた。

 

「・・・鈴。どうかしたのか?」

 

「どうもこうも無いわよ!一夏、二人目って本当なの!?」

 

「だから何がだ」

 

「男!二人目の男のIS操縦者の話よ!もうそこら中で騒いでるわよ」

 

「えっもうそこまで広がってるの!?」

 

「そりゃ女の噂感染力は恐ろしく高いから。もう一年全域は当然の如く、二年三年にも広がりつつあるわよ」

 

「流石に広がるのが早いな」

 

噂という噂を広げる事を得意とする女性。それによって拡散されるスピードと正確さは一夏も関心も覚える。

広げられた噂という情報は語弊なく伝わりかつ驚異的ともいえる速度で広まっていくのだ。情報の正確さと伝達力の速さというものはどんな時であれ重要な事。それを平然とこなす彼女達に一夏は驚かされる。自然と身に付けたことであるがそうやって正確に伝えられるのは実は重要な素晴らしい能力だと。

 

「このまま行けば次の新聞の一面はこれ一色になるわね」

 

「あたらな男性IS操縦者はさわやか美少年・・・無くもない話ね」

 

「あの新聞部の事だから彼の身長と体重とかの詳細な情報も書き込んでそうね・・・」

 

「ふむ・・・ぜひ書いて欲しいわね」

 

 

「えっと・・・書いてどうなるのかな・・・」

 

 

「そりゃあそういうのが好みの女達がデュノア君を襲いに・・・」

 

「本人居るぞ」

 

 

「・・・・・・へ?」

 

硬直する相川に一夏達は再度言うかのように首を縦に振り、先ほどの言葉と同じ意味である事を示す。一人話していた相川は一瞬彼の言葉に硬直し思考と動きを停止させる。

そこからブリキの玩具のように錆びた金属音を響かせながら首を動かし後ろを振り向く。

 

 

「・・・・・・聞いてた?」

 

「途中から・・・」

 

気まずい空気が彼女らの周りを漂い始める。

話自体は他愛も無い事であったのだが、話の内容とタイミングが悪かったのだろう。

思わず言ってしまった相川とそれを偶然にも聞いてしまったシャルル。どちらもどうすればいいのか分からず思考は半ば停止状態。このままでは不味いと相川の方に冷や汗が流れ始めた時だった。

 

 

 

 

 

 

「次の授業は外で行うので各自スーツに着替えて集合です!あと、エメリッヒ君は先にデュノア君と一緒にロッカーで着替えてください!」

 

用事ついでに教室内に顔だけを出した山田の声に生徒達は適当な相槌やら返事やらをして答える。それが彼女達の間の気まず空気を破りまわりの面々はとりあえずは安心したと息を吐いた。

 

「・・・んじゃ俺は先にいくぞ」

 

「ん。けど、アンタ身体は平気なの?」

 

「問題ない。先生からのお墨付きだ」

 

「・・・ならいいけど・・・」

 

 

「・・・デュノア・・・だっけな。直ぐに行くぞ時間無いしノロノロ行くと面倒になる」

 

「えっ・・・あ、うん」

 

急に話しかけられたからかシャルルはぎこちない返事を一夏に返し、先に教室を後にした一夏の後ろに付いて行く。何か慌てる理由でもあるのだろうか。そんな素振りを見せるシャルルの姿は慌てて人を追いかけるような歩き方で見る人によっては違和感を感じされる動きだった。

 

「・・・・・・。」

 

「・・・どうかしたの?」

 

「・・・アイツ・・・まさか・・・」

 

まさかと言う可能性の言葉の中に込めた意味を頭に浮かべる鈴。

その言葉の意味を語らずとも一夏が知っているであろうと信じ、彼女は彼ら二人の去った後を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急げよ。場所はグラウンドのロッカールームだ」

 

「急ぐのは分かるけど、そんなに急ぐ事なの?」

 

「・・・一応この学園は女子学園だ。男なんて俺たちと清掃員のおっちゃん達ぐらい。だから、俺たち野郎は先にロッカーを使って着替えろというのが偉大な織斑先生からのお達しだ」

 

吐き捨てるかのような言い方で一夏はシャルルに小走りで向かっていることに説明する。

話し方からしてまるで千冬を邪見しているかのような言い方だが、一夏自身は彼女を邪見するつもりはない。仮にあるとしてもそれは『姉』としてではなく『ブリュンヒルデ』としての彼女を嫌っているのだ。

本心では彼は千冬を嫌う理由などは欠片もない。ただ現在は話しにくいというだけだ。

 

「・・・・・・・・・それに」

 

「・・・それに?」

 

「・・・!」

 

すると、一夏は無言で足を止めシャルルに『止まれ』と目の前に手を突き出す。

急な行動にシャルルは驚きはしたが、彼に従いその場で足を止める。わずかに勢いが残り半歩手前で足をとめてしまうが直ぐに姿勢を安定させる為に半歩下がり一夏と三十センチ程の間隔を間に作る。

 

「・・・ちょっとこっちに来い」

 

「えっ!?あっちょっ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれっ。男子二人まだなのかな?」

 

「もしかしてもう先に行っちゃったとか・・・」

 

「むうっ・・・仕方ない。私達も先にロッカールームに向かいましょ!」

 

 

生徒らしき少女達の声が聞こえる。それぞれの声が違うところからして三人のようだ。

どこから現れたのかは分からないが誰かを待っていたらしく。出会うことができなかったようだ。

どうやら三人の生徒が一夏達を待ち構え足音が聞こえたからか姿を見せたようだが、その一夏とシャルルの姿は無く人違いだったのか先に行ってしまったのかと、足早にその場を離れた。

 

しかし、確かに一夏達は居る。彼女達には見えないだけで確かに一夏とシャルルはその場を通ろうとしていた。が、一夏が彼女達が居ると気づき咄嗟に隠れてたので、姿を消した二人を彼女達は気づく事ができなかったのだ。

 

 

「・・・行ったか」

 

「のようだね・・・」

 

「・・・さて。このままどうするか・・・」

 

「・・・・・・あのさ・・・」

 

「どうした?」

 

 

「・・・これ・・・何?」

 

「これ?」

 

「うん・・・その・・・僕等がいま隠れている物っていうか・・・なんていうか・・・」

 

「・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンボールだが?」

 

「・・・・・・。」

 

姿を消したというよりも隠れたというのが正しい。

一夏達はその場で物の中に隠れたのだ。

曰く『戦士の必需品』ダンボールに。

 

(・・・どうしてダンボール・・・というか何処から・・・)

 

どうやって一夏がダンボールを取り出したかなどは不明だが、その中に隠れた二人は現在密着した状態のまましゃがみ込んでいた。

薄暗いダンボールの中一夏は僅かな隙間から外の状況を確認し、シャルルはその後ろで苦笑しつつ動きづらそうにもごもごと動いていた。

 

「・・・大丈夫そうだな」

 

「・・・。じゃあ・・・」

 

「頭から突き破ったらタダじゃおかねぇからな」

 

「えっ・・・?!」

 

 

過去にその禁忌を犯した哀れな兵士達が居たと言う。

たかがダンボールと嘲笑い汚した者達。

その者達は後に神風と呼ばれる風に吹き飛ばされ、身包み全てを剥がされてしまったとか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロッカールームに着いた二人は急ぎで更衣を始める。

荒っぽく制服を脱ぎ捨てる一夏のその姿は慣れた手つきであるが、荒っぽいことに変わりは無い。くしゃくしゃに紙を纏めるかのようにロッカーの中に押し込むのだ。

ダンボールでの行動がロスタイムになってしまい、女子生徒達が来るまであと五分と残されていなかった。それが二人が急ぐ理由であり、一夏の脱衣が荒っぽい理由だ。

 

「おい、そっち終わったか?」

 

「えっ・・・う、うん。僕はもう終わってるよ」

 

「そうか。なら先に行ってろ。俺も後で行くから」

 

「あ・・・うん・・・」

 

男との会話に慣れていないのか。それとも人との会話に慣れていないのか。歯切れが悪くどこか苛立つ言い方の一つ一つが一夏の癇に障り、彼の動きの荒々しさを強くさせる。

恐らくシャルルは他意は無いだろうが、残りたいのだろう。顔も見ずに言葉だけでの予想なので詳しくは分からない。

言えば別に構わないのだが、正直ここぞという時にはっきりと言いたい事を言おうとしないのは一夏は嫌いなのだ。それが昔の自分であり、過去に経験した事の一つでもあるからだ。

 

「・・・・・・。」

 

 

それを気づいているのだろうな、と一夏の後姿を見るシャルルは彼の更衣を待つのかロッカーに背を預けている。

左手を後ろに隠し、もごもごとしているその姿は本当にシャルルが男なのかと思いたい仕草だ。言いたい事を言わず下手に隠す。男だといい印象を持たれないタイプだ。

 

そのシャルルがロッカーに背を預け一夏の後姿をずっと見ている。視線が彼の背中な為に一夏も後ろからの視線には気づいており、何がしたいのかと気になっている。

だが、今はそんな事を気にする時間はない。

シャツを脱いだ一夏はスーツを取り、頭から被り始める。

その姿を見ていたシャルルは、『怖気づいた』かのように顔色を変えていた。

 

 

「・・・・・・!」

 

 

一夏の体つきだ。歳相応の運動神経のある青年の体つきではない。

たった二年と言う短い期間の間が戦場を日常となってしまったあの日々。歳相応や常人の能力では戦場を生きられないと知っていたからか、彼の身体はそれ以上に出来上がった肉付きをしていたのだ。異常とも思えるその体つきだが、それだけで済みはしない。

その身体の所々に皮膚が焦がされた痕や痛々しい切り傷の痕などがあったのだ。

 

何をしたらそこまでの傷が身体に付くのだろうか。考えたくも無い事を考えるシャルルの顔は自然と一夏から目を逸らし自分の足下にまで下がっていた。

 

「・・・・・・。」

 

「・・・っ。まだ居たのか」

 

「う、うん。ちょっと一人は寂しいからさ・・・」

 

「・・・・・・そうか」

 

改めて知った事がシャルルにあった。

その傷を隠す為に一夏のISのスーツは肌を隠す場所が通常のよりも長いのだと。

余り見せても気持ちの良い物でもないからだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果たしてそんな事を考える生徒が他にも居るのだろうか。

聞かれれば彼はこう答えるだろう。

 

 

 

多分無いな、と。

 

 

 

 

 

「ムッハー!!」

 

「エメリッヒ君の身体いいですなぁ!!」

 

「ふ・・・変だな、目の前がおぼろに・・・」

 

「死ぬな!傷はないけど浅い!!」

 

 

 

 

 

「・・・休みてぇな」

 

「休むなよ。ただでさえ頭数が足りないんだ、これ以上はたまったモンじゃない」

 

「頭数?ち・・・織斑先生、一体なにを?」

 

「直ぐに分かる」

 

「はぁ・・・」

 

 

 

 

その直後。航空機か何かが空を切る音が聞こえてきたので、生徒達は顔を振り向かせ何処から聞こえるのかと辺りを見回す。

ただ航空機が通るだけなら誰も気にはしないが、彼女達に聞こえるのはその音が段々と近づいてくる音だからだ。

まるで、その音の主が自分達のもとに近づいてくるような・・・

 

 

 

 

 

「-------!」

 

 

「・・・何か聞こえない?」

 

「何かって・・・何?」

 

「ホラ。なんか叫び声みたいな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「-----------!!」

 

 

 

「・・・まさか・・・」

 

「・・・鈴」

 

「・・・何」

 

 

 

 

 

「・・・多分ココだ」

 

「・・・何が」

 

「着弾地点」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どいてくださぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!」

 

「い゛っ!?」

 

 

刹那。彼女達のもとへとISを纏った山田が、弾丸の如く突撃してきたので、生徒ほぼ全員はその場から退避。一夏と千冬だけはその場に残った。

 

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