IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

26 / 68
第二十四話です。

グダグダな話になってしまいすみません・・・
ちょっと更新が遅めになっていますがどうにかエンジンをかけ直して更新のスピードを上げたいと思っています。
・・・MGSV、買いたいけどPS4買ってない、て言うか買えない・・・滅茶苦茶ほしいのに・・・(泣)

そんなわけで(どんな訳だよ)
今回は1・2の合同授業とその日の放課後の話です。
しばらくはもっぴーとセッシーはお休みですかね。
その為、一夏と鈴とシャルル、そして楯無さんが話の中心になるかと。

それでは、誤字脱字はご愛嬌。
それでも良いという方は
第二十四話、お楽しみ下さい。



No.24 「変化」

 

 

条件反射。

それは訓練などで獲得した後天的反射行動のこと。

通常の無意識の反射とは違い、訓練や経験などで獲得した反応の事を斥す。

簡単な事であれば多く並べられた料理の中で自分が好む物を見つけると手を伸ばす。

ダンボールがあると被る(但し例外は居る)。そして身を隠す。

無意識に動く反射とは違い、条件反射は経験などから得た情報を元に行動を起こす事だ。

・・・ダンボールの件は例外の者が何人か居るが。

 

 

そして、それは戦場でも重要な技術の一つでもある。

足音がすれば無意識に振り向く。だが、それだけでは反応が遅れて撃たれる可能性もある。

だが、条件反射だと足音がすれば振り向きつつ銃か何か武器を構え、身を屈めたり物陰に隠れたりする。そうする事で自身の被弾を抑えることが出来ると経験を得ているからだ。

安全な場所というのが少ない戦場で条件反射を身に付けることは自身の生存に大きくプラスになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が。条件反射とはその名の通り、条件が揃えば行われる反射行動。

しかもその条件が比較的簡単なものが多いので・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

 

「・・・・・・えっと・・・」

 

「・・・何が・・・あったのかな?」

 

 

 

迫ってきた相手又はISに対してCQCか投げ技で受け流してしまう事もあり得るのだ。

 

 

 

「・・・あのぉ・・・エメリッヒ君?」

 

「・・・・・・すんません・・・条件反射で・・・」

 

「ああ・・・条件反射で・・・」

 

 

この直後。当然のことだが一夏は千冬から鉄拳制裁を受けることになる。

条件反射で追突寸前のISを投げ倒すなど、ましてそれが担任であると言う事では言い逃れもできない。

しかも、その制裁のスピードが常人離れしているとなれば最早回避も出来ないのだ。

 

 

「は、速い・・・」

 

「え、どっちが?」

 

「どっちもと言うか・・・なんていうか・・・」

 

しかし改めてその一部始終を見て最初に思う事は、最初に口を開いた鈴が呟いた台詞。

「速い」だ。考えて見ればその一部始終の速さは普通ではない。

特に、一夏の投げ技に関しては常人の言葉には絶対に治まらない。

直線で向かってきたからといっても突っ込んできた山田の機体のスピードは速く、目で追うのがやっとなくらいだ。

それを彼は見極めタイミングを計り投げ技を行った。本来ならあり得ない事だ。

 

これを彼が過去に何度も行って身に付けたのかと思われるが、実際はそうでもない。

それについてはまたいずれ明かされるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて。改めて今回からISの本格的な訓練を開始する。今日を加えて三日は歩行。次に射撃と格闘だ。回避云々は当分はやらん」

 

その後、整列した生徒達の前で動きやすいジャージ姿の千冬が立ち、今回の合同授業の内容を伝える。

内容はISの歩行訓練。ISを扱うに当たって最も初歩的であり重要な動作の一つだ。

世間からのISのイメージは飛行して戦うというのが第一印象ではあるが、歩行や走行も当然のことながら重要な事。慣れなければ赤子の様に転ぶ事になる。

自身の身体の延長線。それがISの見方の一つだ。

 

だからこそ、一夏やセシリアの様な実際に身体に戦闘スキルを仕込んでからISを使用するという訓練法もあり、それによるIS使用時に慣れる時間は飛躍的に短縮される。

また、近接格闘術を習得していれば足腰にも自然と力を入れるので慣れは早い方で、学園に通う生徒の中には武術を身に付けてからISに乗るという生徒も何人が居るのだ。

 

「ちなみに、今回私からは特にアドバイスというものを授けてやる事は出来ん」

 

「えっ、どうしてですか?」

 

「ISに限らず、このような人の延長線上にある機械。それらはすべて『慣れ』が重要だ。いかに早く慣れるか。これがISを使うときの重要な点だ。故に、私が口出しするのは動きの修正ぐらいだ」

 

「じゃあ私達どうやって・・・」

 

 

千冬のアドバイス無しにどうやってISで歩けというのか。不安な生徒達はざわめきだし、それは波紋となって広がる。が、直ぐに千冬が手を叩き、生徒達の目線を再度集める。

彼女も何もノーヒントでやらせる気などは無い。

 

「静かにしろ。当然、お前等がそうものの数分で慣れるような変人集団だとは微塵も思っていない。だからこれから班分けを行う」

 

「班分け・・・ですか?」

 

「班は四つ。それぞれの班に一人、教師役が付く」

 

 

「・・・なるほど。つまり・・・」

 

「俺たちか」

 

 

「教師役は順にエメリッヒ、デュノア、凰。そして山田先生。それぞれ出席番号順に今言われた四人の前に集まれ。人数の割り振りは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で。結果こうなるわけだ」

 

「エメリッヒ君動じませんな」

 

「・・・・・・。」

 

割り振る生徒の人数は其処まで多くは無い。

しかし、二つのクラスを四つの班に分けるとなれば、それでも人数はまだ多い方だろう。

一夏の前には野球が出来るか否かぐらいの生徒が集まっており、その中には相川と鷹月の二人も居た。どうやら布仏はシャルルの班に割り振られたらしく、彼女が寂しそうに一夏達の班を見ていた。

 

「じゃ、出席番号順にさっさと始めるぞ。歩数はさっき先生が話していたとおり十歩。出来なくても交代はしてくれ。出来た奴から抜けていくからな」

 

一夏は班の人数からそこまで時間をかけられないと見たので直ぐに歩行の練習に移る。

歩行訓練の内容は四つの班に一機ずつ量産型ISの『ラファール』が割り振られ、搭乗して十歩だけ歩くだけというシンプルな内容。

訓練自体は実にシンプルだが、学園の教師曰くこれが出来なければISを動かせても才能は無いといわれるほど。自分の足を動かせないとなれば幾ら腕を動かせても邪魔になるだけとの事だ。

 

(にしてもラファールが前提かよ。マジでこの学園、士官学校にでもなる気なのか?)

 

「・・・エメリッヒ君?」

 

「ん・・・ああ。すまん。乗るのは出来るか?」

 

「えっと・・・これってよじ登るの?」

 

「・・・・・・。ちょっと待ってな」

 

 

ISの高さは彼女達、一般女子高生の背丈から見て彼女達の平均の倍近くはある。

その為、彼女達には実機のISは体格の大きい人に見下ろされるような感じで、搭乗の為には誰かに乗せてもらうか、小さな台か何かで乗れる高さにまでにするかだ。

この場合、当然ながらそれを一夏がすることになるので、彼は直ぐに一人目の生徒である相川を抱き上げる。

 

「うわっ!」

 

「ちょっと揺れるからな」

 

「あ、はい・・・」

 

 

「・・・・・・一夏。アンタ恥ずかしさってモンが無いの?」

 

「・・・何が?」

 

「・・・・・・もういいわよ」

 

「・・・?」

 

 

近くで、彼の事を見ていた鈴は呆れた様子で一夏に言う。

しかし当の本人は何がどう言う事か全く理解できず、結局鈴の機嫌を損ねてしまった。

一方の鈴もそこは変化がないのか、と内心安心と呆れが混じった心境で、自分の班の生徒の様子を見る。

 

一体どうしてか。

それは、一夏が相川を、そしてこれから乗せるだろう生徒を少女たちが喜ぶだろうやり方で乗せるからだ。

 

人生で一度はやってもらいたい事。

 

人はそれを「お姫様抱っこ」と言う。

 

 

「エメリッヒ君、大胆です・・・」

 

「・・・?」

 

 

「天然朴念仁・・・これはポイントが高い・・・」

 

「ぜひ向こうに居る、シャルルさんにもやってもらいたいものですなぁ・・・」

 

 

何か捕食者の様な目線がシャルルの背筋に当たり、一体何の目線かとびくついたシャルルは、その周囲からの目線の拘束力の所為かとてもではないが振り向けず、一夏同様に何がどう言う事かと考えるのだった。

 

「・・・?・・・?」

 

 

 

(・・・二人とも大変ねぇ・・・色々と)

 

 

 

 

 

「・・・それと。凰。この後、山田先生と模擬戦を行え」

 

「え、私ですか?」

 

「ああ。一応、歩行訓練の次にやる訓練の例として見せる程度だ。別にお前一人で十分な事だからな」

 

「はぁ・・・」

 

その後。鈴は何故山田先生の事について知らなさすぎたのか、どうして千冬に色々と質問をしなかったのか、と多くの後悔をするのだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合同実習の授業終了後。早めに授業が切り上げられたので、女子生徒達は自主的に訓練しようと余った僅かな時間を使いラファールに搭乗し歩行の訓練を続け、その間に一夏とシャルルは先にロッカーを使い着替えをすることになった。

授業開始前と理由はほぼ同じだろう。

 

言われた二人も特に不満を持つ理由も無く、二人は先にロッカーに入り一夏はまた荒っぽく更衣を始める。

男らしいといえば男らしいのだが、彼の脱いだ服や下着は平気で足下などに置かれており、自身の後ろで更衣するシャルルに対して気遣いはせずお構いなしだった。

 

「・・・・・・。」

 

その荒っぽさには後ろで早々と着替えたも言葉が出ないほどで、まるで中年男性の住む散らかったアパートの部屋の一部がそこにくり抜かれていたような光景だ。

しかし、シャルルはそんな例えは持ち合わせていないので、向こうから見れば一夏の周りだけに小さな風か何かが吹いて着替えを散らかしたのかと思える有様だった。

 

「・・・あ、あのさ・・・」

 

「何だ」

 

「・・・もしかして、君・・・狭い所苦手?」

 

「いや。ただ、広い場所なんだし身体を思い切り動かさないと損って感じがするからよ」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・あ」

 

シャルルの質問に振り向いた一夏は、ようやく質問の意味を理解した。

自分の周りが酷く散らかっていたのだ。そして、その散らかる着替えの先には既に着替え終えたシャルルが熱でもあるのか頬を赤らめ、苦笑して見ていたのだ。

 

またやってしまったか、と再び向き直った一夏は急いで着替えを済ませる。

そう。一夏は過去にも何度かこんな事をしてしまい、よくサニーに叱られたり美鈴によく分からないことわざと共に説教を受けたり、稀にメリルに愛銃を構えられて脅し半分に注意(物理)をされたり・・・

兎も角、やる事の一つ一つがあまり人気の無い場所では荒くなってしまう。

それが、一夏の小さな弱点だ。

 

 

 

「やっほー!エメリッヒ君げんきー?」

 

そこに元気すぎる声で何故か楯無が姿を現した。

まだ授業中であるというのにどうしてココに居るのか。色々とつっこみたい事が多くあるが、そんな事をしていてはキリがない。

一夏はため息を吐き、楯無に対し訊く。

 

「・・・更識先輩、何か用ですか」

 

「あら。愛するダーリンにハニーからの贈り物をしようと・・・」

 

「誰も貴方の夫になったつもりはありませんし、なることはまず無いでしょう」

 

「何気に酷いこと言うわね貴方」

 

「事実です。虚さんも言ってましたから」

 

「よーし虚ちゃん覚えてらっしゃーい。鍛えに鍛え抜かれたこの『一夫多妻去勢拳』を受ける相手第64564号は貴方よー」

 

「第一号じゃないんですね」

 

「一号はキャンベルおじ様と決まっていますから」

 

「・・・大佐。生きろよ」

 

 

 

 

「・・・ええっと・・・貴方は・・・?」

 

淡々と話が進むので一人話しに付いていけずにいたシャルルは兎も角話の輪に入ろうと、突然入ってきた楯無に対し尋ねる。

シャルルの存在に気づいた楯無は気づくと間を空けて反応し、自身の頭の中に記憶したデータを引っ張り出す。

 

「・・・・・・貴方は確か、フランスのシャルル・デュノア・・・でしたっけ?」

 

「ええ・・・ええっと・・・」

 

「更識楯無。生徒会長様だ」

 

「えっ!?」

 

「ついでもって私は彼にとってのいとしのダーリ・・・」

 

「で、俺のルームメイト。それ以上も以下もない」

 

「あ、ああ・・・」

 

「とことんノリの悪い子ね。失礼しゃうわ」

 

ようやく楯無のことを理解したシャルルはまだ少し驚いた様子ではあったが、改めて彼女を見つめ直す。

こんな人物が生徒会長と言う重要な役職を持っているのか、と若干カルチャーショックを受けたようで彼女の顔を二度見していたのだろう。

一般なら生徒会長などの役職の生徒は真面目なイメージがあるが、彼女はそのほぼ間逆に位置した性格をしている。シャルルではなくても驚いたりするのは当然なのだろう。

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・で。先輩はこんな所に居ていいんですか?」

 

「何が?」

 

「俺らはこうして更衣していますけど一応まだ授業中ですよ」

 

「ああ。その事。気にしないで。別に授業に遅れを取る事はないから」

 

「・・・。」

 

「愛するダーリンが疲れているという時にのんびり勉学に励むなんて論外。そう!夫の為にはたとえ戦場だろうと授業中だろうと駆けつける!」

 

そう言って楯無は扇子を広げ、一夏に自分の思いをアピールする。

彼女の持つ扇子には『純愛』と書かれており、彼女が本気でそんな事の為にココに来たのかと一夏はため息を吐く。

そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ほう。勉学なんぞ論外か」

 

「・・・・・・ん?」

 

「あ・・・」

 

「・・・。」

 

 

哀れみの目で楯無が冥府への片道切符を手にしてしまった姿を見届けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は経ち。授業が終わり、時刻は放課後の四時過ぎ。

生徒達は思い思いの時間を過ごし、それぞれの目的の場所や用事に向かう。

部活動。補習。ISの整備。上げればキリの無い話だ。

そして。その中で一夏は様子見がてらと思い、箒とセシリアの所に向かおうと考えていた。

 

「・・・・・・。」

 

特に、箒にはそろそろ隠す必要もないのでは、と思い始めており優先順位でいえば彼女の居る部屋に向かうのが先。その為、どうしてだろうかセシリアに対し何か罪悪感めいた感じを歩きながら感じていたのだ。

 

しかし。一夏が寮への道に向かおうとした時に、山田が一夏を後ろから呼び止めた。

 

「あ!エメリッヒ君、ちょっといいですか」

 

「先生」

 

「よかった。これから連絡しようと思っていたのだけど、直ぐ近くにいたなんて」

 

「ちょっと所用で。で、俺に何か?」

 

「実は、今日の昼ごろにエメリッヒ君宛てに荷物が届いているんですよ」

 

「俺に?」

 

「ええ。中身はコンテナだったから、多分・・・」

 

「ISの追加か・・・分かりました」

 

「一応荷解きをしていますが、コンテナだけはロックされていたのでISの整備室に置いています」

 

「・・・それ、一歩間違えたら危なくないですか?」

 

「あ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

本当に天然の性格なのだな、と山田の性格を改めて知った一夏は文字通りISの整備を行う整備室に向かった。

量産型のISが殆どであるこの学園で整備室を開けるのは可笑しくは無いかと思うかもしれない。

が、実際セシリアや鈴そしてシャルルといった世界各国のIS保有国から選ばれた代表候補生がこの学園にやって来る。必要最低限の整備や修理などを行うため。

またISに直接乗らず開発や研究を希望する生徒も少なからず居るので、実際に見て学ぶと言ったことをする為などの理由から整備室は生徒の出入りは可能。但し、一応の警備システムがあるので、そのセキュリティをパスしなければ入る事は出来ない。

 

「えっと・・・」

 

そのセキュリティのパスのやり方は簡単で、整備室前のドアに付けられている端末に解除コードを入れる所謂パスワード式。

しかも機体の整備などの為に代表候補生などには事前にそこのパスワードは伝えられている。一夏も一応ながらその類の人間なのでパスワードは事前に伝えられており、難なくロックを解除。中に入れたのだった。

 

 

「コンテナは・・・あれか」

 

整備室に入って直ぐに、以前白式が送られて来たときと同じコンテナが一夏の目に入ってきた。間違いない、あれだ。

コンテナに近づくと電子ロックでロックされているので、手馴れた手つきで電子ロックを解除する。

コンテナの電子ロックはパスワードはオタコンから教えられているので、ロックをあけられるのは彼だけだ。

 

「えっと・・・1998と・・・」

 

 

オタコンから教えられたパスワードは四桁。

その四桁のパスワードを入力すると電子ロックが解除され、宝箱の様に口を開かせた。

一見、パスワードだけ入力するだけなので知られてしまえば開けられる可能性もあるが、パスワードを入力するパネルには指紋認証システムも入っているので、システムに入っていない人間が正しいパスワードを入れても開けることはできない。

 

「時代は変わったな・・・って、んなスネーク臭い台詞こと言っちまった・・・」

 

現代の厳重なシステムに、年寄り臭い台詞を吐く一夏はコンテナの中を覗き込む。

中に入っていたものは、一夏が待っていたと思うばかりの物ばかりだった。

 

「ようやく新装備・・・いや。これで全部だな」

 

一夏の初陣がオタコン達が思った以上に早くなってしまい、白式と一部の完成した武器は先に一夏のもとに送られていた。しかし、一夏の要望した武器装備は全ては届いておらず、それまでは一夏は先に送られた限りある装備だけで戦っていたのだ。

それが今回、要望した武器装備の残り全てが送られてきたと言う事で、一夏も子供が欲しい玩具を貰ったかのように笑みを浮かべていた。

 

 

「中身は・・・おっ、グレネードの追加も入ってるか」

 

サニーとマドカが一部改良した白式。その機体で使用する武器の中で汎用性のある銃火器が少なかったが、それが今回漸く彼の元に届いた。

 

 

M16ライフルから派生したアサルトライフルのM4カービン。

便宜上はサブマシンガンと分類されているP90(実際はPDW、『個人防衛火器』とも呼ばれている)。

狙撃銃のDSR-1に、サブマシンガンのMP5。ショットガンにはスパス12が入っている。

そして、対物ライフルのM82は二年前に米軍兵士やジョニーたちが使用した『M82A2』というバリエーションタイプ。

この計六つの武器とカスタムパーツがコンテナの中に所狭しと入っていた。

 

 

「・・・戦争とかする気はないが・・・十分だな」

 

コンテナの中身を確認すれば、後は彼の役割だ。

白式の中にこれらの武器を入れる。そして、使えるように設定を変更すれば音声認識で設定した武器を出す事ができる。

しかし。

 

 

「・・・拡張領域が少ない・・・全部ぶっ込みは無理だな」

 

ISも万能兵器ではない。

拡張領域と呼ばれる、いわばコンピューターの容量のようなものがISにも存在し、つめる量にも限りがある。

だから新しいものを入れるためには入っているものを抜き領域を確保しなければいけない。

でなければいくら領域が残っていたとしても領域が少なくては、たとえ入れることが可能な物があっても限られる。

 

「領域の殆どをダネルとブレードが取っているから、どっちかを外してでないと無理か」

 

現在、白式の拡張領域はその殆どが二つの武器によって支配されている。

グレネードランチャーのダネルと高周波ブレードだ。

ダネルは元々装填弾数が六発と限られているので、その為の予備弾が必須。

加えてグレネードと言う事でバリエーションも豊富にある。

そして、高周波ブレードはブレードの機能がその大半でブレード自体の容量はさほど多くはないのだ。

これだけを見ればどちらを外すか。それは目に見えている。

 

「・・・じゃ、ダネルを外して・・・M4とスパスをっと」

 

一夏は接近戦を得意としている。勿論、中遠距離も問題はないがそれに対応する武器はダネルとコルトの二つだけ。しかもダネルに容量を裂かれているとなれば、威力よりも手数を優先するのが定石だろう。

何より、一夏の選んだ武器のM4は銃自体の拡張性が高く、様々なオプションパーツを取り付け交換することができ、火力の穴埋めも十分に果たせる。

スパスはショットガンで威力も高く速射性能も高い。取り回しが悪いという欠点があるが、別の武器でフォローとすると言う事で多少の補いをする。また、スパス自体は容量が少ないので威力が高く容量が少ないという二つの利点があれば採用しないわけがない。

 

変更する武器を決めた一夏は作業にかかり、その後しばらくは口を動かす事もせず黙々と手だけを動かすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じく、学生寮。

鈴は幼馴染である一夏を探し歩き、未だに見つからない彼が一体どこにいったのかと半ば苛立った様子で廊下を彷徨っていた。

 

「寮に戻ってない・・・どこをほっつき歩いてんのよアイツ・・・」

 

肝心の本人が整備室から一歩も動いていないという事を知らない鈴は、それまでの機嫌の良さが反転したのか苛立っており、行動の一つ一つが荒っぽくなってきていた。

一歩一歩の足ふみ。腕の振り加減。

一つの動作をするとその分だけ苛立ちが積もるようで、次第に彼女の思考は苛立ちで変な方向へと向かい始めようとしていた。

彼に会ったらどうしてやろうか。それはまるであの再会した時と同じ様な考えだった。

 

「・・・・・・あー・・・もう!一旦落ち着け、鈴ッ!」

 

頭をかき、冷静になる。だがそれでも彼の事が頭から離れず、彼女の思考は一夏が一体どこに居るのか、が中心となっていた。

 

「はぁ・・・」

 

 

 

「なにを一人で騒いでいる」

 

「ん、あ・・・」

 

鈴が顔を上げると、そこには千冬が立っていた。手に持っているのが、彼女の主兵装の出席簿ではなく何か資料だと言う所を見るとどうやらなにかの用事帰りか、これからその用事に向かうところのようで、それに気づきつつも鈴は彼女に目を合わせる。

 

「ちふ・・・織斑先生」

 

「・・・。何を一人で騒いでいた。お前の部屋はこの辺りじゃないはずだが」

 

「・・・・・・えっと・・・い・・・エメリッヒ・・・だっけ?アイツ、どこかなって・・・」

 

「・・・・・・。」

 

「あはははははは・・・」

 

 

ため息を吐く。

鈴も彼を別の名前で呼ぶのにはどうしても慣れず、抵抗感があるのだろう。

だがそれは自分も同じだ。出来る事なら彼の名前を呼びたい。思い切り彼の名を呼んで、甘えさせたい。

 

だが、今の彼と自分との立場は全く違う。

 

自分がIS学園の教師となった時。彼はもう別の『誰か』になっていた。

自分の知らない一夏に、自分が知ることの出来ないような彼になってしまっていたのだ。

恐らく、鈴も彼に対する考えは同じだろう。いつの間にか力をつけ、どこか遠い存在になってしまった。

だから、鈴も自分も必死にそれに合わせようとしている。

 

 

「・・・今ならアイツは居ない。別に本人が居ないのなら、どう呼ぼうが問題なかろう」

 

「・・・・・・。」

 

そんな事はさせたくない。彼女にも自分と同じ様な思いをしてもらいたくない。

そんな思いで、千冬は口を開く。

鈴はその言葉に甘え、嘘の笑いをやめて千冬に訊いた。

 

訊く事は唯一つ。

 

 

「・・・千冬さん。今・・・一夏は何処に居るんですか」

 

「・・・・・・。」

 

「あのクラス対抗戦の時・・・時々だけど、一夏がまるで別人のように思えたんです」

 

「別人・・・」

 

「一夏とよく喧嘩とかしていたから分かる事もあります。けど、あれは喧嘩の時とかに感じたものじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当(マジ)で、アタシを・・・殺そうとした・・・」

 

「・・・・・・。」

 

 

一夏と鈴のクラス対抗戦。余計な考えなどかあった一戦だが、鈴はその一瞬の事を今も鮮明に覚えている。

試合開始のブザーと同時に一夏が仕掛けた瞬時加速。それによって肉薄した一夏の表情と気配に、鈴は刹那の間『怯えていた』のだ。

その一瞬、彼の目は鋭く、狩ろうとする捕食者のような目つきで、彼の剣と目からは殺気が漏れていた。その殺気に圧され鈴の体温は一瞬にして下がった。

背筋に悪寒が走り、思考がマイナスに動く。

どう忘れようとしても忘れられない。恐怖という記憶として、その一瞬は残っていた。

 

「それからはアイツの殺気とかはあまり感じなかったんですけど・・・本当に・・・あの出来事の時の一夏は・・・一夏じゃなかったって感じで・・・」

 

「・・・一夏じゃない・・・か」

 

 

彼であって彼ではない。薄々だが自分も自覚していたと千冬の心が言う。

 

言動。気配。身体。精神。そして、周囲。

セシリアの裏も、彼は知っていた。

そして、メタルギア。彼の父を自称する男。

 

 

「・・・・・・そうかもしれんな」

 

納得することしかできない。受け入れる事しかできない。

今の彼女にはこれしかできなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。その彼のもとに、一人の影がゆらりと音も立てずに姿を見せたのだった。




オマケ。と言う名の後書き

スパス12はMGS4ではなくMGSPWからですが、設定上スネークの所持していた武器と言う事になっています。
ちなみに、追加の武器はこれだけではない・・・筈。


チクショー・・・MGSV欲しい・・・


カズ「じゃあ、フラゲする?」

一夏「するな」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。