IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第二十八話です。

・・・うん。逝くとこ逝ってしまいましたね。
でも後悔していません!多分!!

今回、ちょこちょこオリジナルな設定の部分もあります。そこについてもし『分からない』という方が居ればお気軽にご質問を下さい。
また。これでIS側のメインキャラも出揃いましたので近々キャラ設定も投稿する予定です。

では。今回。いよいよ最後のメインキャラの登場。
そして・・・色々と面倒なことになりましたね。ええ・・・
ですがそろそろMGSらしいというべき面も出てくると思います。

それでは。誤字・駄文はご愛嬌。
それでも良いと言う方は
第二十八話、お楽しみ下さい。


No.28 「私怨の影」

 

 

 

戦場に立てば、恨み辛みを買われる事は多々ある。

味方を殺された。仲間が酷い目にあわされた。

一方的に殺された。

 

そんな全てを社会の所為だというのはどうだろうか。

単なる逃げ。いや、言い訳と開き直り。そして自身は悪くないと悪いほうに勢いづかせる理由にしかならない。

そんな事もあってか。戦場に立つISは必ずと言って良いほど最優先で始末される。

圧倒的戦果を見込めるが、代わりに多くの男たちの恨みが集中し生きて帰る事はほぼ不可能とされている。理由は先ほどの通りだ。恨み辛みを買われ、仇討ちという名目で殺す。

だが、それだけで、やられた相手は撃墜した、倒しただけで満足するだろうか。

 

答えはノーだ。

 

撃墜されたISには用はない。用があるのはそのISに乗っていた女。

 

 

かつてこんな事件が戦場で起こった、いや今でも行われていると言われている。

PMCや軍に所属するISが戦場で敵を多く倒し成果を上げる。

成果を上げれば上げるほど、自身の力と誤解し勢いづいてしまい、やがて自滅の道を辿る。

まともな判断が出来なくなった彼女達は待ち伏せや挟撃。ゲリラ戦法に翻弄され、最後には対空兵器、ロケットランチャーなどで撃破される。

しかし絶対防御のシステムがあるのでまず搭乗者に大きなダメージはない。あるとしても多少身体にダメージがあるぐらいだ。

 

そこが狙い目。そして、力関係が逆転する。

 

撃墜されたIS搭乗者は機体から脱出し、部隊と合流する為にその場から急いで離れる。

ISを脱げば、後は小火器の拳銃一丁が彼女たちの命綱だからだ。

だが。それだけで戦場を、まして恨みに駆られた男たちから逃げ切れるだろうか。

 

結果は見えている。大人数の男たちが単身または数人の女を取り押さえ銃を取り上げる。

最後の命綱を奪われた女たちはそれでももがく。

だが女の力だけで男たちから逃れる事はできない。

自由を奪われ、武器を奪われ、力を奪われ

 

最後には

 

 

女を奪われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝

空が晴天ではなく、久方ぶりの曇りとなった日

晴れ晴れとした晴天がもたらす明るさは人に活力を与える。

だが、曇りは違う。逆とまでは行かないが、何処か憂鬱になり

 

 

不穏な空気を漂わせてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、一夏は妙な違和感を朝から感じていた。

曇り空だからかと言われればそうなのかもしれないが、彼は他に自身の第六感がそう告げていたらしく朝のSHR前から表情は晴れなかった。

 

「・・・・・・。」

 

「イチカ、どうかしたの?」

 

「いや。ただ、ちょっと気が晴れなくてな・・・」

 

朝から気にはなっていたのだろう。シャルは彼の隣に立つと心配そうな顔で彼を見つめる。

本人はそこまで不安という表情ではなかったが、どうやら気になって仕方ないほどの事のようで、ずっと手を口元に当てて考える姿勢を崩さなかった。

 

本人は問題なさそうだが、それでも頭から離れないのか会話を終えるとまた直ぐに考え込んでしまったのだ。

余程の事なのだろう。

このまま居ても次はいつ気づくのか分からない。

シャルは彼の思う事が何も無いただの思い過ごしである事を願いつつも彼のもとを離れた。

 

 

「デュッチー、りっひーは?」

 

「うん。当分あのままだと思う・・・」

 

「朝からずっとああなの?」

 

「そうなんだ。鈴も結構気にしてたし、そこまで考える性格でもないからって」

 

彼の今の状態が気になったのか、本音たち三人がシャルのもとに集まり、彼女から一夏について尋ねる。他の生徒ならああいう姿も悪くない、などと言うだろうが、ある程度の付き合いのある彼女達から見れば少し様子が可笑しいと取れる。

ただの勘に対してそこまで執着する理由は一体何か。

それを彼女たちは知ることは出来ないし、知る人物はココには居ない。

鈴は二組で釘を刺され、箒は未だ謹慎の身だろう。

 

流石に彼があそこまで考え込む理由が分からない彼女達は本当にどうしたのかと、どうすればいいのかと戸惑う事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

しかし。そこに一つの奇跡が起こる。

 

 

「ん。知らない顔だな」

 

 

「ん?って、え!?」

 

「あ!」

 

「んお?」

 

「・・・?」

 

あまりの事に相川を皮切りに驚きの顔をする三人。その中でシャルだけは一体誰なのかと首を傾けていた。

知らないのも無理はないだろう。

そこにはまだ謹慎の身である筈の箒が立っていたのだ。

 

「あれ・・・篠ノ之さん、どうして!?」

 

「謹慎は!?まさか脱走!?」

 

「いや。今朝、謹慎が解かれてな。私もどういう意味かはさっぱりだが、こうしてココに居るのは正当なことだ」

 

「え、じゃあオルコットさんも?」

 

「いや。アイツはまだあのままらしい。余程警戒されてるのだろうな」

 

その後、詳しく聞くと学園長の意向で彼女は謹慎を解かれたらしく、理由としては無断使用だけなら一週間の謹慎と反省文は割に合わないという事らしい。

言われた本人も伝えに来た千冬もあまり納得出来ない理由だったが、彼女もそこまで悪と言う訳ではない。疑問が幾つか残ったが、兎にも角にも箒は自由になったのだ。

 

但し。同じく謹慎であるセシリアは別。

彼女は銃火器を複数所持、及び学園内に持ち込んでいたので十分謹慎である事の理由になる。また、本来ならもう少し処分が下されても可笑しくはないし、最悪代表候補を下ろされても不思議ではない。

 

(なのに、アイツにはアレだけで終わりか・・・一体どういうことだ?)

 

だがセシリアは謹慎となっている。それが箒には気がかりでならなかった。

アレだけの事をしたのに処分がたったそれだけとなると、どう考えても可笑しいとしか思えない。

あまりに処分が軽い、こちらが割に合わないのではないのかと言うべきだった。

 

「ま。私たちが気にする事ではない、か」

 

「・・・?」

 

 

「いや。独り言だ。それよりも・・・」

 

「ああ。そういえば」

 

「デュッチーと会うの初めてだったね、しののんは」

 

「デュ・・・?」

 

 

本音のあだ名では相手の名前が分かる筈が無い。

箒はそれが本名か?と一瞬思いかけたが、そのあだ名を付けられたシャルが直ぐに訂正に入った。

 

「じゃなくて、僕の名前はシャルロット。シャルロット・デュノアだよ」

 

「・・・ああ・・・そういえば・・・」

 

「もしかして一瞬、デュッチーが本名だと思ってた?」

 

「・・・いや、愛称かなと」

 

(あ。思ってたんだ)

 

嘘をつくのが下手なのだな、と鷹月は目線をずらした箒の顔を見て察する。

元々頑固そうな性格だ。自分の言い分は何を言われても突き通す性格なのだろう。

 

「兎も角。見たところ、欧州系の代表候補生のようだが・・・」

 

「うん。フランスの代表候補生だよ。よろしくね、篠ノ之さん」

 

「箒でいい。あまりさん付けとかは好かんのでな」

 

「じゃあ、僕もシャルでいいよ。愛称そっちだから」

 

(・・・あれ。分かってなかったの?)

 

微妙にズレているな。

相川が目で鷹月にへと話しかけ、鷹月も無言で首を縦に振る。

恐らくシャルが余り意味をわかっていなかったりだったのだろう。だが、もしかしたら二人共案外天然な所もあるのかもしれない。

だから二人共違和感を感じずに話を進められているのだろう。

 

(大丈夫なのか、この二人・・・)

 

こんなのが代表候補で大丈夫なのだろうか。他所の国のことではあるが、何か他人事ではならない気がしたので、天然の塊である本音の頭の上に手を置きながら、二人は友情というものが生まれたであろう瞬間を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし。箒とシャルが小さな関係を築き始めた時。

和やかな教室の空気が一変する。

 

 

 

「・・・・・・。」

 

「っ・・・・・・」

 

 

「・・・・・・!」

 

 

教室のドアが開かれ、そこに何時もと何ら変わりなく千冬が入ってくる。

その瞬間。互いに見合っていた箒とシャル。そして一夏の表情が僅かに固まり、眉を寄せた。

異質な気配。そして空気。

戦士としての勘が、一人の剣士としての感覚が。代表候補としての何かが。

その和やかな教室の空気を一瞬で変えるほどの何かを感じ取り、動きを止めた。

恐怖に屈したわけでも、怯え震えたわけでもない。

ただ彼らの中の何かが警告を発し、無意識に警戒心を高めていたのだ。

 

 

(なんだ・・・この冷たい感じは・・・)

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

 

(・・・そうか。これだ)

 

これが原因か。頭の中でピースが填まる音が鳴り、それと同時にその空気について考えていた集中力が開放されていく。周りに気配を配り、一体何処からかと気配を探るのだ。

 

 

「全員座ったな。今日から篠ノ之が戻るが、理由は考えるな。お前等が知ることでもないし、知ったとしても意味はない」

 

「・・・・・・。」

 

淡々と始まる朝のSHR。しかし今の一夏にそれは関係ない。

一体誰がこの気配を発しているのか。その中心を探っていたのだ。

 

「それと、先に連絡しておくが今日は朝から雨が降ると予報があった。実際天気も悪いからな。外の部活動などは本日は休みだ。間違えて雨の中で馬鹿をやるなよ」

 

しとしとと雨水が落ちる音が聞こえ始める。

妙に憂鬱な気分になるが、それでも一夏は気にしない。

だが雨が降り始めると一夏の心臓の鼓動が少しずつではあるが早くなり始めるのが分かる。

雨が降り、感覚が狂う。緊張が高まる。

 

不思議だ。戦場に立っている訳でもないのに、どうしてここまで緊張するのだろうか。

 

「では、SHR・・・の前に、今日は以前言っていたもう一人の転入生についてご挨拶してもらいましょう!」

 

冷たい気配。

緊張する鼓動。

恐れとは違う感覚。

銃を持って居たならその銃を持つ手の力が自然と強くなるだろう。

知っている。この感覚を。一夏たちは知っていた。

 

「それでは、入ってきてください!」

 

「・・・いいぞ。さっさと入れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・了解です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ。これは『殺気』だ

 

 

(ッ・・・・・・!!)

 

危険な殺気。それに気づいた一夏はダルそうに伏せるフリをしていた自分の顔と目を僅かに上に上げた。

そこにその殺気を放つ本人。転入生が立っていたのだ。

 

「じゃあ、自己紹介をお願いしても・・・」

 

「・・・。」

 

「・・・自己紹介。早くしろ」

 

「はい」

 

無感情。機械の様に固まった表情をするのはまだ幼げな顔をする少女だ。

銀色の髪に血の様に濁りのない赤の瞳。

服装からして素性を隠す気など最初から無いのだろう。

彼女を見る生徒も異様な雰囲気を出す彼女に違和感を拭えない。

 

AIの様に千冬の言葉に反応した少女はその冷たい、感情も乗らない口から命令された事だけを忠実に実行するかの様に喋り始めた。

 

 

 

「・・・ラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツ代表候補生。後は何も無い」

 

「・・・・・・。」

 

 

 

「え・・・それだけ・・・?」

 

「すみません山田先生。コイツはそう言う性格なんです。そこだけは許してやってください」

 

「あ、はい・・・」

 

直ぐに少女ラウラについてフォローを入れる千冬。何時もと喋り方は変わらないが、どこか抑えている感覚が言葉と行動から一夏には見えた。

少なくともラウラと千冬は無関係ではない。それは確実だ。

そして

 

 

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

 

彼女のその冷たい殺気。その矛先は紛れもない自分であると言う事も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

違和感の正体が分かったからか、一夏の頭の中は先ほどよりもすっきりとしていた。

だが今度は、殺気を向けた少女ラウラからの視線に頭を悩ませる事になる。かれこれ二時間程授業に集中できず頭を抱えることになり、彼の精神をすり減らしていた。

彼女の席が自分の後ろ側であっても直線でない事が幸いだが、それでも彼にだけ集中した視線を彼女はずっと向けていたのだ。

その視線だけで彼女がずっと自分の事を見ていると分かっていた一夏。

じりじりと少しずつ減らされていく彼の精神に自分が一体何をしたのかとため息を吐いた。

 

 

 

『さっきからずっとため息ばかりだけど、大丈夫かい?』

 

「さぁな。メンタルが朝からガリガリ削られる音が聞こえる」

 

『そんなにキツイ視線なのかい』

 

「ああ。俺が一体何をしたって言うんだか・・・」

 

『て、言うけど。薄々心当たりはあるんじゃないかな』

 

「・・・・・・。」

 

人気の無い場所。其処で一夏はオタコンとの通信を取り合い、自分の心境をぶちまけていた。メンタルだけでもかなり疲労しており、一夏は度々ため息を吐いていた。

が、オタコンのいう事も正しい。

実は、一夏は一時限目の後辺りにラウラの顔をもう一度だけ見て、彼女の顔をどこかで見た顔だというのを思い出し、一体何処で会った事があるのかと記憶の海の中を漂い探していたのだ。

 

「それをさっきから思い出そうとしてんだけど、一向にな」

 

『思い出せない?』

 

「ああ・・・どこだっけか・・・」

 

『見ることも出来なかったんだね』

 

オタコンは覚えてるのか、と一夏は訊くがオタコンの方は覚えているようで、彼が分かるだろう最大のヒントを言う。

 

 

『僕は前にMk-Ⅲで君のサポートをした時に見たよ』

 

「Mk-Ⅲのサポート・・・・・・ッ!」

 

『思い出したかい?』

 

そのヒントを聞いた一夏は直ぐに脳内から思い当たる記憶を引っ張りだす。

確かに其処に彼女は居た。自分は彼女と直接あった事があったのだと。

鮮明に覚えている記憶を思い出し、一夏は頭を抱えた。

 

「・・・思い出した・・・あの時か・・・」

 

『ドイツ軍・IS特殊機動部隊。通称『黒ウサギ隊』あの歳だけど、その部隊の隊長を勤めるのが彼女らしい』

 

「軍人ね。俺と近い歳で部隊長て一体どういう連中なんだ?」

 

『詳しい事は分からないけど、部隊の名称からしてIS部隊であるのは確かだね。そして、構成員は恐らく・・・』

 

「特殊訓練済みの女の皆さんですか・・・カエル兵(ヘイブン・トルーパー)じゃねぇんだぞ」

 

『そこまで酷くはないと思うよ・・・多分』

 

気休めにもならない言葉に一夏はまた深いため息を吐く。

機械的な人間を相手にするのはもうゴメンだ。あんな奴等を相手にするのは色々と疲れる。

 

ただ昔の記憶を思い出しただけだというのに、一夏の身体から疲れがどっと伸し掛かってくるのが感じられた。それだけ印象深いという事なのだろうか。だとしたら二度と思い出したくも無い。

一夏は思い出したその記憶を忘れようと話を替えた。

 

「・・・それより、デュノア社の方はどうなってる?」

 

『そっちは大丈夫。今、会社の売買履歴や配送先のデータを調べてるところだ』

 

「履歴って・・・まさか何年分もか?」

 

『いや。一応僕らが関わった場所や国を優先しているから、そこまで多くは無い。けど、一応の結果が出るまで後二日ぐらいは必要かな』

 

「・・・すまない、オタコン。こんな事につき合わせちまって」

 

『いいさ。それに・・・スネークじゃないけど、何か嫌な予感がするからね』

 

「デュノアの方がか?」

 

『いや・・・両方だ。君とコッチと・・・』

 

「・・・・・・。」

 

『その子・・・確かラウラって言ったっけ。ついでだからキャンベルにも頼んで彼女の身辺も洗ってもらおう』

 

「・・・いや。オタコン。それよりも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイツと千冬姉について調べてくれ。出来る限りで頼む」

 

不意に口にした頼み。それは一夏の脳裏で突如浮かび上がった言葉だった。

それが彼らの言う予感の事なのか。それともまた別の事か。それを知るのは、恐らくただ『二人(・・)

一夏に何らかの恨みか何かを持つラウラ。

そして、そのラウラと唯一話し、彼女が従った人物。

自身の姉であった

いや。まだ姉である人物、千冬。

答えはそこにあると彼は信じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、時刻は夕暮れ時。

しかし一向に雨は止まず、寧ろ勢いの増すばかり。

屋外の部活動や校舎、または寮から離れた場所で行われる部活は余りの雨の勢いに屈したのか中止。多くの部活動が中止となり残念がる生徒も続出する。

結果。生徒達は放課後も教室に残る。またはラウンジか何処かで時間を潰すなどして憂鬱となった放課後を過ごす事となったのだ。

 

 

雨の勢いは増し続け、雨水が勢いよく校舎などの壁や窓ガラスに当たる音で周囲に反射する音は半減する。外の雨が打ち付けられる音がガラスなどに響き、校舎内の音を掻き消そうとするからだ。

カーペットなどの場所では元より聞こえない音だが、タイルなどだとまだ音が反射する。

が。結果は変わらず。音が雨によって殆ど消されてしまう。

 

 

 

「もしもし」

 

『ああ。私だ』

 

「あ。虚さん」

 

その場所を一人の女子生徒が歩いていた。何処にでもいる普通の生徒だろう。

しかし。その普通の生徒が人気の無い場所にぽつりと立っている。それを普通と取れるのだろうか。校舎の端で辺りには人の気配どころか辺りには何処にも人は居ないだろう。

 

すると。彼女はポケットから携帯を取り出し虚へと連絡を取る。年上の相手だからか自然と口調は敬語使いになり、彼女が二年生であるのが分かる。

 

一年生か同じ三年生でもありえるのではないのかと思えるが、一年生は自身の進路やそれに合った授業選びなどがあるので殆どの生徒が教室に残りその為の準備を。

三年生は雨による被害がISにも及んでないかなどを調べる為、整備室などに行く整備科の生徒だったり、教師たちの雑務を手伝わされる生徒も多く、結果的に二年生の確率が一番高いからだ。

 

「こちらは粗方調べました」

 

『そうか。で、どうだ』

 

「今、もう一人が下の階を調べてますが・・・下足痕がありました。それも一般の靴とはまた違うタイプで複数」

 

『・・・矢張りか』

 

「見た目からして・・・これ、軍用ですよ多分」

 

そう言って生徒は足下にしゃがむと今さっき見つけた下足痕を再度見直す。

一般の靴の裏のようにデザイン重視の物ではない。悪路でも問題なく歩けるような効率を重視した物だ。

分かってはいた事だが、それを聞き虚はため息をすると頭を抱えたかのような声で独り言の様に呟く。

 

『既に侵入されているとは・・・杜撰にも程がある・・・』

 

「・・・まさかとは思いますけど、警備システムがやられてるんじゃ・・・」

 

『・・・・・・。』

 

「・・・虚さん?」

 

『・・・なんでもない。取り合えず一旦こちらと合流してくれ』

 

「はい」

 

生徒は虚に了解を伝えると電話を切った。

電話越しの虚は一拍置き無言になっていた。何か心当たりがあるのだろうか。

しかしそれを考えるのは彼女だ。少なくとも自分が考える事ではない。

連絡をした後にもう一人この辺りに居る生徒と落ち合い、その後に虚の所にへと戻る。これが彼女のこの後の予定だ。

 

「さてと。早くもどろっかな」

 

後は近くを調べている仲間と合流するだけ。それでこの場から離れられる。

雨の中独り、不安さがあるのか生徒の顔は余り明るくない。

普段は気にする事もないので明るく振舞っているらしいが、彼女も女。独りで居るというのを好まない。

その怖さを隠す為、少し強がった振る舞いをする。

独りを好む者など早々居ない。誰だって一人、自分と同じ生きている者が居てほしいと思うだろう。自分と同じく生きている。安心できるという事実が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから。一人でいると言う事は絶対に安全とは言えないのだ。

 

 

「えっ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『隊長。邪魔者を一人排除しました。矢張り日本もココに潜り込ませていたようです』

 

「そうか。これで三人・・・」

 

『この後はどうすれば』

 

「予定通りだ。『プレゼント』は出来ているのだろ?」

 

『ええ。『トナカイ』も既に搬入済み。『プレゼント』については既にチェックをパスしたとの報告が』

 

 

「よし。こちらは予定通り『スクルド』の保護。及び『ランスロー』の排除を実行する」

 

『・・・裏切りの騎士。その抹殺ですか・・・』

 

「不満か」

 

『・・・いえ。私もこればっかりは同意見です。私たちにとって『あの人』は居なくてはならないヴァルキリー。その彼女に纏わりつく裏切りの騎士は・・・排除するべきです』

 

「念には念を入れた。後は此方から仕掛けて向こうの崩れを待つだけだ」

 

『ええ。ですが気をつけて。最近国でもここでも妙に嗅ぎ回られてます』

 

「フン。どこぞの三流組織の下っ端だろ。見つけたら念のために始末しておけ」

 

『了解しています。ですが・・・本当に気をつけて。何が原因で失敗するかも・・・』

 

 

「私達が失敗するとでも?」

 

『ッ・・・・・・』

 

「お前は余計は心配はしなくていい。部下の士気に関わる」

 

『・・・・・・。』

 

「命令だ。此方の準備完了後。合図があり次第作戦を実行しろ。いいな。クラリッサ」

 

『・・・了解』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・。」

 

一拍置く。少女の手には通信傍受をされ難い無線機が握られており、その無線機を使い人気のない場所で一人連絡を取っていた。

相手は自分の部下。やや信用に欠けるが、実力は確かな副官だ。

自分も彼女も、この数日。『作戦』の為に念入りな用意をしてきた。

もう誰にもバレる事も、止めることも出来ない。

 

後は実行し、成功するだけだ。

 

 

 

「・・・・・・ああ・・・」

 

成功した暁、彼女たちにとって夢のような事がまた訪れるだろう。

そう考えると、少女の口元はつり上がり不敵な笑みとなり、身体中に快楽物質が流れていくとまともに立っていられなくなる。快楽によって身体のバランスが崩れたのだ。

壁に寄りかかり背を預けると、火照る身体に擦りながら感じる冷たいコンクリートに更に興奮を感じられる。

快楽に耐えられない。息を荒くし、手で身体を擦らせると更に気分を高揚させる。

肉体が快楽によって震え上がりなんとも言えない。言葉すら発する事も出来ない。

 

至上の喜び。それがもう目の前にまで訪れようとしている。

 

 

 

「・・・待っててください。今、貴方を助け出します・・・姉さん(・・・)

 

 

 

血を鉄の材としてその先に立つ純白の女を救い出す。

劇場的ともいえる理想と結末を胸に、ラウラはしばし快楽に溺れるのだった。

 

 

 




後書きという名の独り言。

ISについての設定も出そうかなと思います。
後、また別の作品の連載を検討。
思いつきの短編も一つ投下する予定です。

短編のほうはMGSとなのはのクロス物。
ですが具体的な内容がまだ・・・はぁ・・・
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