IS×MGS - Another Solid - 作:No.20_Blaz
えっと、知っている方もご存知かと思われますが、自分ことBlazはツイッターをやっております。ツイッターのほうでユザネを検索してもらうと多分分かると思います。
プロフィールにこの作品を連載していると書いていますので。
え。画像が違うだろ?そこはまぁ………趣味だと思ってください(笑)
では、対黒ウサギ戦のパート2です。
長い目の戦闘パートとかはもう予告は止めとこうかと思います。
変に失敗して皆さんの気分を悪くすると思うので……
それでは、誤字・駄文はご愛嬌。
「それでも良い!」と言う方は
第三十四話、お楽しみ下さい。
時間は少し巻き戻り、一夏が校舎に潜入する前のこと。
学生寮ではラウラによって行われた爆破で負傷した生徒の手当てと治療。そして手の空いた教師たちによる消火作業が行われた。
と言ってもそこまで本格的なものではなく、寮内に備えられていた消火器具を使い火の燃え移りを防がせる程度。爆破された周辺の部屋の火を消すのみで瓦礫の撤去などはとてもではないが行えるものではなかった。
「くっ・・・こんな事が学園内で行われたなんて・・・一体どうなっているの!?」
「・・・・・・。」
「無駄口を叩くな。消火作業が済んだら直ぐに部屋から離れろ。煙を吸うし、何よりも足場が脆くなっている」
教師たちが爆破の事でそれぞれの意見を言うが、それを口止めさせるかのように千冬が割り込む。
しかし彼女が言っている事も尤もな事で、足場は脆くなっている様子で今にも崩れそうな場所が爆破の中心地を中心に広がっている。一歩でも踏み外せば二次災害も十分にあり得ることだ。
「それと、爆破された部屋の下の部屋を使っている生徒。それと、爆破現場一帯の生徒は一旦ラウンジかどこかに集めてください。煙を吸ったり脆くなった場所が広がって他の部屋が巻き込まれる可能性があります」
「はい・・・」
「このままだと目処が立たないわ。周辺の部屋を使っている生徒は集めて一晩を過ごさせましょ」
「・・・ええ。如月先生、頼めますか?」
「分かりました」
千冬に相槌と共に答えたのは二年の教師をする如月。
性格はかなり彼女に似ており、堅物という性格なのだが実の所かなり世話焼きな人だ。
迷える生徒を助け、困っている教師は助ける。かつて彼女の友人がそうしたから、だという。
類は友を呼ぶという事か、千冬がここに来て気があった人物の一人だ。
「山田先生。部屋の名簿をお借りできますか?」
「あ、はい!今タブレットをお持ちします」
「部屋の一帯を使っていた生徒は直ぐにラウンジに移れ!もうこの一帯には近づくなよ!」
「当面ココには戻れないと思うので貴重品は絶対に持って行って。重いものだったり私服とかは置いていきなさい!」
「・・・霜月先生。怪我をした生徒達は?」
「全員失血は収まりました。命に関わる事はないでしょう」
「・・・・・・。」
現場から少し離れた場所に移動した千冬は今度は爆破に巻き込まれた生徒たちの様子を窺いに霜月のもとに駆け寄った。
どうやら一命は取りとめたらしく、激しく出血している生徒もいるが、霜月曰く派手に血が出ているだけで命に関わらないものが殆どとの事。
最悪のケースは免れたという事で千冬はひとまず安心したの胸を撫で下ろした。
「ですが、もう少ししっかりとした治療をしないと治るものも治りません。もう少し簡易器具でもいいので医療機器とかがあれば・・・」
「職員室に非常用の呼吸器などはありますが、点滴のなどは流石に無いですね・・・」
「・・・いたし方ありません、最低限の治療を行って後は外の病院で適切な処置を行わないと―――」
「ッ・・・そのことなんですが、先生・・・」
「えっ―――」
千冬はこの学園が陸の孤島状態であると言う事を霜月に打ち明ける。
電波が完全に遮断され、衛星からも返答は無し。恐らく中継地点も押さえられていると現状の真実を全て彼女に話した。
「なんですか・・・電波妨害って!?」
「・・・分かりません。誰かが意図的に電波を妨害しているというのは明らかですが一体だれが、どうしてなのかまでは・・・」
「―――。」
しかし、実際千冬は内心では薄々と見当はついていた。これら全てが一体だれが行ったことなのかと。信じたくないが恐らく彼女だけだと。
その薄々とした見当は彼女が信じたくないと事実から目を逸らしていた
本心は誰であるのかもう分かっていたのだ。
(何故だ・・・何故こんなことを・・・)
自分の所為なのか、と頭を抱える千冬は俯き苦しそうな表情を見せていた。
未だに信じられないというその表情は、親が子の愚行を信じられないという顔。
いくら彼女でもここまでの事をするのか、と自問自答を繰り返していた。
「・・・兎も角、今はみんな大丈夫ですが・・・もし状態が悪化したりしたら・・・」
「ッ・・・」
中には全裸の生徒もいる。どうやらシャワー中に爆破に巻き込まれた様子でその生徒は他の生徒よりも負傷が激しかった。
服という身を守る物が無かったのだ。守る物が無い
「それに・・・」
「・・・・・・。」
「まさかと思うのですが、オルコットさんは・・・」
「ッ―――」
まさか爆破に巻き込まれて消えてしまった?
千冬と霜月にほぼ似たような考えが脳裏を過ぎった。
爆破されたのはセシリアが居た部屋で、あの時はちょうど部屋には彼女だけが居たようでルームメイトは幸いその場には居合わせていなかったという。
また、彼女が部屋に居たという証拠に、彼女が部屋の中で紅茶を飲んでいただろうティーセット一式の破片。そして、その少し前に山田がセシリアと会っていたという事。
彼女が部屋に居てフリータイムを過ごしていたのは明らかだった。
その彼女が何処にも居ない。身体の一部分すらも出てこない。
それだけで彼女が塵も残さずに消えてしまったのではないかという考えがどうしても脳かに離れなくなってしまっていた。
その直後。山田が学生寮の出入り口のシャッターが閉鎖されている事に気づき、それを千冬たちに報告。
この時に一夏はオタコンとの状況確認を終えて、一人校舎へと潜入していたのだった。
◇
そして現在。校舎内は彼女達が知らぬ間に戦場と変わり果てており、あちら此方に無数の弾痕と薬莢が広がっていた。
その戦場を一夏はたった一人の相棒と共に駆け抜ける。孤立無援とは言う程ではないが、状況はそれほど良い物ではなかった。
「オタコン。こっちの行動、読まれてないか?」
『向こうはどうやら監視カメラでこちらの位置を掴んでいるようだ。お陰で殆ど隠れ場所がない』
「仮に壊しても、それで位置を知らせちまうからな。どの道残すしかないか」
SOCOMのマガジンを交換した一夏はステルス状態であるMk-Ⅳ、オタコンと共に校舎内にある監視カメラを確認。放送室と生徒会室そして屋上への移動ルートを再検討していた。
校舎内にある監視カメラによって現在一夏の行動は筒抜け状態で、彼の行く先戻る先に敵が現れては銃撃戦となり、彼の手持ちの銃のマガジンはジリジリと消費されていくというのが続いており、Mk-Ⅳのレーダーと偵察を頼りに進んではいるが敵の待ち伏せや追跡によって思うように移動できず、現在は殆ど前進できていない状態だ。
「隠れる場所もなければ移動しても敵に見つかる・・・建物の中の潜入がこれほど難しいと思ったのは始めてだ」
『まさに
「・・・そっちからダミー画像を流すってのは無理なのか?」
それなら奴等を少しの間を欺けるだろ?と訊くが、オタコンは渋った顔で返答する。
『難しいと思うよ。僕でも
「一時間・・・」
『一応は世界最高峰と呼ばれているセキュリティだ。サニーたちでも三十分はかかる』
「そのサニーたちは今寝てるし・・・じゃあ・・・」
『・・・残念だけど手の打ちようがない』
「だよなぁ・・・」
頭を抱え、参ったという様子を表す一夏は深く溜息を吐いた。
あまりいいとは言えない状況だったのが、彼の答えでより悪いほうに流れ、完全に一夏たちが劣勢。崖っぷちにたたされつつあったのだ。
どうする事もできない状況に彼は笑いたくても笑えず、もうどんな表情をすればいいのだと迷ったような表情で溜息をつくしかなかった。
「くそっ・・・あのウサギ野郎・・・」
『ここまで用意周到だったとなると最早色々と考えられてしまうよ。もしかして学園長が一枚噛んでたんじゃないかって』
「確かにな・・・この騒ぎで何も音沙汰無しっていうのが逆に不自然だ。静観しているにしてもなんらかのアクションはある筈だし」
『ああ。それにセキュリティについてもそうだ。並みのハッカーでも突破できないセキュリティを彼女達は突破して支配下に置いている。幾ら時間をかけたからって突破されるほどのレベルなのかなって・・・』
「・・・まさか、政府か学園長が?」
『それこそまさかだ。学園長は兎も角として日本政府に何のメリットがあるんだ?』
「・・・だよな」
何のメリットもない事をこの国が行うだろうか。
いや、メリット自体無い事をなんて誰もしない。そんな事をするのは馬鹿か極め付きの愚か者だけ。
常識的に考えてまず無いだろう。
「―――ってことは学園長?」
『可能性はあるけど・・・彼にも根拠とメリットがない』
「・・・。」
『なら、一体どうして・・・』
「―――オタコン。まさかと思うけど・・・」
まさか、
そう言いかけた瞬間。一夏の耳と骨に小さな振動が響いた。
「ッ!!」
神経を研ぎ澄ましていたお陰で速く反応できた一夏は、反射的に音に反応するとSOCOMを構える。
彼が銃を構えた事で彼の周辺になにかあると分かったMk-Ⅳは頭部のカメラアイを動かし、周辺の敵の反応を探るが、どこにも人影らしきものは映らない。
一体どこからだとモニター越しに焦りの表情を見せるオタコンはMk-Ⅳの頭部を激しく動かし、彼の反応をそのままMk-Ⅳに伝える。
『―――。』
「・・・・・・。」
一夏は銃を持っていない手を地面に付けて振動の中心。人の足音を探る。
コンクリート系の地面は足の振動を伝えやすく、手を置くだけでも何処に居るのかは大体推測できるのだ。
だが、それだけではコンクリートの音の所為で詳しい位置を知る事はできない。なので神経を研ぎ澄まし、気配で探るのも重要となるのだ。
(足音は―――軽い。女だ。それも歳は若い―――)
一夏の手の骨から足音が振動して伝わってくる。
地面に足をつけるその音は軽く、そして高い音を響かせていた。
体重は軽く高いを音を響かせるとなると地面を強く踏みしめる男というのは先ず考えられず女であるのに間違いはない。
―――それもそうか、と当然のことを真面目に考えていた一夏は自分が馬鹿馬鹿しいと思い考えを一旦クリアにする。
女であるのには間違いは無い。そもそもココには女しかいない。
そして、その女は今、
(不味い・・・今からじゃ動いても的にまっちまう・・・)
動きを止めてしまっていたのが仇となってしまった。
今から一夏が動いたとしても、どの道狙い撃ちにさせることには変わりない。
ローリングで回避したとしてもその回避先に攻撃されてアウト。
その場に立ち止まってもセミオートの場合精密射撃が可能。狙い撃ちにされる。
状況が詰みとなった一夏は無意識のうちに焦り始めてしまい、頬に汗を垂らしていた。
さてどうする。このままでは、と。
段々と音が近づき、心臓の鼓動は速くなっていく。
手に汗が流れ、ごくりと生唾を飲む。
銃を握る手に力が入り、今にも引き金を引いてしまいそうだ。
その全てが絶頂となった瞬間。
彼の前に人影が現れた
「―――――!!!」
が。その姿を見た一夏の頭の中は一瞬にして白紙に戻される。
「あら・・・やっぱり、貴方だったのね一夏くん・・・」
「更識、先輩・・・!」
銃を下げた先に立っていたのは楯無だった。
意外そうに驚く彼だが、それは彼女がココに居るからではない。様子がいつもとは違っていたからだ。
その姿と表情はいつものような明るいものでも健康体そのものでもなく、少し青ざめた表情と冷たそうな汗を身体中から流していた。
「一体どうして・・・いや、先輩それは・・・」
そして、彼女の片手が不自然にわき腹に置かれていたのに気づいた一夏は、そのわき腹に視線を移す。
彼女が影に入っているのでしっかりとは確認できないが、僅かに黒いしみのようなものが手の間から漏れていた。影で黒くなっていると言う事は光に当たれば色はより明るくなる。
ワインレッドのような色であるそのシミの元の色は恐らく、いや確実に赤だ。
楯無は赤い血を手で押さえていたのだ。
「ああ、これ?不意打ちされちゃって・・・」
「ッ・・・こっちにきて下さい。応急手当ぐらいはします」
負傷した楯無を見た一夏は真っ直ぐに駆け寄っていき、自分が居た場所に楯無を座らせる。
月の光にあたった彼女の表情はあまりいいものではない。走りつかれたかのように息は荒く、顔色も悪い。だが幸い酷くもない怪我なので応急処置ぐらいは可能だ。
戦地での応急手当の仕方を脳裏に思い出し、一夏は手持ちの物で彼女の怪我を簡易的にではあるが手当てしようと取り出す。
「手、どけて下さい。とりあえず失血個所を防がないと」
「・・・・・。」
『弾が貫通していなのは幸いだね。お陰で失血もそこまで酷くも無い』
「けど、弾はわき腹の中だ。あまり本人を動かせない」
Mk-Ⅳと言葉を交わしつつ楯無の怪我の治療に入る。
医療セットなどというのは生憎と持ち合わせていないが、包帯代わりの物・・・というよりも包帯自体を彼は何故か持っており、それを取り出して楯無の腰に巻きつける。
「・・・包帯だけって、止血スプレーとかもってないの?」
「お生憎さま。そこまで贅沢してませんから。弾受けたならナイフで抉り出していましたからね」
『生唾つけてたら治るって暴論。あれスネークのだったの?』
『・・・・・・。』
「ま。戦地じゃ専門的な治療なんてしてる暇なんて無い。止血の為に包帯ぐらいは常備している」
赤く染まった楯無の制服を巻くり上げ、包帯を腰周りに巻きつける。
本当は彼女の言うとおり止血スプレーぐらいは欲しいところだが、彼は本当にそのようなものは持ち合わせていない。
寧ろ一度も持ったことがなく、銃弾が体の中に残れば本当にナイフで抉り取っていたのだ。
そのことを心残りに思いつつも今はと思い、包帯を巻いていく。
「うんっ・・・男の子に腰を触られると・・・ちょっといいカモ・・・」
「ボケを言っている暇なんてないでしょ。少し静かにしてください。ただでさえ出血してるんですから」
「ふふっ・・・」
こんな時まで余裕だな、と楯無の態度に呆れてはいたが同時にまだそこまでの気力が残っていると分かったのでひとまず安心した一夏はその仕上げにとばかりに少しきつめに包帯を結んだ。
「いっ・・・」
「とりあえず、これである程度は止血できると思います。後はどこかで手当てしないと・・・」
「・・・なら、生徒会室・・・ね」
「・・・生徒会室にですか?」
「ええ・・・」
楯無曰く、学園の主要施設の近くには非常用の簡易医療キットや食料。また懐中電灯などが常備され、中には各主要施設の間、学園内で連絡が取れるようにと無線機と非常回線などがあるという。
「建前は、災害用って言ってたけど・・・本当はこういうのを見越してなのやも・・・」
「・・・テロを予想するなんてどういう所だよ、ココ・・・」
だが、国営というだけあってそれだけの装備があるのは有難い。
何か使えるものがあるだろうと一夏は銃を持ち直し、楯無に生徒会室に向かおうと提案した。
「けど、それなら怪我の手当ては出来るし何か役に立つものがあるかもな」
『そうだね。その非常回線を使えばあるいは・・・もしかしたら外部と連絡を付けられるかも』
「あと・・・銃撃が始まる前に、虚ちゃんも居たから多分今も数人の子と一緒のはずよ」
「虚さんが・・・どうしてですか?」
「・・・・・・生徒会の仕事。色々よ」
「・・・・・・。」
目線をずらした楯無に違和感が拭えなかったが、今は彼女を連れて生徒会室に急ぐのが先だ。どの道、傷は包帯を巻いた程度では回復するものではない。
一夏は肩を貸すと空いたほうの手でSOCOMを構えMk-Ⅳに案内を頼み、移動しようとした。
が。この時、一夏は僅かに油断していた所為で周囲へと警戒を怠ってしまう。
『ッ!!』
「ッ!い―――」
出遅れた。反応が遅れてしまった。
そんな後悔をしたのはそこでの出来事が起こった直後だった。
刹那。廊下側に出た瞬間、一夏の腹に強烈な一撃が入ったかのような痛みが走りそれをモロで喰らってしまった一夏は一瞬ではあるが意識が飛んでしまう。
それなりに硬くなっている腹部だが、それでも衝撃が全身に伝わり痛みに変化していく。
意識が飛んでしまった一夏は楯無を掴んでいた手を離してしまい、衝撃に流されるがまま地面に倒れてしまう。
「がっ―――」
「ッ・・・!」
思わず彼の名を叫ぼうとした楯無だが、間髪入れず楯無は誰かに身体を拘束され地面に叩きつけられる。
「くっ・・・!」
『ッ!?まさか・・・』
姿が見えない誰かに蹴られ、拘束された二人。
間違いない。彼女達はステルス迷彩を使用している。
オタコンの脳裏にはそれしかないと確信が持てていた。
自分がかつて使っていた装備品だ。性能を知っていて当たり前だろう。
文字通り姿を消し、奇襲などを行うための装備。
相手は特殊部隊の人間だ。それぐらいは想定していなければならなかった。
「ステルス、迷彩・・・!」
「対象を発見」
女の声と共に一夏の前にはマシンガンのMP7を突きつけ、楯無の上には片手で頭を押さえもう片方には軍用ナイフを構える兵士が姿を見せた。
その二人は突然姿を見せたというよりも周囲に溶け込んでいた姿が徐々に見えてくるといったようで、どうやら一夏たちが知っているステルス迷彩よりも更に性能などが上がったもののようだ。
「それと、もう一人の対象も拘束しました。いかがしますか?」
『無論。両方とも殺せ。直ぐにな』
「・・・了解」
(やべっ・・・!)
SOCOMは蹴られた時に落としてしまった。反撃しようにも先に引き金を引かれてしまうのは目に見えている。
つまり。今の自分に反撃の方法は、無い。
後悔よりも身の危険が先んじたのか全身が冷気に当てられたかの如く冷たくなり、滴る汗にも冷たさを感じるほどの恐怖を感じた一夏は、最期のあがきとばかりに銃撃を回避してCQCに持ち込もうかと考える。
最早深く考える余裕も無い。一か八かの賭けに打って出るしか。
引き金が引かれようとした瞬間、一夏は身体をずらそうとした
だが。それは一発の銃声で意味を成さなくなる。
「―――えっ」
「―――がっ、あ」
銃声と共に、一夏に銃を突きつけていた女の肩からは赤い血を吹き出す。
夜の暗闇の中を舞う血の色は本来のよりも暗く、本当に血であるのかを疑う。
しかし肩から吹き出すのは間違いなく血だ。
激痛と共に溢れ出た液体に一夏は勿論の事、女でさえも驚いていた。
どうして自分の肩から血が出ているのだ。
どうして肩に銃弾が貫通したのだ、と。
「ッ!オイッ!?」
「―――ッ!」
直ぐに我を取り戻し、もう一人が女に叫ぶが、彼女にも女を気遣う猶予は与えられなかった。
直後、数発の銃弾が身体の至る所へと撃ち込まれたのだ。
「が・・・!?」
『ッ―――』
わき腹と右肩、そして右ふともも。
連続した銃撃は一瞬のうちに身体に埋め込まれ、声に出ない激痛に襲われる。
一体、誰が撃った。
考える余裕もない誰もが、その考えを浮かべ呆然とする。
銃を落とし、銃そのものがなく、まだ引き金に手をかける直前。そんな状態で一体だれが引き金を引いたのだ。
なら答えはひとつだ。
「ッ!貴様は―――」
第三者の気配に気づいた女はその先へと振り向くが、その瞬間更に両肩両足に銃弾を打ち込まれてしまう。
「しぁ!?」
「ッ!くそっ・・・!」
四肢を打たれた女は身体に手足に力が入らず、そのまま前へと倒れる。
女を見てこのままでは自分もああなってしまうと、もう一人は腰に差していた
グロックを持っていた手は蹴りで彼方の方に飛ばされ、動きが止まってしまう。体勢を立て直そうにもグロックを持っていた手に身体がつられてしまい、反撃には間に合わない。
楯無の上に乗っていた身体は間合いを詰められ、突進の姿勢であった相手に突き飛ばされた。
「ッ!!」
壁に叩きつけられ、形勢が逆転されてしまった。
だがそれでも直ぐに反撃せねばと最後の抵抗に出るが、そのまま相手は右腕で自分の身体を拘束。自分たちを撃った銃を顎に突きつけた。
「がっ―――」
「―――悪く思わないでね」
顎に突きつけられた鉄の塊に恐怖し、死を覚悟する。
その言葉に乗せられていた殺気に相手が本気で引き金を引くのだと察した彼女は、その殺気に圧倒され、受け入れたかのように思考が真っ白になった。
しかし。彼女が死ぬ事など意味が無かった。元より殺す気もないのだから。
精神的に敗北した女を突き飛ばし地面に倒れさせ、銃で四肢を討ち抜く。
「ッ―――!?」
四肢を撃ち抜かれた女は考える事も出来なかった。死を間近にしたにも関わらず、何故か自分は生きているのだ。何故、どうしてと問おうにも、その問いすら解らない。
白紙状態になった頭の中で浮かんだ白紙の問いに頭の中は混乱したのだった。
「あ・・・がっ・・・ああ・・・???」
「ぐッ・・・」
「・・・・・・。」
それは一夏たちも同じ。全くといって何が起こったか分からなかった。
動きを封じられ殺されかけた二人が一瞬のうちに助かった。そして、主導権を握っていた二人は今四肢に銃弾を喰らい倒れている。
混乱した頭の中が少しずつ整理されていき状況を把握していく。
一瞬のうちに何が起こったのだと時間がかかったが、それを今、漸く現状を全て理解した。
何が起こり、誰が現れ。どうなったのか。
それを見て自分がどう思ったのか。
「・・・・・・。」
「――――――えっ」
力が抜けたように銃を握っていた腕が下ろされる。
だが手は銃を握るのに十分な力は残っており、離される気配はない。
当然といえは当然なのだろう。この場で銃以外に頼る武器などナイフぐらいしかない筈だ。
それを離せば、自分は唯一の抵抗する方法を失ってしまう。だからこそ、腕の力を抜いたとしても手だけは絶対に離さなかったのだ。
握っているものが自分にとって、この場にとってどれだけ頼もしい
だからこそ疑う。だからこそ驚く。
一夏の目はそんな驚きと動揺、そして目に映る光景が真実なのかと疑うほか無いという目をしていた。信じられないという事実が彼の前には移っていたからだ。
ブロンドの髪を後ろに束ね、白いリボンで結ぶ。
短いショートスカートは学園の生徒の標準的な制服だ。
そしてその服を着るのは女性というよりも幼い少年のような顔立ち、中性的と言われる顔をした一夏の
「―――――――――シャル?」
そう。シャルロット・デュノア―――
彼女が、右手に一丁の
◇
『隊長。ハッキングした監視衛星からの映像に変化がありました』
「・・・。」
『今から数分前、校舎へと向かい一人の人影が接近。その後、姿を消しましたが、恐らく校舎内に潜入したのかと・・・』
「校舎内の監視カメラは」
『いえ・・・どうやら監視カメラの死角に入ったようです』
「・・・・・・。」
つり上がった口は抑えきれない彼女の笑顔の現れだ。
あまりに嬉しく、そして可笑しく。この上ない興奮と愉悦。
思わず声に出して笑い出しそうだ。今にも弾け出して腹を抱えて笑い転げそうだ。
彼女の笑みは不敵で純粋な笑みだった。
『・・・どうかしましたか?』
「・・・いや。何も無い。お前達は引き続き監視を続けろ」
『・・・はい』
危うく何もかもを忘れて笑い転げそうだったと、少女は抑えきれない笑顔に口元を押さえる。笑いで身体の力が抜けそうでふらふらとふら付く身体の体勢を整え、感情を抑えるラウラはこの上ないというほどの愉悦の笑顔を見せただ一言呟いた。
「ッ・・・ははは・・・・・・これで全てが整った・・・感謝するよ、シャルロット・デュノア――――――お陰で、最高の幕引きを見られる」
―――織斑一夏の死を、最高の結末で観られる
この上ない愉悦を味わっていたラウラは自分の手の上で踊り続ける者達に最高の賞賛を与えた。
よく私の為に踊ってくれた、と。
よく私の意図を気づけずに演じきってくれた、と。
これで勝利は確かなものとなる。
「さぁ・・・演じるがいい。その必死な姿こそ私にとっては最高の美酒に匹敵する。この上なく嬉しい結末を・・・私に見せるがいい」
箱庭を制した少女は笑う。
自分の手の上で、自分の
まるで子供のようはしゃぎ、笑い、そして拍手する。
箱庭の劇場はもう終わりに近づいているという事。そして、その箱庭の劇場を夢中で観賞する彼女を後ろから見ている者が、居ると知らず。
◇
「・・・ごめんね。イチカ。僕は・・・君に謝らないといけない」
(・・・やっぱり・・・ね)
「―――どういう事だ・・・シャル」
「さて。では、悲劇の劇場のはじまりはじまり・・・」
終幕へと向かう劇場を少女は知らず、楽しみ続ける。
彼女が楽しんでいる間に色々な者達が現れ、登場しようとしているのを。
少女の後姿を見る者。
少女から劇場を取り上げる者。
少女の劇場を――――――壊す者
「では。反撃開始としますか」
さぁ。サプライズの時間だ。
後書き。
IS側のキャラクター設定についてですが、ラウラ編を終えて落ち着いたら投稿する予定です。一応ISがメインとなっていますのでキャラクターの設定もその時のに準じたほうがネタバレにはなるけどいいかなぁ………って。
機体の設定も出来れば出そうかなとも。