IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第二話です。
今回はISキャラが主軸の為、IS色が多めとなっています。
また、ストーリー自体は原作に沿っていきながらも、何処か変化のあるストーリーにしています。

今回は一夏入学から初日の授業の午前一部。そして、学園への疑問です。

誤字脱字・駄文はご愛嬌。
それでも言い方は、
第二話、お楽しみください。


No.02 「再会」

 

 

 

 

 

後日。

IS学園の制服に身を包んだ一夏は、スーツ姿のスネークと共に学園の正門前で座り込んでいた。

 

話では当日の約束した時間に担任の教師が案内に来ると言う事らしいが、一向にその気配は無い。

また、正門には目つきの悪い警備の女性達が彼らに睨みを利かせており、余り言い心地はしていなかった。

一応話は通っているが、それでも不満があるというのが彼女達の本音なのだろう。

 

 

そんなストレスが溜まりそうな場所で、一夏はヤクザ座りを、スネークは背筋良く立ったままタバコ代わりのホワイトチョコを加えつつ、この状況を打開する援軍を待っていたのだった。

 

 

「・・・遅いな」

 

「・・・時間、合っているのか?」

 

「確かさ。朝の七時四十分に正門前って・・・」

 

「だか、もう五十分だぞ」

 

「・・・・・・」

 

一夏はスネークの言葉を聞きつつiDROIDを起動させる。

時間は確かに約束の時間をとっくに過ぎている。もう少しで八時だ。

日差しが強くなり、四月の太陽が彼らの肌にその熱を伝え始める。

このまま干乾びさせるつもりかと思い、熱い長袖の制服で僅かに染み出る汗を拭き取る一夏。

 

すると、彼らの許に学園内から一人の女性が駆け寄るのだった。

 

 

 

 

「す、すみませーん!!」

 

「ん?」

 

「?」

 

 

振り向いた二人の視界には学園内から一人の女性が慌てながら走って此方に向ってきていたのだ。

緑のショートに豊満な胸。そしてその性格を現したような眼鏡を掛けている。

眼鏡はドジっ子が多い。オタコンの受け売りは確かだった。

その彼女は今の一夏以上に汗をかきながら走って彼らの所へと寄った。

体力が無いのか、それとも長い距離を走ってきたのか。

この考えに二人は前者だろうと頭の中での意見が一致していたのだ。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・お・・・遅れて申し訳ありません・・・」

 

女性はたどり着くと肩で息をしつつ、そのまま謝罪の一礼をした。

と言う事は彼女が一夏の担任か、とスネークは察し、ホワイトチョコを一気にかじり切った。

その直後、女性は顔を上げ、二人が話にあった編入生かと問いを投げた。

 

「え・・・えっと・・・エメリッヒ君は・・・」

 

「あ、俺です・・・えっと・・・大丈夫ですか?」

 

「はい。大丈夫・・・・・・ふぅ・・・」

 

軽く息を整え、女性は改めて顔を上げ、その顔とをしっかりと二人の前に見せる。

その顔つきとスタイルにどこかで気力が回復したような音がしたが、其処は一応一夏は気にはしなかった。

 

「改めて。私は、このIS学園で教師をしております、山田真那と言います」

 

「あ、よろしくお願いします」

 

「はい。今日からエメリッヒ君は一年一組の生徒ですので、忘れないで下さいね」

 

「はい」

 

「えっと・・・じゃあそちらの御仁が・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

(いっけね・・・)

 

 

思い出した。スネークは日本語を余り理解出来ていないのだ。

と言うよりも言っている事は多少聞こえて入るが、どういう意味かと言う脳内での変換と滑舌のスピードでの聞き取りが出来ていなかったのだ。

その為、現在彼の頭では必死に変換している最中だったのだろう。

 

「すみません、父はあまり日本語に慣れていなくて・・・」

 

「あ。外人さんでしたものね。すみません・・・」

 

「いえ、単に慣れてないだけなので、大丈夫です」

 

 

「・・・すまんな。余り日本と縁が無かったんでな」

 

「愚痴は英語かフランス語にしてくれ。幸い、この人は英語の理解力少し低いみたいだし」

 

「・・・そうだな。で、彼女は何と?」

 

「『貴方が俺の父親か』って」

 

「そうか」

 

 

取り合えず、慣れない日本語の為にスネークは一夏に翻訳され、顔を縦に振る。

彼のジェスチャーに彼女も理解し、明るい笑みを見せて答えた。

 

「では、寮での事も?」

 

「ええ。既に話は聞いています」

 

「分かりました。では、詳しい話は後ほどですので、先ずは・・・」

 

 

「・・・。」

 

「スネーク?」

 

「・・・」

 

 

スネークの目線の変化に気づいた一夏は、彼と同じ方に顔を向けた。

山田もそれに気づき、彼らと同じ方向に顔を向かせ、何かに気づいた顔をした。

 

それと同時に、一夏は目を見開いた。

 

 

それは彼にとってはそれ程の事が彼の瞳に映っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・い・・・ち・・・」

 

 

 

忘れる事の無い顔。

彼の向かい側にいる人物は今の彼と同じで、目を見開かせているのだろう。

 

彼と同じ黒い髪。そして黒い女性用のスーツ。

凛とした佇まいと、整った顔。

絶世の美女とでもいうのだろうか。

 

彼女は唯一言。「いち」と言った。

 

それは、彼女の目の前に信じられない。それでいて僅かに可能性を持って居た事が目の前に起こっていたからだ。

 

 

 

 

その次の単語を言う前に、彼女は一心に駆け始める。

彼に。たった一人の自分の・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・!」

 

「っ・・・・・・」

 

 

しかし、彼は半身を捻り彼女が伸ばした手を避けた。

一瞬、彼女は体勢を崩しかけるが、直ぐに立ち直り、少し荒れた息を吐きつつ、再び顔を上げた。

 

間違いない。彼だ。

 

確信した彼女は、似合わない涙を流そうとする。

ようやく願いが叶った。その一心が、今の彼女の全てだった。

 

だが。唯一つ。彼が避けた事を除けば。

 

 

「・・・どうして・・・生きていると・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

「あ・・・あれ?」

 

「・・・・・・」

 

 

アウェーの山田とその状況を見守るスネーク。

彼らの前には、一夏にとって喜ぶ事のできない現実と直面していた。

イマイチ状況が掴めない山田だったが、その状況は直ぐに進展した。

 

 

「どうして・・・!」

 

「っ・・・!」

 

 

《其処までだ》←ドイツ語です。

 

 

「ッ!」

 

《・・・ドイツ語は分かるな》

 

《・・・ええ》

 

スネークが慣れたドイツ語で彼女と一夏との間に割って入ったのだ。

本来なら止めるべきではないと思うが、彼の心境が心境だった。

 

だから、スネークは頃合いかと思ったかのように淡々と割り込み、話を始めるのだ。

 

 

《彼の父親のデイビットだ》

 

《父・・・貴方が・・・!?》

 

《そうだ》

 

《・・・一体何を言って・・・》

 

《其方こそ・・・誰と勘違いしている》

 

《・・・何っ・・・》

 

スネークの言葉に、千冬は目を細めて睨みを利かせる。

コイツは一体何を言っているのだ、と彼女にとっては当然の疑問を持っていたが、スネークの次の台詞に彼女は更に目を細めるのだった。

 

 

《彼はイチカ・エメリッヒだ。誰に似ていても、彼は俺の子だ》

 

《そんな・・・一体何の証拠があって・・・!》

 

《調べて見るか?彼の戸籍を》

 

《・・・》

 

《既に個人情報は其方に送ったと記憶している。彼がエメリッヒの性である事。それを裏付ける証拠も、経歴も、其処に全て書き記した筈だ》

 

《っ・・・》

 

 

嘘だと信じたかった。

確かに、学園に対して彼の履歴書が送られてきたのは事実だ。それに目を通したのもまた事実。

彼が生きて私の前に居た。

今は唯それだけを受け入れたかった。

しかし、現実は彼女に非情な物を見せる。

生きていたたった一人の肉親。彼は自分との関係を否定し、新たな拠り所に付いていた。

 

 

信じたくない。嘘だと言ってくれ。

彼女は一心にそれを願っていたが、結果は変わらなかった。

 

 

たった一人の肉親を助けられなかった事実に変わりはない。

恐らく彼はそれを恨んでいる。

現実を受け入れた彼女は涙と共に言葉を飲み込み、そしてスネークに謝罪の言葉を言うのだった。

 

 

《・・・・・・申し訳・・・ない・・・》

 

《・・・いや。此方も取り乱してしまった。詫びるのは此方もだ》

 

 

千冬は現実を知った。

既に現実が変わっていたと言う事を知った。

改めてそれを認識した彼女の目には、もうそんな感情は乗っていなかった。

 

 

「・・・すまない・・・少し取り乱してしまった・・・詫びを言わせてくれ」

 

「・・・いえ」

 

「・・・・・・改めて。私は織斑千冬。今日から貴様の入るクラスの副担任をする」

 

「・・・はい」

 

「よろしく頼むぞ・・・・・・エメリッヒ」

 

「・・・・・・」

 

 

苦しい事だ。目の前に大切な肉親がいるのに赤の他人を演じなければならない。

彼女にとっての罰か、それとも現実の証拠か。

そして、少年にとっての試練か、代償か。

 

その時に限り、僅かに舞い散る桜を一夏は鬱陶しく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『残酷・・・だね。』

 

「・・・そうだな。たった一人の肉親と、他人を演じる・・・彼女にとっては拷問の他ならないだろう」

 

『そうだね・・・他人を演じるより・・・嫌な事は無い』

 

「そうだ。血の繋がった者に恨まれるより・・・憎まれるよりも辛い事・・・まるで全てを無かった事にする・・・(ゼロ)の関係。それ以上に・・・辛い事は無い」

 

 

 

スネークは血の繋がった兄弟と戦った。

オタコンは血の繋がっていないが、たった一人の家族に憎まれた。

 

しかし、それは二人にとっての繋がり、他人ではない、繋がりの糸があったからこその事。

だが、今彼らの前に起こった事はそれ以上の物だった。

全ては無かった事にされ、まるで赤の他人と言う関係となる。

 

これ以上辛い事は、二人にとってはないだろう。

 

 

 

その彼ら二人を、辛い人生を生きた二人はどうする事も出来ず、唯見送るしかできなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし。ココからが、彼にとっての一つの試練だったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

= IS学園・廊下 =

 

一夏の入るクラスである一年一組の教室に近づくにつれて新入生達の目線が強くなっていく。

彼がたった一人の男性IS操縦者か、と。

大半は興味と言った見方をする者が多かったが、稀に敵視をむき出しにしている者も居た。

熱烈な女尊男卑主義者なのだろう。

 

その中で、千冬はある事に気づき、二人の方に顔を向けた。

 

「すまない。出席簿を忘れてきた。直ぐに職員室に取りに行くので、山田先生は先に彼と教室に行ってて下さい」

 

「あ、はい。」

 

「・・・エメリッヒ。席は窓側から三番目の列の一番前だ」

 

「・・・はい」

 

 

千冬はそう言い、重そうな足と共に去っていった。

まだ慣れていないのか。それとも。

 

考えるのは止めておこう、と一夏は考え、状況が理解出来ていなかった真那と共に先に教室に向ったのだった。

だが、その時にふと彼は何かを感じた。

反応はしたが、顔を振り向かせたりはしない。

僅かに眉を動かし、人間にある反応したと言う動作しか行わなかった。

 

感じたのは興味とも敵視とも違う気配。

 

まるで蛇の様に誰かが自分の事をジッと見つめている。そんな感じが彼の背中の筋をなぞる様に感じられたのだ。

 

 

「・・・どうかしました?」

 

「あ・・いえ何も・・・」

 

 

不審がられては危険だ。

一夏はその目線を感じつつ、その場から移動した。

だが、どうやら目的地は直ぐ其処だったらしい。

彼が目線を上げると、一般の学校の様にクラスの表が教室の前にあり、其処が彼の今日からの教室があった。

 

「ココが一組の教室です。覚えておいてくださいね」

 

「分かりました」

 

きっちりとした返事を返し、山田は明るい表情を彼に見せる。

眼鏡で女は綺麗に見える。

何故こう言う事にはオタコンは物知りなのだろうか。

 

彼への疑問を考えつつ一夏は山田の後ろに付いて行き、教室の中に入ったのだった。

 

 

そこにもう一人の彼を知る人物が居たと知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・一夏・・・?」

 

真実とは、何時も気まぐれなものである。

求めている時には現れず、求めていない時に現れる。

正に天使の悪戯とでも言うのだろうか。

 

 

(・・・・・・!!!)

 

 

 

 

「嘘・・・一夏・・・・・・」

 

 

 

 

篠ノ之箒は驚愕した。

口には何も語らなかったが、目が全てを語っていた。

 

彼女の目の前には今まで求めていた願いが映っていたからだ。

 

唯一報、彼は死んだと聞かされた時からずっと信じて居なかった。

彼はどこかで生きている。

そう信じ、その一報を頑なに信じなかったのだ。

それがやっと実った。

彼女はそう思い、無意識に座っていた机から立ち上がって彼の肩に手を伸ばそうとした。

 

 

 

 

しかし、学園全体に鳴り響くデジタルのチャイムが鳴り響き、生徒達が一斉に自分の席に座ったのだ。

彼女もそれは知っていたので、惜しそうな顔をして席に座った。

朝のホームルームの後で聞けばいい。

 

何も知らない彼女はそう一つの望みを持って居たのだった。

既に彼との糸が切れていると知らずに。

 

 

 

 

 

 

「新入生の皆さん。ご入学おめでとう御座います。私はこの一年一組の担任をさせて頂きます、山田真那と言います」

 

教卓の前に立ち、真那は淡々と自己紹介を始めた。別に恥じる事も無ければ動揺することも無い。丁寧な物言いとぴっしりと姿勢を整え、一礼をした彼女に、自然と見ていた生徒達は両手で拍手を行っていた。

 

もっとドジな性格かと思っていたが、やる時はやる。

それが彼女の性格だったらしい。

 

「さて。皆さんご存知の通り、当学園では一クラスに担任と副担任が割り当てられる事になります。まぁ・・・皆さんどっちかと言うと其方が本命ですもんね」

 

そう言って真那が苦笑すると、図星だった生徒の何人かは苦笑するか、あるいは目線をずらした。

彼女達の本命はどうやら千冬らしい。

其れもその筈だろう。ブリュンヒルデが自分達の先生である。しかも身近だ。

これ以上またとないチャンスを誰もが期待しないわけが無い。

 

もっとも。約数名を除けばではあるのだが。

 

 

 

 

 

 

《ガラッ》

 

 

 

「遅くなってすみません、山田先生」

 

「あ、大丈夫ですよ、織斑先生。今始めたとこ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

刹那。教室一帯とその周辺にステレオで少女達の歓喜が響き渡った。

その余りのボリュームに一夏は反射的に耳を塞ぎ、歯を食いしばっていた。

 

牛やセミの様な鳴き声をする月光でもここまで五月蝿くはないぞ、と思い、窓は割れないかとどうでもいい事を考えつつ、その歓喜が止むのを待っていた。

のだが、それは彼女の一声で静まり返ったのだ。

 

 

 

「喧しい!!」

 

 

 

覇気と気迫のある声を放った千冬はそれと同時に片足のヒールを強く地面に叩きつける。

そのまま地面にヒビが入るのではと思う程の勢いに一夏は多少引いていたのだが、どうやら周りの女子達は違ったらしい。

彼女の命令ならばよろこんで黙ろう。

最早奴隷か忠実な犬か。彼女達が自分で自分に首輪を付けているのが一夏の頭の中に浮かび上がっていたのだ。

 

 

「全く・・・これだから平和ボケした馬鹿共は・・・」

 

 

 

平和ボケはアンタもだろ。

冷たい言葉を投げようとした一夏だが、それは流石に状況的にマズイと思い、誰も見えないであろうと虚ろな目で彼女を見るだけに止めた。

 

「もっと罵って!!しかって下さい!!」

 

「でも時には優しく・・・あ、でもやっぱり激しく罵って!!」

 

「そして私達を躾けて!!」

 

 

「・・・・・・黙れ、この馬鹿者ども!!!」

 

 

遂には怒りの沸点が一定値に達したのか、千冬は本気の半分で怒り、怒鳴ったのだ。

それには生徒達も流石に度が過ぎたのか一斉に静まり返り、若干引いた。

 

「そう言って今は調子に乗っているがいい。だがな。貴様等は三年後にはこの学園を出て、最前線送りになって死体で帰ってくるのかもしれないのだぞ。それを分かっているのか?え?」

 

急な現実味を帯びた話に、生徒達は顔の温度が下がっていく。

しかし、常に最前線だったりに送り込まれていた者達には別に不思議な話でもなかったのだ。

 

「経済戦争が終結したとはいえ、今でもISが軍事兵器である事に何ら変わりは無い。大規模な戦争が終結しただけで、一歩この国から出れば、貴様等は一平卒となって世界各地の紛争や内紛に巻き込まれる事になる。それが直接であれ間接であれだ。『別に開発機関に入ればいいのでは』と気楽な考えは止めておけ。貴様等がISと関係したからには、少なからず戦争と関係を持つ事になるのだからな!」

 

そう。前に一夏が廃墟の教会の中で上空を通過したIS部隊の様にだ。

どうやら、あの後の話では、二人いた内の一人は殉職したらしい。

つまり。IS操縦者となれば、人殺しのゲームに参加する事になり、開発関係に入れば更に多くの人を殺す原因を作る。

 

そして最悪は死あるのみ。

 

それをイマイチ理解していない彼女達だが、中には勘付いた者達も居たらしい。

その証拠に、その少女達の顔は真っ青になっていたのだから。

 

「平和と言うのがどれだけ大切なものなのか。戦争と言うのがどんな物なのか。それを貴様等はこの三年に知る事になる。その為に・・・今は平和を謳歌するがいい」

 

 

 

千冬がそう言いきった直後。ホームルーム終了のチャイムが鳴り響く。

チャイムの音を聞いた生徒達は一気に張っていた緊張が解れ、姿勢を少し崩す。

現実味を帯びた言葉の一つ一つに必死に受け止めていたのだろう。

 

その中で、一夏は唯一人、平然とした顔をしていた。

同時にそれは、彼女へのあてつけであったとも言える。

幾ら彼女の言葉に重みがあったとしても、彼にとっては希薄な言葉であったのだ。

何故なら、その全てを彼が一番良く知っている。

それが彼の今の考えだった。

 

 

 

「・・・さて」

 

 

そそくさと椅子から立ち上がった一夏、直ぐに教室を後にしようとする。

別に急ぎの用があるわけではなく、単にその場での居心地が苦手だったからだ。

周りには女ばかりで、しかも彼を珍獣が居るかのような目で見ているのだ。

 

彼でなくても良い心地はしないのは確かだろう。

 

 

「ッ!待て!」

 

一夏が立ったのを見た箒は、彼がドアの向こうに行きそうになるので思わず声を出してしまった。それに数人の生徒が彼女を見るが、彼女には関係ない。

箒も椅子から立ち上がって直ぐに一夏の後を追う。彼は歩いているが、対して箒は小走りをしている。

彼女の計算では、ドアの外で彼と出会えるはずだ。

 

 

と思い、小走りで彼の後を追った箒だったが、ドアの直ぐ角を曲がったその直後に彼の姿は何処にも無かったのだ。

 

 

「・・・!?」

 

 

突然の事に彼女は目を疑い、周りをキョロキョロと見回す。

彼が曲がったほうには多くの生徒が談笑をしていたり歩いていたりしていたのだが、誰一人として彼が居なくなったと言う事に気づいた様子は無かった。

一体どうやってと疑問に持つ箒だったが、取り合えず彼を探しにと彼が向ったであろう方向にへと駆け出すのだった。

 

 

「・・・・・・」

 

 

その去っていく彼女を見る、一人の男がいたと知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ステルス迷彩の調子はどうだい?』

 

「ああ。問題ないぜ」

 

『そうか。いざと言うときの為に持たせておいて正解だったね』

 

「ああ・・・まぁな・・・」

 

 

何故ステルス迷彩を態々持たせたのだろうか・・・

親ばかの様な行動に内心呆れていた一夏は、現在屋上に一人居た。

オタコンが持たせていたステルス迷彩に気づいたのは先ほどのホームルームの時で、それがiDROIDの反対側のポーチに入っていた時は驚いたが、いざ使うとなれば慣れたものであったのは確かだ。だが。

 

 

「・・・て言うか、どうしてステルス迷彩を?別に要らないだろ?」

 

『まぁそうかもしれないけど、用心に越した事はないだろ。それに、その学園・・・色々と訳アリみたいだからね』

 

「・・・どういう事だ」

 

『実は、昨日僕とサニーがこの学園のシステムにハッキングを掛けて見たんだけど・・・どうにも隠し事が多いみたいでね。見取り図と設計図ではかなりの誤差があった』

 

「誤差?隠し部屋とかか?」

 

『そうさ。それも一つや二つと言うレベルじゃない。各地にかなりの数がだ』

 

「・・・避難シェルターとか、要人用の非常通路でもないのか」

 

『シェルターや非情通路は設計の段階で既に盛り込まれていたし、それも確認した。つまり、それ以外の何か。何かが隠されている』

 

「・・・調べる必要があるって事か・・・」

 

『今夜辺りに調べてくれないか。どうにも嫌な予感がする・・・』

 

「・・・・・・分かった」

 

 

一夏はそう言うとオタコンとの通信を切り、専用のポーチにiDROIDを入れた。

そして、その後に後ろ腰に刺していたホルスターからSOCOMピストルを抜き取り、銃のロックを外したのだ。

見栄えが良い物ほど裏がある。何処の世界ににもよくある話だ。

その見栄えを剥がして真実を知る。

それを考えると、不思議と彼の口は釣り上がって笑みとなっていた。

 




オマケ。

オールド・スネークについて。

余命半年、更には三ヶ月と一気に短い寿命になった老蛇ことオールド・スネーク。
彼は現在、歪とも言う程の技術発展を遂げた医療技術とほぼグチャグチャといってもいい体の状態で奇跡的なバランスの状態で生き長らえています。
身体については追々本編に出していきます。
ですから、その為に現在彼は色々と健康に気遣うおじいちゃんそのものとなってしまいましたW
しかし、銃スキルは殆ど衰えはありません。代わりにCQCはほぼ不可能となっていますが。
彼が今どんな余生を過ごしているのか。彼が今どんな性格で、どんな生活をするのか。
良ければそれもお楽しみに下さい。


他のキャラクター達について。

MGSには個性豊か過ぎるキャラクター達が大勢居ます。
今後登場するのはメリルとアキバ。そして、もう一組の一家です。
ドレビンも出したいのですが、どのタイミングで出すか現在検討中です。
ですが、もしかしたら先に通信だけで声だけ出演が先だと思います。

美鈴?
・・・どうでしょw
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