IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第三十九話です!!

またも長いッ!!
ですがそろそろこの編も終わる……ハズなんだけどなぁ……アレ?アレェ???

あと、言い忘れてましたがこの作品に出る銃火器、乗り物等は全てMGSシリーズに準じます。なので特に車両とかが限られてくるのでまぁオリジナルで色々と引っ張ってくるかも……?

では、誤字とかは時折ご愛嬌。
「それでも良い!」と言う方は
第三十九話、お楽しみ下さい



No.39 「老蛇」

 

 

 

 

 

首都高速入り、数分前―――――

 

 

 

ラウラたちが学園を後にした頃。

都市部の道路ではスネークがプラドで夜の一般車道を走っており、助手席との間にあるナビゲーションシステムに従い運転を行っている。日本製であるプラドは右側に運転席があり多少難儀していたようだが、今では愛馬のように巧みに操りとても見た目老人の男とは思えない動きで彼は苦もない顔で運転しており、その姿に別の画面から見ていたオタコンも、さすがは彼だ、と舌をまいた。

が、それも現場(・・)につけばそうはいかなくなる。

その事を思い返したのか、不安になった様子でオタコンがスネークに尋ねる。

 

『………本気で行くんだね』

 

「ああ。彼女のことも放っておくワケにも行くまい。それにイチカも心配だ」

 

『出血からそろそろ十分。かなり血液量が減っているハズだ。もう彼自身どこまで持つのか分からない』

 

「時間との勝負だな」

 

『……けど、相手は現役軍人の部隊なんだよ?それに、装備や……まして君の身体は……!!』

 

「オタコン」

 

『ッ―――』

 

気圧する威圧感にオタコンは言葉を詰まらせる。

 

―――そんな事、分かっている。

 

言葉にはしなかったが、スネークの目がそう訴えていた。

そんなことはその身体の持ち主が一番良く知っている。そんな事は他でもない彼がよく分かっている。

自分の身体が段々と言う事を聞かなくなっていることも。砂の様にボロボロと崩れかかっていることを。

こんな事をすれば余計に命をすり減らす事を。

だが。

 

「俺は彼の父としての役割を請け負った。彼女(千冬)からその役割を奪う形で、だ。そんな俺が、アイツの危機に無視する道理が何処にある?」

 

『スネーク―――』

 

「俺は、アイツの本当の父親じゃない。俺も父親をやった事はない。だがな。

 

 

 

大切な子を、見捨てる理由にはならない筈だ―――!」

 

父親でもない。そもそも血の繋がったもの同士でもない。

それでも。

それでも彼は、大切な時間を与えてくれた彼に返し切れない恩を持っている。

どんなに苦しくても、どんなに辛い事があっても。彼はそれを受け入れ、自分の所為でもあると言い、ずっと自分の後ろを付いて、守っていてくれた。

 

『―――。』

 

「大丈夫だ、オタコン。撃つといってもガバメント(M1911)。それに、今回は助っ人を頼んである」

 

『―――マドカだね?』

 

「ああ。頼んだら承諾してくれた。代わりに、彼女も生きて帰らせる。そう約束した」

 

だから今度は(スネーク)が守る番だ。

彼の帰る場所を。彼が戻ってくる所を。

かつて自分の戦友が言った言葉……

 

 

―――スネーク 今度は俺が守る

 

 

彼の言葉を借り、スネークは心の中で呟いた。

 

 

―――今度は、俺が守る番だ。

 

 

 

『………スネーク―――』

 

「………。」

 

『必ず。今度も帰って来るんだよ』

 

「………任せろ。子供二人を見殺しにするほど落ちぶれてもいないからな―――!」

 

スネークの目の色が変わる。

爛々としたその目は、かつてオタコンが目にしていた色。

老年(オールド)に成ろうとも色あせなかった、それ以上に輝きを増させていた瞳。

かつて、彼が”ソリッド・スネーク”と呼ばれていたころの目だ。

 

人から再び蛇へと戻ったスネークは戦場の空気を感じ取ると気配を変える。

人から蛇。人間から戦士へと、再びその姿を現した。

 

『次の登り車線。そこからトラックが来るはずだ―――この作戦は絶対に失敗は許されない。

 

 

スネーク。イチカを助けてやってくれ!!』

 

「―――了解した………!」

 

ガバメントのロックを外す。

不思議とそこから臭う火薬の香りが彼の鼻を伝い懐かしさを感じさせていた。

もう二度と嗅ぐ事もない筈だった香りに身体と本能が歓喜している。

しかし、スネークはその快楽に溺れる事はない。

快楽を力に。彼はプラドのアクセルを強く踏みしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『イチカの体内に残っている血は恐らく七割を切った。そろそろ彼の身体に異常が着始める頃だ。そうなると彼の命すらも危うくなる』

 

相対するウサギたちと蛇。

蛇の眼光に怯えた黒ウサギは半歩身を引くが、それでも退こうとしない。

彼女の狂気が、その場に踏みとどまらせているのだ。

 

『頼む。トラックを無力化してイチカを救ってくれ―――!!』

 

それでも構わない。

蛇の前にたったのなら、戦う覚悟が出来ているという事だ。

後ろに座る少女も闘気を燃やし、興奮している。

待つ理由もない。

 

 

 

 

―――さぁ、任務開始(ミッションスタート)だ。

 

 

 

 

「ッ……………全車両迎撃ッ!!」

 

先制攻撃を始めたのはラウラ。

彼女が部下に命令し、プラドへの発砲を許可したのだ。

それに呼応し女兵士たちはSCAR-HやUSPをプラドへと向け、警告なしに引き金を引いた。

だが既に見切っていたスネークはハンドルを切り、一旦トラック群から距離をとる。

元々先制攻撃をさせると分かっていたので、距離を取るタイミングを計るだけだったのだ。

そして反撃の用意が出来ると、スネークは後ろの席でショットガンの弾をシェルに入れたマドカの為にプラドの天井を開放。彼女の上半身を敵前に曝け出させた。

 

「準備は出来てるな!」

 

「勿論だよ、ソリッド・スネークッ!!」

 

「―――その名を呼ばれたのは久しぶりだな」

 

ポンプアクションで弾を込めたマドカ。そして、トラックの居る右側の窓を開けたスネークは低く銃を構え、二人は間髪入れずに引き金を引く。

ショットガンが近距離で構えられ、助手席に座っていた女兵士の本能が反射的に反応し、叫ぶが―――

 

「ッ!?ショットガンだ、離れ―――!!」

 

刹那。鈍い被弾音がラウラの乗る一号車ではなく、プラドの近くに居た八号車に響きショットガンを向けられたと見た運転手は思わず半目を閉じてしまう。

ショットガンの散弾でガラスにヒビが入り、破片が飛んでくる―――ハズだったのだが破片が飛んでくる気配はなく、ましてや窓ガラス自体割れてなかったのだ。

 

「――――え?」

 

「ガラスにヒビが―――?」

 

器用にガラスに当てないようにしたのか?だが、相手はトラックだ。運転手かタイヤを破壊しない限り止る事はない。

そう。運転手か、タイヤ。どちらかを―――

 

 

「アレッ……車体が傾いてないか?」

 

「……言われてみれば―――」

 

 

 

 

次の瞬間。二発目のショットガンの攻撃が八号車のもう一つのタイヤへと被弾。黒々としていたタイヤは一瞬にして中身の銀色を曝け出され、タイムラグで破壊されたタイヤによりトラックはスピンしていった。

 

「――ッ!?八号車ッ!!」

 

「―――徹甲弾かッ!」

 

散弾銃(ショットガン)は散弾だけが武器ではない。徹甲弾やガス弾といった種類の弾丸も扱う事が可能だ。その中で使用した徹甲弾だが、ある理由からこれは一発ずつのリロード(再装填)が必要となっている。

 

「まず一台ッ!」

 

連続装填が可能な散弾をクイックローダーで装填。再度アクションを起こし次弾を装填し、反撃を続ける。

使用しているショットガンがM870であるのにも関わらず、それを軽々と使う様には見ていた者達も戦慄するしかなかった。

 

 

「くそっ…五号、二号車。奴を包囲しろ!」

 

だが、それでも相手は二人。

しかももう一人はハンドガン一丁を持った老人となれば恐れるに足らん。

 

「相手は老人と子供。ショットガンさえ注意すればこちらが有利だ!」

 

プラドの後方に陣取ったトラックの五号車は助手席からMk.17を見せるとバラ撒くように引き金を引く。

相手は老人と子供。徹甲弾にさえ注意すれば問題はない。

そんな慢心が、彼女達の予想を裏切り、自分たちの優劣を悪化させることになった。

 

「――右ッ!!」

 

「――ッ!!」

 

マドカの声に分かっていると言わんばかりに並んで走っていた二号車へと撃ちこむスネーク。トリガーを引くスピードは老人の見た目に反し速く、僅か数秒の間に三発の弾丸がトラックのタイヤへと放たれた。

しかも。それがほぼ同位置となれば、防弾仕様であってもタイヤは破裂するだろう。

 

「なっ……!?」

 

「っ……援護ッ!」

 

破裂したタイヤに慌て、直ぐ様二号車からMP7の牽制射撃が行われる。

今度タイヤを撃たれれば、二号車は確実に落ちる。

そんな焦りが彼女達の思考を鈍らせ、スネークにチャンスを与えた。

 

「………!」

 

残弾がなくなったマガジンを片手で排出し、直ぐにリロードする。

予備のマガジンは彼の窓側に集められ、マガジンの上から銃を被せるだけでリロードが出来るようになっていた。これにより、ハンドガンのリロードは手早く終わり、スネークは再度ハンドガンを突きつけた。

 

「な―――」

 

(速いッ……!)

 

容赦のない銃撃が再び二号車を襲い、残るタイヤも正確に撃ち抜かれた。

まさかこんなにも速くリロードされるとは、と今更な後悔と共に二号車はスピードを減速し破裂したタイヤの側から火花を散らし戦域から離脱した。

 

 

 

「に、二号車、離脱………」

 

「………。」

 

速くも二台目が脱落した事に戦慄するラウラたち。

しかしそれ以上に恐怖していたのは他でもない、隊長であるラウラだった。

彼女の表情はココに来て見たこともないほど恐怖と怯えが現れ、背筋はまるで自分が死人であるかのように凍り付いていた。

 

(なんだ……一体、何者なんだ…あの男は……!)

 

圧倒的戦闘能力。戦闘スキル。

その全ては彼女を有に上回っていた。そんな事は彼女でさえも分かる。

だが問題はそこではない。そんな能力を持つ彼が一体何者なのか、ラウラにはそれが分からなかった。

それも無理はないのだろう。

かつて世界を何度も救った英雄、そう呼ばれた男。

運命を弄ばれた戦士。

まさかその彼と対峙しているなど。その彼があんな老人となってしまったなどと彼女は知りもしなかった。

 

 

「あと二台ッ!」

 

「後ろを取られたままは痛いな。なんとかしてこの状態から脱するぞ」

 

前後を取られたままの状態では不利ということで今のポジションから離れることにしたスネークだが、二台のトラックに挟まれている今、彼らの行動範囲はかなり限られた物になっている。

加え、高速道路は基本殆どが一本道で一度別の道に入れば次のチャンスは永遠に来ないと考えていいこの状況。言い出したはいいが、どうするものかと思考をフル回転させていた。

 

(いくら車線が三本あるからと言っても、行こうとするのは簡単だ。だが、途中で阻まれる可能性もある。さて、どうするか……)

 

恐らくプラドが後ろに下がるのなら向こうもすんなりと通すだろう。目標が一号車であるのは状況からして分かっている筈。守りを固めることが出来るのには彼女達でも好都合な事だ。

スネークたちも、別に残り二台を倒す方法が無いわけではない。

しかしラウラたちの目的地が分からない今、時間がどれだけ残っているのかも分からず、無闇に相手を優勢にして慢心させるといった策は上策ではないとも考えられる。

いずれにしてもスネークたちは今の位置から動こうにも動けない状態だ。

 

「そろそろ向こうも本気になるはずだ。ロケット弾は」

 

「いつでも」

 

「よし……」

 

 

『隊長、このままでは我が隊は全滅です!どうかせめてISの投入だけでも……!』

 

「―――。」

 

「隊長……!」

 

ラウラも行動は慎重になっていた。

僅かな間にトラック二台がやられ、残るは自分たちを含める二台。

残り二台だけなら今の彼らの装備でも恐らく簡単に自分たちは倒せるはずだ。

なのに、向こうからの反撃は今は止んでいるのは何故だ。

 

(――相手はこちらの出方を窺っている。戦況的にはこちらが前後を抑えている今、優勢なのは変わりない。だからこちらの出方を窺ってから反撃に転じるはずだ。武器がショットガンとハンドガンだけなら早々と私たち(一号車)はもう……)

 

ココに来て落ち着きを取り戻したラウラはスネークたちの脅威を再認し、自分の行動に慎重になって命令することはできなかった。

仮にスネークたちの手持ちの武器がショットガンとハンドガンだけならもう次の攻撃が自分たちか五号車を襲っているはず。

なのにピタリと攻撃が止んだのは、恐らく向こうにはまだ攻撃手段が残っているという余裕があるからだ。

その余裕の物がなんなのか。薄々と予想が付いているラウラは「それではないか」という疑心暗鬼にかられていた。

 

 

 

 

『ッ………五号車、IS出しますッ!!』

 

「なっ!?」

 

「お、オイ待て五号車!まだ指示は―――」

 

『このままじゃ私達は全滅だ!!待ってられるかぁ!!』

 

苛立ちと不安に駆られた五号車が命令を無視し行動を始める。

突然のスピーカー越しからの怒号にラウラは返す言葉もなかった。

なんと哀れなのだろう。いや、何故命令を待てなかった。

言い返したくても言い返せないという自分に疑問を感じつつも、起こってしまった現実にラウラは言葉も失ってしまった。

 

「隊長、彼女達を止めて下さいッ!!」

 

「ッ――ご、五号車!!今すぐ止めろ!相手が何をするかまだ―――」

 

『ですが、攻撃が止んだ今畳み掛けるなら…!!』

 

「ッ……!!」

 

時既に遅し。

後方を映すモニターにはトラックのボディに這い上がるISが映し出されていた。

判断が遅れてしまったラウラは自分のことのように顔を青ざめさせ、起こるだろう現実で頭を満たしてしまう。

少し冷静になれば考えられることだ。なのに何故、彼女たちは功を焦ってしまうのだ、と。

 

その現実は早々と目の前に現れた。

 

 

 

 

 

「ッ!!ガトリングッ!?」

 

「―――ッ!!!」

 

マドカの声にハンドルを切り左右へとプラドを動かすスネーク。

刹那、彼らの走る地面を数千発もの弾丸が抉り取り、追い込むようにその弾道を変えてくその銃撃に並みの重火器ではないというのは分かったが、攻撃が止んだ瞬間、ミラー越しに見えた銃の姿にスネークは思わず声を出す。

 

「M134……!」

 

トラックの上に立つISが持つ重火器M134ガトリング銃は元々は配置型の火器。

ハンヴィーやヘリに搭載して使用するもので、普通は絶対に人が持って扱えるようなものではない。

だが相手はIS(兵器)。恐らく反動の殆どを機体が受け持っているのだろう。

そうでもなければスネークたちを襲った弾の雨の集弾性に理由はつけられない。

 

 

「ッ………やはりコイツでは………!」

 

 

「ロケットランチャーを使え!」

 

言われなくとも、と後部座席からマドカが答えシートの下から何か筒状のものを取り出す。

手持ちの火器の中では最も威力のあるM72。通称「LAW」と呼ばれるロケットランチャーを持ち出し、ランチャーの後部を引き射撃可能な状態にすると直ぐ様立ち上がり、トラックの上に陣取るIS目掛けて狙いを定めた。

 

「ッ……舐めるなぁ!!」

 

「舐める気はないよっと!!」

 

間髪入れずにLAWのトリガーを押し込む。

発射方法が特殊なLAWは刹那、前方から勢いよくロケット弾を吐き出すとその役目を終えてマドカによって投げ捨てられる。

発射されたロケット弾に背筋が凍った女兵士はM134で弾を撃ち落そうとするが、腕に持ったガトリングは重りとなってしまい素早く動かすことが出来なかった。

 

(―――ッ!!)

 

自分が持って居たのが重量物であることを忘れていた彼女は、背筋と汗が凍りついていくのを感じ自分の死を覚悟したが、死への恐怖は思った以上に弱々しく僅かだか余裕を感じられ、その余裕の間にもしかしてという予想が浮かび上がった。

 

 

 

そして次の瞬間。彼女へとロケット弾が直撃しトラックの上で爆発を起こす。

投げ捨てられたロケット弾の音を聞き、殆どの者が彼女がやられたと思い、焦りの色を濃くする。

ISに対抗する術。それぐらい持っていても当然だろうと無意識の内に納得し、ISが撃破されたと思った上で次の抵抗手段を考える、が。

 

「ッ!五号車直上、味方反応健在ッ!!」

 

「ッ―――!」

 

 

「くっ……!」

 

トラックの上に舞い上がっていた爆煙が向かい風によって吹き飛ばされていくと、そこには所々が黒コゲとなったISとその搭乗者の健在な姿が現れる。

更に、トラック上の識別反応は消えておらず、彼女がロケット弾の攻撃を受けたが健在であるというのはどちらから見ても明らかだった。

 

「ッ………ハッ!!よかっ―――」

 

弱々しく感じた死への恐怖。

その感覚にもしかしてと感じていた彼女の予想は当たり、ロケット弾の直撃を受けはしたが搭乗者には殆どダメージなく、健在そのものの姿がトラックの上にはあった。

 

 

が。

 

 

「――――た?」

 

目の前で何かを構えている彼女(マドカ)は一体なんだ。

手に持っているアレはなんだ。

眼前に構えるその姿に、安堵した自身の思考は再度停止してしまう。

 

現在マドカが構えている物。

現代でも広く扱われている強力な武器。

 

武器を軽く知っている者でもその姿を見るだけで分かるそのランチャーの名は―――

 

 

 

「…………R……P…………G?」

 

「じゃあな」

 

次の瞬間。マドカは容赦なく構えたRPG-7の引き金を引き、今度は彼女に向かい引導を渡したのだった。

 

「なっ―――!?」

 

「RPG-7!?」

 

 

「お前……よくそんなのを持ってきていたな」

 

「一発だけなんだけどね。多分アレ(LAW)だけじゃ無理だって思って」

 

「………。」

 

投げ捨てるマドカは軽々と答え、彼女の異常さにスネークは肩に重しが乗ったかのようなストレスを感じた。言い分としては尤もだが、だからと言っても前もっては言ってもらいたい。スネーク自身、RPG-7の発射音が耳に残り未だに鼓膜を振動させていたのだ。

 

「歳は取りたくないなぁ……」

 

『悠長なこと言っている場合じゃないよ、スネーク!』

 

「……!」

 

『前方に料金所。それと地元警察の機動隊だ!』

 

 

オタコンの声に再度目を向けたスネーク。

彼の目の前には普段車両が高速道路を使用するときにその料金を支払う料金所と、そこに所狭しと配置されている警察、機動部隊が映り、双眼鏡などで詳しく見なくても彼らが自分たちに向けて銃を構えているというのは直ぐに分かる。

 

「装備は」

 

『MP5とPSG-1。それとライフルにXM8』

 

「XM8?彼らは89式小銃じゃないのか」

 

『向こうが情報を操作したんだろうね。流石にロケット弾は無いけど』

 

瞬時にオタコンが装備を答え、スネークはそれを元に手段を講じる。

恐らく今相棒(オタコン)の言った中で自分たちが最も注意すべきなのはPSG-1とXM8。

しかも射程距離から考えて特に狙撃銃のPSG-1は注意しなければならない。

 

『どうするんだい?』

 

「訳を話している暇も無い。彼女達の背中を借りる」

 

 

 

 

 

 

双眼鏡と端末の情報を元に向かってくる三台を確認する。

料金所に陣取る機動部隊は防弾仕様の盾を前面に、隙間から銃を構え向かってくるトラックとプラドを待ち構えている。

他にも係員が使用する通路、場所にも狙撃銃を構える隊員も大勢いており、今か今かと向かってくるトラックたちを待ち構えていた。

 

「………あの、隊長」

 

「なんだ。私語は慎め」

 

「報告にあった一般車両が居る話……本当なんでしょうか?」

 

「………。」

 

しかし報告ではトラック数台と聞いていたが、突然一般車両が紛れ込んだと聞き動揺はした。それは誰であれ当然の反応だった。

しかしトラックと共に来ているという事は少なくともトラックたちとは無関係ではない。

恐らくテロリストとして敵対しているか。あるいは。

そんな理由しか思い出せない上司に悪態を吐き、彼は自身の予想を胸に来るであろう車両を待っていた。

 

 

「隊長、目標の車両が来ますッ!!」

 

「よし。総員構え!敵を無力化せよ!!」

 

銃を構えて並ぶ機動部隊の隊長が無線機と声を通じ全隊員へと発砲許可を出す。

それぞれ銃を持った隊員たちがロックを外し狙いを向かってくるだろう車へと向け、向かってくる車たちを待ち構える。

殆どの隊員が銃自体を持つのが初めてで、ロックを外すだけで慌てていたり戸惑っていたりするものも多く居る。中には銃を持っただけで興奮する者も居ており、ほぼ垂直にならぶ彼らの間には異様とも言える空気が流れていた。

興奮に身を任せ、その感情が伝染するのではないか。

そんな恐れに恐怖しつつ、光を発しながらエンジン音の響く音を耳にした。

 

「目標、来ますッ!!」

 

「全員、任意で発砲ッ!ここで食い止め―――」

 

 

 

 

 

「邪魔だぁ!!!!」

 

彼らが引き金を引く直前。いや引く前に、既にトラックの上に立っていたラウラがレールカノンを発射。彼らが敷いた防衛線はアッサリと崩壊したのだ。

 

「ッ、た、隊長!?」

 

「くっ…いいから撃て!!足を止めるんだッ!!」

 

崩壊してしまった防衛線、そして統制に戸惑っていた隊員たちはバラバラに発砲するが、集弾性が悪く狙撃銃も当たるのはトラックのボディの部分や端だけだった。

 

「あ……当たらないっ!?」

 

その当たらない弾幕の中、トラックとプラドは一列に並び料金所を突破。

スネークたちも便乗し、警察側は一方的にやられたままで防衛線をアッサリと抜かされてしまった。

 

「た、対象が突破ッ!!!」

 

「隊長、指示を!!」

 

「指示ったって……防衛線での守備が俺たちの役割だからな……」

 

「――そんな……」

 

 

無力にも止めることも、それ以前に相手にすることも出来なかった彼らは、自分たちの無力さに痛感し、突破したトラックとプラドの後姿を見ることと

 

 

『料金は、五百円、です』

 

 

何処かからか聞こえた精算の音声を聞くことしかできず呆然と立っていた。

 

 

―――しかし。彼らが過ぎ去った直後。また一台の車が迫ってくると遅れて知り、彼らは再び顔を振り向かせた。

 

「ッ!?もう一台、車が来ます!!」

 

「なに……!?」

 

「なんだアレ………ハンヴィー?」

 

今度は軍用車両かと汗を滲ませ再び防衛線を敷こうとするが、様子がおかしい、と隊員の一人が声をあげ、冷静になった隊長は「待て」と指示を出す。

待機を命じられた隊員たちは何故だと思っていたが、理由が向かってくるハンヴィーの速度が段々と落ちて自分たちの前で止まろうとしていると知り、再び動揺が広がる。

 

「そこのハンヴィー止まれ!」

 

「――止まれって」

 

「わかった。けど私達も急いでいるの。今通っていったトラックと車に用があってね」

 

トラックに停止を呼びかけると、どうやら日本語(・・・)が苦手なのか運転席に座る男が後ろに座る仲間に英訳で答えると後部座席から一人、乗っていた人物が英語で降りてくる。

 

「ッ……英語?」

 

「ええ。私達は―――」

 

直後。ハンヴィーを通すと、彼らは撤収の準備を始める。

これを見た直後に、上層部クラスは何を知っているのかと怒号を上げたが、理由を指揮していた隊長が答えると誰もその後、口を開く事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポンプアクションで薬莢を排出させ、次弾を装填。

天井から顔を出し、反撃しようとするが……

 

「うわっ!?」

 

スネークが荒っぽくハンドルを切り、車体は大きく揺れる。支えの無いマドカは揺れに身を任せてしまい車内へと振り落とされ、額に持って居たM870の側面をぶつける。

 

「ッ――――!」

 

「大丈夫か?」

 

「生きてる……」

 

「………。」

 

まだ軽口を叩く余裕はあると分かると、スネークは汗をしたたらせ正面に目を向ける。

前面からは鉄の弾丸の雨が降り注ぎ、プラドのガラスを強く打ち叩く。特注の防弾ガラス仕様と防弾装甲。防弾タイヤという防弾特化のプラドには拳銃や9mm程度の弾丸は傷にもならない。

だがその弾幕の中に12ケージのショットガンの弾が紛れ込み、前面の窓ガラスは少しずつではあるがヒビが入り始めていた。

 

「CAW……話に聞いていたが、本当だったとはな」

 

『オマケにMP7と5の弾幕。さっきSCAR-Hが見えたから多分それも入ってくるとなると……』

 

「そろそろ時間も無いか…」

 

『ああ。あれから十分は過ぎてる。そろそろ限界点も近い』

 

だがどうする。

相棒にではなく自分自身に問うスネークは、弾幕を避ける中で僅かに残った余裕で打破する策を考えるが、避けることに意識が傾いてしまい考えることもままならない。

なにより、彼の目の前には考えることすらも諦めさせる状況が広がっている。

二台のトラックからの銃撃の雨。しかもその中にはISが一機あり、装備にレールカノンなどを持つ。

そして、スネークの考えではもうそろそろ最初に行ったSCAR-H(Mk.17)の攻撃も再開されるはず。

考える時間も、余裕も、更には策も。スネークたちにはなかった。

八方塞とはこの事か、と汗で湿った頬を釣り上げ最後の余裕を見せる彼は、考えられる最後の策に全てを賭ける。

 

「………やるしかないな」

 

『―――スネーク?』

 

「オタコン。そっちからの遠隔でコイツ(プラド)を安定させてくれ。なんとかあいつ等の懐まで入れば―――」

 

『……スネーク……君、まさか!!』

 

「………。」

 

『無茶だ!!君の身体はもうCQCが出来るような状態じゃない!!それに、今出て行けば確実に蜂の巣だ!!』

 

そんなことは分かっている。

僅かに怒気の混じった声でスネークが答え、その威圧にオタコンは気圧されて言葉を失う。

この男は本気で行くつもりだ。そんな雰囲気とも、感じとも、意志とも取れる感覚が画面越しで運転する男から感じられる。

再度、オタコンは心の中で問う。

 

―――本気なんだね、と。

 

スネークは答えなかった。顔を動かさず、目も向けず、声も上げず。

ただ無言と無表情である彼のその姿勢が彼の答えだと相棒は理解した。

 

「チャンスは一度。コイツの防御力ならまだ耐えられる!!」

 

『スネークッ!!』

 

「オタコンッ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

任せたぞ」

 

 

 

 

 

 

「ッ――まさか―――!!」

 

(スネーク)が来る。蛇のような爛々と輝く目が自分に向けられたと感じ取ったラウラは背筋を凍らせ手に持つ銃を強く握り締める。

激しい弾幕の中を単身でこちらに乗り込んでくるつもりだ。

正気とも思えないあり得ないといえる考えを、無理矢理にでも納得したラウラはレールカノンを稼動させ狙いをプラドへと向ける。

 

『ッ、隊長!?』

 

「合図でライフル持ちを撃たせろ!奴はこっちに乗り込んでくる!!」

 

『なっ―――!?』

 

隊長であるラウラの言葉に本当なのかと疑ったが、銃撃の為に開けていたプラドの窓が閉ざされていき、現実味を帯びてきた言葉に隊員が復唱した。

 

「―――!!ライフル持ち、隊長の合図で車両と男を撃て!乗り込んでくる気だ!」

 

「り、了解ッ!!」

 

SCAR-Hのロックを外し、いつでも撃てるようにと銃を構えると少しずつ距離を詰めてくるプラドを確認し、本気で乗り込んでくる気だと一号車に乗る者全員に知れわたる。

当然、それは同乗していたクラリッサにも聞こえ思わず今行っていたことから手と目を離し、あらぬ方に顔を上げた。

 

「乗り込む…!?まさか……!」

 

クラリッサは血に塗れた手をそのままに、膝に力をいれて立ち上がる。

そして聞こえてきた噂が本当なのかと、確かめるためにキャブへと向かった。

その時だ。

彼女の耳に突如、一発の銃声音が響き渡る。木霊した音はざわめいていた彼女達を黙らせ、僅かな沈黙を作り上げたが、直ぐにクラリッサが口を開き、音の原因を見ることのできない彼女はキャブに座る部下に何が起こったのかと尋ねた。

 

「ッ………誰が撃った!?」

 

「いえ、私達では―――」

 

『ッ!!こちら五号車!後方から一台、ハンヴィーが迫ってきますッ!!』

 

「ハンヴィー!?米軍―――いや、だとしても一台…!?」

 

 

 

 

 

 

一台のハンヴィー。

それは外で銃撃を繰り広げていたラウラは勿論。スネークたちでさえも言葉を失うほどの事だった。

ハンヴィーがたった一台で堂々と向かってきたからではない。ハンヴィーが重装甲だったからでもない。スネークと同様。乗っている人物に彼らは目を奪われたからだ。

ラウラは銃。スネークはそれを撃った人物。

ぞれぞれがそれぞれの物を見て驚き、動じた。

 

ラウラは片手でそれ(・・)を撃ったのかと。

スネークはどうしてココにと。

 

一丁の黒い銃。

それを構えていた彼女(・・)は銃を下げると、代わりに拡声器を取り出す。

そして一秒ほど息を吸うと、腹に力を入れて声を張り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

『全員、そこまでよ!!』

 

 

 

 

「ばっ……」

 

 

「め―――」

 

 

 

 

女はハンヴィーの天井に片足を置き、もう片足を運転する()の上に置く。

夫は痛い痛いと声を上げるが、彼女は気にもせず上機嫌な顔でいるのは、何時ものことなのだろう。

彼女達が来た瞬間。一瞬だが、意識を失った少年の口元が笑みを見せた。

他の者達が呆気に取られているのを知り、そこに誰が居るのかを知っているかのように。

 

 

「デザートイーグルだぞ……………それを、女が、片手で……!?」

 

 

「――残念」

 

 

コレ(デザートイーグル)とはブラをつけるよりも付き合いが長いのよ。

 

 

そういって彼女は再び物言わぬ鉄の相棒を握り締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――メリル……!?」

 

 

 

 

「待たせたわね、スネーク?」

 

 

 

 

 

――さぁ、反撃開始よ。

 

そう言ってメリルは再び相棒を眼前の敵へと突きつけるのだった。





オマケ。

本日のNGシーン

・ラウラたちとスネークたちの車両が料金所を通過するシーン


その当たらない弾幕の中、トラックとプラドは一列に並び料金所を突破。
スネークたちも便乗し、警察側は一方的にやられたままで防衛線をアッサリと抜かされてしまう………が?




(ブブー!!)


「ッ!?どうした!!」

「あ、どうやらお金払って無いからダメみたいです」

「はぁ!?」

「うぁちゃー……ETCつけるの忘れてた……」

「そこだけ予算ケチったからなぁ……」

「い、いや敵が……」

「あ。あの爺さんたちならホラ」

「―――?」


「駄目ですよ、お爺さん。ちゃんと高齢者用のマーク張っておかないと」

「すまんな。なんせアメリカじゃつけないからな(多分ホント?)」


「・・・・・・。」

「あ、隊長。小銭持ってます?」


その後。彼女達はそこで足止めされ、逮捕されたという……


「いや、俺は………?」←出血多量の死にかけ
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