IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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以前のが「分かりにくい」というご指摘をいただいたので一度前のを削除し、再度始めから書き直しました。
おかげでかなり時間が掛かってすみません…
ですがそれなりに分かるようにした…つもりです。

っていうか大変ですよ。これの前のを出した時は出る前だったのに遂に出ちゃいましたよ。

え。何が?決まってるじゃないですか。




MGSVですよ…orz


では。こんな駄目な事はご愛嬌。
それでも良いと言う方は
第四十一話・改め番、お楽しみ下さい。



No.41 「幕引き」

 

 

向けられた鉄の銃口。それは向けられた者達に与えられた現実だった。

冷たく、且つ冷徹な銃口は寸分の狂いなくそれぞれの心臓、頭部に向けられ、中には赤いレーザーライトも突きつけられていた。

 

 

「次から次に……!」

 

「スネーク待って!向こうは国軍よ…!」

 

「ああ。だが何故ドイツの部隊が日本に―――」

 

 

 

 

 

「が………ああ…………!」

 

 

 

「初弾命中。目標の左肩を貫通しました」

 

「よろしい。次弾装填。今度は足に狙いをつけろ」

 

「了解」

 

「―――さて」

 

 

溢れ出る鮮血に混乱した頭を必死に回転させるラウラは、纏った機体と共に地面に膝をつけ鮮血を手で押さえ込んでいた。

しかしそれでも尚、鮮血は脈動と共に溢れ出ており月明かりに染まった赤黒い血は地面へと滴り落ちていく。

その姿を見て満足した男は、マイクを取ると外部に聞こえるようにと命令して口を開いた。

 

『ご苦労、少佐。随分と派手に暴れたようだな。お陰で本国は大騒ぎだ』

 

「ッ―――貴様ッ、まさか―――」

 

『ふふふっ……』

 

 

「ハンス……ハンス・ヴィーパー中佐ッ……!」

 

 

「ハンス……!?」

 

「メリル、知ってるのか」

 

「ええ。スネークの除隊後に頭角を見せた元米軍少佐よ。けど、戦争経済に突入したときにはドイツに亡命した」

 

――つまりは元同属か、と呟く。

頭角を現したのがスネークの除隊後という事は、それ以前から彼が居たのかもしれないという事だ。しかし現在、そんな事はどうでもいい。

何故、その彼がこんな所に居るのか。問題はそこだ。

 

「―――で。その元少佐が、どうしてココに……」

 

「分からない……けど、彼が私達に銃を向けていると言う事は」

 

『少なくとも僕らとは敵対している、って事かな』

 

 

 

『少佐。君には本国軍部(・・)から捕縛命令が下されている。その為に、私が態々出張ったという事だ』

 

「――軍が?」

 

『そうだ。国家及び、軍が保有していた新型の強奪。それを使用したテロと、それに伴う自身の部隊の私的利用。

そして……ブリュンヒルデの拉致と、その弟の殺害未遂。軍法会議ものには十分だ』

 

「ッ………!」

 

『フフフ……私がなぜココまで知っているかという顔だな。まぁ、君の考えが実に読みやすいという事もあるが、な』

 

 

―――そんなのは絶対に嘘だ。

身体を伝い、滴り落ちる鮮血を抑えながら考えるラウラは、目の前で愉悦の笑みを浮かべてるだろう男に睨みをつけた。

そんな予言者のようなことを彼は一度も行ったことは無い。目の前の事に焦り、考え、自身の保身と身の安全、そして地位を優先する。

典型的保身優先人物。それがハンスの性格だ。

現に彼は防弾の塊である車両内に引き篭もり、スピーカー越しに今にも笑いそうな声で自分たちを見ている。

過去にも似たような例を覚えているラウラにとって、彼の言葉には納得の文字が浮かばなかった。

 

 

(だが………何故ハンスがココにいる。軍に気づかれるのは承知の上だったが、それにしても……妙だ……)

 

保身主義である彼がどうして態々危険を冒してまでココに来る?

彼女の知るハンスという男は其処まで危険を冒すほどの勇敢さなど微塵も持ち合わせていない。持ち合わせているのは精々小ざかしい悪知恵と罵声しか出ない口だけ。

なのにその彼が何故、いくら防弾という保険があるとはいえ危険とも言える場所に出てきたのだろうか。

そんな事を脳裏で考える余裕も無く、ハンスは人の気を逆撫でするような物言いでラウラへと挑発する。

 

『本当は分かっているのだろ?その小さな頭でも、自分が行っている事が罪である事を。

こんな事をしても、もしかしたら彼女(千冬)はついて来ないのかもしれない、と』

 

「ッ………」

 

『単なる子供の悪あがきだよ、少佐。そんな事をしても未来はないのは明らかだ』

 

「貴様に……言われたくない……ッ!」

 

『………。』

 

「自身の保身と出世を第一に考え――――ノコノコとドイツに亡命してきた貴様などに……!!」

 

怒りのままに銃口を向けるラウラ。

センサーのサーモ機能でハンスらしき人物がいる場所が分かっているので、其処に狂い無く銃口を向けたのだが、直ぐに引き金は引こうとはしなかった。

ソレを見てハンスは小さく微笑み、彼女へと返す。

 

『それはそれ。今は今だ。現状とは何も関係はないだろ?あ?』

 

「―――。」

 

『そこも子供なんだよ、少佐。関係のない話を切り出して自身の立場を安定させる』

 

「……その、言葉………そのまま返す……!」

 

『フッ………ラウラ・ボーデヴィッヒ。そろそろ本題と行こうではないか。

君には以下の罪状が科せられている。

殺人・拉致未遂。

部隊の私的利用。

武器・兵器の密買収。そして―――

本国及び他国の軍事・研究施設の破壊等々……

以下の罪状を元に、貴様を国家反逆罪として逮捕。我々が強制送還する』

 

「くっ………!」

 

 

「さっきから言いたい事だけ言っておけば……!」

 

「あ、メリル!?」

 

痺れを切らしたメリルは、拡声器を持つと青筋を立てた顔で怒号を散らす。

どうやら自分をのけ者にしたことよりも、一方的な彼の行動と言動に耐えられなかったようだ。

 

「待ちなさい、ハンス中佐ッ!!!」

 

『………!』

 

「こちらは国連所属の者です。話は軍から通達されているはずです」

 

(……ああ、あの邪魔者達か)

 

 

 

「………。」

 

「―――変だ」

 

「ああ…」

 

違和感を拭えない二人は運転を気にしつつ側面に居るドイツ軍の行動に目を光らせる。

なにか可笑しい。そう思ったスネークとマドカは、無意識に互いに考えている事を口にする。

 

「ドイツ軍がどうしてココにいるか…というよりもどうしてああも平然としているのか」

 

「軍があいつ等(メリルたち)よりも先に来ていて優先権がこちらにあると思っているから…でもない。それに…」

 

「あの言動ならメリルたちに口封じするという事も辞さないはずだ。なのに、何故手を打たないか…解せないな」

 

「組織的後ろ盾とか?」

 

「国家は分かるが相手は国連だ。いくら国連に属している国家たせからと言っても……ッ」

 

「……まさか」

 

「―――オタコンッ」

 

最悪の事態かもしれない。二人の脳裏を過ぎったのは保身的な彼が行いそうな事。それもある程度の材料(・・)があればメリル相手に銃を構えるだけで意味があるという結末。その証拠だけでも知りたい。スネークは直ぐに耳元に手を当てると相棒である彼に連絡する。

 

 

 

『……ええ。ご通達は聞いていますよ。なんでも、私の後(・・・)に貴方達が別命で来たとか…』

 

「え……!?」

 

彼女でも分かる。ハンスが今どんな表情で自分の顔を見ているのか。愉悦に満ちた顔で、勝利を始めから悟った顔で見ているという事を。

しかしメリルにはその理由が分からなかった。彼が愉悦たるその理由。彼が優勢であると思うわけ。その部分が。

 

『……どうやら事情を知らない国連の方が私達の作戦とは別命で貴方方に命令したようですな』

 

「そんな……命令は私達だけの極秘のはず……」

 

混乱するメリルにますます自身が優位に立っていると確信するハンス。どうやら疑うという事をあまり行わない上司らしいと確信を得た彼は、残っていた切り札のカードを切る。

 

『……なるほど。では、貴方達に国連並びに私が(・・)所属する委員会からの通達を命じます。

 

 

 

 

 

私達は日独両国からの命令でそこの罪人確保及びIS奪還の任を受けました。

これは最優先事項であり、両国から他の国連所属の者が来ても優先権はこちらにあると言われています。つまり。

後に来ようが先に来ようが……全てにおいて優先権は私達にある』

 

「ッ…?!」

 

 

 

「大佐ッ!」

 

『スネークッ、こちらの任務に妨害を喰らった!どうやら国連と日独両国が裏で手を引いたようだ』

 

「やり方は何。賄賂?」

 

『いや。どうやら機体の技術の一部を提供及び、保有ISの少なく、且つIS関連の技術が低い国家からのコアの没収。そして、そのコアのドイツ及び日本への譲渡。一部関係者は内通者によって言い包められたようだ』

 

「それだけで優先権を奪い取るとは…あの機体、何があるんだ」

 

『聞いた話では、(一夏)が破壊する以前国際規定に違反した兵器を搭載しようとした。しかし―――』

 

『それを僕らが序でとばかりに破壊したから、その余剰に別の既存技術で作られた兵装を搭載せざるえなくなった』

 

「オタコン」

 

通信越しに淡々と告げた相棒の言葉に、スネークは耳を傾ける。

どうやら頼んだ調べは終わったようだ。

 

『調べ終わったよ。あのハンスって奴、形式だけなんだけど国連に所属してる。それも裏口でね。更にやっかいなのがアイツのポジションだ』

 

「大方ISや兵器関係だろ」

 

『正解。彼は亡命時、当時の米国が有していた機密情報を持ち出してドイツに渡したって事があったんだ。当然、事が公になることを恐れた彼らは国連を介して取り引きしたけど』

 

スネークも大方そんな辺りなんだろうとは思っていた。

ハンスの言動、態度。それが全て成立するには少なくとも軍かISなどの兵器開発などに関係する立場でないと出来ないはず。

特にハンスの性格を反映すれば保身的である彼が戦士のように勇敢な事をするとは考えられない。裏方でキッチリと身を固める用意をしてから出るはずだ。

 

「今やISは時代の象徴。それを管理するといえば鼻も高くなるはずだ」

 

『しかも彼は米国時代から秘密裏に保身の為にパイプを持って居たらしい。ポジションも今回の優先権の移り変わりも、多分そこで行ったんだろう』

 

 

 

つまり話を纏めると。

メリルたちがラウラを捕まえることが出来ず、それがハンスたちドイツ軍に移譲されたのはこの状況を快く思っていない国連の関係者並びにに日独両国の上層部によるもの。

目的は今回の事件とそれ以前に起こしたのだろう破壊行為からなる処罰による拘束。

そして、それが他ならぬ自国であるドイツの代表候補生が起こしたという事実の隠蔽。

その為には公に出させないため事態を把握している日独と一部の者達だけで処理するべきだと考えた彼らは、事態を対処する為に同じく国連に席を置くハンス以下ドイツ軍を投入。それに先んじて到着していたメリルたちに対し情報改ざんを行って無理矢理にでも自分たちがラウラを確保しようという言い訳を作ったのだ。

 

「つまり。自国の恥を見せたくないために、身内だけで処理しようっていうのがドイツの目的か」

 

『だろうね。それにキャンベルのほうを押さえたのも恐らくは「自分たちに優先権がある」って錯覚を作らせるためなんじゃないかな?』

 

「錯覚?」

 

『ああ。彼の言っている事は聞けばある意味正論だけど見かたを少しずらせば矛盾している。メリルだって国連の一員。正式に所属を認められている。加えて軍事的機能がない国連では優先権なんてありはしない。

彼の言っている事はあくまでフェイク。

狙いはメリルたちを疑心暗鬼に陥らせて、その隙をついて彼女を捉える算段なんだろう』

 

オタコンの言葉に納得したスネークは狙いがラウラである事を再認するとハンスの言葉が嘘であるという確信を教えるためにメリルたちの車両へと近づこうとする。

この事を伝えればメリルは優先権というのが嘘だと絶対に信じてくれる。そうすればまだ、混乱したこの状況を打破する方法も出てくるはずだ。

再度ハンヴィーの側の窓を開き、風が吹く高速の上で彼女の名を呼びかけようとした時。

 

 

「ッ!!」

 

「なっ!?」

 

ほぼ同時のタイミングでスネークとジョニーがブレーキを一杯に踏み急ブレーキをかける。

速度はまだ残っているので急ぎアクセルを踏みなおす二人。

しかし突然のブレーキに驚いた乗員たちはそれぞれの席に叩き付けられたりしており、特にメリルは上半身だけを外に出していたので一歩間違えればハンヴィーの上から転げ落ちそうになった。

 

「ジョニー?!」

 

「みんな無事!?」

 

「おかげさまで頭を打っただけだ」

 

 

「マドカッ!」

 

「席がやわらかくてよかった…」

 

どうやら全員無事のようだ。それぞれ皮肉を交えた言葉で答え、マドカはひっくり返った自身を立て直すと磨り減ったように感じた頭を撫でていた。

しかし何故二人は突然ブレーキを踏んだのか。

それは彼らと同じ車線を走る車両にあった。

 

「一体なにが…」

 

「……沈黙をやぶった」

 

「………。」

 

同じ車線を走るラウラの部隊のトラックからの銃撃に反射的に反応した二人は咄嗟の勘に従いブレーキを踏みしめたのだ。

タイミングはほぼ勘頼みで自意識に従い踏みしめただけという話せば危険な事だったといわれそうな理由だが、今回は功を奏し被弾は免れたらしい。

 

そして。それとほぼ同タイミングでスネークたちが下がったのを好機とみたラウラは滴り落ちる血を気にする事もせず黒い巨体を持ち上げる。

 

 

「まだ立ち上がる体力があったか」

 

「いかがしますか?」

 

「ふむ。体力の消耗を待とうにも、奴等が居てはな…説明が暴かれるのも時間の問題だ」

 

「では…」

 

「ワイヤーアンカーの用意をしろ。あの女とガキ(・・)を捕縛する」

 

 

見ていられない。焦る気持ちがメリルの中に募り始め、彼女の思考を散漫にする。

しかしそれ以上に。人としての最低限の物を持っていない相手に対し、彼女は怒りに満ちていたのだ。

 

「メリルッ!!」

 

「後にして!!」

 

「隊長、頭に血が昇ってやがる…!」

 

「ならお前たちから頼む!あいつの言っていた事は嘘―――」

 

 

 

「がっ…!!」

 

しかしその時。反対車線からラウラへと向けて四本のアンカーが発射され、まるで化け物を高速するかのように冷たい鉄の手が彼女の四肢を拘束する。

力の弱った彼女に対し、無情のアンカーは強く腕や足の肉を締め付ける。

 

「が…あああ……!!」

 

「あ―――!」

 

 

「アンカー固着。対象の抵抗レベル低下を確認しました」

 

「よし。向こうに連絡しろ。強制的に彼女のISを解除させこちらに引き渡せ、とな」

 

「はっ!」

 

 

四肢を縛られ、無力にも抵抗するラウラとそれをどうする事もできずに見つめるメリル。

まるで肉食獣の捕獲現場だ。と思うオタコンは彼女に聞こえるかどうかまでは分からないが、それを信じ声を荒げた。

急いでワイヤーを切るんだ。奴等に盗られたら終わりだ。

 

見なくても分かる。予想しようとしてもしてしまう。

彼女が向こうに捕まえられた場合の結末。

それは最低限の。人としての最期は絶対に迎えられないという事だけだが、彼はそれを予想してしまう。

人としてではなく、兵器として生まれた者達。その最期。

それは人としての最期とはとてもではないが言い難い結末だ。

 

冬の大地では狐の戦士が

 

荒廃した都市では蛇の男が

 

そして、外側の避難所ではもう一人の蛇が

 

どれも、彼らとしては満足なのだろう。それでも、見る側としては本当にそうとは考えられないような最期だ。

そうやって人によって、人としてではなく兵器として生まれてしまった。そういわれただけで、彼だけではない、彼の相棒もその結末を最初に思ってしまう。

 

 

 

「―――なら。どうしたいの」

 

『………。』

 

「アイツを救ったら……どうなるの?」

 

 

 

思えば偽善行為なのだろう。ただ救いたい少年がいただけなのに、困っている少女が居た。助けよう。と言って彼らは其処に居るのだ。別に(一夏)だけを救いたいのなら、最初から別の方法でやればいい。ドイツ軍と結託するもよし。メリルたちに彼女達をひきつけさせて何か別の方法で彼だけを助けるもよしだ。

 

なのに、彼らはいつの間にか彼女(ラウラ)までも助けたいと言い出す。彼女までも助けようと思ってしまった。

そんなのは無謀にも近いし、彼女も助けてとは乞いてない。

なのに、どうして自分たちはそう思ってしまったのだろう。

 

 

 

 

 

「―――人として、生きる」

 

 

 

 

 

その問いは唯一言。相棒が答えた。

何の迷いも

何の戸惑いも

何の疑問もなくスネークは答えた。

 

そう言われたからではない。そうなれるから。

兵器(スネーク)(デイビット)に成れる。それは他ならぬ彼が知っている。

 

 

「お前がこうしているように。俺がこうしているようにな」

 

「………。」

 

 

 

「ハッ…所詮兵器になりそこなった娘だ。使い道はもうない!そうだろ?あ?」

 

スネークの言葉に反論するかのように言うハンスは、先ほどの丁寧な口調はどこかに行き、彼の本来の姿。本心である顔と共に無力にも捕まったラウラへと告げる。

人としての人権も道徳もない。目の前にあるのは人の皮を被った兵器なのだと。それが当たり前と思い、舌なめずりをする。

 

「ぐ……ああ……ああ………!!」

 

「無駄だ。それは対IS・無人機・サイボーグ(・・・・・)を想定した特殊素材だ。化け物でもない限りは絶対に壊せはしない」

 

「が………ッ!」

 

 

しかしそれでもラウラの抵抗は止まらない。

こんな所で潰えてたまるかという思いが彼女の身体に無理矢理力を入れさせ、四肢を地面へと食い込ませる。

そして、自分を縛るアンカーを切るため、尾のマニピュレータに付けられたチェーンソーを起動させワイヤーへと近づける。

ISや無人機に対応できるとしても長時間高周波を受けるのは果たしてそれと同義か。

最早声にもならない叫びを上げ、彼女はチェーンソーをワイヤーへと振り落とす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が。

刹那、彼女の目の前でアラートが鳴り響き、振り落とされたチェーンソーはピタリと動きを止めてしまう。

 

「ッ………!?」

 

 

「よし。次にチェーンソーの停止。そして機体の解除だ」

 

『………。』

 

 

「なっ……?!」

 

「不思議か?自分の機体が勝手に停止された事に。そうだろう。

何せ、お前は今まで自分しか機体のシステムへの権限がないと思っていたのだからな」

 

「―――。」

 

『これは条約として全ての国家代表の機体。そして企業などのISにも搭載されているシステムだ。

万が一。敵対組織などにISが強奪された場合。システムへの強制的なハッキングが行われた時などに発動するシステム。普通に考えればあり得ることだ』

 

「………。」

 

『では。お前以外に機体を強制的に停止させる事ができる権限を持つ人間は誰か?

少し考えれば分かるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――答えというのは常に自身の近くにあるのだからな』

 

「――――まさ、か―――」

 

 

彼女はココに来てようやく確信する。

自分が今までやってきたことのツケがこの瞬間。全て伸し掛かったのだと。

考えればあり得ることを。何故自分は論外だと考えたのだろうと。

後悔であり悟りでもあるその真実に、ラウラは恐る恐る口を開く。

 

 

「………クラ…リッ…サ……?」

 

 

『………。』

 

 

「……そん―――」

 

 

『貴方にも、私にも罪はある。それを償うときが…今なんです』

 

 

 

 

 

 

刹那。支えを失った少女は、まるで紙のように地面から足を浮かせ地獄へと償いの場所へと引き込まれていく。

何の言葉をいう事も出来ず。何の感情も露わにすることを許されず。

少女はただ、自分の罪を知り、堕ちて行った。

 

「ッ……!!」

 

「があっ……」

 

 

「対象の確保を確認」

 

「よし。両方とも回収したのち、この場から離脱する」

 

 

 

「マズッ……!」

 

「奴等のタイヤを狙え!まだチャンスはある!!」

 

「アキバ!もう少しだけ寄れる?」

 

「寄ろうとする前に、前の連中をどうにかしないと……!」

 

 

囚われたラウラに自然と焦りが消えたメリルは、どちらが彼女を獲るかという状態に持ち込まれた事に直ぐ様頭を切り替え運転するジョニーへと訊くが、息を吹き返したかのように攻撃を再開した彼女(ラウラ)の部隊の弾幕に安定した体勢がとれず、更には加勢するかのように牽制するドイツ軍の銃撃についには反撃すらもしづらい状態へと押し込まれてしまう。

 

「ッ……自分たちの隊長が捕まってるのよ!?」

 

「それだけ人望が無いって事だろ!」

 

「チッ…日ごろの恨みつらみがココで晴らすってか!」

 

「ゲ、ライトに当たった!!」

 

対しスネークたちは、民間人であるからか軍から容赦の無い銃撃が行われ、中には狙撃をも混ざっており特別製であるプラドのボディには弾かれるライフル弾の音がひっきりなしに響き続いていたが、それでも平然と慣れている二人はじりじりと消費される弾を確認しつつも反撃を繰り返す。

 

『恐らく軍の方もメリルたちに当てる気なんて元よりない筈だ』

 

「当然だろ。アレでも国連の調査員だ。何かあれば最悪国際問題だからな」

 

『それでも撃ってる時点で怪しいけど』

 

「…テキトーに嘘つくって絶対」

 

『にしても、スネークたちには容赦ないね』

 

「民間人だからな。死んだとしても言い訳で何とかするって腹積もりだろう」

 

『それだけ保身的って事か…』

 

激しい銃撃の中というのに苦笑するスネークを画面越しに見つめ、オタコンは先代の相棒がまだ現役に程近い腕であり衰えていない事に感服する。

数ヶ月という短い期間だが、それでも急激な老化で身体能力も衰えが見えるはずで、更には以前つけていたマッスルスーツも兼ねたスニーキングスーツでさえも纏っていない。

なのに。相棒であるスネークはそのハンデがあるというのに、それと何ら変わりないスキルを見せ、現役であろう軍人たち相手に互角ないしそれ以上の戦闘を行っていた。

 

「……それよりオタコン。奴等の通信、傍受は出来るか」

 

『やってはみるけど、ノイズが酷いと思うよ』

 

「頼む。この動きで奴が一体なにをする気なのかだけでも知りたい」

 

『――分かった』

 

それより、と言って戦闘中だというのに話しかけたスネークに対しオタコンは余裕かい、と尋ねるがスネークはまた苦笑の顔を見せると身体がいう事を余り聞いてくれないと、そうとは思えない卓越した動きでリロードする姿をまざまざと見せつけ、その姿を見てオタコンは

 

「そうは思えないけど?」

 

と笑い顔で彼の元気さに安堵した。

 

 

 

「……クソ。なんだあのジジイ。的確にこちらに当ててくるだと?ドーピングでもここまでは………」

 

一方でスネークの銃撃を受け続けるドイツ軍は指揮官であるハンスがスネークの銃撃にいらだっており、何故彼が倒れないのか。何故向こうの弾が当たりこちらの弾は弾かれるのかと自身の不遇さに不満を募らせていた。

 

「オイ。なんでこちらの弾が弾かれる」

 

「ハッ…おそらくはあの車両のボディが既存の車で使用される素材とは全く別のものではないかと……」

 

「対弾性のある素材…?そんなもの軍でない限り……」

 

この時。ハンスはスネークが元軍人かそれに通じる者ではないかと、予想していたがどうせ調べれば分かると思い後回しにしていた。

 

もし彼がこの時スネークの事を調べていれば彼の命運がどれだけ変わっていたか。それは彼がその時になってから知ることだろう。

まさか、相手が自身が忌み嫌っていた元米軍の特殊部隊。しかもその彼が最も嫌う相手であり、更にその部下である伝説の英雄その人だというのを。

 

「いかがしますか?このままではこちらのダメージが…」

 

「……フン。所詮は民間人だ。弾切れを起こす。それまで耐えろ。いいな」

 

「………あ。中佐。部隊の副隊長から通信が」

 

「繋げ」

 

投影式のモニターが起動し、其処には無情に近い顔をしたクラリッサが映っていたが、ハンスはその顔を見てさも面白そうな様子で口元を釣り上げる。

彼から見てクラリッサは無情であると見せつけ、自分の本心を隠しているのだと一目で分かっていたからだ。

そんな姿に優勢さと興奮によって感情が吹き上がり、彼は今にも笑い出しそうな顔で重々しく口を開く彼女を見ていた。

 

『―――其方に彼女は』

 

「予定通りだ。ご苦労だったな大尉」

 

『………。』

 

「そう力むな。約束どおり、君達に対しての罪は軽くするように取り計らう。

何せ、君達はアイツに利用されたのだからな」

 

『………はい。感謝…します。中佐殿』

 

彼の愉悦さは止まらず、口元を強く締め苦い表情をする彼女の姿に内心では既に我慢が出来なかったのか笑い出し始めていた。

たかが道具にそこまで感情的になるとはな。と

これ以上は我慢が出来ないと思ったハンスは、にやけた顔のまま一方的に通信を切ると笑いを堪える為、大きく深呼吸する。

全く馬鹿馬鹿しい事だ。あんなのにそこまで感情移入するとはな、と他人事であり、それが当然の考え方だという押し付けのような事を思いながら。

 

「……フン。小僧(・・)は」

 

「今、受け取るところです」

 

「急げ。あいつ等に知られては面倒だ」

 

「ハッ。あ…彼女達は……」

 

「ん?ああ。あの馬鹿共か」

 

「ッ……」

 

ただその一言で切り捨てたハンスに時折痛めていた何かが突き刺さり、隊員の一人は彼の見えないところで小さく口元を閉める。

いくら彼女達でもそんな物扱いのようにされると、どうしてもやるせない気持ちになってしまうのだ。

が。彼にはその感情がないのか平然とした口調で命令を下した。

 

「小僧を受け取り次第始末しろ。別にあいつ等がどうなろうと知った事ではない。約束はアイツらに情状酌量の余地を与えるだけだ。軽くなるとは限らんがな」

 

「………。」

 

「それよりも小僧だ。アイツの使うIS。アレをなんとしても我等の手にさせるのだ。アレを解析すれば男がISを使える方法が見つかる。そうすれば……フフフフフ……」

 

(………矢張り、この男も……)

 

 

『中佐ッ!向こうに例の少年がこちらに移送されるのがバレました!!』

 

「チッ…!」

 

「ッ……!」

 

 

 

 

 

『スネークッ!!』

 

「見えてる…!」

 

夜風が吹く高速の上でもハッキリと見える。

スネークの目には、メリルの鼻の先では、危険な状態だといわれている彼が、無理矢理運び出されている姿が映り反射的にメリルはハンスへと向かい怒号を上げる。

 

「中佐ッ!!!」

 

『料金だよ。彼女達の仕事のね』

 

「人を金扱いするか…!」

 

『なんとでも言え。優先権はこちらに―――』

 

 

「後先なんて一々決めてたら、国連なんて当に滅んでるわよ!!」

 

『ハッ!いいのかね?私はドイツ軍の人間でもあるんだ。私が死ねば君達に罪が――』

 

「現状の証拠映像と証言があれば無問題だけどね」

 

『………。』

 

「自分の地位と権利にすりついていた罰だ。第一、お前等はイチカを連れて行って何をする気だ」

 

『…ま。大体の予想は付くけどね』

 

 

『当然。あの小僧と機体の解析だよ。アレを解析すれば確実に男がISを手に入れられるという道が開ける!そうすれば、女尊男卑などというふざけた社会は終焉を迎えるのだよ!!』

 

一夏を連れ去るという時点で大体の予想がついていたスネークたち。ハンスがその案の定に見事に填まったとき彼らは呆れて物も言えず、オタコンに至っては彼があまりに楽観的であるというのに今まで見てきた軍人の誰よりも愚かだと思い、彼の知らない所で最低の烙印を押していた。

 

『……ココまで典型的とは…時代極まれりだね』

 

「そんな事出来たら誰も苦労しないんだがな」

 

「アンタのそれは誇大妄想に過ぎないわ。そんな事、出来たらこんな社会は形成されてない!」

 

『果たしてそうかな?出来なかったが、誰かが意図的にそうしたという事も考えられるではないか!「愛国者達」のようにな!!』

 

「それは……!」

 

「愛国者達は最終的はAIだったんだ。人のそれとは違う。彼らは全てを計画し――」

 

『ハッ!AIだぁ!?米風情がそんな高性能AIを作ったなんざ聞いたことないんだよ。あ!?』

 

刹那。ハンスの言葉にスネークたち誰もが呆れ、言葉を失い、全員が同じ事を思ってしまう。しかももう一つ彼を評する言葉が脳裏に浮かんでしまい、彼らはせめてもの情けとばかりにそちらを口に出した。

 

「あ。馬鹿だ」

 

容赦なくサラリと言うマドカ

 

「というか世間知らずだね」

 

よく生きていたなと思うジョニー

 

『情報公開を聞いてなかったのかな』

 

自信過剰とか自己中心的にもほどがあると思うオタコン

 

「どーしよーもないな」

 

そして決め手を言うエド

 

 

『ハッ!!戯言はそれまでだ!!』

 

しかしそれでも所詮は戯言と切り捨てるハンスは、まるで逃避行のように彼らの話を無視。

その証拠とばかりに彼は攻撃の合図を下し、反対車線を走る車やトラックへと銃撃を再会させる。

再び鳴り響いた銃声に彼らも反撃をと思うが、妙な感覚を感じたスネークはその感覚を感じる方角である正面へと顔を振り向かせた。

すると、同時に彼らの耳へと高い破裂音が響き、その音にスネークとジョニーは背筋を凍らせ、反射的にハンドルを切った。

 

 

「捕まってろ!!」

 

「ッ!?」

 

「なっ…!?」

 

彼らの前を走りハンスたちに加勢したラウラの部隊の隊員たちの乗るトラック。そのタイヤがドイツ軍の銃撃によって破裂させられ、制御を失った巨体は激しい火花と共に速さと姿勢、そして制御を失い、道路の上を乱舞。何処で倒れるか分からない巨体に自身の反射神経を頼りに回避する。

だが、その刹那。マドカは隣から僅かに聞こえた何か鉄かプラスチックのようなものが稼働する音を聞き、顔を再びドイツ軍の車両の方へと向けた。

 

「ゲッ、LAW!!」

 

突き出されていたロケット砲が自分が使っていた物と全く同じである事に気づき、無意識に車のボディを叩きスネークたちの意識を自分のほうに向けさせる。

そして喉のことを考えずに叫んだ彼女の叫びにスネークたちは目線のみを動かし、自分たちに当てる気だと察すると力の限りにブレーキを踏みしめた。

 

 

「チッ…!スモーク散布。敵を撒くぞ」

 

 

 

ロケット弾が彼らの前で着弾し、その中に詰まった火薬を爆発させる。

小型のロケット弾と言ってもされどロケット弾だ。威力はさほど無いにせよ火薬によって爆発すれば少なくとも爆煙などは撒き散らされる。

そして地面も抉られ、その欠片は四方八方へと飛び散り場合によっては人にだって当たる。

何より、突然の爆発に直ぐに思考を再開させる事は難しい。

たとえ外したとしても一瞬だがスネークたちの思考を鈍らせる事は出来た。

 

急ブレーキを踏んだスネークは反動で前へと押し出され、同時に老体の身体の中は外よりも激しくシェイクされる。老体と突然のブレーキで彼の脳は直ぐに気分が悪くなり一度は吐き気を感じてしまうが一瞬の事だと、耐えるようにアクセルを踏みなおし、スピードを取り戻させるが、それを見越していたのかドイツ軍はその場に更にスモークを散布。

辺り一帯は白い煙が撒き散らされ視界が白色一色になってしまった。

 

 

「ッ……!」

 

散布されたスモークに顔を歪ませるスネークは、激突する恐れがあると思いブレーキを踏むとプラドをスモークのたまり場から直ぐに離し、視界を回復させる。

スモークと言っても広がるスピードはそこまで速くないので二メートほど離れれば散布されたスモークも追いつこうにも追いつけず、スネークたちを煙幕の外へと出してしまう。

 

「逃げられたか……!」

 

『スモークで更に隠れて高速を降りたか…クソ、ジャミングまで張られてる』

 

スモークを脱した先。その向こうの道路をハンスたちドイツ軍の車両は走っておらず、どこか遠くにそのエンジン音を木霊させていた。

更に追跡を逃れる為にジャミングも行っていたらしく、オタコンのモニターにはエラーの表示が現れていた。

自分の保身に関しては本当に頭が回るな、と内心悪態を吐くオタコンは追跡を一旦中止しスネークに現在地と周辺の情報を伝える。

 

『その下は沿岸地区の近くで建物自体は少ないけど、高度経済成長期に作られてその後にも必要以上に工事が行われた結果、迷路のように道路が入り組んでいる。その所為で目的地もバラバラ。しかも該当する場所が馬鹿みたいにある』

 

「何処に繋がる」

 

『沿岸倉庫、海岸、都市部…後はまた高速』

 

「……都市部は無いな」

 

『うん。幾ら日本と共謀しているとしてもそれはあくまで上層部のみ。地元の警察にバレれば面倒な事になる』

 

「それに監視カメラやヘリもある。迂闊に動くこともできないだろう」

 

『この状態だと海岸。沿岸部もシロかな。どちらも都市部に隣接していて少なからず検問がしかれてる。上手く掻い潜ったとしてもその後が問題だ』

 

 

考えられる場所はこれで全部かな、そう言ってオタコンが諦めて他の方法を模索しようとした時。スネークが確かめるようにオタコンに尋ねる。

 

「……オタコン。倉庫街はどうなんだ」

 

『―――え?』

 

「典型的ではあるが、この場合倉庫街が奴等にとって最後の潜伏場所だ。それに他に隠れられる場所もない」

 

『……確かに倉庫街はココには一箇所だけだけど…』

 

「なら其処なんじゃないか?」

 

まさか。と直ぐに否定するオタコンはその理由としして続けて説明する。

 

 

『この倉庫は昔AT社が持って居た倉庫で閉鎖された四年前には当時最新式のセキュリティの数々が敷かれている。それに、あそこのシステムは独立しているから入ろうにも入れるわけが―――』

 

「なら聞くが。彼女、ラウラは何処で武器装備を受け取った」

 

『………。』

 

「この辺り、倉庫街はあそこだけなんだろ?なら、国内での武器携帯が不可能なココでなら人目のつかない場所で取り引きするのがセオリーだろ」

 

『それは……』

 

「それに彼女たちのことを知っているドイツ軍なら。テロリストが潜伏していると言えば、武装テロに敏感なこの国でなら幾らでもやり様はあるんじゃないか?」

 

『そりゃそうだけど…本当に居るのかな?』

 

「馬鹿みたいに勝ち誇ってる奴だからな。案の定かもしれんぞ」

 

オタコンもスネークの意見を否定する気はない。だが、そんなに馬鹿正直な奴なのだろうか。自身の保身を第一に考えるハンスのことだからその裏も書くかもしれない。

しかし、ソレと同時に確かに最後の最後で詰めが甘い、なんてことも考えられてしまう。

 

「相手は軍だ。情報を操作して色々と準備しているだろうさ」

 

『準備って…』

 

「船とか?」

 

「考えられなくも無いだろ?」

 

そんな彼が最も考えそうな脱出方法。

島国である日本から出るとなれば方法は自ずと二つに絞られる。

航空機ないしヘリなどでの空輸。

長距離を航行する海運。

もしくはその両方をあわせたもの。

相手の考えを読みやすいのは確かだが、相手が軍であると言う事で選択しは多く、それが彼らの考えを狂わせてしまう。

 

『………あ。メリルたちからだ』

 

そんな時、オタコンのほうを中継しスネークへとメリルたちから通信が入る。

直ぐに回線を開いたオタコンは相棒がその前に以心伝心して応答の構えを取る姿を見ずに、間も無く繋いだ。

 

『スネーク、無事?』

 

「ああ。そっちは」

 

『こっちも平気。間違えて高速降りちゃったけど。今は停められる場所から連絡してる』

 

「なによりだ。で、何かあったのか?」

 

『中佐のことなんだけど…』

 

「逃がしてしまったか」

 

『ええ。けどこの辺りでの潜伏場所なんてたかが知れてる。それは貴方達も知ってるでしょ』

 

「今それを話していた」

 

『なら話は早いわね』

 

『え。メリル、潜伏先わかったのかい?』

 

勿論。と断言する声で高々というメリルにスネークは首をかしげ、オタコンはその根拠が何処にあるのかと考えていた。

だが、彼女の話を聞き、思えばそうだったと事のシンプルさを改めて理解する。

 

 

『思い出して二人共。今回の彼女、ラウラ・ボーデヴィッヒが何処で武器装備を調達したか』

 

「……確か、ドレビンからだったな」

 

『そうよ。名目はドイツ軍としての秘密的活動の為。けど、その時点で彼女は軍から離れていたから資金的な難は免れなかった』

 

「だからドレビンに中古の武器を買い叩いた。そうだろ?」

 

『ええ。用意周到、用心深い彼女のこと。色々と口細かく決めて細心の注意を払っていた』

 

メリルの口調にスネークは違和感を覚える。

まるで知っているかのような勿体ぶるような物言いに聞こえるスネークは静めた眉と共に目を細めた。

その間、僅かというべき間にも関わらず彼にはそれが長く感じられてしまい、次第に急ぐ気持ちがスネークの中につのり、一体何が言いたいのかと苛立ちを持ち始める。

そして、それを察したかのように見たメリルは彼の感覚でいう漸くというタイミングで口を開いた。

 

『……素直に言うわ。私、事件の少し前に彼から弾の注文をしたの。丁度私達も、彼も日本に居る時にね』

 

「………。」

 

『その時にはもう取り引きを終えて別の場所に居たようだけど、アイツのことだから薄々と分かってたんでしょうね。

アイツが行かない代わりにあの白ザル(リトルグレイ)を使いに寄越したの。

その時よ。

アイツが注文した弾薬と一緒に、彼女達と武器の受け取りを行った場所をメモにして渡してくれてたのよ』

 

「なんだって…!」

 

『…で。試しに倉庫街近辺の監視カメラをジョニーに探らせた結果。彼らの車両が倉庫街へと向かっていく映像を手に入れられたの』

 

『映像はコッチで受け取るよ』

 

『頼むわ。恐らく、中佐は空輸と海運の二つを行っていると思うの。彼女の事で漁っていたらそれらしき貨物船が一隻、圏内の港に入港していた』

 

「ヘリで空に気が向いている間に海から逃げるか…姑息な手を考えるもんだ」

 

『そうも言ってられないわ。今回の事件、もしドイツへと渡れば国連の地位も危ぶまれる』

 

『恐らくキャンベルもだ。狙いはポストのようだね』

 

「小心者にもほどがあるな…だが。もう言ってもられないか」

 

『アレからそれなりの時間が経ってるからね』

 

「イチカのことも心配だ」

 

 

 

『ああ。僕はメリルたちからの映像を解析して詳しい方向を割り出す。恐らく、今回の一件かなり奥が深いはずだ。

スネークは急いでくれ……!』

 

「了解ッ」

 

 

タイムリミットは近い。

そう焦る気持ちをスネークは神経を力ませて抑え込み、相棒から転送された座標データを元にレバーを入れ直しアクセルペダルを踏みしめた。

 

 




オマケと言う名のどうでも言い事。

なんか最近髪の毛の所為なのか枕がやたらと臭うんですよ…
おかげで寝にくいのなんの…
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