IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第四十六話です!!
長かったAct.2もこれで終結!いやぁ長かった(笑)
いつの間にやらお気に入りは700突破。総合評価も900を突破しました。
応援してくださっている皆さん。ありがとうございます!!

そう。長いといえばまた今回も長いです。
ええ文章がクソ長いです。嫌というほど。
書いた自分の纏める力の無さに笑うしかないです。HAHAHAHAHA…(泣)


そんなラストを飾る今回はラウラとの決着。
果てさて彼女はどうなるのでしょうかね…

それでは、第四十六話をお楽しみ下さい。


No.46 「I'm My Own Master Now」

 

 

 

 

 

次に一夏の意識が目覚めたのは駆動音の響く機内だった。

外で盛大に響いてるだろう音がわずかな窓と装甲を隔てて小さな音として耳元へと届く。

その所為か耳が少し変な調子で、何か小さな膜がさらに耳に張られているような感覚だ。

とてもではないが眠れる状態ではなかったからか、駆動音とともに表情わ動かした彼は目蓋を開いた。

 

 

「………。」

 

「起きたか」

 

「…あれっ…スネーク?」

 

隣に座っているスネークの姿に彼は疑問を覚える。

今がいつで、何時で、どこに居て、どこに向かっているのか。

起きて間もない彼の頭の中は真っ白のような黒に塗りつぶされた感覚で、状況が把握できないまま目をこすった。

 

「…寝てた?」

 

「三時間ほどな。二人そろって屋上でだ」

 

「…屋上…」

 

 

その言葉ですべてを思い出した一夏は記憶の奥底から沸き上がる情報の数々に頭を抱える。

思い出したとはいえ、夜更かしをしていたからか脳に十分な休息がとられていなかったのだろう。おかげで昨日の疲れも封じられていたのか、頭に重くのしかかった。

 

「…あんま寝てなかったんだな」

 

「若いからと言って遅くまで起きているからだ。それに、昨日は気温も低かった。風邪をひいては元も子もないぞ」

 

「…大丈夫。マラリアでも簡単に死なないからさ」

 

「それはあの時軽いほうだったからだ。軽口を叩けるぐらいの元気はあるようだな」

 

「腹減ってて死にそう…」

 

 

そういえばまだだったなと、分かっていたことを言うスネークに一夏は一瞬恨めかしい目でにらんでいたが、彼が足元からビニールを探る音を立たせると予め買って持ってきていたんだなとすぐに手のひらを反す。

この場合スネークが選ぶのは栄養価のあるものだと考え、大方買って来たのはカロリーメイトか何かだろうと思っていたが、本人が袋の中から出したのはそれとはまったく違うまともな食べ物だった。

 

「ほら。到着まで時間がないからな」

 

「…サンキュー…けどあんぱんとはな。てっきりカロリーメイトとかだと思ってたよ」

 

「湯でも沸かして三分待つか?そろそろまともに何かいい物を食べんと、舌が肥えないからな」

 

「年とってからの楽しみかよ」

 

「牛乳とセットだ。それで我慢してくれ」

 

刑事ドラマじゃねぇんだぞ。と袋を開けて紙パックの牛乳にストローを斥す一夏はまず口の中を牛乳で潤し、次に餡の香りが匂うパンに思い切りかぶりつく。もっちりとした触感に中身のあんこがいい塩梅になっていて口の中で混ざり合う。歯に豆がつくがそれもアンパンのいいところだ。

そこに再び牛乳をすする。そして再びパンを繰り返す。

 

「…そういえば」

 

「…ん?」

 

「俺たち、一体どこに向かってるんだ?」

 

頭の中がすっきりとし始めた一夏はヘリが一体どこに向かっているのかまだ知らなかったと思い出しスネークに尋ねる。その間にもパンと牛乳から手を離さず黙々と食べ続けるが。

 

「…そうか。そういえば場所は言ってなかったな」

 

「………?」

 

「お前、昨日の夜更けに彼女(・・)と話したのを覚えているか」

 

「…彼女?」

 

 

「…ラウラだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日の深夜。

一夏はシャルと二人、星空の屋上で互いの過去について語り合った。

そして彼女が疲れて眠った後に、彼の前にラウラが姿を見せた。

 

――――――話がある

 

それが彼女が最初に切り出した言葉だ。

 

 

 

 

 

「………。」

 

目を背けない一夏は真っ直ぐに彼女を見つめ、彼女もまた一夏を目から離さなかった。

話を切り出したラウラは小さく唾を飲み落ち着くと再び口を開く。

 

「要件は一つ。これっきりだ。これを最後に私はお前の視界、そしてこの国から去る」

 

「………。」

 

 

 

「………イチカ。私と決闘してくれ」

 

 

 

「…いいぜ」

 

僅かな間、瞳を閉じ沈黙したが返答は直ぐに出た。

承諾。考えもなく答えるかと、恐らくこの場にシャルが起きていたら、まだ言葉を交わせない彼女がいればそう答えていただろう。

だがそれ以前に一夏の返事、考えは決まっていた。

彼女がなぜ決闘を提案したのかも。その理由も。

それは自分も同じなんだと、彼は感謝していた。

 

 

「………用意はできている。明日の早朝。場所は第二国際競技場」

 

意外にも早い返答に焦りをみせたが承諾してくれた事には変わりなく、ラウラは場所と日時を伝える。と言っても彼女の言う「明日」とは「今日」を示しており、時刻はすでに零時を回っていた。

 

「IS専用アリーナ…か」

 

「そうだ。一対一で…」

 

その先は言わずとも分かっている。

心を読んだかのように微笑すると思っているであろうことを自分に向かって代弁する。

 

ケジメをつけたい。ただそれだけだ。

事件のこと。一夏とのこと。千冬とのこと。周りの人間とのこと。そして自分のこと。

過去の清算ともいえることを彼女は行いたいと願い出てきた。断る理由も意味もない。

 

 

「機体は?」

 

「まだある。返却前だから整備も終わっている」

 

「…いいのか。それを使えばお前の存在がバレるかもしれないんだぞ」

 

「心配するな。不慮の事故で片づけられるようにする。お前は…気にしなくていい」

 

 

どうやら本当に用意はできていたらしい。

無意識に小さ微笑んでいた彼女の表情にそう思えた。

 

それがラウラ・ボーデヴィッヒとしての最後の一戦だからか。それとも本当に最後だから悔いを残したくないからだろうか。

いずれにせよ、彼女はこの一戦を大切なものにしたい。

殺意に満ちた目ではなく、真剣に純粋な眼差しで言うセリフに偽りはなく、また負の感情としての意味はなかった。

変な言い訳なのかもしれない。それでも、これは彼女が心から願うことだった。

 

 

「………わかった。明日、全部にケリをつけよう」

 

それは彼女に言った言葉であり、自分にも言ったものでもある。

この機会を逃せば恐らく一生後悔する。そんな日になるとどこかで思いながら、夜明けに近づいていく夜空へと見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――着いたよ。第二国際競技場だ」

 

ヘリの駆動音が聞こえる中から相棒の声がするのに反応して窓の外へと顔を出す。

真下には四年後に正式なオリンピックの競技のひとつとして候補があがっているISの専用競技場があり、真新しい姿はまるでISという存在の力そのものを表しているようだった。

 

「オリンピック候補としてあがってるけど落選確実なんだろ?なんでわざわざ作ったんだか」

 

「たぶん、日本の女性議員が理由をでっち上げて作らせたんだろう。一応国際競技場だからね」

 

一夏の問いにため息交じりに答えるオタコンはあきれ返った様子で言う。

日本でも女性優位な社会を掲げる女性議員が数を増やしつつあるから、大方そんなところだろうと言い座っていた二人も納得したのか同時にため息をした。

 

「着陸はヘリポートがないから駐車場だ。着いたら真っ直ぐに館内に入ってくれ」

 

「了解ッ」

 

 

段々と調子が戻ってきた一夏はいつもと殆ど変わらぬ言い方で答え、高度を下げるヘリから地面を見続けて降りるタイミングを見計らった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘリと真逆のところでは早朝にも関わらず一台の小型トラックと車が競技場近くに駐車。

トラックのマークはよくある飲料製品を扱う会社のロゴが入っていた。

しかし降車して出てきたのは社員ではなく、昨日同様に普段着の中に防弾チョッキなどを装備したメリルたち。

トラックからはジョナサンとエドの二人が降り、ドアを荒っぽく閉めると真っ先に後部コンテナに向かう。

 

「………。」

 

「…静かすぎやしませんかね?」

 

「気絶してるんでしょ。死にはしないわよ」

 

「………。」

 

ま。それもそうか。と納得した二人は一応の警戒として腰のホルスターに刺している銃のロックを外し、再び戻す。

中にいる者たちに使うわけではないが何が起こるかわからないので保険としてだ。その証拠にメリルも自身の相棒の弾を確認しロックを外していた。

そしてエドがトラックの扉を開けると中へと光が差し込んだ。

 

「…生きてるかー?」

 

 

トラックの奥。自分たちがさっきまで座っていた辺りに少女が二人、目を回して倒れている。しかもそのうち一人は少女としてはみっともない体勢で転がっていた。

気分の悪さに地面に伏せ、黒いポニーテールを広げる少女。

そしてツインテールの髪を両側いっぱいに広げ、逆立ちでもしていたかのような状態で目を回しているのが一人。

 

エドの問いには絶対にこたえられない状態の二人に「あーあ」と本人が声を漏らした。

 

 

「こりゃずいぶんと…」

 

「どうします?」

 

「いいんじゃない?しばらくこのままでいたら。すぐに調子は戻るわ」

 

「………。」

 

容赦のない言葉に大丈夫なのかと思う二人。

豪語するメリルに、また一人。後ろから皮肉めいた言い方で近づいてきた。

 

 

 

「…随分手馴れているな」

 

「別に。人さらいの訓練なんてしてないわよ。それに、連れてきたのはあなたでしょ?

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリュンヒルデ」

 

「………。」

 

黒いスーツ姿のまま、千冬は細い目でメリルに食い掛かるがメリルには利かず彼女も平然とした態度で言葉を返した。

 

「私はあなたを連れてこいって言われたけど、この娘たちを連れてこいとは言われてないわ。こうなるのは分かっていたでしょ」

 

「…それでもやり方というのがある」

 

「二人の部屋に押しかけて問答無用に気絶させた人が言うセリフ?」

 

「………。」

 

 

「それに。酷なことをいえば貴方も本来来ることは許されない。貴方がいなくなれば向こうはそれだけで大騒ぎだもの」

 

メリルが連れてきたかったのは実は千冬ではない。だが彼女も連れてくるというのは確かにあったこと。つまり「できればついでに」という意味でだ。

本命は彼女ではなく、もう一人。今回の事件にかかわった人物。

 

 

 

「…本命はデュノアか」

 

「ええ。本人も見届けたいっていう希望でね」

 

車の後部座席からシャルが姿を見せ、疲れていたのか足をつけると身体をいっぱいに伸ばして眠気を飛ばす。夜遅くまで起きて途中で眠ってしまった彼女は心置きなく寝れはしたが場所が場所で安眠とまではいかなかった。

特に下半身に妙な痛みはまだ響いていた。

 

「本来これは非公式であり、誰にも見られてはいけないもの。けど、関係者として…という意味で特別に許可してもらっただけよ。貴方だって被害者であり遠因でもあるのだから」

 

「………。」

 

 

(…ま。だからと言って)

 

余計に事件に関係のないといえる人物も同行しているので偉そうに言えたことではないが。

 

「流石新設ですね。外見も綺麗な塗装で」

 

「―――――。」

 

結果。本来の予定よりも四人(・・)多く競技場に集まり、あまりに予定外な人数にメリルは内心と現実の両方で深くため息を吐いた。

 

 

「…彼女(ラウラ)は」

 

「もう先に入っているわ。中にはPMSCsも入って警備している」

 

一応預かりはメリルたちではあるが民間の警備会社を雇い、警備にあたらせていた。

小規模なPMSCsだがそれなりに腕の立ち信頼のある企業だ。

メリル曰く「叔父の許可はもらった」らしい。

あとは中で気絶している二人を起こして向かわせるだけだ。

 

だが未だに納得していないのか、千冬は一人ぽつりと呟いた。

 

「…馬鹿げてる。この決闘に意味などないのだぞ」

 

「ええ。意味はないわ。けど、彼女にとっての意味はある。それは分かってるでしょ?」

 

「………。」

 

千冬の言いたいこともわかる。

恐らく、こんな戦いでケリを付けるよりも話で付けた方がよっぽどいいんじゃないか。

ようやく事件が終わったというのに、これではまた何が切っ掛けでトラブルが起こるか分かったものではない。

そう言いたいというのはメリルも十分理解していた。

だが。それでも彼女は話し合いなんかよりコッチの方が断然マシだと言い張れる根拠がある。

 

「男と男勝り。話し合いなんかで決着付けるより、こっちの方が性に合ってるのよ」

 

(…と言ってその内スネークかイチカに喧嘩売らなきゃいいんだけど…)

 

嬉しげに話すメリルに考えすぎな心配をするジョニーは二人が気が付いたのを知らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピットの中で一夏は一人、出撃前の準備運動を始めていた。

元々寝起きのため体の筋肉はまだ眠っている個所もある。朝、しっかりと準備運動をすれば筋肉も目が覚めて動きが良くなる。

一年ほど前から決まって行うようになったことで、学園に入ってからはやれる機会がなくやや鈍り気味だったが、今回は更に事件の所為で何日も寝ていたので格段に筋力は落ちているだろう。

軽い屈伸やスクワットをする彼はそのひどい状態に頭を悩ませ、ため息をついた。

最盛期であればかなり出来たことも現在では少し回数を減らさなければならない。

筋力の低下にただ純粋に落ち込んでいた。

 

 

「………。」

 

「どうだ。調子は」

 

「…最悪。筋力が落ちている」

 

「数日寝たきりだったからな。無理もない」

 

様子でも見に来たのだろうか。スネークか来た事に違和感を感じた一夏は、迷わず彼に尋ねた。

 

「…で。なんでスネークかここに?別に意味なんて…」

 

「意味はない。ただ理由はあるがな」

 

「理由…?」

 

 

スネークは向こう側のピットに居るだろう少女の方を見つめ、そういった。

来た事自体に意味はなく、ただ来たいという理由からここに来ただけ。

矛盾したことに頭を抱える一夏に対し、スネークはつぶやくように話し始める。

 

「彼女は戦争のために生まれた。自ら望まれずに生まれてしまったんだ。自分の意志ではなく誰かの意志に、自分のためではなく誰かのために。自分の事がすべて他者のためとなってしまう。そんな世界に生まれた命」

 

「………望まれない命」

 

「ああ。俺と同じ。リキッドやソリダスと同じ…戦争のために、組織のために。自分から望むことができず、誰かが望んだことによって生まれてしまった命。

自分のためではない、組織や国家のため。自分の意志で動いたはずが、誰かの利得のためだった…」

 

「親近感か?」

 

「そうかもしれんな。もし俺が彼女だったら、たぶん一人で反乱していただろう」

 

「………。」

 

 

―――唯一の友もなく。

 

信頼できる仲間もなく。

 

信じる理念もなく。

 

求める未来もない。

 

 

空っぽな自分が、唯一満たされるその瞬間が恋しかったために起こった事件。

過去を取り戻そうとした戦い。

過去を現実としてあり続けたいと願った時。

 

それは許されなかった。

過去は過去。再び訪れることはない時間の記録。

過去を未来にすることも、ましてや現在にすることもできない。

過ぎてしまったことは二度と戻らない。

 

だが彼女はどうしてもそれが欲しかった。

 

考えることもできず、願うこともできない彼女が唯一。生きていると実感し、人としての、誰にも縛られることのない意志を持てた瞬間。

 

ただそれが恋しかった。もう一度、その時が訪れてほしかった。

 

 

 

 

 

 

 

「本当は、彼女は自由が欲しかったんだろうな」

 

 

「……自由(フリーダム)……か」

 

 

「ああ。誰にも縛られず、国家や組織のためではない。誰かが望んだことでもない。

自分で考え、自分で動き、自分が望み、自分が願ったことを…ただ欲しかったんだろう」

 

「………。」

 

空っぽだった彼女が唯一満たされたひと時。

言ってしまえばスネークの言葉通り。

千冬を求めたのは過去を取り戻したかったから。そして彼女と一緒に過ごしたかったから。

誰が与えたものでもない自分で勝ち取った自由(リバティ)。そして、そこから真に千冬と一緒に居たかったという自由(フリーダム)への願い。

彼女は軍からも組織からも、そして国家からも解き放たれた自由を、無意識のうちに願っていた。

 

 

「好きに生き、好きに死ぬ。それが出来ない彼女にとっては地獄でも叶わなかった願い。

だが、それでも彼女は自由が欲しかった。

触れることもなかった自由への光が触れられた時に、その暖かさを忘れられなかったんだろうな」

 

「だからラウラは…あの人と一緒に居られる過去を、自由を欲した。のか」

 

「………それを、今から確かめるんだ」

 

『向こうはもう待ってくれてるみたいだよ』

 

二人の行けと言っているような態度に、一夏は分かっていると内心でぼやく。

怖気づいて行きたくないと言い出すわけでもないし、と彼は歩きつつISを展開しカタパルトへと向かっていく。

 

もう逃げたりしない。

そう彼らへ言ってるかのように、一夏と白式は朝の青空が広がる世界へと飛翔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真新しいペンキやコンクリートの匂いがまだ抜けきっておらず、まだ施設自体ができて間もないというのが一目でわかる。

新しいシステムを導入したエレベーターやモニター。スピーカーもあるが、それでも一目見て新品であると分かる光景に中を移動する箒たちは言葉を失う。

新しく作られたアリーナということでかと思えるが、それ以上にアリーナの設備が今よりもかなり未来的なものであるのに違和感を感じた。

 

なぜこんなにも未来的なものなのか、現在使われている設備などでも十分活用はできるし費用も幾らかマシなはずだ。

なのに、その新設備、システムが惜しげもなく使われているのはどうしてか。

 

 

(…最近ニュースで報道された新しい設備…正式な導入はまだ先なのに、どうして…?)

 

こんなことが平然と行われていたら当然政界だけでなくマスコミも黙ってはいない。

なのに完成した今でさえ、マスコミは誰一人としてこのことを報じていない。それどころか、まるで知らなかったというより知らないフリ(・・・・・・)をしていると言うのが彼女にはあったのだ。

 

 

「存外、女性政治家も頭を使いますわね」

 

「ッ…」

 

音もなく近づいてきたセシリアは箒に耳打ちで話しかけ、遠まわしであるが彼女がアリーナについて知らなかったということに興味を見せ、不快そうな彼女のもとでささやき始めた。

 

「大方、裏金や行先のない予算を使って騙したのでしょう。この国の財務大臣は女性と聞いてますから」

 

「…財務大臣がそんなことに予算を使っていたら、それこそ報道ものだ。だったら、なぜ誰もこのことを報じない」

 

「……薄々ご予想している通り。ですわ」

 

 

口裏合わせ。これが最も有効だ。

裏で手引きをすればなんとでもなる。

箒も一番考えられることとしては薄々と思っていたが、それでも信じたくないという気持ちから、あえて予想として口にも出さなかった。

しかしセシリアはまるでそれが当然と言わんばかりに呆れた様子で呟いていた。

 

 

「はてさて。これを作らせた人は…どうお思いでしょうかね」

 

「…貴様ッ」

 

「………。」

 

 

睨みを行っていた目を静かに正面に向け、自分たちの前を歩く千冬に箒は眼の色と表情を一変させる。後ろ姿しか見えないのでどうとも言えないが、恐らく今も変わらず倪な冷たい目つきをして歩いているのだろう。

だがそれでも内心はこの中の様子とそこで一戦交えようとする二人に何を思っているのか箒は彼女がどんな顔をしているのかと気になり、そして今のこの有様がどう見えているのかと心配な気持ちだった。

 

 

 

それが当たっていたのか。千冬の表情はいつもより少し緩み、悲しげな表情を見せていた。

無意識にというのもあるが、入ってしばらく歩いていると少しずつ自分の背に錘か何かが乗せられているような感覚が強くなっていく。

まるでそれが自分だけに科せられた何かのようにだ。

彼女もそれは何となしに分かっていた。だから思ったのだ。

 

 

 

―――ここは、私の罪であり。それによって出来た強欲と傲慢、そして狂気の産物なんだ。

 

 

 

ISという新しい兵器(・・)の登場で世界は混乱を極め、社会は戦争経済に、女尊男卑の主義に変化した。

命の駆け引きを行う戦争が痛みのないビジネスとなったように、その戦争をコントロールし自分たちの地位と立場を強めようとする女性が現れ、経済だけでなく社会や主義、民族、思想、宗教に軋轢が生まれた。

 

自分が何をしたかも知らず、自分の事だけに引きこもり、それがどんな意味を成したのかも理解しようとせず、どうなっていくのかも知ろうともしない。

 

これを無責任と言わずして何という。

 

「……………。」

 

 

「………。」

 

「―――もし」

 

「………ッ!」

 

 

 

「もし。貴方がこれから先。(一夏)の傍に居続けることを選ぶのなら。答えは得られると思いますわ」

 

「…答え…?」

 

「貴方が求めている問いの答えです。彼女の事、彼のこと。彼らのいる世界のことも…」

 

 

セシリアの言葉に箒は前に虚が言っていた言葉を思い出す。

 

――行くのは簡単な『一歩』だが、簡単であるからこそ後戻りができない。

 

箒は自分がその境界線の少し手前に居るのだと思っていた。

しかし実際はそれよりも遠いところに自分は立っていたのだと、事件のあとに気付いた。

そして、自分とは違い、境界線の前でも向こう側でもない。丁度、境界線といえる場所の上に千冬が立っている。戻ろうとも、進もうともせず決めあぐねている姿に、箒は尊敬する人物なのにも関わらず、みっともなさを感じてしまう。

どちらとも決められない彼女が、どうして見えているのだろう。

どうして、彼女を見ているとこんなにも情けないと怒りに似たものを覚えるのだろう。

 

 

 

それは、彼女たちが特別なVIP席と呼べる場所に入るまで続いた。

そこから先、それを考える暇などなくなったからだ。

 

 

 

 

 

「ここは…」

 

女性(・・)専用のVIPルームよ。一応強化ガラスだから流れ弾も心配ないわ。ここからなら観れるでしょうし」

 

「観れる………ッ!」

 

 

強化ガラスの向こう側、新しいフィールドの上には黒いISが一機。地に足をつけて待機していた。揺らめく尾のマニピュレータとなびかせる銀色の髪は彼女たちに衝撃を与え、それを見た箒は驚きを隠せず小声ながらも、どうしてと言った。

 

「アイツ…!?」

 

「彼女の最後の頼みよ。もし仮に何等かの事を起こせば強制終了させるけど」

 

「…何故、アイツがあそこにいるんだ」

 

「………。」

 

事情を知らない者たちに代表し、箒は恐らくメリルが知っているだろうと思い敬語もなく彼女に訊ねる。

見つめる瞳には僅かに怒りの色も見せており、彼女が「答えによってはただでは済まさん」と犬が唸るように構えていたので、メリルはそれにため息をつかせながらも心配はないと答えた。

だが箒には到底納得できることではなく、拳に力を入れて怒りをため込み抑える。

 

「あの女は…アイツを、一夏を殺そうと…!」

 

「…ええ。前の彼女はそうだった。けど、現在は少なくともそうではないわ。仮に殺そうとするなら、私たちはこんなことを承諾しないし、場合によっては直ぐに取り押さえる」

 

「なら、さっさとしなさいよ!アイツは本気でアタシたちを…!」

 

鈴も加わり面倒になったなと頭を掻くメリルは、その面倒を一気に片づけるために彼女たちが、ましてや千冬もまだ知らない事実を語った。

事件の最後に起こった、彼女の殺意が嫌というほど消え失せたあの事を。

 

 

「…殺意なんてもうとっくにないし、そんな気力も彼女にはないわ」

 

「どうしてそう言い切れるの、嘘をつく事だって…!」

 

 

 

「――――大の大人数人相手に強姦されても?」

 

 

 

「――――え」

 

 

 

「殺意はあったわよ。けど、徐々に自分のボロとツケのお陰で彼女は頭を冷やしたの。

その最後として、彼女は拘束にきた軍の特殊部隊数人に強姦を受けた。

本人の気力もなにも、その時点で崩壊しているわ」

 

 

信じられないというのを顔に見せる箒たち。セシリアも結末は知らなかったが、その事実に裾を強く握って耐えていた。

鈴は青ざめた顔でそれが本当なのかと目で訴えかけていたが、メリルの目が本当であると言っていることに何も言葉が出なかった。

そして、自分の知らぬ間に起こっていた事に千冬は誰よりもその事実を重く受け止め自責の念に押しつぶされそうになっていた。

 

 

「そんな…いや…けどッ…」

 

「…酷いことを言っていると自覚して言うけど、今の戦場ではそんなこと日常茶飯事よ」

 

「………。」

 

事実だ。口には出ないが一人の少女には覚えがあり、その時の記憶が鮮明に脳裏によみがえる。

もう二度と思い出したくないと封じ込めていたはずの記憶の鎖が僅かに引かれただけで栓を抜かれた水のようにあふれ出た。

経験でありトラウマ。良くも悪くもあの時に彼女の全てが変わったのだ。

 

 

「今は治療した後だから問題はない。専門医のお墨付きよ」

 

「…それで納得しろと?」

 

「残念だけど今はね。けど貴方が見たいというのなら、あとで入った病院と担当医からカルテを見せてもらうように言うけど」

 

「………。」

 

「―――それに、もう時間みたい」

 

「時間…だと」

 

 

「二人の決着、のね」

 

 

 

 

「―――イチカ」

 

フィールドの見える窓に集まると、宙を舞う一機の機体に注目が集まる。

本当に彼なのかと疑う者。やっと出てきたかと笑みを見せる者。

この戦いの結末がどうなるのかと、見守る者。

それぞれの表情は何もない戦場に立つ二人の姿をしっかりと捉えていた。

 

白き戦士と黒き狼。

相容れぬ二人が再び相対するその世界を、それぞれの思いを胸に。

 

 

 

 

 

 

「――――来てくれたか」

 

「…ああ」

 

ゆっくりと地に足を付けた一夏は、正面で微動だにせず立っている少女の言葉に短く返す。

もう殺意のある言葉はどこにもなく、ただ来てくれたという事に感謝している彼女がそこに居た。

改めて彼女の機体を見ると、一夏は我ながら人間のようだなと苦笑していた。

別に他意はないが、今からその機体と一戦交えることを考えると苦戦は必須かと思ってしまう。戦う前から敗北を想定し始めていたのだ。

 

「悪いが公式戦ではないのでな。開始の合図は任せる」

 

「………。」

 

呆けていたのがバレたのか。ラウラはあまり間も置かずに開戦の用意に入る。

小声で気付いた一夏はそれを顔に出さず、どうやって始めるかと考えながらも、それを考えてないかのように別の話を切り出した。

 

「…ラウラ。始める前に聞かせてくれ」

 

「………。」

 

「お前は、自由になりたいのか?」

 

 

「―――!」

 

確信をついた質問に、ラウラは驚いたような顔で言葉を詰まらせる。

本人の心の中では今でも彼女(千冬)と居たかったという気持ちは変わらない。だが、その言葉が的を得ている感覚に彼女は何も言えなかった。

 

「あの人を取り戻して、一緒に居続けたい。誰も指図も受けず、ただ彼女と共にいたかった。それって自由を求めていたってことなんじゃないか?」

 

「――――ッ………」

 

口を開こうとする。しかし言葉が出ず、思いつくものもない。言葉を言おうにも頭の中が白一色だったのだ。

真っ白だった頭の中に少しずつ色が塗られていく感覚に、ラウラは口ごもった。

それが正しいのか。それとも違うのか。求めていたのか。否か。

答えは自然と彼女の前に姿を見せた。

 

「………お前は―――」

 

 

 

「―――――ああ」

 

小さく肯定する。

後悔も否定もない。ただそうなんだ、と。そうだったんだと。

理解し、納得した彼女はただ一言そう答えると言葉を紡いだ。

 

「本当はそうだったんだろう。

私はあの人と一緒に居たかっただけで、誰にも、どんな組織にも縛られたくない。ただ決められた事しか行えない事を嫌い、自由を求めた。

お前への殺意も言えば後付けだ。一緒に居たかったのに…お前と一緒にあの人のところに居られた筈なのに、ただあの人がお前しか見ていないことに嫉妬してしまい、殺意を持ってしまった」

 

「……それは」

 

「本当に…餓鬼みたいだな」

 

その言葉は自分にも当てはまる。一夏は俯くと自分自身を責め始める。

 

「…それは俺にも非はある。あの人の…自分の姉のところに居てやれなかった俺にも」

 

「………。」

 

本当にそうだな。

自分で自分に言い聞かせるように、一夏は過去を思い返す。

子供みたいな格好つけと、自分にしかできないという身勝手な責任感。

真面目に考えたとはいえ結局、子供みたいにそれに酔っていた自分。

 

今考えてみれば、踏み出した一歩は軽い気持ちでしかない。

今であれば立派ともいえるが、切っ掛けを知ってしまえばただのハリボテも同然。

見栄と勝手な責任感が行動の正体だ。

 

 

 

「――お前も、自由が欲しいのか?」

 

「………自由、ね。もう常に自由さ。ただ行く場所が決まって、やらなければいけない事があるだけで、どう生きようと、なにを思おうと、俺は今まで自由に、自分の意志で動いてきた」

 

 

――今は違う。そう言い切れる根拠はある。

始めは見栄と身勝手な責任が行動原理だった。

しかし今では「やらなければいけない」という使命感があり、その為にここに居る。

止めなければいけないという自分が居る。もう彼女たちを巻き込ませたくないという――

 

 

「だから…俺も自由に選んでここに居る。自分の意志で」

 

「………ああ。だから、か」

 

 

私はお前が羨ましかった。

自由に選択ができ、自由に受け入れるか拒絶するかを選べて。

自由に生き方を変えた彼に。

 

「私に自由ないと、思い込んでいただけか」

 

「意志は誰にも縛られない。どんな生物兵器やナノマシンで制御されても、無限にある人の意志(SENSE)を完全に支配することなんてな。

お前が自由に気付けなかった。それだけだ」

 

「…自由か、私が?」

 

「そう決めてココに居るんだろ?自由じゃねぇか」

 

「…どうかな。それがリバティかフリーダムかの違いだ。結局…私は自由を取り逃したのだからな」

 

「逃してないさ。見落としてるか、見えてないだけ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を最後に二人の間に静寂が流れる。

二人の会話が途切れた瞬間、互いに心内を察したかのように沈黙したが、それで戦意を無くしたという訳ではなかった。

むしろそれで良いのだと。逆に戦意を高揚させ拳に力を入れたのだ。

答えを求めたわけでも、ただ二人でそれぞれの思いを明かしたわけでもない。

単なる切っ掛けが二人には欲しかった。

 

そして。それは今ようやく叶い、戦端は開かれた。

 

この決闘に勝敗は関係ない。

ただ今後、彼女がどんな道を歩むことになるのか。それが、彼には薄っすらと見えた。

 

 

 

 

 

 

「―――ならばお前が手本を見せてみな、人間(イチカ)ッ!!!!」

 

 

 

刀を構える。

無論だと言わんばかりに、獣のごとく吼える少女を眼前に少年は高揚した笑みで答えた。

生死をかけた戦いではない。己が理念をかけたものでもない。

ただ純粋に、眼前の敵を倒すために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――何処かで、鉄の狼が咆哮した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静寂と平穏が崩れた刹那。

互いに動き(アクション)を起こす。

 

一夏は高周波ブレードを構え肉薄。対しラウラはMP5を使い応戦し、先制一夏ではなくラウラが奪い取った。

しかし、弾幕が遅かったのか一夏は既に自分の間合いに入っており、容赦のない一撃がラウラの首筋へと迫っていく。

 

 

「ッッ―――!!!」

 

反応は紙一重。ラウラは重心を後ろに下げ、銃を囮に身を守る。

結果、一夏はMP5のみしか斬れずラウラ本人へのダメージはゼロで、攻撃のチャンスは逆転した。

互いの表情が一変し、焦りと好機の顔が映る。

 

「もらっ…!!」

 

「いっ!?」

 

ブレードを構え直す一夏はカウンターと牽制は不可能と判断し防御を行う。

銃を手放したラウラにはあと使える兵装は僅かしかない。しかも、相手は軍人なためCQCもある。迂闊といえばそこまでだが、それでも一夏の判断に迷いはなかった。

ラウラはCQCでもない普通の殴りで反撃したのだ。実戦に慣れていないというより動きの良さから反射的なもので、そのスピードは中々なもの。

判断に間違いはない。

 

「くっ―――!!!」

 

「せいっ!!!」

 

プラズマを纏った拳が高周波ブレードとぶつかり合う。

踏み込みがあるのか一撃は重く、脳裏で危機感が高まっていく。

だが彼もまた自己防衛には速いようで、足をずらして拳を外側へと受け流す。

肉薄した距離でなら一撃は確実に入る。

確信を持った一夏だが、その考えは甘かったようで直ぐに足払いを行って距離を取った。

 

 

「チッ…!!」

 

「あぶっ…!!」

 

本能がそうさせたのか、次の瞬間。一夏のいた場所へとワイヤーブレードが四基射出されカウンターと奇襲として放たれる。

拘束の意味合いもあるがそれは可能であれば。今は少しでもダメージを与えられればいい。

だが。

 

「逃げた…!!」

 

一夏は間一髪、瞬時加速を使って引き離れる。

彼の機体が持つ能力の中でこれだけは誰にもマネは出来ないものであり、対処方法というのは無きに等しい。瞬間的に高速で接近、回避などができるので使い方によっては切り札にもなるが、使っている本人はそれを乱発しているので切り札としての意味合いはなく、一つの阻止不可能な手段として使っていた。

 

「――ねぇなっ!!」

 

至近距離でのワイヤーブレードを回避した一夏はそのまま距離を取って離れていく。

中遠距離であれば寧ろラウラの機体が得意とする距離で、その場の思いつきか考えなしに行ったのかと思えてしまうが、彼にも考えや意味はあった。

 

「距離を取られた…!!」

 

自分と機体が得意とする距離であるにも関わらずラウラの顔色は良くない。寧ろ遠ざからないでくれと言っているようなもので、彼を足止めすることに必死でG3A3を両手に乱射する。

弾幕と牽制、そして動きを止めるために行うが彼は止まらず距離を引き離していった。

 

「集弾率悪いのはお互いさまだ!」

 

ラウラと見合ったまま離れつつM4カスタムで反撃を行う。

バレル下部にはグレネードランチャーを装備し、スコープなどは中距離を前提としたものに換装されている。更にレーザーサイトも装備されているので簡易的だが狙撃も行える。

しかし今は狙撃なんて事ができる余裕もないのでフルオートで引き金を引き続けるが、一夏のほうも集弾率はあまりいいとは言えなかった。

 

「チッ…!」

 

「ッ………!」

 

下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとは言うが正に二人はそれ頼みだ。

何時あのレールカノンが放たれるか。いつまた最接近してくれるか。

その為の牽制と時間稼ぎ。

先手を打てるのは勿論ラウラだ。

 

「来たッ…!」

 

「………!」

 

互いに一発ずつ頬を掠めるが一々気にしてはいられない。

ラウラはレールカノンを稼働させ、照準を一夏に定める。

カノンが動きを見せたことに一夏は危機感を強くしM4を格納して回避に専念した。

それがコンマの出来事で、間髪おかずに巨砲は唸りをあげた。

 

 

 

「ッ…!!」

 

「一夏ッ…!」

 

巨砲の一撃が彼の姿を消え失せさせる。

爆煙の中に消えていった彼の姿に箒は安否を気遣う。

こんな事でやられるアイツではないと分かっているが、相手をまだ信用していないためか攻撃が行われる度に彼女の心臓は激しく動いた。

 

「今のは…」

 

「当たれば痛いですけど…」

 

 

 

 

「当たった気配は………ない」

 

 

 

 

 

巻き起こる煙の中、一夏は無事に姿を見せ壁際までたどり着く。

センサでそれを確認したラウラは地面に着弾し抉れた痕跡を見て舌打ちし、自分の甘さに苛立った。

焦りと考えなしが災いし照準が僅かに下に向いてしまったのだ。

 

(流れで隙を与えんとしたが…甘かったか)

 

(ギリギリ足元に着弾してたから良いけど、バックステップ踏んでなきゃ掠った(・・・)程度では済まなかったな)

 

着弾する直前、地面を蹴り更にスラスターを使い僅かにスピードを上げて後退し、それが功を奏して一夏は直撃を免れた。

それでもタイミングが一歩遅かったのか彼の機体に僅かに掠ってしまい、シールドエネルギーに目を落とすと予想よりも多めに消耗していた。

 

「今ので砲撃一発分…当たればタダでは済まないってな…」

 

壁に張り付き、そこから蹴りと瞬時加速で再び最接近を考えるが、それだけでは相手に直ぐにバレてしまう。

現にラウラの脳裏には彼が二段構えで接近してくると直ぐに予想がついており、そこから更に何等かのやり方で近づいてくるはずだと警戒していたのだ。

 

(損傷個所はなし。けど今ので足元にダメージを負った…多様は難しいか)

 

(接近されればこちらも何らかのやり方でダメージは与えられる。銃でも同じだが、前のように冷静でもないからな…照準にブレがどうしてもできてしまう)

 

しかし、それで良いのかもしれない。

無意識ではあるがラウラは銃を撃つたびにそうした納得感というのを感じていた。

冷徹に、無情に撃つことに違和感を感じつつも、照準の狂いがないことから「それで良し」と納得していた。僅かに感じたむず痒さを彼への憎しみと殺意、そうであると思い込むように。

 

今になって分かる。そんな感情だけで照準のブレを抑えられたということに驚きはしているが、それこそ空っぽな機械人形のようなものではないか。

そう考えると彼女の頬は気付かないうちに緩んでいた。

 

 

「―――ここからが正念場だ…!」

 

殺意もない。ただ純粋に相手を倒す。殺すのではなく、ただ屈服させるために彼女は戦う。

スポーツのように相手を讃え、決闘として全力で応じる。

これが彼女のケジメ。彼への返礼だ。

 

「なっ!?」

 

重低音が響き、センサでそれを確認した一夏は抜けた声で驚く。

それはVIPルームで見ていた箒やメリルたち、そして管制室で見ていたスネークたちも同じで現れた重火器に血の気を引かせた。

 

「M134!?」

 

「ガトリング…!?」

 

 

「本気かよ!?」

 

「ああ…本気さ…!!」

 

電動音と共に銃身が稼働。刹那、数千発と言える弾丸の嵐が文字通り一夏向かい降り注いだのだ。

これには彼の本能が頭よりも先に体を動かしブースターを全開にし壁に沿って逃げ始める。

 

「嘘ぉ!?」

 

これには流石の一夏も本性に近い顔を見せ、冷や汗をいっぱいにする。

いくらISを纏っているからと言っても生身の時の感情と出来事が彼の体を動かし、危機から回避するために頭を置いてけぼりにする。

無意識に近い状態で逃げる一夏は反撃に転じることもできず、ただけ壁際を逃げ続けるしかなかった。

 

 

管制室で見ていたオタコンは、ため息を吐いて一夏の逃げる姿に心配になっており、その隣ではスネークがホワイトチョコを口に加えて眉一つ動かさないままモニターを見ていた。

 

「あーあ…ガトリングに逃げるしかないか…」

 

「…まぁ、嫌な事は散々あったからな。逃げるのも無理はない」

 

「けど、これじゃあジリ貧だ。彼、大丈夫かな…?」

 

「…これで終わるようなタマか?イチカが」

 

「それは、そうだけど…」

 

 

だがジリ貧なのは事実だ。それを彼がどうするのかと、期待と焦りの混じった内心の所為か、ホワイトチョコがいつもより早く溶けた感じを口の中で味わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崩れてく壁と逃げ続ける白式。

そしてその彼に絶えない弾幕を打ち続けるシュバルツェア・レーゲン。

逃げる狐に、兎は容赦ない追撃を行い獲物を追い込む。

 

 

 

 

(どうした。これでは状況は変わらんぞ…!)

 

 

(ああ。今はまだ変わりはしねぇ………けどなッ!!)

 

 

 

 

過去にある男が言った。

 

―――追い込まれた狐はジャッカルより凶暴だ。

 

 

 

「M4ッ!!!」

 

『Call M4 Custom』

 

 

一夏の反撃が始まる。

表情、雰囲気、構え

そして過去からの経験。

 

彼は今も変わらない。チャンスになればそこに賭ける。

 

 

 

 

 

(来るッ…!)

 

(M4………もしかして!)

 

 

刹那。一夏はM4の下部バレルに装備したグレネードランチャーだけ(・・)を構え銃本体は片腕と脇だけで抑え込み、無理やり照準を安定させる。

狙いは無論ラウラ。これを外せば逆転は難しいが

 

 

「アイツは…」

 

「え…?」

 

「アイツは…子供の頃からそうだ。いつも無茶ばかりをして、何処かで自分ひとりで背負っている。

だからかな………もし、カミサマという奴が居るのなら。いつもそうしているのだろう」

 

 

 

自然と、自分でも無意識の内にそんな顔をしていたのだと。彼女は後になって知る。

懐かしさと嬉しさと、そして矢張り勝てないな、と羨んだ目に雫を溜めて彼女は言ったのだ。

 

 

 

アイツ(一夏)は逆境を味方にする」

 

 

 

戦場で悪運とでも言うのだろうか。

一夏はいつも、子供のように無邪気な顔と共にそんな場面を潜り抜けてきた。

ただ純粋に、決めたことを後悔せず未来ではなく現在に賭ける。

だから何時も、カミサマは答えてくれる。

最高以上の答えをものを彼に見せつけてくれるのだ。

 

 

 

 

 

「――――――!!!」

 

 

まるで。答えてくれたかのようにそれは目の前に現れた。

一夏のM4から放たれた一発のグレネードは弾幕の嵐の中、数発の弾丸にめくられてその姿を輝かせた(・・・・)

 

 

(閃光弾ッ!!!)

 

 

光がラウラの視界を覆っていく。

それは彼女だけでない。その場にいた全員に降り注ぎ、爆発音と共に甲高い音が波のように広がっていく。

視界も、聴覚も。その一瞬だがすべてが奪われた。

 

 

「しまっ―――」

 

「よしっ…!」

 

 

唯一、閃光対策を行っていた一夏は光の中をサングラス等の応用で作られたバイザーを使い難を逃れ、僅かな間だがチャンスを作った。この機会を活かさなければ一夏は再びガトリングに追われる状態に逆戻りしてしまう。

はやる気持ちが体に汗を滲ませるが、彼の表情と頭の中はその一瞬だけクリアになりつつも何か鮮明に浮かび上がっているような感覚だった。

たった一時だけの事。長く思えば直ぐに忘れてしまうような状態。

ここで途切れさせるわけにはいかない。

 

 

「ッ………!!」

 

閃光弾に遅れをとったラウラは視界が回復する前にガトリングを構え、僅かに聞こえるブースターの音を便りに銃口を動かす。

彼の機体の特性を考えると汎用性は高いがどちらかと言えば使用者が接近戦を重視しているので近づいてくるのは明白。

後は視界が回復し音のするほうへと向いていれば何時でも攻撃は再開できる。

 

…筈だった。

 

 

「な――――」

 

 

覆っていた光は小さくなり、やがて段々とではあるが周りの色が正常に見えてきた。

しかし肝心の一夏と白式の姿がどこにも居らず、戻っていく目とセンサには白い形すら見当たらなくなっていた。

 

「アイツは…!?」

 

 

「ッ!一夏ッ…!!」

 

「えっ…あ!」

 

VIPルームという広い範囲を見渡せる場所から一夏がどこに居るのかと探していた箒と鈴は、消えたと思われた彼の姿を見つけると声を漏らす。

その声がラウラにも聞こえたのだろうか。彼女も箒たちと同じく彼の姿を視認した。

 

今まで自分が見ていた場所に居ないのなら、そこから少し離れた場所を探せばいい。

 

 

「まさか…!」

 

あの一瞬で一夏は上昇し、そこから一気にラウラに向かい突進しようとしていたのだ。

構えた刀と、目くらまし用のグレネード。それを見ただけでも彼が決死覚悟で突っ込んでくるとしか思うことができない。

確実に向かってくる。それだけでラウラの背筋は冷たく凍りかけていた。

 

 

 

「貰ったッ!!!」

 

ブースター全開、グレネードのピンを外し一夏は接近してくる。

迷いのない突進にラウラは狼狽し頭の中が混乱状態に陥ってしまう。

加えてガトリングの重さで素早く動くことのできず反応が遅れたというのと合わさってしまうが、何も出来ないわけではないとMP5で牽制を行う。

 

「なら、当てろよッ!」

 

「ッ…!!」

 

ばら撒かれる弾幕にニヤついた一夏はグレネードをラウラめがけて投げつける。

止まることなく近づいてくる一人と一つに後先も考えず銃口を向け、引き金を引き続ける。小さな弾幕の嵐はその中を進んでいく無機物の投擲されたグレネードを掠り、貫通し、そして弾けさせた。

 

「あ…」

 

これで一夏(自分)の姿は見えなくなった。

焦りと優勢さに煙の中で二人の表情は傾く。かつてなら誰もが予想しえなかった状態を引き連れ、その原因たる二人は互いの得物を交えさせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんか…動きが散漫になってる…」

 

「………。」

 

「多分。あれが…本来の彼女なんじゃないかな」

 

「………かも、しれませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――生まれてきたのは群れの中で

 

 

そうだ。これが本来の自分だったのかもしれない。

憎しみと殺意に呑まれ、見失っていた自分。

 

 

―――選択肢はない

 

 

機械のように動くことでもなく、機械のように冷徹でもない。

負の感情が薬物のように自分の体を抑制し、増幅させ、助長させる。

「ただあの男を殺すために」

その事だけを考え、すべてを棄ててきた。

 

仲間も。忠誠も。信頼も。力も。あまつさえ、何処かで封印していたもう一人の自分も。

 

ただ子供だったからというだけで見ぬふりをして棄てたもう一人の自分。

彼女が誰よりも、自分よりも自分を考えていた。

 

それが本当に正しいのか。

それが本当に立派な信念か。

 

それが本当に、自分が望んだことに繋がるのか。

 

 

 

―――違う。これは私の望んだ願いにはならない。

 

 

 

あの日、自分の咎がすべて襲い掛かった後。彼女は漸く自分(ラウラ)と向き合えた。

本当はただの子供の我が儘だった。あの人に居て欲しい。一緒に居たい。

独りでありたくない。

それが互いの傷の舐めあいだとしても、願いは本物だった。

そして。そこから願ったものも、彼の言葉がある種正しいものだった。

 

あの人と一緒に居たい。

独りだった自分を救ってくれたあの人と。

ただ一緒に居たいだけだった。

 

自由が欲しかった。

 

 

考える事。見る事。知る事。居る事。

 

組織や国家に縛られない。自由(フリーダム)が欲しかった。

 

 

 

 

―――こんな生き方はもうたくさんだ。

 

 

機械のように生きる事も。

誰かの命令にだけ従わなければいけないのも。

自分の事を否定されることも。

 

あの日。彼女(シャル)が手に入れたように。

 

 

―――逃亡計画を企てる

 

 

 

もう、過去の自分と決別しよう。

 

そう。

 

 

 

 

 

 

 

―――全てを捨てて群れから去る時だ

 

 

 

 

 

 

「見つけた―――!!」

 

「ッ………!」

 

肉薄した白い戦士に、ラウラはプラズマを両手に纏い横なぎに振るわれたブレードを受け止めた。

 

「ッ!?」

 

「ぐっ…」

 

力の限り受け止め事に一夏は動揺するが、それも良しと力押しにブレードを食い込ませる。

負ける気はない。それに応ずるようにラウラも捨て身覚悟で受け止め続ける。

反撃のチャンスは一夏でなく自分にもあるのだから。

 

 

「ま…け…」

 

 

「る…かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

食い込んだブレードがプラズマを打ち破り、ラウラに直接ダメージを与える。

切り落とされたブレードの一撃にようやくかと思うが、直ぐに反撃が来ると悟り回避を行う。

自分の攻撃で大きな隙ができた。その反撃は絶対に回避できないと知っていて。

 

 

「っ…あああぁぁぁぁぁ!!!」

 

ワイヤーブレードをすべて射出し一夏の体に手あたり次第に刺し込んでいく。

隙のできてしまった彼はそのまま防御もままならず右腕、左もも、左肩、右あばらにそれぞれ一基ずつ攻撃を叩き込まれ、更にはダメ押しにと右ストレートを腹に殴りこまれた。

 

「がっ!?」

 

「っんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

もはや子供の喧嘩にも近しい状態のままラウラは無心でストレートを決める。

コンボで攻撃を食らった一夏は全身を揺さぶられ、一瞬だが意識を失いかけ脳をシェイクされてしまう。

 

「ッッ…!!」

 

しかし辛うじて足が踏みとどまり、意識も失わずに保った。体が無意識に力を入れ、踏ん張ったのだ。

直ぐにブレードを構えなおし間髪入れずに反撃を行う。

先ほどの斬りではなく、一転集中の突き。突進の体勢だ。

 

 

「そんなものッ!!」

 

ラウラは相手が突撃してくるとブレードを脇に入れ、一夏を受け止める。

ISと本人の突進の衝撃が軽減されつつも体に襲い掛かり骨の隅々まで響き渡らせるが、歯を食いしばる彼女は白い機体ひとつを丸々受け止めた。

 

「もらっ…!」

 

「悪いがなぁ…!」

 

それは一夏も計算済みだ。

自分が受け止められること。これが彼の策だったのだ。

ブースターとスラスターが全開に稼働し、一方向にすべて傾く。

勢いよく吹かすその音に何をする気かと思うが、ここで彼のやる事はひとつだ。

 

 

「Ignitionッ!!!」

 

「ッ!?」

 

刹那。一夏は瞬時加速を使い、ラウラ諸共うしろにある壁へと突進した。

爆発的な加速に振り解くことのできないまま、彼女は壁に衝突。そのまま大穴を開けて全身の骨に、神経に響かせた。

 

「っあ………」

 

「壁とはなにかと縁があるんでね…!」

 

「これ、修理大丈夫?」

 

「………さぁな」

 

 

 

 

このまま決める。一夏はブレードを一旦戻すと素手のままラウラの腕をつかむ。

壁から引き抜いてこのまま投げ出す気だ。

そのまま攻撃を決めればいいのではと思う者もいるが、現在の彼らにはそんなことを考える余裕はなく、後先も考えず体を振るう。

 

当然。それは彼女も同じだ。

隙あらば抵抗する。

 

 

「ッ!!!」

 

「えっ」

 

 

 

反応が速い。一夏も僅かに慢心したのかラウラが反撃に出たことに気付くのが遅れてしまい彼女の尾のマニピュレータ―に接続されたチェーンソーの一撃を僅かに掠らせた。

 

「い゛っ…」

 

「あああああああああああ!!!」

 

 

 

―――痛みを打ち破れ

 

―――自らの傷跡を誇れ

 

 

 

獣の如く。狼の如く。

少女は食い掛かる。

痛みを体に、信念を胸に。

恐れず、止まらず、前に進む。

 

その先にある自由を手に入れるために。

 

 

 

―――決めるのは自分自身だ(I'm My Own Master Now)

 

 

 

 

叛逆の刃を振りかざした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀色の一閃。それが最後の決め手だ。

 

 

 

「ッ―――――――」

 

 

「ッ………」

 

 

 

タッチの差で一夏がブレードを使いチェーンソーを受け止めた。

一瞬片手だけだったので力が入らなかったが、直ぐに両手持ちにしたことで安定しブレードとチェーンソーは拮抗したまま止まっていた。

 

これが最後の手。

まだ他にも手段はあるというのに、ラウラは決めつけてしまい敗北を悟った。

 

ブレードでチェーンソーを弾かれ、呆けてしまった自分は一夏に組まれる。

 

そして、残るすべての力を振り絞り、自分は投げ飛ばされたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………。」

 

 

地面に倒れたラウラは、そのまま呆けた顔で微動もしなかった。

体力が尽きたわけでも、疲労が頂点に達したわけでも、機体にトラブルがあるわけでもない。

なのに体は動こうともせず、ただそのままに青空を眺めさせるだけだった。

 

「………。」

 

ぽかんとした顔で空を眺めるラウラは、ただそのまま雲を眺める。

白い塊がゆったりと流れていくさまに、不意に羨ましく思う。

 

特に理由もない。なのに。なぜだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………よう。生きてるか」

 

 

果てなき空のように、何かが広がっていく感覚。

 

 

「………ああ」

 

 

これが自由か。

 

 





さてさて。これにて無事Act.2は終結。
次回からAct.3





ではなく。
Act."2.5"になります。

言わば後日談とか閑話とかですね。
まだ決着してないところもあるので、そこはここで。
尚。タッグマッチ戦と臨海(林間でしたっけ…?)はどちらもAct.3。
Act.2.5の終了後となります。
以前書いたスナッチャー編は多分Act.3の先になるかと…

それでも良い、という方はこれから先もよろしくお願いします。



…おや。リザルトがあるようですね。









Act.2 クリア報酬(ダンボール)

夜間戦用ダンボール
夜間用に黒い塗装が施されたダンボールで中からは簡易的な暗視装置が搭載されている。定員は二人。尚、暗視装置のバッテリーは長く続かないので長時間使用は厳禁。

MGS4のあとにコスタリカで隠されていたのをソリッド・スネークが回収し、それをオタコンが(渋々)修復。その後一夏の手に渡った。

尚ロゴマークが髑髏であることからかつてビッグ・ボスが組織した傭兵部隊で開発されたものらしく、彼が提案し設計図を引いたようだが副指令に断られたらしい。
しかし本人はあきらめず少数生産を行い、その中の一つをコスタリカのベースキャンプに隠していた。
ちなみに保存状態はよかったらしい。




Act.2 クリア報酬


おめでとう!

黒ウサギラウラ は ワンコラウラ に進化した!



ラウラ「なわけあるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


カズ「………。うん。なっちゃったんだよ」




では。Act.2.5でまたお会いしましょう。
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