IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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さて、今回からAct.2.5に突入。そしてその記念すべき第一回である第四十七話です。

このAct.2.5は所謂保管ストーリーでメインActである話からは少し外れて各キャラクターたちに視点を当てていきます。
いわゆるサブシナリオ、インターミッションですね。
と言っても少し長いですが…
ご感想でも要望があった水着回はこのあたりで実施しようかなと思っています


っていうか多分ここでないと後は臨海とMGS寄りのオリジナルになるんで二度とないか…


その他のことについてはまた後書きで…


では、Act.2.5第四十七話をお楽しみ下さい。


Act.2.5 Side Story
No.47 「帰宅」


 

 

 

 

一夏とラウラの決闘から数時間後。

 

ヘリポートのない第二国際競技場では駐車場に一機のヘリが降り立ち、直ぐに離陸できるようにローターをゆっくりと回し続けていた。

人工的な風が辺りに吹き、まるで他の人間を寄せ付けないようにしている様で、たった一人の少女のみが招き入れられるように風の中を歩きヘリに足を踏み入れていく。

彼女だけがあのヘリに乗れる。誰もが理解していた。

 

 

「………。」

 

無言のまま振り返ると、少女は口も開かずにただ後ろに立つ彼を見つめる。

硬く閉ざされた口は本人たちの意志でも開こうとせず沈黙のまま互いに目を合わせあい、かける言葉はない二人はまるでそれが意思疎通であるように目を逸らさずにいた。

 

やがて小さく微笑んだ少女は、再び前へ振り返るとヘリの中に足を踏み入れていく。

両手にはしっかりと銀色の手錠がはめられ、彼女が抵抗できないようにと一応の警戒の意味で付けられている。本人もそれで納得しているのか不自由であっても文句も言わずに入っていく。

 

 

 

これで最後なのかもしれない。彼女、ラウラと会える時は。

そう思うと少し寂しく感じたのか一夏ははにかんでその感情を紛らわす。

嬉しいのやら悲しいのやら、複雑な思いのまま彼は強く回転するローターに目をやった。

音と共にヘリが持ち上がり、朝日が残る空へと浮上し彼ら(・・)の帰るべき場所へと飛び去って行く。

制服ではなく久しぶりの私服をまとった一夏は特に悪い表情を見せぬまま、窓から下を眺める彼女を見送り飛び去るのを見届けた。

 

 

「………。」

 

ここから、彼女の新しい道が始まるのだろう。

良いも悪いも、全てが新しい人生が。

償うこともあるが、それでもかつては見つからなかった事がもう一度見つかる。

錘のついた鎖でもない、繋がりという糸が張り巡らされた自由の世界。

 

今の彼女には、この世界がどう見えているのだろう。

脳裏でそう思うオタコンは一夏と共にしばらくそのまま飛び去って行くヘリを見つめ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やるだけやって、残ったのは膨大な後始末だけね」

 

「ですが今回、誰も犠牲者が出なかっただけでも儲けものです。重軽傷者は居ましたがそれももうすぐ退院。あとは学園の方です」

 

珍しく和装を身にまとう楯無は同じく私服姿の虚を後ろに電波塔の上から飛び去るヘリを眺めていた。

小さなため息を吐いてこの後の事を思う楯無はやる気の無さそうに「そうねー」と脱力して答えると、彼女の元部隊によって開けられた傷の部分に手を置いてぼやいた。

 

「結局、私は何のために腸抉られたんだか…」

 

「仕方ありません。普段ふざけている罰だと思ってください」

 

「…嫌に楽しそうね虚ちゃん。何、私にぽっくり逝ってほしかったの?」

 

「いえ。貴方ほどの人間がそう簡単に死ぬとは思えませんし、私はいい薬になったと思っています」

 

「…いつか呪っちゃる」

 

「呪う呪わないは勝手ですが、それは私ではなく向こうにしてください」

 

虚がそういうとどこから取り出したのか一枚の古風な手紙を取り出し、それを楯無に差し出す。

今時こんなものと思うが、楯無にとってそれは嫌なことの前置きにしかならない。

こんなものと思えるからこそ、宛ては一つだけだからだ。

 

「『御所』からの呼び出しです。内容は恐らく…」

 

「今回の件について…でしょうね。元発情期兎ちゃん(ラウラ)元少女兵士ちゃん(シャルロット)の二人に対する政府からのご命令ってとこじゃないかしら」

 

「…政府からの通達というのは先ずないかと。まぁ大方コアを寄越せだのなんだのというのは確実でしょう」

 

「数限りあるコアを自国の物にする…そうすれば自分たちの立場が危うくなるというのに…」

 

――おバカねぇ…

一部官僚が考える無能さに頭を痛める楯無は、呆れた顔でそれに該当するだろう人物たちを脳裏に浮かべ、彼らが考える事やセリフを再生していた。

大方そんなところだろう、と一通りイメージし終えた彼女に、虚が再び声をかける。

 

「やる事は山積みですよ。お嬢様」

 

「…そうよねぇ。とりあえず今は…」

 

楯無は懐から携帯と何かの小型デバイスを取り出すと、携帯のプラグ差し込み口と同規格であるデバイスを差し込み、そのまま何処かに連絡を入れた。

 

「先にそちらですか?」

 

「とりあえず生徒優先。個人は後」

 

彼女がそう言って電話をかけた相手は、絶対に相手が彼女であるとは思わない人物。そしてどうして番号を知っているのかと驚く人物だった。

当然、その人物は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…イチカ。iDROIDがCall(着信)しているよ」

 

「え?…大佐か…?」

 

思い当たる相手が現状彼とその娘しか思えない一夏は、一体誰からの連絡かと思いiDROIDを起動。直ぐに応答するが…

 

 

 

 

 

 

 

『はーい!エメリッヒ君げんきー?』

 

そこに現れた満面笑みの楯無の顔に、一夏は思考停止を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

『――――おーい?』

 

 

「………オタコン」

 

「いや。僕のせいじゃないよ」

 

「いや、でも」

 

「ちがう。ぼくじゃない」

 

 

「「……………。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「オタコン。逆探たのむわ」

 

「OK、任せて」

 

『ヘイそこの二人!!私を狙撃する気でしょ!!!』

 

願わくば爆破も厭わないと付け足す一夏は、ようやく状況を飲み込んだのか深くため息を吐いて目の前に投影された少女の声に耳を傾けた。

 

『せっかく私が色々としたのに恩を仇とエロ同人みたいに返すのね!!!』

 

「テンション高いのは結構ですが傷が開いてもしりませんよ。あと、どうやってコレの番号を?俺、履歴書には自宅の電話番号しか書いてませんでしたけど」

 

『そこはおじさまの所から逆探を』

 

「………。」

 

「相変わらずのやり方だね…」

 

『まぁまぁ。一応、この電話は盗聴されないようにしているから。聞きたい事は気兼ねなく…』

 

「の前に、何か言いたい事があってコレを連絡したんでしょう、先輩」

 

大方それが理由だろうと先に彼女の要件から聞くことにした一夏に、楯無は僅かな間沈黙するが、やがて呼吸を整え口を開いた。

 

 

『じゃ、先に私のほうから…まずはデュノアちゃんについてね』

 

「………。」

 

『彼女がフランス政府から帰国するかどうかって話があったのは聞いてる?』

 

本人から聞きました、と一夏が答えるとなら話が速いと楯無は上機嫌に続ける。

 

『あれにデュノア社の社長が茶々を入れてきてね。彼女に帰国を要請したの』

 

「いつの話ですか?」

 

荒げた声で問い詰める一夏に、スピーカー越しの楯無は反射的に離すとそこまで反応するか、と思いつつ問いに答えた。

 

『つい今し方の事よ。向こうも向こうで混乱しているから、とりあえず広げた風呂敷をたたもうとしているのよ』

 

「どういう…?」

 

『今回のあの兎ちゃんの事件にデュノア社の夫人が関与していた。そして、彼女は事件中に爆弾による攻撃を受けて行方不明に。本社は今大騒ぎってわけ』

 

 

リキッドに従属した次はテロ行為に近い事を行ったラウラに加担した。

それが正気なのかと疑いたくなるが、現実そうなってしまい起こったことに一夏は何も言い出すことができなかった。

恐らくその時のラウラの心境から考えると互いに利害が一致したというだけでいつでも切り捨てる事を考えていたのだろう。

ただ夫人の詰めが甘かった。当時の彼女はその為なら爆殺だって厭わないような状態だったのだ。いくら弱みを握っていても物理的に効果がなければただの噂か揺さぶりにかならない。

その所為で本社で直接攻撃を食らった。話はそんなところだろうとオタコンは予想していた。

 

「本社のほうは爆発事件で大騒ぎだしそれで顧客が逃げかねないといって対応に追われている。だから今のうちに自分の物である彼女とかを一旦集めようとしてるんだね」

 

『そういう事です。幸い、社長とデュノアちゃんには実質的な血のつながりがある。誰がどう言おうと彼女は社長令嬢なのは変わりなしってワケよ』

 

「…おまけ、シャルはISの適性を持っているし戦闘経験だって豊富だ。ナノマシンをとっても体がそれを覚えているから、そこまでマイナスにもなっていない。

…テストパイロットとしての有用性が残っている、そう言いたいんですね」

 

『ま。本人は帰りたくないって言っているからそこが問題なんだけど…一応こっちで用意したセーフハウスに匿っておいたから。何かあればそっちに行って』

 

「…ちょっと待ってください。学園は?」

 

別にそれなら何処の法も命令も受け付けない学園内の方がまだマシではないか?

誰もが思う事に疑問を感じた一夏は真っ先に問うが、分かっていた楯無は答えにくそうな顔で頬を掻いていた。

 

 

 

「いえ。学園はダメ。今あそこは修理とかで大変な状態だから」

 

『けど、学園としての効果は失ってないはずだ』

 

事件で確かに学園の施設は爆破された。だが、学園その物の機能が失われたわけではないのでそちらで匿えば十分なことではないかと思う一夏に、楯無は少しは頭を使いなさいと説教のように反論する。

ラウラが起こしたことによって無政府状態のようなものになった学園は、ある意味あそこは現在アメリカの西部開拓時代さながらの無法地帯だ。

 

「それでもよ。今回の件で少なくとも日本、ドイツ、フランスの三国は学園が無防備に近い状態であるのには勘付いている。ノコノコ帰ればまた別の厄介ごとに発展しかねない。特にデュノアは是が非でも彼女を取り返しにくるでしょうね」

 

『…潜入ですか』

 

「あなたが得意な事でしょ?」

 

『………。』

 

「で。結局学園では誘拐とか平気で起こしそうだから、フランス政府と話しを付けるまで匿う事にしたっていう事で、分かった?」

 

いやと言うほど、とうんざりした声で答えた一夏は仕方ないと彼女の話に納得する。

それならまだ守れる力のあるほうがマシという事だ。

 

「それと、彼女の居場所については追って話すから一旦学園の窓口に着て頂戴ね。貴方たちに話してないことがあるから」

 

『………分かりました』

 

「―――それと」

 

『………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏くん。貴方、傷は?」

 

 

『………………。』

 

 

 

その後。一夏の傷が問答無用にぶり返したのは言うまでもない。

 

(アドレナリンで痛みが消えてたのか?まぁ…それでも悪化は免れないか)

 

 

 

 

 

 

 

「………。」

 

痛みに苦い顔をする一夏とそれを心配に気遣うオタコン。

車を回してきたは良いが呆れるスネーク。

 

そして、それを眺める一人の人影があることをこの時、彼らは知る事ができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼頃になり日が頂点に達し始めた時間。

一夏は一旦病院に戻り再度検査を受けると専門の医師からしばらくは過度の運動を控えるようにと言い渡された。

傷そのものは治ったが再び開く可能性があるからだそうで、その場合は完全にドクターストップを言い渡すとまで言われたので、一夏はどうにも反論できず、オタコンは横でため息を吐いていた。

 

 

「………君、これで何回目だっけ。生死彷徨ったの」

 

「………七回目」

 

「嘘つけ」

 

「………………八回」

 

これには流石のスネークもあきれる他なかった。いつもの事とはいえだ。

 

 

包帯を腕周りに付け、脇腹にはギブス。そしてコルセットを付け、一度上半身を脱げば重傷者さながらな状態で一夏は学園に戻る。

一応日常生活には支障が無いとのことで、軽く腕を回し動くときに気を付ける場所があるかどうかを念入りに確かめる。今回のような万が一があれば現状では満足に戦う事すら怪しい。

持ってきていた銃などは一旦は取り上げられたがその後メリルたちが回収しスネークたちに返していたのでマガジンも補給されている。これで安心だと言えばそれこそ慢心だ。

 

 

「…やれやれ」

 

頭を掻き複雑な心境のまま、一夏は作業用トラックが駐車する広間を通り抜けて学園の窓口へと歩を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、りっひー!!」

 

「…のほほ…布仏」

 

「あ、生きてた!!」

 

「相川。それどういう意味だ」

 

正面を入って直ぐに目の前に現れたのは本音たち三人で、それぞれ何やらカバンを背負い今から何処かに出かけようとしているような状態に相川に睨みを利かせた一夏は鷹月に訊ねる。

 

「…お前ら、どっか行くのか?」

 

「行く…というより、行くしかないかな?」

 

「…は?」

 

自分で選択できないという状態であることに驚くと、そういえばと鷹月がつぶやく。

 

「ああ。エメリッヒ君って話の時に入院していたんだっけ」

 

「…まぁな」

 

「実はあのガス漏れ事故(・・・・・・)で色々と大変になってね。この際だから一切合切全部修理しちゃおうって…学園長が」

 

「………。」

 

そらそうだわな。

大変だったねと話す彼女たちから目をそらしその間に何があったのかを思い出すと、それだけの事になるのも無理はないと嫌でも納得せざるえなかった。

実際は意図的に爆破され寮にも大量のセムテックスやパイプ爆弾が未だに設置されている筈。校舎の方は彼女の部隊と撃ち合った所為で銃弾の穴だらけ。

極め付けにはハインドなんかを使って徹底的に自分を狙っていた。

世紀末ここに極まれり。

恐らく来ている業者も偽装で本当は国連などの息がかかった者たちだろう。

 

「で。しばらくは休校で最悪の場合は第二校舎(・・・・)でやるらしいよ?」

 

「第二校舎?」

 

「うい?いってなかった?」

 

 

 

「あ、エメリッヒ君!」

 

「山田先生。残ってたんですね」

 

窓口のほうから彼らの話声が聞こえたのだろうか、ひょっこりと緑の髪と共に眼鏡を付けた顔が現れると変わらない笑みを見せた山田真那が顔を直ぐに引っ込めると駆け足でドアのほうから姿を見せた。

別件か何かでいないだろうと勝手に思い込んでいた一夏は、申し訳ないと思いつつ久方ぶりにみえる彼女と顔を合わせる。

 

「お体の方はもう大丈夫なんですか?」

 

「ああ…それについては後で診断書を提出します」

 

「…き、気を付けてください…」

 

「ええ。で、先生は一体…」

 

 

ああ。そうでした、と思い出した彼女は手に持っていた数枚の手紙のようなものを一夏に渡すと、彼にその紙に書かれたものの内容を簡潔にだが説明する。

内容は先ほど話していた第二校舎、並びに今回の事での休校などについてだ。

 

「実は、今回のガス漏れ事件で学園の設備の調査並びに修理を行う事になって、そのためにこの第一校舎等は一旦休校になったんです」

 

「…それについて鷹月たちからも聞きましたけど、第二校舎ってどういう事なんですか?」

 

「あれっ…詳しい説明は聞いては…?」

 

「たぶん無いかと」

 

「ああ…ならここで簡単に説明を…」

 

 

第二校舎と呼ばれる施設。それは実質的「もう一つのIS学園」と呼べる場所。所謂分校だ。

相模湾に建てられた人工島で、規模や設備等は本校よりも小さいものの、最新の設備であることに変わりはなく万が一という場合はそこに移されることがある。

今回の場合は偶然というべきか連休前であるため、修理がスムーズに進めば数日の臨時休校を含めて再度使用が可能。しかし時間がかかる場合は数日ほどはその第二校舎で行うという可能性が出てきたということだ。

 

「というわけなんです」

 

「…なるほど」

 

「一応、既に修理作業自体は始まっていて例のアリーナもこれに乗じて直し始めてるんです。ですが、それもあって多分遅くなるんじゃないかって時には…」

 

「そこで授業等を行うと、そういうことですね」

 

「はい。幸い、被害などは少ないですが寮のほうは一旦立て直すとかって話もあるんで…」

 

 

流石にパイプ爆弾とかをそのままにはしておけないからな、と内心でぼやく一夏は適当な相槌でその場を誤魔化し知らなかったというそぶりで話しを聞く。

 

「で、とりあえずは連休前ということも重なって一旦休校となったという次第です」

 

「…その分遅れた授業は休みをつぶすと…」

 

「あー…まぁ教師会議でそれは出されてましたね…」

 

「え!?休みなくなるんですか!?」

 

「な、なんだってー!?」

 

 

「ちょっと真那ちゃん、その話は聞いてないんですか!?」

 

「休み、お休みがなくなるんですか!?ブレイク・ザ・ワールドなんですか!?」

 

「どこのコズミック・イラだ」

 

「じゃあシドニーへのコロニー」

 

「宇宙世紀でもダメだっての!!!」

 

「いえ、アフターコロニー的なあれに…」

 

「…先生?」

 

 

この瞬間、一夏の突っ込みがなぜが輝いたのは彼女たちしか知らない。

 

 

「世代なんですよ!!!」

 

「知らないですって」

 

「やっちゃえバー」

 

「だから違うし、ゲーム自体違うっての。なんでそっち?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ともかく。明日からしばらくは休校で、それまでは生徒たちは一旦帰宅を許されたという次第です」

 

「帰宅って…実家が海外の人はどうするんですか?」

 

「その人たちは学園が所有するマンションにしばらく滞在してもらう予定です。ほら、最近新しく作られたあの…」

 

「ニュータウンですか」

 

事、資金には困らないんだなと思う一夏は、なにも知らない彼女たちがあと数日で事件の事を完全に忘れて、少しだけ変化したという日常を謳歌するんだろうなと思うと、どうにもそれが許せない気持ちになった。

彼女たちは被害者であることには変わりないが、それでも自分の身への危険が近い瞬間だったという事は思ってほしい。日本もそれだけ絶対安全というわけではないんだと、もう少し外の世界について知ってほしかったと思う彼だが、それでも今はそれを忘れて落ち着かせるべきなんだろうと、もう一人の自分のような考えがせめぎ合っていた。

 

「エメリッヒ君は…やはりご自宅に?」

 

「…ええ。でも、その前に荷物纏めないといけないんで…いいですか?」

 

「はい。一応規制線が敷かれているところは通らずに行ってくださいね。まだ危険なところがあるんで」

 

 

 

 

 

 

 

実際、彼にそこまで纏める物などは無い。

必要最低限、あるのは教科書などの教材と武器などだけ。

相反する二つのものが、その場に残った彼の私物だ。

 

 

 

「………。」

 

一人、さっきまで活気があふれていたはずのような明るさと清潔さがあったはずの寮の廊下を歩く。

電気は消され、僅かだが煙のようなのが鼻を刺激する。

所々にはホコリと石、砂などが散乱し所々に汚れが付着していた。

 

そんな世界を一人で歩く。

いつ以来だろうと彼は思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄と火薬と硝煙のにおい。

 

それに紛れて鼻をつまませるほどの鉄分たっぷりの血。

そしてそれによって腐った死臭。

耳の奥から再生されるのは明るい笑い声ではない。

 

銃声と狂声。爆発音と駆動音。

肉が抉れ、建物が崩壊する破壊音。

 

 

 

 

 

 

 

一瞬。彼の視界に映った世界は、かつて渡り歩いたその世界に見えたように思えた。

 

割れたガラス。砕けた石。転がる薬莢。

倒れる死体と銃。

至る所には銃弾の跡。

 

懐かしさに溺れそうになる。

 

 

 

 

ココが、「イチカ」という人間が居るべき世界。

 

あの世界と決別する事を決めてしまった、自分の居る世界。

 

 

この世界が、自分の――――

 

 

 

 

 

 

「ッ――――」

 

 

違う。

今の自分は「イチカ・エメリッヒ」だ。

あの時の「イチカ(兵士)」ではない。

雁字搦めのような頭の中で自分に言い聞かせ、一夏は自室だった場所の枕の下に手を伸ばす。まるで頭の中に浮かぶもう一人の自分から逃げるように、彼は手を伸ばして別の事を考えていた。

 

 

「俺は…」

 

力を得た代価として自分を見失っていた。

今の自分が一体何者なのか、それが彼には分らなくなってしまっていた。

たった二年という月日の中で生まれた三人の「自分」

 

 

戦場を駆け、非情さを持ち合わせていた時の「イチカ」

 

剣の道を知り、その為であっても無益な殺生を行わないと決めた「イチカ・エメリッヒ」

 

そして、その二つを棄てた、元からある、そしてあるべきもう一人

 

 

 

 

かつての自分(織斑一夏)

 

 

 

それぞれ相反する思いが自身の中でせめぎ合い、どれが自分なのかと問いただす。

戦場に居た頃の自分か。守るべきを守る自分か。それとも本来の自分か。

 

 

 

「俺は………?」

 

 

 

深く、黒く、そして泥のような何かに沈もうとした刹那。

 

 

 

 

「…………ッ!」

 

 

 

 

確かな感触が彼の手の中にあった。

冷たい鉄の感覚。握り方が自然と分かる無慈悲な鉄の武器。

彼が事件時に忘れてきてしまった、そして今も忘れそうになった物が、そこにはあった。

 

 

「………スネーク」

 

 

一人の男の遺品。

弾は入っていないが、状態の良さからマガジンを入れれば再び使えるだろう。

スネークが「オペレーター」という名の銃を使っていた、その原型。

M1911A1コルト・ガバメントのカスタムタイプ。

スネークと呼ばれた男、デイビットはコレを「スネークマッチ」と称していた。

伝説の英雄「ビッグ・ボス」が生前に愛用していたといわれる銃で、原型であるA1よりもかなり手が加えられている。

スネークもこれを見つけて手にした時には言葉もなかった。

これが約五十年も昔に作られた銃であるのかと思えるほど精巧な作りと完成度。そして保存状態。見つけた当時はまるで今さっきまで使っていたかのように綺麗なものだったからだ。

 

 

「………。」

 

一丁の歴史を手に握る一夏は、ただジッとその銃の姿を見つめる。

ハンマー。サイト。マガジン導入部。スライド。

何度も見たことのあるものなのに唐突に鑑賞し始めた彼は、それを眺め終えると小さく微笑んだ。

 

「………馬鹿らしい」

 

 

確かに自分の中には三人の自分が居る。

だが、それを纏めて作り上げられた人間。その意思の一つ一つがある体の持ち主。

それが自分(一夏)であることには変わりない。

どれも誰も、全員同じ一夏(自分)なんだ。

そう思うと考えていた自分が馬鹿らしくなり、彼は思わず笑ってしまったのだ。

 

 

「俺は俺…それだけは…確かなんだ」

 

心残りが無いわけではない。だが今はそれで充分だ。

スネークマッチのマガジンを取り出して中に弾が無いのを確認すると、SOCOMと共に後ろ腰にあるホルスターに刺し込んだ。

 

「―――よしっ」

 

しっかりと中に入れたことを確認すると、一夏は忘れ物がないかと最終確認を行い周囲に目を配る。しばらくは戻ろうにも戻れないので忘れ物はないようにしようと子供のようにきょろきょろと見回し、それも終えると部屋を後にした。

 

もう忘れたものはない。確認も終えた。

後は戻ってオタコンたちに知らせるだけだ。

まだ聞きたいこともあるし、と彼らへの問いを頭の中で整理しながら少しずつ近づく工事の音を背に階段を下りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………。」

 

そこにひとつの工事用の品が入っていると書かれたダンボールが置かれていたのに気づかずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏がオタコンたちに聞きたいこと。

それは今回の一件での彼に対する処分だ。

ただの被害者として終わるのは、それとも何らかの参考人としてしばらくは監視を付けられるのか。

なにせ現在の自分は色々と曰く因縁噂が絶えない人物となってしまっているのだ。

なにが原因でまた新たなトラブルが起こるのかわかったものでもない。

 

「結果的に国連とドイツの邪魔をしたわけだから確かに狙われる可能性もある。けど、一応はドイツもこっちの事情を聞いて了解はしてくれたよ」

 

「…スネークか?」

 

「いや。大佐だよ。一応向こうにもコネはあるようだからね」

 

「そっか…で、日本政府は」

 

「そっちも心配ないみたい。彼の話だと黙認するようにって手引きしてくれたらしいから」

 

「ふーん…」

 

取り合えず、一夏自身に対しての追及や監視などは行われずに済んだということは事実だ。

それだけでも聞けた事には満足した彼は、ホッと胸をなでおろし安心したと呟いた。

が、それを一緒に聞いていたスネークはどうしてもそれが引っかかり、脳裏にあることを思い浮かべていた。

以前聞いた話では確かに彼にもコネというべき人物がいる。

年相応でもあるが、彼女こと更識楯無はかなりの策士だ。

 

 

あの時、事件直後の時に救急隊や警察などの中に平然と紛れ込んでいた彼女は誰にも何も言われずにその場に立ち、そして去っていった。

普通なら何らかの反応を見せるはずだが、彼女の場合は存在そのものがないかのように他の誰もが彼女のことを気にしていなかった。

唯一彼女が居ると分かったのはスネークたちと彼女自身から話しかけた相手であるクラリッサのみ。あとは全員知らんぷりだ。

 

その事を考えるとスネークの中に浮かんだ仮説はこうだ。

彼女は確かに居た。だが、何等かのスキルで存在感だけを消していた。

そして、彼女はあの中に、少なくとも公務に関係ある組織に属しているか関係しているとみて間違いない。

でなければ少なくとも入る事すら難しいはずだ。

 

 

「…最近の娘は化け物ぞろいだな」

 

「…だな」

 

独り言で呟いたことを一夏が広いあげ、ため息を吐いて同意する。

セシリアに虚、ラウラに楯無。そしてシャル。

若干数名は理由は分かるにしても、その実力はスネークでさえも引いてしまう。

ヘリを一発の狙撃で堕すわ、苦無使うわ、ナノマシンあるとはいえ殺人マシンさながらの動きをするわ、病んでたとはいえ戦争みたいなの起こすわ…

 

「俺たちの周りの女は化け物しかいないのか?」

 

「考えたくもないな」

 

「………。」

 

と、言いながら一夏は自宅でサニーを抱きかかえマドカの頭を自分の頭の上に乗せながらのんびりとしていた。

久しぶりの自宅でサニーたちが寄って来たのでその成分補給をするためにこの状態のまま話を聞いていた。まだ幼いからか肌の匂いが妙に心地いい。

特にサニーは軽くシャワーをした後なのかシャンプーなどの匂いに包まれていた。

 

「…君、随分と楽しそうだね」

 

「そうか?」

 

「ああ。随分と、ね」

 

「変な事は考えてないぞ」

 

「そうだといいんだけどね」

 

「………。」

 

 

「…でさ。ひとつ聞きたいんだけど」

 

頭の上から聞こえるマドカの声に四人の視線は一気に彼女に集まる。

だらけた姿勢で一夏にもたれかかり半ズボンとシャツというラフすぎる服装で話す彼女に、一夏は何とも言えない状態だなと感じていた。

 

「結局、もう一人の…フランスの方どうなるのさ。被害者でした。監視をつけます。カウンセリングをします。ハイ終わり、じゃ済まないでしょ」

 

「ああ…それか…」

 

本来はここで話すことではないと考えていたが、マドカにとっては今聞きたい話であるようで、初耳であるサニーも下で聞きたげな表情をしていた。

 

実際、シャルの立場は難しいところにある。

彼女がフランス政府からの帰国要請に応じず日本に残ることにした、という事は事実上デュノアから離れることに他ならない。

元々夫人が原因とはいえ、会社からの命令。更にはフランスの代表として学園に来ているのだ。個人のわがまま一つで「残ります」と言われれば迷惑に他ならない。

 

「確かに、シャルは今難しい立ち位置に置かれている。今回の一件で知ったことも含めれば猶更な」

 

「フランス政府からの要請をなしにしても、本社からの何かしらの茶々や警告はあるはずだ。それに、向こうにとっては重要なコアがある」

 

スネークの意見に一夏はああ、と答える。

数に限りのあるコアは今では文化財や自然遺産並みに重要な存在とされており、特にイギリスやドイツなどのIS技術の先進国などではそれよりも格上と一部の者たちが評している。

 

「コアと機体、形式上はシャルの持ち物だが元をたどってしまえばデュノア社、つまり会社であり国のものだ。個人の所有なんて俺のような例外的なものでない限りは…まずありえない」

 

「こ、個人の所有ってそんなに軽蔑視されるの?」

 

「軽蔑されるされないは分からないけど、個人で持つっていうのは基本的にあり得ない。それこそ彼女(・・)でない限りだ。個人での所有になればそれこそ持ち主次第で何処か第三国に招かれたり誘拐されたり。最悪の場合、所持者を殺して自国のものにしてしまうって可能性が高い」

 

「…殺されるの?」

 

「場合によっては、だよ。サニー」

 

少し怖がらせたかなと謝罪するオタコンにサニーは小さく頷くが、彼女にとってはショッキングなのは変わりないので心残りのように頭の中に記録されることとなった。

 

「だから、シャルは仮にフランス政府の要請に従わずデュノアに戻らないと考えるのなら、少なくともフランス政府の承諾を得て後ろ盾にしないといけないって事だ。でなければ卒業後に、本当になにされるかわかったモンじゃねぇからな」

 

「立場の足固めってワケ?」

 

「そうなるな。スネークたちだって二年前には国連ってバックがあっただろ?」

 

「バックと言っても大佐だけで、やれることも限られていたがな」

 

「それに。すべてを決めるのは彼女自身だ」

 

 

「…ああ。だから…ちょっと聞きに行ってくる」

 

マドカに頭をどけてもらい立ち上がった一夏に、オタコンは心配そうな顔で尋ねる。

体のこともあるが、居場所や万が一の事もある。

しかしそれ以上に、彼は何かがありそうで心配でならなかった。

 

「行くのか?」

 

「ああ。場所のメモは貰ってるし、徒歩で行くとするさ」

 

「大丈夫かい…?」

 

「過度の運動を控えさせられただけ。麻酔銃は持っていく」

 

「物はついでだ。スタンロッドも持って行けよ」

 

「そうする」

 

出かけるの?と問うサニーに頭を撫でながら肯定する一夏は、地下室にある物置。そしてそこに偽装された武器庫へと向かう。

マドカとサニーもあとを付いて行き、リビングにはスネークとオタコンの二人だけが取り残さる。が、それは二人が望んでそうした事で、彼らの足音が遠くなると、閉じていた口をオタコンから開いた。

 

 

 

「…随分と優しくなったね。スネーク」

 

「アイツももう経験者だ。それなりに場数も踏んでるし、ヤワではない」

 

「…昔の君なら、もう少し止めていたりしたんだろうね。「迂闊だー」とか「控えろー」とか」

 

「…歳を食えば考えも変わる。長い時間をかければ、少しずつは変わるものだ」

 

「…時間、か」

 

 

 

思えば早いものだ。あの事件からもう二年が経過している。

戦争経済といわれた時代。「愛国者達」によって統制された世界、時代。

それをボロボロになった一人の老兵が世界を救った。

形はどうであれ、結果は何であれ。

そして彼は未来を、行く末を見届けると決めた。

なのに。

残ったのは矛盾と罪だけだった。

 

「納得してないのか。俺があの時、アイツを助けるために戻ったことに」

 

「…正直にいえばね。君の体はもう限界を超えている。医学的に…科学的に君の体はもう死んでいても可笑しくない。ナオミが宣告したタイムリミットはもうとっくに過ぎている」

 

「奇跡か、それとも…カミサマとやらが俺に与えた罰なのかもしれんな」

 

「………惨い話だ。もう戦わなくていいはずなのに、君はもう…人間として生きると決めたはずなのに…」

 

 

 

昔なら、ここでたばこを吹かして考えに耽っていただろう。

だが、今はもう禁煙している。

スネークはそれでも、それは違うぞ。と胸を張って断言できた。

 

「オタコン。それは違う」

 

「…何がだよ」

 

「俺はもう、(スネーク)じゃない。その名前はもう、記号でしかないし。名前でしかない。もうコードネームなんかじゃないんだ」

 

「………なら、君は…あの時。何として戦ったんだ」

 

あの時、高速道路の上で彼は『ソリッド・スネーク』に戻った。

それは相棒である彼の目からも明らかで、本人も理解していた確かな事。

彼がそれを否定するのなら、一体あの時スネークは『何者』として戦ったのだろうか。

興味としても聞きたいが、その正体を知りたいという意欲がオタコンの中に渦巻き、直にスネークにぶつけていた。

友であるから、相棒であるから。理由は不明確だがただ一つ言えるとすれば「傍に居ると決めたのだからこれは知るべきだ」という考えからだろう。

 

「…ソリッド・スネークでもなくオールド・スネークでもない。その二つで呼ばれた君が、一体どういう人間としてあの場に居たんだ」

 

「…簡単なことだ」

 

スネークは小さく笑い彼の真面目さを一笑した。オタコンからすれば馬鹿にされているように思えてしまうが、後に考え直せば意外とシンプルな言い訳(・・・)だった。

 

「俺はもう、蛇には成れない。あれはデイビットという人間が『過去の(・・・)ソリッド・スネーク』を演じただけだ」

 

「ッ…」

 

「だが勘違いするな。考えまで演じるための嘘だったわけじゃない。彼女が人として生きられる。それは俺の中で思っていたことだ」

 

もう昔には戻れない。だからスネークはその過去を再現しただけ。

ソリッド・スネークと呼ばれた時の自分。それになり切って、戦士としての戦いを演じたのだ。ただ彼の考え、意思は揺ぎ無くデイビッドのままに。

 

 

「…なるほど」

 

蛇が擬態するように彼もまたソリッド・スネークという人間に擬態したという事だ。

確かにこれは言い訳でしかない。恐らく彼は演じているつもりが、過去に戻っていたのだろう。かつてのソリッド・スネークその人に。

だが精神的にはそれを認めず、あくまで「デイビット」という人間が「ソリッド・スネーク」を演じたと信じている。

頑固なのか、それともと思うオタコンは聞くだけ無駄であり、それが彼の絶対の回答であると信じそれ以上は何も咎めはしなかった。

 

「にしては随分な暴れっぷりだったね。キャンベルが口止めに苦労してたよ」

 

「手を抜けば確実に死ぬ相手だったからな。あの時は手加減なしのほうが丁度いい」

 

「…ま。死ぬよりかはマシだね」

 

眼鏡をかけなおして答えるオタコンにスネークはげんなりとした顔で腰を低くしてソファに座り込む。思えば久しぶりの戦いだったが以前感じたものとは違い、どうにも生きた感覚というのが全くしなかった。

個人の殺意だけが充満していたというのもあるだろうが、思い返しただけでも彼の背筋の毛を逆立たせる。

 

「…元特殊部隊にSBS、SATにヘイブン兵」

 

「その中に叩き上げの青年一人…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「軽く戦争に対応できるんじゃないか?」

 

「やめてくれ、冗談じゃない…」

 

「冗談で済めばいいんだがな…実際俺はそこが恐ろしい」

 

「僕もだよ…」

 

なんで平和そうな学び舎にあんな叩き上げの兵士がゴロゴロいるのだろうか。

同じことを思っていた二人はそろってため息を吐き、願わくば自分たちに今後牙を向けてこないようにと思うばかりだった…

 




後書きという名のこのAct.2.5について。


Act.2.5は前書きに書いた通りストーリーの進行は少し遅れさせて伏線とかを用意します。
また各キャラクターたちに視点をあてて、新たな関係なども書いていく予定です。
特にISとMGSのメンバーの絡みをここで増やしていこうかなと考えてます、ハイ。

一夏と千冬、そして箒との関係と過去。
ラウラのその後。
まだ登場していないキャラクターたち。
そしてスネークと対を成す彼も…


え。楯無さんについて?当面はないかなと…

楯無「なん…だと…!?」

カズ「だって設定がスピンオフ物だからなぁ…」

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