IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第四話です。

正直、自分でもやりすぎたなって思ってマジで後悔しています・・・
けど、設定も完成しているのでもうこうなったら貫くぞって事でこのまま通していきます。
改めて思いましたがサニーって凄いですよね・・・ロリなのに・・・

今回は初日の夜と後日、箒の出来事。そしてその頃のエメリッヒ家では、という内容です。
やっぱり一名黒くなってます。(性格が)

それでは、誤字脱字・駄文はご愛嬌。
それでも言いという方は
第四話、お楽しみ下さい。


No.04 「現実」

『先ずは無事入学おめでとうと言っておこう』

 

「よく言うぜ。こっちは色々と苦労していたんですがね」

 

空中投影式のモニターに移るキャンベルの対し、一夏は皮肉めいた言葉で言い返す。

鎌掛けられて決闘を申し込められるわ、クラスの教師と生徒共に元身内と関係者。加えて協力者は居たは良いがそれを話していなかった。

 

踏んだり蹴ったりとまでは行かないが、初日から色々と気苦労の耐えないことばかりだったのは事実だ。

 

『そういうな。学園内での協力者の件は謝るが、後は偶然起こってしまった事だ。そこは私にも、どうしようもない』

 

「・・・・・・そんなんだから娘に何時までも女タラシって呼ばれてるんだよ・・・」

 

『何か言ったか?』

 

「いや・・・何も」

 

 

地獄耳ではないと言う事を願い、一夏はキャンベルに対する愚痴を小声で呟いた。

最後に聞いた話では、(メリル)との関係は直ったと聞いていたが、実際の所まだギクシャクしている関係が続いているらしい。

今まで劣悪な関係が長かった二人にとって、改めてどう話すのがいいのか。

それが分からず、何処かすれ違うといった事が続いていたのだ。

 

そんな中で彼がこんな女子学生との関係が知られてしまったらどうなるのか。

最悪、彼女のブラジャーよりも付き合いの長い銃で鉛玉を叩き込まれるだけでは済まない。と言うよりも済まさないだろう。

 

 

『兎も角。二人については私が保証する。彼女達はこの学園で唯一君が私との知り合いで、かつ別の目的で其処に居ると言う事をな』

 

「・・・それには感謝しますよ。けど、次はもう少し先に言っててくれませんかね」

 

『其処は次から善処しよう』

 

「・・・はー・・・」

 

開き直ったキャンベルになんとも言えない顔をしていた一夏。

歳をとっても女タラシをする元気だけはあるのだな、と呆れていたが、其処にもう一人。彼のタラシに呆れる者も居た。

 

 

『全く・・・娘ほどの女の次は女子高生とはな』

 

『ッ・・・スネーク!?』

 

空中投影式のモニターからもう一つの顔が現れる。

其処には、老いても貫禄ある風格と顔を持つスネークが映っていた。

通信相手は一夏だけだと思っていたキャンベルは意表を突かれた顔で驚き、声が僅かに裏返っていた。しかも相手は付き合いの長い元部下であり友人だ。

これで驚けない方がおかしいだろう。

 

『これじゃあ何時まで経っても仲直りは出来ないぞ』

 

『・・・仕方ないだろ、他に伝手と言う伝手が無かったんだ。』

 

『だからと言ってだなぁ・・・』

 

 

「・・・何二人で盛り上がってんだが・・・」

 

『正に、老人達の長話だね』

 

其処に更にもう一人会話に割り込んでくる。

場所からして彼の自室なのだろう。

後ろに様々な機材が置かれた部屋はなんとも彼らしい部屋だ。

其処から通信ほする人物、オタコンの顔を見て一夏はやっと来たかと思い、彼と会話を始めたのだ。

 

「オタコン。」

 

『お待たせ。で、僕を呼んだのって?』

 

「ああ。実は・・・」

 

 

老人達の口喧嘩をそっちのけでオタコンと一夏は会話を始め、最初の二人をほっておいて良いのか、と内心で突っ込む虚。一方の楯無はそれを何処か微笑ましく見ていたというのはココだけの話にしておこう。

実を言うと、一夏が呼んだのはスネークではなくオタコンだったのだ。

だが、現在スネークはキャンベルと軽い喧嘩をしているので彼の足止め代わりに使っている。

彼の周りだけやたらと喧しいが、聞こえているのは彼の周りだけである。

 

 

「・・・頼めるか?」

 

『なるほどね。分かったよ、明日には結果を報告する。大体昼ぐらいに連絡するから』

 

「すまない、オタコン」

 

『いや。寧ろ、それは正しい選択だ。戦いは先ず相手の情報を知ることからが重要だからね』

 

「ああ。さて・・・」

 

 

 

『そもそも、ローズとの関係をもっと別のにすると言う選択は無かったのか?再婚じゃなくても、別にもっと方法が・・・』

 

『それでは駄目だったんだスネーク。関係者と言う関係だけでは愛国者達を騙せなかったし、何より別の方法で彼女に近寄られたと言う事も・・・』

 

 

 

「・・・いつまで昔の古傷の抉り合いをしているんだ?」

 

まだ言い合っていたのか。呆れた声の一夏にようやく二人は我に返って「あ・・・」と拍子抜けした声を漏らす。何処まで本気で言い合いをしていたんだこの二人は。と再度ため息を吐く一夏はキャンベルに幾つかの質問を投げた。

 

「所で、もう言い忘れはないか?」

 

『ん?ああ・・・そういえば、雷電たちの事は知らないか?』

 

『雷電がどうかしたのか?』

 

『ああ。このところ連絡の一つも来なくてな。メリル同様に何処に行ったのか分かってないんだ』

 

「・・・雷電・・・」

 

雷電。かつてスネーク達と共に『ビッグ・シェル占領事件』や『ガンズ・オブ・ザ・パトリオット事件』で共に戦った男の名だ。

しかし、これは本名ではなく、彼の当時のコードネームが雷電である為にその名で呼ぶことになっている。その為、彼自身は本名で呼ばれる事を余り好んでないのか、時折訂正を求めてくるのだ。

その雷電は『ガンズ・オブ・ザ・パトリオット事件』の後、ボロボロだった彼はようやく過去の傷などを癒し、愛し合っていたローズと共に新たな人生を歩むと言っていたらしい。

 

しかし、それも束の間。

雷電はその直後に連絡を途絶えたのだ。

単に連絡を忘れていただけだと思い、キャンベルから掛けたのも何度かあったが、その全ては失敗。妻であるローズに掛けても同じだったらしい。

一体どうしてこうなったのか。もしかしたら何かあったのか。元部下である雷電と偽装の為だったとはいえ夫婦だったローズの事が気になっていたキャンベルはその名をココで出したのだ。

 

 

『もしかしたら日本に居るのかもしれん。もし居たらでいいが、その時は連絡をしてくれ』

 

「ローズさんにか?」

 

『・・・・・・』

 

『・・・何故黙る』

 

『いや・・・』

 

 

 

どうやら図星だったらしい。

その後、なんとも言えないキャンベルだったので、一夏はこれ以上はと思い、通信を切ろうとした。

だが、其処に一人、後ろから彼女が頼みを言ってきたのだ。

 

「んじゃ、そろそろ切・・・」

 

「あ、待って」

 

「はい?」

 

「ちょっと・・・変わってくれるかしら?」

 

「・・・」

 

楯無が通信を変わってくれと頼んできたのだ。

彼女にそう言われ何か考えでもあるのかと思いつつも、一夏は何の疑問も持たずに彼女に会話用のマイクを渡す。

そして、そのマイクを取り付けた楯無は画面に映るキャンベルに話しかけた。

 

 

「お久しぶりですね、おじ様」

 

『お、おじ・・・』

 

『・・・・・・』

 

『か、かた・・・違った、今は楯無の名だったな・・・』

 

「ええ。九年ぶりですわね」

 

気まずい時に割って入った楯無にキャンベルは嬉しい感情と焦りの感情が入り乱れていた。

確かに彼女と久しぶりに会話を出来たというのは嬉しい。

だが、話の話題と状況が最悪だったのだ。

そして、何より彼女の性格。

昔から余り変化の無い性格だと聞いていたので、其処に焦りを感じていたのだ。

 

『大佐』

 

『す、スネーク!彼女の知人は元FOXHOUNDのメンバーで、君の同期だったんだぞ!』

 

『・・・話をズラした・・・と言うのはまぁ後で聞くして。元FOXHOUNDのメンバーって・・・』

 

『なるほど。十年前に言っていた独自の情報網はこの事だったのか』

 

『そ、そうだ。彼女の家の人間、君も名前を聞けば覚えのある奴だ』

 

『覚えのね。で、君は・・・』

 

「更識楯無。IS学園の生徒会長ですわ、ミスター」

 

『生徒会長?そんな重役が其処に居ると言う事は・・・』

 

「はい。私が彼の同居人です」

 

 

「同居人って・・・」

 

 

『若いな。いくつだ?』

 

「今年18です」

 

『18・・・まぁ、色々と輝く時期だな』

 

『・・・・・・』

 

「所でおじ様」

 

『な・・・ナンダイ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おじ様の言うローズと言うご婦人。見つけたら色々とご連絡しておきますね」

 

 

『・・・・・・』

 

要訳。女タラシもいい加減にして娘と面と向き合え。

それがこの後一時間近く続いたのは言うまでも無い・・・筈である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。

一夏は人気の無い場所で一人iDROIDでオタコンと連絡を取り合っていた。

あの後、とてもではないが話せる空気ではなかったので日を改めて連絡をする事にしたのだ。

といっても、一夏の用件は既に昨日言い終えていたのでその結果を待つだけだった。

 

『しかし・・・メリル達に続いて雷電達も音信不通とは・・・』

 

「ああ。嫌な事に巻き込まれてなければいいけどな」

 

音信不通となった雷電達を気にかけ、一夏は不安がっていた。

もしかしたら彼は既に何かあったのではないか。と。

だが、同時に彼なら大丈夫だ。と思い、二つの考えに挟まれていたのだ。

不安と信頼に一夏の頭の中は黒くこんがらがり始める。

 

『・・・イチカ。彼等を気にしたいのは分かる。けど、今は任務に集中だ』

 

「・・・分かってる」

 

『いいかい。彼等はそこ等の人間とは違う。雷電に至っては特にね』

 

「・・・ああ。最高に常識ハズレの人達・・・だもんな」

 

しかし、オタコンの言葉に一夏は気づいた。いや、思い出したのだ。

彼等がそんなにヤワな人間ではない。彼等もそれなりの苦難を乗り越えた者達なんだと。

今でも昔その事で大笑いしたのを覚えている。

ある者達は戦闘の最中に求婚し、ある者は腕を無くしてでも友の窮地に駆けつけた。

とても良い意味で笑えると言う事ではなかったが、どちらにも共通して感じた思いがある。

「生きていてよかった」と

 

 

「で、オタコン。調べはついたのか?」

 

『ああ。結果は予想通りだったよ・・・』

 

空気が一変し、オタコンは真剣な眼差しで一夏に言う。

彼がキーボードを叩き、一つの個人データをホログラムディスプレイに映し出す。

それを一文ずつ目を通した一夏だったが、ある一項目を見て息を飲んだ。

それが全ての答えともいえる事だったからだ。

 

「・・・やっぱりか・・・」

 

『ああ。イチカ、君は・・・初っ端から大変な事に巻き込まれてしまったよ・・・』

 

「・・・セシリア・オルコット・・・そりゃあんなタチの悪さになる訳だ」

 

彼女の性格に納得のいく情報だったのか一夏は呟く。

これが彼女の歪んだあの性格の理由かと。

初見で彼女が自分の顔に近づいてきた時、彼女の目を見て一夏は何かに怯えた感覚があった。それは彼女の瞳が、美しくも何処か虚ろで濁った色をしていたからだ。

歪んだ何かを感じ取り、まるでメドゥーサの目に魅入られた様に一瞬ではあったが硬直したのを覚えている。

 

そんな相手と戦う事になったのだ。決死の覚悟で行かなければ一夏も唯では済まない。

いや、それで済むかでさえも怪しい。

 

『どうするんだい?彼女との決闘は・・・』

 

「ああ。六日後。それまでにサニーとマドカがロールアウトさせてくれれば、話は別だと思うが・・・進行状況は?」

 

『機体の基本状態に問題は無い。唯、今は各所のパーツ交換とOSの設定変更。その他諸々で間に合うかどうかは五分五分だね』

 

「・・・て事は、ぶっつけ本番は免れない・・・か」

 

『大丈夫なのかい?相手は代表候補生。しかも経験の差は明らかだ。このままだと・・・』

 

「負けるってか?心配するなよ。ぶっつけ本番は今に始まった事じゃないしさ」

 

一夏はそう言ってオタコンに言い返したが、内心では不安もあった。

其処まで危険性を解っていないほど馬鹿ではない。

相手がどれだけ強く、危険な相手なのかは見ただけでも解る。

だが、今はこう言うしかない。嘘であっても周りに余計な心配を掛けさせる訳には行かない。

スネークから教わった事の一つだ。

 

「今は、サニーたちに集中させたいし、余計な不安を持たせたくない。だから・・・」

 

『・・・解った。けど、無茶はしないでね。君だって解って居る筈だ。ココで終われば・・・』

 

「解ってるさ。俺もこんな所で終わる気は無い」

 

そう。こんな所で終われない理由が一夏にはある。

だからどんな事でも歯を食い縛り、命がけで行くしか彼には道はないのだ。

決闘まで後六日。それまでに一夏は何をすべきなのか。

それが解らずにいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃。所用を終えて、一人歩いていたセシリアは何処にでも居る少女の様な明るい表情で人気のある廊下を歩いていた。

機嫌が良かったのか、軽い鼻歌を歌い、目的地に向かい軽く一歩を踏みしめていた。

 

「ふんふーん・・・」

 

 

すると、彼女は何かを感じ鼻歌を止め、その軽い足を止めた。

そして、そのまま振り向きもせずに彼女の後ろに立っている人物に尋ねたる

 

 

「・・・・・・何か御用がですか?篠ノ之さん」

 

「・・・少し話しがしたい。場所を変えさせてくれ」

 

「・・・」

 

 

 

 

箒はそう言い、セシリアと共に人気の無い場所に向って歩いていった。

ココでは聞かれてはいけない事なのか、とセシリアは何も答えずに彼女の後について行った。

どうやら其処まで彼女にとっては重要な事か何からしい。

しかし、恐らく自分からすれば特に何の事も無い話だろう。

表の表情に出さなかったが、セシリアは内心では彼女の用事を軽視していた。

相手にとっては重要でも此方にとってはさして重要ではない。そんな事はよくある事だからだ。

 

 

数分して二人は人気の無い廊下に足を踏み入れ、やがて人気の無い一室に連れ込まれた。

またこれか。とセシリアは呆れ、軽くため息を吐いていた。

となれば恐らく自分にとってはさして重要な話ではないだろう、と。

 

「・・・で。こんな人気の無い場所に連れて来てまでお聞きしたい事とは?」

 

変わらない表情のまま、セシリアはその場での第一声を放った。

其れを聞くや、箒は強く拳を握り締めまるで何か恐れているかのような声でセシリアに尋ねたのだ。

 

 

「・・・お前に聞きたいのは、初日での事・・・」

 

「・・・」

 

「あの日。クラス代表の話をする前の休み時間。アイツと・・・一夏と何を話していた」

 

「何を・・・何をと言われましても、ただのご挨拶ですわ」

 

 

やっぱりその話か。セシリアは眉を動かし、箒を見ていた。

どうやら彼女は彼に只ならぬ何かの感情を持っているのだろう。

それは彼女の言い方、言葉からして解る。

其れを知ったセシリアはシラを切るような言い方で返答した。

しかし、それが彼女の何かに触れたのか、僅かに顔を動かし箒はセシリアに迫ったのだ。

 

「唯の挨拶・・・じゃあ・・・・・・『人に当てた』とはどういう事だ」

 

「・・・・・・」

 

「唯の挨拶で人に当てたなどど聞くのがイギリスの流儀か」

 

「・・・聞いていましたのね」

 

「っ・・・」

 

「私は人に当てた物言いがキッチリとして・・・」

 

「そうは聞こえんかったぞ。貴様の言い方からしてな。」

 

箒の言葉が変わった。彼女なりに怒りを抑えているのだろう。

今にも爆発しそうな怒り。それを必死に抑えているのだと。

だが、そんな事をセシリアは知ったことではない。寧ろ無関係といっても言い。

彼と何を話したのか。それだけでココまで怒りを買われたのだ。

正直他人事である以外のにまるで親の様な事にセシリアは僅かな苛立ちを感じていた。

 

「答えろ。あの時。貴様は一夏に何を聞いた。」

 

「・・・答える必要がありますか?」

 

「・・・答えろ。」

 

「・・・嫌だ・・・と言いましたら?」

 

 

 

 

 

 

 

「答えろと言っている!!!」

 

そして。箒は溢れる怒りをとうとう爆発させ、セシリアの胸倉を掴んで彼女に攻め寄った。

冷静だった顔は前面怒りの炎に燃え上がり、彼女の冷静さは失われていた。

今にも襲い掛かりそうな怒りの顔。それを一心にセシリアの瞳へと攻め込むが、セシリアの目は先程よりも無情で、箒とは逆に冷たい目と表情だった。

 

「答えろ!!!貴様はあの日何故あんな事を聞いた!!!貴様は一体アイツをなんだと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「五月蝿い」

 

 

刹那。セシリアは無情な一言と共に箒を右腕で無理矢理引き剥がした。

一瞬の事に箒は何があったのかと思っていたが、それは直ぐに終わる事になる。

 

次の瞬間。彼女の前に現れたのはセシリアの左足だったからだ。

 

 

 

《バキイィッ!!!》

 

 

セシリアの回転蹴りが箒の頬に直撃し、箒はそのまま一気に教卓側へと飛ばされていく。

まるでボールが飛んでいくかのようなスピードで箒は飛ばされ、彼女は教卓に叩き当てられた。

 

 

次に意識がはっきりとした時は既に教卓に当たった後で、その時に一瞬で全身に痛みが駆け巡り、思わずタンを吐き出した。

更には何箇所かに打撲の様な痛みが走り、その一帯が青く腫れ上がっていた。

容赦無さの一撃に箒は咳き込み、とてもではないが立ち上がれずに居た。

全身に痛みが走り、頭はマトモな思考が出来ないぐらいに困惑している。

唯ハッキリと感じるのは全身の痛みと咳き込んだ喉から吐き出るタンの冷たさだけだ。

 

 

「っ・・・ごほっ・・・ごほっ!!」

 

「全く・・・呼び出しておいてお説教とは・・・いいご身分です事ね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反吐が出ますわ」

 

咳き込む箒を見て、セシリアは哀れみを感じず、寧ろ不愉快に思っていた。

まるでゴミでも見るかのような虚ろな目で箒を見下し、苛立った物言いで彼女に寄った。

箒も先ほどの怒りはどこかに消えていき、代わりに何が起こったのか分からないという顔をしていた。

そして、彼女の元へセシリアが歩み寄り、一人話し始めたのだ。

 

「これだから平和ボケをした日本人は嫌い・・・自分達の事ばかりを主張し、自分の利益だけを考える。権力と金に溺れた愚かな者達」

 

「な・・・なにを・・・言って・・・」

 

「無論。それは女尊男卑を主張する馬鹿共にも言えた話。自己欲に溺れ、その力だけにすがり付いて粋がっている。自分達が成し遂げた事でもないのに」

 

「・・・・・・」

 

「私はそうやって自分から何もしない人間は嫌い。己の利権だけを求め、自分からは何もせず、ただ縋り付くだけのお前達が・・・」

 

「っ・・・」

 

「戦争放棄を謳っているから。全ては外で行われている事だから。だから私達には関係ない。反吐を出すのも勿体無い。現実を見ず、自分達に都合の言い事だけを見て、縋り付くお前らが・・・」

 

 

セシリアが箒の正面に向き合った時。彼女は既に右手に一丁の銃を持って居た。

PPS。女性でも扱える、9mmの弾丸を使用するハンドガンだ。

以前千冬にも見せた9mmはコレの弾だった。

だが、そんな事を箒が知ることは無い。

 

その彼女の前でPPSのロックを外し、動けない彼女の前にその鉄の銃を突きつけた。

狙いは彼女の頭。無情な彼女にとって、今銃爪を引くことに容赦はないだろう。

対し、その銃を突きつけられている箒は、何も言葉が出なかった。

目の前に銃が突きつけられているから?自分が死に瀕しているから?

その何でもない。

許しを請う事もしなかった。

「助けてくれ」と。

「私が悪かった」と。

そんな悪役が最後の悪あがきに言いそうな台詞を彼女は一言も言わなかった。

 

唯思っていた事。それは、一つ。

 

 

 

 

 

 

- 何故こうなってしまったのだ。 -

 

 

と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「其処までだ。セシリア・オルコット」

 

しかし、其処に第三者の声がした。

その正体は布仏虚で、彼女はセシリアに向けハンドガンを向けていたのだ。

彼女はドアに背を預け、手に持つワルサーP99をセシリアに向けており、その銃を持つ手にブレは無い。P99には赤外線レーザーが付けられており、その赤いレーザーは彼女の頭に突きつけられていた。

対し無情の顔のまま、セシリアは目だけを虚に向けていた。

 

「それ以上の事は慎んでもらおう。お前にも代表候補としての責務と義務がある筈。こんな所で終わりたくもあるまい」

 

「・・・それは生徒会としてですか。それとも上級生として?」

 

「・・・学園の人間としてだ。国の名誉をこんな所で汚したくなければ、素直にその銃をしまえ。でなければ・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

軽く息を吐いたセシリアは、PPSを戻していく。

そして、太ももに付けているホルスターに刺し込むと呟くように言い返した。

 

 

「・・・良いでしょう。私も少し彼女に当り散らしすぎましたし。ココは謝罪させて頂きます」

 

「・・・・・・」

 

虚も彼女が銃を下げたのを確認すると、自分も腰に銃を戻した。

セシリアはその彼女に一礼すると、その場から立ち去ろうと歩き始めたのだった。

 

「では・・・御機嫌よう、篠ノ之さん。精々、残る余生を有意義にお過ごし下さいな」

 

横顔だけを箒に見せ、セシリアはその場から去っていく。

その時の顔は、箒から見てとても人がするような顔ではなかった。

まるで恐ろしい悪魔の様だ。それが彼女から見たセシリア・オルコットの顔であった。

一瞬の戦慄を感じた箒は、その後一言も喋らずに彼女の後姿を見てた。

その姿は悪魔が去っていくのを見つめる弱者だったといってもいいのだろう。

 

 

 

「大丈夫か。怪我は・・・其処まで酷くはないか」

 

直後、虚が箒の許に駆け寄り、彼女に肩を貸す。

すっかり頭の中が白くなっていた箒は、この時にようやく我を取り戻したのか、ゆっくりと虚の顔を見て独り言の様な声を出したのだ。

 

「先、輩・・・今のは・・・」

 

「局地的非常事態と言う奴だ。さっきの事は他言無用で頼む」

 

「・・・・・・」

 

「・・・怖かったか・・・無理も無い。彼女と君とでは、見ている現実とその見方が違う。彼女の知る現実。それは君が思っている以上にシビアであるからな」

 

「・・・・・・」

 

「心配するな。直ぐに保健室に連れて行ってやる」

 

「・・・はい・・・・・・」

 

 

その後。箒はそれ以上は何も口にしなかった。

何かを知ってしまったかのような顔で、知らなくて良かった事を知ってしまった様な顔だった。

横から見ていた虚は、その彼女の姿を見てとても忍び難い物であったのか僅かに目線をズラして正面を見ていた。

今の彼女は、とても見れるほどの状態ではなかったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら。虚ちゃん何をしているの?」

 

「ぶっ!?」

 

ドアを開けて出た瞬間。突如自分の上司的存在の人物の声がして思わず虚は吹き出す。

普通なら微動と共に顔を向けると言う所だが状態が状態であった為、虚は直ぐに彼女の声がある方に振り向いた。

其処には変わらないスマイルをしている楯無が扇子を持って立っていたのだ。

 

「せ、生徒会長!?何故ココに!?」

 

「ん?いやね。なんか虚ちゃんが真剣な顔で行くから何があるのかなーって思って・・・」

 

「・・・・・・」

 

「で。鉄砲出して構えていたからつい・・・」

 

「貴方と言う人は・・・」

 

呆れてため息を吐く虚は目線を下にさげる。

すると、楯無のもう片方の手には白い救急箱が持たれており、気になった虚は一応彼女に尋ねた。

 

「・・・生徒会長。それは・・・」

 

「あ、コレ?其処の彼女がボコられるのを予想して一応と思って」

 

「よ、予想していたんですか!?」

 

「当然でしょ。そう言う空気だったもの」

 

「だったら何故止めに・・・」

 

 

 

 

 

「・・・いい加減、夢から覚めろって事よ」

 

「・・・・・・!」

 

「この国も。この国に住む人も。戦争放棄と言う法の下で平和を謳歌している。けど。この国に住む人達はそれを謳歌し過ぎた。自分達の外でやっている事を軽視し、自分達には関係ないと言って見向きもしない。緩やかな腐敗」

 

「・・・・・・」

 

「それが偶然貴方だったと言う訳よ、篠ノ之さん」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

自分が見てきた現実と言うのは甘かったのか。

箒は声にせず、口にせずにそう思っていた。

もしかしたら自分が見ていたのは、夢と言う現実だったのではないか。と。

 

実際にはそうだ。

人としての現実を見ていたとしても、世界の現実を見ては居なかった。

見る必要が無いといって見なかったのだ。

 

だが。其れが正に現実となる。

外からの者達。本当の現実を知る者たち。自分達の夢と現実の違いを、もう既に見せられ始めているのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「了解。そっちは頼むぜ、オタコン」

 

『ああ。何かあったらまた連絡してくれ』

 

 

一夏はオタコンとの連絡を終えるとiDROIDを切り、腰のポーチに入れる。

そして、これからどうするかと思い、息を吐いて空を見上げ一人呟いた。

 

「さて。どうするかな・・・」

 

決闘まで後六日。

其れまでにやる事と言えばかなり限られている。

だが無いよりはマシだ。と一夏は思い、行動を決めて歩き出したのだ。

 

 

 

 

 

 

一方で、サニーとマドカは彼のIS改修に掛かりっきりで、オタコンが彼女達に飲み物を持っていくついでに進捗状況を尋ねに行った。

其処では、所々油塗れのマドカと大人顔負けのキータイピングでデータを打ち込むサニーが居た。

サニーの打つスピードは素早く、スパコンと繋がっている機材たからこそ彼女のデータ入力に演算速度が追いついている。

対しマドカはその細い腕と手で狭い場所に手を入れ、パーツを交換したり、その配置を入れ替えたりしている。

これをたった九歳の娘二人が行っているとなると、圧巻の一言に尽きる。

 

「サニー、マドカ。どうだい?」

 

「うーん・・・ギリギリって所かな?」

 

「こ、こっちもそんな感じかな・・・」

 

「そうか・・・僕もそろそろ手伝わないとね。サニーの方は大丈夫かい?」

 

「うん。量子理論は大体解っているから・・・」

 

大体で大体出来ていると言うのが可笑しいのだ。

そして、それを平然と行えるサニーとマドカ。この二人は天才と言うレベルを超えている。

天性の才能。二人は正にそれである。

だからこそなのか、と改めて二人の才能を知り、オタコンはそれに助力しようと再び決意するのだった。

 

「そういえば、コイツの名前は決めたのかい?」

 

「名前、書いてたよ?」

 

「え?何て名だい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「WT-003W。だから・・・《白式》。」

 

如何なる物にも染まらない白き戦士。新たな名を拝命し今、その胎動が強くなる。

 




オマケ。


白式について。
ご存知原作での一夏の愛機《白式》。
原作では束さんが改修したという設定となっていますが、此方ではサニー・マドカの両名が行ったと言う事になっています。その為、色々と変更点が多いので、そこ等辺はいずれまた次回で。
入手経緯としては開発が頓挫していた時に偶然その機体を知ったキャンベルたちが裏手引きで入手したという事になっています。スペックとしても量産型よりも良いのでと言う事もありますが。
また、開発チームの中に元AT社社員であり、あのREXの開発に関わっていた人も居たというので、オタコンも一枚噛んでいました。
そこ等辺も追々ストーリーに出していく予定です。
開発するのは当然オタコンだと誰もが思っていましたが、誰も実際は九歳の女の子二人だと言う事は身内以外誰も知りません。
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