IS×MGS - Another Solid -   作:No.20_Blaz

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第七話です。

駄文となってしまいましたが、完成しました。
いよいよVSセシリア戦の決着です。
一夏の機体が思っていた以上に変わっているなぁ・・・と思ったのは書いた後で思いましたw
イメージしたら多分かなり違うと思います。
そんな中、回想シーンでまたもMGSキャラの登場です。

今回はセシリア戦の決着。果たしてどちらに軍配が上がるのか?

それでは、誤字脱字・駄文はご愛嬌。
それでも良いという方は
第七話、お楽しみ下さい。

・ご報告・
追記修正完了です。まだ誤字脱字等がありましたら何時でもお願いします。


No.07 「白き一刃」

= 数ヶ月前 =

 

 

 

それはまだ、一夏がIS学園に入る少し前の事だ。一つの事件が終息し、平穏に歩み始めていた頃の事。一夏はアメリカである人物に稽古をつけて貰っていた。

 

 

 

《ドスンッ!》

 

 

 

だが、その実力は圧倒的。僅かな攻撃一つと木刀にも関わらず一夏は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられてしまう。

其れを見てサニーとマドカは痛そうな表情と彼が地面に叩きつけられる瞬間に目を閉じてその瞬間を見ないようにしていた。

幾らなんでもやり過ぎではないかと思いつつだ。

 

「いっつー・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

その彼を吹き飛ばした相手。身の丈と体格からして男性だ。プラチナブロンドの髪をなびかせ、その手に一本の木刀を持っている。

スタイルは誰から見ても良い物だろう。

しかし、その身体はほぼ全てが機械であり、近場で見れば所々につなぎ目が見える。

そう、彼はサイボーグなのだ。ある者達に望まれずに改造手術を行わされ、元の身体の殆どを失った。

しかし、それでも彼は彼であるのに変わりは無い。現実と向き合ったその青き目は輝いている。

 

 

 

 

「・・・まだまだ甘いな。イチカ」

 

「・・・流石だよなぁ・・・サイボーグだって事じゃなくて、マジで強い・・・」

 

「まぁな。色々と修行をして習得したんだ。お前みたいにホイホイ覚えてもらっては俺も困る」

 

「・・・だからかな。やっぱアンタは強いよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷電」

 

 

雷電と呼ばれた男は木刀を一振りすると、刀を納刀するようにして自分の左腰に木刀を納める。別に鞘などは無い為、左手で持つのではあるが。

そして、雷電は軽く笑うと、その顔を一夏の前に曝け出した。

かつて中性的と言われていた顔は今や殆ど無く、普通に男だといわれても良い程の顔つきだ。

それだけ顔つきが変わったのか、それとも改造されたのか。それはされた本人しか知らない事だ。

 

 

「俺が其処まで強いと言う訳じゃない。どちらかと言えばイチカ。お前に原因がある」

 

「・・・俺に?」

 

「そうだ。お前の太刀を見て分かった事だが。太刀筋が安定していない」

 

「・・・・・・」

 

雷電がそう言うと彼の所へと寄り、上半身だけを起き上がらせた一夏の顔を見て言う。

確実に一撃は入れて居る筈だと思う一夏だが、雷電の言った事はそうではなかった。

寧ろ、それだけが原因でもあるのだと言うのだ。

 

「『何処にでも当たればいい』と思っていては駄目だ。それでは当たったとしても確実にダメージは入らないし、切れるものも切れない。仮に切れたとしても余計な負荷と力が必要となってしまう」

 

「・・・そういえば・・・」

 

彼の言葉に一夏は先程までの稽古での自分の動きを思い出す。

確かに一撃離脱の攻撃をしてはいたが、その当てる場所は余り定まっていなかった。

それを思い出したというのを雷電が彼の目を見て判断すると、言葉を続けた。

 

「イチカの太刀は全て狙いが定まっていない。だから防御時に俺が使った木刀にはバラバラの個所に力が入って余計な力は使わずに済んだ。逆に一箇所に攻撃を集中させていればその一箇所でバランスを維持する為に力を消費する」

 

「・・・適当さが駄目って事か?」

 

「それもあるが、イチカは一瞬躊躇している。それが当てる場所をブレさせて攻撃も鈍らせているんだ」

 

「・・・・・・」

 

「いいかイチカ。剣とは銃とは全くといって違う。銃は狙いたい所を狙えば銃爪を引いて反動を抑えれば確実にピンポイントで当たる。だが剣は違う。力加減・太刀筋・動き・挙動。あらゆる事を調整し、振りかざす事でそのダメージを大なり小なり変える事が出来る。だから其れを使って相手の骨を切ったり、服だけにとどめるという事も可能だ」

 

「・・・つまり・・・」

 

「ああ。太刀は力加減によっては人を殺さずに済む事も出来る。相手を傷つけるという事は変わらんがな」

 

「・・・・・・」

 

一夏はそう言われ自分の木刀を見つめる。

木刀は手のひらで押さえられていたが、一夏はその木刀を持ち、自分の顔の前に近づけてまじまじと木刀を見つめ始めた。

 

木刀は刃の部分の所が剥げており、中の木の部分が出ていた。

しかも良く見ればその部分に所々ではあるがヒビの様なものが入っていたのだ。

無闇やたらと振り続けていた結果だと、一夏は改めて気がついた。

 

 

「イチカ。剣を持つ以上は迷うな。迷えば一瞬でお前は負ける」

 

「・・・・・・」

 

「その一太刀にお前の気持ちが、考えが込められている。殺したくない。斬らなければならない。その感情全てがその太刀に乗る。迷いはその太刀を狂わせる」

 

「・・・・・・・・・」

 

「もし生かしたいというなら、斬りたいというのなら。それを全て剣に乗せろ。そうすれば、お前の剣が答えてくれる」

 

 

雷電は一夏にそう言うとゆっくりと彼から離れ、木刀を持つ。

対して一夏は立ち上がり、そのヒビの入った木刀を握り、再び正面に構える。

今の雷電の言葉を聞き何かを感じ取った一夏は真剣な顔で木刀を握った。

誰もがまた木刀での稽古なのだと思うが、そうではなかった。

 

彼の顔を見て、雷電は持って居た木刀を天高く放り投げたのだ。

 

 

木刀は勢い良く投げられると激しく回転し宙を舞い上がっていく。

それが合図だ。

木刀はある程度の高度まで上がると、上昇をやめて回転と共に落ちて来る。

落下地点は大体一夏の正面か。しかし、それを雷電が取ろうとする気配は無い。

寧ろ、その木刀がそのまま落ちてくるのを待っていた。

 

 

落ちてくる木刀に対し、一夏は正面を向いたまま立ち止まっている。

それどころか目を瞑りその場から動こうとしなかったのだ。

だが、木刀を持つ両手はしっかりと握られており、腕にはみしみしと音が鳴り、力が入っているのが分かる。

 

 

一意専心。

 

 

一撃に全てを込める。考えを無くし、唯しっかりと木刀()を握る。

全身の力が肌から、神経へと伝わり、ダイレクトに全ての感覚が伝わってくる。

風。地面につく感覚。音。

落ちてくる木刀。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ふっ・・・!》

 

 

 

 

 

刹那。一夏は目を開ける。そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は再び現在に戻る。

歓喜が沈んだアリーナ。

しかし、その静寂は誰もが声が出なかったからだ。意図的な事ではない。

誰もが目を奪われ、声すら出す余裕が無かったのだ。

 

それはフィールドに立つセシリアも同様。

しかし、彼女は唯一言だけ呟けた。

 

 

「・・・鎧の中から・・・白いISが・・・」

 

 

一夏の機体は鎧を脱ぎ捨て、本来の姿を曝け出した。

先程までの銀色の鎧は全て剥がれ落ち、其処からは白いボディが日の光を浴びて立っていたのだ。白と銀色、そして蒼のあるボディ。天使の羽の様に美しく、青い光の膜を出す翼。

何より、そのISは人の様な筋肉の筋の様な物が所々に見えており、機械的なISよりもスマートに人間に近い姿をしていたのだ。

 

 

「あれが、一夏のIS・・・」

 

 

「会長。あの機体の筋・・・」

 

「・・・サイボーグ技術・・?人工筋繊維・・・それであんなにスリムな形なのね」

 

一人だけまた理解していると虚は楯無をジト目で見ている。

楯無は彼の機体に興味津々なのかブツブツと小言を呟いて彼の機体を見つめ続けていた。

どうやら、其処まで彼女としても目が離せない機体らしい。

 

だが、その中で虚は彼女が言っていた言葉の一つを拾い上げ、彼の機体に納得していた。

 

《サイボーグ技術》

 

戦争経済後に異常な発展を遂げた技術の一つだ。

一般的な身体の一部を機械の様にして暴れさせるといった物ではない。

人体の一部が損傷した人物を改造し、サイボーグとすることで社会復帰に貢献できるという事だが、実際はそう上手くいく話でもないらしい。

サイボーグと言う事で忌み嫌われる者も多く、その多くは行き場を失ってPMCに転がると言う事も多いのだ。

だが、その中でサイボーグ技術の一つとして人工筋繊維《CNT筋繊維》は実に画期的な繊維として有名らしく、近年世界に普及し始めた物だ。

 

それがISに応用されるという話は聞いた事が無い。だが、それは実際彼女達の目の前にあったのだ。

新型と言う姿と共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・やっと、最適化完了か」

 

「っ・・・今まで初期状態だったのは分かりましたが・・・その機体は?」

 

「ああ・・・大切な子達からのサプライズって奴だ」

 

 

一夏はそう言うと最適化と共に報告されたモニターに目を通す。

どうやらこれでこの機体《白式》は改めて空を飛べるようになったらしく、武器も解禁となったようだ。

更に、機体各部の状態も表示され、一夏は改めて自分の手足となったISの手を握り、開く。

すると、ISの筋肉が雷電の強化外骨格の筋と似ていたので、それが人工筋繊維だと言う事に直ぐに気づいた。

 

「・・・雷電のと同じって訳か」

 

(あの機体・・・ISの様な機械的な見た目とは違う。もっと人に近い見た目になっている・・・それにあの間接や筋肉の様な物は・・・人工筋繊維?けど、まだ実用段階じゃ・・・)

 

 

 

 

 

「システムグリーン。武器はっと・・・」

 

一夏が武器が何があるかと思い、探して見ると、どうやら今度こそ彼女が言っていた通りの武器が入っていたので、其れを見てようやく安心したと言う顔をした。

これでやっと戦えると。一夏はその武器を選択し、その武器を装備する。

 

 

「次からは・・・なるほどな。コールも可能か」

 

 

「・・・どうやら、本当に一筋縄では行かなくなったようですわね」

 

「そうさ。ココからが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショウタイムだ・・・!」

 

 

『Call HF.BLADE』

 

 

機体のシステムボイスと共に粒子状で武器が出現する。

一夏の手に現れたのはかつて彼の剣術の師である雷電が持って居た一本の剣。

高周波を流す事で切れ味を増大させた刀、《高周波ブレード》だ。

それをIS用に改修された刀が一夏の右手に現れ、彼はそれを持って構えたのだ。

 

「剣・・・!」

 

 

「・・・さっきの続きだ。耳かっぽじってよく聞きな」

 

 

 

『Ignition』

 

 

 

刹那。再び一夏は瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使用する。

一気にセシリアとの間合いを詰めるのだが、その速度は先程の比ではなく、瞬時に間合いを詰めたどころか彼女の後ろを取っていたのだ。

殺気に気づいたセシリアは直ぐに振り向き、その場から離れようと機体を動かす。

ギリギリ気づいたのが速かったからか、攻撃はまたも間一髪で当たらず、セシリアは直ぐにその場から離れようとブースターを噴射させる。

その彼女の表情に先程の余裕の姿はもうない。後一瞬遅れていたらと言う恐怖と緊張が彼女の身体を動かしたのだ。

 

彼女が立っていた場所に剣が振られるが其処には誰も居らず、剣は地面だけを滑りその一振りを終える。

しかし、その一振りだけでも強力な一撃であるというのに変わりは無い。その証拠に剣が滑った場所には地面が抉られた後が残っていたのだ。

 

 

「ッ・・・!!」

 

「次ッ・・・」

 

一夏は顔をにやけさせ、確かな手応えを感じている。ココからが本番だと。

その顔を見ずに瞬時にブースターを全開にし、セシリアは一夏から引き放れる。

あの一振りだけで十分刀の強さは分かった。もし一歩間違えればと思い、彼女の頭の中に最悪時の結果が浮かび上がる程に、彼の刀に警戒心を持って居たのだ。

だが、そんな事にはさせない。セシリアは反撃として再びブルーティアーズを射出した。

 

 

「ブルーティアーズッ!!」

 

 

セシリアは再びブルーティアーズを射出する。ビットでのオールレンジ攻撃ならばと今の状態での有効手段を瞬時に弾き出したのだ。

が、それは一夏でも想定済み。機体の装備の中から新たに次の武器をコールした。

 

 

「コルト!」

 

『Call Colt Government』

 

今度はあんな一方的な事はさせない。一夏の左手には一丁のハンドガンが現れ、それを持つと直ぐにビットの一基に向って発砲した。

銃声と共に放たれた弾丸は一直線にビットの一基に直撃。動きを止めたビットはそのまま二発の弾丸をその青いボディに埋め込まれ、爆発した。

 

「M1911のコルト・ガバメント!?」

 

一夏が使用した武器、ハンドガン(拳銃)の中で最もポピュラーなタイプであるコルト。そのM1911となれば誰もが知っているガバメントを出したのだ。

タイプはカスタマイズされた《Operator》。スネークがかつて使用していた銃のISタイプだ。

 

 

「感覚が少し違うけど・・・問題ない!」

 

「くっ・・・!」

 

まだISでの銃火器と刀の使いに慣れていない一夏だったが、それでも問題ないと判断し、反撃を再開する。彼の目の前に居るセシリアに先程までの余裕は消え始めている。攻めるなら今だ。一夏はブースターを吹かせ、コルトを戻すと刀を構えた。

段々と焦りが見え始めたセシリアはそれをこれ以上流れを一夏に持たせまいとビットの攻撃と共に自分も攻撃を再開する。

彼女はこの時から少しずつ冷静さを欠き、集中はしていたが動きに焦りが見え始めていた。

どうやらビットと平行して攻撃するぐらいの集中力はまだ残っているらしい。

ならば、ビットの思考が届かない場所に行けばいい。

ブースターを吹かし、各部にあるスラスターを使いバランスを保ちつつ接近する一夏。

ビットとスナイパーライフルの攻撃を避けるその姿はまるで生き物の様に滑らかな動きをしていたのだ。

 

「何て動き・・・!」

 

(軽い・・・本当に手足の様な動きだ・・・!)

 

 

実際使っている一夏も機体の動きには驚いていた。ISが機械である為、動きに若干の違いがあるというのを覚悟していたが、この機体はそうとは違う。

人工筋繊維が人の筋肉と同じ動きをするので、動きが滑らかになり、まるで人が実際に動いているかのような動きを実現していたのだ。

ホバーや飛行は全てブースター・スラスターがやる事だが、回避などは全て機体が行う事。

だからだろうか、一発もセシリアの攻撃は当たらなかったのだ。

 

今が好機か。一夏が仕掛けに出る。

 

 

 

「スタンッ!」

 

『Call Stun.G』

 

 

次に左手に現れたのはスタン・グレネード。文字通り閃光弾だ。

間合いによっては相手を気絶させられるが、一夏はそんな事を期待していない。

寧ろ相手の足止めをすればいいと考え、直ぐに安全ピンを抜き、それを前方のセシリアが居る方つまり彼が向うであろう方角へと投げたのだ。

 

「スタン!?」

 

「・・・!」

 

 

前方に向いつつ投げられたスタンGにセシリアは彼が正気なのかを疑った。

確かに目を瞑ればスタンの効果は半分は受けないだろう。

だが、一時的に聴覚が失われるのは事実。

それでも一夏は構わないのだ。それでも彼には方法があるのだから。

 

 

 

 

 

《バンッ!》

 

 

 

刹那。小さく破裂したグレネードは眩い光を放ち、見る者全ての目を奪う。

それは遠くからの者達にも一時的にだが視界を奪う事となり、観客たちもその閃光らに驚き、目を奪われた。

何が起こっているのかと観客たちは戸惑いの声が所々に漏れているが、そんな事を気にする暇は今の二人には無い。

 

 

「っ・・・・・・!」

 

目を奪われたセシリアは咄嗟に目を守っていたからか直ぐに視界を取り戻す。

だが、其処には既に一夏の姿はなく、セシリアは彼の居場所を瞬時に特定した。

 

 

 

 

 

 

レーダーなどを使う意味もない。

何故なら、彼は今、セシリアの後ろに居るのだから。

 

 

「追い込んだぜ・・・!」

 

 

既に一夏はセシリアの後ろで刀を構えていた。

今ビットを動かすにも、その時には確実に一撃が入っている。回避も恐らく無理だろう。

後ろを振り向かないのはその必要が無いからだろう。

詰めを貰ったと確信し、一夏は刀を振り下ろそうとする。

 

 

しかし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そちらがですわ」

 

 

 

《ガシャンッ!》

 

 

「なっ!?」

 

突如セシリアの腰部にあったビット(・・・)が可動。砲口を一夏の方へと向けたのだ。

それには一夏も驚き、動きを止めてしまった。

まだビットが残っていた。冷静に考えれば可能性の一つとして考えられたはずだ。

しかし、一瞬の慢心が彼の思考を鈍らせた。

まさか、大型の砲口があるビットが待機していたとは。と。

 

まんまと引っかかったなと言う顔をしていたセシリアは先程の焦った顔ではなかった。

最初と同じ。悪魔の様な笑みを見せていたのだ。

つまり、一次移行から今までの表情は演技だった。これには流石の一夏も何も言えない。

相手の油断にチャンスを見出す。正にセシリアが一歩読み勝っていたのだ。

 

「私は、最初からビットは四基とは言いませんでしたわよ?」

 

「・・・マジ?」

 

 

「・・・大マジですわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那。ビットからミサイルが放たれ、回避も出来ない一夏にへ向かい放たれ爆発した。

シールドエネルギーに余裕があるからこそ出来る芸当だ。しかも、あの至近距離で後ろからの攻撃を躊躇なしでとなると、覚悟とタイミングが必要だ。

それでも、セシリアは自分が巻き込まれるのを承知でミサイルを発射した。

その余りに意外な行動に誰もが目を疑い、爆発した所からどちらが出てくるのか。

どちらが勝ったのかを見逃すわけには行くまいとしてその爆煙のある場所を観客たちは見続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!出てきましたよ!」

 

「っ・・・!」

 

すると、真那の声に千冬が反応し、爆煙の起こる場所を目を凝らして見る。

其処から姿を現したのはミサイルを発射した本人、セシリアだった。

もう既にビットの姿はなかったが、スナイパーライフルだけは持って何とか難を逃れたらしい。

しかし、あの距離での攻撃だ。唯では済まないだろうと千冬は予想し、彼女の状態を確認する為に彼女の機体にアクセスし現在の状態をホログラム式のモニターに表示させる。

 

顔は冷静なままだが武器は殆ど失い、残るはスターライトMk.Ⅱのみ。

ビットは先程の攻撃でどうやら全滅したらしい。当然といえば当然だが、矢張りビットのミサイルの火力が強すぎたのだろう。

しかもシールドエネルギーもあまり残っておらず、本当に辛うじての状態だったのだ。

 

「オルコットは辛うじてか・・・」

 

「けど、エメリッヒ君は・・・」

 

「あの距離でのミサイルだ。恐らくミサイルは対IS用のミサイルのAISでしょうな」

 

「AISってISが携行するミサイルの中で最大火力を誇るミサイルじゃないですか!?」

 

「ええ・・・だから・・・」

 

 

AISとは対IS用に開発されたミサイルであり、ISでも搭載可能なタイプもあるのだ。

誘導性よりも一発の火力に特化したミサイル。当たれば大ダメージは免れないだろう。

 

一夏は唯では済まない。それは誰の目からも明らかだ。

だからだろうか、千冬も組んでいる腕に自然と力を入れていたのだ。

箒も彼が無事であると言う事を祈るだけしかできず、直ぐにその場から動きたいと彼の安否を確かめたいという感情で、それを必死に抑えていた。

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

そして。フィールドに立つセシリアは爆煙の中から脱出し、ほぼ反対側の壁際まで後退していた。

万が一彼がまだ生きていた時の為にだ。

スナイパーライフルを構え、いつでも攻撃が可能な状態のままでセシリアは一夏の事を警戒する。

瞬間加速の事も考えれば、正直何処に逃げようと彼は自分の間合いに入ってこれる。

だったら彼が出て来た時。その一瞬を狙えばいいのだ。

恐らく仮に無事だったとしてもシールドエネルギーが殆ど残っていないのは確実だ。

その時に狙撃をすればいい。それが今の彼女の最後の手だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし。これも一種の油断である。

 

いつか来ると待ち続け、感覚はやがて『待つ』と言う事だけを意識してしまう。

『撃つ』と言う事よりも、『待つ』と言う事を覚えてしまい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撃つ事を忘れてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Ignition』

 

 

 

 

「・・・・・・あ・・・」

 

コールと共に誰もが察する。彼はまだ倒れていないと。

ああ。そうだこれも油断だったんだとセシリアは理解する。

撃つと言う事よりも待つと言う事を意識してしまい、トリガーを引く為の指の力が何時しか抜けていたのだ。

もうトリガーを引いても間に合わない。敗北という文字が浮かび上がっていた。

 

 

「追い込まれた狐はジャッカルよりも凶暴だ・・・!!」

 

 

 

 

残りシールドエネルギーは既に一割を切っていた。

それでも一夏は捨て身覚悟の加速を行い、セシリアとの距離を詰めたのだ。

それが功を奏し、セシリアは反撃が行えなかった。

いや、もう行う意味も無かったのだ。

 

このまま反撃しても外れるのは確実だと。セシリアは察していたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《斬ッ!!》

 

 

 

 

 

 

 

刹那。銀の一閃が青き雫を切り裂き、その最後の綱を断ち切った。

呆気に取られていた彼女は何もすることが出来ず、その一撃を受け入れるしかなかったのだった。

 

 

 

「・・・俺の勝ちだ」

 

 

 

 

 

 

彼がそう言い終えると、アリーナ一帯にブザーが鳴り響く。

其れと同時に客席からは盛大な歓喜などが叫ばれ、先程までの静寂は消え去っていった。

拍手大喝采とまではいかなかったが、彼等の戦いに誰もが勝算に値するという声を上げて彼等を祝した。

 

当然、それが気に入らないと言う者たちも居るだろう。だが、これが事実なのだ。

 

一夏はセシリアに勝った。それは確かな事だから。

 

 

 

「・・・・・・」

 

セシリアはブザーや歓喜を聞き、自分が負けたと言う事を少し送れて認識する。

特に感想と言う感想は無い。悔しくも無ければ憎くもない。

唯、何処か潔さだけが彼女の中にはあった。

 

ISが解除され、彼女は地面にへたれ込む。それで戦いでの糸が途切れたのか、そのまま身体全体に疲れが走り彼女の身体は流れるが如く倒れようとしていた。

 

 

 

 

「おっと」

 

「あっ・・・」

 

そこに一夏が受け止め、彼は倒れようとしていたセシリアを抱き上げる。

彼は特に抵抗感も感じずに彼女を自分がISのままで抱いていたのだ。

其れを見て歓喜に沸いていた観客達は「あー!!」と声を上げる。

 

それが俗に言う『お姫様抱っこ』となると誰だってそう言うだろう。

無論、箒も何も言わなかったが、無言の殺意が彼女の周りに纏われていたと言う事だけは言っておこう。

その証拠に本音が彼女に怯えていたのだ。

 

一方で抱かれているセシリアも特に抵抗感を感じず、唯軽く微笑み一夏に言った。

もう悪意などはない。唯、純粋に彼に一言を言ったのだ。

 

「お優しいですのね」

 

「まぁな。一応、そう言う心得だけは持っているからよ」

 

「・・・・・・」

 

「ん?なんだ?」

 

「いえ。何も・・・」

 

そう言って軽く微笑んでいたセシリアに、一夏は何の事だかと首をかしげていた。

だが勝ったのだ、と一夏は彼女の言葉に特に気にせず、回りから溢れる歓喜を聞いていたのだ。

それを別の目で見る者達も居たが・・・

 

 

 

「ほう・・・これはいいネタの予感が・・・」

 

「お、お嬢様?」

 

 

 

 

「い・・・一夏め・・・」

 

「お、織斑先生?!」

 

 

 

 

「い・・・いちかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

確かに一夏は勝利した。

 

 

が。その代償に何か面倒事が起こるというのは、この時彼には到底思える事ではなかったのだった。

 




オマケ。

ISへの人工筋繊維について。

愛国者達が秘匿していた技術の流出により異常な発展を遂げた様々な技術。
その中にサイボーグの技術として人工筋肉の発展もありました。
後にCNT筋繊維と呼ばれる雷電達がMGRで採用するボディの筋肉ですね。
既にサイボーグには採用されている技術ですが、ISではまだ採用待ちとなっている状況です。そこで彼の白式に試験的に採用し、そのデータで採用を検討すると言う事になったのです。ちなみに、筋繊維については893が資材を調達したとの事。
後は、それを娘っ子二人が二日程度で完成させました(笑)

CNTは電気を使用して動かすと言う事ですが、電池はちゃんと供給されます。
生体エネルギーを電池に変換し、それを筋肉に流すという仕組みで寿命がどうのと言うよりも、此方では腹が減りやすいと言う事で済ましています。
その為、一夏は機体使用後はかなり食べます。
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