月花の二重唱   作:アウロラの魔王

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日曜に暇してるあなたのために!
というわけで二重唱3話です。


幼馴染

「―――つまり、アリアの拾った石は本当に願いを叶える石で、別の世界からもう一人のアリアを呼び寄せた、と?」

 

「『たぶん、そー!』」

 

 あれから、"アリア"が身振り手振りでセイアに説明し、その結果セイアは再び頭を抱えてしまった。

 

「……アリア、一般的に考えてそれは増えたのではなく、人格が分裂しただけじゃないのかい?」

 

 流石に信じられないのか、疑り深い眼差しでアリアを品定めするように、上から下へ視線を滑らせる。

 

「え、えっと……?」

 

 そんなセイアの視線に、アリアが困った顔をするとセイアは驚いた顔を見せ、次に納得した表情に変わった。

 

「……確かに、アリアならこんな顔を見せないか」

 

「『それどーいう意味!』」

 

 ぷくーっとほっぺを膨らませる"アリア"。

 

「まさか、本当に人格が増えるとは……アリアの拾った石は、【遺物】で間違いないようだね」

 

「遺物……?」

 

 聞き慣れない単語に、アリアは首を傾げる。セイアは「ふむ」と手を口に当て、何かを思案する。

 

「もう一人のアリア、君の事は何と呼べばいいだろう?」

 

「えっと……アリアはアリアだよ?」

 

 他の名を名乗ろうにも、この名前しか名乗れないので、必然アリアはアリアと答えるしかない。

 

「……アリア」

 

「『どうしたの?』」

 

 セイアは難しい顔でアリアを、いやこの場合"アリア"を呼んでるのだろう。同じように察した"アリア"がセイアに尋ねる。

 

「流石にどちらもアリアではややこしいのだが」

 

「『でも、アリアも"アリア"もアリアだよ?』」

 

「むう……」

 

 困ったように唸るセイア。しかし、こちらもさっき目覚めたばかりで状況が全く分からないから、助け舟を出す事も出来ない。

 

「まぁ、それは追々考えるとしよう」

 

 諦めたセイアは、一度それを思考の隅に追いやるように息を吐くと、「さて」とさっきの遺物について話し始める。

 

「遺物についてだが……結論から言うと、先史文明時代の遺産の総称、それが遺物。強力な神秘を持つが故に、先史文明を崩壊に導いたともされている。アリアの拾った石が願いを叶えたのであれば、それほどの力、遺物で間違いないだろうね。本来、ティーパーティーやシスターフッドが回収・管理をしているはずだが、どこで回収漏れしたのやら」

 

 一息にそう説明したセイアはふーっと息をついた。

 遺物。そんなものブルーアーカイブで聞いたことも見たこともない。もしかして、ウトナピシュティムやアトラハシースみたいな代物かと思ったが、どうやら違いそうだし。

 

「セイア、さん。その遺物って決まった形があるの?」

 

「……いや、私の知る限りでは決まった形は無い。加えて言うなら、遺物の持つ力もピンキリで、別の世界の人間を引っ張ってくるような代物は、滅多に無いと言っていいだろう。……それと、私のことは呼び捨てで良い。アリアの顔で"さん"付けされたら、気持ち悪くて吐いてしまいそうだ」

 

「あ、うんわかった。『何それ!セイアひどい!』」

 

 本当に気持ち悪そうな顔で嫌々されてしまった。同時に、普段"アリア"がセイアをどれだけ振り回しているのかも察した。

 

「ところで、さっき滅多に無いって言ってたけど、似たようなことが過去にあったの?」

 

 気になった事をセイアに聞くと、セイアは言い辛そうに口ごもる。

 

「まぁ似たようなこと……というか、過去実際に遺物を用いて異世界の人間を呼ぶ実験はあったんだ。それは結局失敗したらしいがね」

 

「『それじゃあ、アリアたちが初めての成功例ってこと?やったー!色んな人に自慢できるよ!』」

 

「……そのことだが、アリアが二人いることは私たちだけの秘密にしよう」

 

 セイアの言葉に、アリアも"アリア"も驚きを隠せなかった。それと同時に、セイアの気遣いに思い至る。

 

「そっか……過去に成功したことのない別世界の人間の召喚、同時に既世界の人間と融合してるなんて知られたら……」

 

「……監禁、誘拐、モルモット。少なくとも、良い結果にならないことは確かだろうね」

 

「『そ、それはダメ!……でも、アリアが交代ばんこで出てるの誰かにはバレちゃうよ?どうするの?』」

 

 "アリア"の言う事はもっともだ。なので、あえて隠さない方向で行くのはどうだろう?

 

「二人いるのは隠さないで良いんじゃない?要はアリアが異世界の人間だとバレなければ良いんだから」

 

「……なるほど、完全に隠すのではなく、本当と嘘を織り交ぜるわけか」

 

「『つまり、アリアが二人いるのは隠さないで、"アリア"が異世界出身だって言わなかったらいいんだね!』」

 

「うん、そうだね」

 

 それアリアが言った事そのままだよ。

 

「では、今後そのように振舞おう。アリアもそれでいいかい?」

 

 それはアリアに向けられてるものだと気付いて、慌てて返事をする。

 

「う、うん!その、ありがとうセイア、気遣ってくれて」

 

「む……礼を言われるようなことはしていないさ」

 

「『あれ?セイア照れてるの?』」

 

「照れてない!ほら、バカなことを言ってないで小学校に行く準備をしたまえ!」

 

 顔を赤くしたセイアに急かされ、準備をしようとしてハタと止まる。

 

「……ん?小学校?小学校に行くの?」

 

「どうした?小学生なのだから小学校に行くのは当たり前だろう?」

 

「え、ぇぇえええっ!?」

 

「『あれ?言ってなかったっけ?』」

 

 言ってないよ!

 

「『あはは、もう分かってるものだとばかり』」

 

 もう一度小学校からやり直すのか……。アリア、勉強は苦手なんだけど……。

 

「『"アリア"の知識があれば楽勝だね!』」

 

 お願い聞いて!?アリア本当に苦手なの!

 

「『まぁいざとなれば、セイアに頼ればいいし!』」

 

 波乱の予感しかしない幕開けとなった人生二回目。まさか、小学校に行った先でも頭を抱えることになるなんて、この時のアリアは微塵も思ってなかった。

 

 




非日常で殴る為に日常でパワーをチャージ!

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