前回のあらすじ、無個性であった少年ボボーボの前に筋肉モリモリのアフロマンが現れる。
「ボーボボ、君に提案をしに来たんだ。君がいなければ口先だけのニセ筋になるところだった!君なら私の力を受け継ぐに値する私の力を受け取ってくれ」
アフロマンは鼻から鼻毛を抜き、そしてそれを掲げた。
「さぁ、食え!そして私の力を受け継いでくれ」
「貴様は何を言っている!?鼻毛を喰ったのか!……ハッ、口が勝手に」
謎の空間が展開され、思わずツッコミを入れた両面宿儺の姿がそこにはあった。
……なんだ、今、俺は別の場所にいた。
領域か、それだけではない精神汚染……領域を前提とした術式か。
「何者か、教えてやったのさ」
「ケヒッ、面白い。遊んでやろう」
「いや、人の体で何してんだよ。返せ」
ボーボボと向かい合い、いざ戦いかといったところで宿儺の腕が勝手に顎を掴む。
掴まれた宿儺は、顔をしかめた。
「お前……何で動ける」
「なんでって俺の身体だし」
それは本来消えるはずだった存在の意識があったからだ。
そして、宿儺の意識が遠のいていく。
「抑え……込まれる……」
「寝るなぁぁぁ!首領パッチ、寝たら死ぬぞぉぉ!」
「ぐはぁぁぁぁ!?」
「ぐはぁぁぁぁ!?」
そこにボーボボによるキックが炸裂した。
血を口から吐きながら吹っ飛ぶ首領パッチ。
それにぶつかり血を吐く宿儺、いや、虎杖悠仁。
「何やってんだぁぁぁ!?」
「ケヒッ、危ない危ない小僧の意識に飲まれるとこだった。羂索、あやつめ」
「まずい!お前はもう人間じゃない!呪術規定に基づき虎杖悠仁、お前を呪いとして祓う!」
「よし、俺も加勢しよう!」
拳を握り上下に構える伏黒、鼻毛を呼ぶ親父。
「おーい、鼻毛よ帰ってこいや。今日はもう、閉店だよ」
「なんだその小さいおじさんは!?鼻に住んでるのか、鼻毛って何だ!……ハッ!?」
「宿儺が……ツッコミ……」
「見なかったことにしてくれ」
ボーボボの鼻毛は使えなくなった。
何故なら定時だからだ、時間外労働はしない鼻毛なのである。
絶対絶命のピンチ、そこに空から何かが来る。
「伏黒!空から女の子が!」
「クハハ、真打ちか。消えろ」
空に向かって腕を振るう宿儺、しかし空から落ちてくる人型は姿を保っている。
そして、それは眼の前にふわりと降り立つ。
女の子……ではなく、銀髪の美丈夫だ。
「どういう状況?」
「五条先生、宿儺です!両面宿儺が受肉しました」
「どういう状況!?」
「首領パッチが……許せねぇ、許せねぇよ宿儺」
「どういう状況!」
つけものと一緒にボボーボは泣いていた。
その手にはぐったりとした首領パッチの姿があった。
「首領パッチ!」
「あぁ……そうか、これが……この手にあるものが……オロポ」
「わーい、サウナにピッタリ!」
そうサウナである。
サウナとは、サウナストーン(石)を積み上げたストーブを高温に加熱して、水をかけるなどして水蒸気を発生させ、室内の温度と湿度を高めて汗をかくのだ。
「ふぅ……温いな。サウナで決着をつけよう」
「な、なんだコレ!?裸!」
「面白い、サウナ勝負か。興が乗った」
「言っとくけど宿儺、お前は挑戦者だから」
そして始まる、第一回サウナ我慢バトル。
「どういうこと!?学校は!なんでサウナの中で俺らタオル一枚なの!」
「えっ、俺は?俺は?」
「ただしつけもの、テメーはダメだ」
「ガーン!?」
世界が塗り替わり、檜の小屋の中に移動させられる。
そして、全員がタオル一枚となっていた。
そう領域展開による座標の移動、自由に出入り出来るという閉じない領域の性質上、温度と湿度が向上している。
「大丈夫なんですか、五条先生」
「大丈夫、僕最強だから」
「厄介なものだな、いつの時代もサウナーと言う奴は」
黙々とサウナの中で座る4人。
五条悟は汗1つ流していない。
何故なら術式により、適温だけを通しているからだ。
「くっ、こうなったら……」
「恵、死んでも勝つと死ぬ気で勝つは違うんだぜ、オラァ!」
「ほぉ!ロウリュウか」
「ボーボボ加勢するぜ!構えろ、火力勝負だ!」
先に動いたのはボーボボ、ボーボボは柄杓を取ってサウナストーンに水を掛ける。
それに続く首領パッチ、サウナストーンをオロポを注ぐ。
「くっ……フハハ、やめだ。俺は出る!」
「生徒の前なんでね、カッコつけさせてもらうよ」
「ケヒッ、この程度で音を上げるか」
伏黒恵、脱落!
10分が経過した。
「魅せてみろ、五条悟」
「えっ、いや、僕出るよ。もう、恵いないし」
「…………」
五条悟、離脱!
部屋に残ったのは両面宿儺とボーボボのみ。
しかし、この時に宿儺は気付く。
……俺は一体何をさせられている。さも当然のように、何だこの粘っこい水蒸気だらけの小屋は……サウナだと?
「舐めたマネを」
「やだ、アタシはもう出るわ!ええい、こんなところにいられるか」
「あか、開かない!大変だ、ボーボボ!開かない、開かないよ!」
「何ィィィ!」
瞬間、宿儺に生前でも感じたことのない緊張が走る。
……ここから出られない、だと!
「散れ、痴れ者が!」
「ぐえぇぇ!」
「首領パッチィィィ!大丈夫か!オラァ」
飛んできた首領パッチを掴んでサウナストーンをシュート!
首領パッチは熱くて死ぬ。
「アチチ!アチチ、燃えてる!燃えてるから!」
「何をしている!そんなことしている場合か、扉は開かな……」
ガチャと、サウナ室のドアを宿儺は開けた。
その状況に振り返り、青筋を浮かべながら首領パッチを見た。
「てへっ、押すのと引くの間違えちゃった」
「鼻毛真拳奥義!ファイアー鼻毛ボール!」
「あっ」
燃える首領パッチの足を鼻毛が伸びてきて掴み、そして振り回した。
それは呆然とする宿儺に迫る。
……しまった、奴のペースに呑み込まれる。
「アウフグースだぁぁぁ!」
「ぐはぁぁぁ!」
「ぎゃぁぁぁ!」
意識が遠退く両面宿儺、こうして巨悪は打倒されたのだった。
「ふぅ、熱いバトルだったぜ」
「虎杖!おい、しっかりしろ!」
「五条、そいつをどうするつもりだ?そいつは両面宿儺を抑え込められたぞ、つまり器だ」
「呪術規定に則れば秘匿死刑、でも死なせたくありません」
首領パッチに足蹴にされ、額に肉と書かれた虎杖を挟んで伏黒が五条に頼む。
「任せない!可愛い生徒の頼みだ」
……そして所変わって現在。
札と割り箸だらけの部屋で黄色いアフロのマッチョマン、ボーボボがいった。
「という訳で、お前は死刑だ」
「回想と展開があってないんだけど、てか五条先生は?」
「ここだ」
「おい、いい加減どけよ……」
ボーボボが指差す先に視線をやれば、四つん這いで椅子にされている五条悟がいた。
こんなんでも現代最強で御三家の五条家の当主である。
「何やってんだ!」
「いい天気だったんでな、割り箸を植えていた」
「ほんとに何やってんの!?ここ、屋内だよ!」
割り箸に混じって部屋には、なんか指が刺さっている。
っていうか両面宿儺の指だった。
「あぁ、説明用の指!」
「コイツはどうかんばっても遊園地にならない、だからお前が飲み込んで処分することが決まった」
「意味が分からないよ」
「決まったことなんだ」
「何を決めたんだよ!どういう理屈!」
「言いたいことは分かる、総監部は腐ってやがるんだ」
「思考回路がね!頭腐ってるね!割り箸が遊園地って何なの!」
そう、それは幼少期からハジケリストに染まった結果である。
何なら政府高官の中にもハジケリストがいるぞ。
「喜べ虎杖、今日からここがお前のアカデミアだ!」
「それ違うやつだから!」