走るのをやめたら死ぬ系転生馬   作:名無しの権左衛門

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6:Kentucky Derby

 帰ってきたらすること。それはわかるかな?

そう、ポニーアニキに挨拶することだね!

 帰郷して馬体検査や洗浄が終わり、温ま池で水浴びしながら牧場主の娘さんとお話をした。その後厩舎に戻ろうとすると、なんかみんな集まって会話してたからそっちへ脚を運んだんだ。

 すると子どもたちを運べだってさ。

訳解んないよ!?

 

 幸い交通標識を知っている身だから良かったものの、普通の馬なら絶対

ボロを落とすし喚くしで大変だったろう。

よかったな、ある程度自動車を知っている奴でよ。

 いつの間にか村正のおっちゃんが用意してくれた蹄鉄を履いて、地獄みたいなトロットレースが始まる。

レースでもなんでもないんだけど、あまりにも精神を遣うから馬術って事でいいんじゃない?

 

 しっかし1990年代でもここらへんはしっかりと繁栄しているなと思う。

発展や再開発はまだまだ続けているのは、首都圏をグーグルアースで覗いていた

からよくわかった。完成かという意味では、今が最高なんだろうなと思うんだな。

人口は頭打ち、高度経済成長も終わり、少子高齢化の波が襲ってきたんだ。

 お、此の頃の自動車って事故したら中の人がミンチになる材質だったのかな?

それとももうアルミになって、自動車が壊れることで衝撃を和らげることができるようになったのかな?

 

 和服を着ている人もいないし、みーんな洋服。町中に古く臭さはあまり残ってないねー。

時代に取り残されたというより、置いてけぼりにされた町並みだ。

ここらへんの生まれじゃないから、どういう場所か不明だし地元の豆知識もしらない。だけど自分は誇りに思えるね。

 

 なんせ、周囲の人が異常のような目で見てきているんだからな。

 

「そこの信号を左」

【!】

「わー、トバ賢いー!」

「えーと、次は……時速50まで出して、右折レーンに入って」

 

 ガラガラガラと軽車両として走る。

ふふふ。見ろよ見ろよ、自分の走りを!

もう見れないだろ? こんな風景を! 大正ですらあったか?って感じだ。

法定速度を計測するメーターがあるらしく、そいつで今の速度を調べる奉先くんはかなり真剣な表情だ。

 まあ車両だし仕方ない。体感遅めにしようかな。

速度計っていうより、タコメーターっていうんだけど

そいつが馬の速度を計測できるかと思うと信頼性がね……。

 

 ぱっからぱっからと学校まで送ってやった。

いやー早朝だけど間に合うもんだね。

走っている車が少なかったというのもあるんだけど、途中からちゃんと整備された幹線道路のおかげでもある。インフラを作ってくれた皆さんに感謝だぁ。

 

「さあ、トバ。帰ろう」

【!】

 

 子どもたちは学校まで迎えに来ていた親が、車から色んな物が入っている手提げバッグを子どもに渡して

学校へ見送った。

ぶっちゃけ、一度自宅へ帰ったほうがよかったのでは?

フシギソウに見つめていると、奉先くんは自分の手綱を引っ張った。

うーん、帰ったら教えてもらおう。

 

 帰る時結構車が出てきていた。もう8時回ったばっかりだというのに、この交通量の多さ!

自分がいたときよりも地方に活気があった頃だから、色々と違うなあと観心しきりだ。みんな自分の故郷を捨てて東京へ飛び出して行ったんだもの。

まだ地方で頑張っている人もいるんだなあ。

 自分が生きていた頃がどんな時代だったかというのは、殆ど忘れてしまった。

でも、日本であり令和の真っ只中というのを覚えている。

死んだ直後は確か、限界集落がたくさんできて多くの市町村が壊滅し、

国内唯一の村が北海道だけだというのは記憶に残っている。

 他にも村はあったけど、観光用に用意された行政区分とか聞いたような気がする。 とにかく、あんなにさびれて風化していた風景が、熱気溢れる景色に変わっているんだ。

なんか涙が出そうになる。

 

「なあ、トバ」

【?】

 

 どうしたんだろう?

 

「次のケンタッキーダービーは……いや、三冠はだいぶキツイものになるだろう」

 

 いやまあそうだろうね。

 

「クリスさんに聞いたところ、大体3連勝したよりすぐりの馬が出走するみたいだ」

 

 三連勝かー。きっと全て先行残りした、まじもんの化け物なんだろうな。

例えば、ミスフリみたいな。

 

「ゲイリー・スティーヴンスを知ってるか?」

 

 知ってる知ってる。ミスターフリスキーのヤネだろう?

 

「彼が言っていたが、今回出走してくるサマースコール。

こいつ、5連勝している。

また、G1ホープフルステークスも勝利している。彼の勝ち方は横綱相撲じゃない。

基本的に先行を行く馬の影に潜み、最後のコーナーで垂れた馬を追い越していくというものだ」

【!?】

 

 つまり天敵じゃねえか!

最高速度が遅く加速もない。

最初の1ハロンでいっぱいになってしまう駄馬にとって、風よけにされるのはまっぴらごめんだ。

わざと外へずらすか?

 いや、外へずれるだけでも、内側の馬より速く走らないと意味がない。

最初から詰んでいるってことだ。

やれることはなにか。

 

 なにもない。ただ、経済コースをうまく回るくらいしかできっこない。

いや、マジで自分の競馬の発展が見込めないな。

こんなんじゃ追い込みもできない。

 

「まあ気を落とすな。逃げ馬の最後の切り札があるからな」

【?】

 

 そんなのあったっけ? と思いながら、ようやっと牧場に到着した。

 

 

 放牧されてアニキと久しぶりに出会う。

しかし次のレースに不安がある。彼らは固い土で骨を犠牲に速度を出す才能ある優駿だ。

駄馬が掲示板に乗れるか心配しかない。

 

【どうしたんだ、じゃりんこ!】

【あ、アニキ】

【気落ちしてんのか? さあ、まずは走るぞ!】

【そうですね】

 

 まあ、走ってたら解消するでしょ!

今日は柵内を右回りで駆け回り、アニキの走りを真似る。

今まで左回りで左手前を使っていたから、久々の右回りで少々ぐらついてしまう。

後で厩務員兼調教師に、脚部不安か検査された。

 そんなに心配しなくてもいいんだけどな。なにせ自分の心が揺れたから、身体もぐらついただけだし。

ポニーのアニキと一緒に、小回りの他にもちょっとした練習もしたんだ。

 

【お、あそこにシラタマがいるぞ!】

【シラタマ?】

 

 アニキが首を振るって視線を促される。

そこに居たのは飼育係の人が散歩させてる白兎のことだ。

確かに白い球に見える。そういえば、自分はあんまりふれあい牧場について知らないな。

聞いたことあるのは、ここの牧場の正反対の場所にあってこっちとは違って

予約不要でこれるところと聞いたことがある。

 また管理がしやすい動物で溢れているらしく、比較的人馴れした奴らの集合体らしい。

いいな。自分も動物にふれあいたいなあ。

 

「おーい、トバー」

【お、じゃりんこ、呼ばれてるぞ?】

【どうしたんだろう?】

 

 アニキといっしょに柵から出される。出した張本人であるふれあい牧場の事務・広報担当の裕二くんが、自分らをつれてどこかへ連れて行く。

彼は行く途中に事務所へ寄り、なにかの書類を片付ける。

 そして自分にポケットがたくさんついている服?をつけて、ポケットの中にお酒を入れるんだ。

どこへ行くつもりだい?

 裕二くんはアニキに跨がり、ついてくるように指示を出す。

それ、自分以外にゃできないから。ちゃんと競走馬を勉強しておいておくれよ?

 

 服のポケットに入っている高級そうな日本酒を割らないように、

裕二くんの後ろをカッポカッポと闊歩していく。

数十分して歩いた先にあるのは、石の階段。

え、ここ登るの?

 アニキはいつものことというように、軽々登っていく。

そもそも自分は体高があるから絶対割れるって!?

と思いながら登った。あ、意外となんとかなった。

服がズレ落ちることも、お酒が割れることもなかったんだ。

 

 登った先は境内だった。

奥は鬱蒼とした森があり、この境内は何らかの法則で木々を残しているみたいだ。

素人目で見ても、境内を結界とするように結んでいる。

更に本堂の真後ろにめちゃくちゃでかい木がある。

しめ縄を何重にも巻いているので、相当なお寺?神社?とわかる。

 眼前にある鳥居をくぐる。境内に入る前にも一つあったのだけれど、

この鳥居だけは違った。

 

 言葉では言い表せない澄んだ雰囲気。

いや、清らかな、といえば良いのだろうか。心がすっとする。

 

 

「な、トバ」

 

【?】

 

「ここな、うちの曾祖父ちゃんと地元の人たちが代々管理してきた場所でさ。

役割で言えば、気晴らしの場所だよ。格式も神道かぶれなだけで、なにもない。

だけど、いちおうここの土地神として祀っているんだ」

 

【え、ここ、寺でも神社でもないの?】

 

「年に一回、命を助けられたり商売がうまく行ったりと、良いことがあったときに

自分以外の誰かに知らせたい。その要因を納める会議を開くんだ。

 各家庭1つずつ。で、今年の良いことは、トバが生まれたこと。

でも、トバは捧げられない。生贄はくさっちゃうからね。神様も生物(なまもの)はお嫌いらしい。

 生物(なまもの)は、豊饒祭のときだけ捧げて、その後みんなで食べる。

そして、生物じゃないお知らせと感謝は、年一回納める。

いわゆるみんなの心の拠り所ってところだよ」

 

 なるほど、だから眼の前に賽銭箱じゃなくて、お供え物を置く台しかないのか。

うーん、馬だからなにもないしなー。じゃあ、いつかG1を取るから、そのトロフィーをその会議で提出し奉納もしてもらおうかな。

 

『G1トロフィー』

「お、黒板があることに気付いたかー。うんうん、またどこかでG1を取ったら、ここに納めてもらおうね」

 

 お酒を台においたら帰路につく。って、生物(なまもの)だよね、アレ。

大丈夫なんだろうか。いちおう何年ものとかあるし、大丈夫なのか?

気になったけど裕二くんが気にしてないなら良いか。

 帰り際。鳥居を抜けた瞬間、妙に生暖かい風が一陣吹く。

ここは亜寒帯と言われる場所。こんな風が吹くのは、8月中旬ぐらいだ。

まさか、本当にいるのか?

 

 振り返ってみると、さわさわと枝がゆれるだけだった。

風で揺れたと思うんだろうけど、自分はその時だけ何者かが笑ったように思えた。

 

 スピリチュアルな雰囲気に寒気を感じてから10日。

検疫を終えて輸送される。

シンボリルドルフやシリウスシンボリ等、外国へ馬を輸送するのは何回目なんだろうか。

ノウハウが蓄積されているんだろうけど、生憎こちらは牧場。

 競走馬の輸送はこれで往復込で三回目。

屠畜された冷凍ものが空を飛んで運ばれることは多いだろうけど、

生物なんてそんなに空を飛ばすことはない。

だから結構手荒なこともある。

 いまの自分は人が入っているから問題も何も無いように捉えられている。

なんせ調子を全く崩すこともなく、レースに臨むことができているからだ。

きっとこういう背景もあって、現場を変えることをしなくてよくなっているんだろう。

 

 

 

 

【Hey】(やぁ)

 

【You saw that somewhere, didn't you?】(どっかで見た?)

 

【Real Cash】(リアルキャッシュさぁ)

 

【By the way, you've been with me for a long time】(あー一緒に走ったね)

 

【yes. I didn't think I'd be next to you】(そ。隣同士気が合いそぅ)

 

【Will you run alongside me?】(並走する?)

 

【I guess it's up to my trainer】(うちのテキ次第かなぁ)

 

 妙にのんびりとしているリアルキャッシュ君。

ルールマン(ローマン)さんが退場してしまった今、知り合いのお馬さんは

彼とミスフリとアンブライドルドの野郎だけだ。

 

 他にもいると思われるが、記憶に残るのは彼らだけ。

そもそも奉先くんが調教師とともに馴致する時、一緒に並走したり

追いかけたりキャンターしたりやってくれる関連者の馬が彼らだけである。

他の馬はオーナーブリーダーじゃない者ばかりで、いわゆる一口馬主が多い。

 米国は馬主になる敷居が低いから、お金だけ出してあとは調教師任せ。

だけど素人じゃないからちゃんと走れば、利益は懐の中だ。

 

 そして自分がいる牧場は超初心者。全く優しくないというわけじゃないけど、

サンフェリペハンディキャップに勝利したから少々融通を聞かせてくれている

面も少しある。

 まあ、ミスフリやアンブライドルド・リアルキャッシュ君達が、

一緒に走るライバル性というところを押し出したいのかもね。

 

 でも米国って一頭だけのレースもあるんだろう?

利益だけに目がくらんで、客のことは大切にしていない気がするんだけど、そこらへんどうよ。

 

 まあ、馬が人の心配なんてするのも烏滸がましいのかもな。

 

 

「トバ。アメリカ三冠最初のレース、ケンタッキーダービーが始まる。

チャーチルダウンズは、練習の時に見てわかっただろう。

とても直線が長い。

さらに言えば明日は快晴で、いい感じの日差しとなるだろう。

アメリカ競馬特有の力競馬が発揮される」

【!】

「向こうで言った通り。逃げるぞ」

【!!】

「いい返事だ」

 

 アンブライドルド、サマースコール、プレゼントタップ、ミスターフリスキー、リアルキャッシュ。

こいつら全員押し出し先行とか狂ってるだろ。

自分が言えた口じゃない。

 で、勝ち鞍がサンフェリペハンディキャップと地方の3桁メートルレースっていう、いわゆるクソ雑魚ナメクジだ。

勝つには速度と加速が必要だっていうのに、それがないときた。

 このスピード競馬の発祥の地である米国に殴り込みをして、

三冠レースを虎視眈々と狙っている。

しかも日本の馬で、血統がサラ系。

 米国じゃジャージー規則なんざくそくらえかもしれないが、田舎の中のど田舎で

北海道出身じゃないっていうバグでもある。

 

 まあ、面白くないよな?

じゃあ、逃げるわ。

 

 

//www.youtube.com/watch?v=ZQokZTsWMdg&t=49s

 

 

「行け!!」

 

 牧場で学んだ加速を補う走法。

それはラビット走法だ!

本来ならゲートオープンから数歩で終わるが、自身の現最速である15歩目まで

後ろ足を同時に地面につけて走る。

 また脚を同時につけるから、背中が大いに曲がる。

これを落馬させないように、伸縮力を加速へ繋げるようにする。

さながらチーターだ。

 

 動的ストレッチも終わらせた此の身体は、簡単に両足飛びができるほど柔らかいぞ!

 

「く、やはり、リアルキャッシュが速い!」

 

 よお、リアルキャッシュ君にミスフリぃ、てめぇらの逃げに加わせろよ!

あとミスフリさー、なんかかかってない?

そんなに逃げ馬だったっけ?

基本的なレースの勝ち馬って、先頭を風よけにする奴だよな?

 カーブに入るまで先頭を取れれば良いんだけど……。

ラチの内側が少々空いているから、ここを突き破って奥へ行く。

リアルキャッシュとミスフリが徐々に落ちてきた。

じゃあ、ここで抜けるぜ。

 

 

 第四コーナーで外からアンブライドルドとサマースコールが上がってきやがった!

 

 むりやり走ったが、駄馬じゃどうしようもない。

速度が落ちて瞬発力も終わっているなら、どうすればいい?

強行しかないよな!

 例のラビット走法を改良したチーター走り。

巷では大跳び(ストライド走法)っていうらしいな。

そして脚の回転をよくすること。また、頭を低くし風の抵抗をなるべく減らすんだ。

 

 

【See you soon】(じゃあな!)

【not good at racing】(ノロマ)

 

 結果。アンブライドルドが一着。

次いでサマースコールに、三馬身差で負けてしまった。

 

【Today's race is mine】(勝ったぜ!)

【Yeah, it was fast】(マジ速すぎ)

【Oh yes, yes, you can give me more compliments】

(だろだろ!? もっと褒めろ!)

【I'm tired】(だりー)

【You're too fast】(速いよぅ)

【Good job both of you】(二人とも乙)

【I'm going to win next time】(次はぜってぇ勝つ)

【I'm not going to lose the next race!】(負けないからねぇ)

【Hahaha! Come on!】(おう、かかってきやがれ!)

 

「やったな、トバ!」

【応とも!】

 

「Congratulations Hosen」(奉先、おめっとさん)

 

「Thank you, Smith missed you」(ありがとさん。スミスも惜しかったな)

 

「I can't help it, because it's covered」(しゃーないさ、位置取りがわるかった)

 

 おんやあ?

クリス・マッキャロンさんやゲイリー・スティーヴンスさん以外にも、

気の良い仲間ができたんだ。

よかったねー。

 

 暫くするとアンブライドルドの鞍上であるクリスさんが、色々やって馬体検査のところへ来た。

 

「Now, take a deep breath,」(はい、深呼吸)

「「「If you do it, it will be」」」(やればできる)

「「「Boy, be ambitious」」」(少年よ大志をいだけ)

「「「Take It Easy」」」(気楽にやろう)

 

「……Why am I taking an oath with them?」(巻き込むんじゃねえよ)

「"Gary, you're free too, aren't you?"」(暇人だろ? 言ってどうぞ)

「Chris, please excuse me」(勘弁してくれ)

 

「What are they doing?」(何してんだ?)

「I don't understand.」(さあ?)

 

 クリスさんが、奉先くん・スミスやゲイリーさんに訓示を言わせてる。

なんで巻き込まれたんだろう、ゲイリー・スティーヴンスさん。

あと、サマースコールとプレゼントタップの鞍上に、白い目で見られてるよクリスさん!?

 

 馬体検査と水浴び等色々済ませて、隣にいるリアルキャッシュと喋る。

なんでも彼はまた別の所へ向かうらしい。

自分の目でも不可解で、夏以降見通せない。

種牡馬になったのかさえもわからないんだ。

 アメリカ競馬はシビアだと、今此の瞬間から強く思うようになった。

馬になってからの生き様だけど、そこまで濃いわけじゃない。

きっと自分も転生の特典がなければ、肥料になっていたんだろう。

 

 アメリカ競馬はどうなんだ?

種牡馬以外は全て肥料になるんだろうか。

 

 そうだ。

各一頭の出走レースを一つだけ変更できる(年に一回)

各一頭のあらゆる怪我や病気を一時的に治せる(年に一回)

 この2つをリアルキャッシュくんに使おう。

というか、出会った馬全員に使っていこう。

 ここにいる全員に遣うわけじゃない。そこまで自分は良い人間でもない。

基本的に惰性な人間だ。馬になっていきなり、俺は馬として新たな存在として

生きるぜ!っていうのは無理だ。

 

 

 全てを救えないから、知っているやつだけだ。

 

 

 あ、そういえば、ミスフリの年一回のレース出走が1/1のままだったな。

馬房内から遠くのあいつを見て、見える範囲まで生き様を見てみる。

やっぱり三冠レースを終えたら見えなくなるな。

ということは、この年一回レースはどこに出走することになるんだろう?

 この年一回がどこを起点にしているのかわかれば、

もっと使い所があるというのに。

そもそもなんでこっちで決められないんだろうな?

 

 明日は次のレース、プリークネスステークスが行われるピムリコ競馬場へ向かう。

今日も飼料を掻き分けて食って、さっさと寝る。

なんせまた長距離移動だ。酔わないためにも、ちゃんと睡眠を取らないとな。

 





色々精査した所、サンフェリペハンディキャップはサンタアニタハンディキャップの内容を差し込んでいます。この世界線はそうであるとご理解ください。
よろしくお願いします。
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