悲報 オバロ現地民転生とかいう罰ゲームwww   作:はんぺん大納言

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某所での交流でやる気が限界突破したので投稿です。

相変わらずの捏造・独自設定マシマシに加えて、注釈機能を使ったちょっとめんどくさい書き方をしていますのでご了承ください。


竜王国防衛作戦/ビーストマンレイド

 

 竜王国東部、ビーストマン国との国境付近。

 そこでは二つの集団が距離を置き、向かい合っていた。

 

 片方は総数一万からなるビーストマンの軍勢で、展開している陣形はシンプルな横陣。整然としたものではなくややバラツキがあり、遠目から見ればおよそ六つの集団に分かれていることが分かるだろう。いや、六つの集団が一つに纏まっているという方が適切か。お世辞にも練度が高いとは言えないが、内情を知った上で見るとその評価は変わってくる。

 何せほんの半年前まで、これら六つの集団は己が氏族こそ頂点に立たんと国内で相争っていたのだ。逸った者が出ず、統制が効いている現状はむしろ上等と言えた。

それを踏まえた上でこの軍を見れば統率者の優秀さ、或いはカリスマ性の高さが伺える。ここでビーストマン軍の兵達に目を向けよう。

 

 軍を構成する大多数が歩兵である点は通常の人間種国家と変わりない。ただ、個々人の力量が一般的な人間種を遥かに凌駕しているため、その総戦力は人間の軍の比ではない。では歩兵以外にどの様な者達が居るかというと、目立つものが三つある。

 一つは騎兵。基本的な役割は一般的なそれと変わらないが、変わった所が一つある。騎乗している生物が馬ではないという点だ。

 彼らが騎乗しているのは崖蜥蜴(クリフラプター)と呼ばれる中型の蜥蜴であり、大きさは馬と同程度でこげ茶色のヴェロキラプトルに近い見た目をしている。

 崖蜥蜴はスタミナや速度の面で馬に劣るが、小回りと走破性能に優れており障害物の多い山岳地帯や森林部での運用に適している。

また、負荷重量にもよるが険しい崖すら踏破できる能力を持つ。そこに加え、成体は難度にして四十前後の戦闘力を誇るため、騎獣として調教できれば非常に心強い存在だ。

 

 一つは従魔兵。いわゆるテイマーであり、軍の中では偵察及び伝令の役割を兼ねている。

 この役割を持つ理由は従属下にある生物を介した遠隔視や、ある程度の感覚共有・意思疎通を行う特殊技術(スキル)を習得できるからだ。当然、今回従軍している者達は皆この特殊技術を会得している。

 従える生物は個人によって異なるが、今回従軍している者の大半は潜み禿鷹(ヒドゥンヴァルチャー)と呼ばれる鳥を相棒としている。この鳥はせいぜい難度十五程度の身体能力しか持たない代わりに、種族的に溶け込み(カモフラージュ)という魔法に近い特殊能力を有しているため、今回のような偵察任務にはうってつけの存在と言える。

 

 最後に、これは兵科ではないが難度にして八十を超える猛者達。全員が異名を持ち、特にこの軍における総大将にしてビーストマン国の新たなる王、獣王バルバロスは難度百四十に迫る怪物だ。今回の大遠征では半数以上を国庫に置いてきているが、"遺物"を全て身に付ければ単騎でこの遠征軍を蹴散らせるだろう。

 

 この陣容に対し、もう一つの集団はどれ程の規模かと言えば、非常に少ない。かなり広い間隔で配置されており、数え上げれば人数にして百人に満たない程度だ。(いず)れも武装しており逃げ出そうとする素振りもないが、何らかの手段で此度の進軍を察知した人間が急行させたのだろうか。ビーストマン一万人という戦力に対し、相対するのが僅か百人足らずでは寡兵という表現すら過分だ。策も陣形も無く、突撃するだけで引き潰せるだろう。

 では何故そうしていないのか。ビーストマン軍の戦士達はこの絶望的な戦力差でも立ち向かわんとする人間達に敬意を表し、軍としての全力で相手をしようとしていたからだ。

 

 ──全軍、蹂躙せよ。

 

 総司令官たるバルバロスの号令が放たれ兵達が前へ進もうとした瞬間、突如発生した極大の爆発により左翼の一部が壊滅。これにより戦士約五十名、兵士約四百五十名、"激震"、"黒鉄"の二名、合計五百余名が死亡した。

 

 

 

 

 

 

 ビーストマン軍にバルバロスの号令がかかる直前と同時刻、冒険者チーム"ジェダイ"に連れられていたドラウディロンは震えが止まらなかった。何せ視線の先に居るのは万を数える膨大な量のビーストマンだ。施された透明化や消臭・消音の魔法により発見されてないとはいえ、ある点を除けばそこらの一般人と変わらない力しか持たないドラウディロンに掛かる心理的負担は尋常ではない。

 付け加えると、震えの理由はもう一つあった。自身の背後に意識を向ければ、緊張感のない声色で二十人近い人間が話し合っている声が耳に入ってくる。

 

「え、今日は合法ロリに貢いでもいいのか!?」「ああ、我慢していた分しっかり貢げ」「おかわりもあるぞ!」「ドラチャンカワイイヤッター!」「カス子ネキが調整してくれるけど連続経験値投入は死ぞ」「俺、この戦いが終わったら生足で踏んでもらうんだ……」

 

 極度の緊張で大半は聞き逃してしまったが、震えのもう一つの理由は現在話し込んでいる彼らだ。正確には、彼らと行う事と言うべきか。自身の横に立つ赤髪の女性、アダマンタイト級冒険者チーム"サンドリヨン"のリーダー、ルサルカが自身の肩に手を置き安心させるように語り掛けてきた。

 

「心配しなくても大丈夫ですよ陛下。私の方で流入量は調整しますので、ガッツリ使っちゃってください!」

 

 この窮状に駆けつけてくれた彼らを使いつぶす事への躊躇い、これ程大規模な力を制御できるのかという自身への疑心、仇敵たるビーストマンへの憤り。

 それ以外にも多くの想いがないまぜになっていたが、もとより何でも協力すると言い切ったのは自分自身だ。ルサルカに視線を向け、ドラウディロンは頷きを持って覚悟を示す。

 

「いつでもどうぞ」

 

 ルサルカを介して自身と繋がるあたたかなものを燃料とし、ドラウディロンは一つの魔法を編み上げる。

 

「──爆 ぜ よ !!」

 

その言葉と共に、始原の魔法が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 参戦する多くのビーストマン達が中央の列強相手でも殴り合えると自負する軍は今、混乱の只中にあった。ビーストマン達に正確な被害規模は分からぬものの、たったの一撃で二十分の一近くの兵が消し飛んだのだ。

 特に、前線指揮官も兼ねる異名持ち二人が開幕で欠けたのはビーストマン軍にとって大きな痛手となっていた。しかし、彼らの苦難はここで終わらない。

 ともかく、目の前の敵を倒さない事には始まらないと突撃を始めた集団の前に、空間から滲み出すように巨大な人型が現れる。それは注連縄を人型になるよう纏めただけの簡素な作りであり、本来なら一笑に付す粗末なものだがその大きさが異常であった。

 全高約三十メートル。むき出しの表面を見れば、鈍い輝きから素材は藁ではなく金属糸であることが分かる。ビーストマン随一の巨体を誇る筈の"巨獣"グリフォールが路傍の小石に思える程の体格差は、ビーストマン達をしり込みさせるには十分な脅威であった。*1

 

その光景に対し、指揮を任せる旨を"千里眼"ガリスに伝え、即座に対処すべく前線へ向かって跳んだ(・・・)バルバロスの視界に様々な者が映りこむ。どこから現れたのか、右翼には細い炎を放ちながら飛び交う複数の全身鎧。左翼には先ほどの仮称ワイヤーゴーレムに加え、I字型の発光する切れ目が特徴的な仮面と奇妙な装備を身に着けた集団が歩いていた。*2

 

 だが、やはり最も厚みがあるのは中央部だ。奇抜な者は少ないが暴れまわっている人数が最も多く、数で勝る筈の兵達が圧倒されている。*3観察した限り、ワイヤーゴーレムの動きは緩慢としているため、冷静に対処すれば一般兵でも退避するだけなら容易いだろう。

 眼下には自身に続き、疾走する"炎爪"ラクエルの姿。特別な加工が施されていなければ、ワイヤーゴーレムはラクエルにとって有利な相性の相手だ。

 

「ラクエル! 任せたぞ!! <能力超向上><剛腕剛撃><超殴打>!」

 

 バルバロスは跳躍の勢いを乗せた武技をワイヤーゴーレムに打ち込み、反動と武技<跳躍>でもって中央部へと跳んでいく。跳躍の一瞬前、揺らいだワイヤーゴーレムの足元ではラクエルが炎を宿した爪を振るっており、その攻撃がワイヤーゴーレムの表層を溶断している姿を見ることが出来た。巨体故に損傷としては微々たるものだが、確かに傷は負っている。ならば後は時間の問題だろう。その場を託し、バルバロスは中央へと意識を戻す。

 眼下に流れる戦場では、目立つ三ヵ所以外にも敵が浸透して暴れている。異名持ちに匹敵、或いは凌駕する者達によって同胞が蹴散らされる光景に覚えた感情の名は歓喜。それは冷めた人生を過ごしてきたバルバロスを大いに昂らせ、無意識に抑え込んでいた力が少しずつ全身に行き渡り始めていた。*4

 地面が迫る中拳を引き絞り、着地に備える。気づかれたのか、幾人かがこちらへ視線を向けるが構わず突貫。着地の瞬間に合わせて拳を地面に叩き込み、衝撃波と大地の破片でもって周囲を牽制し着地の隙を埋める。

 

「よぉ。随分楽しそうじゃねぇか? 俺も混ぜてくれよ」

 

 自身の宣言に帰ってきたのは、言葉ではなく迸る戦意。バルバロスにとって、それはどのような言葉にも勝る心地よいものであった。自身が構えを取ろうとした瞬間、周囲に居た八人の人間が各々の武器を構え動き出す。*5

 バルバロスの背後。死角からの一撃を放とうとした槍持ちの男に対し、地面から飛び出した土の中級精霊が急襲する。しかし、完璧に思われたその奇襲は二刀流の戦士により防がれた。

 背後で起こっている攻防を後目に、バルバロスは自身に向かってくる敵達に意識を集中する。一刀にて斬り伏せんと迫る剣を躱し、懐に潜り込む。横合いから何らかの魔法が飛んでくるが無視。脅威度は断然、相対する剣士の方が高い。

 装備によって魔法を抵抗(レジスト)しつつ、剣士の胴体に一撃を放つ。

 

「<能力向上><能力超向上><剛腕剛撃>──チッ。浅いか」*6

 

 ──胴体をぶち抜くつもりだったが、あえて力の流れに身を任せることで致命傷を回避したか……。だが骨と内臓を攪拌する感触はあった。あの傷だ、復帰には時間がかかるだろう。

 

 素早く敵手の状況を判断するが、こちらに息つく暇は無い。体を反転した次の瞬間には四方からの槍・剣・金棒・錫杖による同時攻撃。武技か魔法か、それぞれの武器には火炎・冷気・雷・酸の属性を示す光が宿っている。火傷・凍結・感電・溶解……どれも厄介な状態異常だが──

 

「遅い」

 

 何れも先の剣士より一段劣る。大地を砕く勢いで武技<大震脚>を使用し、その衝撃でもって足止めを狙う。左右と後方の戦士は狙い通り体勢を崩したが自身の前方、槍持ちの男は砕けた地面の上であってもブレずに槍を突きこんで来る。

 

 ──流石に正面を担当するだけあるか!

 

 なんらかの武技によるものか、急加速するその攻撃に対してバルバロスは避けきれないと判断し、回避から迎撃に変更。<外皮超強化><硬気梱封><アイアン・ナチュラル・ウェポン>による多重強化を施されたバルバロスの拳は、アダマンタイトすら優に超える硬度を得ていた。

 

 ──俺の出しうる最硬の拳だ。その槍、真向から打ち砕く……!

 

 強化されたバルバロスの拳は寸分違わず槍の穂先を捉え──薄紙の様に貫かれた。

 違和感を覚えた瞬間、痛みで動きが鈍る前に<痛覚鈍化>を使用。次いで<即応反射>で攻撃動作を強制中断。拳を強引に引き抜きつつ、<疾風走破>と<流水加速>の同時発動でもって後方へと離脱した。

 

 ──追加で武技を使う素振りは見えなかった。装備か魔法か、或いはその両方か……。

 

 バルバロスはマジックアイテムを起動して拳を癒しつつ、先の不可解な結果について思考を巡らせる。

 

 ──貫かれた時の感覚からして、貫通効果があるのは恐らく刃の部分のみ。ならば!

 

 <大震脚>による硬直(スタン)状態から復帰した者らと槍持ちがバルバロスに詰め寄り、再び包囲攻撃が行われる。あえて誘いに乗り、<大震脚>を使用。

 二度目という事もあり、今度は他の三人も衝撃に耐えて攻撃に移ろうとするが、それはバルバロスの想定内だ。初めて見せる手札、<咆哮超強化>を上乗せした<ビースト・ロア>による音波攻撃と行動阻害で足止めを行い、速度を重視した拳を槍持ちの男に放つ。

 

 ──やはり合わせてくるか。だが、そちらは囮だ。

 

 槍と拳がぶつかる直前。バルバロスは拳の軌道を下に曲げる事で穂先との接触を避け、パリィの要領で拳を振り上げて槍を外側に跳ね除けた。槍持ちの男の意識が逸れた一瞬の隙を突き、最速の蹴り上げで頭部を狙う。

 虚を突いたバルバロスの蹴りは槍持ちの頭を捉えるが、殊の外男の兜が頑丈であったため、顎を砕き意識を奪う程度に抑えられてしまう*7

 

 ──存外硬いが、目的は果たした。次はあの三人を……!?

 

 バルバロスは硬直(スタン)状態から復帰しかけている三人を潰そうとするが、不意に大地が蠢き始めたため攻撃を中断して飛び退く。一瞬遅れ、無数の土の触手が直前まで自身がいた場所目がけて殺到していた。*8

 気配を辿り、視線を頭上に向ければ灰色のローブを纏った人間の男が一人宙に浮いていた。

 

 ──魔法詠唱者(マジック・キャスター)……。このまま放置するのも得策ではないか。

 

 バルバロスは一瞬だけ思考を割き、ローブ姿の男を撃墜する事を選択。此方に発動している魔法を抵抗(レジスト)しつつ一瞬足を溜め、<跳躍強化>を使用してローブの男へと跳び掛かった。ローブの男に迫る中、再び魔法が飛んでくるがこれも抵抗(レジスト)。跳躍の勢いのまま拳を振り上げ、男の半身を抉り飛ばした。*9

 

 墜落していく男を警戒しながら慣性によって滞空し、自由落下が始まるまでの僅かな時間、バルバロスは体力の回復に努めた。落下が始まった頃、地上では迎撃態勢を取る戦士達の姿を見られ、気づけば笑みが漏れていた。

 バルバロスは地上に集まる戦士達を真正面から叩き潰さんと拳を構えて精神を統一し、大技を放つ準備をする。着地まで後一秒を数えた瞬間、左遠方にある山から微かな爆発音。そこから超高速で飛翔する物体を認識できたが、バルバロスに避ける余裕は無かった。否。避ける事自体は可能だが、その場合まず間違いなく攻撃と着地の両方に失敗する。そうなれば、その隙に致命の一撃が放たれるだろう。

 

 ──回避は不可能……。ならば、甘んじて受け止める!

 

 不測の事態に備えて空けていた左腕を構えた直後、想定以上の衝撃が左腕を通してバルバロスの全身を貫いた。

 

 ──折れてはいないが、これは予想以上の……!

 

 次の瞬間、防御に使った左腕に魔法円が突如発生。竜の如き姿の雷を一瞬だけ視界に捉えるも、瞬きの間に着弾する。意識外からのダメージと運悪く発生した感電により、意思に反して肉体が麻痺してしまう。

 この絶好の機会を見過ごす筈も無く、いつの間にか回復していた槍持ちの男が地上を走る流星と化し、バルバロスに肉薄する。*10

 

 ──ッ……麻痺が抜けん。回避どころか防御姿勢もままならんか。いいだろう、来い! 槍の戦士よ!

 

 驚愕すべきことにバルバロスは先の狙撃を受けてなお、二足での着地に成功していたが、そこが限界であった。諦観ではなく覚悟をもって、その一撃を受け入れる。多重の支援魔法による強化を受けた複合武技は、その場に居る全員の想像通りバルバロスの体に風穴を空けた。人間種の成人男性の頭部が通り抜けられる程大きな傷は、致命傷と言う他無いものであった。*11

 崩れかけた体を意志力で律し、二本の足で死にかけの体を支える。バルバロスのこれまでの人生で、これ程濃密な時間は無かった。かつての六氏族交流会で当時の好敵手(ライバル)たるベイオールと戦った時ですら、今日一日の足元にも及ばない。

 思考が伸び、緩やかになっていく。これまでの満たされない人生が、早送り脳裏に流れてゆく。

 この戦場が、バルバロス・エクセリオン・ハルートの終着点。

 闘いに生きる者にとっての大往生。

 

 ──本当に?

 ──ここで終わるのが、綺麗な終わり方というものだろう。*12

 

 ──また我慢するのか?

 ──十分暴れられたさ。満足……。そう、満足だ。*13

 

 ──これまでと同じように誤魔化すのか?

 ──……。*14

 

 ──誰も彼もが強者ばかり。己が触れても壊れぬ者ばかり。我慢する必要がどこにある?

 ──そうだな。尊敬すべき敵達だ。だが、しかし……。*15

 

 ──さぁどうする? お前()はどうしたい?

 ──…………闘いたい! 心ゆくまで!!*16

 

 ──物わかりの良いフリはやめだ。

 ──喝を入れろ。心を燃やせ。全身全霊で立ち塞がれ。

 気合と共にバルバロスは吼える。

 

 「──ま だ だ !!」*17

 

 実の所、周りや本人も知らぬことであったがバルバロスはとあるタレントを保有していた。簡潔に言えば経験値のストックを行えるタレントであり、この世界を生きる大多数の者にとっては無用の長物と言えるものだった。

 だがしかし、ある存在の血を引くバルバロスにとって、そのタレントはある意味噛み合った物でもあった。無意識の内に同胞との差を付けすぎないよう、経験値を貯めこんでいた期間は実に二十余年。この戦いの中で徐々に解放されていたが、それを差し引いてなお膨大な量が残されていた。

 では、それが一度に解放されればどうなるのか? 只人であれば、何の意味も無い行為だ。その者の限界まで何かしらのレベルを得られるだろうが、それ以上は全て無駄になる。中身の満たされた器に追加で注いでも、ただ零れるだけなのと同じように。

 ではもし。もし、それだけの量を注げる器があったのなら? それを成し得る土壌があったのなら?

 

 鼓動を止めた心臓が動き出し、その眼に光が再び宿る。のみならず、筋肉は隆起と圧縮を繰り返し、より強く、よりしなやかに、より洗練さてゆく。

 骨格すら変わるほどの、変化を超えた進化。腹の傷が塞がることは無かったが、それを差し引いてなお溢れ出す生命力は、ただ一度闘うには十分な余命をバルバロスに(もたら)していた。

 

 この瞬間、バルバロスは神人として目覚め。遥かな祖たるぷれいやーの血を覚醒せしめた。

 

 「──ここが! この戦場が!! 俺の魂の場所だ!!!」*18

 

 獣人(ビーストマン)改め、神獣人(ナラシンハ)。難度にして──二百。

 不世出の超人、バルバロス・エクセリオン・ハルートの再誕は、今ここに成った。*19

*1
141:名無しの転生者

なぁにこれぇ(畏怖)

142:名無しの転生者

戦え僕らの芦名マン!

143:名無しの転生者

いけー!メタル芦名マン!お前の力を見せてやれ! 

144:名無しの転生者@製造班

まぁガチャ産付与効果で無理やり動いてるだけで実際の性能はそこまでなんやけどなブヘヘヘ

145:名無しの転生者

確かによく見たらクッソ遅くて草。よちよち歩きカワイイね♡キビキビ動けやウスノロがよぉ

*2
172:名無しの転生者

さーて、今週のビックリドッキリメカはこちら!

173:名無しの転生者

てか全員ボ卿で草。なんか一人除いて仮面の光の色が白いけど、あれはいったい?

174:名無しの転生者

かつてあったエアプボンドルド選手権の敗者達やぞ

175:名無しの転生者

なにその愉快な催し?俺も参加したかったわ

176:名無しの転生者

ボンドル度驚異の30%超えなエアプボンドルドニキが現れちゃって第二回は無期限延期になったぞ

*3
199:名無しの転生者

多い、多くない?

200:名無しの転生者

約一万だぞ多いに決まってるわ

201:名無しの転生者

範囲攻撃楽Cィィィ!無双g

202:名無しの転生者

お?乙ったか?

203:名無しの転生者

横合いから殴られてやがら。相手の推定レベルは20前後。格下とはいえ油断しすぎだバカ!

*4
220:名無しの転生者

おい今頭上になんか通ったぞ!?

221:名無しの転生者

ちょっと上見てる余裕ないんだけど何?誰か吹っ飛んだ?

222:名無しの転生者

いや、半裸のビーストマンが中央に向けてかっ飛んでった

223:人力レイザーエッジ

アイエエエ!?裸族!?裸族ナンデ!?

224:名無しの転生者@戦闘班

上裸・袴(?)・無手のビーストマンってことは、特記戦力のバルバロスか!

*5
244:チェストビーストマン

正面担当するから左右背後は任せた

245:名無しの転生者

後ろは任せろー!(バリバリ)

246:名無しの転生者

んじゃ右行くわ

247:人力レイザーエッジ

その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやるぜ

248:名無しの転生者

ヤリザニキ後ろ後ろォ!!

*6
271:チェストビーストマン

グワーッ!!

272:名無しの転生者

あーっと、薩摩ニキ吹っ飛ばされたァー!

273:名無しの転生者

言っとる場合かー!!!

274:名無しの転生者

魔法弾くのやめろやバグかよざけんな

*7
309:人力レイザーエッジ

 

310:名無しの転生者

ヤリザニキダイーン!

311:名無しの転生者

事前情報より明らかに強えーんだけどどうなってんの!?

312:名無しの転生者@戦闘班

後1分持たせてくれ。それで砲身の冷却が終わる

*8
328:名無しの転生者@戦闘班

すまん!不意打ちしたのに避けられた!

329:名無しの転生者

偉い!100万年無税!そのまま妨害頼む!

330:名無しの転生者

ナイスゥ!!(ナイスゥ!!)

*9
337:名無しの転生者@戦闘班

勝手に跳んでくんな猫野郎!<墜落(フォーリンダウン)>!! って効かねえ!?

338:名無しの転生者

話聞けや!そいつなんでか魔法抵抗クソたけーんだよ!

339:名無しの転生者

あ、ドルイドニキ(仮)がドル/イドになった……

340:名無しの転生者

ショッギョムッジョ

341:名無しの転生者

支援に来てくれる魔法詠唱者は間接妨害メインで頼む

*10
362:名無しの転生者@戦闘班

支援砲撃、弾着確認!

363:名無しの転生者

ビューリホー

364:名無しの転生者

キロ単位の狙撃成功させやがったよコイツ

てか誰か魔法使った?

365:名無しの転生者

投擲ニキの必中タレント様々やで

366:名無しの転生者@戦闘班

>>364

魔法弾頭の効果やぞ。高級品だから普段使いできないけど、やっぱ便利だわこれ

367:名無しの転生者

はえーすっごい……ん?投擲?

*11
401:名無しの転生者

いっけええええええ!!

402:名無しの転生者

通ったああああ!!!

403:名無しの転生者

やったか!?

404:名無しの転生者

やったか!?

405:名無しの転生者

やったか!?

*12
421:人力レイザーエッジ

もうゴールしてもいいよねパトラッシュ

422:名無しの転生者

ゆっくり休めヤリザニキ

423:名無しの転生者

>>402-411

フラグ立てるのやめろ

*13
424:名無しの転生者

流石にやってるでしょ。どてっぱらに風穴空いてんだぜ?

425:名無しの転生者

他もぼちぼち片付き始めたみたいやな

426:名無しの転生者

経験値ウマー

*14
427:名無しの転生者

レベルダウンしすぎて死にそうなんだが?

428:名無しの転生者

429:カス子

すまん、ちょっと制御ミスって経験値流し過ぎちゃった

ゆるして♡

*15
430:名無しの転生者

431:名無しの転生者

なんか床ペロしてる集団居ると思ったらそういう……

432:名無しの転生者

>>429

ころちゅ♡

*16
433:★名無しのエルフ

経験値タンク組については補填するからこの後本部集合で

カス子ネキはちゃんと反省してね。割と洒落にならない現場ネコ案件だから

434:名無しの転生者

くくくっ。賠償金むしり取ってやるから震えて待ってろカス子ネキ

435:名無しの転生者

今なら言っても許されるな。死亡確認!

*17
436:名無しの転生者

やtt

437:名無しの転生者

は?

438:名無しの転生者

……は?

439:名無しの転生者

まだだ!じゃねええええええ!!

*18
469:名無しの転生者

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛

470:名無しの転生者@戦闘班

ふざけんな!ふざけんな馬鹿野郎!やってやるよこの野郎!!ボケー!!

471:★審査員

出し惜しみできねーわこれ

バックアップ組総動員で!

472:超農民

お、出番無いと思ってたわ

*19
500:★10連ガチャ

ガチャ産UR乱舞の時間ですね分かります

501:ガンド3000倍

了解。残弾の貯蔵は十分。ダークドワーフの国でたっぷり仕入れたからな!

502:嵐を呼ぶ五歳児

後詰考えなくていいなら初手ブッパ安定だな

503:★名無しのエルフ

仕事の時間だ。獣畜生を寝かしつけるぞ




本話を書き上げるのを優先したため感想返しが滞っていますが、今まで通り返信していく予定ですので、今しばらくお待ちください。

ネタバレ 力尽きたので竜王国戦線最強決定戦は時空の狭間に飲まれます。

おまけ

・魔法弾頭について

 本文中では弾頭と表現されていたが、実態としてはワンドの改造品。
 接触時に封入された魔法を解放することで発動する仕組みとなっている。

 魔法弾頭最大の強みは威力であり、発揮される威力は魔法を込めた者の8割という驚異の変換効率を有する。ざっくりとした原理としては、本来複数回に分けて使用される魔力を一度に解放することで起きる超過駆動と言うべきもの。瞬間火力の代償として費用対効果は劣悪。なにせ複数回に渡って使える道具を一度で使い切るのだ。コストパフォーマンスは最悪と言って良い。

 余談だが、今回の話で使用された弾頭には第七位階の<連鎖する龍雷(チェイン・ドラゴン・ライトニング)>が込められていたそうな。

 第四位階までの弾頭は現地素材を使用して製造されているが、第五位階以上は高位のモンスター素材又は高レベル転生者の素材を使用されている。
更に上、七位階を超えてくるとドラゴン素材・エルフニキの生体素材(主に骨)・最上位勢の生体素材を錬金加工した物(これは七位階が限界)となる。

 捕捉
 狙撃を担当した転生者のタレントは【狙った場所に物を当てられる(投擲行動限定)】。
 このタレントを最大限生かすために作られた専用武装がある。

 外見としては巨大な鋼鉄の筒のような物で、砲身だけのややメカメカしいカルバリン砲といった趣。直径は平均的な成人男性二人が手をつないで漸く抱え込める程で、全長に至っては2メートルを超える鉄塊。
後部にはトリガーを兼ねる取っ手が付いている。使用法としては砲身後部の取っ手を押し込むだけ。

 火薬の代わりに爆破系魔法を砲身内で発生・圧縮させ弾頭を打ち出すのだが、命中精度は非常に悪い。投擲判定と判断される限界ギリギリ+可能な限りの火力追及のため切り詰められた設計をしている

 最中精度が最悪な理由は、使用者は『この鉄塊を片手で保持しながら』『もう片方の手で後部のトリガーを砲身側へ押し込む』という動作を要求されるため。当然、そんな状態でまともに狙いを付けられるわけも無く、大砲として運用しようにも重量とサイズのせいで運用に難があるという失敗兵器。
 投擲ニキはこの兵装の使用に特化した専用パワードスーツと自身のタレントを併用することで強引に運用している。
 

おまけ2

・バルバロスの祖先について

ヤマディラ・ハルート/山寺春人/ケモナーマスクⅣ世

 過去に転移してきていたプレイヤーの一人。
そこそこのケモナー(自称)であり、好みのケモ度は2~3。マスカーニャとかレナモンとかその辺。
 100レベルではあるがエンジョイ勢でガチビルドでは無かった。
 転移後は人食いを避けるための言い訳として事あるごとに「惰弱な肉に食らう価値無し」と言ったりしていた。

 生前及び死後その考えは「強者は強者を食らうべし」という思想として他のビーストマンに伝わっていたが、時が経つほど古い考え方であるとされ、現在では若い世代のビーストマンから軽視されている。

 嫁6人(いずれもビーストマン)のハーレム生活を満喫し、孫やひ孫に囲まれ大往生したが、死ぬ前に「最も強き者が跡を継げ」という頭イスカンダルな言葉を放ったせいで、こいつの死後国内が戦国時代状態になった。
 彼の死後、複数の部族に分かれて群雄割拠していたが、最終的にこいつの子供たち(のちの6氏族の始祖)がそれぞれの部族を纏め上げて氏族となした。
 ヤマディラの遺品は6氏族に均等に分かれているが、アイテムボックス内のアイテムを出していなかったため、装備品以外は幾つかを除き、大したものは残っていない。割とその場のノリで発言することが多く、現代にも多少変形して伝わっているものがある。
例 「え? 国名? あー……わんにゃん王国で」→ワンナ獣王国

 余談だが、23話の後書きでバルバロスが読んでいたのはヤマディラの百科事典(エンサイクロペディア)。フリーページにはヤマディラの手記(転移後に気が向いていた時だけ書いていたのでかなり飛び飛び)が載っている。


おまけ2のおまけ

六氏族(ヤマディラの嫁達)の家名はそれぞれ、

一人目:ハルート。家名は別にあったが、ヤマディラと籍を入れた際に一族単位で改名した。正妻枠。
ヤマディラ「御淑やかな淑女かな? たまにパワー系な所が顔を出すけど」

二人目:グラディア。第二婦人。ここ以降は全員妾枠。
ヤマディラ「忠犬系女戦士だね。文武両道のキャリアウーマンみたいな感じ」

三人目:クラム。
ヤマディラ「お姉さん系薬師。合法ロリなんだけど、お姉さん風吹かす所が可愛くってさぁ」

四人目:テッセン。
ヤマディラ「メカクレ系地味っ子テイマー。恥ずかしがり屋で、僕や嫁達・血縁のある家族以外とはずっとテイムモンスター越しに接していた極度の引きこもりだよ」

五人目:モーガスタ。
ヤマディラ「ガテン系女子っていうのかな? こてこての職人気質な高身長筋肉鍛冶師。下品なんですが…その…いや、下品なんでやめておきますね」

六人目:ウルタール。
ヤマディラ「なんだろう、ポヤポヤしてる不思議っ子? 記憶喪失で彷徨っていた所を保護したんだけど、色々あってお嫁さんに迎えたんだ。名前だけは憶えてたみたいだけど、結局どこの出身だったんだろ?」

補遺:こいつだけ出身地が別。飛び飛びだけど、ウルタールの家系には今も受け継いがれているもの(?)がある。
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