博士の臆病な愛情。または私が如何にして遠慮するのを止めてトレーナーを愛するようになったのか。   作:トマトルテ

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おまけ:砂糖の魅力

 

「トレーナーに浮気をされたらどうしよう」

 

 トレセン学園に併設されたシュガーライツのラボ。

 そこに集まった5人のウマ娘に対して、シュガーライツが深刻な顔つきで悩みを口にする。

 

「………そんなに不安なら、もう盗聴器でもつけてろよ」

「確かにそれも考えたが、バレたらそれこそフラれそうなので却下した」

 

 適当に意見を出したのに、真面目に返されて戦慄するエアシャカール。

 

「あれだけイチャイチャしてるのに、何を不安に思ってんの?」

「いや、私としてはむしろスキンシップが足りないぐらいなんだが」

 

 あれだけ、見せつけておいて何を言っているのかと呆れるナリタタイシン。

 

「愛される側にも都合がある。案ずるな、先導者(トレーナー)は一途だ」

「そ、そうだろうか? だが、やはり私のような女が相手では不満ではないかと……」

 

 普段がめちゃくちゃなのに、やたらと親身になってくれるタニノギムレット。

 

「不安なら、私達から学園での様子をそれとなく伝えましょうか?」

「それはありがたいのだが……肝心の私が信じることが出来ないのでは、どれだけ報告を貰っても一緒ではないかと思ってな」

 

 初めて建設的な意見を出すが、信じられないのが問題だと返されて困った顔をするビワハヤヒデ。

 

「Believe……簡単ではない。心の中は本人しか分からない」

 

 難しいなと、同意を示すシンボリクリスエス。

 

「だが……疑ってはいけない、reasonもない」

「そうなのか…?」

 

 難しいのなら疑い続けるのも手だ。

 そう告げる、クリスエスの言葉にシュガーライツが目を丸くする。

 

「疑いたいのなら……試したいのなら……何度でも付き合えばいい。Trial……神は乗り越えられる試練しか与えない。ならば、示し続けるまでだ……少なくとも、私が疑われたらそうする」

「クリスエス……君は何と言うか……男前だな」

「誉め言葉として、受け取っておこう」

 

 もしもこの場にゼンノロブロイが居たら、興奮して倒れてしまっているかもしれない。

 そんなイケメン台詞を残し、クリスエスは目を閉じる。

 他に有用な案が無いか考えを巡らせているのである。

 

「そもそも、なんでそんなこと思ってるの? 傍から見てるとバカップルにしか見えないんだけど」

 

 長いようで短い沈黙。

 それを破ったのは、タイシンだった。

 そもそもとして、何故不安がるのかという根本的な理由。

 

「よく聞いてくれたな! タイシン!」

 

 そして、勢いの良い返事にタイシンは悟る。

 自分は地雷を踏んでしまったのだと。

 

「実はな、最近トレーナーが少しよそよそしいんだ!」

「へ、へぇ、そうなんだ」

 

 あ、これ長くなるやつだ。

 タイシンは経験からそう判断を下し、右隣のエアシャカールに目で助けを求める。

 だが、シャカールは全力で目を逸らすことでこれを回避する。

 薄情者と思うが、自分も同じ立場ならそうするので文句は言えない。

 

 ならばと、今度は左隣のギムレットに目をやるが眼帯側しか見えないため不可。

 少し離れたところに居るクリスエスはまだ目を閉じたまま。

 

(任せろ、タイシン)

(ハヤヒデ…!)

 

 だが、捨てる神あれば拾う神あり。

 反対側に座っているハヤヒデは友のSOSを見逃さなかった。

 軽くウィンクをして、任せろと頷く。

 これには心の中のナリタブライアンも、流石は姉貴だとご満悦。

 

「博士、出来ればその話を詳しく聞かせてもらませんか?」

「ああ! 聞いてくれ、実はこの前―――」

 

 そして、堰を切ったように始まるライツ博士の愚痴、もとい惚気。

 その猛攻を真正面から受け止めるハヤヒデを見ながら、タイシンは今更ながらに思う。

 

(ハヤヒデが防波堤になってくれたかと思ったけど……)

 

 ハヤヒデの尊い犠牲、まあ、本人は意外と楽しそうだが。

 とにかく、それにより禍災から逃れたと思っていたのだが。

 

(同じ部屋に居るから、結局聞かないといけないやつだ、これ)

 

 結局は、博士の惚気からは逃れられないのだと。

 

 

 

 

 

 俺の彼女が可愛すぎて困る。

 

 いや、本音は困らないのだが、仕事に集中できないので困る。

 このままでは、織姫と彦星のように離れ離れにされてしまう。

 そうならないためにも、仕事中はライツのことは忘れないと。

 

「トレーナー、このメニューならもう少しトレーニングの負荷を上げても問題ないと思うぞ」

「あ、はい」

 

 前言撤回。

 すぐ隣にライツが居るので、忘れようがない。

 しかも、俺の担当のトレーニングメニューについて豊富な知識から助言をくれるので、無視をすることも出来ない。

 

「ありがとうございます、博士」

「…………」

「博士…?」

 

 取りあえず、助言を参考にしつつお礼を言う。

 言うのだが、何故かライツは不満げな表情で俺の方を睨んでくる。

 な、何か変なことでも言っただろうか?

 

「おかしいな、今ここには2人しか居ないはずなんだが……君はそんなよそよそしい呼び方で自分の彼女を呼んでいたか?」

 

 どうやら、()()呼びされたのが嫌だったらしい。

 確かに、2人きりの時はライツと呼ぶようになったが、どうにも釈然としない。

 何故なら。

 

「いや、それなら俺のこともトレーナー呼びするのはおかしいんじゃ」

 

 ライツの方もトレーナーと、今までと変わらぬ呼び方をしているのだ。

 だから、職場では公私を分けた態度を取ると思っていたのだが。

 

「おっと、すまない。確かにそれは不公平だったな。私だけ呼んでもらうのは悪い。うん」

(あ……しまった)

 

 ニンマリとしたわざとらしいライツの笑顔。

 内心でやってしまったと思うが、もう遅い。

 これはライツの甘い罠だ。

 

()()()()は私のことをライツと呼んでくれないのか?」

「分かった……ライツ。謝るから、その呼び方は家にいる時だけにしてくれ」

 

 ライツは俺のことをダーリンと呼びたかっただけなのだ。

 ……うん、まあ、その言葉を聞くだけで幸せになることは否定しないが、流石に学園では呼ばれたくない。

 同僚に聞かれたら、翌日から俺の仇名がダーリンになることは想像に難くないのだから。

 

「えー、どうしたものかな」

「……俺は基本的に君のことをライツ呼びするから」

「そうか、いや、悪いな。なんだか、催促してしまったようで」

 

 作戦成功とばかりに、耳をピコピコとさせて笑うライツ。

 ああ、もう……本当はダメだと言いたいのに、この笑顔を見たら全部許してしまう。

 これが惚れた弱みというやつか。

 

「と、そういえば、この後は私のトレーニングに付き合ってもらうつもりで、トレーナー室に来たんだったな」

「そう言えば、そうだったな」

 

 時計を見ると、もう約束時間は過ぎている。

 担当のトレーニングメニューを考えるのに没頭し過ぎたようだ。

 ライツには悪いことをしてしまった。

 

「ごめん、ライツ。ちょっと時間を過ぎた」

「いや、トレーナーにとって一番大切なのは自分の担当だ。むしろ、君への好感度が上がったよ」

「そう言ってもらえると助かる」

 

 トレーナーが彼女と別れる原因NO1。

 それは、『私と担当、どっちの方が大切なの!?』と問われること。

 

 数多の名トレーナー達がぶつかってきた問題だが、今の所模範解答は生み出されていない。

 かくいう俺も、もしこの質問が来たら答える言葉はないのだが、ライツはトレセンOGなのもあり、こちらの事情も理解してくれるので助かる。

 

 ただ。

 

「しかし、私も女だ。何かしらの埋め合わせをして欲しいと思うのが、人の心の常じゃないか。うん?」

 

 そういう時は、抜け目なく埋め合わせを要求される。

 そして、その埋め合わせは大抵――

 

「……そう言えば、今日は少し車椅子の調子が悪くてなぁ。トレーニングルームまで親切な誰かが運んでくれないものかなぁ」

 

 スキンシップを要求される。

 金目の物などを要求されれば付き合いを考えただろうが、こういったものなので可愛らしいだけだ。

 もっと言うと、さらに可愛らしいものがあるのだが、それは。

 

「お姫様抱っことおんぶ、どっちがいい?」

「え!? お、お姫様………い、いや、おんぶで良い。わ、私の心臓が持たない」

 

 こっちが押すと、一気にしおらしくなる所だ。

 

「じゃあ、俺の背中に乗ってください」

「よ、よろしく頼む……そう言えば」

「そう言えば?」

 

 ライツを背中におぶって歩き出すと、彼女が何かを呟く。

 そう言えば? 一体なんだろう。

 

「良い香りのする相手とは、遺伝子から相性が良いと言うが……なるほど、どうやら本当らしいな」

 

 誰か助けてくれ。

 俺の彼女が可愛すぎて、理性が保てそうにない。

 

 

 

 

 

「……と、いう訳でな。最近は少し、彼の態度がよそよそしいんだ」

「どこがだよ!? こんのバカップルが!!」

 

 如何にも、不満ですといったシュガーライツの言葉に、シャカールが吠える。

 まあ、胸焼けしそうな話を聞かされた果てに、この言い分では叫びたくなる気持ちも分かるが。

 

「な、なんでだ? 付き合い始めの頃は私のことをハニーと呼んでくれていたのに…!」

「何なのあんたら……ダーリンにハニーって、アメリカのホームドラマじゃないんだから」

「アメリカでも、人によるとしか……言えない」

 

 アメリカみたいと呆れるタイシンに、アメリカ出身のクリスエスが心外とばかりに否定する。

 シュガーライツは怪我のせいで異性と付き合う経験がなかったので、今まで貯めこんできた乙女因子が弾けた結果、恋に恋する乙女のような行動を取ってしまっているのである。

 まあ、トレーナーの方も似たようなものではあるのだが。

 

「恋は盲目。さながら、ダフネに恋をしたアポロンというところか。だが、相手の心も知らずに追い続ければ、ダフネは月桂樹へと姿を変えてしまうぞ」

「そうですね……トレーナーが若干冷静になったのに、博士だけこの状態だと最悪鬱陶しく思われてしまうのでは?」

 

 何はともあれ、このままでは相手との空気の違いからすれ違いが発生しかねない。

 そう判断したギムレットとハヤヒデが、心を鬼にして博士に忠告を行う。

 

「そ、それは困る! 嫌だ! トレーナーにはどこにも行って欲しくない! 彼はやっと見つけた私の…! 私だけの……王子様なんだから……誰にも渡すものか」

 

 そして、吐き出されるドロリと黒く重たい想いの丈。

 

(……重症だな、こりゃ)

(うわ、重っ……)

ST-2(サティ)に依存……そして次はトレーナーにDependent)

(闇より救われ、光を得たが故に、より強く闇を恐れるか)

(博士はどうやら依存しやすいタイプのようだな)

 

 その余りの愛の重さに、もはや重力が発生しているようにすら感じられる。

 これには、大人びているとはいえ、まだ学生の5人は黙り込むしかない。

 そもそもの話、彼女達には恋愛経験がないのだから、相談に乗ったこと自体が間違いだったのだ。

 

「なあ、みんな……どうすればいい? 私はどうすればトレーナーと離れないですむ?」

 

 そして、問いかけられる質問。

 正直、今のライツ博士の目は据わっており、下手すると心中とか言い出しかねない。

 というか、別れないですむではなく、離れないでと言っているので既に考えが不味い方向に行っている可能性すらある。

 

(ハヤヒデ! 得意の勝利の方程式で何とかしてよ!)

(む、無茶を言うな、タイシン!? 私の勝利の方程式をドラえもんのひみつ道具のように言うな! ここは、私よりもシャカール君のデータに基づいた意見を言うべきだろう!)

(ハァ!? んな、データを俺が持ってるわけねぇだろうが! 大体、2人がくっつくように仕向けたのはお前達だろ! ご丁寧に温泉旅行券まで贈ったんだから、責任取れよな、ギムレット!)

(クックック……正直、予想外だ。すまない)

 

 高速で目配せをしながら、無言でお互いに押し付け合おうとするタイシン達。

 このままでは、彼女達の友情に罅が入りかねない。

 そんな時。

 

「……博士。今日の話はトレーナーには伝えているのか?」

「い、いや、伝えられていないが」

 

 クリスエスが英雄の如く、戦場に飛び込む。

 

「Let’s talk.私は話すことが上手くはない。だが、想いは……話さなければ伝わらないと知っている」

「話さなければ伝わらない……」

「トレーナーに話すといい。博士が不安に思っていることを、して欲しいことを、全て隠さず」

「し、しかし、それで嫌われたら……」

 

 お互いで話し合わなければならない。

 その真っすぐすぎる正論に、ライツ博士も狂気を忘れて正気に戻る。

 

「Don’t worry.心配するな……私は恋愛については良く分からないが―――トレーナーが博士にhead over heels……ぞっこんなのは見れば分かる」

 

 そして、なおも不安がる博士にクールな笑みを向けて不安を払拭するのだった。

 きっと、この光景を見ればゼンノロブロイも大興奮すること間違いなしだろう。

 

「ふふ……そうか、そうだな。君の言う通り、2人で話してみるよ。彼が私のことをいつまでも好きでいてくれるように」

「……応援している」

 

 こうして、クリスエスの英雄的活躍により問題は解決、もとい。

 

(よし! これで後はあの2人に任せときゃいいな!)

 

 後回し(たらい回し)に成功したのだった。

 

 

 

 

 

「なぁ……話があるんだ」

 

 ライツの家に呼び出された俺は、何やら真剣な表情を浮かべる彼女の前で固まっていた。

 こ、この空気は、まさか別れを切り出されてしまうのか…?

 

「君は私のことを……愛してくれているか?」

「当たり前だ。今だって、この胸が張り裂けそうな程に愛している」

「そ、そうか……うん、そうだよな。疑って悪かった」

 

 何故か、浮気を疑われるようなことを聞かれたので力強く首を振る。

 だが、ライツの表情は未だに硬いままだ。

 これは、まだ本当に言いたいことを伝えられていない時の顔だ。

 

「……ライツ」

「あ……」

 

 だから、俺はライツを胸に抱き寄せてこの鼓動を直接伝える。

 

「聞こえるか? この鼓動が。君を始めて見た時から好きだって叫び続けてる」

「う、うん……聞こえる。ちゃんと、ドキドキしているな」

「ライツ……君は今、何を不安に思っているんだ?」

 

 優しく彼女の頭を撫でながら、あやす様に声をかける。

 ライツが何かを不安に思っているのなら、それに寄り添おう。

 

「私は……私は…こんなにも愛されているのに、どうしても信じられないんだ」

「……俺の言葉を?」

「違う。私が信じられないのは……この幸福な現実だ」

 

 ライツが獲物を逃がさないように俺の背中に手を回し、俺の胸の中から上目遣いで見てくる。

 その瞳には、困惑と恐怖がありありと映し出されていた。

 

「怪我をした最初の頃は、毎日夢を見た。何の不自由もなく走り回る光景を。よかった、現実(あっち)は悪夢で(こっち)が現実だったんだと……そして、目が覚めてもう走れない自分の脚に毎日絶望していた」

 

 恐怖で震える彼女の身体を、ギュッと抱きしめる。

 安心して、俺は現実で、どこにも消えないからと。

 そう、強く伝えるために。

 

「でも……最近は違う。現実は都合の良い夢で、本当の現実はST-2(サティ)も君も居ない夢の世界なんじゃないかと、毎朝目が覚める度に思うんだ」

 

 なるほど、毎朝モーニングコールが来るのはそんな事情があったのか。

 毎日一番にライツの声が聞けると、喜ぶだけだった自分の頬を殴ってやりたい。

 

「なぁ……君は消えないよな? ずっと私の傍に居てくれるよな? 私を孤独(ひとり)にしないよな?」

「ライツ……」

 

 ずっと彼女は強い人だと思っていた。

 英雄視すらしていた。

 だが、目の前に居るのはただ1人の女性。

 か弱くて、俺が守らないといけない最愛の人。

 砂糖(シュガー)のように紅茶に溶けて消えてしまいそうな、儚い女。

 

「すまない……こんなバカみたいなことを言っても、君を困らせてしまうだろうに」

 

 そんなシュガーライツに俺が出来ることは……1つ。

 

「ライツ」

「うん?」

「結婚しよう」

 

 強引に彼女の唇を奪う。

 

「んっ……ま、待ってくれ! 確かに将来的にはその予定だが、少し早くないか?」

「明日、指輪を買いに行こう。それから、今日から同棲しよう。新しい家を探すのもいいかもしれないな」

「ま、待て! お、落ち着け!」

 

 結婚すると決まれば、やることは山積みだ。

 役所にも行かないといけないし、式を開くお金の準備も必要だ。

 もちろん、お互いの両親への挨拶も欠かせない。

 

「少し、性急にすぎ――んんっ!?」

 

 口答えは許さないとばかりに、彼女の唇を塞ぐ。

 彼女が不安に思うのなら、俺は不安に思う時間も与えずに強引にいくだけだ。

 

「悪いけど、君にはもう不安に思う時間も与えない」

「え…?」

 

 瞳を震わせ、荒い息をする彼女の肩を強引に掴む。

 力では彼女には敵わないが、そんなことは関係ない。

 

「毎朝、君が目を覚ます度に一番に君の名前を呼ぼう。毎晩、君が悪夢を見ないように君を抱きしめて眠ろう。2人が老いて死ぬその日まで、ずっと」

 

 不安に思う間も与えない程に攻める。

 差しや追い込み、ましてや先行でもない。

 とにかく先頭を突っ切る逃げスタイルだ。

 

「ここが夢か現実かなんて関係がない。もしも、俺が夢で君が現実に居るというのなら、君を夢の世界に引きずり込んで溺れさせよう。その命が尽きるまで、永遠に」

 

 俺だって不安がないわけじゃない。

 ずっと憧れていた女性と付き合えているんだ。

 夢だって思うこともある。でも、俺はもう彼女無しでは生きていけないんだ。

 さながら、中毒に犯されてしまったように。

 

 

「お前は俺のものだ―――ライツ」

 

 

 彼女をお姫様抱っこで抱き上げ、ベッドの上に連れて行く。

 抵抗はない。あっても、強引に連れて行くが。

 

「え、ええと……その……」

 

 甘い、甘い、砂糖(シュガー)

 一度口にすれば、その多幸感から人は逃れられない。

 ああ、きっとこれは毒だ。

 

 そう、俺は甘い毒に犯されている。

 

 そんなことを思うが、まあどうでもいい。とにかく、今は――

 

 

 

「……お、お手柔らかに頼む」

「ダメだ」

 

 

 

 ―――(シュガー)に溺れよう。

 

 

 

 




これがスーパーオーバードライブだ!!

これにて本当に完結です。
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