温かい目で読んでくれると嬉しいです。
カーテンの隙間から漏れ出た朝日で部屋の中に柔らかな影が作り出されていた。
まるでおはようと言っているような鳥の鳴き声を聞きながらカーテンを開け日差しに目を細めながら起き上がる。
気持ちのいい朝の空気を吸い込み伸びをしながら、あかりの方はまだ寝ているのだろうかと思い見てみると、よだれを垂らし幸せそうな顔でまだ眠っていた。きっと美味しいものでも食べている夢でも見ているのだろう…
あかりが起きてくる前に朝ご飯でも用意しておこうかな。
「おはよう、あかり」
キッチンでトーストを焼きながらあかりに声をかけた。トーストのいい香りが漂う中あかりは起きてきた。
「マスターおはようございます」
「おはよう。トースト焼けてるから顔洗ってきて一緒に食べよう」
あかりは眠そうにしながらもにっこりと笑い、すぐに洗面所に向かった。
こんがり焼けたトーストを食べ終わって、洗い物も終わりあかりとゆっくりとしているとインターホンが鳴り響いた。
「お、届いたのかな?」
玄関を開けると、そこには大きな箱が置かれていた。箱には『結月ゆかり』と書かれており心が高鳴った。
部屋に運び慎重に箱を開けると説明書と共に結月ゆかりが現れた。
「えっと、なになに…」
説明書には、この結月ゆかりは中古品により価格が安くなっており販売される前の記憶を有していることなど長文が書かれていた。またメールにてこの説明を送信されていたらしい。
「メール読んでないよ…」
確かに寝る前にメールが届いたが見ずに寝てしまいそのまま過ごしていた。
詳しく読んで見ると、記憶を消して起動することもできるらしいが…
「マスター?ゆかりさん起動しないんですか?」
説明書をずっと読んでいたらあかりが心配そうな表情で話しかけてきた。
俺は少し迷いながら答えた。
「どうやら過去の販売される前の記憶がね残ってるらしくてね…一応記憶を消して起動することもできるみたいだけど…」
あかりは優しく微笑みながら言った。
「過去の記憶も大切な一部ですよ、消さないで起動しましょうよ」
俺はあかりのその言葉に迷いは無くなって、消さずに起動させることに決めた。
俺も微笑みながらあかりに頷きながら言った。
「それじゃ、歓迎会の準備できてるし起動するね」
あかりの元気な返事を聞き俺は少し緊張しながらも起動ボタンを押した。
数秒の静寂の後、結月ゆかりの目がゆっくりと開いた。静寂の中、声を出したのは結月ゆかりだった。
「おはようございます、結月ゆかりです。これからよろしくお願いします」
その声に言葉に反応して、あかりが歓喜の声を上げながら駆け寄った。
「おはようございます!ゆかりさん!!これから一緒に楽しい時間を過ごしましょう!」
あかりが駆け寄ってゆかりに話しかける様子を見ながら、俺は微笑んだ。
「ようこそ、ゆかり。これからよろしくね」
「はい、マスター、あかりちゃん。こちらこそよろしくお願いします」
ゆかりの微笑み返しに俺とあかりも笑顔になった。
「さぁ、早速歓迎会の準備はできてるから始めようか」
三人はリビングに移動し、あかりが飾りつけした部屋にお店で買ってきた美味しそうな料理や俺が作ったプリンが並べられた光景を目にしたゆかりは、目を輝かせながら感動の声を上げた。
「わあ、すごいですね。あかりちゃん、マスターこんな素敵な飾り付けと料理ありがとうございます」
あかりの照れくさそうに笑いながらどういたしましてという声を聞いて俺も笑って準備して良かったと心の中で思った。
「さぁ二人とも食べようか」
「はい!マスター!」
「いただきます、マスター」
三人で席に着き楽しく食事を始めた。和やかな時間が流れ楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていった。
「マスター、あかりちゃん今日はこんな素敵な歓迎会をありがとうございました」
「こちらこそ来てくれてありがとう。あかりも準備を手伝ってくれて助かったよ」
「どういたしましてマスター!ゆかりさんが来てくれて本当に嬉しいですね!」
ここ数日でまさか俺がボーカロイド2人と暮らすことになるだなんて思いもしなかったが、あかりを拾ってから始まったボーカロイドとの生活。そして今日、ゆかりが来てくれてこれから先どうなるのか楽しみと同時に2人の抱えてる事情についても考え始めた。
二人が抱えている過去や今後のことについても、支え合いながらなら乗り越えていけると思って矢先、インターホンが突然鳴り響いた。
3人で顏見合わせ首をかしげてから、俺は玄関へと足を向けた。
ドアを開けると、大きな箱が置かれていた。宛先には俺の名前が書かれている。
箱の中を疑問を抱きながら、俺は箱を部屋の中に運び入れた。
「マスター?ゆかりさん意外にもボーカロイド買ってたんですか?」
あかりの質問にまったく心当たりは無い俺はますます不思議に思った。
「いや、何も買った覚えはないんだが…」
「マスターとりあえず開けてみますか?」
ゆかりの言うように開けようと思い箱に手をかけた時、急な眩暈がした。
次第に立っていることも難しくなり俺はその場に膝から崩れ落ちた。
「「マスター!」」
暗くなる意識の中で、二人が叫びながら駆け寄ってくる音を聞きながら俺は意識を手放した。
「ん…こ、ここは?」
見渡す限り一面の花畑が広がっている。色とりどりの花々が風に揺れ、甘い香りが漂ってくる。
その美しい光景に、一瞬だけ混乱が和らぐ。
「俺は確か…」
思い出そうとすればするほど、記憶が曖昧になっていく。あたりを見て回ろうと立ち上がると、ふと一輪の花が目に留まった。なぜか他の花より目が離せなく、その花に心を引かれる。まるでその花が何か語り掛けているかのように感じた。その花に手を伸ばそうとした瞬間、風が吹いた。花びらが舞っていくのを見つめていると。
遠くで人影が見えた、人影を追いかけて行くと大きな木があった。先ほど見えた人影は木の裏側に隠れてしまった。
「誰かいるのか?」
俺は躊躇しながらその木に近づいてみた。風がざわめき、木の葉が揺れる音が響くなか木に手を伸ばし木に触れた。
「久しぶりだね」
木の裏側から透明感のある柔らかく聞き心地が良い声が聞こえてきた。
聞いたことがある声なのだがその声が誰なのかが思い出せない。記憶の中を探るようにして思考を巡らせたが、その声の持ち主が誰なのか思い出せなく考えれば考えるほど頭が割れるように痛みだした。
まるで、記憶の奥深くに眠る何かをむりやり引き出しているかのようだった。
視界がぼやけ、思考が断ち切られる感覚に襲われていると再び声が聞こえた。
「無理しないで、まだ大丈夫だから。だからまだおやすみ」
その声に従うかのように俺はまぶたが重くなり、ゆっくりと眠りにかのつくように感じた。
その場に俺は倒れるとその声の持ち主に頭を抱かれた。柔らかな手が優しく頭を撫で始めた。
「まだ時間はあるけど、忘れないで 」
意識がおぼろげになる中その言葉を最後に俺はそのまま深い眠りに落ちいった。
読んでいただきありがとうございました。
今回も思い付きの勢いで書きました。
次がどうなるか自分でも分かりませんが頑張ります。
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