温かい目で読んでもらえると嬉しいです。
なにか夢を見ていた気がする。少しだけ痛む頭を押さえながら起き上がると、目の前には心配そうな顔をした紲星あかりと結月ゆかりがいた。
「大丈夫ですか?マスター」
「急に倒れたからびっくりしましたよ。マスター大丈夫ですか?」
二人の優しい声が心に染み渡り少しずつ頭の痛みが引いていく。俺は深呼吸をしてゆっくりと答えた。
「心配かけてごめんね、もう大丈夫だから」
たしか、ゆかりの歓迎の後謎の荷物が届いてそれを開けようとしたはずだ。視線を部屋に置いてある大きな箱に移した。
「マスター、あの箱を開けようとしてる最中に倒れたんですよ?」
ゆかりが水を持ってきてくれた。その水を飲みつつ箱の中身はなんなのか考える。
そもそもあの箱はだれが…
「マスター!女の子が入ってますよ!」
急な大声にビクッと肩が飛びあがった。あかりがいつの間にか箱を開けたみたいだ。
「お、おんにゃのこ?」
思いもしない箱の中身に思わず噛んでしまった。ゆかりさんの今噛みましたねって視線が刺さる。
「女の子?ボーカロイドならゆかりしか買ってないから新しい子は来る予定に無いけど…」
箱の中を見てみると確かに女の子が入っていた、その女の子と一緒に紙が入っていた。
読んでみようと手に取る。
「可不?…」
紙には[可不(KAFU)]と書かれていた。俺はボーカロイドについて詳しいわけではないが可不なんて子いたのかぁと思いながら未だ寝ている可不を見る。
「マスター、新しいボーカロイドですか?お名前なんていうんですか?」
あかりが興味津々に聞いてきた。俺は手に持った紙を見せながら答える。
「可不って言うらしいよ。」
一体だれが何のために俺の家に届けてきたのだろうか考えても分かるはずもなく、これからこの可不をどうしようか悩んでいると、ゆかりが声をかけてきた。
「どうやら可不さんはボーカロイドとはまた違うみたいですよ」
俺とあかりは首をかしげながら、たった今ゆかりが調べてたであろうPCの画面を覗きに行く。
俺は書かれている文章に目を通す。完結にまとめると、可不はバーチャルシンガーの声をサンプリングして制作された人工歌唱ソフトらしい対してボーカロイドはボーカルを作り出すソフトだと言うことが分かった。
「……なるほどね」
「マスター理解できたんですか!?」
「大体…いや、半分……ごめん、少しなら」
驚愕していたあかりの顏がジト目に変わる。ゆかりに視線で助けを求めると、
はぁと一つため息を着いてから一言聞いてきた。
「マスター、この可不さんどうするんですか?」
宛先は俺宛てになってはいるが差出人が誰かわからない場合はどうするのがいいのだろうか…
「マスター、とりあえずこの可不ちゃん起動してみませんか?」
あかりの言うように一旦起動してみて可不とも話してみるのもいいかもしれない…
「そうだね、起動してみようか」
あかりとゆかりが頷いたのを確認してから俺は慎重に起動をさせてみた。ピクリと身体が動いた、ゆっくりと顔が上がりピンクと青の瞳と目が合った。吸い込まれたかのように数秒見つめていたら可不の口が開いた。
「………誘拐?」
「……は?」
今度は俺の口が開いた。第一声目がそれなのはどうなのだろうか…そもそも誘拐などはしていない。
「いやいや、君は差出人不明の人から急に届いたんだよ!」
説明していて自分でも何言ってるか分からなくなりながらも経緯を説明した。もしかしたら送った人が誘拐した可不を送ってきたんじゃないか不安になってきた。
「……冗談だよ」
冗談を言うにしても笑えない冗談はやめてほしい。後ろにいたあかりを見ると目が合った。
「マスター誘拐したんですか!?」
「うん、してないからね。お菓子食べてていいから少し静かにしててね」
「わーい!お菓子だぁ」
ゆかりの方も見てみると笑いながら自首なら早くした方がいいですよなんて言って来た。話が進まないし笑えないからやめてほしい。あらためて可不の方へ向き直る。
「えっと、可不はどうして送られてきたのかとか分かる?」
「………?」
首を傾げて見つめられても困る。ほんとにどうしよか…
行く当てもないだろし何の問題もないならこのまま家にいてもらうってのもいいだろうけど、先にあかりとゆかりに聞いてみないとなぁだなんて考えたらあかりが話しかけてきた。
「可不ちゃん一緒に暮らしましょうよ!」
お菓子を食べるか喋るかどちらかにしようよ…だけど行く当てもないだろうしあかりも言ってるし一緒に暮らすのでもいいのかもしれない、ゆかりの方も視線を送ると頷いてきた。
ゆかりの方も一緒に暮らすので問題はないらしい…
「可不、もしよかったらこれから一緒に暮らすかい?」
数十秒の沈黙の後、可不は少し不安そうな顔をしながら
「いいの?どうして送られてきたか分からないよ?」
宛先はしっかり俺宛だったしもうこの際名も知れぬ人からのプレゼントだと割り切ろうと思い、俺はしっかりと可不の顏を見て答える。
「もちろん、何の問題もないよ。ね?二人とも?」
「はい!ゆかりさんが来たと思ったら可不ちゃんも来てくれるだなんて私嬉しいです!!」
「もちろんです、これからよろしくお願いしますね可不さん」
あかりは喜びを隠さずぴょんぴょんと跳ねながら答えゆかりも微笑んで答えてくれた。
「ありがとう。これからよろしく」
不可は少し照れくさそうに笑って答えてくれた。
その後あかり、ゆかり、可不が仲良く話してる声を聞きながら、俺はほっと一息ついて横になり目を閉じた。
「ゆかりさーん!そっちのお菓子一口ください!」
「あかりちゃんそう言って全部食べないでくださいよ」
ゆかりはお菓子をあかりの口へ向け可不の方を見る。可不はお菓子を両手で持って少しずつ食べている。まるでハムスターのようだその姿に思わず微笑みながら
「可不さん、こちらのお菓子も美味しいですよ。こちらも食べてみますか?」
可不は一瞬驚いた表情をしたがすぐに笑顔に変わり、頷いた。
「あ、可不ちゃん!こっちのお菓子も美味しいですよ!」
「うん、私が食べてるのも美味しいから二人も食べてみる?」
しばらく三人でお菓子を食べ合いっこをしながら話していた。最初はお菓子の話から始まり次第に話題はこの家に来た経緯に変わっていた。
「ゆかりさんは確か中古品でマスターが買ってましたけど、売られる前の記憶残ってるんですよね?」
ゆかりは人差し指を口に当てながら考えてから視線を下に下げてから答えた。
「前のマスターのところでは主にゲームをやってましたよ。ですが、その……ゲームがお世辞にも上手いと言えなくて…そんなことより、あかりちゃんはどういう経緯でこちらの家へ?」
「そうだったんですか…私ですか?私はですねぇ…食費がかかりすぎるため捨てられてたところをマスターに拾って貰ってこの家に来ました!」
ゆかりはあかりが買われたわけではなく捨てられていたところを拾われたことを聞き驚いた。
その時ずっと黙って2人の話を聞いていた可不がぼそりと言葉をこぼした。
「私も捨てられてこの家に来たのかな?」
可不は箱に入れられて差出人不明の人から送られてきて今日マスターに起動してもらい目を覚ましたのだ。送られてくる前の記憶も無いので、自分も捨てられてこの家にたどり着いたのではないかと思い悲しそうな表情をしていた。
それを見たあかりは空気を変えようと少しだけ大きな声で
「そういえばマスターは?なにしてるんですかぁ?」
ゆかりと可不もそういえばマスターがずっと喋ってないと思い疑問に思いながらマスターの方を見た。
3人はマスターが横になっている場所に近寄り顔を覗き込んでひそひそと話はじめた。
「どうやら、マスター眠っていますね…」
「ゆかりさん可不ちゃん!マスターの顏に落書きするチャンス到来ですよ!」
「そろそろ私たちも寝よ?」
ゆかりは今にもマスターの顏に落書きをしそうなあかりを止めながら可不の提案に頷き、可不は寝ているマスターにタオルケットを掛けてあげた。
あかりは渋々ながら落書きを諦め、ゆかりと可不に抱きつき3人で仲良く寝床に向かった。
後日談だが次の日朝起きたマスターは、苦しそうにうなってるゆかりの上に横に乗ってる大の字でよだれを垂らしてるあかりと布団から落とされて寒そうにしてる可不を見て爆笑したのであった。
3人もその笑い声につられ目を覚ます。そんな1日の始まりだった。
読んでいただきありがとうございます。
今回、何も思いつかず日を改めて書こうかなって思っていたところ今日がもう少しで終わるってなったとこで思い付き急いで書きました。
そのため、明日最新話が投稿されるかどうかは、まさに神のみぞ知るといったところです。
読んでくださる方々のためにも、面白い話にできるよう、駄文なりに努力しますので、応援していただけると嬉しいです。
あとがきが長くなってしまいましたが、感想をいただけるとモチベーションにつながりますので、ぜひお願いします。
それでは、最近寒くなっているので風邪などにお気を付けてくださいませ。