ソードアートの王子様   作:あるく天然記念物

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次回はフェアリー・ダンス編をお送りします。


SAO編 後編

 74層がテニヌにより一方的に攻略されて約二週間。

 その間に様々なことが起こった。

 始めに、キリトがアスナ(エギルの店で確保したシェフ)と結婚した事で一時期前線を離脱。その間にテニヌプレイヤーがクラディールと共に75層をボス部屋まで攻略。

 その後、キリトが下層部で新居を構え、そこで偶然であった少女にユイと名付けて娘として迎え入れた。その間にテニヌプレイヤーはクラディールと共にホロウ・エリアと呼ばれる未開域エリアを発見。そこでホロウ・エリアに偶然迷い込み、脱出が出来ないフィリアというプレイヤーに出会う。

 それからキリトとアスナはユイを含めた三人で新婚生活を満喫するも、ユイの正体がソードアート・オンラインの管理AIと発覚。ユイとは悲しい別れを迎えた。一方その頃テニヌプレイヤーは、クラディールとフィリアの三人でホロウ・エリアを攻略。その終盤である中央管理エリアを探索時にPoHと遭遇したが、テニヌプレイヤーは持ち前の《インサイト》でコピーデータと直ぐに見抜き、情け容赦なくクラディールとの見事なオースラリアンフォーメーションを披露し、これを撃退(後にフィリアは「PoHに心から同情する」と語る)。そしてクラディールが管理コンソールでフィリアのエラーを解除し、三人は無事にホロウ・エリアからの脱出に成功した。

 そんなテニヌプレイヤーの大冒険が終わる頃、キリトはアスナと共に釣りプレイヤーのニシダの頼みを聞いて湖の主を攻略。その際、アスナの正体が露見し、前線へと復帰せざるを得ない状況となっていた。

 

 そして現在、75層の攻略へと至る。

 血盟騎士団本部の会議室にはキリト、アスナ、テニヌプレイヤー、クラディール、フィリア。そして血盟騎士団団長のヒースクリフの五人が集まっていた。

 キリトとテニヌプレイヤーが約二週間の互いの近況を報告し、

 

「濃いィイイイイィッ!!!!!!!」

「どうしたキリト。急に叫び出して」

 

 開口一番。キリトの叫びが会議室を埋め尽くした。

 

「どうしたこうしたもねぇよ!! 75層がボス部屋まで攻略できたのはこの際どうでもいい。でもな、ホロウ・エリアって何だよ。PoHの偽物って何だよ?! つーか、極めつけはクラディール、おめぇだよッ!!!!!!」

「…………ウス。お久しぶり……です。キリト……さん」

「キャラ変わりすぎだろうが!! 少なくとも二週間前のお前は『アスナ様!!』とか俺の事を「こんな奴」なんて言ってただろうが!!」

「落ち着けキリト。あの時のクラディールも青かったし、今は反省しているんだ。なぁ、クラディール?」

「ウス…………申し訳……ありません」

「…………分からない。なんで反省したら意味の分からないキャラになって、ついでに俺の幼なじみの従者ポジションになっているのが理解できない」

 

 「しかも」とキリトはフィリアを指差しながら言葉を繋げた。

 

「えっ、わたし?」

「聞いた感じだと、この子助けるときに中央管理コンソールを操作したんだよな。それもクラディールが」

「あぁ、そっちの話ね。間違いないわよ。改めて、ありがとうございます、クラディールさん」

「実に完璧な仕事をしてくれた。流石だな、クラディール」

「ウス」

「えぇ…………」

 

 幼なじみと少女から感謝の言葉を受けるクラディールの様子に、キリトはなんとも言えない表情を浮かべる事しかできない。

 もっとも、それはキリトに限った話ではなかった。

 

「…………やべぇ。あの二週間前の様子と今が全然繋がらない」

「…………安心してキリト君。私もよ」

「奇遇だな君たち。団長である私も二週間ぶりのクラディール君の様子に驚いている。音信不通だった間の彼に一体何があったのだ。少なくとも彼にプログラム関係の心得はなかった筈だが」 

 

 ヒースクリフの言葉に、キリトとアスナの抱えるクラディールの謎がさらに深まった。

 キリトが「コイツは何があったんだ」と視線を改めて投げ掛けてもクラディールは「ウス」の一言で解答も無い状態。キリトとアスナは頭を抱えることしかできなかった。

 

「────っと、クラディール君の変化で脱線してしまった。今回の本題に移ろう」

 

 頭を抱える二人とは違い、いち早くクラディールショックから抜け出したヒースクリフはできる限りクラディールの方を見ないようにしつつ、75層の攻略について説明を始めた。

 今回の75層はクォーターポイントと呼ばれ、これまで25層、50層では通常とは異なる強さを持ったボスが出現していた。

 今回も例に漏れず、かなりの強さを持ったボスがいると予想される。

 故に…………。

 

「今回のボスの偵察はここにいるメンバーで行い、場合によっては攻略をしたいと考えている」

「おい、ヒースクリフ」

「どうしたのかね、キリト君」

「どうしたもねぇよ。なんでクォーターポイントって分かってて偵察のメンバーが少数なんだよ」

「それについての理由は単純だ」

 

 ヒースクリフはテニヌプレイヤーを手のひらで指す。

 

「彼の邪魔にならないように配慮した結果だ。万が一偵察が攻略へ切り替わった場合、あまり参加人数が多いと彼の闘いに支障が出てしまうからね」

「…………。なるほど、確かに」

 

 もっともらしい理由にキリトは納得し、頷きをヒースクリフへ返した。

 テニヌプレイヤーの実績で感覚が麻痺しているが、アイツを全面に推した作戦のため筋は通っている。事実、億が一の確率よりも低いが、テニヌプレイヤーの玉をプレイヤーが受けた場合、その結果は想像にかたくない。

 というより、波動球の流れ弾を受ける瞬間など考えたくもない。きっとザクロよりもグロい何かになってしまう。

 流石はヒースクリフである。テニヌプレイヤーの実力を的確に把握し、作戦を立てている手腕はソードアート・オンラインにおける三大ギルド長だ。

 キリトの中でヒースクリフの好感度が上がる。

 しかしそれも数秒だけであった。

 

「…………と、言うのは建前だ。実際の理由は彼一人で任せても問題無いと言って血盟騎士団を始め、攻略組を召集したらここに居るメンバーしか集まらなかったからだな」

「はぁ?!」

 

 テニヌプレイヤーを指差して語るヒースクリフに対し、俺の好感度を返せと、キリトは心の中で叫んだ。

 そんなキリトたちへ向けて、ヒースクリフは驚きの事実を口にする。

 

「悲しいことに現状攻略組と呼ばれるメンバーもここにいるプレイヤーで全員だ」

「…………えっ、つまり?」

「ここにいるメンバー以外、彼一人でクリアしてくれると考えているようでね。血盟騎士団も実質活動休止状態だ」

「そんな…………嘘ですよね?」

「私も嘘だと言ってあげたい。だが………真実だ」

「そんな真実知りたくなかった…………まてよ?」

 

 よくよく考えてみれば、キリトには心当たりがあった。

 実のところ、テニヌプレイヤーのお目付け役として多くのギルドと深い関係のあったキリト。そんなキリトはアスナと結婚して長期休暇を取ろうとした際、アスナの所属する血盟騎士団のヒースクリフ以外あっさりと了承してきたのだ。

 今思えば、リソースを取り合うゲームにおいてボスもアイテムも独占しているようなテニヌプレイヤーを放って置くような真似を各ギルドが認めるはずがないのに、だ。

 それはつまり…………あかんやん。

 この異常な事実に対する最悪な答えがキリトの頭に浮かんだ。自分の中で抱える込むことができず、思わず口にしてしまった。

 

「俺とアスナが結婚して前線をいきなり離れる事に血盟騎士団以外のギルドからクレームがなかったのって…………」

「彼が前線で頑張るから問題ないと判断してるからだな。ついでに70層を越えた辺りで血盟騎士団以外のギルドは攻略に乗り気では無くなった。既に各々が悠々自適にこの世界を満喫している。軍のキバオウ君は最近園芸を始めたそうだ」

「ドイツもコイツも狂ってやがるッ!!」

 

 本日二度目になるキリトの心からの叫びが、人が物理的にいなくなっている血盟騎士団本部中に響き渡る。

 その異常な様子を誰も叱ることはできなかった。

 

「うっ、嘘でしょ?」

「…………私がホロウ・エリアにいる間に攻略組も随分変わったね………悪い意味で」

 

 あまりの事実に会話に参加できなかったアスナとフィリアも絶句していた。

 例外と言えば、

 

「なに、俺たちが諦めなければ問題ないだけの話だ。ゲームクリアまでの道に問題はない。なぁ、クラディール?」

「ウス…………勝つのは我々です」

 

 能天気を通り越して得たいの知れない物体を頭に詰め込んでいるとしか思えない発言をするテニヌプレイヤーと、そんな彼の従者と化したクラディールの二人だけが平常(一部異常)運転であった。

 落ち込むキリト、ドン引きするアスナとフィリア、いつもと変わらないテニヌプレイヤー、変わりすぎたクラディール。三者三様の様子を見渡したヒースクリフは「そういう事で」と会合に終止符を打つ。

 

「これ以上長々と会議しても無駄であるため、これより三時間後75層ボス攻略の偵察、及び攻略を開始する。各人は準備を整え、75層のボスフロア手前に集合するように」

 

 かくして、数多ある並行世界においてもっともやる気と人数が欠落している75層攻略が開始する事となった。

 

 

 衝撃の会議から三時間後。

 キリト、アスナ、テニヌプレイヤー、クラディール、フィリア、そしてチームリーダーとなるヒースクリフの6人は予定どおり75層のボス部屋前の扉に集合していた。

 

「定刻だ。では、これより75層ボスの偵察及び攻略を開始する」

 

 ヒースクリフはボス部屋の扉に手を当て、ゆっくりと押し始めた。

 大きさが3メートルはある扉が開き出し、数秒後には完全解放となった。

 

「タンクである私が先行しよう。君たちは後から来てくれ」

 

 ヒースクリフは先陣を切るようにボス部屋へ入って行った。

 

「よし、俺たちも行こう」

 

 残りのメンバーもキリトの掛け声と共に、彼へ続く形でボス部屋へと入っていく。

 これまでのボス部屋同様に円形の広いフィールドが攻略メンバーを迎え入れた。

 ……………妙だな。

 ボス部屋へ入ったメンバーの内、キリトとテニヌプレイヤーの二人は違和感に苛まれた。

 テニヌプレイヤーはキリトへ確認をとる。

 

「キリト、索敵スキルの反応は?」

「…………引っ掛かってない」

「高低差も考えられるが、俺の《インサイト》でも天井に張り付いている様子無かった。これは妙だぞ」

 

 そう。ボスがやって来ないのだ。

 テニヌプレイヤー達が来たにも関わらず、ボスの姿が見当たらない。

 これはあきらかに可笑しい。

 何故ならば、

 

「俺たちはヒースクリフの後に入った。なのにボスが居ないのはどう言うことだ?」

 

 テニヌプレイヤー達の視線の先には先陣を切ったヒースクリフ一人だけが寂しく佇んでいる。

 しかし、ボスの姿はない。

 本来であればヒースクリフが来た時点でボス戦が開始される筈だ。

 だが現実はヒースクリフが寂しく立っているだけである。

 困惑するテニヌプレイヤー達。

 

「安心したまえ。これは仕様だ」

 

 その答えは、一人のプレイヤーから静かに告げられた。

 テニヌプレイヤー達へゆっくりと振り返るプレイヤー ────ヒースクリフの口によって。

 

「………説明して貰えますか、ヒースクリフさん」

「勿論だとも。だが、先に邪魔が入らないようにさせて頂こう」

 

 テニヌプレイヤーの問いかけに答えるように、ヒースクリフはメニュー画面を出し、何かの操作を始めた。

 それと同時にボス部屋と迷宮区を仕切る扉が施錠され、さらに。

 

「がっ────」

「嘘────」

「こっ、これって───」

「……………」

 

 テニヌプレイヤーとヒースクリフを除くプレイヤー四人のHpゲージの枠が点滅し、地面へと倒れ込んだ。麻痺状態だ。

 異常を仕様と言い切れるスタンス、そしてこの世界において神が如きシステムへの介入。

 この時点で、ヒースクリフの正体に誰もが気づいた。

 

「ヒースクリフ……………あんたは」

「もう気づいていると思うが、改めて自己紹介をしよう。────ヒースクリフ改め、茅場昌彦だ。そして、この世界の最後のボスでもある」

 

 そう語るヒースクリフ改め茅場昌彦は、少しだけ申し訳ない様子で言葉を続けた。

 

「本来であれば、この様な強行手段を取るつもりは一切無かった。私の正体も95層で教える予定でもあった。しかし──────君によってソードアート・オンラインは大きく進化した!!」

 

 困った表情から一転。まるで少年のような笑みを浮かべ、言葉を続けた。

 

「《はじまりの街》での一件から、君の現実離れしたテニスの数々によって私の予想を遥かに上回り、物理法則を超越した世界が作られた。最早、私の用意したボス程度では君の力を大いに振るわせることは望めない。君の強さにあてられ、攻略を諦めたプレイヤーに君のような活躍を期待することも叶わない。私の目的はある意味で達成された。…………しかし、そんな中で私の中にある感情が芽生えた」

「ある感情?」

「あぁ。……………君に勝ちたいと言う欲望だ。驚いたよ。まさかいい年した私にこんな激情が残っているなんて思ってもみなかった」

 

 茅場昌彦は再びメニュー画面の操作を始めた。

 やがてボス部屋のテクスチャが上書きされ、新たなフィールドが作り出された。

 

「こいつはッ───」

 

 新たに産み出されたフィールドに、テニヌプレイヤーは言葉を詰まらせた。

 緑の芝に規格の決められた四角の白線が刻まれたステージ。テニヌプレイヤー憧れの地であるウィンブルドンで使用されるグラスコートが目の前に現れたのだ。

 観客席にはNPCが埋められ、最前列には麻痺を付与されたキリトたちの姿が見られた。

 そして対面するヒースクリフの装備もまた、フィールド同様に赤と白の色で構成されたテニスウェアとラケットという相応しい物へと変わっていた。

 

「どうだろうか。君と対峙する以上、ここ以外のフィールド、そしてこのテニスウェアとラケットしか考えられなくてね」

「茅場───いや、ヒースクリフ。あんた、分かってるな」

「君のお眼鏡にも叶ったようだね。さて、私の挑戦を受けて貰えないだろうか。勿論、これは私のワガママだ。戦いの結果関係なく、君たちの現実世界への帰還を約束しよう」

『ッ?!』

 

 とんでもない発言により、全員が驚愕。いや、テニヌプレイヤーだけは若干テニスコートの興味が勝っていたため、ヒースクリフへ事実を確かめるように問いかけた。

 

「ヒースクリフ。それは本当か?」

 

 ヒースクリフは頷く。どうやら嘘ではないようだ。

 

「勿論だ。だが───負けて帰るのを君は我慢できるかい?」

「ハハッ。それは無理だな。テニスで勝負する以上、勝つのは俺だ」

 

 いつの間にか剣ではなく、ラケットをもっての勝負となり、テニヌプレイヤーのボルテージが上がる。犬歯がむき出しになり、本来の意味で笑顔を浮かべていた。

 その様子見て、ヒースクリフは満足そうに頷く。

 

「では、武器(ラケット)を構えたまえ。私の持つソードアート・オンラインの力全てをもって、君に挑戦させてもらおう」

「いいだろう。全力をとしてかかってくるといい」

 

 テニヌプレイヤーはラケットを構え、ヒースクリフの対面へと向かう。

 歩みを進めるテニヌプレイヤーを見ながら、キリトは一言呟いた。

 

「…………なにこれ?」

 

 茅場昌彦の登場。テニスコートの出現。現実世界への帰還の確定。なんかヒースクリフと幼なじみが楽しそうにテニスを始めようとしている等々。

 様々な情報が絶え間なくキリトの脳内に取り込まれ、パンク寸前であった。

 なんかもう───どうとでもなれ!!

 結果。キリトは考えるのをやめた。

 

「がんばれー!! ヒースクリフに負けるなよー!!」

 

 考えることをやめたキリトは純粋にこれからの試合を応援し、観戦を楽しむことにしたのだ。

 考えても仕方ない。ヒースクリフも物理法則を超越したって言ってたし、今さらテニスの試合をしても可笑しくないさ。キリトは心の中で言い訳をしていた。

 

「頑張ってー!!」

「負けるんじゃないわよ!!」

「ウス──勝つのは貴方です」

 

 そんな一種の現実逃避をしているキリトの声援を皮切りに、全員が応援を始めた。

 全員の声援を背に受け止め、遂にテニヌプレイヤーは所定の位置へとついた。

 

「試合はワンセットマッチとさせてもらおう。それ以上は、おそらくこの世界が保たないからね」

「あぁ、それで構わない」

「では、大人げないがサーブ権は私からいかせてもらおう」

 

 テニスボールを真上に投げ、そのまま落下してくるボールをベストなタイミングで、

 

「ハァッ!!」

 

 テニヌプレイヤーのコートへと打ち込んだ。

 試合開始の合図である。

 

「フッ」

 

 ヒースクリフのサーブを難なく打ち返し、二人のラリーが始まった。

 三往復した頃。先に勝負を仕掛けたのはテニヌプレイヤーであった。

 

「一式───波動球ッ!!」

 

 これまでの多くのモンスターを一撃のもと粉砕してきたフラットショットが、ヒースクリフ目掛けて撃ち込まれた。

 ヒースクリフへと迫り来る凶弾の様子には、思わずキリトも「あっ、ヒースクリフ終わったわ」と声を漏らすほどであった。

 しかし、今回は相手が悪かった。

 

「っ………………ふん!!」

「なぁっ、嘘だろ?!」

 

 ヒースクリフは直撃を避けたのだ。更にはテニヌプレイヤーの波動球を完璧に打ち返したのだ。

 この様子には思わずキリトも驚き、叫ばすには居られなかった。

 だが、相対するテニヌプレイヤーは逆の感情を抱いていた。

 

「流石だな。全力と言ったのは本当のようだな!!」

「当然だとも。今の私は反応速度、敏捷値、筋力、その他諸々のステータスは全てカンストさせている。つまり、この世界最高峰の選手と言っても過言ではないよ」

「成る程。それは、嬉しい限りだな!!」

 

 言葉を交わしつつも、恐ろしい速さと威力で続けられるラリー。

 次に仕掛けてきたのはヒースクリフであった。

 

「今度は私の番だ。これがアインクラッド流テニスの技だ!!」

 

 ヒースクリフの持つラケットが紅く発光を始めた。

 それはこの世界では誰もが当たり前に見てきた光───ソードスキルのライトエフェクトである。

 発光するラケットに導かれるように、ヒースクリフは打球を繰り出した。

 

「《ホリゾンタル》ッ!!」

 

 ヒースクリフより放たれたソードスキルは片手剣スキルのホリゾンタル。

 鋭いく水平を刻む打球がテニヌプレイヤーへと迫る。スピードも充分。しかし、テニヌプレイヤーにとっては少しだけ速い打球と変わらなかった。

 

「その程度か、ヒースクリフ。三式………波動球!!」

 

 難なくソードスキルを打ち返すテニヌプレイヤー。

 ヒースクリフへと迫る先程よりも威力のある凶弾。その瞬間、ヒースクリフの口許が少しだけ笑った。

 

「無論。それだけでは無いとも。─────《ロイヤルガード》」

 

 ヒースクリフのラケットが紅く発光し、三式波動球を受け止める。

 次の瞬間、

 

「な────ッ?!」

 

 ヒースクリフから打ち返された球は倍の速度でテニヌプレイヤーの胴体へテニスボールが突き刺さった。

 直撃を受けたテニヌプレイヤーは膝をつき、その表情は驚愕を示している。また、膝をつくのと同時に、これが現実であることを示すようにボールが地面へと転がった。

 

「15-0だな」

「なっ。おい、大丈夫か?!」

 

 観客席より、キリトが心配の声をあげた。誰よりもテニヌプレイヤーの波動球を 間近で見てきた故に、その威力は誰よりも知っている。まともに受ければテニヌプレイヤーと言えども無事ではすまない。

 心配するキリトに対し、ここ二週間で彼との距離を一番縮めたクラディールが落ち着いて口を開いた。

 

「…………大丈夫です。あの程度であれば」

「はぁ?! おいクラディール。お前も波動球の威力は知っているだろ!!」

「だからこそです…………」

「…………そうだな。確かにその通りだクラディール」

「なっ───マジかよ?!」

 

 膝をついていたテニヌプレイヤーがスッと立ち上がった。

 ボールが当たった箇所を軽く擦る程度の仕草はするものの、クラディールが言うように、大きな支障は出ていない様子だ。

「安心しろよ、キリト。自分の使う技程度、撃ち込まれても問題はない」

「まっ、マジでなんとも無いのかよ」

 

 テニヌプレイヤーは自身のHPゲージをラケットで指す。ゲージはミリ単位すら減っていなかった。

 

「そっ………そうか。大丈夫ならいいんだ。…………悪かったな、クラディール」

「ウス…………」

 

 まさかのノーダメージという事態に、キリトは驚愕を通り越し、なんとも言えない感情が渦巻く。

 最早どんな反応をすればいいのか分からなくなったキリトは、とりあえずクラディールへ謝罪し、観戦を続ける事にした。

 そんな百面相するキリト達の様子を見ながら、テニヌプレイヤーは先程の返球についてヒースクリフへと語りかけた。

 

「今のは驚いたぞ、ヒースクリフ。まさか倍の力で返されるとは思っても見なかった。…………ホリゾンタルと同じと原理とすれば、さっきのは差し詰め神聖剣スキルってところか?」

「流石だな。立った一度で見抜くとは」

「生憎と、そちらがステータスで秀でているように、こちらも《目》が秀でていてな」

 

 テニヌプレイヤーは親指で自身の目を指し示す。その様子を見るヒースクリフは少しだけ考え込むように唇へ親指と人差し指を当てた。

 

「成る程。システム外スキルと言ったところか。であれば、次からはそちらについてもステータスを振れるようにしておこう」

「次があればな───なっ!!」

 

 会話の終わりを告げるように、テニヌプレイヤーはサーブを打ち込んだ。

 ラリーを行いながら、今度はヒースクリフからテニヌプレイヤーへと語りかけられた。

 

「しかし、私の方も教えてくれないかなッ」

「何をだ?」

「先程私は神聖剣スキル、ロイヤルガードにて倍の力で返させて貰った。にも関わらず、どうして君は無事でいたんだ?」

「その事か。あれは簡単だ。当たる瞬間に短い距離を同じ速さでノックバックしたんだよっ」

「なんと。しかし、納得はできたな。…………改めて問うが、君は本当に人間かね?」

「お前もキリトみたいなこと言うんじゃねぇよ。俺はちょっとだけ凄い、ただのテニスプレイヤーだよ」

「君でちょっとか。ならば、私もちょっとだけ凄い、プログラマーとして、この技を出させて貰おう」

 

 赤く光出すヒースクリフのラケット。

 

「《バーチカル・アーク》!!」

 

 繰り出されたソードスキルは片手剣垂直二連撃スキル。

 本来であれば、なんの変哲もないソードスキルであるが、二連撃がテニスの返球として作用されるのか。

 身構えるテニヌプレイヤー。その答えは、唐突に現れた。

 

「分裂しただと?」

『無茶苦茶だろ?!』

 

 驚くテニヌプレイヤーと、意味が分からないと叫ぶキリト達。

 しかし現実にヒースクリフから打ち出されたボールは二つに分身し、それぞれが別の方向で向かってきている。

 更にバーチカルと名付けられているように、ネットを越えた所でボールは急激な角度でコートへと落ちていく。

 

「───ちぃ!!」

 

 急いでネット際まで駆け出すテニヌプレイヤー。

 自分の右側に落ちるボールを先に打ち返すようにラケットを振るった……が、

 

「なぁっ」

 

 まるで初めから無かったかのようにボールが消失し、ラケットが空振る。

 その頃には片方のボールがワンバウンドしていた。

 テニヌプレイヤーは間に合わない。そう判断し、ポイントを確信したヒースクリフが、技の説明を始めた。

 

「これがアインクラッド流テニスの二連撃。ソードスキル特有の回転、振動数によってボールを完全に二個あると誤認させることが出きる。君が居なければ産み出されなかった技だよ」

「そうかよ。でもな、油断するのはやめた方がいいぞ?」

「油断? …………なんと」

 

 先程とは撃って代わり、今度はヒースクリフの顔が驚愕に染められた。

 

「ははっ………忍者かよ、オメェはよぉ」

 

 ついでにキリトも驚きを越して呆れた。

 なんとテニヌプレイヤー、既に反対側のボールに追い付いていたのだ。

 どうやればヒースクリフに気づかせずに追い付けるのか。その理由を知っている人物が一人だけいた。

 

「…………縮地法」

「縮地法? ねぇ、クラディールさん。縮地法って?」

 

 聞きなれない単語に、フィリアはクラディールへと訪ねる。

 

「縮地法は……沖縄武術の歩法………です。相手に悟られぬよう、距離感を詰めたり………放れる技術………です」

「成る程。ん? でも待って。ヒースクリフに悟られないのは分かったけど、ボールに追い付いたのはどういう理屈?」

「ウス…………。普通に走っただけです。ただ縮地法によって、我々が誤認した………だけ、です」

「へぇ。…………やば~」

 

 高等技術であるが、結局はあまりの脳筋プレーに思わず本音が漏れるフィリア。

 そんな縮地法により、ヒースクリフの意表を突く形でテニヌプレイヤーは来た球と同じようにネット際へドロップシャットを行う。

 流石のヒースクリフもボールに追い付けず、そのままテニヌプレイヤーのポイントとなった。

 

「これで15-15。油断大敵だぜ?」

「そのようだね。本当に君は、私を何度も驚かせてくれるね」

「その調子で試合終了まで驚いてくれていいんだせ?」

「まさか、勝負はこれから────だッ」

 

 再び始まるラリーの応酬。

 それは最早、人知を超えた闘いの始まりでもあった。

 

「三十七式波動球ッ!!」

「っく、この程度 ────《ロイヤルガード》ッ!!」

「ッ───ちぃ。やはりか。分かってはいたが、返すのは難しいか」

 

 ヒースクリフが各種ソードスキルを巧みに扱いテニヌプレイヤーを追い詰める。

 しかし、追い詰めれば追い詰めるほど、

 

「これはどうかね? 《ホリゾンタル・スクエア》ッ!!」

「打球が4つか。だが、技の仕組みは理解した。仕組みさえわかれば─────俺の《インサイト》は誤魔化せんぞ? 速きこと、風の如く!!」

「っ?! 的確にボール本体を見抜いたか。それにほぼ見えない速度の返球…………流石だね」

「まだまださ。さぁ、もっと俺の美技に酔いしれるといい」

 

 テニヌプレイヤーのギアが上がっていく。

 どちらも攻めては返され、攻めては返されるゼロサム状態となりつつあった。

 そんな試合を行っていたため、ついにゲームカウントは6-6。タイブレークへと突入した。

 

「ふん!!」

「セヤッ!!」

 

 互いに技の殆どを出し尽くし、対応も追い付いた。

 

「速きこと、風の如く!!」

「その技は────既に予測済みさ!!」

 

 テニヌプレイヤーが見えない返球を行えば、ヒースクリフは返球箇所を的確に演算し、問題なく返す。

 

「裏百八式波動球!!」

「神聖剣スキル───《セイクリッド・シェード》!! この鉄壁は崩せぬよ!!」

「やはりか。だが、それはこちらも同じこと。動かざること…………山の如し。フンッ!!」

「ほぉ、自らの打球を超える一撃を防ぎきるか。君も神聖剣スキルの素質があるよ。開発者の私が太鼓判を押そう」

 

 ヒースクリフの鉄壁を崩す事は叶わないが、テニヌプレイヤーも同じ鉄壁を産み出すことで対抗。

 試合はどちらかが決定的な一撃を決めるか、或いは些細なミスが起きなければ、ポイントがつくことは無かった。

 現実世界であれば、体力の限界というタイムリミットが存在したが、ここはソードアート・オンライン。互いの精神力が尽きない限り、試合は止まらない。

 彼ら二人の撃ち合いは何百………いや、何千を迎えていただろう。

 既に試合時間はワンセットマッチの平均的所要時間を優に越しており、フルセットマッチの行きに達していた。

 故に、彼らとは別の存在がタイムリミットを迎えかけていた。

 突如、ピシッ………と。テニヌプレイヤーとヒースクリフの上空に異変が生じた。

 

「くっ、空間に亀裂?」

「ウス…………限界です」

「ねぇ、キリト君。これって」

「あぁ…………この世界が、あの二人を処理できなくなってきたようだな。本当、どんなテニスをしてやがるんだか」

「そう言う割にはキリト、あんた随分と楽しそうじゃない?」

「ん? そりゃそうだろ。だって、アイツらスッゲー楽しそうにテニスしてやがるんだから」

 

 キリトが言うように、世界が終わりを告げそうな状況にも関わらず、二人は笑顔で試合を続けていた。

 

「オラァッ!!」

 

 テニヌプレイヤーが打ち込む。

 世界にヒビが入る。

 

「フンッ!!」

 

 ヒースクリフが打ち込む。

 世界のヒビが広がる。

 二人の闘いに世界が悲鳴を上げていても、彼らは試合を止めない。

 テニヌプレイヤーにとってヒースクリフはようやく巡り会えた強敵。

 ヒースクリフにとってテニヌプレイヤーは自身の望む可能性の結晶。

 そして────誰よりも勝ちたい相手だった。

 しかし、世界の崩壊は刻一刻と迫っていた。

 

「さて、名残惜しいが、そろそろ時間のようだね」

「みたいだな。至る所がヒビだらけだ」

「やはり、私たちのテニスに世界の方が限界を迎えてしまったか」

「貧弱すぎるんじゃないか? 次回までには直しとけよ」

「では、次への活力のためにも花を持たせてくれないか?」

「そっちこそ、これから帰る俺に美酒をくれないのか?」

 

 返事は二人同時だった。

 

「「冗談だろ(ではない)。勝つのは俺(私)だッ!!!!」」

 

 世界崩壊まで残り僅か。

 テニヌプレイヤーが先に仕掛けた。

 

「いい加減、その守りを突破させて貰おう!! 場外─────ホームランッ!!!!!!」

 

 ラケットのインパクトポイントであるスィートスポット。そのスィートスポットの更に中心部分である究極の一点、通称スーパースィートスポットにボールを当てることに成功したテニヌプレイヤー。

 究極の一撃と化した打球は寸分のズレが生じること無く、ヒースクリフへと向かっていく。

 

「受けて立とう。神聖剣スキルによる圧倒的防御性能に刮目したまえ。《ディフェンド》《ロイヤルガード》《セイクリッド・プロテクション》《パラディン・ディフェンス》─────防ぎきる!! 《アース・インヴァイラビティ》ッ!!」

 

 ありったけの防御スキルを発動させ、ヒースクリフの体が銀色に発光。ソードアート・オンラインにおいて最高峰の鉄壁を造りだし、テニヌプレイヤーの一撃を迎え撃った。

 

「「うぉおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!!!!」」

 

 最強の矛と最強の盾。古来より誰もが想像してきた矛盾の一撃。

 永遠に続くかと思える攻防。

 だが、その勝負にも遂に────終わりを迎える。

 

「……………ふっ。やはり、君は凄いな」

 

 ヒースクリフの造りだした鉄壁に少しずつ皹が入りだしたのだ。ジワジワと、しかし確実に亀裂は大きくなっていく。

 やがて致命的な大きさにまで亀裂は大きくなり、

 

「─────君の、勝ちだ」

 

 バリーンッ!! と、ガラスが砕ける音を盛大に響かせた。

 ヒースクリフのラケットが勢いよく弾き飛ばされるのと同時に、コートの端へボールが撃ち込まれた。

 長きに渡る試合。そして多くの人々が囚われた世界に終止符が撃たれた。

 

「…………ゲームセット。ヒースクリフ。あんた──まだまだだな?」

 

 一人のテニヌプレイヤーの手によって、遂に世界は壊されたのだ。

 

 

《ゲームはクリアされました───ゲームはクリアされました──ゲーム──さ───》

 

 

 ゲームがクリアされ、テニヌプレイヤーが意識を取り戻した時には夕焼け空が広がる空間にいた。

 

「やべーな。アインクラッドが崩壊してやがる。俺のせいか?」

 

 夕焼け色に染まった空中浮遊都市はガラガラと音が聞こえてきそうな勢いで、その形を崩していく。

 あぁ、なんて…………

 

「爽快な光景だろ?」

「だな。満足したのか、ヒースクリフ…………いや、茅場さん?」

 

 いつから居たのか。或いは最初から居たかのように、白衣の男性がテニヌプレイヤーの側に居た。

 その姿はメディアで見たことがある姿。茅場昌彦本人の姿であった。

 

「キリト達は?」

「彼らとの話は既に終わったよ。この世界にまだ残っているのは私と君だけだ。既に生き残ったプレイヤー全員がこの世界から脱出している」

「ふーん…………そうか。ゲームオーバーになった人たちは?」

「命は軽々しく扱うべきではない。彼らの意識は戻らない」

「…………そっか」

 

 後悔はある。

 テニヌプレイヤーは犠牲者を出さないよう、全力でゲームに取り組んだ。

 しかし、テニヌプレイヤーは神ではない。初日の混乱や日々の日常における事故。PoHを筆頭としたPK等々。彼の手では防ぎきれない物も存在する。

 それでも、終わりは全員で迎えたかった。

 テニヌプレイヤーにとっては、他のプレイヤー全員が観客でもあったのだ。

 生まれながらのテニスプレイヤーであるテニヌプレイヤーにとって、対戦相手以外の全員が観客。自分のプレーを楽しんでみてくれる人たちなのだ。そんな人たちが笑顔になれるよう、熱くなれるような試合をしたかった。

 しかし、それはもう叶わない。テニヌプレイヤーの瞳に熱いものが集まりだした。

 

「────と、言いたいところだったのだがね」

「……茅場さん?」

 

 テニヌプレイヤーの瞳の熱いものに待ったが掛けられた。

 茅場昌彦はポケットに両手を突っ込んだまま言葉を続ける。

 

「ゲーム初日に君は私に一撃を撃ち込んだのを覚えているか?」

「あぁ」

「実はあの時、システムに深刻なエラーが出てしまってな。今思うと、あれが私の世界の超越の始まりだったのだ」

 

 茅場昌彦は俺に視線を向けると、少しだけ笑う。

 

「本当に君には驚かされた。システムのエラーによって、人々の意識はゲームに閉じ込められたが…………そこまでだった。ナーヴギアとの連動に支障を来してしまったのだ」

「それって………つまり!!」

 

 テニヌプレイヤーは一つの答えにたどり着く。その様子を見る茅場昌彦は同意するように頷く。

 

「あぁ。ゲームに参加した一万人全員が帰還することとなった。君の望むハッピーエンド、というヤツだよ」

「そっか…………そうかぁ」

 

 待ったを掛けられていたテニヌプレイヤーの熱いものが、次々に溢れ出す。

 よかった。本当によかった。

 少しだけ沈黙の時間が訪れた。その間にもアインクラッドの崩壊は進む。

 

「改めてゲームクリアおめでとう。実に、良い試合だった」

 

 茅場昌彦から手を差しのべられる。テニヌプレイヤーは彼の方を向き、その手を握り返す。

 

「ありがとう。茅場さんも中々に強かったよ」

「それは光栄だな。だが、次は私が勝たせて貰おう」

「いいぜ。何時でも相手してやるよ。当然、俺が勝つけどな」

「それは………凄く挑みがいがあるな」

 

 二人は同時に笑顔を浮かべ、そして笑った。

 どうやら互いに負けず嫌いの様だ。

 

「さて、そろそろ終わりの様だ。現実世界に帰る前に、重要な事を君には伝えておきたい」

「重要なこと?」

 

 先ほどの笑顔から一転して、茅場昌彦の顔が険しい物へ変わった。

 

「先ほど話したエラーだが、良いことばかりではない。確かに一万人のプレイヤーはソードアート・オンラインから解放された…………だが、私を含め一部が現実に戻れていない」

「えっ? ……………はぁ?!」

「驚くのも無理はない。だが、事実だ。エラーの影響で外部からの干渉が入ってしまってね。怪しいのは………須郷君辺りかな。君と戦ってようやく理解できたが、彼は私が君へ思うようにライバル心というものを抱いていたみたいだ」

「待て待て待て!! こんな状況で大切なこと色々一編に言わないでくれ!! つーか、須郷って誰だ!!」

「とまぁ、そう言うわけだ。すまないが、ログアウトした後もできれば君に頑張って貰いたい」

「話を聞けッ!! だから───ってぇ?!」

 

 テニヌプレイヤーの身体が白く光始める。

 ついでに浮遊感がテニヌプレイヤーへ襲いかかってきた。間違いない。ログアウトの予兆である。

 

「さらばだ。次の世界で、君を待っている」

「ちょ───────」

 

 テニヌプレイヤーの身体が光へ完全に包まれ、世界から消失した。

 それを見届けた茅場昌彦は一言呟く。

 

「ふむ…………負けた悔しさが、少しだけ晴れたな。これは新鮮な感覚だ。───ははッ!!」

 

 完全に崩れ落ちて行くアインクラッド。

 その様子を最後まで眺める茅場昌彦は少年の様に大きく笑い出し、ゲームからログアウトした。

 その後、茅場昌彦はティターニアと共に、現実世界ではなく世界樹へと落ちて行くのだった。

次のテニヌは何処から始める?

  • ガンゲイル・オンラインで試合
  • ユウキたちとの試合
  • オーディナルスケールで試合
  • アンダーワールド(幼年期)で試合
  • アンダーワールド(整合騎士)と試合
  • アンダーワールド(暗黒騎士団)と試合
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