「貴様っ、それは妹のっ剣をっ」
「・・・剣が、囁きます。私が行くべき道を」
天邪鬼メギドに対して、ローズ先輩はそう言う。
その動作は落ち着いており、そのまま構える。
そして。
「その剣を返して貰う!!」
怒りと共に、天邪鬼メギドが襲い掛かる。
だが、ローズ先輩は。
「ふっ」
真っ直ぐと穿つ。
レイピアの基本的な動作である突き。
しかし、その動作は、天邪鬼メギドから遠く離れていたが、既に天邪鬼メギドを吹き飛ばしていた。
「なにぃ」「へぇ」
見ると、ローズ先輩は、身体全体ではなく、身体の一部を煙に変えた。
本来ならば、全身を煙にする事で、敵の攻撃を無力化する事が出来るサーベラ。
しかし、未だにその力を十全に使えていない為に、一部だけを煙にした。
けれど、それは。
「ぐっ、がぁ!」
本来のサーベラにはなかった戦い方をしていた。
身体の一部、つまりは腕を煙にしている為に、武器である煙叡剣狼煙は実体化を保っている。
その為に、安全な距離を保ちながら、敵への攻撃を行う事が出来る。
剣で戦う場合、そのほとんどが近距離での戦闘がメインとなるが、現在の彼女が行っている戦闘方法ならば、距離に囚われない戦い方を行う事が出来る。
それと共に。
『狼煙霧虫!インセクトショット!』
煙叡剣狼煙から鳴り響く音声。
それと共に、突く。
それによって、放たれた必殺の一撃は、天邪鬼メギドの心臓を貫いた。
「あっあぁぁ」
それと共に、天邪鬼メギドは、それが最期となり、ゆっくりとその身体は灰へと変わる。
それを見ると、ローズ先輩は、そのまま立ち去ろうとした。
けれど。
「ま、待ってください! どういうことですか!? なぜ婚約者を刺したのですか!?」
アレクシアの叫びに、ローズ先輩は顔だけで振り返る。
「アレクシアさん……。ごめんなさい。あなたを巻き込みたくはないの」
「だから、理由を話してください! それじゃ何も分かりません!」
「話せばあなたを巻き込むことになる」
それだけ言い、ローズ先輩は、そのまま身体を煙に変えようとした。
けれど。
『界時抹消!』
だが、それよりも先に、既にアレクシアが動いていた。
その時を削る力で、接近していた。
「もういい、力ずくで聞かせてもらう。私は傍観者じゃない」
「っ」
それと共に、デュランダルとサーベラ。
二人の戦いが始めた。
それに対して、俺は完全に傍観者となってしまった。
「・・・勝手に、話を進められたら、困るけどなぁ」
「では、止めますか」
そう、俺の方にナツメ先生が確認する。
「・・・とりあえずは、二人が納得するまで、待つとする」
俺はその言葉と共に、ゆっくりと見つめる。