俺に下された命令。
命令の内容は、無法都市の吸血鬼を退治する事である。
太古の昔より存在する魔族。かつては人間を食糧として食らい続けることで不老不死を得て栄華を極めていたが、陽の光に弱く、心臓を破壊されると灰になるという弱点が露呈してからは人間達に狩られて衰退していった。
この無法都市以外には、その吸血鬼は既に絶滅しており、紅の騎士団は、その吸血鬼を退治する為に行っている。
「…脅威だと感じているけれど、それで殺し合うのもねぇ」
俺にとって、それが本当に悪なのか分からない。
かつて、人食いとして生み出されてしまった存在であるアマゾン。
彼らの事を知っているからこそ、吸血鬼の中には人間と共存しようとしている者がいる。
そんな希望は確かにあった。
だが、これもまた任務であった。
「まぁ、とりあえずはここだったら別に良いと思っていたが」
「グルルルルッ」「…」
今回、無法都市に辿り着いた際、左右から挟み込む二人。
デルタとゼータが睨み合っている。
この無法都市の任務では、俺が単独で行動を許されている為、特に問題ないと考えていた。
その情報を知っていたのか、無法都市に到着すると、既にゼータが待っていた。
理由としても。
「勿論、役に立つ為に決まっているよ。なんたって、紅の騎士団の中でも地位が高くなれば、私としても嬉しいからね」
そう、語っていた。
だが、ゼータにとって予想外だったのは。
「ボス!吸血鬼狩るの!デルタも手伝う!」
デルタの乱入だっただろう。
俺が無法都市で、吸血鬼を狩る。
それを聞いたのか、一緒に狩りをしたくて、ここに来たらしい。
だが、到着すると同時に、二人は互いに睨み合う結果となった。
もしかしたら、今回の任務は下手したら吸血鬼を退治するよりも、この二人の喧嘩を仲裁する事が一番大変になるかもしれない。
「そう言えば、イータはどうしたんだ?こういう場所だったら、色々と実験しそうだけど」
「あぁ、イータ?イータだったら、来ないと思うよ。この無法都市にいた吸血鬼も獣人も実験したからもう興味はないって」
「…一応聞くけど、それって大丈夫なんだよな」
さすがに悪党のような真似をしていないのか心配になったが。
「あぁ、大丈夫大丈夫。心配する必要はないよ」
「そうなのか、だったら「悪人しかやっていないから。むしろこの町を守ったからね」うぅん」
それは大丈夫だと言えるのか。
「それに、私としては吸血鬼よりも厄介な奴がいる事を掴んだからね」
「吸血鬼よりも厄介な奴?」
そう言うと、ゼータは呟く。