「うーん。ツカサ、もっとこっち……。んん……」
「……重い……。暑苦しい……」
ツカサは寝ぼけ眼のまま、重い瞼を開けた。目に入ってきたのはゼータの顔である。
「むにゃ……」
ゼータはツカサの胸に顔をうずめて、ぐっすりと眠っている。ツカサは苦笑いを浮かべて、ゼータの頭を優しく撫でる。
「まったく……。普段のクールな態度とは違って甘えん坊だな。そして俺の湯たんぽ代わりか」
ツカサはゼータを起こさないようにそっと布団から抜け出す。ゼータはもぞもぞと寝返りを打って、また寝息を立てる。
ツカサはデルタの方を見ると。
「ぐがぁぁぁぁ」
「こっちはこっちで」
そうして、俺に脚を乗せて、無防備になって寝ているデルタ。俺は苦笑いを浮かべて、デルタの脚を優しく下ろした。
デルタは俺の脚を踏んで、ぐっすりと眠っている。俺は苦笑いを浮かべて、デルタの頭を優しく撫でる。
「お前も普段の荒々しい態度とは違って、結構可愛いところがあるじゃないか」
俺はデルタの頬を軽くつつくと、デルタは眉をひそめて、また寝息を立てる。
「さてと、そろそろ起きないと」
俺はベッドから降りて、大きく伸びをした。窓の外を見ると、空はまだ暗い。夜明けまでにはまだ時間があるようだ。
その時だった。
「おや、随分と早いですなぁ」
ツカサに話しかける一人の女性。
ツカサはその女性に警戒しながらも睨む。
「あんたは……?」
「ふふっ、わたしは宿の主人です」
女性はツカサに一礼すると、優雅に微笑む。その笑顔はどこか神秘的で、妖艶な雰囲気を醸し出している。
ツカサは一瞬驚いた表情をするが、すぐに冷静さを取り戻し、女性を見つめる。
その女性は白い髪を一つに束ね、九本の狐の尻尾を持った花魁。その姿はまるで、物語の中の狐の化身のようだ。
ツカサはその女性を見た瞬間、彼女の周りに何か特別な力が漂っているのを感じ取った。
だが、同時にツカサはその女性に見覚えがあるような気がして、少し首を傾げた。ツカサはその女性の顔を見つめながら、記憶をたどる。
「ユキメとお呼びくださいませ。お客人」
ユキメはツカサに深々と頭を下げて挨拶をする。その動作は洗練されていて、優雅さと威厳を兼ね備えている。
「俺はツカサ。あんた、妖狐か?」
ツカサはユキメに答えるように名乗ると、少し警戒しながらもユキメに質問する。
「おや、お客人は鋭いですなぁ。いかにも、わたしは九尾の狐の化身。妖狐でございます」
ユキメはツカサの質問に驚きの表情を浮かべるが、すぐに微笑んで答える。ツカサはユキメの答えを聞いて、少し驚いた表情をするが、すぐに平静を取り戻す。
「・・・それで、その白の塔の支配者がなんで俺に話しかけるんだ?」
そう、疑問に尋ねると。
「少し、話したい事がありましてね」