悪魔と呼ばれ慣れて   作:ボルメテウスさん

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過去の因縁

目の前にいるユキメという人物。

 

彼女に案内される形で、客間に案内する。

 

客間は薄暗く、月明かりだけが唯一の光源となっていた。壁には年代物の掛け軸が飾られ、その風情ある色彩がこの場の雰囲気を一層引き立てている。しかし、その静謐な美しさとは裏腹に、俺の心には警戒感が芽生えていた。

 

「悪いが、部屋でデルタとゼータが待っているからな」

 

「あら、結構せっかちな方ですな。まぁ、けどあの時からまるで変わっていない事を考えてみればそうかもしれませんな」

 

その言葉には懐かしさと皮肉が交じり合っているようだった。俺の心に微かな波紋が広がる。

 

「・・・やっぱりあんた、俺とどっかで会った事があるのか」

 

俺がそう尋ねる。考えれば考えるほど、この宿を取れた理由について深く考えていなかった自分に気づく。二人が所属しているシャドウガーデンの財力かとも考えたが、それだけでは説明しきれない何かを感じていた。

 

「えぇ、そうですね。あなたにとってはどれぐらい経ったのか分かりませんが確かに会いました。あの時、あなたの力を奪おうとした男である月旦の妻です」

 

「・・・」

 

それを察すると共に、俺は警戒をさらに高める。これまで数々の戦闘経験を積んできたが、この女性には何か特別なものを感じる。

 

「それで、俺の力を奪おうと」

 

「奪うつもりでしたら、とっくに行っています。最も、それを行えばこちらが死ぬ事も分かりきっています」

 

その言葉には重みがあった。単なる挑発や脅しではないことを感じ取る。

 

「人質を取っての行動か」

 

「それも違います。そもそも私はあなた方と敵対する気は毛頭ありません」

 

「だったら、なんでこんな所に俺を呼んだんだ?」

 

俺がそう尋ねると、ユキメは深く息を吸い込み、重たい口調で答えた。

 

「あなたに殺して欲しい相手がいますの」

 

「殺して欲しい?そいつは一体」

 

その問いかけに対する返答には一瞬ためらいが見えたが、その後彼女の声には確固たる決意が込められていた。

 

「・・・月旦です」

 

それに、さすがに驚きを隠せなかった。目の前に立つこの女性が俺にそのような依頼を投げかけるとは想像もしていなかった。

 

「月旦は、お前の旦那だろう。なぜ」

 

その問いかけに対して彼女は沈黙した後、静かに話し始めた。

 

「あの男は力を求めました。その結果が私が今ここにいる理由です」

 

花魁のような格好をしている彼女の姿を見ると、その背後には複雑な人生経験が垣間見える。それを察するや否や、俺は罪悪感と共に謝罪の言葉を口にする。

 

「・・・悪かった。それは俺の責任だ」

 

「いいえ、元より力への執着は強かったです。そして、そんな彼にハンドレッドが接触した」

 

「その誘惑に勝てなかったのか」

 

俺の言葉にユキメは深く頷いた。

 

「月旦は既に私にとって村を滅ぼした仇。だからこそ」

 

その目は怒りは確かにあった。

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