クロスギーツの変身者であるメラ。
ギーツの世界である未来では「神殺しのメラとメロ」という悪名を持つ指名手配犯。
これまでに数々の世界を滅ぼし、その最速記録を目指して1人RTAを繰り返す狂人だ。
その冷酷さと無慈悲さは、多くの世界に恐怖をもたらしてきた。
メラはただ破壊するだけでなく、人々の絶望を楽しむために、あえてその過程を見せることが多かった。
その残酷さは、まさに狂人の名にふさわしい。
その一方で、眼前にいるシドは、陰の実力者を目指して行っている。
シドは確かにメラとは違う意味で狂気に満ちている。
シドは自身の行動によって助かった人間がいることを自覚していた。彼は、自分が世界を滅ぼすために行動しているわけではない。
そして、この世界を裏から支配しようとしているディアボロス教団と対抗できる組織、シャドウガーデンを結成した。
その目的は、単に自身の名声を高めるためではなく、真の平和と秩序をもたらすためである。
メラが世界を滅ぼすことで満足するのに対して、シドは世界を救うために行動している。
その違いは明確であり、シドがメラよりもマシと言える理由はそこにあった。
「それで、偽札を作った理由は?」
俺は興味深々に尋ねた。シドは少し困惑した表情を見せながらも、話を続けた。
「敵対関係となった大商会連合とミツゴシ商会を偽札による信用崩壊であえて共倒れにして、自ら設立する新しい商会にミツゴシ商会のメンバー全員を取り込むことでミツゴシ商会のメンバーを守りつつ、『世界の商を支配する陰の大組織のボス』という形で陰の実力者になりたいんだ」
彼の計画には、確かに一理あった。しかし、そのリスクも計り知れない。
「なるほど、なかなか大胆な計画だな。でも、そんなことをすればミツゴシ商会の信用は完全に失墜するぞ」
「あぁ、だからこそ、その後で『裏切ったのは実はミツゴシ商会を守るためだった』という陰の実力者ムーブを行いたいんだ」
その計画には確かに巧妙さが感じられる。しかし、彼の真意はどこにあるのだろうか。
「確かに、それは一見すると巧妙な計画に見える。でも、その過程で多くの人々が傷つくことになるぞ」
「わかっている。でも、この方法が唯一の手段なんだ」
シドの言葉には真剣さが込められていたが、それでも俺は疑問を抱いていた。
「しかし、その計画はすでにバレているし、ミツゴシ商会のメンバーたちからも相当怒られるんじゃないか?」
俺の一言を聞くと、シドの顔が一瞬にして青ざめた。冷や汗が流れ落ちる。その姿から彼の焦燥感が伝わってきた。
「・・・やべぇ」
その一言だけで彼の心情が伝わってくる。彼自身も、計画の破綻を予期していたのだろう。
「まぁ、その馬鹿みたいな計画でもこっちとしては目的を達成できるからな」
俺はため息混じりに言葉を続けた。シドは驚いた表情を浮かべた。
「んっ?それって、どんな目的なんだ?僕も付き合って良いかい?」
「うるせぇ、こっちはデルタを迎えにいかないといけないんだよ」
俺は苛立ちながら答えた。シドは不思議そうな顔をして尋ねてきた。
「デルタと知り合いだったの?」
「・・・まぁ娘みたいなもんだ」
俺の言葉にシドは一瞬困惑したが、その後すぐに笑みを浮かべた。
「そっか。でも、僕に対して散々頭がおかしいと言ったけど、そっちも大概じゃない。そう言えば、ゼータもイータも娘扱いしていたけど」
「うるせえ」
俺はシドを睨みつけた。彼の言葉には反論する余地もない。しかし、それでも俺には大切な家族がいる。そのためにも、この戦いを乗り越えなければならないのだ。