月丹との戦いから数日が過ぎた。
その日の朝、俺は窓から差し込む朝日を浴びながら目を覚ました。
しかし、心の中には月丹を殺したことが重くのしかかり、後悔の念が消えなかった。
そんなツカサの元に、ヒョロとジャガが現れた。
二人の手にはミツゴシ温泉ランドのチケットが握られていた。
「ツカサ、一緒に温泉に行こうぜ!」
そう、ヒョロは何かを企んでいる表情で話しかける。
「温泉?」
俺が疑問の声を出すと。
「そうですよ!ミツゴシ温泉ランドですよ!」
それに続けるようにジャガが、ニヤニヤと笑いながら言う。
「いや、ちょっと待て。何で俺が温泉に行かなきゃならないんだ?」
俺はその誘いを断ろうとする。
しかし、二人は引き下がらず。
「温泉でリフレッシュすれば、少しは気分も晴れるかもしれないだろ?」
「そうそう!それに温泉には美人店員がいるって評判だよ!ナンパするチャンスだぜ!」
ヒョロとジャガはそう言いながら、チケットを俺に押し付けるように差し出す。
「ナンパ?いや、別にそんなことしたくないから……」
俺は困惑した表情を浮かべる。
「何を言っているんだよ。てめぇは面が良いからそれで誘うには十分だろうが」
「それに、ほとんど子供変わらない身長ですから、逆ナンされる可能性もありますよ!」
俺はそんな二人の言葉に呆れながらも。
「いや、だから、別に……」
と、断ろうとする。
しかし、ヒョロとジャガは俺の手を掴むと、そのまま外へと引っ張り出した。
「ほら、行くぞ!」
「早く行こうよ!」
ツカサはその勢いに負けて、仕方なく出かける事に。
そうして、ミツゴシの前に来た時。
ヒョロとジャガは店員に声をかけた。
「こんにちは、綺麗なお姉さん!」
「俺たちはミツゴシ温泉ランドに来たんだ。どうかな、一緒に行かない?」
ヒョロとジャガはニヤニヤしながら店員に話しかける。
「え?」
店員は驚いた表情を浮かべる。
「えっと、あの、ちょっと待ってください」
店員は困惑した表情を浮かべながら、俺たちを店の中へと案内する。
「え、何で?」
俺は疑問の声を上げる。
思わず、ヒョロとジャガの方にも目を向けるが、彼らも驚いた表情を浮かべている。
それから、店員に連れて行かれた奥の部屋。
そこは、どう見てもただの応接室とは思えない、重厚な雰囲気の漂う部屋だった。
部屋の中には大きなソファとテーブルがあり、壁には高価そうな絵画が掛けられている。
そんなソファにて。
「んで、確認すっぞ、この選ばれた人にしか渡されない特別チケットが、お客様共のような方がどうしてお持ちなんですかぁ」
かなり苛ついた様子で尋問されていた。
「・・・なんというか、凄いなミツゴシ」
俺はその様子を冷静に見ながら座る。
「そちらの方は随分と落ち着いていますねぇ」
「まぁ、こういうのは慣れているから。旅ではな」
「旅ですか、随分と若いように見えますがって」
すると、彼女は俺の方を見て、急に顔を青ざめる。
「あの、お聞きしたいのですが、お名前は」
「んっ、門矢ツカサ」
俺のその名を告げると共にその場にいた店員が全員、立ち上がり。
「もっ申し訳ございません!まさか、お客様が、その」
「あぁ、気にしない気にしない、警戒するのは仕方ないから」
「いっいえ、その、この事がもしも」
「あぁ、黙っておくから安心しろ。というよりも怪しむのは無理ないから。会話の内容からしてこれを配っているのも結構VIPのような感じだから。こいつらは一応はシドの友人だから」
「そっそうなんですか、なるほど」
怯えた様子の彼女達を宥めながら、俺はため息を吐く。
「という事で、迷惑をかける前に帰るぞ、お前ら」
「えぇ、ツカサ君って、一体何者なんですか」
「昔からやんちゃしただけだ」
「いや、やんちゃで済まされないような気がするが」
そう、俺達が帰ろうとしたら。
「おっお待ちくださいツカサ様!その、今回のお詫びとして、そのチケットを用意しています」
「チケット?そんな別に気にしなくても」
「いや、して貰わないと殺されるので」
そうして、俺は目の前にいる人からチケットを4枚、押しつけられた。
「おっおぅ、そうか、にしても悪いな、けど三枚ねぇ、丁度良いし、あいつらを誘うか」
「それがよろしいかと!というよりも、ぜひ!」
「なんだか、積極的だなぁ、だとしたらお前らのチケットの残りは」
「それに関してはお任せください!本当に」
そう、目の前にいる彼女達の気迫に押されながら、その場を去って行った。