「・・・いきなり、なんでそんな事を聞くんだいツカサ」
俺の言葉に対して、ゼータは何事もないように前を見ていた。
自分の顔を見せないように背中を見せながら。
「ガッチャードに関して、俺はこの世界に来てから話した覚えはない。
それは偶然か、ガッチャードの力を必要としない事態があったからだ。
けれど、あの龍の涙の時、確かに言った」
『…既にガッチャ―ドの力も持っていたのか』
「既に。つまりは俺がガッチャードの力を持っていないと思っていた。けれど、ガッチャードの存在を知っていた事になる。どうなんだ?」
「・・・気のせいだって言いたい所だけど、正解だよ」
そのままゼータは、その手にある物をこちらに見せる。
それはライドウォッチであり、俺がこれまで見た事のない物。
しかし、その歪な顔から、それが一体何なのかは理解出来た。
「アナザーライダーの、そして、そこから考えるにアナザーガッチャードか」
「そうだよ、この力は1年前ぐらいにある男から渡された。鳴滝という奴からね」
「・・・鳴滝か、まさか関係しているとは」
鳴滝。
奴については、未だに謎が多すぎる。
ディケイドを目の敵にしている事以外は、謎が多すぎる。
オーロラカーテンを自在に操る事が出来、様々な組織に属する事が多い。
「その鳴滝が言うには、アナザーライダーとなれば、そのライダーの歴史を消す事が出来る。正直に言えば、アナザーガッチャードに関しては別に私もなる気はない。
けれど、私がなりたいアナザーライダーはただ一人だから」
「・・・まさか」
「アナザーディケイド、より正確にはツカサのアナザーディケイドだけどね」
「なんでだ、なんで」
俺の問いかけに対して、ゼータは。
「決まっている。ツカサをライダーの呪縛から解放する為だよ」
「ライダーの呪縛、何を言っているんだ」
その一言に対して、ゼータはこちらを見つめる。
「ライダーになった時から、過酷な運命が課せられる。それから逃れる手段はただ一つ。アナザーライダーとなって歴史を移す事。
そうすれば、ツカサはディケイドの呪縛から逃れられる」
「けれど、分かっているだろ、アナザーライダーになれば」
「分かっているさ、けれど、それでツカサは幸せになれる」
「そんな訳「あるよ」っ」
俺の否定の言葉を、ゼータは遮る。
「君のいた世界、ジオウの世界ではアナザーライダーが誕生した事によって、多くのライダーが幸せになった。ライダーの歴史はジオウに引き継がれた事によって、多くのライダー達は本来の人間の幸せを取り戻す事が出来た」
それは、鳴滝からきっと聞いたのだろう。
「ビルドのスカイウォールの惨劇も、エグゼイドのゼロディも、555のオルフェノクの寿命も。それらは全て、アナザーライダーが誕生した事によって消えた。
確かにアナザーライダーは人々には脅威になるかもしれないけど、誓って言える!私はそんな事はしない!!だから」
そうして、ゼータはこちらを見る。
「私にディケイドの力を渡して。私は絶対にツカサを幸せにする。そして、ツカサの代わりに世界を救う。それが」
ゼータがそう言うが、それに対し、俺はネオディケイドライバーを腰に巻く。
「させる訳ないだろ」
その言葉に対して、ゼータは見開く。
「大事な奴を泣かせてまで、幸せになれるかよ。だったら、俺は不幸で結構だ」
それを告げると、ゼータは顔を俯いた。
「・・・やっぱりツカサだよ。ずっと変わらない大好きなままだ。だから」『ガッチャード』
「・・・変身」『KAMENRIDE GOTCHARD!ガッチャーンコ!スチームホッパー!』
鳴り響く音声と共に、俺達の喧嘩が始まる。